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魔進戦隊キラメイジャー序盤総括 ~王道戦隊のようでも異端の文化系レッドが敵幹部とも因縁!

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『魔進戦隊キラメイジャー』序盤総括 ~王道戦隊のようでも異端の文化系レッドが敵幹部とも因縁!


合評1 『魔進戦隊キラメイジャー』序盤総括

(文・T.SATO)
(2020年7月8日脱稿)


 今回のスーパー戦隊シリーズ『魔進(マシン)戦隊キラメイジャー』(20年)のモチーフは、「マシン」(=魔進)と「宝石」(=煌(キラ)めき)。
 ただし、玩具展開(=戦隊巨大ロボに合体する前の戦隊巨大マシン)としては「マシン」、つまりはクルマや乗りモノのモチーフの方がメインに据えられている。


 しかし、実際に出来上がった作品のトータルとしてのビジュアル・イメージは、キラキラとした水晶状の5種5色の「宝石」である。
 戦隊巨大マシンや戦隊巨大ロボも、戦隊ヒーロー各々の持ちカラー、赤・黄・緑・青・桃に相応するように、左記5色の半透明パーツでかなり広い面積が覆われている。
 その中には微細な二等辺三角形やヒシ型や五角形の石英が埋め込まれたようなラメが入った、同人印刷で云うところのホログラム加工(笑)のようなモノが、広く浅く埋め込まれていることで、自然光や照明によってキラキラと乱反射している。


 5人の戦隊ヒーローのマスクも、よくよく見るとクルマのデザインも反映されてはいるけれども、それはまったく目立たっていなくて(笑)、その額から頭頂にまで至る前頭の広い部分を覆うパーツがまた決定的な印象を与えるモノとなっており、ココが終始キラキラとしている。
 しかもウスい巨大な多角形の「宝石」が埋め込まれているようにも見えることで、あまたの戦隊ヒーローたちともビジュアル面での差別化は成功!
 コレは「宝石」モチーフではないけれど、キラメイジャーたちが使用する白い寸胴で短身の拳銃・キラメイショットは、『仮面ライダーオーズ/000』(10年)の2号ライダー・仮面ライダーバースが使用していたオーメダルを充填して使用する銃器のギミックを援用するかたちで、使用直前に戦隊メンバーたちが多数のメダルをジャラジャラと落下させて上部の弾倉に充填する描写も含めて、銃を構えている姿も印象に残る。


 本作における戦隊巨大マシンのモチーフも、消防車・ショベルカー・スポーツカー・ジェット機・ヘリコプターと、過去のスーパー戦隊でも何度も見受けられた鉄板(てっぱん)モチーフとなっている。
 ココではないドコかのファンタジックでシンボリックな土地から戦隊巨大マシンが出現するのはここ30年ほどのスーパー戦隊シリーズの大勢を占めるパターンだけど、本作では都心の一等地の超高層ビルの最上階から出撃する特撮シークエンスが登場してメカニカルでワンダバな特撮映像でワクワクさせてくれる。
 とはいえ、その超高層ビルは一見リアルなコンクリ造りでも、ヤシの実が稔る樹木のかたちをしているので、その意味ではやはりファンタジックな稚気満々の方向に寄ってもいるのだが(ホメてます!・笑)。


 その戦隊巨大マシンも地ベタを土煙をあげながら疾走する汚し塗装が施された重厚感あるメカではなく、様式美的な夜の摩天楼ミニチュアを背景にキラキラと車体を輝かせてキレイに軽やかにハイウェイを疾走するイメージにて統一。
 極め付けはコレらの戦隊巨大マシンがまた、本来の正体はマシンと同じサイズの長方体状の巨大「宝石」であり、その姿でメカニックな秘密基地の「格納庫」にタテ長に収容されていることである! つーか、ほとんど終始「宝石」の姿をしており、出撃時にだけマシン形態へと変型するのだ。こうなってくると、この戦隊巨大マシンも「メカ」というより「宝石」としてのイメージが圧倒的となる。


「クルマ」よりも「宝石」イメージを重視! そのワケは!?


 このあたりがまた20世紀のむかしのスーパー戦隊シリーズとは異なるところでもある。戦後の先進各国での高度経済成長期~バブル期において「乗用車」が普及、場合によっては一家に2台も保有するようになっていく過程の時代においては、若者層や子供一般の間では「乗用車」こそがステータスであり、電車やバイクなども含めた「モービル(乗りもの)幻想」とでも呼ぶべきモノが濃厚にあった。事実、バブル期の平成元年に放映された初の自動車戦隊『高速戦隊ターボレンジャー』(89年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191014/p1)では5台の巨大乗用車が合体して誕生する戦隊巨大ロボ・ターボロボの玩具が爆売れもしていた。
 しかし、クルマに対する幻想がある程度までは満たされてしまうと、あるいは電飾インジケーター満載の家電が普及してあまりにフツーなアイテムになってしまうと、日常生活との段差・落差も減ってしまうこととのパラレルで、「クルマ」やら電飾パネル満載の未来科学な「秘密基地」や「スーパーメカ」やらに子供たちがかつての我々ほどには憧憬をいだかなくなってしまったようだ。


 カードやメダルから超常的なパワーが召喚される「科学」というより「魔法」的なアイテムの方にこそ、子供たちが非日常感・ワクワク感をいだくように変容してしまっているようにも思える。そして、そのことが近年の戦隊巨大ロボやウルトラマンの怪獣攻撃隊のスーパーメカの玩具売上高がイマイチとなっていることの理由であるとも愚考する――ココでは長年のロートル特撮マニア個々人としての好み・嗜好・願望などはくれぐれも除外して、フラットに事態を観察してくださいネ――。
 そうなると、「クルマ」がモチーフでありながら、「クルマ」だけでは今では弱いので、同じく「クルマ」がモチーフであった『高速戦隊ターボレンジャー』や『激走戦隊カーレンジャー』(96年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110521/p1)や『轟轟(ごうごう)戦隊ボウケンジャー』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070108/p1)では少なくともデザイン面では純粋な車両モチーフであった戦隊巨大マシンが、『炎神(エンジン)戦隊ゴーオンジャー』(08年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080824/p1)では「クルマ」がメインでも「動物」の意匠が加味されて、本作ではついに「宝石」の意匠の方が強くなるのもムベなるかなと云ったところだ。


 先に本作の戦隊巨大マシンは「宝石」としてのイメージの方が圧倒的であると述べた。しかし、そうは云ってもこの「宝石」さんたちは、「宝石」とは本来は縁もゆかりもない「マシン」へと変型もすることが玩具会社的には最優先の要諦ともなっている(笑)。
 ならば、この「水」と「油」の2者間に橋を架ける接着剤は何にすべきであろうか? ココからは玩具側のスタッフではなく東映側のスタッフや文芸スタッフ陣による、ムチャ振り二題噺(にだい・ばなし)をそれらしく接合してみせるための料理の腕の魅せどころでもある。
 そう、戦隊レッド少年くんの「イマジネーション」=「想像力」の原理で、「宝石」はカタチを持った別のモノへと変型できるとする大ウソの大設定をチョコンとひとつ設けて、さらにそこに「煌(キラ)めき」と「イマジネーション」をつなぐワード「ひらめキ~~ング!」なる駄洒落的なお約束の掛け声でダメ押しすることで、劇中内での一応のリクツ・虚構内論理・因果関係を付けることができており、コレが作品を空中分解から救ってもいるのだ――往年の『高速戦隊ターボレンジャー』なんて幼児は気にしなかったろうから問題ナシとも云えはするのだけど、大きなお友だちが観れば「クルマ」と「妖精」の2大要素が分離・分裂していたからねェ(笑)――。


「宝石戦隊」は本作『キラメイジャー』が初ではなかった!?


 改めて、この「宝石」モチーフの件に話を戻そう。
 「宝石」という存在は、最初の見てくれの印象こそ鮮烈ではある。しかし無機物である以上は、「動物」をモチーフとする場合に比すれば静的なイメージではあって、動的なイメージや人間の性格の多彩さ・多様さといったモノを表象・仮託もできるようなモチーフではない。
 そのへんの弱点は今どきのスレたスタッフたちも百も承知であったのであろう。我らが日本妖怪の「付喪神(つくもがみ)」たちのように、本来は無生物である器物・万物が万年単位の長年月を経ることで意識・精神・魂を持つように進化したアニミズム的な存在としても設定する。
 そして、巨大感もあってディテール・スジ掘りも実に細かい、壁面が二階建て状にもなっているリアルな格納庫に鎮座まします5色の巨大「宝石」くんたちが、その身をゆらしながらベチャクチャと早口でしゃべるしゃべる会話する(笑)。


 「宝石」モチーフといえば、筆者のようなロートル戦隊シリーズファンからすれば、往年の『大戦隊ゴーグルファイブ』(82年)も思い出す。この『ゴーグルファイブ』も戦隊メンバー各々が額にルビー・エメラルド・サファイアオパール・ダイヤなどの「宝石」をハメていた。そして、それぞれの「宝石」が超古代文明ムー・アトランティス・エジプト・南米・アジアなどを象徴しているという基本設定が一応はあったのだ。
 しかし、この『ゴーグルファイブ』の「宝石」や「超古代文明」設定は、東映側の文芸面・製作スタッフ側が構築した設定ではなく、彼らよりもおそらく年齢的には相対的には若めであったであろうバンダイ側のデザイナーや設定構築・児童誌仲介などを行なう企画者104側で独自に設定したモノにすぎなかったのではなかろうか?(憶測) 「宝石」や「超古代文明」が本編ではまったくと云ってイイほど活かされていなかったどころか、言及すらされていなかったようにも記憶するので(笑)。
 そう、ゴーグルファイブは単なる科学の力で変身して(新体操のワザで・笑)戦う、それまでの従来通りのスーパー戦隊でしかなかったのだ。そして、それが当時の筆者としては非常に残念でもあり、物足りなく思っていたことでもあった。


 コレが1960(昭和35)年前後生まれのオタク第1世代が作り手に入ってきた1990年代後半以降のスーパー戦隊シリーズであれば、SF的なセンスを水や空気のように浴びて育ってきたので、戦隊ヒーローのデザイン面での単なる意匠の一部にすぎなかったやもしれない「宝石」やら「超古代文明」設定などにも、後付けでも意味や劇中内での合理性をなんとか持たそうとして、本編ストーリーにも活かしていってくれそうではある。
 しかし、昭和10年代生まれの「戦中派世代」~昭和20年代前半の終戦直後生まれの「団塊の世代」のスタッフたちがプロデューサー・監督・脚本陣を占めていたあの時代。玩具側スタッフが作ったのかもしれないウラ設定を製作側のスタッフ・脚本陣がひろってきて、戦隊ヒーローたちの超パワーの源泉を超古代文明に求めて神秘感・超越感・ワクワク感を高めたり、シリーズのナゾ解き的なタテ糸としたり、万年単位に渡る敵味方の因縁劇を構築して、当時の特撮映像表現的にはたとえ不可能であったとしてもせめて設定やセリフや挿絵だけでもSF的なスケール感を増していく……というような才覚やセンスを持ったスタッフは、アニメ側にはともかく特撮ジャンル側にはいまだいなかったのだ。
 戦隊ヒーローや戦隊巨大ロボは神秘的な超パワーはヌキでの唯物論的な物理科学の力だけで戦っており、加えてVSOP(ベリー・スペシャル・ワン・パターン(笑))な1話完結のルーティン・バトルを展開していたのが、あの時代のスーパー戦隊シリーズではあったのだ。


 スーパー戦隊シリーズとは、そのようなイイ意味でアクション重視でチープでチャイルディッシュなモノなのだと割り切って達観していた特撮マニアも、実は当時すでに少数ながら出現してはいたのだけれども、それはフワッとした感覚的な言説に留まっており、そのへんの機微を他人にも理解可能なように明晰・明快に理論化・言語化して伝達できるだけのインテリな理論派マニアの域には達してはいなかったので、その意見は当時の特撮マニアの大勢を占めることもまったくなかった(汗)。
 そのようなワケで、やはり基本は子供向け番組ではあってももう少しだけドラマ性やテーマ性にもこだわって、オトナやマニアの鑑賞にも堪えうる作品をスーパー戦隊シリーズでも観てみたい! ……なぞとフラストレーション(欲求不満)を高めていた筆者のような元祖『秘密戦隊ゴレンジャー』(75年)世代の特撮マニアも一方で確実にいるにはいたのであった(……遠い目・汗)。


 まぁ今にして思えば、中高生の年齢に達していたのに、若者文化に参入できずに、この手の変身ヒーロー番組に執着している筆者の方こそが病んでいたのだナ、と自己相対視もできるし(汗)、『大戦隊ゴーグルファイブ』自体もあの時代において子供人気も相応に高かった充二分な高視聴率番組ではあったのだけれども。
 付言しておくと、オタク第1世代にとっての当時のスーパー戦隊シリーズとは、まったくのノーチェックか黙殺の対象であったり、もしくはそのチープな戦隊巨大ロボ戦自体を「特撮」としてそもそも認めないと宣告されてしまったり(爆)、あるいは当時の名作自主映画『愛國戦隊大日本』(82年)に象徴されるように、お笑い・嘲笑・イロモノの対象として扱われるのがもっぱらでもあったのだ(汗)。


軽躁的な『キラメイ』の序盤! 軽躁的な「スーパー戦隊」の序盤!


 このようなことを書いてきてしまうと、ナチュラルな人間描写やシブさなどはまったく狙っておらず、映像的な見せ場主体で記号的な登場人物たちの軽躁的なニギやかさを、少なくともシリーズ序盤においては主体としている本作『魔進戦隊キラメイジャー』などは、さぞや肌に合わないのでは? と思われてしまうやもしれない。けれども、そうでもないのだ(笑)。
 むしろ現今の、というか80年代以降の子供向けヒーロー番組としては、特にそのシリーズ序盤において、子供たちに番組のキャラクターや番組の基本フォーマットを強烈な映像インパクトも込みで魅せるには、本作『キラメイジャー』序盤のようなやや軽薄なノリでまずはイイのではなかろうか? とも考えているくらいなのである――最近になってそう思い直したのではなく、もう30年近くも前の1990年代前半くらいからそのように思っておりますので念のため――。


 浮遊する巨大クラゲ型の異形の生物――ただし顔面は水道の蛇口がモチーフ(笑)――が来襲してビル街を破壊! 敵の戦闘員たちも出現! レッドを除く戦隊ヒーローが登場して応戦!
 のちにレッドになる主人公少年は、お絵描きがスキでも素っ頓狂な男子高校生クン。異星人の亡国のお姫さまにスカウトされて戦場に到着。戦隊メンバーたちが華麗にバトルするサマに興奮を覚えて、戦場に乱入して超近距離にてスケッチブックに戦隊ヒーローたちの模写を開始する。そして、よくあるご都合主義で往年の喜劇俳優チャップリンの映画的なギャグ描写だけれども、模写に夢中なのに都度都度の敵戦闘員たちのパンチやキックなどの攻撃も巧妙にスリ抜けて避けていくようなノリ(笑)。


 さすがにシリーズ序盤のパイロット編なので、都市破壊の特撮ビジュアルは凝ってはいるのだけれども、対するに人間大サイズのゲスト敵怪人のイイ意味でのチープさ。
 #2に登場した第1号怪人からして早くも往年の『秘密戦隊ゴレンジャー』の名敵怪人・野球仮面を彷彿とさせる怪人が登場してきて、戦隊メンバーたちとラグビーボールで争奪戦を展開! 顔面がTVゲームのジョイスティックになっている敵怪人はその顔面を操作することでターゲットの人間を自由自在に操作してみせる! 百人一首の敵怪人はその名の通り、戦隊メンバーに百人一首での勝負を挑む!(なんでやねん!?) このナンセンスなノリこそが、まさに「ザ・戦隊」といった感じではある(笑)。


 もちろんロートルであれば自明な通り、身体はレオタード生地のタイツ状のスーツで、顔面パーツだけをスゲ替えることで別個体だということにして(爆)、短いマントを翻しているあたりは、後年のジャンル作品のギャグ怪人の始祖ともなった元祖『秘密戦隊ゴレンジャー』の仮面怪人へのオマージュでもある――もちろん仮面怪人へのオマージュは、『鳥人戦隊ジェットマン』(91年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110905/p1)の次元獣、『五星(ごせい)戦隊ダイレンジャー』(93年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20111010/p1)で下半身が動きやすい単なるタイツ生地になっていたゴーマ怪人など、もう30年近くも前から定期的にリサイクルされてきたものなので念のため――。


 対するに、シリアスな若手時代劇俳優かと思われた戦隊ブルーも、早くも#3で工具である万力(まんりき)をモチーフとした敵怪人の毒牙に掛かって、その頭を巨大な万力で挟まれて、ヤセ我慢はしているけど他人が見ていないところでは「イテテテテテ!!!」と激しい醜態をさらしてしまう。どころか、そのワメいている姿を戦隊メンバーたちにも見られてしまう。トドメに万力で頭を挟まれた姿のままでも製作プロデューサーたちを説得して時代劇の撮影を続行してしまうというシュールさ加減!(笑)


 このへんのコミカルな人物描写も、スーパー戦隊シリーズではいつものこととも云えはするけど、スーパー戦隊シリーズ創始者である東映の故・平山亨(ひらやま・とおる)プロデューサーは、


「ボクは敵の怪人がギャグになることは考えたかもしれなけど、正義のヒーロー側にもギャグをやらせることまでは当時は考えていなかった(笑)」(大意)


という趣旨の発言を、商業誌であったか同人誌であったか特撮マニア主催の会合であったかで見聞きしたことがあるけれども、もちろん個人の好みはあろうけど1980年代末期あたりのスーパー戦隊シリーズをはじめとする特撮ヒーローものから、このジャンルは主人公たちにも積極的にクダケた描写を施すようになっていく(笑)。


 このへんの系譜についても、1960年代の完成されたオジサン主人公、1970年代の発展途上の悩める青年主人公、1980年代の青春ドラマ的な絶叫群像劇、1990年代以降の子供や幼児のメンタルまで持たされるようになった戦隊メンバーの投入などなど、いろいろと語れそうではある。


お絵描きがスキな文化系・戦隊レッド少年の登場をドー観る!?


 本作『キラメイジャー』の主人公・戦隊レッド少年くんも、高校生という設定こそあるけど、基本的にはイイ意味でメインターゲットに近しい子供・幼児的なメンタルを施されたキャラクターである。しかし、それだけの一面的な存在では決してない。運動神経バツグンの若手スポーツ選手や若手チャンバラ俳優などが集められた戦隊メンバーたちを見て、一度は怖じ気づいて戦隊メンバー参入を固辞もする!
 しかして、ベラベラとしゃべる赤い「宝石」くんにその「イマジネーション能力」を認められて戦隊レッドに変身! 「身体能力」よりも「イマジネーション能力」とやらが魔進戦隊キラメイジャーたちには重要なので、戦隊レッドに一度変身ができてしまえば、一番最後に加入したのに身体を自由自在にアクロバティックに思い通りに動かして戦えることで、結局はカナリ強い!(笑)


 努力も特訓もしていないのに最初から相応に強いダなんて少々ズルい気もするのだけれども……。
 いや待て、ロートルの特撮マニアのご同輩たちは思い出せ! 『ウルトラマンレオ』(74年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20090405/p1)やら『ファイヤーマン』(73年)やら『仮面ライダーアマゾン』(74年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20001008/p2)やら『超人機メタルダー』(87年)やら『ウルトラマンネクサス』(04年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20041108/p1)たちのことを!
 #1で颯爽と活躍せずにピンチの姿でストップモーションとなって「次回へつづく」となったり、どころか#1でハッキリと敗北して崖から転落してしまったり(爆)、様式美なり光学合成バリバリの派手なバンク映像ではなく各話ごとでの撮り下ろしでも地味シブな必殺ワザの映像を放ったり、まだ弱いがためにヒーローが壮快なトドメを刺せなかったゲスト敵怪人が逃げ帰った先のアジトで敵首領に処刑されたりしているような作品群は、はるか後年になってからようやっと再評価の機運が高まったり、当時においても年長マニアたちが喜んだりすることはあっても、幼児たちはイマイチ爽快感やあこがれをいだいてはいなかったりして、子供人気は決して高くはなかったことに。どころか、低視聴率によりシリーズ途中での路線変更やら放映短縮・打ち切りの憂き目にあってきたことに(汗)。
 そうであれば、最初から無敵である必要もないけれども、最低限は強くて頼れる感じのカッコよさで、この初心者レッドくんも描かれなくてはイケなかったのであったのだ!(笑)


 同様のことは、戦隊レッドの変身前の「中の人」である少年くんにもいえることである。この高校生になっても休み時間に自分の机でスケッチブックに絵を描いている男のコなんて、リアルに考えれば異性とのコミュニケーションに踏み出すことを至上の価値とするイケてる系の若者文化・スクールカーストのモノサシにおいては最底辺のポジションが確定している存在である。
 どころか、ヘッドホン少女やら読書少年以上に、個人主義者というよりもコミュ力不足ゆえにそれを他人に侮られることを避けるがために、コミュニケーション一般の拒絶を言外に周囲に宣言しているような行為にもなってしまう――我ながら自身のボッチな学生時代を思い出してしまって胸がイタい(爆)――。


 ただし、そこは良くも悪くもリアリズムよりも象徴・寓意の方が優先する我らがスーパー戦隊シリーズ。この戦隊レッド少年くんは過度に重たい劣等感や孤独感をいだいている素振りを見せることはほとんどなく(笑)、童心に帰ったようにハイテンションで奇行&奇声をあげながらお絵描きに邁進する、幼児的で天真爛漫な姿の演技・演出を与えられることで、決してリアルではないけれども、イイ意味での日曜朝のファミリー番組にはふさわしい明朗な感じは醸せている。
 それゆえここ10年ほど流行している、いわゆる(ひとり)ボッチ漫画やボッチアニメのような「詫び寂び・文学臭」はまったくナイ(笑)。しかし、子供向けヒーロー番組でそのようなシミったれた要素を主眼に描くのが正解であるともいえない以上は、このようにクラスのスミっこに孤独に鎮座している少年という実は暗くて重たい題材を扱いつつも、パッケージ面では明朗であることで、バランスは取れているともいえるのだ――もちろん空中分解している描写だという批判もあってイイけれども(汗)――。


 いや、幼児たちにこそそのような厳しいスクールカーストの実態を見せつけて、現実の厳しさも知っておくべきなのだ! そのような情操教育も大いに必要なのだ! などというロジックも成立するやもしれない。しかし、どうせ肉体弱者・性格弱者・ルックス弱者に生まれついた子供たちは放っておいても10年後に思春期年齢に達すれば、ボッチ漫画やボッチラノベなどのコンテンツに重たいカタルシスや屈折した癒やしを感じて広い意味での救いを得るようになっていくので、心配はありません(笑)。
 「人生はママならない」「弱者はスクールカースト底辺で異性の相手にされにくい」という真実(爆)は、思春期・後期以降になってから特定の性格類型の子供たちだけが「一子相伝」「密教(みっきょう)」的に知っていけばイイだけの話であって――そしてそれから相応の処世術や切り返し術を身に付けていけばイイのであって――、「密教」ならぬ一般ピープル向けの「顕教(けんきょう)」としては、あるいは幼児期~思春期・前期のころにおいては、「愛」や「夢」や「希望」が最後に勝利する! という人間信頼のコンテンツを与えておくのでイイのではなかろうか?
 それはヤンチャでイジメっ子タイプで他人に対する共感性に乏しいサディスティックな性格類型の悪ガキたちに「人生はママならない」「弱者はスクールカースト底辺で異性の相手にされにくい」なぞという真実を、たとえ批判的な文脈で取り扱ったとしてもヘタに知らしめてしまったならば、彼らは自己の悪行や弱い者イジメの正当化にそれをつなげかねないからでもある(汗)。
 そのような事態を避けるためにも、ボッチ漫画やネット上の巨大掲示板の特定板などの限定された場所だけに、そのような事実や知恵などを集積しておいて、そこで初めてイジメっ子タイプの悪ガキたちが知りにくいであろうバリアの張り方や切り返し方や逃げ方を習得してもらって、悪党に対するアドバンテージ・優位性を少しでも保てるように、ジュブナイル・コンテンツ類も棲み分けをしていくような制度設計をしておいた方がイイともマジで思うので(笑)。


 ただまぁ、昨今の東映特撮のパターンで考えれば、ボッチ漫画的な要素も、話数が進んで忘れ去られそうになったころに描写・補完されることで肉付けされることもアリそうではある。ただし、そーいう内省的なエピソードをシリーズの序盤で描いてしまうとドコかで暗い雰囲気の空気も漂ってしまって、それが作品世界を微量に規定もしてしまい、子供向けの娯楽活劇番組として明快に弾けることの足枷にもなりかねないことも思えば、このようなボッチ要素を配置するにしてもシリーズのどのへんに位置させるべきかという配分への気配りも非常に重要ではあるよネ。


 しかして、こんなにヤワい少年くんが、「赤い宝石くんが選んだ戦士がリーダーだ!」との母星での伝統的な取り決めで、戦隊リーダーとされてしまったことで生じる戦隊メンバーたちとの確執~人格面での承認へと至るエピソードをキチンと作っていくあたり、そんなに重たい本格的なドラマでもないけれども(笑)、押さえなければイケナイものを押さえてみせているという意味では好印象。
 さらには体育会系の戦隊メンバーたちが厚意から戦隊レッドくんに「友情の大特訓」(爆)を施そうとするも、文化系の軟弱なレッドくんにとってはそれは苦痛どころか逆効果ですらあり、休養と余暇にはお文化的な趣味に耽溺・没入することで、それにより精神の疲労が回復するどころかチャージ・充電さえされるというエピソードまでもが登場!


 まさにその通りの正論ではあるのだけれども、後年にオタクになってしまうであろう、生来から弱く生まれついていることを子供心に自覚している幼児たちはともかく、このような描写の挿入でキラメイレッドは子供一般のあこがれのヒーローたりうるのであろうか?
 でもまぁ小学3~4年生ならばともかく3~4歳の幼児なんて、こういう人情の機微の細かいところをひろってくるような描写などは右の耳から左の耳へとサラサラと通過していくだけであろうから、コレもまた無問題ではあるか?(笑)


軽躁的な序盤が終われば、意外にナチュラルな作風で敵味方を肉付け!


 序盤5話のワチャワチャ軽躁劇が終わったあとは、メインライター・荒川稔久(あらかわ・なるひさ)からバトンタッチしたゲスト女性ライターやらサブライターたちが登板。
 コレもある程度の想定・予想をつけていたスレた特撮マニア諸氏も多かったであろうけど、基本設定や新メカ登場のノルマなどをあまりコナさなくてもイイせいか、フツーにナチュラルなテンションの人物描写やストーリー展開、敵味方の登場人物たちに対するヒューマンな補強描写が連発されるように早くもシフトする。


 #6では、美人可愛い系だけど東映製作の人気TVドラマ『ドクターX(エックス)~外科医・大門未知子~』(12年~)みたいな敏腕名医でもある戦隊ピンクが、そのメンタリティーだけ5歳の幼女に敵怪人の特殊能力で戻されてしまうも、彼女が幼少期に見定めた職業動機も明らかにしてみせるかたちで彼女を肉付けしてみせる。


 #7~8の前後編には、90年代だと児童向けマンガ『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』(89~96年)や『ウルトラマン 超闘士激伝』(93~97年)の原作、ここ10年ほどは『仮面ライダーW(ダブル)』(09年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20100809/p1)や『仮面ライダーフォーゼ』(11年)に『獣電戦隊キョウリュウジャー』(13年)や『仮面ライダードライブ』(14年)などのメインライターとして、そのドラマ的・作劇的な実力をいかんなく発揮してきた三条陸(さんじょう・りく)までもが登板。
 キラメイジャーの後見人のひとりでもある異星の亡国のマブシーナ姫の叔父であり、その母星を悪の力を借りて滅ぼし、自身の兄でもある王様・オラディンをも手に掛けて、今はその悪の軍団のレギュラー幹部となっている黒&紫の体色である鬼将軍・ガルザの屈託とその人物像を、ゲスト怪人であるオーブンと冷蔵庫の兄弟怪人(笑)の競争心・仲違い・弟殺し(爆)を通じて、彼の回想も交えて基本設定をおさらいしつつ肉付けも果たしていく。
 しかして、他の敵幹部や戦隊メンバーたちには目視できないけど、戦隊レッド少年くんとガルザのふたりだけには、白い「宝石」ことホワイトキラメイストーンが変型した新幹線型マシン、ガルザが所有する蒸気機関車型マシンが合体して誕生する新巨大ロボ・キングエクスプレスの幻影を目撃させてみる! コレは闇落ちしたガルザであっても、光の側に立ち返れる可能性の呈示でもあって、なかなかにワクワクさせられる――もちろんその可能性はあっても、あえて彼に意地でも闇に留まってみさせるのもアリではある!――。


 ガルザは戦隊レッドくんの「自分の身の安全よりも他人の安全を!」との言動に、自身の兄でもあったオラディン王とも共通する資質を看て取ることで、激昂(げきこう)もする。戦隊レッド少年くんと今は亡き王さまの間にはコレだけに留まらず、「お絵描き」=「イマジネーション」能力といった大きな共通点をも与える。
 しかしてそれが転じて、ガルザの戦隊レッド少年くんに対する感情に、単なる敵には留まらない近親憎悪的な因縁も付加していくあたりがまた実にウマい!


 ややユルい感じの方向での王道戦隊を狙いつつも、戦隊レッドの描写は異端を極めまくっており、この第1クール中後盤においては早くも善悪双方を肉付け、双方の関係性や戦う動機も深掘りしており、今後も期待ができそうだ。


追伸


 新型コロナ騒動での撮影中断で放映された#1と#2の未放映お蔵出しカット編。コレを観ていると、本作『キラメイジャー』序盤はスーパー戦隊シリーズ序盤恒例のドラマ的・テーマ的にはスカスカの軽躁的なノリであったとの私的評価は保留にした方がイイのかもしれない(汗)。
 ごていねいにも画面の上スミに、本放映ではカットされたシーンだよとの但し書きが入るけど、特に戦隊メンバーたち登場人物のヒューマンな会話やリアクションの部分がブチブチ細切れに切られていたことがよくわかる。
 いやもちろん特撮ヒーローものであろうが一般のTVドラマや映画であろうが、脚本通りに撮影したモノでも尺やテンポの都合でカットされているくらいの知識は筆者にもあるけれど。
 畏友の特撮同人ライター・樹下ごじろう氏が私的に入手された『太陽戦隊サンバルカン』(81年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120206/p1)#10「待ちぶせ毒ぐも館」(脚本・曽田博久 監督・小林義明)の準備稿(手書きのナマ原稿!)を参照すると、全編フツーにドラマを展開しているのに、映像化された作品ではBパートがほとんどアクションシーンに置き換わっていた! 等々の例もある――弊誌『假面特攻隊2006年号』(05年12月30日発行)「80年代特撮ヒーロー番組ベストエピソード集」(樹下ごじろう)参照――。おそらく80年代前半のまさにアクション主体であったスーパー戦隊シリーズあたりだと、ほぼ全話にそんな編集が施されていたのではなかろうか?(笑)


追伸2


 キラメイイエローことeスポーツの達人である射水為朝(いみず・ためとも)。この為朝の名前に兼・歴史オタク諸氏は、平安時代末期の保元の乱(ほうげんのらん)を材にした軍記『保元物語』のヤンキーDQN(ドキュン)な主人公にして、源平ものの時代劇でも登場する源為朝(みなもとのためとも)――源頼朝義経兄弟の親の世代――を思い起こした御仁も多かったことであろう。ググってみると、荒川センセイも源為朝からその名を引用したとのことだそうだ。


(了)


合評2 伝統と挑戦を融合するスーパー戦隊最新作!!

(文・J.SATAKE)


 「人が輝く時、そこに奇跡が生まれる!
  輝き、それは未来を変える戦士の証!
  キラメイGO!!」

 スーパー戦隊シリーズ第44作品は「キラキラ」をモチーフにした『魔進戦隊キラメイジャー』(20)。


 ただ「キラキラ」といっても不明瞭に聞こえるかもしれない。
 しかし戦隊としてのデザインコンセプトをはじめ、キャラクターシフトから生まれる物語やそこから浮き彫りになるテーマはキーワードにピタリとはまり現在の社会情勢も反映された作品となっている。


 スーパー戦隊の定型を引き継ぎつつも進化しようとする挑戦を忘れない、それが視聴後の「キラキラ」につながっているのだ。


 「ひらめきスパーリング! キラメイレッド!!」


 高校生・熱田 充瑠(あつた じゅうる)は想像力・空想力が豊か。イマジネーションが刺激されるとスケッチブックに集中! 「ひらめき~~んぐ!」の一声から絵を描き上げるパワフルさは体育会系にも負けていないのだ。


 「突撃ライトニング! キラメイグリーン!!」


 陸上競技界期待の新生・速見 瀬奈(はやみ せな)は俊敏な脚力の持ち主。そのスピードと判断力を活かし、高校生時代は競技かるたでも名を馳せた明朗快活な女性だ。


 「導きシューティング! キラメイイエロー!!」


 大学生・射水 為朝(いみず ためとも)はeスポーツ選手。シューティングゲームの腕前を活かしキラメイイエローでも敵を連続撃破する! さらに数々の大会を勝ち抜いた経験と自信から作戦立案力は抜群だ。


 「切っ先アンストッパブル! キラメイブルー!!」


 若手アクションスター・押切 時雨(おしきり しぐる)はストイックに役に挑む男。そのなかで習得した剣技を活かし、キラメイブルーとして新たな技を編み出してゆく。


 「指先インクレディブル! キラメイピンク!!」


 美人すぎる女医・大治 小夜(おおはる さよ)は難しい手術をこなす外科医。合気道の腕も抜群で文武両道の彼女だが、その源は子供時代に工事現場に迷い込んだ子犬を助けようと奮起した事件があった……。


 それぞれの生き方で自分らしさを発揮して輝こうとする。その「キラキラ」がキラメンタルであり、そのエナジーを強く発する五人が輝石=キラメイストーンに選ばれて魔進戦隊のメンバーとなった。光の粒子がまばゆいばかりに広がるなかでの名乗りアクション!


 「キラッと参上! カラッと解決! 魔進戦隊キラメイジャー!!」


 五人そろってのキメのアクションはフィギュアスケートペアのリフトを取り入れた華麗なポーズ!! カッコ良いだけでなく、きらびやかさも加えたスーパー戦隊としての個性も魅せる。キャッチコピーとアクションで見栄を切る、昔からのパターンを新たな構成とする象徴のシーンだ。


 戦隊としてのあり方も時勢を反映している。リーダーであるレッド=充瑠が文化系キャラとして話題となったわけだが、過去のようにメンバーをグイグイと引っ張るリーダーから脱却し、互いを認め尊重することでさらに高め合う協調の力を引き出すリーダー像を表現している。


 本作ではヒーローである前に戦隊メンバーそれぞれが実現したい夢や仕事を持っている。エピソード2『リーダーの証明』において陸上競技大会にどうしても出場したい瀬奈に心のキラキラを失っては戦えないから、とその背中を押す充瑠。戦いに抜けた穴は残されたメンバーが埋める、それは決してヒーローを疎かにしているわけではない。チームで戦うのが戦隊であり、現実の世界でもそうして支え合うことがより結束を高め、結果を残せるからだ。


 キラメイジャーの力の源=キラメイストーン。はるか彼方の惑星クリスタリアの輝石であり、キラメンタルによって意思が発現・巨大メカ=魔進(マシン)へと変化する! さらにそれぞれパートナーを深く信頼し、その思いをしゃべりまくる!


 真紅の消防車=魔進ファイヤは充瑠とともに事件の火消しに走る熱血野郎だ。
 緑色のスーパーカー=魔進マッハは瀬奈お嬢様に仕えるジェントルマン。
 黄色の作業機械の定番・ショベルカー=魔進ショベローは為朝をリーダーにゴリ推ししてしまうほど彼を愛する親バカっぷり。
 青色のジェット機=魔進ジェッタは軽妙な口調で時雨とともに空を駆け巡る!
 桃色のローターが目を引くヘリコプター=魔進ヘリコはキャピキャピ女子。はんなりしている小夜との相性はぴったり!


 スーパー戦隊のメカは大きく分けて現実にあるもの、もしくはゼロからデザインされたオリジナルの二派に分かれる。本作は実在の機体をラメ入りのクリアボディで包み、内側から発光している様子がメカでありながら生命を宿していることを感じさせる。さらに相棒との掛け合いも頻繁で、これによって彼らの性格が視聴者により浸透する見事な演出だ。


 充瑠のひらめき~~んぐ! で創造された魔進たちは合体してロボット形態に! 魔進ジェッタとヘリコの二機で飛行能力を有したスカイメイジに。魔進ファイヤが右腕・胴体・脚部、ショベローは左腕、マッハが右肩と頭部という変則的な構成の三機合体ランドメイジ。
 このランドメイジの胸部にヘリコが合体、ジェッタが大型の刀剣となって装備されたのが五体合体キラメイジンだ。さらにショベローを筆頭にローランド・リフトン・キャリーの作業機械トリオは左腕の交換で武装チェンジ!


 オープニングでは広大な原野をキラメイジャーメンバーが疾走する後ろから回り込みつつ進撃するCG画像の魔進たちがその大きさをアピール。
 ミニチュアを使用したセット撮影では機体の発光ギミックを活かして、ライトアップされたビル街を背に突き進みバトルアクションを展開する夜行シーンが盛り沢山。五色のカラフルな光とラメのきらびやかさが際立つ演出が本作独自の魅力を放っている。
 キラメイジンの必殺技は上段に構えた剣を一周させパワーをチャージした斬撃を見舞うキラメイダイナミックだ! この殺陣は戦隊ロボットの原点でもあるスーパー戦隊シリーズ『バトルフィーバーJ』(79・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120130/p1)のバトルフィーバーロボ、『電子戦隊デンジマン』(80・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120205/p1)のダイデンジン、『忍者戦隊カクレンジャー』(94・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120109/p1)の戦隊巨大ロボ・無敵将軍でも使われている型で、もっとさかのぼると1950年代~80年代にかけて映画やTVで何度も映像化されてきた名作時代劇『眠狂四郎(ねむり・きょうしろう)』の必殺剣技「円月殺法」が元ネタなのだが(笑)、シンプルでありながらメリハリのある画を作れる伝統のものなのだ。


 キラメイジャーをサポートする組織・CARAT(カラット)は博多南 無鈴(はかたみなみ むりょう)が来たるべき敵・ヨドン軍に向けて準備を進めて設立したものだ。演じる古坂大魔王氏は自身のキャラを反映し、飄々としたなかでも落ち着いてメンバーを見守る優しさがにじみ出る。
 クリスタリアの王・オラディン(声・杉田 智和氏)がヨドン軍によって亡き者となり、キラメイストーンを地球にもたらしたのは王の意思を受け継いだマブシーナ姫(声・水瀬 いのり氏)であった。国民に寄り添い身を粉にして働く王であり、絶大なキラメンタルを持ちながら驕ることがなかったオラディン。遙かな距離を隔てた充瑠とオラディンが夢でつながる奇跡もキラメンタルがあればこそなのだ。
 ヨドン軍によって故郷と父を失ったマブシーナ姫。失意のうちに異文明の地球にたどり着いた彼女だが、オラディンと交流があった無鈴に保護されキラメイジャーのメンバーと出会うことで戦う勇気を取り戻してゆく。
 戦士たちとサポートメンバーとのふれあいと成長の物語も注目のポイントだ。


キラメンタルの対極のジャメンタルの持主・ヨドン軍と怪人怪獣にライバル敵幹部・ガルザ!


 それと対極となるのが、夢や希望を象徴するキラメンタルをはじめとする美しいものを嫌い、それらを汚し破壊することで侵略を続けるのがヨドン皇帝率いるヨドン軍だ。
 軍師クランチュラ(声・高戸 靖広氏)は様々なモチーフをマスクデザインに集約した怪人=邪面師や雑兵ベチャットを使役し、人々を蹂躙! 負のパワーを集めることで巨大怪獣=邪面獣を召喚し、さらなる破壊と災厄をもたらすのだ……。


 蛇口にゲームコントローラー、ラグビーボールなどなど……。作戦によっていくつもの敵が登場するわけだが、本作の怪人・怪獣はマスクは新造し身体部分はシンプルデザインでパターンを限っている。これは『秘密戦隊ゴレンジャー』(75)の敵怪人・〇〇仮面と同じデザインラインであり、ユーモラスでインパクトが大きい。そして裏事情ではあるが、製作経費の効率化に寄与するのも採用された理由であろう。毎作品でやられてはさすがに寂しいが、予算を注ぐ箇所を選別することで作品のカラーを変える、これもスタッフの腕の見せどころだ。


 キラメンタルが光ならば、絶望や嫉妬など負の感情=闇のパワーを増幅させるジャメンタルに染まったのが敵幹部・ガルザ(声・中村 悠一氏)だ。ヨドン軍からクリスタリアを守る立場でありながら、兄・オラディン王を打ち倒し故郷を売り渡した弟! 国を統(す)べる者となれなかった挫折感からジャメンタルに魅入られ、暗黒の鎧を纏(まと)いヨドン軍へと参戦。ひたすら強さを求め、作戦のためにはオーブン&冷蔵庫の兄弟邪面師をも手玉にとり争わせる非情の戦士なのだ!


 新たなキラメイストーンを手に入れようとマブシーナ姫を欺いたガルザに、充瑠の怒りが爆発する! 360度カメラを駆使したノーカット連続アクションでキラメイレッドとガルザの近接バトルが展開し、両者のライバル関係が鮮明となる。
 本来であればマブシーナ姫を守るべき叔父が彼女の命を付け狙う。充瑠にはそんなことを許せるはずもないだろう。一方ガルザにしてみれば辺境の惑星にオラディンに匹敵するキラメンタルの持ち主がいることが苛立ちでしかない。この対立がどんな決着を迎えるのかシリーズを通してバトルとドラマを盛り上げてくれるだろう。


 ライバル関係は魔進を交えても描かれる。ガルザが操るスモークブラックの蒸気機関車=魔進ジョーキーは変形合体し恐竜形態・スモッグジョーキーとなる! 大きな口から吐き出される衝撃波と尻尾に装備されたチェーンソーは絶大な破壊力だ。
 ガルザから守り抜いたキラメイストーンから充瑠が新たに生み出したのは、パールホワイトの新幹線・魔進エクスプレス。ガルザの乗るジョーキーに連結してジャメンタルを打ち消し新たな人型巨大ロボット形態・キングエクスプレスに変形合体するのだ!
 キラメイジンに寄せたヒーロースタイルに大きく変化し、ブーメランを得物(えもの)とした素早いバトルが信条だ。機関車と新幹線・ブラック&ホワイトの対比が映えるデザイン・組み合わせとなっている。


 操る者によって正義にも悪にもなる。キラメンタルとジャメンタルの相反する関係はそれぞれのキャラに潜んでいることを示し、魔進戦隊とヨドン軍とのバトルアクションが物語のテーマにも通じる作りとなっているのが秀逸だ。


適度なマニアくすぐりも入れつつ、キラメンタルに今日的なテーマ意識も仮託できるかがキモか!?


 過去のスーパー戦隊で登場したアイディアやデザインパターンを引用している点について、後退しているとみる向きもある。
 しかし44作品継続してきたなかでこれはまた使える、というものがたくさん生まれてきた。新作のコンセプトに合わせてここを使ってみようという構築の仕方は充分アリだろう。ただ新しいものをといじりすぎて迷走するより、ある程度の既視感は安定をもたらす。


 それに通じるものとして過去作のキャラ・アイテムをチラリと登場させることで、スーパー戦隊の世界がつながっていると感じさせる「マニアくすぐり」も長年のファンには嬉しい。
 瀬奈が身につけているウェアには爪痕のマークが……。これは『獣拳戦隊ゲキレンジャー』(07・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20080817/p1)で獣拳戦隊チームをサポートするスポーツ用品メーカー・スクラッチロゴマーク!!
 マブシーナ姫が流す感動の涙から生まれるキラメイストーンを得ようと読み始めた漫画『グッドスリー』。これは『快盗戦隊ルパンレンジャーVS(ブイエス)警察戦隊パトレンジャー』(18・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190401/p1)ルパンイエロー・早見 初美花の親友=一ノ瀬 詩穂が目指していたのが漫画家であり、その後彼女がデビューを飾りルパンレンジャーをモデルに描き上げたヒット作品なのだ!!
 物語の大局には影響がないことだが、こうした小さな積み重ねが見られることで作品に深み=戦隊愛を感じられるのが年長マニアの視聴の楽しみにつながる。


 変わらぬ良い点を取り入れつつ挑戦する部分と融合させることで、より良い作品を目指す。スーパー戦隊として明朗快活なバトルアクションを展開しつつ、現実の2020年の世界を包む「相手を思いやる優しさ」の意義を示しながら人情の光=キラメンタルと影=ジャメンタルを浮き彫りにしてゆく。本作ではそれらが上手くかみ合って相乗効果をもたらしている。


 本作の製作にはしばらくスーパー戦隊を離れていた塚田 英明プロデューサーが参加。脚本は戦隊愛が溢れる荒川 稔久氏とギミックの構築に長けた三条 陸氏がメインを担当。この座組は『特捜戦隊デカレンジャー』(04・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041112/p1)『魔法戦隊マジレンジャー』(05・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110228/p1)といった人気作を生み出している。


 良い流れで展開していた序盤だが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため製作が中断。その間を埋めるべく放送されたのが、劇場版『魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO』(20・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200322/p1)とこれまでの物語を再編集した特別版だ。メインキャストの新規撮影がかなわないため、声のみの出演であるキラメイストーン=魔進たちがカラット基地であれこれと話し合う『キラトーーク!』を展開!! これはテレビ朝日の芸人トークバラエティ『アメトーーク!』(03~)のパロディ。もともと「おしゃべり」という性格設定ではあった彼らだが、これがこんなかたちで貢献することになろうとは……。
 本来は見ることがかなわなかった未公開カットが披露され、転んでもただでは起きない製作スタッフには感謝するしかないのであった。


 これからの展開は、ついに六番目の戦士が登場する! その人物はマブシーナ姫も既知でありヨドンヘイム・クリスタリア・地球の三つの世界をつないでいた存在のようだ。無鈴がどのようにオラディン王とコンタクトし、ヨドン軍が地球に侵攻する前にカラットを設立したのかも明らかとなるだろう。
 世界がこれまでにないかたちで大きく変わろうとしている2020年の空気を取り込んだスーパー戦隊のあり方を、チームでのキャラクター関係・敵とのバトルアクションを通してしっかりと描いてくれる作品となることを祈りながら注目し続けよう。


(了)


合評3 キラメイレッド危機一髪!(新型コロナ騒動に思う)

(文・くらげ)


 桜に雪の舞う2020年3月末。新型コロナウイルス(CDVID-19)の恐怖に怯える日本にショックなニュースが届きます。


 【『キラメイジャー』レッドの小宮璃央、新型コロナウイルスに感染!(2020年3月31日)】


 朝から晩まで流れるコロナ報道の中、「ニチアサ」だけを心の支えに生きる大きなお友達にあまりに残念な知らせでした。



 「キラメイレッドは死んじゃうの?」
 「ブルーやイエローも感染?」
 「戦隊の主役が急病なんて前代未聞。撮影はどうする?」
 「熱田ジュールが高熱とかダジャレか(笑)」



 さまざまな声をよそに、わずか10日後に小宮璃央はしれっと退院します。



「私、小宮璃央は本日4月9日に退院致しました。今後は2週間の自宅待機を致します」
「ファンの皆様、この度は大変なご心配をおかけしました。 また、関係者の皆さんにはご心配、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」

(本人のTwitterより)



 まあ小宮璃央は17歳と若いので完治も早いでしょうが、この時にみんな思ったはずです。


 「コロナって10日で治る病気なの?」


 キラメイレッド以外にも有名人の感染者は多く、脚本家の宮藤官九郎、「森三中」の黒沢かずこ、「たんぽぽ」の白鳥久美子報道ステーション富川悠太赤江珠緒のアナウンサー夫婦、俳優の石田純一、元NHK住吉美紀アナ、そして初の死者となった元ドリフターズ志村けん。4月には「はなまるマーケット」の岡江久美子も亡くなりました。
 著名人に感染を公言した人間は多くとも、「治った」とハッキリ公言したのは(多分)キラメイレッドが最初でしょう。それは17歳の若造が空気を読めず


 「コロナは大した病気じゃない」


とバラしてしまったんじゃないでしょうか。


 もちろんコロナで亡くなった人も多いですが、体力のない人の致命傷になるならどんなウイルスも同じです。健康な人間の体には免疫があって、どんな菌に感染しても栄養を摂って暖かくして寝れば治るように出来てます。
 この治るまでの期間が「風邪」ですが、風邪というのは病気そのものじゃなく、免疫と菌が戦ってる期間を言うんですね。
 どんな恐ろしい伝染病も免疫が勝てばそれは「風邪」です。詳しくは人気深夜アニメ『はたらく細胞(2018)』とか見て下さい(笑)。コロナだってメディアが騒がなければ単なる風邪で片付いたはずです。
 コロナ自粛は「風邪をひかないために、経済活動をストップする」愚行に他なりません。


 コロナもそうですが、自分はいまだに「普通の風邪」と「インフルエンザ」の違いが分かりません。インフルエンザに罹ると普段より高い熱が出るとか、味や匂いを感じないとか、どこかしら痛くなるとか言うけど、それって風邪の症状じゃないですか。恐らく違いなんかないんですよ。
 思えば社会が執拗に風邪をインフルエンザと呼ぶようになったあたりから、特定のウイルスを重大事のように思わせる流れが始まったと思ってます。このワクチンじゃないと効かないとか、風邪はいいけどインフルの場合は一週間出社したらダメだとか。
 ウイルスに対しては何の効力もない「マスク」を着けなければいけない空気が醸成されたのも、インフルエンザからだと思います。マスクは「衛生用品」でなく「同調圧力」の象徴となり、着けない人間が白い目で見られるようになりました。


 そういう流れを伏線として起きたのがコロナ騒動と考えれば、この芝居がかったバイオハザードの正体が見えて来ます。
 テレビは10日で治る風邪のニュースを朝から晩まで流し、総理大臣や都知事が外出の「自粛」を繰り返し呼びかける。コロナに罹ったから休業ではなく「コロナの感染拡大を防ぐための休業」のナンセンス。
 感染防止のお題目があれば学校を休校にできるし、補償もなく店を営業停止に出来るし、ネットカフェ難民を叩き出すことも出来る。
 すべての企業が「テレワーク」など出来るはずもなく、零細企業は倒産です。休業中にも賃貸料は取られ、都市圏の商店は店を畳むことになります。何十年と続いた店を潰して空いた駅前の一等地を、大資本が買い上げて外国資本に売る。そんなことがいくらも起こるでしょう。


 政府はマスコミを動員して「人の密集」さえ問題視すれば、緊急事態宣言の名のもとあらゆる経済活動をストップできるカードを手にしたわけです。2メートル離れればコロナが感染しないなんて戯言を、潔癖な都会人は本気で信じます。
 おかげで映画館は休映し、コミケやイベントは軒並み中止。TVは再放送、アニメの作画もアフレコもできません。本来なら数か月後にオリンピックを控え浮かれていたはずの東京が「ちょっとタチの悪い風邪」のおかげでゴーストタウンも同然です。こんな2020年を誰が予測できたでしょう。
 しかもこの自粛には期限がありません。政府が緊急事態宣言を解除しないかぎりこれは続くわけです。それは一週間後かも知れないし、一年後かも知れません。政府の言う自粛は「自主的に死ね」と言うのと変わらないわけで、政府も政府ですが抵抗もせず従う国民もたいがいだと思いますよ。


 今回のコロナ騒動が異常なのは、全世界で同時に起きたことです。日本だけなら笑い話で済みますが、世界中でやられると話が違って来ます。自国が騒ぐだけじゃ慌てない日本人も、海の向こうの情報にはコロッと騙されます。
 アメリカやイタリアで何万人死んだとか言われても確かめようがないですし。専門家の言うことだから間違いないなんて思っても、有事の際に専門家ほど信用できないものはありません。専門知識を持つ立場から平気で嘘をつけるわけで。
 専門家から「自粛が甘い」「まだ外出してる奴がいる」みたいな苦言は目にしても「10日で治る風邪に何故大騒ぎするのか」という苦言はめったに見かけません。「飯食って寝とけば治る」と昭和な発言をした二階幹事長はマスコミに袋叩きにされました。


 よくある映画のように殺人ウイルスが漏洩して、街がパニックになるのはどんな感じかと思ったんですが、コロナ騒動は静かなものです。パニックはマスクとトイレットペーパーの行列くらいで(笑)。
 B級映画のパニックホラーだと突然街中で泡を吹いてぶっ倒れる場面とかあるじゃないですか。電車の中で正気を失った乗客が襲いかかって来るとか。そういう光景を見れば少しは危機感も感じるんですが。
 近所や親戚がコロナで倒れて救急車で運ばれた話も聞かないし、救急車が普段より走ってるわけでもない。それなのに「大本営発表」のごとくテレビの中で感染者だけが増えていく。


 大本営発表なんて古い言葉を使いましたが、コロナは広義の「戦争」だと思ってます。人類とウイルスの戦いなんかではなく、国民経済の破綻を目的とした一大キャンペーン。アメリカや中国、世界の権力が一丸となって医療やメディアを動かし、国民の生産活動を妨害する。
 株価はどん底まで落ち、零細企業や個人商店がバタバタと潰れる。それをハゲタカのような連中が買い漁り、頃合いを見計らってコロナの終息宣言を出せば一丁上がり。下がった株や土地は再び上がってハゲタカのボーナスタイムです。


 そう考えれば緊急事態宣言の解除が意外に早かったのも腑に落ちます。下がり切った株や土地を買い占めたら、次は上げないといけないですから。街を焼け野原にすれば復興時に金儲けができる。だから富裕層は定期的に戦争を必要とするわけですが、それは現代では爆弾を落とさなくてもできるわけです。
 しかしもっと怖いのは、戦争には「間引き」つまり人口調節の役割もあることです。貧富の差を拡大すれば格差の下の方から死んで行く。もしもコロナの目的が富裕層の小遣い稼ぎでなく、世界的な貧民クレンジングだったら、この騒動はもっと長引いたかも知れません。第二次世界大戦だって日本で4年続いたわけですから。


 ちょっと陰謀論めいた話になりますが、飛行機が爆弾を落としたり、兵士が戦ったりの戦争が起こらない現代で、エリートがエリートであり続けるため「新しい戦争」の形が必要になった。少し前はそれが「民主化」や「テロリスト」だったわけですが、それに代わって現れたのがコロナというわけです。
 見えない戦争、メディアの中にだけ存在する戦争。もはや戦争は我々が歴史の教科書で知るような国家同士の戦いではなく、世界中の権力を存続させる手段になった。勝者も敗者もありません。戦争がなくならない理由を国家の在り方に求めても無意味なんですね。反戦運動がどこかトンチンカンに見えるのはそういうことでしょう。


 コロナで起きたことは戦争のパロディのようです。学校が休み、工場が止まり、商店は休業。物資が不足し、転売という闇市が横行する。
 「コロナなんて大したことじゃない」と言えば袋叩きなのも戦時中と似ています。公務員や大企業はテレワークで収入を守られ、非正規やアルバイトは職を失い寒空に叩き出される。
 世界のどこかで戦争が起こるたび富裕層は肥え太り、下層はますます困窮する。今回のコロナが終わっても、ある程度景気が回復したところで、第二、第三のコロナが発表され、世界を脅かすでしょう。
 そのたびに我々庶民は会社や学校を休んでマスクやトイレットペーパーの行列に並び、コミケも参加できず、居酒屋でオタク談義もできない日々を過ごすわけです。


 これからも繰り返されるであろうこの戦争を終わらせるためにはどうすればいいか。革命を起こし嘘つきどもをギロチンに送るべきか。
 いえいえ、コロナやインフルなど恐れず普通に暮らせばいいんです。爆弾が落ちてくれば逃げなきゃですが、コロナから逃げる必要はありません。
 情報に踊らされず、淡々と暮らすのがこの戦争に踊らされない唯一の道だと思うのですよ。「コロナでは死なない、10日で治る」とキラメイレッドが教えてくれたんですから。


 さあ、手を洗って、うがいして、コロナ戦争を生き残ろうじゃないですか。ひらめキーング!


(了)


合評4 『魔進戦隊キラメイジャー』第1クール評

(文・久保達也)

改元後初のスーパー戦隊は「王道」路線!


 スーパー戦隊シリーズ第44作目であり、改元後初のスーパー戦隊となった『魔進(マシン)戦隊キラメイジャー』(20年)はそのモチーフを「宝石」と「乗りもの」としている。
 前作『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(19年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200323/p1)が「恐竜」と「冒険ファンタジー」をモチーフとした一見「王道」作品に見えながらも、実はおもいっきりの「変化球」だった(笑)反動もあるのだが、後述する事情でエピソード10『時雨(しぐる)おいかける少女』でいったん放映中断を余儀(よぎ)なくされる(!)までの回を観るかぎり、『キラメイジャー』は本来のスーパー戦隊らしい立派な「王道」作品として描かれているように思えるのだ。


 『キラメイジャー』では『特捜戦隊デカレンジャー』(04年)・『魔法戦隊マジレンジャー』(05年)・『獣拳戦隊ゲキレンジャー』(07年)や『仮面ライダーW(ダブル)』(09年)・『仮面ライダーフォーゼ』(11年)などを東映側のチーフプロデューサーとして手がけてきた塚田英明(つかだ・ひであき)氏が返り咲き、『鳥人戦隊ジェットマン』(91年)以来30年(!)にも渡ってスーパー戦隊を支えつづけてきた大ベテランの脚本家・荒川稔久(あらかわ・なるひさ)氏も『海賊(かいぞく)戦隊ゴーカイジャー』(11年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20111107/p1)以来となるメインライターとして帰ってきた。
 メイン監督は『仮面ライダーフォーゼ』で本編監督としてデビューを果たして以来、『仮面ライダーゼロワン』(19年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200517/p1)に至るまで「平成」そして「新時代」の仮面ライダーシリーズに参加、スーパー戦隊は今回が初となる山口恭平(やまぐち・きょうへい)監督だが、その脇を固めるのはかの坂本浩一監督、『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(92年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120220/p1)で監督デビュー以来、スーパー戦隊仮面ライダーメタルヒーローなどのメガホンをとりつづけるも、前作『リュウソウジャー』の後半には参加していなかった渡辺勝也監督、『激走戦隊カーレンジャー』(96年)で監督デビューし、ともすれば本編のオマケ的描写になりがちな巨大ロボ戦に重点を置く演出で「巨大戦の達人」と評されながらも、『リュウソウジャー』ではまったくの不参加となった(!)竹本昇(たけもと・のぼる)監督――やっぱ『リュウソウジャー』の現場って相当の確執(かくしつ)があっただろ!(爆)――と、まさに最強の布陣(ふじん)となっている。


 ただ今回注目すべきはレッドとなる主人公がテレビシリーズの前日譚(たん)となる映画『魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO(ゼロ)』(20年・東映)で描かれたように、いつも自分の世界に閉じこもっている「変なヤツ」として同級生の女子たちからバカにされ、エピソード1『魔進誕生!』ではヤンキーっぽい同級生男子から「この落書き野郎!」とさげすまれたほどに、教室のスミで常にひたすらスケッチブックに向かうほどに絵を描くのが大好きな男子高校生・熱田充瑠(あつた・じゅうる)=キラメイレッドであることだ。


*ゲストが登場せず戦隊メンバーとの関係性の描き込みで、(ひとり)ボッチ高校生を「キラキラ」させた序盤!


 『魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO』では


・e(イー)スポーツ――スポーツ・競技としてのコンピュータゲーム――界No.1(ナンバーワン)プレイヤー・射水為朝(いみず・ためとも)=キラメイイエロー
・女子陸上界のスーパースター・速見瀬奈(はやみ・せな)=キラメイグリーン
・人気イケメンアクション俳優・押切時雨(おしきり・しぐる)=キラメイブルー
・マスコミで評判の美しすぎる女医・大治小夜(おおはる・さよ)=キラメイピンク


の4人が、宝石の国・クリスタリアが敵組織・ヨドンヘイムに侵略されたことで姫・マブシーナとともに地球にのがれていた意志を持つ宝石・キラメイストーン=魔進たちにキラメイジャーとしてスカウトされていたが、残るレッドはエピソード1で充瑠がレッドキラメイストーンに選ばれるかたちとなった。
 そしてエピソード2『リーダーの証明』で語られたように、レッドストーンと共鳴した者がチームを率(ひき)いるクリスタリアの慣例に従い、充瑠がリーダーとしての責務を背負うこととなる。


 従来のスーパー戦隊の序盤では5人のメンバー各自のキャラを掘り下げるために、各回の主役となるメンバーとゲストキャラの境遇を重ね合わせて描く手法が多くとられていたように思える。
 だが『キラメイジャー』では瀬奈とおさななじみでありながらも絶縁状態だったかるた名人の少女が登場するエピソード9『わが青春のかるた道』が、ゲストキャラが登場する回としては初となったのだ。
 エピソード2で瀬奈、エピソード3『マンリキ野郎! 御意見無用』で時雨、エピソード4『亡国(ぼうこく)のプリンセス』でマブシーナ、エピソード5『ショベローまかりとおる!』で為朝、エピソード6『ツレが5才になりまちて』(笑)で小夜にスポットをあてつつ、もちろん各人を多面的に描くことでキャラを掘り下げることになってはいたが、それ以上に各人と充瑠との関係性の変化を中心に描き、


為朝「リーダーなんてムリだろ、こいつには」
瀬奈「もっとカッコいいレッドが来るって楽しみにしてたのに」(爆)


などと充瑠の存在を軽く見ていたメンバーたちに心の変遷(へんせん)が生じることで、充瑠をリーダーとして承認する過程の方に力点が置かれた展開になっていたのだ。


*その第1話「魔進誕生!」の達成度は!?


 頭部は水道の蛇口(じゃぐち)をモチーフにしているものの――その無機質なデザインには逆に「怪獣の恐怖」が感じられた――、その全身はクラゲ状の邪面獣(じゃめんじゅう)ジャグチヒルドンが宙を浮遊(ふゆう)して多数の触手でビル街を破壊して進撃するエピソード1冒頭の特撮場面は、個人的には往年の怪獣映画『宇宙大怪獣ドゴラ』(64年・東宝)でまともに描かれなかったクラゲ型怪獣の都市破壊描写をやっと観ることができた! と、その技術の飛躍的な進歩にうならされたものだ。


 高校の教室の窓からそれを目撃した生徒たちは大騒ぎになるも、絵を描くのに没頭(ぼっとう)していた充瑠は全然気づかないどころか、女子生徒に指摘されてようやく窓の外の地獄絵図に気づくと、


「ひらめキ~ング!」


と叫んで右手をパーにして上方に突き出すや、避難もせずに怪獣の絵を描くのに夢中になる。


 これだけで充瑠のかなり浮き世離れしたキャラが充分に伝わってくるものがあるのだが、別の意味で充瑠が「大物」であることも的確に示されているといえよう。まぁ、怪獣好きな我々のような人種なら充瑠と同じような行動をとるだろうと感情移入させてくれる描写でもある(笑)。


 金の模様が入った青くて丸い大理石をそのまま頭部にした一見大仏様のようなゴツいデザインのお姫様(爆)・マブシーナに、キラメイジャーに求められる輝く精神力=キラメンタルの持ち主かと問われた充瑠は「絶対人違い」と否定するが、宙に浮かぶ巨大な赤い宝石・レッドキラメイストーン――教室内の主観から窓の外に描かれることで、その巨大さが臨場感たっぷりに表現されていた――に、


「おまえはたぶんキラキラしてるんだ!」


と強引に連れていかれたあげく、マブシーナから左腕にタイヤ型の変身用ブレスレット・キラメイチェンジャーをはめられてしまう。


 ジャグチヒルドンの蛇口から吐(は)き出された泥(どろ)水から大量に生みだされた戦闘員・ベチャット――この説得力あふれる描写から逆算するかたちで蛇口が頭部の怪獣がデザインされたのだろう――とキラメイジャーが戦う都心の広場に連れてこられた充瑠はレッドキラメイストーンから「ともに戦え!」と命じられるが、充瑠は


「あれがキラメイジャー!? カッコいい! フ~~~♪」


と、戦闘中のキラメイジャーの周囲をチョロチョロしてその勇姿をスケッチしまくる(笑)。


 低いビルの屋上での戦いから飛び降り、宙返りして地上での戦闘に移るキラメイブルーのアクションをドローンによる俯瞰(ふかん)撮影でワンカットで見せる演出――着地してベチャットを斬るブルーの足下(あしもと)のカットをつなぐことでより臨場感が増している!――もいいのだが、ここではキラメイジャーの一連の戦闘をスケッチする充瑠の主観で描くことで、「あれがキラメイジャー!? カッコいい! フ~~~♪」(笑)と視聴者が充瑠との一体感を得られ、より感情移入を増すこととなっていたかと思えるのだ。


「すっごいの描けたぁぁぁぁぁ~~~!!」


 充瑠が描きあげたキラメイジャーの絵を両手で大きく掲(かか)げるや、スーパー戦隊が強敵怪人を倒したときのように、その背景に巨大な炎がブチあがる!(爆)


 いや、これは決してギャグ演出などではなく、まさにそれこそが充瑠のキラメンタルであることを存分に示した描写であるといえるだろう。


「みなさんはキラキラで、オレはただの……」


 変身を解いたキラメイジャーが、皆各業界のエキスパートであることを知った充瑠は劣等感(れっとうかん)にさいなまれて卑屈(ひくつ)な態度を示すが、コレは痛いほどに理解できるなぁ(大汗)。


 充瑠を演じる小宮璃央(こみや・りお)氏はスーパー戦隊歴代最年少の主演となる17歳でテレビドラマの出演自体が今回初だが、それ以外のメンバーはある程度の芸歴を持つ役者が選ばれており、これがまた『キラメイジャー』序盤で描かれる充瑠と各キャラとの関係性に説得力を与えていたかと思える。
――特に小夜を演じる工藤美桜(くどう・みお)氏は『仮面ライダーゴースト』(15年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160222/p1)の2号ライダー・深海(ふかみ)マコト=仮面ライダースペクターの幸薄そうなローティーンの妹・カノン役で知られる、って筆者は全然気づかなかった(汗)。大きくなったなぁ――


 まぁ、実際の小宮氏は演技経験はなくても幼いころから舞台やCMなどで活躍し、各イケメンコンテストを総ナメにするなど、めちゃめちゃキラキラしていたようだが(苦笑)。


 キラメイジャーの専用剣・キラメイソードと専用銃・キラメイショットを合体させた絵や、ジャグチヒルドンにキックする赤いロボットなど、先の戦闘には登場しなかった武器やメカを土手で描いていた充瑠は、マブシーナから


「神絵師(かみ・えし)ですか?」(笑)


と声をかけられたほどだが、小さな姿でふたりの周囲をチョロチョロしていたレッドキラメイストーンは、


「おまえのキラメンタルはこれだ!」


と驚喜する!


 想像力を人間の可能性として示すのは、本来大人になると見えないハズのものが見える「イマジネーション」の力を描いた『烈車(れっしゃ)戦隊トッキュウジャー』(14年)、あるいは『キラメイジャー』のメインライター・荒川氏がやはりメインで書いていた、妄想(もうそう)の力を武器にした深夜特撮番組『非公認戦隊アキバレンジャー』(第1期・12年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200223/p1 第2期・13年)を彷彿(ほうふつ)とさせるものがある――充瑠は後者の方に近いか?(笑)――。


 ただ現実にないものを形にできる力を充瑠のキラメンタルとして描くのみならず、マブシーナに


「あなたは王様と同じ力がある!」


と云わせることで、『エピソードZERO』の冒頭で描かれたように、マブシーナの父でクリスタリアの王・オラディンと充瑠に深い因縁(いんねん)を持たせているのは実に秀逸(しゅういつ)だ。


「こんなホメられたのはじめて。オレの中に、キラキラ……」


 将来は「王様になる」と幼いころから夢を語っていたことで周囲から浮いていたものの、日常会話ができる程度の友人はいた『仮面ライダージオウ』(18年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190527/p1)の男子高校生主人公・常盤(ときわ)ソウゴ=仮面ライダージオウとは異なり、クラスの女子からもバカにされるほどの充瑠はこれまでずっと鬱屈(うっくつ)とした半生を過ごしてきたであろうことが、このつぶやきに凝縮(ぎょうしゅく)されているように思える。


 ここまでは妙なテンションで「フ~~~♪」とはしゃぐ描写が多かっただけに、自身のこぶしを神妙な面(おも)もちで見つめる充瑠を演じる小宮氏の表情演技がより視聴者に印象強く残ることとなっているのだ。


「ひらめキ~ング!」


 こうなると充瑠のこの妙な口グセももはや「伝家の宝刀(でんかのほうとう)」とでも呼ぶべきであり、筆者も退屈な会議の席上で名案が浮かんだ際にでも叫びたくなるほどだ、って実際やってる人いるかな?(爆)


「オレはおまえのイメージをかたちにできる!」


 レッドキラメイストーンは充瑠が絵に描いたとおりの赤いスーパーカーへと変化した! 宙で変型し、地上に着地するスーパーカーや周囲に巻き上がる砂塵(さじん)を実景の土手にCGで描きこむことで、想像を形にできる充瑠のスゴさがより実感できる演出となっている!
 巨大メカもなしで悪戦苦闘する等身大のキラメイジャーの眼前で、赤いスーパーカーが宙を舞い、ビルの壁面を激走してジャグチヒルドンに突撃、着地して駆けてくるのは先の戦闘でキラメイジャーに邪魔者扱いされた充瑠だ!


 充瑠はビルの屋上に取り残された人間を見つける。なんと充瑠を「落書き野郎!」呼ばわりしたヤンキー生徒と、怪獣の大暴れに気づかなかった充瑠をなじった女子生徒だ。
 画面左側に実際のビル、右側に迫るジャグチヒルドンを描く昔ながらのシンプルな演出でありながらも、これは絶妙な切迫(せっぱく)感を醸(かも)しだす伝統芸だ!


「オレが助ける! オレなら……ひらめキ~ング! フ~~~♪」


 自身をバカにした連中、ましてや怪獣の動画を撮影してネットにアップするという自己責任的な理由で危機に陥(おちい)った連中をも助けようとする充瑠の人間性がにじみ出る名場面だ。筆者ならおそらく見殺しにしたことだろう(大爆)。


「今こそおまえも変われ! おまえの中のキラキラ、もう信じられるだろう!」


 充瑠がテンションあげあげで描きあげた消防車のとおりに変化したレッドキラメイストーンも、充瑠の高い想像力のみならず、まさにその人間性こそをヒーローの素質として見いだしたであろうことが、このセリフからもうかがい知れるというものだ!


「変われ! 変われる! 変わりたい!!」


 自身の価値をようやく承認してくれた存在が現れたことで、充瑠はそれに磨(みが)きをかけ、さらに高めようとの想いを爆発させる!


 近年深夜枠放映のアニメではゲームをはじめとするオタク趣味を持つ主人公がヒーローとなる異世界転生モノが乱立しているが、本来ヘタレだった主人公が異世界に転生するやいきなりヒーローとして活躍する作品が多いような印象が強く、それらに比べると充瑠の心の変遷やヒーローとなるに至る必然性は実にていねいに描けていたのではあるまいか!?


「きらめきスパークリング! キラメイレッド!」


 赤いレーザーが照らされる中でその姿が浮かびあがり、赤いダイヤ状の背景を前にポーズをキメるキラメイレッドの実にきらびやかな初名乗りカットは、少なくとも筆者には充瑠の「変わりたい!」との想いが凝縮された、高いドラマ性を持つものとして映ったのだ!


 消防車のはしごを駆け上がり、飛び降りながらキラメイショットに弾丸用のメダルを挿入してジャグチヒルドンを宙から狙撃、そのままビルの屋上に着地して生徒たちを救出する、スーツアクターのアクロバティックなアクションとデジタル技術の融合によるスピーディで迫力にあふれるキラメイレッドのカッコよさもまた、充瑠に秘められていた「キラキラ」を存分に描き尽くしたものだろう!


 さらにキラメイレッドは充瑠と同じ「ひらめキ~ング!」のポーズから、医者だからドクターヘリ、切れ者だからジェット機、早いからスーパーカーと、キラメイジャー各メンバーの特性から次々とメカの絵を描き――キラメイイエローのみ「黄色いから」とその特性に関係なくショベルカーがあてがわれるが(笑)――、それぞれの相棒のキラメイストーンが巨大メカ=魔進に変化させる!
 各魔進が連繋(れんけい)攻撃した末に、積み重なった彼らを消防車のレッドが長大なはしごをバットのように回転させてぶつけて打ち出す「ダルマ落とし」(笑)の要領で、ついにジャグチヒルドンを倒すことに成功するのであった!


*身体能力&覇気では劣る戦隊レッドの美点を、戦隊各メンバーが認めていく序盤の作劇!


 ただこれだけの大活躍を見せても、充瑠は最初からキラメイジャーの一員として歓迎されるワケではない。
 側面から見ると『ウルトラマンタロウ』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)の防衛組織・ZAT(ザット)の、細長いタワーの頂上にそびえる円盤状で飛行も可能だったZAT基地のような形状をした、ココヤシの木を模(も)したココナッツタワー――ウルトラマンを書きたくて脚本家になったメインライターの荒川氏のアイデアだったりして(笑)――。その中にあるキラメイジャーの作戦室に、エピソード2の冒頭でマブシーナによって案内された充瑠は、キラメイジャーたちを


「オレにはキラキラがないから、神々(こうごう)しくて見られない」


と、あいかわらず卑屈な態度を示す。スケッチブックで顔を隠しながらつぶやく誇張(こちょう)した演技がその心情をより効果的に映しだす。


 あれだけの想像力と大活躍を見せたにもかかわらず、いまだ謙虚(けんきょ)な姿勢でいるのも充瑠の立派な「キラキラ」かと思えるのだが、実社会での集団生活ではそうした人間はナメられると相場が決まっている(苦笑)。
 むしろ何もやっていないにもかかわらず、「やってます!」ポーズをひけらかして周囲を欺(あざむ)く能力に長じている人間の方が世間では出世するのだ。おっと、コレは新型コロナウィルス騒動における、どこぞの国の首相のことですな(大爆)。


 なので、レッドキラメイストーンと共鳴した者こそがリーダーというクリスタリアの慣例があるにもかかわらず、エピソード2冒頭の充瑠の姿をチラッと見ただけで、為朝が


「リーダーなんてムリだろ、こいつには」


とボヤくのが実にリアルに思えるのだ。


 為朝=キラメイイエローは敵に対する有効な作戦計画を即座に立案し、メンバーに的確に指示して実行させる、本来ならリーダー的素質を備えるキャラとして描かれているだけに余計に説得力が感じられる。


*充瑠=キラメイレッドと瀬奈=キラメイグリーンの関係性の変化!


 またクリスタリアの慣例だから自分が一応リーダーであり、「5人がひとつ」にならなければ、と協力を求めた充瑠に、瀬奈が


「それ、あんた自身の言葉?」


と返し、充瑠を絶対リーダーとして認めない(汗)と反発するのもまた然(しか)りであり、自己主張に乏(とぼ)しい人間が世間で軽く見られてしまうことを端的に表している。


 自分たちより単に年少だとか、キャリアがない充瑠はリーダーとしてどうなのか? という理由のみではなく、充瑠の世間から見てダメな部分をクローズアップして見せることで、『キラメイジャー』の序盤は実にリアルな群像劇を描きだしていたかと思えるのだ。


 そんな充瑠がメンバーから次第にリーダーとして認められていったのは、先述したようにその人間性ゆえのものだった。
 陸上の試合があるために戦闘に加われない(!)瀬奈に対し、充瑠はマブシーナの涙から生まれる青いダイヤ――泣けるマンガを読んでいたマブシーナの目から落ちた涙がダイヤとなってトレーの上にボトボトと落ちる(爆)――から自身のキラメンタルで生みだした身代わり人形・代役ンをもうひとりの瀬奈の姿にして瀬奈の代わりに戦わせ、瀬奈を予定どおりに陸上の試合に出場させる。


 もし自身が絵を描くのをやめて戦いに加われと云われたらきっと反発するだろうと、充瑠は瀬奈の立場を自身に置き換えて考え、戦闘よりも瀬奈の大切なこと=陸上の方を貫き通してほしいと語ったのだ!――その際、充瑠が瀬奈に云われた言葉を返すかたちで「自分の言葉で云うね」と語りはじめるのが係り結び的に効果を高めている!――


 為朝は命がけの戦いに身代わりを出したのか! と、まぁ金髪のルックスも口調もヤンキーっぽいから(笑)かなりキツい調子で瀬奈を責めているように見えるのだが、これは本来「私」よりも「公(おおやけ)」を優先させるべきの地球を守るスーパーヒーローとしては当然の反発であろう。


 だが充瑠は


「瀬奈さんがキラキラできなきゃダメじゃん!」


と、マブシーナがキラメイジャーに必要な要素として語っていた「5人がひとつ」を、「メンバーひとりひとりが輝くために、支え合うから5人が必要なのだ」と咀嚼(そしゃく)し、自らの言葉で語るに至ることで早くも成長した姿を見せたのだ。


 試合を終えてそのまま戦闘の場に駆けつけた陸上ユニフォーム姿の瀬奈が駆ける姿を側面からスローでとらえ、瀬奈が代役ンからキラメイチェンジャーをまさにバトンタッチされてキラメイグリーンに変身、ラグビーボールまんまの頭をしたラグビー邪面の俊足(しゅんそく)に追いつき、爆弾ボールをトライして勝利するまでの流れは、エピソード1で描かれた充瑠の「キラキラ」に匹敵するほどにドラマチックだった。


 特に勝利したキラメイグリーンが燃えあがる炎を背景に高々と飛び上がって凱(かちどき)をあげるさまは、瀬奈が「キラキラ」していた=輝いていたからこその勝利であることを最大限に象徴しており、瀬奈から


「キラキラさせてくれてありがとね、リーダー!」


との言葉をついにひき出したほどに、ひとりひとりが輝かねばならないとした充瑠の主張におおいに説得力を与えていたのだ!


 なおキラメイグリーンのスーツアクトレスを務めるのは『獣電戦隊キョウリュウジャー』(13年)の紫色の戦士・二代目キョウリュウシアン以来、スーパー戦隊のヒロインを演じつづけ、すでに40代に達した五味涼子(ごみ・りょうこ)氏だが、先述したアクションカットは瀬奈のみならず、五味氏自身の「キラキラ」をも感じさせてくれる見事なものであった。


*充瑠=キラメイレッドと時雨=キラメイブルーの関係性の変化!


 エピソード3では一応クールキャラの時雨がマンリキ邪面によって頭が万力ではさまれたままとなってしまい、小夜から「頭蓋骨(ずがいこつ)がゆがんでる」(笑)と診断されるほどなのに、「男のやせ我慢」を美学とする時雨は決して弱みを見せようとしない。
 頭に万力がついたままで殿様役の時代劇の撮影を強行したにもかかわらず、楽屋に戻るとおもいっきり痛がるという、クールなキャラが第3話の時点で早くもネタキャラと化す(爆)ほどの多面的な演出は好印象だが、以前なら時雨のようなキャラがコミカルな面を見せるのは第3クール以降だったものであり、隔世の感がうかがえよう――エピソード10で常に時雨の写真入りの抱き枕を抱きしめ(爆)、やたらと「結婚してくれる?」と口走るストーカー的な女性ファンに困り果てた時雨が終始オドオドする描写もそうだが――。


 劇中劇のメイキング風景が描かれるのは坂本浩一監督ならではの演出だが――時雨の部下を演じる俳優役でベテランスーツアクターの清家利一(せいけ・りいち)氏や蜂須賀祐一(はちすか・ゆういち)氏を出演させる配慮もまた然りだ――、時雨の頭から万力をはずそうとしたキラメイジャーが「ワイヤーアタック作戦」「大切断作戦」「ウィリアム・テル作戦」を展開するのは、その字幕テロップからして明らかに初代『ウルトラマン』第34話『空の贈り物』で空から落ちてきたメガトン怪獣スカイドンに対する防衛組織・科学特捜隊の作戦のパロディであり、荒川&坂本コンビのいつもの悪いクセである(爆)。


 楽屋で散々痛がっていたのに、充瑠・為朝・瀬奈の前では必死で耐え、出動要請にホラ貝の音(ね)とともに「いくぞぉ~~~っ!」と気合いを入れたほどに(笑)、とにかく自身のカッコ悪い部分を見られるのが耐えられない時雨のことを、充瑠は先の時代劇をヒントに、


「殿、ここは我々におまかせを!」


とキラメイジャーに変身してのクライマックスバトルで時雨=キラメイブルーの部下としてベチャットとの前座バトルに徹するとともに、マンリキ邪面から万力をはずすためのハンドルを奪い、キラメイブルーにマンリキ邪面との一騎打ちをさせたほどに、常にカッコよくありたいとする時雨の想いを最大限に尊重したのだ。


「あとはオレにまかせろ!」


 キラメイソードから光の刃(やいば)「ブルーブライトスラッシュ!」を放ってマンリキ邪面を倒す最高のカッコよさを見せつけたキラメイブルー!
 アクション演出を単なる見せ場としてではなく、あくまでドラマ性を高めるための手段として最大限に駆使する坂本監督ならではの回だったが、キラメイブルー=時雨もキラメイジャーの仲間たちの前なら自分の弱さをさらけ出せると劇中内インタビュー番組で語るほどに心の変遷をとげるに至ったのだった。


 先述したように、メンバーひとりひとりが輝くために支え合い、「5人がひとつ」を示したからこそ、この回のクライマックスでは5体の魔進が初合体した巨大ロボ・キラメイジンが初登場をとげるかたちでの作劇となっている。


 全身の各所に電飾が施(ほどこ)されたクリアパーツをあしらった造形を視聴者に印象づけるために、『キラメイジャー』の巨大メカ戦では邪面獣が空一面に闇を放つことでナイトシーンの戦いとして描く演出が多いのが最大限に効果を高めており、ロボの合体や攻撃時に5体の魔進が実ににぎやかにかけあいを演じるのも、「5人がひとつ」をより強調する演出となり得ていた。


*充瑠=キラメイレッドと小夜=キラメイピンクの関係性の変化!


 さらに小夜が泣いてばかりいる5歳の少女――ただし精神だけで姿はそのまま(笑)――になってしまったエピソード6では、「戦闘の場で5歳の子供にできることはない」と主張する為朝に対し、充瑠は


「5歳だからこそできることがあるんじゃないかな」


との疑問を投げかける。


 ちなみにエピソード3では時雨の「男のやせ我慢」に対して


「ガマンするのがいいこととは思えないけど」


との見方を示していた。


 充瑠がほかのメンバーとは常に別の視点・観点で語ることで、本作は価値観の異なる者同士が合議する「群像劇」としての色合いも強めているのだ。


 小夜が医師を志(こころざ)す契機となった、5歳当時に工事現場に迷いこんだ犬を助けた小夜の記憶を呼び覚ました充瑠は、デジタルカメラ邪面に連れ去られた大勢の人々の救出について、


「これは小夜にしかできないことなんだ!」
「子供だってキラメイジャーだ! 覚悟さえ決まれば、きっとできる!」


と小夜をひたすら諭(さと)しつづける!


 パーソナルカラーのピンクを象徴する桜の花びらが舞い散る中、ついに意を決した小夜がキラメイピンクに変身するカットは、まさに小夜が「キラキラ」を最大限に発揮させるさまが実に美しく描かれていた!



 こういう人間ドラマ的にも盛り上がった末に変身を果たしたような特撮カットでは、キラメイジャーの頭部前面と両肩に造形されたキラキラとしたダイヤ状を包むクリアパーツや全身光沢(こうたく)仕様のスーツが使われていることとか、


「キラッと参上! カラッと解決! 魔進戦隊、キラメイジャー!!」


との名乗りが、『快傑(かいけつ)ズバット』(77年・東映 東京12チャンネル→現テレビ東京)の


「ズバッと参上! ズバッと解決! 人呼んでさすらいのヒーロー! 快傑ズバぁぁ~ット!!」


をおもいっきりパクっているのみならず、まるでフィギュアスケート競技の男女ペアみたいに(笑)イエローがグリーンを、ブルーがピンクを受けとめているキメポーズとか、キラメイショットの発砲時やキラメイソードで敵を斬る際にキラキラとした画面効果がCGで描かれることとか、魔進のコクピットの壁面にもダイヤ状の造形物が装飾されるなどの徹底ぶりが、画面に実にキラびやかな華(はな)を与えていて、キメの場面での盛り上がりにもおおいに相乗効果を発揮している。


――エピソード9ではキラメイグリーンが百人一首の読み札(よみふだ)的に、「わたしたち~、魔進戦隊キラメイジャ~、キラッと参上カラッと解決~~」と和風で名乗りをキメ、ヒャクニンイッシュ邪面が「いとおかし」(笑)と返す、実に遊び心にあふれる変化球を早くも披露していてヒーロー性やドラマ性の強調とは真逆だが、これもまた『キラメイジャー』の柔軟な作風を端的に象徴しているといえよう――


*充瑠=キラメイレッドとCARAT設立者・博多南とマブシーナ姫と為朝=キラメイイエローとの関係性!


 2016年、動画無料配信サイト・YouTube(ユーチューブ)に「ピコ太郎」の名義で投稿したプロモーション映像が全世界的なヒットを飛ばしたことで有名なタレント・古坂大魔王(こさか・だいまおう)氏が演じるのが、一見ラッパー風だが地球防衛組織・CARAT(カラット)の設立者でキラメイジャーを支援する博多南無鈴(はかたみなみ・むりょう)だ。


 その彼がエピソード2の冒頭で卑屈な態度でいる充瑠に


「君には君のキラキラがあるじゃないか?」


とそう語りかけていた。彼とマブシーナはメンバーを信頼し、その想い・気持ちを尊重することで各人の個性をさらに伸ばしたり、逆に意外な良さ・魅力をひきだすに至った充瑠こそがリーダーにふさわしいと確信したのだ。


 博多南とマブシーナもまた人を見る目が優れているといったところだが、17歳のフツーの高校生・充瑠でさえそうした人心掌握(しょうあく)術に長(た)けているというのに、そんな能力もないどころか、先述したようなズル賢い部下の「やってます」アピールにだまされるような無能な管理職が、世間にはなんと多いことか(大爆)。


 それはともかくとして、足が速いとか、イケメンでカッコいいとか、スポーツ万能とか、美少女だとか、学力優秀だとか、見るからに「キラキラ」とした同級生たちに比べてどうして自分は何もないのだろう……と、何十年も前の筆者みたいに日々悩む子供たちにとっては、「誰にでもキラキラがある」とする『キラメイジャー』のメッセージは少なくとも一条の光が照らされるものとなり得ているだろう。
 世の教育者たちにも見た目とか「やってます」アピールにだまされることなく、そうした埋もれた子の「キラキラ」こそをひき出してほしいと思うのだ。


 それは想像したものを実体化させる誰の目にも明らかな「陽」としての特殊能力だけではない。
 瀬奈や時雨・小夜の「キラキラ」を最大に高めたことで戦闘を勝利に導いた、充瑠の「陰」としての功績こそに気づいたキラメイイエロー=為朝に


「やるな、アイツ」


と戦闘中にうならせる描写がまた、同時に為朝自身の慧眼(けいがん)・人間観察力をも視聴者側にわからせる、絶妙な相乗効果も発揮している。


 まぁエピソード5の時点で為朝と充瑠の関係性が好転するのは少々早すぎると思えるけど、コレは基本は子供向けの作品であるスーパー戦隊シリーズでは例年のことではある(笑)。
 充瑠の「キラキラ」をようやく認めつつも本心では自身がリーダーにふさわしいと考えているハズの為朝が、同様に充瑠がリーダーなのを不満に思っていた相棒のイエローキラメイストーン=魔進ショベローが為朝をリーダーとした「為朝戦隊タメスキジャー」(爆)を結成しようとするも、ゲームのコントローラーとして一般的なジョイスティックの頭をしたジョイスティック邪面の力を利用してまでキラメイイエロー=為朝が充瑠に超人的な活躍をさせることでショベローが納得するに至った流れは、これまでややイヤなヤツ的に描かれてきた為朝の印象を好転させ、実は「大人」キャラなのだと掘り下げることとなり、ちょっと感動的な展開でもあった。


*魔進や着ぐるみキャラを演じる声優たちの演技も「キラキラ」してる『キラメイジャー』!


 ちなみに魔進の中で最も年長のジイさんキャラとして描かれているショベローの声を演じる岩田光央(いわた・みつお)氏は、筆者の世代には想い入れが強い者が多い学園ドラマ『3年B組金八先生』第1シリーズ(79年・TBS)の後番組として放映された『1年B組新八先生』(80年・TBS)で低身長でメガネのやんちゃな中学生・佐古光(さこ・ひかる)を演じるなど、子役時代から俳優として活躍し、これまた筆者の世代には印象深い大友克洋(おおとも・かつひろ)氏の原作で、1980年代に講談社『週刊ヤングマガジン』に長期連載された第3次世界大戦で廃墟と化すも2020年の東京オリンピック(!)を間近に控えて復興しつつある東京を舞台としたSFマンガ『AKIRA(アキラ)』の劇場アニメ版(88年・東宝)――2020年4月にそのリマスター版が一部の劇場で公開された――で主人公の暴走族少年・金田正太郎(かねだ・しょうたろう)の声を演じたのを皮切りに声優としてのキャリアを積んできた大ベテランだけに、筆者と年齢がほぼ同じなのに見事なまでに「ジイさん」を演じきっている。
 氏は近年では主人公の男子高校生が犬のユルキャラの姿(笑)をしたバケモンに変身する深夜アニメ『グレイプニル』(20年)で、巨大怪獣に変身可能な敵集団のボス・円(まどか)も演じている。


 今回は声優陣の顔ぶれが実に豪華だ。
 エピソード6で5歳の少女にされた小夜から案の定「ヘンなのいる。こわ~い」と云われてしまい、「ガ~~ン!!」と当人もショックを受けたほどに(爆)当初は異様なデザインに見えたものの最近ではようやく慣れた(笑)マブシーナの声は、キラキラつながりで女児向けアニメ『キラキラ☆プリキュア アラモード』(18年)の途中追加ヒロイン・キラ星シエル=キュアパルフェを演じたアイドル声優・水瀬(みなせ)いのり氏が務める。
 その父・オラディン王の声とナレーションはかの京都アニメーション出世作となった学園SFアニメ『涼宮(すずみや)ハルヒの憂鬱(ゆううつ)』(第1期・06年 第2期・09年)の男子高校生主人公・キョンをはじめ、『ウルトラマンギンガ』(13年)のウルトラマンギンガなど、いまや重鎮(じゅうちん)となった感のある杉田智和(すぎた・ともかず)氏が演じる。
 レッドキラメイストーン=魔進ファイヤの声は大の特撮好きで知られ、『仮面ライダー電王』(07年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20080217/p1)とその続編映画や派生作品の数々、さらに『仮面ライダージオウ』に至るまで、主人公側のイマジン(怪人)で「いいよね? 答えは聞いてない!」が口グセのリュウタロスを長年演じつづけてきた鈴村健一氏が担当している。


 『仮面ライダー電王』のイマジンたちのコミカルなかけあいが子供にも大人にも大ウケしたためか、翌年度の『炎神(えんじん)戦隊ゴーオンジャー』(08年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080824/p1)では『キラメイジャー』の魔進の元祖ともいえる、乗りものと動物の特性をかけあわせた炎神と呼ばれるメカが多数登場し、毎回実ににぎやかだったものだ。


 これらの成功例からすれば毎年同様の擬人化したマスコットメカを大挙登場させてもよさそうなものだが、


「テンションマックス! めっちゃメラメラだ!」


の口グセが象徴的な熱血漢のレッドキラメイストーン=魔進ファイヤ。
――この「めっちゃメラメラ」は往年の海外アニメ『スーパースリー』(67年)や『宇宙忍者ゴームズ』(69年・原題『ファンタスティック・フォー』)などで吹き替えを担当したコメディアンの故・関敬六(せき・けいろく)氏が劇中で散々口走り、のちにお笑いグループのダチョウ倶楽部(くらぶ)もネタにした「ムッシュムラムラ」が語源だろう。まぁ「昭和」ネタが大好きな荒川センセイですから(笑)――


 先述したジイさんキャラで為朝から


「ショベじい」


と呼ばれるイエローキラメイストーン=魔進ショベロー。


 エピソード9でおさななじみとの関係性に悩む瀬奈に緑のスーパーカーとなって


「お嬢様、ちょっとドライブしませんか?」


とイケメンボイスでエレガントに声をかけるグリーンキラメイストーン=魔進マッハ。


 時雨を


「アニキぃ~~」


と呼ぶような、先述した『仮面ライダー電王』のリュウタロスに近い子供っぽいキャラのブルーキラメイストーン=魔進ジェッタ。


 往年の変身ヒロインアニメ『美少女戦士セーラームーン』(92年~・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20041105/p1)のごとく、


「ビシッとお仕置きです!」


が口グセの紅一点(こういってん)・ピンクキラメイストーン=魔進ヘリコ。


 これら明確にキャラ分けされた魔進たちが、基地のカタパルトを移動していっせいに発進する際や、戦闘中のみならず格納庫での待機中でさえもにぎやかにコミカルなやりとりをかわすさまは、メインターゲットの子供たちにおおいに親しみを感じさせるのみならず、かの『電王』のようなムーブメントをライト層の若者たちの間でも巻き起こすかもしれない。


 もっともエピソード10ではストーカーの女性ファンからの求婚を、もっともらしく「今のオレには芝居しかないから」ときっぱり断ったとした時雨を


「それはむしろ将来的に期待させてる!」
「単なるカッコつけだ!」


などと魔進たちが意表外にも人間の人情の機微の細かいところをわかった上で、先の先のことまで見通していっせいに批判したために(笑)、キラメンタルを繊細にコントロールすることでキラメイソードの中間部の刃を消し、人質のストーカー女性を斬ることなくミュージック邪面を見事にブッた斬るカッコよさを見せたようなキラメイブルー=時雨のことを、完全にネタキャラとしても確立させてしまったが(爆)。


*コロナ禍で放映中断! 特別番組5本も災い転じて福となす!


 ところで2020年に世界を大混乱に陥(おとしい)れた新型コロナウィルス感染防止策として4月以降全国に発令された緊急事態宣言によって製作スケジュールが変更されたことから、『キラメイジャー』は5月17日から6月14日までの5週に渡って新作の放映を中断(!)――早期退院で済んだが充瑠役の小宮氏も感染したほどであり、東京ドームシティのシアターG(ジー)ロッソでの『魔進戦隊キラメイジャーショー』も公演不能となってしまった――、その期間は代替として


・映画『魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO』
・『1・2話未公開カット蔵出し いまいちどスタートダッシュSP(スペシャル)』
・『キラトーーク! 相方大好き魔進』
・『キラトーーク! このバトルがスゴイ!!』
・『ガルザとクランチュラのジャメンタル研究所』


が放映された。


 例年2月のスタートが多かったスーパー戦隊シリーズは前作『騎士竜戦隊リュウソウジャー』以降3月放映開始となったが――『超新星フラッシュマン』(86年)・『地球戦隊ファイブマン』(90年)・『超力(ちょうりき)戦隊オーレンジャー』(95年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110926/p1)・『激走戦隊カーレンジャー』(96年)など過去にも3月スタートの作品はあるが――、『キラメイジャー』が1ヶ月も新作の放映が休止されたことから、子供たちの年間行事と連動したバンダイの玩具販売スケジュールの方が優先されるだろうから、本作は放映話数が短縮されたり、クリスマス商戦合わせの展開を1ヵ月分は早めることで、後半のシリーズ構成に悪影響を及ぼすことが懸念(けねん)される。
 またテレビシリーズと内容が連動していることもあってか、例年より早い2020年7月23日の4連休初日に公開予定だった映画『魔進戦隊キラメイジャー THE MOVIE(ザ・ムービー)』(20年・東映)もついに延期となってしまった。


 これは『キラメイジャー』に限らないが、無観客試合としてようやくスタートしたプロ野球やサッカーJ(ジェイ)リーグが客を入れることになったとしても、感染予防策として客席を減らしたり応援をいっさい禁止するとしている以上、今後変身ヒーローのアトラクションショーの運営はいったいどうなるのか? まさか無観客でのネット中継をウチで観るなんてことになりはしないだろうな?――小児(0~16歳)のコロナ感染による死亡例が2020年5月時点の先進7カ国の統計では44例に留まっていることから、100年前のスペイン風邪のように第2波での変異でウイルスが強毒化しないかぎりは、あまりに神経質にすぎる感染予防策の数々に対しては辟易(へきえき)するしかないのだが――


 そんな惨状(さんじょう)の中、まさに苦肉の策ではあるのだろうが、これまでの名場面集の連打で乗り切ることができたのも、同じテレビ朝日トークバラエティ番組『アメトーーク!』(03年~)のパロディ的な演出ができたほどに、まさにコメディアン的なキラメイストーン=魔進たちを大挙登場させていたからであり、子供たちの関心を持続させるにはきわめて有効だったかと思えるのだ。


「このあと新ヒーローがしゃべる!」
「このあと名乗ります!」


などとCMのあとにひっぱるかたちで「6番目の戦士」を毎回小出しで先行紹介したあたり、さすがは東映、ころんでもタダでは起きないという感がある(笑)。
――6番目の戦士・キラメイシルバーこと「クリスタリア高路(たかみち)」なる人物名は一見するとフザけているようだが、その出自は明らかに宝石の国・クリスタリアとの深い因縁(いんねん)があるのだろう――


 ちなみに『1・2話未公開カット蔵出し』では、エピソード1の未放映カットとしてジャグチヒルドン襲来を中継する女子アナの語りや、初出動を呼びかける相棒のキラメイストーンとキラメイチェンジャーで会話する各メンバーの姿、エピソード2の未放映カットとしては充瑠の「ひらめキ~ング!」に「またそれか」(笑)とあきれる為朝の姿などが編集されて放映されたが、当初のオンエアでは尺の都合でどちらも敵に勝利したところでいきなり終わった(爆)エピソード1&2も、ちゃんとラストシーンが撮影されていたことが明らかにされた。
 特にエピソード2では充瑠をリーダーとして認めた瀬奈が「これからはタメ口でいいよ」と語ったり、マブシーナが「やっぱり充瑠さんがリーダーですね!」と実感する描写が撮影されながらも実作品ではカットされていたことが発覚した(汗)。
 いくら「子供番組」とはいえ、視聴後にさわやかな余韻(よいん)を与える意味でこれらはぜひ残してほしかったと思えてならないのだが……


 話が戻るが、実は『キラメイジャー』本編の人間ドラマは意外にシビアな展開もやってはいるものの、90年代以降のスーパー戦隊ではすでに伝統となっているギャグ系怪人たちの愉快な描写に加え、キラメイストーン=魔進たちが全編に渡ってにぎやかにしゃべくりまくることで「子供番組」として実にいい感じに中和されているのだ。


*仮面怪人ならぬ邪面怪人! 元祖『秘密戦隊ゴレンジャー』の安っぽい造形の敵怪人へ意図的に回帰!?


 ところで巨大怪獣の邪面獣同様に、『キラメイジャー』では等身大の怪人・邪面師(じゃめんし)も地球文明の器物の顔をしているのだが、毎回マスクは異なるものの、そのスーツとマントの意匠(いしょう)は皆共通しており、スーパー戦隊の元祖『秘密戦隊ゴレンジャー』(75年)の敵組織・黒十字軍の仮面怪人に先祖帰りしたかのような、あまりに安っぽい造形だ(汗)。
 まぁここ数年のスーパー戦隊の営業成績の不振が予算を削減させるに至ったのかと思えるのだが、従来は等身大の怪人がクライマックスバトルでそのまま巨大化していたのに対し、それとは別個で重厚な造形の巨大怪獣を出しているのは苦肉の策とはいえ、メインターゲットの子供たちには新鮮な驚きとして映るだろう――これは『ウルトラマンレオ』(74年)前半に登場した通り魔「星人」(笑)たちが、等身大時の簡素なスーツと巨大時の着ぐるみが双方用意されていたのを彷彿とさせる――。


 もっとも邪面獣の方もクラゲ型とか海獣型とか恐竜型など、いくつかある素体の頭部だけをすげ替えて使い回しているのだが(笑)。
 これまた「昭和」の時代に怪獣映画『フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)』(65年・東宝)に登場した地底怪獣バラゴンの着ぐるみを、『ウルトラQ(キュー)』(66年)で地底怪獣パゴスに、元祖『ウルトラマン』(66年)で透明怪獣ネロンガ・地底怪獣マグラ・ウラン怪獣ガボラに改造して使い回したあげくにゴジラ映画『怪獣総進撃』(68年・東宝)で元のバラゴンに戻された伝統の技の継承である――『怪獣総進撃』でほかの怪獣に比べてバラゴンの出番が極端に少なかったのは、ぶっちゃけもう着ぐるみがボロボロだったからだ(爆)――。


 ただコレはちょっとした改造でなんとか別の怪獣に見せようとする創意工夫から生まれたのだが、『キラメイジャー』では着ぐるみの使い回しを隠すどころか堂々と設定にして開き直りを見せているのがスゴいというかなんというか。まさかこれまたウルトラ大好きな荒川氏の知恵なのか?(大爆)


*「絶対悪」、そして「因縁の敵」としてのガルザの魅力!


 先述したように予算の関係からか、前作の『リュウソウジャー』同様に今回も敵組織・ヨドンヘイムはエピソード10の時点では幹部が2名登場するのみである(汗)。
 しかしエピソード4では敵幹部・ガルザの回想で巨大な姿のボス・ヨドン皇帝が描かれており、なんといっても映画『エピソードZERO』でのクリスタリアを一気に制圧する軍事力からすれば、組織の巨大さはかろうじて表現されているといえるだろう。
 またある意味ではメインヒロインといっても過言ではないマブシーナの因縁の敵として、ガルザが物語の開幕から描かれていたことも大きい。


 もうひとりの幹部・クランチュラはややコミカルなキャラだが、画家・ムンクの代表作『叫び』をモチーフにしたかのような戦闘員・ベチャットの顔を頭部に複数つけたアバンギャルドなデザインであり、『ウルトラマンレオ』で初登場以来近年のウルトラマンシリーズで繰り返し再登場しているサーベル暴君マグマ星人のように、スーツアクターの口元が露出した造形なのはスーパー戦隊の敵キャラとしては特筆すべきだ。
 ちなみにクランチュラを演じるのは、かつて『電磁戦隊メガレンジャー』(97年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20111121/p1)でお馬鹿な演技が印象的であったメガピンクや『燃えろ!! ロボコン』(99年・東映 テレビ朝日)の主人公ロボット・ロボコンを務め、近年は『獣電戦隊キョウリュウジャー』(13年)のラッキューロや『リュウソウジャー』のクレオンなどマスコット的な敵幹部キャラを演じていた神尾直子氏(!)。その声を担当するのが『ロボコン』と同時期に同じく特撮コメディ作品として放映されていた『ブースカ! ブースカ!!』(99年・円谷プロ テレビ東京)の主役快獣・ブースカの声を演じた高戸靖広(たかと・やすひろ)氏であることにも妙な因縁を感じずにはいられない(笑)。


 クランチュラにしろ邪面師にしろコミカルキャラが圧倒的なのに、それでもヨドンヘイムが悪の組織としての威容(いよう)を放っているのは、それだけガルザが悪の存在感たっぷりに描かれているからだ。
 兄のオラディンが青い宝石をモチーフとしたデザインなのに弟のガルザが紫(笑)なのはまぁ確信犯だろうし、『エピソードZERO』で反逆者となって以降に三日月(みかづき)をモチーフとした黒い仮面と黒い鎧(よろい)で武装した姿もさることながら、ロボットアニメ『機動戦士ガンダム00(ダブルオー)』(第1期・07年 第2期・08年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20100920/p1)のイケメン宿敵青年グラハム・エーカーや『マクロスF(フロンティア)』(08年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080930/p1)の青年主人公・早乙女(さおとめ)アルト、『特命戦隊ゴーバスターズ』(12年)の戦隊シルバーこと人型ロボットのビート・J・スタッグ=スタッグバスターに『ウルトラマンX(エックス)』(15年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200405/p1)のウルトラマンエックス、かと思えばボッチアニメ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20150403/p1)の女子高生主人公・黒木智子の中学生の弟・黒木智貴(くろき・ともき)など、硬軟見事に演じわける実力派アイドル声優中村悠一(なかむら・ゆういち)氏のイケボ(イケメンボイス・笑)がピタッとハマっているのがまたカッコいい!
 深夜アニメ『文豪(ぶんごう)とアルケミスト~審判ノ歯車~』(20年)で氏が声を演じた太宰治(だざい・おさむ)もまた然りだった。


 そしてエピソード4で初めてガルザが地球に来訪した場面では、かつてクリスタリアの王室専用列車だった蒸気機関車型の魔進ジョーキーを暴走させて都心のビル街につっこもうとしており、それを阻止しようとする魔進たちとの特撮デッドヒートが迫力たっぷりに描かれていたのだった。
 紫のレールを生みながら地球までワームホールのトンネルを走ってくるという、『仮面ライダー電王』のデンライナーや『烈車戦隊トッキュウジャー』のレインボーライン、『炎神戦隊ゴーオンジャー』の列車型の古代炎神などのノウハウを活かし、繰り返しモチーフとされるほどに子供たちに人気の鉄道メカを描いたことで視覚的なインパクトは充分だったと思うがそればかりではない。


「このツメ、このキバ、チェーンソー!」


 魔進ジョーキーは東宝の怪獣映画・ゴジラシリーズに何度も登場したロボット怪獣メカゴジラのような巨大メカ怪獣・スモッグジョーキーへと合体変型をとげるのだ! 尾が鋭いチェーンソーなのは、同じくゴジラシリーズに登場した全身が凶器のかたまりだったサイボーグ怪獣ガイガンをも彷彿とさせるカッコよさだ!
 そういえば『激走戦隊カーレンジャー』中盤で描かれた新合体ロボ誕生編に登場した巨大メカ怪獣のブレーキングはメカゴジラ、改造ブレーキングはガイガンを思わせるデザインだったが、当時は完全にガキ向けの作風だとバカにしていた(汗)筆者もおもわずコーフンしてしまったほどに、男の子が好きなものはみんないっしょということなのだろう(笑)。


 本編の坂本浩一監督の意向を反映してか、佛田洋(ぶつだ・ひろし)特撮監督はスモッグジョーキーとキラメイジンの山間部での巨大メカ戦をオープンセットであおりショットを多用して描いていたが、この回の邪面獣キュウセッキバサラとの市街戦を「ガード下」からのロング(ひき)で繰り返し描いたのも坂本監督からの注文かと推測する。
 ところで近年のウルトラマンシリーズの特撮場面でよく見られるこの「ガード下アングル」は特撮も兼任する坂本監督らが編み出した手法かと思っていたら、佛田監督がこの『カーレンジャー』の時点ですでにやっていました(汗)。
 同時期の「平成」ウルトラマン三部作(96~98年)ではほとんど見られなかった手法かと思えるのだが、実は『ウルトラマン80(エイティ)』(80年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971121/p1)第13話『必殺! フォーメーション・ヤマト』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20100725/p1)の再生怪獣サラマンドラの都市破壊場面で故・川北紘一(かわきた・こういち)特撮監督も40年前にやっていたことを、動画配信サイト・YouTube(ユーチューブ)での『80』週1配信でつい最近確認しました……オレはこれでも特撮ファンか(大汗)。


 話を戻すがエピソード4の巨大戦ではキラメイジンとの対決で邪魔になったキュウセッキバサラを、ガルザがスモッグジョーキーで容赦(ようしゃ)なく処刑するさまが描かれた。
 このエピソード4はクリスタリアを侵略したのはヨドン皇帝に感情を奪われて暗殺人形にされたためで、オラディン王も生きているなどと偽(いつわ)り、その暗黒力を阻(はば)むホワイトキラメイストーンをマブシーナから奪おうとしたガルザの悪辣(あくらつ)ぶりが本編部分で描かれていただけに、坂本監督は巨大メカ戦でもその裏切り処刑描写の反復を強調することでよりドラマ性を高めようとしたのだろう。


「死んだハズのお父さんが生きていると聞いたら誰だって信じたくなる! そんなマブシーナの気持ちを踏みにじって欲望を満たそうとしたおまえを、オレは絶対許さない!」


 火薬を大量に使用し、カメラを不安定に傾けながらのキラメイレッドとガルザのガチンコ対決を臨場感たっぷりに描くのもさることながら、回想場面を多く挿入(そうにゅう)してクリスタリア人の人物相関図・因縁関係をあらためて視聴者に示し、魔進を生む力は兄より自身の方が上だとするガルザが反逆者となった動機や、そのために父や祖国を奪われたマブシーナの悲劇性を強調する演出によって、そのクライマックスはさらにドラマ性が高められていたのだった。


 また『エピソードZERO』冒頭で描かれたクリスタリアの悲劇は、充瑠が教室で居眠りした際に見た夢とされていたのだが、今回は充瑠がガルザを初めて目にした際に


「この顔……夢で見たアイツだ!」


とつぶやき、ガルザにも


「(オラディン)王と響きあわねば、そんな夢は見られぬ!」


と語らせ、一見何の関係性もなさそうなキャラ同士に強い因縁を持たせる手法は、こちらは最初から親子関係だと放映前の宣伝の段階でバラしているものの『ウルトラマンジード』(17年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200523/p1)の主人公で地球人の少年・朝倉リク=ウルトラマンジードと敵側のウルトラマンベリアルとの関係を彷彿とさせるようでもあり、『キラメイジャー』が決して1話完結形式ではない連続ものとしての魅力を視聴者に提示しているといえるだろう。


*帰ってきた三条陸&竹本昇コンビによる大傑作!


 この充瑠とガルザとの深い因縁は、エピソード7『トレーニングを君に』&エピソード8『エクスプレス電光石火』の前後編でさらに強化されることとなった。
 このエピソード7&8は『獣電戦隊キョウリュウジャー』をメインライターとして全48話を完全執筆(!)したほか、『仮面ライダーW』や『仮面ライダードライブ』のメインライター以来、東映変身ヒーロー作品には久々の参加となる三条陸(さんじょう・りく)氏による脚本だ。
 新キャラや新メカ、新必殺技の登場を玩具展開と連動して最大限に盛りあげるために、まずそれらありきで逆算してストーリーを発想・構築していく氏ならではの作風、そして巨大メカ戦に重点を置く竹本昇監督がコンビを組むことにより、ホワイトキラメイストーンが変型した新幹線型の魔進エクスプレス、そしてガルザが操縦する敵側の魔進ジョーキーと合体(!)を果たすことで巨大ロボ・キングエクスプレスが誕生するさまをおおいに盛りあげる手段として、充瑠とガルザの先の因縁が反復して描かれたのだ!


 エピソード7のラストで双頭の邪面獣レーネツダガメスとスモッグジョーキーの猛襲でキラメイジンは機能を停止する危機に陥るが、気を失いかけたキラメイレッド=充瑠、そしてガルザはともに都会の夜の闇を舞う新幹線のような特急列車、そして全身が白く輝く「光の巨人」を目撃する!
 しかしレッド以外のキラメイジャーにはそれらが見えない(!)という描写は、まさに『烈車戦隊トッキュウジャー』で描かれた「イマジネーション」の力を彷彿とさせるが、


「奴にも見えている。兄上と同じ力を!」


と、ガルザが充瑠にさらに怒りをつのらせる動機として、この幻想的な特撮カットは完全に人間ドラマの一環としても演出されていたといえるだろう。


 エピソード7では兄のオーブン邪面と弟のフリーザー邪面の家電怪人の兄弟ゲンカがコミカルに描かれるが、


「弟のくせに、か……」


と、ガルザが彼らの関係性を自身と兄のオラディンに重ねあわせ、ほんの少し早く生まれただけで見下しつづけてきたとする兄への恨みを反復して描くことで、その兄に似ていて兄とも同じ能力を持つ充瑠に対する怒りを増幅させるガルザにより説得力を与えていた。
 だが単にガルザが弟のフリーザー邪面に肩入れして加勢するのではなく、逆にそのフリをした末に弱い方が捨て駒になるのはあたりまえだと、先述したエピソード4同様に仲間であるフリーザー邪面を処刑することで、その冷酷(れいこく)にすぎるキャラを再度強調していたのは実に秀逸(しゅういつ)であった。



 ところでエピソード7で戦闘中に充瑠が気を失ったのは、キラメイジャーたちが充瑠に強いリーダーになってもらおうと、


小夜「みんな心を鬼モード」(爆)


にしてマラソン・剣道・合気道・射撃と、充瑠に「地獄の特訓」(笑)を繰り返したために充瑠が疲れきっていたからでもある。
――為朝の特訓は両者がキラメイジャーに変身してキラメイショットで撃ち合うものだったが、映画『エピソードZERO』以来披露しているように、キラメイイエローが地面をブレイクダンスしながら周囲を狙撃する動きは、スーパー戦隊シリーズ超電子バイオマン』(84年)のグリーンツーによるブレイクアクションを彷彿とさせる――


 すでに充瑠がヘロヘロになっているにもかかわらず、メンバーたちがまったくそれに気づかずに平然とあたりまえのように特訓をつづけたり、キラメイストーンたちまでもが総じてその特訓に肯定(こうてい)的に語るさまがあまりにリアルだ。
 ホントに一般人たちはそんな特訓をしたらヘタすりゃ死んでしまうような、我々みたいな人種が存在することを全然わかっていないのですよ(苦笑)。


充瑠「文化系の体力のなさ、甘く見ないでほしいよ」(大爆)


 『ウルトラマンレオ』でモロボシ・ダンウルトラセブンが主人公のおおとりゲン=ウルトラマンレオに「地獄の特訓」を課したのを皮切りに、レオが弟子のウルトラマンゼロに、そのゼロがウルトラマンギンガやウルトラマンビクトリー・ウルトラマンオーブウルトラマンZ(ゼット)らに特訓を課すさまが近年でも描かれているが、それは彼らにそうした試練に対する耐性があったからこそであり、それに耐えられない人間だっていることが変身ヒーロー作品で示されたのは快挙といってよいだろう。


 脚本の三条氏は瑳川竜(さがわ・りゅう)の名義でかつて講談社コミックボンボン』で連載された『ウルトラマン超闘士激伝』の原作を担当した際、「昭和」の第2期ウルトラマンシリーズのネタも多数散りばめていたほどに第2期ウルトラにも肯定的なので、決して「地獄の特訓」に否定的ではないだろうから、どちらかといえば竹本監督が我々のような人種におおいに感情移入させる演出に徹したのだろう。
 コレ坂本監督だったら絶対あり得なかったな(爆)。


 充瑠が特訓を断れなかったのは皆が自分のためにしてくれたからこそだと、エピソード8で看破したマブシーナは充瑠の優しすぎる性格を父のオラディンに重ね合わせる。


ガルザ「なぜそこまで民(たみ)のために自分を犠牲にするのですか!?」
オラディン「人を助けるのに、理由がいるかね?」


 充瑠はイメージを絵にすることでキラメンタルを蓄積(ちくせき)するのであり、そんな「自分の時間」が誰にだって必要だとする、博多南の「よくぞ云ってくれました!」的な発言もあり、キラメイジャーはあらためて充瑠の「キラキラ」に気づかされる。


 だがエピソード4につづいて再度ホワイトキラメイストーンを奪おうとするガルザは、その保管施設の警備員たちを避難させる充瑠が


「人を助けるのに、理由なんてない!」


と叫んだことに、かつてのガルザの問いに対するオラディンの返答を彷彿とさせてしまい、


「必ずこの手で葬(ほうむ)るぞ!!」


とまで激高してしまうのだ!


 同じ人間・同じ発言に対する見方を両極端に対比的に描くことで正義側と悪側の立場を明確にする作劇的技巧が実に冴(さ)え渡っている。しかし逆に巨大メカ戦では正義側と悪側があくまで同族であることを強調していたのがまた見事だ。


 充瑠の「ひらめキ~ング!」によって巨大なホワイトキラメイストーンは施設の天井を突き破り、宙でマシンエクスプレスに変型するが、それがガルザが操る魔進ジョーキーと「連結合体!」を果たすのは、正義側と悪側が同じテクノロジーから生みだされてきた仮面ライダーシリーズを彷彿とさせるとともに、ガルザが魔進の操縦権を奪われてしまうのは、彼が兄・オラディンの威光(いこう)からは決して逃れられないことを絶妙に描いたものだろう!


 坂本浩一監督が等身大のアクション演出をドラマ性を高めるための手段として駆使するのに対し、竹本監督にとっては巨大メカ戦こそがドラマ性を高めるための手段なのだ。ホントにナゼ『リュウソウジャー』のローテーションには加えられなかったのか?(苦笑)


 キングエクスプレスが列車モードで生みだした線路でレーネツダガメスをグルグル巻きにしばりつけ、宙で瞬時にロボモードとなって光のブーメランを連射して倒すさまも実にカッコよかったが、充瑠が無事戦列に復帰したことに、キラメイイエローがオーブン邪面に向かって


「あいにく4人と5人じゃ大違いなんだよ、オレたちは!」


とタンカをきるのも、古い世代としては『秘密戦隊ゴレンジャー』の初代幹部怪人・日輪(にちりん)仮面が


「5人そろわないと何もできない弱虫ゴレンジャーめ!」(笑)


とののしっていたことの45年後の返答のようにも感じられ、スーパー戦隊の伝統がたしかに継承されていることを実感させてくれたものだ。
 真にドラマ性が高い作品とは、まさにこうした回のことではあるまいか?


 先述した新作の放映中止期間を経て、『キラメイジャー』は2020年6月21日放映のエピソード11『時がクルリと』から無事再開されたが、第1クールの時点でここまでのものを見せつけられた以上、最後まで楽しませてくれそうな予感がする。


2020.6.30.
(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2020年初夏号』(20年7月9日発行)所収『魔進戦隊キラメイジャー』序盤合評より抜粋)


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