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ウルトラマンエース1話「輝け! ウルトラ五兄弟」


「ウルトラマンエース」総論
「ウルトラマンA 再評価・全話評!」 〜全記事見出し一覧


ファミリー劇場ウルトラマンA』放映開始記念・連動連載!)
(脚本・市川森一 監督・筧正典/満田かずほ 特殊技術・佐川和夫)
(文・久保達也)
 筆者が本作を視聴するのは92年にケイエスエスから発売されたレーザーディスクを購入時に観て以来実に十数年ぶりなのであるが、やはり今観返しても素直に「面白い!」「楽しい!」と思える出来映えであった。


 この回は主人公・北斗星児や南夕子、そして超獣攻撃隊TAC(タック)やウルトラ兄弟、われらがウルトラマンエースももちろん魅力的だが、それよりなによりミサイル超獣ベロクロンの圧倒的な存在感に尽きる。
 冒頭からいきなりの広島県福山市を襲撃するシーンでは口から火炎を吐いてコンビナートや市街地を徹底的に焼き払い、地球防衛軍のジェット戦闘機部隊を全身からのミサイル攻撃で全て撃ち落とす。
 北斗の捨て身の攻撃で一旦退却するも、東京に現れて東京タワーをへし折り、ウルトラマンエースのメタリウム光線に倒されるまでの間、Bパートはほぼ出ずっぱりの状態である。


 星児と夕子の出会いやTACの紹介シーン、異次元人ヤプールなどの基本設定に関わる描写などはその合間に実にコンパクトに、しかし見事にまとめられているが、各キャラクターの個性やドラマの中に『ウルトラセブン』第37話『盗まれたウルトラ・アイ』や『帰ってきたウルトラマン』第31話『悪魔と天使の間に……』を執筆した脚本の市川森一(いちかわ・しんいち)「らしさ」を見いだすこともできない
 (ウルトラ兄弟揃い踏みのシーンあたりは『快獣ブースカ』(66年)で市川が得意とした「ファンタジー」的要素が垣間見えるが。納谷悟朗が担当したエースの声が荘厳な雰囲気を醸し出し、しわがれ声のヤプールとの対比も絶妙である)。
 まさにベロクロンのひとり舞台となっているのである。


 こうした点は「大人の鑑賞に耐えるドラマ」を期待する向きには不満でしかたがなく、第2期ウルトラシリーズの評価を下げる一因にもなっているのかもしれない。
 しかしTACの竜隊長のセリフにもあるように、ベロクロンは侵略者が「超兵器」として地球に送り込んできた、「怪獣」をはるかに超えた存在であり、圧倒的な力を備えた強大な敵であることを最初に視聴者に対して示す必要があったため、ベロクロンの描写に力が入るのも当然と云えば当然であるし、シリーズの最初を飾る第1話はこれくらいの華々しさがあってしかるべきである。
 エース対ベロクロンのバトルはウルトラマン優勢→ピンチ→逆転という第2期独特の構図が既に確立し(カラータイマーの設定はこれだから活きる!)、まさに手に汗握る展開である。


 何を考えるヒマも与えず、次から次に繰り出される見せ場の連続にもう目は釘付けであり、「これは毎週欠かさず見よう!」という気にもなるものだ。第2話の視聴率が第1話に比べて落ち込みが激しかった『ウルトラマンネクサス』にはこの点が著しく欠けていたというより他にない(Episode1『夜襲』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041108/p1)ではネクサスはラストにやっと登場、巨大な姿で等身大のゲロゲロモンスターをゲンコツで叩き潰して終わりである。バトルの充実のなさ以前にそんな戦い方ってひきょうやろ?・笑)。


 子供は「ドラマ」や「テーマ」や「SF性」よりも怪獣の大暴れやヒーローの大活躍が見たいのだ。怪獣の魅力を前面に押し出したこの『A』第1話のような作品が現れない限り、ウルトラの星が二度と再び光輝くことはないような気がするのだが……と思っていたら『ウルトラマンマックス』が始まってまずはひと安心というところだが。


<こだわりコーナー>
円谷プロの公式設定ではベロクロンの体重は4万4千4百4十トン(笑)。火炎やミサイルで都市を徹底的に破壊するさまはまさに「死の超獣」というわけである。
北斗星児はTAC入隊前はパンを運ぶ運転手だったという設定だが、彼が運転するのはドイツの名門・フォルクスワーゲン社のワゴン車。どんなパン屋や(笑)。
 ちなみにこのワゴン車、『ウルトラセブン』第8話『狙われた街』で幻覚宇宙人メトロン星人がタバコの運搬に使った車や、第34話『蒸発都市』で怪しい作業員たちが逃走に使ったのと同一車種の流用かと思われる。
*流用といえばもう一点。地球防衛軍がベロクロンを攻撃するシーンで『セブン』第39話『セブン暗殺計画(前編)』において、同じく地球防衛軍の戦車部隊が分身宇宙人ガッツ星人のクリスタル状の宇宙船を攻撃するシーンに流れていた進撃マーチ風の曲を流用。強大な敵に決死の攻撃を加えるという同一のシチュエーションだけに思わずうならされ、ウルトラファンにとっては嬉しい選曲である。
*TAC本部で美川のり子隊員が文書作成に使用していたのはなんとタイプライター! 現在の観点でも十分に楽しめた第1話であったが、こうした点だけはさすがに古さを感じずにはいられませんね……
*放映当時の小学館『小学二年生』5月号(72年4月初めに発売)に掲載された内山まもるの『A』第1話のコミカライズ作品(06年にコンビニ漫画『ウルトラマンA完全復刻版』として再刊)はタイトルが変更前の『ウルトラA』であった。筆者の記憶では『帰ってきたウルトラマン』の終盤で次回予告にくっつけて流れた新番組予告のタイトルは『ウルトラA』であり、番組タイトルの変更はかなり急であったようである。
 ちなみに幼稚園に通っていたころ、土曜の朝になると筆者に対して「きのうのウルトラエース観た?」(『A』の放映は金曜夜7時)と毎週たずねてくる子がいたが、その子は放映終了までずっと本作品のタイトルを『ウルトラA』と呼んでいた(笑)。
 なお内山まもるのコミカライズ版第1話にはベロクロンの他にTV版第2話に登場する古代超獣カメレキングまで登場。ベロクロンだけでもおなかいっぱいやのに豪華過ぎるでホンマに。
*『ウルトラマンA』第1話の視聴率はなんと28.8%! 平成ウルトラの何倍だ? この視聴率は、72年4月開始のTVドラマ新番組中でも第2位を誇る。ちなみに1位はNHK朝の連続テレビ小説。第1期ウルトラの視聴率と比すれば劣るといわれる第2期ウルトラだが、当時のTV界ではやはりトップ級の実力を誇っていたのである。また当時は『仮面ライダー』(71年)などの等身大変身ヒーローに特撮怪獣ブームが移行を開始した時期とも云われるが、関東地方で『A』の裏番組となった石森章太郎原作の『変身忍者 嵐』の第1話の視聴率は4.1%と惨敗に終わっている。
*本話冒頭における、名優・岸田森(きしだ・しん)によるナレーション中で、「ウルトラマンエース」という言葉のみ、音声テープのワウフラッター(回転ムラ)とおぼしき音声不調が発生している。あるいは、これは「ウルトラエース」の名前で録音が済んでいたナレーションを、その箇所のみダビング・上書きしたために生じた回転ムラとも推測できる。回転ムラの発生だけではなく、ダビング箇所のみ岸田森の声ではないようにも聞こえる。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2006年号』(05年12月30日発行)『ウルトラマンA』再評価・全話評大特集より抜粋)


『假面特攻隊2006年号』「ウルトラマンエース」#1関係記事の縮小コピー収録一覧
静岡新聞 1972年4月7日(金) SBSテレビきょうのハイライト新番組ウルトラマンエース 輝け!ウルトラ五兄弟(安心堂、はごろも缶詰提供) 〜大枠紹介記事
静岡新聞 1972年3月20日(月) SBSテレビ春の新番組〈7〉ウルトラエース 男女の空中合体で変身 〜まだこの時期は「マン」抜きの「ウルトラエース」名義


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