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ウルトラマンエース1話「輝け! ウルトラ五兄弟」

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ウルトラマンエース』1話「輝け! ウルトラ五兄弟」

(脚本・市川森一 監督・筧正典/満田かずほ 特殊技術・佐川和夫)
(文・久保達也)
(2005年執筆)


 私事で恐縮だが、筆者が本作を視聴するのは、1992年にケイエスエスから発売されたレーザーディスクを購入時に鑑賞して以来、実に10数年ぶりである。しかし、やはり今観返してみても、素直に「面白い!」「楽しい!」と思える出来映えであった。


 この第1話は、


・主人公・北斗星児(ほくと・せいじ)と南夕子(みなみ・ゆうこ)
・超獣攻撃隊TAC(タック)
・ウルトラ5兄弟
・われらがウルトラマンエース
・ミサイル超獣ベロクロン
・異次元人ヤプール


 それらが過不足なく説明されており、いずれも圧倒的な存在感も誇っている。


 超獣ベロクロンが冒頭からいきなりの広島県福山市を襲撃するシーンでは、口から火炎を吐いてコンビナートや市街地を徹底的に焼き払い、地球防衛軍のジェット戦闘機部隊を全身からのミサイル攻撃ですべて撃ち落とす。北斗の捨て身の攻撃でいったんは退却するものの、東京に現れて東京タワーをヘシ折り、ウルトラマンエースの必殺技・メタリウム光線に倒されるまでの間、Bパートはほぼ出ずっぱりの状態である。


 TACの竜隊長のセリフにもあるように、超獣ベロクロンは侵略者が「超兵器」として地球に送り込んできた「怪獣」をはるかに超えた存在である。圧倒的な力を備えた強大な敵であることを、最初に視聴者に対して示す必要もある。ベロクロンの描写に力が入るのも当然と云えば当然であるし、シリーズの最初を飾る第1話はこれくらいの華々しさがあってしかるべきだ。


 70~80年代のウルトラ怪獣の設定は、本作製作の円谷プロの社員でもあり、70年代末期からは特撮ライターとしても活躍する竹内博によるものだったが、公式設定ではベロクロンの体重は4万4千4百4十トン(笑)。実にテキトーだが、「4」の数字を並べることで、まさに「死の超獣」だとしたのだろう。


 TACが設立される前段として、全滅の憂き目にあってしまう地球防衛軍がベロクロンを攻撃するシーンでは、『ウルトラセブン』(67年)第39話『セブン暗殺計画(前編)』において、同作の地球防衛軍の戦車部隊が分身宇宙人ガッツ星人のクリスタル状の宇宙船を攻撃するシーンに流れていた「進撃マーチ」風の曲を流用している。


・星児と夕子の出会いやTACの紹介シーン
・異次元人ヤプール


 基本設定に関わる描写なども、その合間に実にコンパクトに、しかし的確にまとめられている。


 あくまでも基本設定紹介編である。そのために、各登場人物の個性やドラマの中に、『ウルトラセブン』第37話『盗まれたウルトラ・アイ』や『帰ってきたウルトラマン』(71年)第31話『悪魔と天使の間に……』などのドラマ編やテーマ編などの名編も執筆してきた、脚本の市川森一(いちかわ・しんいち)の「らしさ」を見いだすこともできない(笑)。


 ウルトラ5兄弟が揃い踏みするシーンは、この『A』という作品自体の看板要素でもあり、第1話のノルマでもあるのだが、幻想的な照明で照らされた異空間で、実に神秘的に映像化できている。生死の狭間にいる北斗と南を、現世と霊界の狭間にある幽界にまでウルトラ5兄弟がその超越的な能力で出張してきたようでもある。
 このあたりは、次作『ウルトラマンタロウ』(73年)第1話(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)での主人公・東光太郎(ひがし・こうたろう)が、生死の境を意味するのであろう異空間にさまよっているところを、ウルトラ5兄弟が巨人族と人間の身長差を無視した映像で描かれて(あるいはウルトラ兄弟の方がミクロ化しているのかもしれない!?)、東光太郎をウルトラ一族の故郷であるM78星雲・光の国へと召喚していくシーンにも踏襲されている。
――『エース』と『タロウ』でのこれらの描写によって、現世と霊界の狭間にある幽界までは、ウルトラ5兄弟は出張も可能なのだと解釈できるのだ!――


 名声優・納谷悟朗が担当したエースの声が荘厳な雰囲気を醸し出し、しわがれ声の異次元人ヤプールとの対比も絶妙である。


 しかし、TAC本部で美川のり子隊員が文書作成に使用していたのはなんとタイプライター! 現在の観点でも十分に楽しめた第1話であったが、こうした点だけはさすがに古さを感じずにはいられない(笑)。



 ところで、放映当時の学年誌『小学二年生』5月号(小学館・72年4月初めに発売)に掲載された内山まもるの『A』第1話のコミカライズ作品(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210124/p1)では(後日註:2006年にコンビニ漫画『ウルトラマンA完全復刻版』として再刊)、タイトルが変更前の『ウルトラA』になっていた。筆者の記憶では『帰ってきたウルトラマン』の終盤で次回予告にくっつけて流れていた新番組予告でも、メインタイトルは『ウルトラA』になっていた。番組タイトルの変更はかなり急であったようである。


 ちなみに、当時の筆者は幼稚園児であった。『A』は金曜夜7時に放映されていたので土曜の朝になると、筆者に対して「きのうの『ウルトラエース』観た?」と毎週たずねてくる子がいた。その子は放映終了までずっと本作品のタイトルを『ウルトラA』と呼んでいた(笑)。


 本話冒頭における名優・岸田森(きしだ・しん)によるナレーション中でも、「ウルトラマンエース」という語句のみ、音声テープのワウ・フラッター(回転ムラ)とおぼしき音声不調が発生している。あるいは、これは「ウルトラエース」の名前で録音が済んでいたナレーションを、その箇所のみダビング・上書きをしたために生じた回転ムラだったのだとも推測できる。回転ムラの発生だけではなく、ダビング箇所のみ岸田森の声ではないようにも聞こえるのだ。



 エース対ベロクロンのバトルは、ウルトラマン優勢 → ピンチ → 逆転 という第2期ウルトラシリーズ独特の構図が、ここで確立している。このあたりは、予定調和のパターン化に過ぎるという批判もあるところだろう。同時期の東映や他社の特撮変身ヒーローでは、劇中では劣勢でもピンチのBGMを流さずに勇壮なBGMを流しすぎることで、ヒーローがあまり弱く見えないように演出されていることを思えば、欠点にもなりうる音楽演出でもあった。


 子供は「ドラマ」や「テーマ」や「SF性」よりも、ヒーローの強さ・カッコよさ・大活躍・バトル、怪獣の大暴れや、ヒーローの勢揃いなどが見たいのだ。そのような魅力を前面に押し出した、この『A』第1話のような作品が現れないかぎり、ウルトラの星が二度と再び光輝くことはないような気がするのだ……。


 『ウルトラマンA』第1話の視聴率は、なんと28.8%! 平成ウルトラの何倍だ? この視聴率は72年4月開始のテレビドラマ新番組中でも第2位を誇っているそうだ。ちなみに、1位はNHK朝の連続テレビ小説。第1期ウルトラシリーズの視聴率と比すれば劣ると云われてしまう第2期ウルトラシリーズだが、当時のテレビ界ではやはりトップ級の実力を持っていたのである。


 この72年4月は人間サイズのヒーローである『快傑ライオン丸』・『超人バロム・1(ワン)』・『変身忍者 嵐』も放映が開始された。第2次「怪獣ブーム」から前年4月にスタートした『仮面ライダー』(71年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140407/p1)などの等身大の変身ヒーローたちによる「変身ブーム」へと移行を開始した時期だ。しかし、関東地方で『A』のウラ番組となった石森章太郎原作の『変身忍者 嵐』の第1話の視聴率は、4.1%と惨敗に終わっている。


 なお、内山まもる学年誌『小学二年生』に連載したコミカライズ版の第1話には、超獣ベロクロンの他にも、テレビ版では第2話に登場した古代超獣カメレキングまでもが登場! ベロクロンだけでもお腹いっぱいなのに豪華過ぎる!



<こだわりコーナー>


北斗星児はTAC入隊前には給食のパンを運ぶ運転手だったという設定だ。彼が運転するのはドイツの名門・フォルクスワーゲン社のワゴン車。ちなみにこのワゴン車は、『ウルトラセブン』第8話『狙われた街』で幻覚宇宙人メトロン星人がタバコの運搬に使った車両や、同作の第34話『蒸発都市』で怪しい作業員たちが逃走に使ったのと同一車種かと思われる。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2006年号』(05年12月30日発行)『ウルトラマンA』再評価・全話評大特集より抜粋)


『假面特攻隊2006年号』「ウルトラマンエース」#1関係記事の縮小コピー収録一覧
静岡新聞 1972年4月7日(金) SBSテレビきょうのハイライト新番組ウルトラマンエース 輝け!ウルトラ五兄弟(安心堂、はごろも缶詰提供) 〜大枠紹介記事
静岡新聞 1972年3月20日(月) SBSテレビ春の新番組〈7〉ウルトラエース 男女の空中合体で変身 〜まだこの時期は「マン」抜きの「ウルトラエース」名義


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