假面特攻隊の一寸先は闇!読みにくいブログ(笑)

★★★特撮・アニメ・時代劇・サブカル思想をフォロー!(予定・汗)★★★ ~身辺雑記・小ネタ・ニュース速報の類いはありません

魔弾戦記リュウケンドー

(文・J・SATAKE)

未来への鍵をつかめ!

完結直前! リュウケンドー

 2006年を締め括る大晦日でクライマックスを迎える今作。
 東映作品以外で一年を全うできたことは十分評価されるべきだと思います(全てが約束された作品などはないのでしょうが)。
 そこでこれまでを振り返ります。



 シリーズ当初はリュウケンドー=鳴神 剣二(なるかみ けんじ)とリュウガンオー=不動 銃四郎(ふどう じゅうしろう)の戦いを描いていても、連綿と続いてきた正統派(この定義も色々ありますが、人や町を守るため自らの運命を開くために心技体を尽くして戦う者という意味で私は使います)特撮ヒーローと変化をつけようとするあまりシニカルな描き方が強くて(目の前の戦いには勝ってもその影響であけぼの町の人達が被害をうけたままだったり、ゲームでもしているかのようにおっとりした対応をするSHOT(ショット)のメンバーなど)印象が良くない話もありました。
 しかし、第三のヒーロー・リュウジンオー=白波 鋼一 (しらなみ こういち)が登場した頃から徐々に正統派にシフトし、『燃える』展開が増えました。


 SHOTに協力したことで、魔物軍団幹部ブラッディの陰謀の手に掛かってしまった鋼一の両親。
 そのため司令・天地をはじめSHOTのメンバーとジャマンガ双方に憎しみの牙を剥いていたリュウジンオーだったが、あけぼの町のため必死に戦う剣二たちとぶつかり合い、両親の死に責任を感じ続けていた天地が自らの命をも差し出そうしたことで誤解は解け、微妙に距離を取りつつも魔弾戦士として立つことになった。
 この回は新登場となった獣王・サンダーイーグルで飛行能力を得たリュウケンドーリュウジンオーのCG満載の激しい空中戦と、剣二と鋼一の感情の激突が交錯する見応えあるものでした。
 警察官である剣二は正義感のある熱血漢、いわば正統派の主人公に列なるタイプなわけで戦いを通じて感化されて仲間になっていく展開もまさに王道と言えるでしょう。


 今まで孤独に生きてきてぶっきらぼうな態度が抜け切らない鋼一。
 宇宙にいる敵に辿り着くために彼と同じ飛行能力を持つリュウケンドーにブースター役になれと言う。
 何故自分がフォローに廻るんだとくさる剣二だったが、『俺には死んでも悲しむ人はいないからな』という鋼一の言葉を聞き『お前がいなくなったら悲しむ奴がいるんだぜ』と答える剣二とそれにうなづく銃四郎。
 共に戦う仲間同士の絆を見せられて燃えないわけにはいきません!
 魔弾戦士専用のセンサーで正確に射撃してくる要塞。怪我をした鋼一に代わり宇宙へ上がるリュウケンドー。その姿にあけぼの町の人達の希望が燃え上がり、センサーの反応が増え始めついには爆発! みんなの願いを受けて要塞を撃破するというヒーローバトルの王道を展開します。


 メインターゲットである子供たちに身近なヒーローであることも特徴で、女の子を守るため奮闘するリュウガンオーや、イギリスにいた頃英語が話せずにいじめられた自分を気弱な少年と重ね合わせた鋼一が触れあいを持ち共に戦いを乗り越えるなどゲスト子役とからむ話も多い。
 最近の東映作品では群衆シーンや子供の登場はあまり見られませんが、あけぼの町の人達が魔物の脅威に晒されるシーンがあることでより感情移入しやすくなっています。


 激しい戦いに花を添えるヒロインも多いですね。
 剣二だけに見える霊魂の栗原 小町。あけぼの町の警官だった彼女は亡くなっても修行を積み、魔物と戦い剣二を導く存在です。
 野瀬 かおりは花屋の看板娘。剣二に好意を抱かれつつも、鋼一と出会ってからは彼に思いを寄せています。事件に巻き込まれることも(当然ながら)数知れず。
 左京 鈴(さきょう りん)はSHOTの一員。強気な彼女は剣二とぶつかることが多いのだが、そこから男女の関係を意識するように。しかし鈍感な剣二は仲間としての意識が強く、不器用・鈍感カップルの行方はまだまだ不透明ですね。
 西園寺 海(さいおんじ うみ)は剣二の兄弟子で、なんと婚約者! しかし剣二の任務を薄々感じているのか、鈴と一緒の行動を許しています。ここはもう少し突っ込んで恋模様を描いて欲しいとも思いますが、ラストに向けて期待しています。


 ジャマンガも大魔王グレンゴーストを復活させるため幹部達が様々な手を打ってきます。
 Drウォームは等身大の魔物を造り出し、頭に血が昇ると見境なく暴れ回るロッククリムゾン、タワーを変化させた移動要塞や衛星要塞(これはゾウさんを模したちょっとかわいいヤツでした)などメカを扱うブラッディ、自分の興味の赴くまま遊び感覚で巨大な雨傘や、天ぷら屋の女主人になるなど、人々の心を惑わす作戦の多いレディゴールド。
 魔物への恐怖心を集めるためのジャマンガの陰謀、それに対抗するSHOTを助けてきたのが魔力を封じ込めた魔弾キーだ。
 火や水、雷などの属性に特化した能力を発揮させたり、獣王を召喚し協力して戦うことが可能となる『鍵』。そのアイテムの多彩さも今作の魅力です。
 リュウガンオーにはバイクに変形するマグナウルフ、リュウジンオーには飛行形態とバイク形態になるシャドウデルタがおり、リュウケンドーにはブレイブレオンをはじめ火=ファイヤーコング、水=アクアシャーク、雷=サンダーイーグル(主人公の特権でたくさん従えてます!)。
 言葉を持たないながら彼らも心を通わせる仲間、はじめは剣二を見くびって動こうとしなかったレオンや心ない一言ですねてしまったコングでしたが戦いを積み重ねていくうちにコンビネーションを発揮させるようになりました。


 そして鍵の力を開放させる中心となるのが『魔弾龍』。
 戦士を導く喋る武具で、冷静・正確に銃四郎をアドバイスする剛龍銃、口数の少ない鋼一には陽気でおしゃべりな斬龍刃(マスクで目の見えないかおりと声だけの触れ合いをする話が良かったです)、そして剣二には尊大な物言いで助言するつもりが説教になってしまい喧嘩になってしまう激龍剣。
 しかしシリーズ中盤のパワーアップの時も敵に操られ暴走する彼を受け止めゴッドリュウケンドーへとステップアップさせたのは、剣二の熱い信頼の心と行動でした。


 そんな人間臭い彼らの実体は、古代の戦いで大魔王を封印した先代の魔弾戦士だった。
 来るべき大魔王復活の時のため全てを伝承させるため自らを魔弾龍に封じた姿は世界観の深さをより感じさせます。
 玩具もその雰囲気を再現させるため、多種のキーで収集性を刺激しそれぞれのキーをセットすることで様々な台詞・効果音を出すヒーローなりきり玩具の王道・ライト&サウンド機能でプレイバリューを高めています。さあ、今年のクリスマス商戦を勝ち抜くのはどの番組だ!?



 こうしてみると、たくさんのキャスト、キャラクター、技術レベルの高いCGなど魅力的な要素の多い作品になりました。東映作品がおいてきたちょっと懐かしい雰囲気がありつつも新しい流れを取り込んでいて楽しませてもらいました。
 最強の鍵・アルティメットキーを手にしたリュウケンドーたちは大魔王を倒すことが出来るのか? 今年の特撮シーンを有終の美で飾ることが出来るよう願っています。

(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2007年号』(06年12月30日発行)『魔弾戦記リュウケンドー』合評③より抜粋)



魔弾戦記リュウケンドー』平均視聴率:関東1.2%・中部1.7%・関西1.0%
 (平均視聴率EXCEL表計算:森川由浩)


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