侍戦隊シンケンジャー銀幕版 天下分け目の戦 〜初3D賛否合評 20分の尺でドラマは可能か?
侍戦隊シンケンジャー 〜前半賛否合評1
侍戦隊シンケンジャー 〜前半賛否合評2
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映画『天装戦隊ゴセイジャーVSシンケンジャー』公開記念! とカコつけて(汗)、昨年の映画『侍戦隊シンケンジャーVSゴーオンジャー銀幕BANG!!』評をUP!
侍戦隊シンケンジャーVSゴーオンジャー 銀幕BANG!!
(10年1月30日封切)
(脚本・小林靖子 監督・中澤祥次郎 アクション監督・石垣広文 特撮監督・佛田洋)
(文・鷹矢凪弥寿士)
【お断り】
作品発表から時間が経ち、また「(「戦隊」ファンの読者諸氏なら)本作を最低一回は鑑賞された上で読まれている」との想定で本文を執筆しておりますので、ネタ割りを行なっております〈例示作品含む〉。御了承の上、お読み下さい。
映画『侍戦隊シンケンジャーVSゴーオンジャー銀幕BANG〈ぎんまくばん〉!!』〈脚本:小林靖子/監督:中澤祥次郎〉。
「スーパー戦隊シリーズ」第33作『侍〈さむらい〉戦隊シンケンジャー』[09・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20100208/p1]メンバーと、前作『炎神〈エンジン〉戦隊ゴーオンジャー』[08・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20080905/p1]両メンバーが共演した本作は、「スーパー戦隊VSシリーズ」16作目《※》にして、史上初の「当初からの予定として劇場公開が実現した作品」となった。
《※なお第5作『救急戦隊ゴーゴーファイブ・激突! 新たなる超戦士』[99]は、現役と先代のチームが共演する“VSもの”ではない〜10年現在では唯一〜が、本文では敢えてカウントする》
しかし、あくまで個人的感触だが、最初の鑑賞時には、いまひとつ愉〈たの〉しめなかった。2・3度目〈※〉の鑑賞では幾分見直したものの、やはり作品としての出来は決して悪くないと思うのだが……。
〈※1・2は劇場、3はDVD〉
★まず残念だったのは、オープニングの省略。
『シンケン』OP〈オープミング〉では従来と違いメンバーの名前と顔がシンクロしないため、前回の映画『劇場版 炎神戦隊ゴーオンジャーVSゲキレンジャー』[09]〈脚本:香村純子・荒川稔久/監督:諸田 敏〉のような各メンバー紹介を織り込んだOPは造りにくかったのだろうし、テンポ重視の映画というメディアゆえ敢えて省いたとも思われるが。
☆シンケンジャーVSゴーオンジャーの対立→和解→共闘は、志葉丈瑠〈しば・たける〉〔演:松坂桃李〈まつざか・とおり〉〕=シンケンレッドと江角走輔〈えすみ・そうすけ〉〔演:古原靖久〈ふるはら・やすひさ〉〕=ゴーオンレッドとのソレに集約されていた。コレはこれで巧〈うま〉い手法と思う。
“殿様”としての責任を負って戦っている丈瑠には、走輔の戦いが素人じみて映ったのも無理からぬことだろうから。
走輔は走輔で、丈瑠の態度が傲岸不遜に感じられたようだ。
そんなふたりも、仲間と離れ離れになった際は互いの本音を語り合い、心を通わせていく。それぞれ築いていた仲間との絆が、彼らの気持ちを解〈ほぐ〉したのだ。
走輔「お前、結構信頼されてるんだな……。仲間は迷わずお前を守った。ただ偉そうにしているだけの殿様なら、ああはならねえ」
丈瑠「お前は、やっぱり素人〈しろうと〉だ。だが、この世を守るのに侍も素人もない。お前の気持ちは本物だし、本物は……強い」
特に丈瑠の言葉は『シンケン』TVシリーズ終盤の展開を鑑〈かんが〉みると重い響きをもたらすのだが、本文では取り敢えず言及は控える。
☆そして、人質に取られた志葉家家老=日下部彦馬〈くさかべ・ひこま〉=ジイ〔演:伊吹吾郎〈いぶき・ごろう〉〕とゴーオンジャーの後見役=水先案内ロボ・ボンパー〔声:中川亜紀子〈なかがわ・あきこ〉〕を救うため、丈瑠と走輔は悪車山〈あぐるまやま〉へ赴く。
人質を助けたければ抵抗を辞めろ、という脅しをかける敵一党。人質を助けようとする走輔と、人質を見捨ててでも戦おうとする丈瑠(脅しに従っても人質の命を奪うと見抜いていた)は、戦う羽目に陥〈おちい〉ってしまうが……。
この展開の結末は今までにない衝撃、そして痛快さをもたらした。
□今回のメイン敵は最終回ラストでその存在が役職名のみで示唆されていた、『ゴーオン』の敵=蛮機族ガイアークの害統領〈がいとうりょう〉・バッチード〔声:銀河万丈〈ぎんが・ばんじょう〉〕。
ゴーオンジャーを罠に嵌め各パラレルワールドへ飛ばしてしまうイントロを始め、『シンケン』の敵=外道衆〈げどうしゅう〉総大将=血祭ドウコク〔声:西 凛太朗〈にし・りんたろう〉〕へ三途の川〈さんずのかわ〉の水を月面上の巨大工場“バッチリウム・プラント”へ取り込みたいと提案し、相手の野望をくすぐる。
闘いでは、卑劣かつ狡猾な手段を用いてシンケンジャー&ゴーオンジャーを翻弄する一方、両チームの正面攻撃を難なく撥〈は〉ね返す強靭さも持つ。さらに一時的とはいえ共闘した相方をもアッサリ見捨てる冷酷さも、両チーム同様観客にも怒りを湧かせ、倒した時のカタルシスを煽る。
銀河氏の貫録溢れる御声と相俟って、映画に相応しい強敵らしさを醸し出していた。
■一方、元ガイアーク3幹部=害地大臣ヨゴシュタイン〔声:梁田清之〈やなだ・きよゆき〉〕・害気大臣キタネイダス〔声:真殿光昭〈まどの・みつあき〉〕・害水大臣ケガレシア〔演:及川奈央〈おいかわ・なお〉〕も一時的に復活したが、三途の川の底でノンビリ暮した方がマシだ……とバッチードの誘いを拒否し、アッサリ逃走してしまう。
ケガレシア「“あんな所”でアクセク働きたくないでおじゃるよ……」
拍子抜けの感も否めないが、3人の“悪”になり切れない御愛嬌は、少し微笑〈ほほえ〉ましかった。
□外道衆からバッチードの補佐についた敵怪人アヤカシ=ホムラコギ〔声:吉野裕行〈よしの・ひろゆき〉〕。炎を纏〈まと〉ったような出で立ちと両手についた火の輪から熱さを感じさせるが、バッチードには表向き忠実に従う冷静さも持ち合わせていた。
前後するが、ダブルレッドとの戦いでは両手の火の輪を使って大爆走〜公称は“焔摩大火輪〈えんまだいかりん〉”とか〜しつつ競り合う奮闘ぶりを発揮していた。
モチーフとなった妖怪は“朧車〈おぼろぐるま〉”ということだが、私が最初覚えたイメージは“輪入道〈わにゅうどう〉”或〈ある〉いは“火車〈かしゃ〉”である。いずれの場合でも特徴的にはピッタリだけど。
“バッチリウム・プラント”のある月へ向かう途中、炎神〈エンジン:巨大ロボに合体する動物・乗り物型の人語を話す機械生命体〉+折神〈おりがみ:巨大ロボに合体する折り紙型の式神〉の連合技“モヂカラキャノンボール”を浴びて倒れるのだが、バッチードの盾〈たて〉にされた最期〈さいご〉ゆえ、恨みの籠〈こも〉った断末魔と共に哀れを誘った。同時にバッチードの冷酷さをも際立たせていた。
CVの吉野氏は、私の場合TVアニメ『ヤッターマン』リメイク版[08・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20080623/p1]の高田ガン(ガンちゃん)=ヤッターマン1号くらいしか馴染みがないが、正義漢のヤッターマン1号とは真逆〈まぎゃく〉なキャラであるホムラコギの悪辣さ&熱血さを巧く打ち出されていた。
●元ガイアーク3幹部に『ゴールド寿司』へ押し掛けられたシンケン6人目の戦士・シンケンゴールド=梅盛源太〈うめもり・げんた〉〔演:相馬圭祐〈そうま・けいすけ〉〕。
どうしてウチの店には変な客しか来ないんだ……と嘆きつつも、外道衆+ガイアーク連合軍がケガレシアたちに襲いかかると、毅然と立ち塞がる。
源太「ウチの客に手出しはさせねェ!」
一瞬ほだされたように見えたケガレシアだが……先述した通りのチャッカリぶりが笑いを誘う。
なお、先述した彼女の発言は、結果的にとはいえ敵の陰謀を砕く重大なヒントをもたらす。偶然と見るのが普通だろうけど、実はヒューマンワールドの人々に対する罪滅ぼしの現われかも……とは考え過ぎだろうか。
○人々が全員サンタの服装で「メリークリスマス!」と叫んでいる(笑)クリスマスワールドへ飛ばされてしまった白石茉子〈しらいし・まこ〉〔演:高梨 臨〈たかなし・りん〉〕=シンケンピンクと源太。
そんな二人に銃を突きつけたのは……ゴーオンの6人目と7人目・ゴーオンウイングス/ゴーオンゴールド=須塔大翔〈すとう・ひろと〉〔演:徳山秀典〈とくやま・ひでのり〉〕&ゴーオンシルバー=美羽〈みう〉〔演:杉本有美〈すぎもと・ゆみ〉〕の兄妹だった。
相変わらずシビアな須塔兄妹に、真面目な茉子はすぐ馴染む。しかし源太はとことんマイペースで、一応サンタクロースの衣装を着ているが、半袖&半ズボンなのが笑える。また、大翔へも渋過ぎるサンタだとクレームをつける。
源太×大翔は、ダブルレッド=丈瑠×走輔を別格にすれば本映画中唯一の同シンボルカラーの組み合わせによる協同活動だが、丈瑠×走輔と同様、性格的には真逆である点が興味深い。
ただ後輩であるはずの丈瑠がむしろ走輔をリードしているのに対し、源太×大翔の場合は先輩である大翔の方が源太のペースに振り回されているかのようで、却って微笑ましい。
●谷 千明〈たに・ちあき〉〔演:鈴木勝吾〈すずき・しょうご〉〕=シンケングリーンと花織〈はなおり〉ことは〔演:森田涼花〈もりた・すずか〉〕=シンケンイエローはサムライワールドへ飛ばされる。
彼らと合流したのは香坂 連〈こうさか・れん〉〔演:片岡信和〈かたおか・しんわ〉〕=ゴーオンブルーと石原軍平〈いしはら・ぐんぺい〉〔演:海老澤健次〈えびさわ・けんじ〉〕=ゴーオンブラックだ。
ただ、ここではシンケンジャーの方がゴーオンジャーをリードしているように思える。サムライワールドということで溶け込み易かったのかも知れないが。
軍平は「女湯を覗いた」との誤解から捕り方に追われたり、カッコ良く決めたつもりの行動が空回りだったり、ことはに岡惚れしたり……とイイトコが見られない。これは『ゴーオン』本編でも時折見られたが、もう少し毅然とした姿を見たかった気がする。
(編註:ところがドッコイ、ネットを巡回すると、軍平のあの熱血空回りっぷりが、若い特撮ファンの間で大いに好意的にお約束反復ギャグとしてウケているようです・笑)
連もオカンぶりが控え目で、少々物足りなかったッス(笑)。
○シンケンジャーではひとりだけジャンクワールドへ飛ばされた池波流ノ介〈いけなみ・りゅうのすけ〉〔演:相葉弘樹〈あいば・ひろき〉〕=シンケンブルーの嘆きっぷりは凄まじい。
最初は強がっていたが、夜間に焚き火が消えると耐え切れずドウコク、もとい慟哭してしまう。シンケンジャー中彼だけ相方が居なかったせいもあろうが、普段はマジメでも意外と寂しがり屋な彼の一面が覗き、憐〈あわ〉れみを誘う。
●そんな彼に手を差し伸べたのは、楼山早輝〈ろうやま・さき〉〔演:逢沢〈あいざわ〉りな〕=ゴーオンイエローと城範人〈じょう・はんと〉〔演:碓井将大〈うすい・まさひろ〉〕=ゴーオングリーンだった。
範人は『ゴーオン』「GP〈グランプリ〉‐27〈トゥエンティ・セブン〉・孫娘ハント!?」で、ジャンクワールドの“お仙婆さん”こと魔女博士オーセン〔演:木野花〈きの・はな〉〕と交流している。この展開は、それを踏まえてのことだろうか。
『シンケン』のメインライターである小林靖子氏は『ゴーオン』には一度も参加されていないのだが、本作に備えてか『ゴーオン』世界を十分咀嚼〈そしゃく〉されたことが伺え、嬉しく思えた。
できれば、流ノ介・範人・早輝のジャンクワールド脱出に、27話ラストでジャンクワールドに帰ったオーセンが一役買う場面も見たかった気もするが、それは無いものねだりか(製作予算や出演者のギャラ、或いは木野氏の御都合なども考慮せねばならないし)。
「画面では語られない部分で、そういう展開もあったかも……」と想像してみるのも一興だけど。
★それと関連して、ゴーオンジャーの闘いが、各ブレーンワールドの人々には認識・理解されていないように見え、ゴーオンジャーが気の毒に思えた。
先に挙げたオーセンと同じように、サムライワールドやクリスマスワールドでも、かつてゴーオンジャーと心を通わせたゲストキャラ〈注1〉が彼らを支援する場面があれば嬉しかったのだけど。
●もうひとつ関連して、先に挙げた通り、丈瑠と走輔を除くシンケンジャー×ゴーオンジャーの交流が、ややギャグ寄りだったのは残念。
ダブルレッドが相当シリアスだったため、アレでバランスが取れているのかも知れないが。
☆変身しての激闘の果て、相討ちになった丈瑠と走輔……!? しかし、実は敵はもとより、ジイ&ボンパーをも欺〈あざむ〉いた、ふたりの大芝居だったのだ。しかもそのヒントを与えたのは、他ならぬバッチードだったのであ〜る(イントロのVSゴーオンジャーを参照)。
ギリギリまでハラハラさせられたが、ダブルレッドの大逆転劇を見せつけられ、内心拍手を送ったものだ。
蛇足ながら、一世を風靡した人気劇画『北斗の拳』[原作=83・TVアニメ=84]でも、主人公・北斗神拳〈ほくとしんけん〉のケンシロウ〔声:神谷 明〈かみや・あきら〉〕とライバルにして戦友・南斗水鳥拳〈なんとすいちょうけん〉のレイ〔声:塩沢兼人〈しおざわ・かねと〉〕が、悪党の罠による窮地を脱する展開がある。
その手段は本作の丈瑠&走輔のソレと相似していた。恐らく偶然だろうけど、同作のファンなら例のシーンでその件〈くだり〉を思い起こされたのではないだろうか。〈注2〉
★『正義のロードを突き進む!
炎神戦隊!!
ゴーオンジャー!!!!』
『天下御免の侍戦隊!!
シンケンジャー!!!!』
『参る!!!!』
名乗りのシーンでは、現役チームが先に、先輩チームが後で名乗るのが通例であった。しかし今回は、先輩チームであるゴーオンジャーの方が先に名乗っている。先輩チームを極力立てたいという作品製作陣の意図は解るが、個人的には少し違和感があった。〈注3〉
今後このパターンが定着するなら、別に異議は無いのだが。
◇バトルは、ほぼ申し分なし。山中の工場(?)を舞台にして、両チームが縦横無尽に暴れ回り、立体的かつ豪快な印象を受けた。
中盤の展開を踏まえてか、シンケンレッド+ゴーオンレッドの連携攻撃に多く尺が取られていたが、非常に見応えがあった。
シンケンレッドがモヂカラで造り出した紅いオープンカーをゴーオンレッドが駆り、シンケンレッドがマンタンガンを連射して、ホムラコギとナナシ+ウガッツ(それぞれ外道衆・ガイアークの前線戦闘兵)のバイク軍団〈※〉を蹴散らしていく。バックに流れる『炎神戦隊ゴーオンジャー』OP主題歌も、同場面を盛り上げてくれていた。
〈※ウガッツは2体が融合してバイクになるのだが、ひとり余ってしまったため、やむなくオンブして走る辺りが笑える〉
さらにゴーオンレッドがシンケンジャーの恐竜ディスクの力を借りて“ハイパーゴーオンレッド”となり、剣を振るう。両シリーズの特徴を活かし、本映画ならではのバトルが築かれた。
特にハイパーゴーオンレッドは、『ゴーオン』本編では見られなかったゴーオンジャーの強化バージョンとして、大画面に栄えており、スペシャル感があった。
◇文脈上ココで触れるが、シンケンブルーが80年代の戦隊のようにやたらと高いタワーから飛び降りるシーン。最初は悠然と振舞っていたが、無事着地すると「ちょっと怖かった」と呟いたのには笑った。
◆野心を秘めた外道衆の客分幹部=筋殻〈すじがら〉アクマロ〔声:堀川りょう〕が、外道衆の幹部・薄皮太夫〈うすかわだゆう〉〔声:朴璐美〈ぱく・ろみ〉〕と外道衆のはぐれ者・腑破十臓〈ふわ・じゅうぞう〉〔演(人間態)・声:唐橋 充〈からはし・みつる〉〜今回本編では人間態なし。ED〈エンディング〉にチラリと映る〜〕を従え、シンケンジャーを討ち漁夫の利を得ようと図る。
と、突如いま5人の戦士が天空から舞い降り、見事な技でソレを阻止した! 彼らの正体は……!?
「スーパー戦隊シリーズ」次回作『天装〈てんそう〉戦隊ゴセイジャー』[10/2/14〜]のプレビューも兼ねた、この番外戦。申し訳ないが、少々蛇足に見えた。
先達チームの知らないところ〈※〉で彼らの援護を果たしたゴセイジャーの姿は、観客にとっては新シリーズへの期待を高め、先達チームの戦況を安心して見られる……と、物語内外で一応有益な機能を発揮してはいたが。
〈※ダイゴヨウは別格だけど〉
映画『天装戦隊ゴセイジャーVSシンケンジャー』[11?]が実現したとして、やはりこういう趣向=次期戦隊の応援参戦が見られるのだろうか? 11年は戦隊シリーズも35作を迎えるアニバーサリーイヤーなので、十分あり得るけれど。
今後恒例化したとしても、素直に喜べるかどうかは疑問だ。一年親しんできたシリーズが終わる……という寂しさを追い打ちしかねないのでは? とは杞憂〈きゆう〉だろうか。
◆ゴセイジャーの戦術だが、同作を御覧になった方なら御存知の通り、彼らは人間ではなく天界の住人であるため、どこか「上から目線」ぶりが漂う。
ゴセイブルー「あとはシンケンジャーとゴーオンジャーに任せて……」
直接の対面は無いとはいえ、先輩であるはずのシンケンジャー&ゴーオンジャーに敬意を表さない言動にも、些〈いささ〉か高慢さが見受けられた。先のセリフなら、「シンケンジャーとゴーオンジャーの皆さんにお任せして……」となるべきであろう。
敢えて良かった点といえば、慇懃無礼なアクマロのプライドをも打ち砕いた、一層偉ぶった〈※〉戦法がもたらした逆説的な痛快さだろうか。
〈※あくまで筆者の主観であり、ゴセイジャーにはそうした自覚は無いのだろうけど。放映前で人物背景が固まっていなかった云々〈うんぬん〉は慮外視します〉
◇最終決戦場=月で“バッチリウム・プラント”と融合したバッチードの猛反撃により、追い詰められるサムライハオーとエンジンオーG12〈ジー・トゥエルブ〉。
だが流ノ介の提案により炎神12体と折神11体が協力体制=“サムライフォーメーション23〈トゥエンティ・スリー〉”を構築し、3体の侍巨人=シンケンオー+ダイカイオーヒガシ+モウギュウダイオーと、2体の巨大炎神=エンジンオーG9+キョウレツオーが“イカテンクウバスター”を撃つ最強合体技“侍・炎神・スーパー大開砲〈だいかいほう〉”が、ついにバッチードを撃破した!
同じく月が最終決戦の舞台となったVシネマ『獣拳戦隊ゲキレンジャーVSボウケンジャー』[08]では両チームの合体技は披露されなかったことも手伝い、より爽快に感じた。
□バッチード「負けたら終わりなのではない、辞めたら終わりなのであ〜る!! 辞任!!」
バッチードの断末魔は独裁者らしい傲慢さを伺わせながらも、相応に潔いものだった。
余談ながら、この遺言の元ネタは、アメリカ合衆国第37代大統領[69〜74]=リチャード・ニクソン氏の就任演説に於ける一節であるという。
☆ラスト、シンケンジャーとゴーオンジャーの別れ。各人が思い思いの言葉を告げ合う中、丈瑠と走輔だけは静かな笑みとともに拳をぶつけ合うのみ。言葉がなくとも互いの心を知り尽くした証しの如く、爽やかな挨拶だった。
無論他メンバーの賑やかな別れもアリとは思うが、丈瑠と走輔の間ならアレで相応〈ふさわ〉しい。
★ゴーオンジャーがガイアークの残党を掃討すべく再び戦いに向かう幕切れには、ちょっと首を傾げてしまった。
如何にブレーンワールドを守るためとはいえ、いつまで彼らは戦わねばならないのか。先述したブレーンワールドでの不遇ぶりと併せて、平和のための犠牲を強いているようで、憐れみが湧いてしまう。ゴーオンジャーの気概なら〈犠牲〉などと悲観してはいないだろう……とは思うが、それでもネ……。
いずれ何らかの形で、彼らの戦う旅に締め括りをつけてほしい……とは、ファン気質ゆえのワガママな願望だろうか。
△新作テーマ曲=「侍ファーストラップ〜銀幕BANG!!〜」に乗って、シンケンジャーがサムライワールドでダンスするエンディング。
これには、いろいろな意味で度肝を抜かれた。前作では惜しくも見られなかったラップが、まさかここで実現するとは。前シリーズのEDテーマに準ずる形のEDは、史上初である。
一番適合した舞台を得て、シンケンジャーもいつになく溌剌としていた。
これまた本映画独自の、非常に愉しく喜ばしい“プレゼント”と言えよう。
▲元ガイアーク3幹部が三途の川で小舟を必死で漕ぐ姿には、ちょっと笑いを誘われたが、例えば這い上がろうとするバッチードを助ける場面などがあったら、より微笑ましかったと思う(個人的な気分としては、拒否して突き落とした方が面白いのだけど)。
なお、この場面では害地副大臣ヒラメキメデス〔声:中井和哉〈なかい・かずや〉〜本作では御出演無し〜〕もチラリと現われたというが、私は判別できなかった。
◎以上、『侍戦隊シンケンジャーVSゴーオンジャー銀幕BANG!!』について、私なりの感想を綴〈つづ〉らせて頂いた。
少々厳しい意見になってしまったが、先に書いた通り、映画として、また「スーパー戦隊シリーズ」の一作品として、さらに物語的にも、決して拙〈つたな〉い作品ではない。
ただ、鑑賞しながら、ココはこうした方が……と気になってしまう面が少なからず見受けられたことも、また事実なのだ。
念のため記しておくが、私は『シンケン』『ゴーオン』いずれも結構気に入っている(後者の序盤はどうにも乗れない部分もあったが、それも今となっては些細な瑕疵〈かし〉=傷である)。
それでも、幾分の物足りなさを覚えてしまったのも確かだ。初の本格的「スーパー戦隊VSシリーズ」映画版ということで、個人的な期待が大き過ぎた反動かも知れないが。
良い作品なればこそ、気になる部分が目につくと、どうしても首を傾げてしまうものである。決して粗〈あら〉探しをしたつもりはないので、誤解なきよう。
といった次第で、今回の「假特隊」に於ける拙者の『侍戦隊シンケンジャーVSゴーオンジャー銀幕BANG!!』所感、まずはこれまで……。
※文中引用のセリフは、一部大意です。御了承を。
《※『假面特攻隊2011年号』再録にあたり、大幅に加筆・改訂させて頂きました》
〈注1〉同じ例として『ゴーオン』「GP‐39・郷愁ノコドモ」&「GP‐40・将軍フッカツ」=サムライワールドの昭之助〈あきのすけ〉〔演:荒木博斗〈あらき・ひろと〉〕&晴之助〈はるのすけ〉〔演:山内翔平〈やまうち・しょうへい〉〕、「GP‐43・年末オソウジ」&「GP‐44・聖夜ヲマモレ」=クリスマスワールドのサンタクロース〔演:桜 金造〈さくら・きんぞう〉〕など。
〈注2〉牙大王〔声:渡部 猛〈わたべ・たけし〉〕一族に仲間の女性・マミヤ〔声:藤田淑子〈ふじた・としこ〉〕とレイの妹=アイリ〔声:安藤ありさ〕を人質に取られ、一騎討ちを強制されたケンとレイ。だがケンは北斗神拳秘伝の“聖極輪〈せいきょくりん〉”の合図をレイに見せ、互いの秘孔〈ひこう=いわゆる人体のツボ〉を突き、一時的に仮死状態となり、敵に隙を作らせて危機を突破した。
〈注3〉厳密には、ゴーオンジャーとシンケンジャーの間に、ゴーオンウイングスが、
「テイクオフ、ゴーオンウイングス!」
と二人で名乗りを挙げている〜個々の名乗りはゴーオンジャーに続く〜のだが、本文ではウイングスもゴーオンジャーのメンバーとして考えているため、敢えて省略した。御了承願いたい。
【お詫びと訂正】
『假面特攻隊』2010年号に掲載させて頂いた、私の『侍戦隊シンケンジャー銀幕版・天下分け目の戦』評(100〜103P)中、以下の通りエラーがありました。お詫びとともに、訂正させて頂きます。
●102P左段/下から21〜20行目・丈瑠のセリフ末尾
・「……敵を倒すことだ!」(誤)
・「……狙うはマンプクの首ひとつ!」(正)
●102P右段/19行目
・梅盛圭祐〈そうま・けいすけ〉(誤)
・梅盛源太〈うめもり・げんた〉〔演:相馬圭祐〈そうま・けいすけ〉〕(正)
【付記】
TV『シンケン』第二幕「極付粋合体〈きわめつけ いきながったい〉」のアヤカシ=オオツムジ並びにTV『ゴーオン』「GP‐48・正義カイサン」の蛮機獣〈ばんきじゅう〉=ケッテイバンキのCVを担当された、声優・郷里大輔〈ごうり・だいすけ〉氏が、2010/1/17、急逝されました。
かの2作に留まらず、多数の特撮・アニメ作品に貢献された郷里氏の御冥福を、慎んでお祈り申し上げます。
※文中、以下の各誌並びにインターネットフリー百科事典「ウィキペディア」に於ける本作解説&関連記事を一部参考にさせて頂きました。
☆『東映ヒーローMAX〈マックス〉』Vol.31&32[09/11&10/2・辰巳〈たつみ〉出版]
☆『宇宙船』127号[10/1・ホビージャパン]
【2010/2/5・初稿〜2010/11/3・3稿】
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