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爆竜戦隊アバレンジャー 〜前半合評・アバレキラー登場!


スーパー戦隊シリーズ 〜全記事見出し一覧

爆竜戦隊アバレンジャー 〜前半評1

(文・T.SATO)
(03年4月執筆)
 恐竜に、アバレに、オモチャは『百獣戦隊ガオレンジャー』(01年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20011113/p1)の動物ロボ・パワーアニアル的にワンサカ登場して次々パーツ合体!
 と聞いて、今年も子供は喜ぶのでは? と推測していた。


 しかし開巻してみれば、ちょっちイメージが……。
 これは必ずしも批判ではないけれど、『ガオレン』的にドラマや人物描写はヌルいし、イイカゲンでラフな展開だね〜。何か80年代の『戦隊』のキャラやドラマみたい(笑)。


 ココは意図的にあえてマニアック志向を避けて、そーしたのだろうと見る。
 ただ、それが子供番組としては致命的な弱点とは思わないけど、平均的な大多数のマニアには物足りないのでは?


 それとこれが重大。主人公たちの熱血温度が低い。
 レッドがさほど熱血ではないようで(?)。
 しかも子持ち(自分の子供でないにしても)というのは、このテの近年『戦隊』ものとしては、そして子供向けの『商品』としてもドーでしょう。
 活劇ドラマをひっぱっていくには弱いかも……。


 むかしから(10年以上前から?・笑)マニア連中に人気大で、近年では美少女アニメのシリーズ構成でも活躍の荒川稔久さんがメインライター初登板。
 子供番組・活劇番組としてのツボを押さえつつ、適度に心優しい繊細なドラマを織り込む荒川さん。


 だが、その優しさ志向が、番組のキャラ設定や活劇熱血度にマイナスに働いたように思う。
 なんか未来の科学者――名前がマックス・ウェーバー(笑)。20世紀前半の社会学者の名――の回想録として展開する叙情的一編とか、初期編でやるべき話かなぁ。


 ……とは云いつつも、児童はともかく幼児が見れば、『ガオレン』『アバレ』も大差がないのかもしれない。
 ただその微差こそが、視聴率が7〜8%か10%かという差異になるのでは?


 しかしスタッフも自覚してはいるのだろう。徐々に熱血度は高まってきてはいるようだ。
 今後は怒濤の新展開や活劇度の上昇を望みたい。


 でも敵軍団の1種・ギガノイドが、最初から巨大怪人というのはイイね。
 私事で超見苦しいけど(笑)、小生もはるけきむかしの90年前後、『戦隊』シリーズも4、5話に1本は巨大怪獣ものにしようョ!
 とよくTV局に投稿したり(もちろんゴミ箱に直行だろうけど・笑)、同人誌の記事のネタなどにしたものだ。


 もちろん筆者ごときの完全オリジナルなアイデアであるワケでもない。
 『超獣戦隊ライブマン』(88年)の2号ロボ登場編に最初から巨大な姿で迫ってきた漆黒の敵ロボ・ギガボルト。
 『鳥人戦隊ジェットマン』(91年)の2号ロボ登場編にやはり当初から巨大な姿で暴れまわった魔獣セミマル。

 あるいは80年代末期から年に1、2回は等身大怪人がすぐに巨大化する!
 ……という、超ワンパターンの段取り――等身大怪人を必殺バズーカで打倒! しかし怪人が巨大化!(笑)――こそが「戦隊」だと思われていた時代に、過渡期ゆえにか猛烈なサプライズ(驚き)を感じさせてくれた「パターン破り」演出が時折りあったので、その驚きよ再び! というところでのアイデアで……。


 あぁ、『ジェットマン』初期編の敵怪人・ロードジゲン(舗装道路モチーフ・笑)なんて、最初から大通りの道路がベキッと剥がれて、そのまんま巨大怪人として暴れまわってほしかったのにィ〜。
 でも第1クール終盤の、等身大の人間体型が存在しない、巨大化前は単なるバスであったバスジゲンというパターン破りで大いに溜飲が下がったものでした(笑)。



(後日付記:もちろん10数年の時を超えて、筆者の意見が採用されたのだ、なぞと痛々しいチャイルディッシュな妄想を強弁をする気は毛頭ないョ。
 当時の巨大特撮冬の時代に、巨大ヒーロー・巨大怪獣志向の特撮マニアで、東映戦隊も観ていた人間ならば、誰でも「戦隊」に渇を癒してくれる妄想をした覚えがあるでしょうし……・笑)


(了)


爆竜戦隊アバレンジャー 〜前半評2

(文・旗手 稔)
 『爆竜戦隊アバレンジャー』(03年)におけるアバレンジャーそして爆竜たちの暴れっぷりは、「アクション演出」や「特撮演出」がスーパー戦隊シリーズの真の「主役」であることを改めて印象づける。


 その『アバレンジャー』の劇中で頻繁に用いられる「怪獣」という呼称。作り手は明らかに、これを「怪獣映画」の延長で捉えている。
 近年の「怪獣映画」の多くが「ドラマ」をウリとしているのに対し、東映は「特殊技術」で勝負。



 渡辺勝也が演出した#12「アバレノコギリ、京都を斬る!」〜#13「アバレてチョンマゲ!」の京都ロケ編では、爆竜や敵の巨大怪人ギガノイドが実景の京都中で暴れ回る。

 その渡辺監督の持ち味は「ドラマ演出」と「アクション演出」の融合にある。
 渡辺は『仮面ライダークウガ』(00年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001106/p1)の時はいまひとつ生彩を欠く印象があったが、それは『クウガ』の「ドラマ」主体の作りが彼の資質にうまく合わなかったせいかもしれない。



 第8話「アバレブラックこの一発!」(脚本/荒川稔久)。
 劇中の特撮巨大ヒーロー・ギャラクシアンイグレック(実は敵巨獣ギガノイド・英雄)に裏切られ、絶望の涙を流す舞。


 「これからも夢を裏切られることは沢山あると思う。それでも夢を追い続けられる子になって欲しい」。


 前年の『ウルトラマンコスモス』(01年)終盤の主人公降板騒動に対する、作り手からの返答。



 第14話「発掘! アバレサウルス」(脚本/會川昇)。
 講談社の『新・ウルトラマン大全集』(94年・ISBN:4061784188)で會川はこのような発言をしている。


 「僕はね、悩まないヒーローっていうのは、あんまり魅力を感じないんです」。


 會川のこうした確信は、彼が中学生の時に出会った高際和雄(たかぎわ・かずお 〜『風雲ライオン丸』(73年)『鉄人タイガーセブン』(73年)の脚本家)の影響によるものだった。



 「ヒーローをけっして聖人とはせず、そのなかに人間的弱さを認めたうえで彼らを愛した高際脚本」


 「私は、これらの高際脚本に中学生時代再放送で出会い、多大な影響を受けた。私は今でも絶対的なヒーローは描けないし、ヒーローが自己の精神的な弱さ(本音)のために窮地に陥る物語を好む。少なくとも私にとってはそういうヒーローのほうが魅力的なのだ」


 (洋泉社映画秘宝』Vol.5「夕焼けTV番長」・96年・ISBN:4896912187



 辰吉伝次郎の夢であるアバレサウルスを壊してはいけないと「悩む」アバレイエロー・樹らんる(いつき・らんる)。
 結局、らんるは伝次郎の夢を守り切ることが出来なかった。


 「強くなりたい。そしていつか、すべての夢を守りたいよ」……


 「自己の精神的な弱さ」のため窮地に陥るらんるの姿を描いた「発掘! アバレサウルス」には、會川のヒーロー観が明瞭に打ち出されている。



 第20話「キラーオー、アバレ初(ぞ)め!」(脚本/會川昇)。
 映画『空の大怪獣ラドン』(56年)よろしく、風圧で都市を破壊する爆竜トップゲイラー。


 「聖人」であろうとするが故に苦戦するアバレッド・伯亜凌駕(はくあ・りょうが)、そして「強くなりたい」から悪の戦隊ヒーローであるアバレキラー・仲代壬琴(なかだい・みこと)の仲間になる爆竜ステゴスライドン。


 會川はここでもヒーローの「人間的弱さ」に目をつける。


 「名乗り」の最中に襲われるアバレッド。ヒーロー物の「約束事」に触れる作劇は高際和雄の十八番でもあった。


 「やっぱり、意識的に“裏っ側”を引っ張り出そうっていうのがあったんですよ。「なんで約束事で全部チャラにしちゃってんだ?」っていうのがありました。変身ものの“約束事”みたいなのがあるじゃないですか? 「どうして触れないんだろう?」と」
 (高際和雄/『ピープロ70’sヒーロー列伝 怪傑/風雲ライオン丸ソニー・マガジンズ刊・00年・ISBN:4789715515


 「意識的に“裏っ側”を引っ張り出そう」とする高際。


 そして會川もアバレキラーの力を借りて、アバレッドとステゴスライドンの「裏っ側」を引っ張り出す。


アバレキラー「お前も、自分に秘められた本当の力を思う存分奮いたいと願っている」……


 ヒーローの「裏っ側」を引っ張り出そうとする會川、彼の「裏側」には高際和雄がいる。



 第17話「戦場のアバレかっぽれ」(脚本/浦沢義雄)。


 「平和……平和って、一体何ですか?」


 戦隊の秘密基地でもあるカレー屋「恐竜や」の店長・杉下竜之介の踊りで、子どもの頃の恐怖が甦り「平和」を忘れてしまったアバレブラック・アスカ。
 凌駕たちが「平和」を思い出させようとしても、異世界ダイノアースから来たアスカには「戦争」の記憶しかないため、何が「平和」なのか分からない。
 杉下からあのかっぽれの由来を聞かされたアスカはやがて、「戦時中」にも「平和」があったことに思い至る。


 ここでウラサワ(浦沢義雄)は「戦争の無い世界」=「平和」という「反戦論者」たちの物言いに懐疑の眼を向けている。


 「これが私の平和なんです」


 「平和」はひとつの形に限定されない。


(了)


爆竜戦隊アバレンジャー 〜前半評3

(文・久保達也)

もっと暴れろアバレンジャー

(03年4月上旬執筆)
 恐竜モチーフの戦隊ってことでまた、『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(92年)との比較論が展開されるのだろうけど、観てなかったオレにはあまり関係ねえ。
 同僚の女性は十年ぶりにリメイクされた『高校教師』(03年 TBS)を観て、「真田広之版(93年)の方が良かったあ〜」と嘆いていたが、それこそオレには関係ねえ。
 オレにとって『高校教師』とは、加山雄三主演のヤツ(74年 東京12チャンネル→現・テレビ東京)だ(笑)。閑話休題


 さて『アバレンジャー』というタイトルから、私が放映前に連想していたイメージと実作品とは少々異なる点があったため、実は当初いまいちノレなかった。
 まず今回の戦隊のメンバーは全員「熱血バカ」系なんだろうと勝手に思い込んでいた。
 だが、レッドなんで敬語やねん? ブルーは妙にクールだし、本当に暴れそうなのはイエローの姉ちゃんだけに見えた(笑)。


 あと後見人であるブラックは、戦隊シリーズ第2作『ジャッカー電撃隊』(77年)の追加戦士ビッグワンみたいな勇ましいアンちゃんかと思っていたが、これまた敬語(笑)。
 共闘することを頼むにしても、なんであんなに遠慮がちなんや?
 変身能力失ったんなら『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)のウルトラセブンことモロボシ・ダン隊長みたいに3人をビシバシしごいたったらええやんけ(笑)。


 主題歌も妙に軽快爽快で、『アバレンジャー』なら『百獣戦隊ガオレンジャー』(01年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20011113/p1)の主題歌みたいにドスのきいた声でシャウトしまくる歌の方が良いと思った。


 それより何より第1話『アバレ恐竜大進撃!』(これ以上血沸き肉踊るサブタイトルはねえ!)に期待したのは、『救急戦隊ゴーゴーファイブ』(99年)第1話のようなミニチュアセット大破壊の図であった。
 だが、実景へのCG合成が主体だったのも残念であった。


 地下鉄がホームに滑り込んできたかと思ったら実はトリケラトプスだった!
 なんて場面は確かに面白かったのだが、やっぱ恐竜は着ぐるみで表現しなきゃ迫力ねえだろ〜
 なんて考える私はオジサンでしょうか?(←オジサンです)


 まあ恐竜は走るのがメチャクチャ速かった、てえのは近年の定説になっているから、着ぐるみがドタドタと走り回るのは確かにみっともないかもしれない。
 アバレンジャー乗用の小型二足歩行恐竜の躍動感溢れる見事なCGを見せつけられると、イヤでもそれを実感させられるが。


 ただ第4話『完成! 秘密アバレ基地』あたりから段々と夢中で見られるようになってきた。
 往年の東映ヒーロー作品で何度となく描かれた、ヒーローがいじめられっ子を勇気づける定番ネタで安心して見ていられたこともある。
 やはり初期の数話は試行錯誤の段階なわけで、それだけで作品の評価をするのは極めて危険である。
 『未来戦隊タイムレンジャー』(00年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001102/p1)を第1話しか見なかった私はバカでした(笑)。


 人間界を侵略というよりおちょくりに来たとしか思えない行動の目立つ敵組織エヴォリアンだが、第6話『アバレアイドル老け娘』の作戦はコワかったなあ。
 ネエちゃんたちが皆バアさんになっちまうんだから、世の男性諸氏にとってこれ以上コワイものはない。
 『(新)仮面ライダー』(79年)第39話『助けて! 2人のライダー!! 母ちゃんが鬼になる』で、ネオショッカーが女性たちを鬼にしてしまった作戦に通じるコワサだ(笑)。


 また第8話『アバレブラックこの一発!』の、TVで人気の特撮巨大ヒーローを具現化させて悪事を働かせ、子供たちから夢を奪う作戦も、「幼稚園バス乗っ取り」(笑)同様、子供たちにとって最も身近な恐怖を感じさせてくれる判りやすい作劇で実に良かった。
 しかし「戦隊」でニセウルトラマンにお目にかかれるとは思わなかった(笑)。
 アクションが平成ウルトラマンたちに妙に酷似していたので円谷プロからクレームが来ないか心配だが、そんなヒマがあるなら円谷は新作ウルトラマンに合体ロボを登場させるべし(爆)。


 今回レギュラー・ゲストともに頻繁に子供が登場するのは好感が持てる。
 子役には興味がない私だが、レッドが面倒見てる保育園児の女の子はメチャクチャ可愛いし(笑)、悪側の二面性を持つ巫女(みこ)みたいな少女も面白い。


 メインターゲットと同年代の登場人物は、作品世界への導きとして絶対必要。
 言葉を話す恐竜(爆竜)というのも、『ポケモンポケットモンスター・97年)』的マスコット感覚に溢れ、低年齢層には嬉しい配慮。



 なんたって今回最も嬉しいのは、エンディグテーマの


 ♪アバアバアバアバアバレンジャ〜〜


 である。


 ウチの甥なんかしょっちゅう口ずさんでいるが、私の頭の中でもふとした拍子でこのメロディがリフレインしてしまう。
 いまどきこんな親しみやすい旋律は、他にはサントリーのCMソング「♪燃焼系燃焼系ア〜ミノ式」くらいのものだ(笑)。
 やはり子供向け番組の主題歌は覚えやすくて歌いやすいのが基本でしょう。


 でもウチの甥は、『ウルトラマンティガ』(96年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961201/p1)のジャニーズ・V6(ブイシックス)による主題歌『TAKE ME HIGHER(テイク・ミー・ハイヤー)』をたどたどしくも口ずさんでいるからなあ。やっぱオレってオジサンなのかなあ(←オジサンです)。



 あと動植物とメカの三種合成怪人トリノイドは、『仮面ライダー』(71年)後期のゲルショッカー怪人と『仮面ライダーV3』(73年)前半のデストロン怪人の合体みたいで格好良い。
 たまに出てくる音楽怪人(巨大怪獣)ギガノイドも面白い発想だとは思う。


 だけれど、「爆竜戦隊」の相手としては『電人ザボーガー』(74年)後期の恐竜軍団みたいなのがホントはふさわしいのかなと。
 いやこれ単に恐竜同志のとっくみ合いが見たいなんて貧困な発想ではなくて、恐竜相手に普通の動物や植物が束になってかかってもそりゃ役不足だって。


 戦隊巨大ロボ・アバレンオーの必殺技「爆竜電撃ドリルスピン!」なんて使うまでもないだろう。
 ってアレがまたカッコイイから困るのだが(笑)。


求む! 熱血バカ

(03年7月中旬執筆)
 脚本・浦沢義雄の不条理ギャグと大胆なCG描写が華麗に融合した、抱腹絶倒の第10話『アバレリーガー金(かね)縛り!』。
 京都の東映太秦(うずまさ)映画村を最大限に活用し、大の『仮面の忍者 赤影』(67年)ファンを公言する渡辺勝也監督らしく、往年の傑作時代劇『暴れん坊将軍』(77〜02年)、東映リメイク版の『子連れ狼』(02年)のパロディ
 ――回転ノコギリは『赤影』第5話『謎の独楽(こま)忍者』に登場した鉄独楽が元ネタだろう――
 などをふんだんに散りばめ、更に京の都で繰り広げられる新爆竜ディメノコドンVS三大爆竜に、かつての東映ヒーロー作品1クール終了時の恒例だった再生怪人軍団の登場。
 と、まさに絢爛豪華な前後編――夏の劇場版はこれをそのまま流してくれてもオレは文句は云わん(笑)――だった第12話『アバレノコギリ、京都を斬る!』&第13話『アバレてチョンマゲ!』。


 確かに1クール目は派手に暴れてくれた印象の強い『アバレンジャー』であるが、2クール目に入ってから今ひとつインパクトの薄い話が続いてしまった感がある。
 要するに『百獣戦隊ガオレンジャー』(01年)や『忍風戦隊ハリケンジャー』(02年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20021113/p1)よりも余程おとなしい印象を受けるのだ。


 第12話&第13話があまりにスゴ過ぎただけに、筆者の感慨としては『ウルトラマンA(エース)』(72年)に例えて云うなら、第13話『死刑! ウルトラ5兄弟』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060803/p1)&第14話『銀河に散った5つの星』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060805/p1)のイベント前後編のあとに『夏の怪奇シリーズ』
 ――第15話『黒い蟹(かに)の呪い』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060828/p1)・第16話『怪談 牛神男(うしがみおとこ)』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060903/p1)・第17話『怪談・ほたるケ原の鬼女(きじょ)』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060904/p1)など――
 を見せられているのに近いものがある(笑)。


 具体的に述べる。
 第17話『戦場のアバレかっぽれ』や第14話『発掘! アバレサウルス』についてだが、前者はレギュラー・杉下竜之介の、後者は竜之介の幼馴染み・辰吉伝次郎と、双方ともにお年寄りによる想い出話が主軸となっているために、いわゆるイイ話なのではあるが、どうしてもテンションが上がりにくい
 (奥村公延うえだ峻といった特撮ファンにはお馴染みのお二人の俳優には大変失礼なのだけれど)。


 第17話は、敵怪人・アヤメガネズミが人々の頭に咲かせたアヤメの花が、梅雨前線を誘ってそれが火山山脈となって誘爆を起こす(ホンマに何のこっちゃ・笑)といった、せっかくの浦沢義雄らしさもドラマにはあまり活きていなかった。


 第14話は、「みんなの夢を守るため」に戦う決意を新たにするアバレイエロー・樹らんる(いつき・らんる)の姿を見てももうひとつ燃えられないものがある
 (らんるを演じるいとうあいこは可愛いのか○○なのか判らない中途半端なルックスが、実に戦隊ヒロインらしくて良いのだが・笑)。


 こうなると「心暖まるエエ話」も考えものだと思わざるを得ないのだ。


 またアバレブルー・三条幸人(さんじょう・ゆきと)の過去にスポットを当てた第15話『アバレ世間は鬼ばかり』&第16話『乗ってけ! アバレサーフィン』。
 人の心を金で買ってしまう父親――演ずるは『ウルトラマンレオ』(74年)第4クールの『恐怖の円盤生物シリーズ!』でブラック指令役だった大林丈史、ってやっぱ「鬼」だわ(笑)――に育てられたから、破格の治療費を要求するようなヒネた性格になった、なんてのも少々当たり前過ぎて面白みに欠けていた。


 以上の間に登場した新キャラが爆竜ステゴスライドンのみである
 (サーフィンならやはりプレシオサウルスとかの方がふさわしいだろう、なんて誰でもできるツッコミは視覚的なインパクトのデカさで粉砕されたが・笑)。


 こうした人間ドラマ中心の話を連続することで、就学前の幼児の関心を繋ぎとめることができたのか、いささか疑問に残るところである
 (スポーツ中継で二度も放映がお休みになってしまったのもかなり痛いのではないか。「なんでアバレンジャーやらないの〜」と泣き叫ぶ子供の姿が目に浮かぶようだ・笑)。



 『敵か味方か? 謎のアバレキラー!』(勝手につくるな・笑)てなわけで、第18話『誰だ? アバレキラーだ!』での悪のヒーロー・アバレキラーの登場によって少しは戦闘色も高まり印象も変わるかなと思いきや。
 人間体のキャラ・仲代壬琴(なかだい・みこと)が医者でキザでクールで幸人とほぼ同じ(容姿も)では、幼児にアピールするのは難しいのではないか?


 しかしナゼなんだろ? 何故にこうまでして「熱血バカ」キャラを出したくないんだろ?
 そういう奴を一人出すだけでいささかテンションが下がり気味の作風に喝を入れることができるのではないか?


 どうやら特撮マニアの一部には「熱血バカ」が嫌いな方がいるらしいが、そういう人々が東映テレビ朝日に「熱血バカは出すな!」などと熱心に投書を続けた結果、それに屈して「ご意見ご要望」を最大限に受け入れた作品づくりをしているのではないか? なんて邪推してしまいたくなるくらいだ(笑)。


 03年度のプロ野球オールスター戦のファン投票で、一部の不心得者の大量投票によって、この数年全く一軍の試合に出場していない投手が一位に選ばれるなどという前代未聞の失態が起こったが、そんなものは全プロ野球ファンの総意ではない。
 ましてや「熱血バカは嫌い」だなんて特撮マニアや一般庶民や子供たちの総意ではないのだ。そんな個人の好みに過ぎないものを一般化して語るべきではない。


 告白すると私は幼いころ「熱血バカ」が苦手で大嫌いで、特に巨大ロボットアニメ『マジンガーZ』(72年)の主役・兜甲児(かぶと・こうじ)に対しては
 「こんな奴に地球の平和を守ってもらいたくねえよ」
 と真剣に思っていたから(笑)、リアルタイム世代でありながら『マジンガーZ』は嫌いであった。
 しかしクラスのほぼ全員と思われる男子は『マジンガーZ』が大好きだったし、兜甲児を悪く云う者など誰もいなかった。


 普通の男の子はやはり「熱血バカ」が好きなわけで、要するに私は普通の男の子ではなかったということであり(爆)、そんなマニア予備軍だった子供のころの感性を普遍化するのはやはり危険なのではないだろうか。閑話休題(この常套句もベテラン特撮ライターの竹内博センセイの記述に教わったんだよね。なんだかんだと感謝はしています・笑)。


 『アバレンジャー』なる破天荒なタイトルの割には、「戦隊」史上かなり熱血度が低い――筆者はシリーズ全てを観ているわけではないので、こんなこと断言できるハズもないのだが……――と思われる本作。
 やはり熱血を象徴する赤色のヒーローの熱血度の低さが起因しているように思えてならない。


 未だに「三条さん」「らんるさん」などと、仲間を「さんづけ」で呼んで敬語を使うあたりは、一般の若者や企業人であれば「妙によそよそしい奴だ」などとして軽蔑される態度である(オレがそうだ・爆)。


 設定ではアバレッド・伯亜凌駕(はくあ・りょうが)は名古屋出身(メインライターの荒川稔久がそうだから)だそうだ。
 県民占いとやらの「人よりモノに関心がある(大のブランド好きであるとか)」なんて気質がそうさせるのかもしれない(笑)。



 ――ヤボな編註:そういえば一般人は、同学年や同期であれば呼び捨てにすることが多い。そしてそれが親しみがあり距離がないことをも意味する。
 しかしオタク間だと(編集者の狭い経験を一般化するワケにもいかないが)、同学年でも呼び捨てや「君づけ」にせず「さんづけ」で呼ぶ傾向があるように思う。
 つまりオタは、一般ピープルと比較すると、他人に対して仲間内ではあっても若干(じゃっかん)の対人距離感があるようにも思う。
 そのいくばくかのオズオズ感・デリカシー感が、やはりオタである編集者には心地よかったりもするのだが(笑)。
 以上、長い余談を勝手に入れてしまい恐縮です(汗)――



 だが、リーダーとしての資質が凌駕にないかと云えば、決してそうは思えないのもまた事実なのである。


 第9話『目覚めよ! アバレサバイバー』で敵怪人・キンモクセイカミカクシによって異世界に幽閉された凌駕。

 だが、彼は混乱することもなく


 「ワクワクしちゃいますね!」


 と云ってのける。


 同様に閉じ込められた大勢の人々に脱出の方法を尋ねられると、彼は一つの巨大な岩を指して


 「あれをみんなの力でどけましょう」


 などと提案する。


 「そんなことできるわけがない」


 と拒否する人々であったが、凌駕の絶えない笑顔、「最後まであきらめずに希望を持って」という前向きの心、「ご協力お願いします」という謙虚な姿勢が人々の気持ちを動かして見事に脱出に成功したのだ。


 そこには全く説教臭さを感じることがない。
 これが『救急戦隊ゴーゴーファイブ』(99年)の5兄弟戦隊の長兄、体育会系ゴーレッド・巽(たつみ)マトイのように


 「馬鹿野郎!! 簡単にあきらめるなっ!! やってやれねえことはねえっ!! 気合いだあ〜〜っっ!!!」(爆)


 なんてやらかしたら、「アンタとはやっとれんわ〜!」てなことになって、人々を救い出すことはできなかったかもしれない。


 同じく第9話に登場した自殺志願者の鈴木サンに


 「アンタは本当に変な人だ。アンタといると悩んでいるのが馬鹿らしくなる」


 と云わしめたほど、凌駕の一見瓢々(ひょうひょう)でありながらかつ前向きな態度は、第15話で敵怪人・シャークルマーガレットに最もキライなモノが幻覚となって表れるキライビームを浴びせられ「鬼」の幻覚を見て苦しむ幸人に、第16話で「鬼」の正体が実は最もキライだと思っていた父ではなく己自身であったことを気付かせることになる。


 幸人のようになかなか周囲と打ち解けようとしない突っ張ったタイプと熱血タイプとでは衝突を招く危険性があり、ゆっくりと話を聞いてあげて序々に内面をさらけ出すような方向に持っていくのが適切なやり方であるように思う。
 実社会では個々の人間の長所をうまく引き出してくれるような上司にはとんとお目にかかったことがないため、凌駕の周囲の人間に対する気遣いは実に魅力的に映る。


 また今回の騒動でキライビームの効力を受けなかった凌駕は、キライなモノもキライな人も全くないことが明らかになった(いやホントに幸人よりも凌駕の生い立ちの方がよほど気になるわ・笑)
 これもリーダーの資格としては極めて重要な要素なのではないか。


 某生命保険会社が毎年新入社員を対象に調査している「理想の上司像」の03年度のアンケート結果では、この数年ずっと第1位だった現・阪神タイガース星野仙一監督が退き、タレントの所ジョージが栄冠に輝いた。
 どうやらマニア内に限らず一般層においても熱血タイプより瓢々としたタイプが好まれる傾向が出てきたようである。
 凌駕の性格設定もそんな時代の要請と無縁ではないのかもしれぬ。


 ただ星野監督就任後の阪神タイガースが万年最下位から03年度のペナントレースを独走し、この同人誌が8月に発行されてから間もないころにも優勝しそうな勢いであることを考えると、みんなの力をひとつにまとめてダイノガッツを発揮させるには、果たしてどちらが本当に「理想のリーダー」であるかは判断がつきかねるところだ。
 双方ともに一長一短あるだろう(と便利な云い回しをパクっておく・笑)。


 筆者的には「戦隊」としては珍しい癒し系キャラの凌駕のことは結構好きだし、子供たちも「隣のお兄ちゃん」的な親しみを感じるかとは思う。
 普段がああだからこそアバレンジャーの強化形態、腕や脚にヒレヒレ・トゲトゲがついたアバレモードに転じたときの豹変ぶり・キレっぷりも際立つというもので(笑)、その意味では極めて効果的に作用しているのかもしれない。



 凌駕は今のままでも良いような気にはなっているが、だからこそ他の面でもっと燃えられる要素がほしい。


 戦隊巨大ロボの爆竜コンバインのバリエーションはもっと頻繁に増やしてほしい。


 敵組織・エヴォリアン側も前作『ハリケンジャー』の宇宙忍群ジャカンジャの幹部・暗黒七本槍のように、せめて武闘派・知能派・お笑い派等のメリハリを付けたキャラ分けを設定して内部抗争とか見せてほしいものだ。


 幼女リジェの姿を借りて指令を伝えている大首領の正体も早く見たいものである。


 なんてことを締切前の最終土曜日の深夜に書いていたら、翌朝放映の回を見逃してしまった
 (1週前の放映がお休みだったので、その際に『仮面ライダー555(ファイズ)』(03年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20031102/p1)のみを録画するためにタイマーの設定を変更してそのまんまになっていた……)。


 朝気付いてすぐさまテレビをつけたら


 「♪アバアバアバアバアバレンジャ〜」


 の真っ最中(笑)。


 その後、アバレキラーのロボットが恐竜のような姿に変化してアバレキラーが高笑い、となんかスゴイことになっている。
 この調子で今後もやってくれたら、まあ心配することもなかろう。



 そりゃそうとCMやエンディングのあとまで見どころを引っ張る、番組の平均視聴率を少しでも上げるために昨今のテレビで大流行りのこの手法が、「戦隊」にまで導入されたことについては当初批判的であった。


 が、爆竜たちによって語られる


 「このあと、新たなる展開が!」


 なんてアイキャッチは、子供たちの興味を最後まで繋ぎとめるには極めて有効な手段ではないか? と最近では思っている。おかげで私も少しは救われたし(笑)。


(了)


爆竜戦隊アバレンジャー 〜前半評4

(文・フラユシュ)

爆竜戦隊アバレンジャー』初期評

 オープニングよりはエンディング曲の方が耳に残るなー。と歌の印象はこれぐらいにして。


 初期編のイメージではここ数年の戦隊ではもっとも視聴欲が出て来る作品ですね。


 こういう疑似家族ものは、以前は脚本家・扇澤延男のオハコだったけれども、氏が事実上東映特撮からフェードアウトしてしまった現在は、脚本家・荒川稔久が担当していた疑似家族のメイドロボットもの・実写版『鋼鉄天使くるみpure(ピュア)』(02年)からの発展形だろうか。
 まあ、こんな世知辛い御時世ですし、こういうのは嫌いじゃないので頑張ってほしいものだ。


 ただ荒川先生の趣味である『帰ってきたウルトラマン』(71年)ネタが多すぎるのがなんですが……。


 あと少し気になるのが、お金のことが作中で重要視されていたのは興味深い。
 むかしのヒーローものでは自身のお金ネタはタブー的雰囲気があったが、こんな御時世だから避けて通れないのかもしれない。


 更にそれがあまり否定的に描かれていないのが興味深い。
 まあ今の世の中お金なんか要らないなんて言う奴の方がうさん臭いと思われる世界ですしね。


 むかし『鳥人戦隊ジェットマン』(91年)でブラックコンドル・結城凱(ゆうき・がい)がお金のことで本音を言ったら、いきなりレッドホーク・天堂竜(てんどう・りゅう)が殴りつけたという描写があったり、確か女子高生戦士であるブルースワロー・早坂アコもいくらくれるかと質問するシーンがあったから、まあ目新しい描写なわけではない。


 が、あの当時に比べれば世相の変化といいますか、フランクになったというべきか……。


 タツノコプロのアニメ監督・鳥海永行(とりうみ・ながゆき)氏は、『科学忍者隊ガッチャマン』(72年)を90年代にビデオアニメでリメイクするとき、本放送当時の日本には金持ち=悪的なイメージがあったので、当時は科学忍者隊のメンツを薄給にしたそうだが、今の世相で考えればあんな危険な仕事をして薄給ではかえって説得力がないということで高給取りの設定にしたそうだ。


 まあ確かにそうだわな。ヒーロー漫画の第一人者の一峰大二(かずみね・だいじ)氏は何かの雑誌のインタビューで、「ヒーローは金を欲しがっちゃいけません」とおっしゃったそうだが、これも時代ですかねー。


 むかし、漫画『キン肉マン』でテリーマン初登場のときには、テリーマンがもろ金の亡者って感じでキン肉マンと対比になっておりましたが、今の視聴者はそのあたりどう感じているんですかね。


(了)


爆竜戦隊アバレンジャー 〜前半評5

(文・鷹矢凪弥寿士)

所感『爆竜戦隊アバレンジャー』 もっとアバレろ! 爆竜戦隊

 さて『忍風戦隊ハリケンジャー』[02](以下『ハリケン』)に引き続き始まった『爆竜戦隊アバレンジャー』(以下『アバレン』)。
 自分としては現在、正直申し上げて前作ほど楽しめる作品とはなっておりません。


 いや、決して面白くないわけではないのです。
 『恐竜戦隊ジュウレンジャー』[92](以下『ジュウレン』)以来約10年ぶりに、最近再びブーム化しつつある“恐竜”をモチーフにしたのは妥当と思えます。


 ただ『ジュウレン』の場合、当時の強硬なマニア衆から“『スーパー戦隊』ワースト作品”の烙印を押されてしまっていました。
 その要因は、たやすく目に付くキャラ描写の甘さや、物語練度の低さ、御都合主義の多さなどでしょう。
 それが災いし、我々“おっきいお友達”のみならず、本来の対象視聴者である“ちいさいお友達”――一部の、ですけど――からもソッポを向かれていました。


 近年では『百獣戦隊ガオレンジャー』(以下『ガオレン』)[01]にその傾向が顕著に見られました。
 個人的には、そのひどさは『ジュウレン』以上にすら感じられましたし、世評も高くなかったようです
 (騒いでいたのは一部のママさんファンだけでは? この場でその功罪を云々(うんぬん)する気はありませんが)。


 そうした問題点の発生は、時代の流れなどを考慮すると、ある程度やむを得なかったのかも知れません。
 しかし『アバレン』も、未だ先述の二大先輩作品ほど極端ではないにせよ、下手をすると『ジュウレン』の二の轍(てつ)を踏むのではないか……という危惧を抱いております。
 ……あ、先述の二作品を『アバレン』との比較で貶める意図はございませんので、誤解無きようお願いします。


 勿論(もちろん)、設定やキャラ描写にそれなりの工夫は見られます。
 アバレンジャーのアジト“恐竜や”は『スーパー戦隊』の元祖たる『秘密戦隊ゴレンジャー』[75]の“スナック・ゴン”――後半は“フルーツパーラー・ゴン”――を彷彿させる“日常と非日常の融合”が良い味を出しています。
 更にマスターの「スケさん」こと杉下竜之介にベテランの奥村公延(おくむら・こうえん 〜「きみのぶ」と読まれる方も多いでしょうが、こちらが正しいとか〜)氏を配したことで、物語が締まっている感じです。
 残念ながら奥村氏のスケジュールの御都合で暫(しばら)くスケさんは旅に出てしまっていましたが、それを逆手に取って(?)ファンの間で囁(ささや)かれる“裏の顔”を始めとするスケさんの今後の活躍に期待しましょう。


 爆竜たちが変身ブレスレット・ダイノブレスでアバレンジャーたちと会話する趣向は、異論もあるかと存じますが(筆者の職場の後輩――男児あり、以前『假面特攻隊』2003年号に於ける筆者の『ハリケン』評で例示したのと同じ人物――は否定的だった)、個人的には賛成です。


 『ジュウレン』の守護獣を始めとして、『五星戦隊ダイレンジャー』(以下『ダイレン』)[93]の気伝獣、『忍者戦隊カクレンジャー』[94]の忍獣、『星獣戦隊ギンガマン』[98]の星獣、更に『ガオレン』のパワーアニマルら、これまでのメカではなく生命を持った巨大戦士には無かった特性であり、ヒーローと巨大戦士の交流や協力を表現するには手っ取り早い方法として歓迎したい気持ちです
 (無論先達作品の喋らない巨大戦士連も、それなりに味はありますが)。


 爆竜たちのCV(キャラクターボイス)も達者な方々ばかりで嬉しく感じます。
 個人的には爆竜プテラノドン篠原恵美さん〈注1〉、爆竜ブラキオサウルス銀河万丈さん〈注2〉の登板が嬉しいです。
 特に後者は出動する際に往年のヒーロー番組の主題歌を口ずさんでくれる(主に『スーパー戦隊』ですが)オールドファンへのサービス精神(?)旺盛な奴です。
 やり過ぎると顰蹙(ひんしゅく)モノですが、このくらいなら許容範囲でしょう。


 後は多数登場する爆竜が飽和状態にならないことを祈るばかりです。



 キャラ描写に戻りますが、各人の過去や職業を含めてイマイチ深みが足りないかな……という印象は個人的には否めません。
 アバレッド=凌駕は第3・8・9話、アバレイエロー=らんるは第4・6・14話、アバレブルー=幸人は第5・10・15・16話でそれぞれメインを張っており、相応に各人の信念や過去が描かれていますが、正直「もうひと息」という感が強いです。


 特に幸人の場合、第15・16話「アバレ世間は鬼ばかり」「乗ってけ! アバレサーフィン」に於ける父・総一郎〔演:大林丈史〕〈注3〉との葛藤が消化不良と思えました。
 尤(もっと)も、このテーマは『未来戦隊タイムレンジャー』[00](以下『タイレン』)の浅見渡&竜也(たつや・タイムレッド)父子で既に極められてしまったとも見受けられますから、今後しばらくの「戦隊」で同系テーマを扱うにしても隠し味程度で充分なのかも知れませんが。


 アバレブラック=アスカはまずまずです。爆竜たちが住む異世界ダイノアースから来たその出自や戦闘能力から、アバレンジャーのリーダーとなっても不思議ではないのですが、寧(むし)ろ助っ人、或(ある)いはアドバイザー的ポジションに落ち着いています。
 彼の場合それが最も似合い〜悪い意味ではなく〜と見えます。時折織り込まれる、ダイノアースとアナザーアース(我々の地球)の違いに対する戸惑いも微笑(ほほえ)ましく感じます。
 『ジュウレン』の失敗点の一つであった『古代人と現代人のカルチャーギャップの黙殺』を補っている気もします。嘗(かつ)ての恋人・マホロ及びその身体を「乗っ取った」と嘯(うそぶ)く女敵幹部ジャンヌとの関係も含め、アスカの今後にも注目したいところです。



 と、いろいろ書いてきましたが、やっぱりまだまだ『アバレン』は、物語内外問わず「アバレ」足りない……という気がします。


 ただ、第18話「誰だ? アバレキラーだ!」を機に大きなうねりが生じました。
 そう、“アバレキラー”=仲代壬琴(なかだい・みこと)〔演:田中幸太朗〕の登場です。
 “白い5人目”となれば戦隊シリーズジャッカー電撃隊』[77]の追加戦士ビッグワンが否が応でも思い浮かびますが、立場は正反対です。


 役割的には『タイレン』の6人目タイムファイヤーや『ハリケン』の第2戦隊ゴウライジャーに近いですが、彼らはその戦いに自分なりの意義や信念を持っていました。

 しかし、アバレキラーにはそれは全く感じられません。彼にとっては、戦いも医術も、いや“人生”そのものすらゲームに過ぎないようです。
 『仮面ライダー龍騎(りゅうき)』[02]の浅倉威(あさくら・たけし)=仮面ライダー王蛇もそうした性格が強く押し出されていましたが、完全なアウトロー・犯罪者・性格異常者であった威に対し、壬琴の場合一応「医師」という地に足が着いた“顔”を持っている分、却って脅威を覚えます。


 更に驚くべきことに、第20話「キラーオー、アバレ初め!」では、爆竜ステゴスライドンを仲間に引き込んでしまいました。
 それも、洗脳やマインドコントロールではなく、“強さへの誘惑”を以(もっ)て唆(そそのか)す……という狡猾な手段によって。
 「爆竜にも心がある」という隙を突かれただけに、説得は困難と考えられ、今後の展開の波乱が予想されます。


 また壬琴自身も、当初は悪者のようにして登場した『ガオレン』の6人目ガオシルバーやゴウライジャーのようには仲間になる可能性は(今のところ)まったく薄そうです。
 それも踏まえて、『アバレン』にとんでもない“アバレ”の種を撒いてくれたアバレキラー=壬琴の動向に注目したいところです。



 注目といえば、敵・エヴォリアンの黎明の使徒・リジェ〔演:鈴木かすみ〕にも言えます。
 幼年の悪幹部といえば『鳥人戦隊ジェットマン』[91]のトラン〔演:久我未来〕や『ダイレン』の阿古丸〔演:柴田翔平〕などがおりました。
 恐らく製作陣はトランや阿古丸のように子供特有の“無邪気な残酷さ”を視聴者に見せることで反面教師としたかったのでしょう。
 但(ただ)し、トランや阿古丸はその特性を寧ろストレートに押し出していました。


 それに対しリジェは基本的にはエヴォリアンの神・デズモゾーリャの傀儡(かいらい)に過ぎず、普段は地球の無邪気な少女――例えば凌駕の姪=舞ちゃん――と変わらない言動を執(と)ります。
 先達の二人と異なり自身の“悪”を自覚していないだけ、一層怖さが浮き彫りにされます。
 恐らく物心つかない赤子のうちに、デズモゾーリャに憑依されたのでしょう。それを想像すると哀れですらあります。


 しかし、最近アスカやジャンヌの前に、リジェと瓜二つの白い少女が出没するようになりました。
 二人の激突を阻止するかのような雰囲気を考えると、彼女はリジェの“良心”の化身なのでしょうか、それとも……? 謎は深まります。



 あと、恐竜やの手伝い・女子高生エミポンは“アバレピンク”になれるのか、アバレンジャーアイデンティティはどこまで一般人に知られているのか(画面上ではどうも曖昧なので)、ギガノイドのネーミングはやはりクラシックの名曲と関係あるのか、敵幹部・ミケラの口癖「〜だな」はやはり往年の放浪画家・山下清の真似なのか(笑)
 ……等、疑問や興味は沸いてきますが、何度も言うように作品としての面白さはまだまだ個人的には不足です。


 ありきたりな言い回しですが、夏の映画『劇場版 爆竜戦隊アバレンジャーDELUXE(デラックス) アバレサマーはキンキン中!』(03年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20031112/p1)も併せて、今後の『アバレン』の“アバレっぷり”に期待したく存じます。


【2003/7/14】



〈注1〉『美少女戦士セーラームーン』シリーズ[92〜96]の木野まことセーラージュピター役で御馴染み。
 特撮作品では『ギンガマン』28話の魔人ヒエラヒエラ、『ハリケン』30話の美少女忍者フラビジェンヌのCVが記憶に新しい。


〈注2〉『機動戦士ガンダム』[79・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990801/p1]のジオン軍総帥=ギレン・ザビ役などで御馴染み。
 初期の芸名は『田中崇』。近年は『開運! なんでも鑑定団』など、ナレーションの仕事が多いが、03年4月より放映中の『アストロボーイ・鉄腕アトム』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20030403/p1)ではタワシ警部のCVを担当されている。


〈注3〉『ウルトラマンレオ』[74]第四クール「恐怖の円盤生物シリーズ」のブラック司令役がなんと言っても有名。
 『宇宙戦艦ヤマト』第一作[TV/74、映画/77・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101207/p1]ではガミラス軍冥王星基地司令・シュルツのCVを担当(但しEDテロップでは「大林才史」と誤植されていた場合が多い)。
 現在も様々なドラマで活躍中。


(了)


爆竜戦隊アバレンジャー 〜前半評6

(文・トオトウミ・サンダー)

爆竜戦隊アバレンジャー 〜スーパー戦隊よどこへ行く〜

 主人公たちのバトル・シーンが違うのです。
 何と、腕や足などから鰭(ひれ)のような突起物が出てきていつになく荒々しい戦い方をするのです(アバレ・モード)。
 そして何よりも今まで以上に多用されるデジタル合成技術の鮮烈さ! まず目に付く視覚的な印象なのです。


 かなり以前からスーパー戦隊シリーズをご覧になってきたファンの方々には違和感があるのではないでしょうか。
 しかし、そればかりではないのです。作品に漂う空気、展開やキャラクター描写などに関係なく、従来のスーパー戦隊シリーズと比べても、何かか違うのです。



 平成15年度スーパー戦隊シリーズ新作の本作『爆竜戦隊アバレンジャー』は、平成11年『救急戦隊ゴーゴーファイブ』からスーパー戦隊シリーズのプロデューサーとなった「子供番組の制作センスが抜群であり、何事にもバランスが取れた、幼児層の味方の正義のプロデューサー」である日笠淳氏の『未来戦隊タイムレンジャー』『百獣戦隊ガオレンジャー』『忍風(にんぷう)戦隊ハリケンジャー』に続く第5作目の作品なのです。
 しかし、どれだけ異端の作品なのか、ということは問題ではございません。問題は作品世界なのです。


 従来のスーパー戦隊シリーズの作品世界のように、大方のオールドファンの方には、「いかなるピンチにも断じて挫けず、不屈の闘志を持って戦う主人公たちの熱き正義感と使命感のドラマ」の方がシックリ来るのではないでしょうか。
 もちろん、本作もそういった「不屈の闘志を持った正義のヒーロー」が登場していないとは言い切れません。
 「正義の戦いを楽しんでいる」というべき愉快な戦いを行なう主人公たちの描写は力強さや正義感がチャンと感じられるし、不屈の闘志も見え隠れしています。


 しかし、全体を見るとやはり「チャランポラン」としているのです。なぜでしょうか?


 今回のレッドがこれまで以上に「スーパー戦隊のリーダーとしての責任感や使命感が感じられない、おバカなケンカ屋問題児野郎」となっているのです。


 『秘密戦隊ゴレンジャー』のアカレンジャー・海城剛(かいじょう・つよし)に代表される「基本的には熱血漢であっても、決して猪突猛進したりはせず、自己主張もなく的確な判断と不屈の闘志を持って仲間を導く、強力な良きお兄さん的リーダーとしてのレッド像」。
 それは、『秘密戦隊ゴレンジャー』から昭和56年『太陽戦隊サンバルカン』までのスーパー戦隊プロデューサーを務めた吉川進氏、そして昭和57年『大戦隊ゴーグルファイブ』から平成7年『超力戦隊オーレンジャー』までのスーパー戦隊プロデューサーを務めた鈴木武幸氏が作り上げたモノで、1970年代および1980年代のスーパー戦隊特有のモノでした。


 今回の『爆竜戦隊アバレンジャー』には、まさにこうしたレッド像が見受けられないのです。



 そればかりではありません。
 従来のシリーズにて1年おきに登場した「主人公たちを厳しく、そして優しく導く司令官キャラクター」がいないのです。
 主人公たちを引っ掻き回す奇天烈なキャラクターが数多く存在しているモノの、スーパー戦隊に欠かせない有名なベテラン俳優の方々が演じる良き父親的な司令官キャラクターも本作には一切登場しないのです。


 今は亡き石ノ森章太郎先生の原作によるスーパー戦隊シリーズの元祖である昭和50年『秘密戦隊ゴレンジャー』に登場した今は亡き高原駿雄氏が熱演した江戸川権八(えどがわ・ごんはち)総司令。
 巨大ロボットが登場する東映オリジナル・スーパー戦隊の記念碑的作品である昭和54年『バトルフィーバーJ(ジェイ)』に登場した今は亡き東千代之介氏が熱演した倉間鉄山(くらま・てつざん)将軍。


 彼らに代表される、スーパー戦隊シリーズの作品世界を見事に引き締めるのに重要な存在となる有名なベテラン俳優の演ずる「主人公たちを厳しく、優しく導く司令官キャラクター」というのも、『秘密戦隊ゴレンジャー』から『太陽戦隊サンバルカン』までのスーパー戦隊シリーズをプロデュースした吉川進氏および『大戦隊ゴーグルファイブ』から『超力戦隊オーレンジャー』までのスーパー戦隊シリーズをプロデュースした鈴木武幸氏の提案によるモノで、1980年代および1990年代のスーパー戦隊伝統のモノでした。
 本作には、まさにこうした司令官キャラクターが登場しないのです。



 それらが全てダメ、というワケではないのです。


 日笠淳氏プロデュースするスーパー戦隊シリーズの、それも平成13年『百獣戦隊ガオレンジャー』以降の主人公たちは、レッドのみならずむしろ「自由人」といえるのです。
 『百獣戦隊ガオレンジャー』にて、平成3年『鳥人戦隊ジェットマン』の地球防衛軍スカイフォース・小田切綾(おだぎり・あや)長官の流れを汲む女性司令官キャラクターとして登場したのに、ガオレンジャーたちを導くというよりも作品世界を引っ掻き回すおバカなギャグ・メーカーとして描かれ、最後まで作品世界が引き締まらない原因を作ってしまった巫女テトムの存在も、「自由人」が主流を務める昨今の「戦隊」では必然だったのではないでしょうか。
 日笠淳氏がプロデュースしたスーパー戦隊として、こうした作品世界自体は別段不思議ではないのです。


 とはいえ、スーパー戦隊シリーズ以前に日笠淳氏が東映メタル・ヒーローシリーズにてプロデュースした平成7年『重甲ビーファイター』にてベテラン名脇役俳優・笹野高史氏が熱演したアース・アカデミアの最高責任者である向井健三(むかい・けんぞう)博士。
 その続編である平成8年『ビーファイターカブト』にて欽ちゃんファミリー山口良一氏が演じたコスモ・アカデミアの最高責任者である小山内勝(おさない・まさる)博士。
 そういった「有名なベテラン俳優が演じる司令官キャラクター」を登場させました。


 さらにはスーパー戦隊初のプロデュース作である『救急戦隊ゴーゴーファイブ』にて、やはりベテラン・マイク真木氏が熱演したゴーゴーファイブこと巽(たつみ)5兄弟の父でありゴーゴーファイブの司令官でもある巽世界(たつみ・もんど)博士を登場させていました。


 そういうことを考えると、その「有名なベテラン俳優が演じる司令官キャラクターを排除した、新人中心のキャスティング展開」というのは、日笠淳氏独自のモノとも言い切れないのでしょう。



 さて、『爆竜戦隊アバレンジャー』です。


 平成4年『恐竜戦隊ジュウレンジャー』の流れを汲む「恐竜パワーを持つ神秘のファイター」として設定され、一見正統派・スーパーヒーロー性は強化されているように見えます。


 が、やはり日笠淳氏が拘わり続けてきた「無理矢理ヒーローにされて戸惑い、反発しながらも遊び感覚で戦う、子供っぽいアマチュア・ヒーロー」がさらに強く押し出されていました。


 オマケに


 「それぞれ自己主張が激しくて、お互いの価値観などの違いから対立が絶えず、チーム・ワークが乱れてしまう、支離滅裂な主人公たち」


 という、日笠淳氏が「自分の中にあった、本当に描きたいスーパー戦隊像」をさらに発展させた、


 「粗暴で奇天烈、欲望と遊び心丸出しのバカ者キャラの寄せ集めによる、正統派・スーパーヒーローの王道など興味なしとしか言いようのないギャグ・アクション活劇」


 を狙っているのが一目瞭然なのです。


 これにより正統派・スーパーヒーローの王道はどこかへ置き忘れられてしまい、平成14年の前作『忍風戦隊ハリケンジャー』以上に筆者がスーパー戦隊に見切りを着けざるを得ない状況となっているのです。


 そればかりではありません。
 『救急戦隊ゴーゴーファイブ』以降のスーパー戦隊・変身グッズのCMにテレビの主演俳優を出演させるのを平成6年『忍者戦隊カクレンジャー』以来5年振りに排除したことはまた別のことでしょうが、平成9年『電磁戦隊メガレンジャー』以来、実に6年振りにスーパー戦隊の、そして特撮ヒーロー番組に欠かせない“ナレーター”も本作では見事に排除されているのです。


 これも「既存の特撮ヒーローの価値観にとらわれない作品作り」を目指そうとする日笠淳氏の意向によるモノではないでしょうか。



 とにかく、日笠淳氏の描くスーパー戦隊は皆一風変わっているのです。
 まず、バンダイのアパレル部門の主導企画ですが、『救急戦隊ゴーゴーファイブ』にて巽5兄弟がレスキュー活動時に羽織っているレスキュー・ジャケットを発展させた、『百獣戦隊ガオレンジャー』のガオレッド・カケル(獅子走 しし・かける)たちがいつも羽織っているガオレンジャーの証(あかし)であるガオ・ジャケットに代表されるお揃いの戦闘服を皆が一貫して着ていることです。


 次に、どれもこれも粗野で無責任なチーマー然とした連中ばかりなのです。
 「てめえら、地球の正義と平和にケンカ売ろうってェのか!!」
 などとホザキ兼ねない粗野で奇天烈なスーパー戦隊像は、まさに日笠淳氏のこだわりではないでしょうか。


 そのような正統派・スーパーヒーローの王道や「正義のために命を賭ける」という使命感の欠片も感じさせないアナーキーな主人公たちを、日笠淳氏は狙って生み出しているのでしょうから、凄まじいの一言です。


 ハッキリ言ってしまえば、日笠淳氏はスーパー戦隊はともかく、正統派・スーパーヒーローの王道にも、「主人公たちの信頼と結束、そして熱い友情のドラマ」にも何の思い入れはないのです。


 だからこそ、「昔の作品のオマージュは一切行なわず、一旦頭の中をカラッポにして、そこから新しいアイディアを考えることしか頭にない」と幾つかのインタビューでハッキリと言い切れるのでしょうか。


 それに、日笠淳氏は


 「今までの正統派・スーパーヒーローの王道を行く、ハードな特撮ヒーローなんぞ見て何喜んでいるんだよ〜!! そんなのインチキに決まっているじゃないか〜!!」


 などと考えているのではないでしょうか。


 そして、


 「子供っぽいとか無理矢理戦士にされて反発するチーマーみたいな野郎とかいうけど、それ以外に考えられない」

 とさえ主張しているのではないでしょうか。


 日笠淳氏は古典的な正義感や王道の否定といった80年代以降に勃興したマニア的な価値観とも並行して、一方で「純粋に幼児層が喜ぶ要素だけで作品を統一する」という制作方針も貫き、高寺成紀氏の最後のスーパー戦隊プロデュース作である『星獣戦隊ギンガマン』までに比べてスタッフ(主に脚本や監督)をかなり変えたりしたように思います。


 さらに幼児層が喜びそうな要素とはいえませんが、角川書店刊『特撮ニュータイプTHE LIVE(ザ・ライブ)』のインタビューにて


 「やはり、冷たくて距離を置いた、ハードボイルドが好き」


 などと告白しておられ、“旧ルパン”こと昭和46年版『ルパン三世』における、「いつも傍にいてともに行動する心強い相棒だが、必ずしも信用できるとはいえない愛憎渦巻く関係でもある」ルパン三世の相棒である次元大介(じげん・だいすけ)を始めとする登場人物たちの殺伐とした要素をスーパー戦隊に微量に入れたがっているようにも思います。


 個人的な好みで言えば、『星獣戦隊ギンガマン』以降女性戦士を平成6年『忍者戦隊カクレンジャー』以来ひさびさに1人に限定したばかりか、平成14年『忍風戦隊ハリケンジャー』以降メンバーを3人に減らしたことも、スーパー戦隊シリーズを弱体化しているとしか思えないのですが
 (もっとも、これは平成8年『ウルトラマンティガ』に端を発した平成ウルトラシリーズの防衛組織が女性2人という形式を踏襲していたことへの反発もあったとも推測できますが)。


 ――編:6作続いた女性1人体制だが、『アバレ』の次作『特捜戦隊デカレンジャー』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041112/p1)にて2人体制がひさびさに復活。基本3人体制だった『獣拳戦隊ゲキレンジャー』(07年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070624/p1)以降は作品に応じて1人だったり2人だったりだが、基本は5人の戦隊メンバー中、2人は女性であるパターンが主流となっているようだ――


 そればかりか、『忍風戦隊ハリケンジャー』以降


 「一生スーパー戦隊プロデューサーであり続け、スーパー戦隊に骨を埋める!!」


 と決意し、さらに


 「脚本の原案を自ら手掛けたり、スーパー戦隊イベントのプロデュースのみならずその特設ステージのデザインも自ら手掛けたりなどのチャレンジもし、スーパー戦隊のみならず21世紀東映ヒーローを引っ張る影のリーダーになる!!」


 などと息巻くような趣旨の発言を日笠氏は幾つかのインタビューでなさっているようです。


 しかし、筆者個人の好みは別として、東映テレビ部営業本部長である鈴木武幸氏を始めとする東映上層部および平社員から見れば、高寺成紀氏のプロデュースによる平成8年『激走戦隊カーレンジャー』から平成10年『星獣戦隊ギンガマン』までのスーパー戦隊シリーズはまさしく“迷走期”であり、日笠淳氏のプロデュースによるスーパー戦隊シリーズ、特に『百獣戦隊ガオレンジャー』以降はまさに“黄金期”だと見ているのではないでしょうか。


 バラエティー番組のごとく中身の薄い、ギャグやアクションなどの定番の見せ場のコーナーのみで構成された日笠淳氏のプロデュースによるスーパー戦隊こそが、鈴木武幸氏にとって近年の成功作として胸張って自慢できるのではないかと推測しています。


 高寺成紀氏の最後のスーパー戦隊シリーズプロデュース作品である『星獣戦隊ギンガマン』は2ケタ台の視聴率を得ました。
 しかし『ウルトラマンティガ』に始まった平成ウルトラマン・シリーズに押され気味だった東映ヒーローの中では唯一平成ウルトラマン・シリーズに視聴率および各種TOY(トイ・玩具)売り上げの面で見事に勝利した成功作は、東映メタルヒーロー・シリーズのギャグ・アクション路線への軌道修正が見事に功を奏した平成9年の『ビーロボ カブタック』のみでした。


 東映上層部にとって『ギンガマン』は、


 「視聴率および各種TOYの売れ行きの面では成功したモノの、全体的には『ビーロボカブタック』に比べるとコケた」


 という認識が強かったのではないかと推測しています。


 さらには、平成12年度東映ヒーローの中では『仮面ライダークウガ』に全体的な人気の面で惨敗して、視聴率ばかりか各種TOYの売れ行きも落ち込んだ日笠淳氏のスーパー戦隊シリーズプロデュース第2作である平成12年の『未来戦隊タイムレンジャー』に至っては、


 「制作会社的にもテレビ局的にも商業的には明らかにコケた」


 という認識だったのではないかと思います。


 こうした事実も、日笠淳氏にスーパー戦隊の思い切った「構造改革」を断行させるキッカケとなったのではないでしょうか。


 元来、スーパー戦隊シリーズというモノは「子供が生まれて初めて見る特撮ヒーロー番組」であることが最前提とされました。
 「幼児層のみに視聴者層を限定して、視聴者層の拡大をあまり行なわない」とか、「幼児層の欲求を満たすために、バトル・アクションや各種アイテムの見せ場をたくさんテンコ盛りにして、広く浅く、理解しやすい内容にする」。
 そして平成ウルトラマンシリーズにも踏襲されていた「人間の肉体の力強さや美しさを見せていく、つまり人間には本来怪人も倒す無敵の力が秘められているのだということを教えていく」とかといった鉄則を『バトルフィーバーJ』の時より守り続けてきました。


 それゆえに、主人公たちをヒーローらしくないユニークでオチャラケた、つまり「遊び好きでいかなる過酷な戦況の中にあってもメゲず、陽気にハシャイでいるヒーローたち」が描かれていたのです。


 しかし「幼児層をさらに楽しませるべく、ギャグもたくさん盛り込む」という鉄則も課していつつも、「ヒーロー作品としての真面目さや戦いの痛みや辛み、そして苦しみを大事にするために、ギャグ一色の内容にはしない」という鉄則も課してはいます。


 かつての『激走戦隊カーレンジャー』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110521/p1)が幼児層への浸透に失敗したのは、「内容をギャグ一色の内容にした」ためであることは想像に難くないです。
 『百獣戦隊ガオレンジャー』以降のスーパー戦隊のその奇抜で奇天烈な活劇は、見た目は『激走戦隊カーレンジャー』でも、その『激走戦隊カーレンジャー』に比べれば飽くまでも真面目で手堅いヒーロー活劇に仕上がってはいるのです。


 これもひとえに、日笠淳氏の『激走戦隊カーレンジャー』に対する回答ではないでしょうか。
 ギャグの見せ場をたくさん盛り込んではいても、『激走戦隊カーレンジャー』に比べてギャグはセーブされていて、あからさまなパロディーの類いなどは御法度としているのです。


 実際、スーパー戦隊シリーズの新作制作に当たり幼児層とその親たちを対象に「スーパー戦隊をいかなる風に制作していったら良いか」という内容のアンケートを行なっていたらしいです。
 そのアンケートを行なった結果、「ギャグもシリアスも程々にしろ!!」とか「家の子らがあまりの難しさに泣き出したりするような内容にするな!!」とかいった厳しい意見が並んだというそうですから。
 その点については高く評価すべきでしょう。


 『仮面ライダークウガ』にて復活した仮面ライダーシリーズもそうですが、スーパー戦隊シリーズはもはや東映にとって「なくてはならないモノ」となっていったのです。


 とにかくにも「子供番組の制作センスが抜群であり、何事にもバランスが取れた、21世紀・スーパー戦隊シリーズを支える正義のプロデューサー」である日笠淳氏が、「日笠淳的なるモノ」をドンドンと盛り込み、スーパー戦隊の、そして東映ヒーロー全体の変革を行なっているお陰で、筆者が好んだ往年のヒーロー作品群とは別ものに変貌していってしまいましたが、スーパー戦隊シリーズはかつての『秘密戦隊ゴレンジャー』に匹敵する一大ムーブメントを起こせなくても、安泰であることは確かのようです。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2004年準備号』(03年8月16日発行)『爆竜戦隊アバレンジャー』前半合評1〜6より抜粋)


[関連記事] 〜『爆竜戦隊アバレンジャー

爆竜戦隊アバレンジャー 〜前半合評・アバレキラー登場!

  (当該記事)

劇場版 爆竜戦隊アバレンジャーDELUXE アバレサマーはキンキン中!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20031112/p1