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ウルトラマンゼロTHE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国 〜傑作!


大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE 〜岡部副社長電撃辞任賛否!
[ウルトラ] 〜全記事見出し一覧


 『ウルトラマン列伝』(11年)放映枠で、映画『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』が2011年11月23日(水・祝)から5週連続で、「絆の章」「炎の章」「鏡の章」「鋼の章」「光の章」に5分割されて放映中記念!


 ……とカコつけて(汗)、昨年の映画『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』評をUP!


速報『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国

(2010年12月23日執筆)
(文・久保達也)


 ベリアル軍の量産側ロボット・レギオノイド軍団に襲撃される惑星エスメラルダ。


 その第二王女・エメラナ姫が襲われようとするや、彼女の頭に飾られたティアラの輝きの中から(!)、颯爽(さっそう)と飛び出す鏡の勇者・ミラーナイト!


 登場SE(サウンドエフェクト)に手裏剣(しゅりけん)状の光線・ミラーナイフの効果音、そしてテーマ曲に至るまで、『ミラーマン』(71年)とおんなじだ〜!(感涙)


 一方、光の国はやはりベリアル軍の偽ウルトラマン型ロボット・ダークロプス軍団の攻撃を受けていた!
 今回もちゃんと雑魚(ざこ)ウルトラマン(笑)が大挙出演!


 苦戦する雑魚ウルトラマンたちを尻目に、敵の姿も見ずに真横からの光線を片手だけで余裕ではじいてウルトラマンゼロが登場! 敵を圧倒する!
 しかし3体のダークロプスゼロ相手にピンチに陥るゼロ!


 そこにやってきたのはわれらがウルトラセブン


ゼロ「おやじ!」


 セブンとゼロの親子タッグ(感涙!)がダークロプス軍団をけちらす! 華麗に宙を舞うゼブンの頭頂部の宇宙ブーメラン・アイスラッガーとゼロの二刀流のゼロスラッガー! 3つのスラッガーが宙を舞う!


 別宇宙での異変
 ──長谷川初範(はせがわ・はつのり)が声を演じるエイティが「マイナスエネルギー」を語る! これまた感涙!──
 をキャッチしたウルトラの父と兄弟たちは、自ら調査を志願したゼロを、ウルトラ戦士の全エネルギーを集めて別宇宙へと送り出す!


 セブンはゼロにウルトラゼロブレスレットを授けるが、この際のゼロのセリフがまたいい!


ゼロ「おやじも心配症だな」(笑)


 別宇宙へと飛行するゼロのバックに、ボイジャーが歌唱するヒーロー名を連呼する王道の『すすめ! ウルトラマンゼロ』が流れる!
 これだよこれ! 従来の劇場版に欠けていた要素がまさにこれだよ!


 そしてゼロは宇宙の果てを突破して、球形の無数の別宇宙が浮遊しているマルチバースへと侵入!
 無数のシャボン玉のようなラメ・光沢の入った宇宙泡が浮かぶ超空間! めちゃめちゃキレイじゃんか! のっけからこんな調子だから、もう画面に釘づけ!


 波動に導かれて別宇宙内の惑星アヌーにたどり着いたゼロは、レギオノイド軍団と勇敢に戦うも、瀕死(ひんし)の重傷を負った青年・ランと一心同体!


 ここでゼロのカラータイマーが点滅を始めるのだが、


 「別宇宙ではゼロは長時間活動できない」


 云々(うんぬん)とのナレーションが入るのがなんとも説得力を与えているね!
 やはり今回『ウルトラマン』(66年)のナレーターを務めた石坂浩二(いしざか・こうじ)を起用したのは正解だ!(笑)



 ゼロに乗り移られたランは明らかにキャラが変わるけど、ランを演じた小柳友(こやなぎ・ゆう)の演じ分けは見事。個人的にはゼロみたいにもっとガラが悪くなってもよかったように思うけど(笑)。


 レギオノイドの追撃を逃れ、ランと弟のナオは洞窟に避難するが、そこでナオはランがランであってランでないことを知り、悲嘆にくれることになる。
 基本的に最後まで主人公の正体を隠し続けるウルトラでは、これ『ウルトラマンメビウス』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070506/p1)のウルトラマンヒカリ以外では見られなかったシチュエーションである!


 いきなりこんな難しい場面を器用に演じてしまったナオ役の子役・濱田龍臣(はまだ・たつおみ)、カワイイ顔して大物になりそうな予感である!


 そしてナオが亡き父から聞いた惑星アヌーの伝説・宇宙を護(まも)るという「バラージの盾」を求めて一緒に旅をするのが、ベリアル軍の侵攻から逃れてアヌーに潜んでいたエメラナ姫!
 演じる土屋太凰(つちや・たお)、マジでいいわこのコ!
 本当に清楚で上品なお嬢さまタイプでお姫さまを演じるにはうってつけであり、王家があったり「宝探し」をする封建的なファンタジー世界を構築するのに映像的に最大限に貢献してるぞい!


 その意味では彼女が乗る宇宙船・ジャンバードがやたらと


ジャンバード「無礼(ぶれい)者!」


 と口にするのも、スゲぇ説得力与えてくれるよなあ(笑)。


 本編キャラもなかなかに魅力的であるが、今回ゼロと夢のヒーローチーム・ウルティメイトフォースゼロを結成することになるリメイク、もとい新ヒーローたちもゼロと同様、なかなかのクセもの揃いであるぞっ!


 まずは炎の戦士・グレンファイヤー!
 炎の宇宙海賊たちが乗る海賊船・アバンギャルド号(そのまんまな名前・笑)とともに船首で軽快に歌いながら現れ、その赤い髪を両手でかきあげ(その瞬間に頭からボワッと炎が出る・笑)、戦って強さを認めた相手としか話をしないと、ゼロを


グレンファイヤー「来(き)な!」


 と手招きをするように徴発し、はじめの挨拶(あいさつ)でゼロをのしたあとにボクサーのような軽快なフットワークを見せたり、ジャンバードを「焼き鳥」とヌカしたり(別宇宙にもあるんかいっ!・笑)、かと思えば喧嘩の最中に出現したベリアル軍の大艦隊との戦いの最中にカラータイマーが鳴り出したゼロを、


グレンファイヤー「おい、ピコピコ鳴ってるぞ!」


 と気遣(づか)ってみたりと、『ファイヤーマン』(73年)の主人公ヒーローとは似ても似つかないが(笑)、こいつはまさにゼロと名コンビとなりそうな予感が!
 かけ合い漫才のようなやりとりが実に楽しい!


 肉体的アクションももちろん魅力だが、こうしたコミカルな演技をスーツアクターがノリノリで披露してくれるなんて、まさに新境地開拓だ!


 そして、バラージの盾を求めてランたちがたどり着いた鏡の星(天空に浮かぶオーロラと二次元人の紋様が実に美しい!)。
 ほの暗いその湖の底で、ベリアル軍との初戦でカイザーベリアルに魂を侵されたミラーナイトは自らを封印していた。


 ゼロが歩み寄ろうとするや、


ミラーナイト「見ないでくれ! こんな醜い姿……」


 なんと体育座りの状態で両手で頭を抱えこむ(笑)。


 『ミラーマン』の主人公・鏡京太郎はなにかと思い悩む場面が多かったものだが、これはちょっとやりすぎだ!(笑)
 ――鏡京太郎を演じた石田信之(いしだ・のぶゆき)は今回二次元の民(たみ)の声を担当! これまた感涙!
 ……あとから思うに、ゼロたちを信用してからは、天に浮かぶ紋様状の姿から、ファンサービスで往年のミラーマンそのままの姿を現してもよかったのでは!?――


 ゼロは目を覚まさせようとランの姿からゼロに変身してミラーナイトと対決することになる。
 その対決が、まさに静謐(せいひつ)な湖での戦いを象徴する美しい水しぶきのCG表現はこれまた見ものです!


 そしてミラーマンの最初の敵・鋼鉄竜アイアンが鋼鉄将軍アイアロンとなってミラーナイトと対決!
 ミラーナイトが張り巡らしたあまりに美しい鏡の壁の中で、光線技・ミラーナイフやシルバークロスが炸裂するさまはまさに圧巻!
 予算を度外視して、欲を云うならキティファイヤー、ダークロン、マルチ、ゴールドサタンといったミラーマン怪獣たちもリニューアルして大挙出演させてほしかったところではあるよなあ。
 特にキティファイヤーはグレンファイヤーと炎対決をしてほしかったなあ(笑)。そういや『ミラーマン』にはノアって怪獣もいたけど、今回はさすがに出せんわな(爆)。


 あと宿敵・カイザーベリアルの片腕としてはダークゴーネも登場。
 ヤクザ系のアイアロンと違ってこいつは丁寧語(笑)。


 こういうキャラシフトは『メビウス』で暗黒宇宙大皇帝エンペラ星人に仕えていた四天王の中で、デスレムはヤクザ系でメフィラス星人は紳士的といった感じで定番になりつつあるが、こういうのを明確にすることが大事なのだ!


 さらにジャンバードは鋼鉄の武人・ジャンボットに変形!
 ここからの描写は『ジャンボーグA(エース)』(73年)のファンにとっては感涙モノなので、ここでは触れません!
 ランの弟をナオと命名したのにはちゃんと意味があったのよ! また欲を云うなら惑星エスメラルダでなくエメラルド星にして、エメラルド星人カインも出してほしかったものだが(笑)。



 これが読まれるのは公開からまだ1週間後のことなので(後日注:初出は2010年末の冬コミ発行同人誌)、未見の方も多いだろうから、最終決戦についてはやはり詳細に触れないでおく。
 しかし、力づくや奇跡ばかりではなく、頭脳戦・陽動戦・作戦勝ちといった趣も感じられ、ゼロばかりではなく、新ヒーロー3人がちゃんと立てられている点には好感を持つ!


 今回はカイザーベリアルもウルトラ兄弟も出番はかなり少なめ。
 特に後者は少し残念ではあるが、もっとも作劇のバランス・盛り上がり的にはカイザーベリアルの扱いはそれでよかったと思うし、光の国上空でウルトラ兄弟が必殺光線一斉攻撃をダークロプス軍団に繰り出す場面はこれまでの中で最も鮮やか! めちゃめゃ色がキレイでこれはもう感動もんです!


 あと惑星アヌーやエスメラルダの舞台では阿蘇山や秋吉鍾乳洞での遠方ロケが行われている。
 やはり大自然の表現、空気感はグリーンバックとは比較にならないので、時間と予算に余裕があるのならどんどんやるべきでしょう!


ゼロ「おれは新しい宇宙警備隊をつくる! おまえら、仲間になれ!」


グレンファイヤー「勝手に決めんなぁ〜!」(笑)


 あ〜、マジでこんなテレビシリーズが観たい!


 「ウルトラマンシリーズ45周年記念映画は新宇宙警備隊の物語になるのか!
 と考えると今から待ち遠しくてならないが、それを華々しく盛り上げようとするならゼロだけではなく、ウルティメイトフォースゼロが主役のテレビシリーズをぜひ!


 30分が無理なら『アンドロメロス』(83年)くらいの尺で低予算でも平日に連日やるとか!
 こんな理想的なチーム、年に一度じゃもったいない!


 「マーベルなどのアメコミのヒーローは、クロスオーバー戦略といって、それぞれの世界観がリンクしていますが、ウルトラの世界にも銀河連邦があって、『ジャンボーグA』や『ファイヤーマン』の世界がつながっている。それを踏まえ、今後の戦略的なことを考える上で、土台となる部分を一度きちんとしておきたいと」
 (岡部淳也(おかべ・じゅんや)元円谷プロ副社長・『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE Visual File』角川書店・10年1月21日発行・ISBN:4048544535


 岡部サン、あなたは素敵な置き土産(みやげ)を残してくれましたね。
 そう、今回でいよいよ土台が固まったのだから、『ザ★ウルトラマン』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100430/p1)も『ウルトラマンG(グレート)』(90年)も『ウルトラマンパワード』(93年)も順繰りでゼロとともに活躍させて、声や変身前を演じた伊武雅刀(いぶ・まさとう)も京本政樹(きょうもと・まさき)もケイン・コスギも出してマスコミレベルで話題を作ろうよ!
 出てくれなくても声だけだったらなんとかなるだろ!(笑)


以上、2010.12.23.執筆



 2010年12月23日、待ちに待った公開の日がやってきた。
 静岡ミラノ1で初回9時45分の回を鑑賞するため、現地に9時ごろ到着したが、入口前で待っていたのはオタがわずかに3人のみ。
 前作『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』(09年・ワーナー・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101224/p1)の場合、この時間には既に親子を中心とした人々の行列ができていたものであった。
 これはやべぇ……


 上映直前、気になって場内を見回してみる。どう見積っても収容人員の半分程度の入りである。
 前作は満員御礼とまではいかなくとも、8割以上の席が埋まっていたものだった。


 客が減ることは予測できていたとはいえ、まさかここまでとは……



 翌24日のクリスマス・イブ、多くのカップルであふれかえるネット喫茶――90年前後のバブル期に若いころを過ごしたアラフォー世代の人々には信じられないだろうが、今の若者は本当に金がないのである! ちなみにこのネット喫茶では性行為は特に禁止されてはいない(汗)――で本作の評判を調べてみた(以下は各コメントの要約である)。


*『SPACE BATTLESHIP ヤマト』の数倍面白い。艦隊戦や海賊船シーンなど、『ヤマト』の10倍以上迫力あるシーンになっている。
*今年の『仮面ライダー』にはガッカリしましたが、ウルトラマンは文句なし!
*役者(演技・声ともに)全てすばらしい。心優しさ、心強さ、心美しさを大切にしたストーリー。制作者の方々のウルトラマンを愛する気持ちが伝わる演出。
*ウルトラの世界観をしっかり保持しつつ、破綻(はたん)なく構成された展開にグイグイひきつけられる。ウルトラの根底にあるテーマ「信じる力・勇気」というメッセージが嫌味(いやみ)なく発信されている。
*笑い・涙・ロマンスはほとんどなし、ただひたすらに熱血のSFアクション。いい意味での荒唐無稽(こうとうむけい)でスケールの大きな日本製SF(+ファンタジー)。「痛快娯楽活劇」であり、子供の鑑賞に耐え得る。
*ストーリー自体はヒーローものの王道。「これがウルトラマンだ!」と云わんばかりのかっこよさ。グイグイ展開していくストーリーにひきこまれる。大人の目線に気を使わない、大人が子供に見せたい、気持ちいいほどにまっすぐなヒーロー。
スーツアクターの演技が本当にすばらしい!
*VFXが美しい。宇宙のスケールをうまく演出している。本格的なアクション冒険映画にウルトラならではのSF要素。
*私的にはハリウッド並みの映像。大人が観てその映像的進化を目に焼きつけて頂きたい。
*脚本にもう少し深みがあればさらに観ごたえがあったのだろうが、子供を飽きさせないためにはこれくらいストレートの方が正解。


 ヤフーの映画レビューでは概(おおむ)ね賛辞が並んでいた。中には、


*シナリオ・演出共に完全な幼児向け。ここまで破天荒(はてんこう)な内容だとさすがについていけない。ファミリーだとか仲間だとか、いつからこんなチャチな設定になったんだ? いくら子供向けでももう少し真面目(まじめ)につくってほしい。


 なんて酷評もあったが、わずかにこれひとつのみであった。


 つーか、公開翌日の18時の時点で、ヤフーの映画レビューには本作を評するコメントがたったの24個しか寄せられてはいなかったのである!
 (前作ではどれを紹介しようか苦労したものであったが)


 おいおい、公開初日に全国で観たのは一体どれだけの人数なんだ!?
 「こんなに混んでいたウルトラ映画は初めてだった」
 「朝一番でほぼ満員」
 「朝だというのに超満員」
 「1時間前から並んで観た」
 などと、ヤフーの映画レビューにコメントを寄せた人々が観た劇場では客入りが上々だったようであるが、そこは筆者が住む世界と同じ世界にあるのか?
 それこそ今回舞台になったアナザースペース=別の宇宙での話ではないのか?(笑……ってる場合ではない!)


 特撮2ちゃんねるの本作スレによれば、大阪府八尾市のMOVIX八尾ではほぼ満席だったようだ。
 そこは円谷ジャングルなるウルトラグッズのショップが併設しており、ウルトラヒーローのアトラクションショーもよく行われている場所だから当然でもある。
 北海道札幌市の札幌シネマフロンティアでは3分の2程度、神奈川県川崎市の川崎チネチッタでは5〜6割程度の入りだったという。


 「満員」だった劇場は、おそらくはウルトラマンゼロの声を演じた宮野真守(みやの・まもる)、ミラーナイトの声を演じた緑川光(みどりかわ・ひかる)、ジャンボットの声を演じた神谷浩史(かみや・ひろし)、グレンファイヤーの声を演じた関智一(せき・ともかず)らの舞台挨拶が行なわれた東京都内や名古屋・大阪といった大都市圏の劇場に過ぎず、地方の劇場は初日でも静岡に限らず、どこも閑散としていたのではないのか……


 そこすらも、人気声優の舞台挨拶が終わった途端、明らかにそれを目当てに来ていたと思われる腐女子の一団が、肝心の映画を観ずにゾロゾロと帰る光景が目立ったそうで……そんな奴らは本当のファンじゃねえっ! などと彼女らを責めたところで解決する程度の問題ではないのである(正解は各劇場の舞台挨拶をハシゴしているのである・笑)。


*所詮(しょせん)『ヤマト』や『ライダー』にはかなわないが、こうなりゃクチコミで広めて多くの人に観てもらおう!
*オレたちが何回も観に行けばいいんじゃないか!


 ウルトラに対する愛のあふれる多くの書きこみに、おもわず感涙したクリスマス・イブの夜であった。


 ちなみにアンチスレもいくつか立てられてはいたが、ロクにコメントも寄せられていない状態であった。
 少なくとも観てもらわないことには、アンチ派になることもできないのである……



 翌25日、やはり初回を観に行った。おそらく余裕で席は確保できるだろうと、上映25分前にミラノ1に入場。
 ロビーはあまりに閑散としていた。喫煙をして上映を待つ間、次々に客が入ってくるのを期待したが、待てど暮らせど客は来ない……


 上映直前、やはり気になって場内を見回したが、客は30人にも満たなかった。
 これが公開からわずか3日目、土曜日のことである。あまりの惨状に愕然(がくぜん)とした……


 『ウルトラマンコスモス』(01年)の終了から1年近くを経た映画『ウルトラマンコスモスVSウルトラマンジャスティス THE FINAL BATTLE』(03年・松竹)の公開2日目の日曜日初回も、客の入りは悪かったが50人は観に来ていた(笑)。
 悪名高い『ウルトラNプロジェクト』のトリを務めた映画『ULTRAMAN』(04年・松竹・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060305/p1)も、今回と同じ条件である12月25日土曜日(曜日の並びが2010年と同じだった)の初回を観に行ったが、今回よりも客は多かったものだった。


 ここまでウルトラの「商品的価値」は低下してしまったのだろうか?
 もはや「夢の世界」に浸っている場合ではない。「現実の世界」の厳しさを、イヤというほど見せつけられてしまったのである。
 初日には思う存分楽しめた『ゼロ THE MOVIE』を観ながら、筆者は考えごとをしてしまった。まったく鑑賞に集中できなかった……


 ヤフーの映画レビューにしろ、2ちゃんねるにしろ、観た人々の多くは作品に対して好意的な意見を寄せている。出来がよいには違いないと判断してさしつかえないのだろう。
 だがそこに至るまでが難しい状況になってしまっているのである。
 観た人々にとっては「傑作」ではあっても、大抵の人々にとっては「観る価値のない映画」、あるいは「公開されていることすら気づかれない映画」になってしまっているのである。



 本作パンフレットに寄せられた脚本・監督のアベユーイチのコメントによれば、今回は公開1ヶ月半前である10年11月7日(日)の時点で、CGや合成のOKがまだ半分、編集はまだ完成尺が出ず、効果音の仕込みも悲鳴をあげており、11月23日(火・祝)に迫ったダビングがどうなってしまうのか、予断を許さない状況であったという。


 また音楽を担当した川井憲次のコメントでは、通常ならば氏は完成した映像に合わせて作曲・アレンジ・録音・ミックスまで行うスタイルであるのだが、今回は作曲だけが発注され、それも10年9月のことであったという。
 要するにその時点で素材となる映像が何ひとつ完成していなかったということになるのである。


 つまりは本当に公開直前ギリギリになるまで作業が行われていたため、特報ではなく正式の予告編が劇場で流れたのが封切まで1ヶ月を切った10年11月27日(土)と大幅に遅れ、セールスにも支障が出たと解釈できるかと思う。
 新作テレビシリーズの製作がないにもかかわらず、どうしてそんな余裕のないスケジュールになってしまうのか、疑問を持たざるを得ないのである。


 手を抜けとまでは云わないが、よいものをつくろうとしてギリギリまでねばったことで宣伝に力が入れられなかったというのなら、製作スタッフのせっかくの努力もそれこそ水の泡となってしまうのである。



 肝心の映像の方はそれでもやむなしとしても、やはり話題性の部分でなら、もっと早い時期からアピールすることはできたはずである。


 今回は先にあげたウルティメイトフォースゼロの4人を実力のある人気声優たちが、ウルトラ兄弟たちをかつてのテレビシリーズの主演俳優、特にエイティの声を『ウルトラマン80(エイティ)』(80年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971121/p1)で主人公・矢的猛(やまと・たけし)を演じた長谷川初範(はせがわ・はつのり)、ユリアンの声を星涼子(ほし・りょうこ)を演じた萩原佐代子(はぎわら・さよこ)が担当。
 「『80』放映30周年記念」の最後を飾る素晴らしいイベントともなったのである。


 が、声優・アニメファンや特撮マニアは大喜びではあるものの、長谷川初範が顔出し出演をするならばともかく声だけでは、一般層をひきつけたりスポーツ新聞やワイドショーで大々的に扱ってもらえる要素ではないのである。


 演技が安定した大ベテランである彼らの好演は概ね好評を博しているようだ。
 が、いくら演技が大根であるとはいえ、ウルトラマンキングの声を元・内閣総理大臣小泉純一郎や、ウルトラの母の声をモデル・女優で石田純一と浮名を流した長谷川理恵が演じた『ウルトラ銀河伝説』の方が、世間一般へのアピール度はやはりはるかに高かったのである。


 良くも悪くもマニアではない一般庶民や大衆なんていうものはそんな俗っぽい存在なのである。そういうところでそもそもの映画の存在自体を知ったり、映画を観に行ってみようかなと思うものなのだ。
 だから今回もせめて数人くらい、話題性の高い人気タレントを声優に起用してもよかったのではないのか?


 カイザーベリアルは今回も吉本興業雨上がり決死隊宮迫博之(みやさこ・ひろゆき)が演じている。
 氏は近年は本業のお笑いよりも俳優としての活動の方が目立っており、その力量からすれば、もはやお笑いタレントのサプライズ出演ではなく、先にあげた声優陣と同等の存在として考えるべきであろう。


 またゼロと一体化するランを演じた小柳友(こやなぎ・ゆう)、その弟・ナオを演じた濱田龍臣(はまだ・たつおみ)、エメラナ姫を演じた土屋太凰(つちや・たお)の演技も極めて評判が高い。


 イケメン俳優・福山雅治(ふくやま・まさはる)が主人公の坂本龍馬を演じたことで大きな話題となったNHK大河ドラマ龍馬伝』(10年)に、濱田は少年時代の龍馬役で、土屋はその姉である坂本乙女役で出演し、既に共演を果たしていた。
 さらに濱田は『怪物くん』(10年・日本テレビ)にも怪物くんとつるむ市川ヒロシ少年役でレギュラー出演、土屋は『ハナチュー』なるティーンズ雑誌の専属モデルも務めており、女子中高生にも人気があるらしい。


 主役級の3人のこうした経歴を公式サイトや製作発表記者会見で派手にうたったなら、それらを支持する人々からも興味を持ってもらえる可能性もあったと思われるのだ。



 しかしながら、携帯版の円谷プロ公式サイトの本作品のページには登場人物紹介はあるものの、それを演じる役者の経歴どころか肝心の名前自体が記載されていないのだ!
 これはもう問題外というよりほかにないのである。



 さらに云うなら、いくつもの宇宙が並行して無数に存在しているマルチバースを設定の根幹にしているのだから、今回こそ『ウルトラマンティガ』(96年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961201/p1)、『ウルトラマンダイナ』(97年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971211/p1)、『ウルトラマンガイア』(98年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19981206/p1)、そして『ウルトラマンコスモス』などと無理なく世界観をつなげることができたかと思うのである
 ――『ウルトラマンネクサス』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060308/p1)はどうしたって? ナイショにしておきます――。


 昭和ウルトラシリーズの世界観の直系の続編『ウルトラマンメビウス』(06年)以降、世界観がつながっていない先の作品群はすっかり日陰の存在となってしまった感があるが、90年代後半には熱狂的な支持を集めたのは揺らぐことのない事実である。
 おそらくは作風がまったく異なる近年のウルトラに対し、先の作品群の支持者たちはあまり関心を寄せてはいないかもしれないが、ティガやダイナ、ガイアにアグル、コスモスにジャスティス(笑)も出るのなら、久々に観てみようかという気にもさせるかと思うのである。


 もちろんそれだけではマニアどまりに終わってしまうので、『ティガ』で主人公マドカ・ダイゴを演じたジャニーズV6の長野博……はギャラ的にムリかもしれないが、『ダイナ』で主人公アスカ・シンを演じたつるの剛士(たけし)、『コスモス』で主人公・春野ムサシを演じた杉浦太陽――2010年の流行語大賞となったNHK連続テレビ小説ゲゲゲの女房』(10年)にもねずみ男のモデルとして出演して顔が売れていたのだし――などのメジャーに出世した連中には当然出てもらうと。


 『大決戦! 超ウルトラ8兄弟』(08年・松竹・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101223/p1)が「同人映画」だとの批判の声もある中、『ウルトラマンメビウスウルトラ兄弟』(06年・松竹・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070128/p1)を上回る興行成績をおさめたのは、やはり長野やつるのの出演も大きかったのであろう。


 今回の主題歌『運命のしずく 〜Destiny’s star〜』(avex trax・10年12月22日発売)を歌唱したGIRL NEXT DOOR(ガール・ネクスト・ドア)は若者に人気のあるユニットのようであるが、本曲のプロモーションビデオでは彼らがウルトラ6兄弟とウルティメイトフォースゼロ、そしてカイザーベリアルと共演を遂げている!


 イントロではいきなりウルトラ6兄弟とウルティメイトフォースゼロが揃い踏み!
 1コーラス目では親指で鼻をこする仕草(笑)や回し蹴りをきめるゼロの描写や、襲い来るイメージのカイザーベリアルがカットバックされ、間奏では赤と黒を基調とした衣装で激しく踊りまくるバックダンサーにカイザーベリアルの映像をダブらせる(これはいいセンス!)。
 2コーラス目ではボーカルの千紗(ちさ)がまるで彼女を守るようにウルティメイトフォースゼロに囲まれた中で歌い続ける!
 ラストはマントを翻(ひるがえ)し、左手の鋭い爪を振り下ろすカイザーベリアルに対し、ウルティメイトフォースゼロが一斉にファイティングポーズを決めるという、超カッコいい映像に仕上がっているのである!


 本曲が流れるバージョンの予告編もあったようだが、まさに「ウルトラマンゼロのテーマ」と呼ぶにふさわしい、歌詞もメロディもゼロのキャラや作品世界に絶妙にリンクした、主題歌としては出色の出来である。


 彼らにとっては節目となる10枚目のシングルであり、セールスにもかなり力が入れられたかと思う。
 だが、いっそのことavexにも製作委員会に入ってもらって映画の宣伝もまかせてしまえばよかったのである
 ――多分、avex(エイベックス)に主題歌やBGMを依頼したのも製作が押し迫ってからの時期だったんだろうな(汗)――。


 そしてせっかく男性2名と女性1名のユニットなのだから、彼らを惑星アヌーか惑星エスメラルダの等身大・変身ヒーローにして、円谷プロの往年の銀河連邦ヒーロー『トリプルファイター』(72年)のレッドファイター、グリーンファイター、オレンジファイターのリメイクキャラとして声の特別出演をさせて話題を作ればよかったのである!
 トリプルファイターに合体したあとはプロの声優にやらせればいいんだから(笑)。


 演歌歌手・氷川きよしだって『ウルトラマンメビウスウルトラ兄弟』に出たじゃんか!(彼を目当てのオバチャンたちも少し動員できたのだし!)
 あと彼らのマスコットキャラ・ガルネコとウルトラセブンを合体させたガルネコセブンとゼロの指人形を付けた「数量限定生産盤」も出ている。
 このガルネコセブンもゼロとカイザーベリアルの指人形以外に前売特典として用意すればよかったのに。
 カイザーベリアルもそうだが、グレンファイヤーのキャラなんかはロック大好き人間のハートにビビッとくるものがあると思うんだけどなあ。



 いくらでも客を呼びこむ方法はあったはずだ。
 遂にここまでの境地に達したか、と感動すらおぼえた本作を、こんなに大苦戦させるなんて……


 2011年が「ウルトラマンシリーズ45周年」の年ではなかったら、この調子では到底新作の公開はおぼつかないであろう。
 本来は「大絶賛」の論評にしたかったのだが、今はとてもそんな心境にはなれないのだ。


 頼むからちゃんと商売してくれよ! という感じ。


 だからリアル&ハード路線に戻せなんて誤った主張がまた叫ばれそうですが、絶対オレが阻止してやる!


 2011年、筆者もまさにカイザーベリアルのごとく、今後のウルトラがどうあるべきかについて、旧式ワープロでさらなる大逆襲をかける!(笑) そうせざるを得ないだろう。


 それでは皆様、よいお年を。         


2010.12.26.


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2011年号』(10年12月30日発行)折込コピー速報より抜粋)


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  (当該記事)