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騎士竜戦隊リュウソウジャー最終回・総括 ~ラスボスの正体・善悪反転の終盤・作品総括・賛否合評!

『スーパー戦隊レジェンドヒストリー』 ~神秘・恐怖から親近感・コミカルへ。日本特撮の画期にして文化・歴史となった「戦隊」!
『劇場版 騎士竜戦隊リュウソウジャーVSルパンレンジャーVSパトレンジャー』 ~水準作だが後見人&巨大戦カットをドー見る!?
『魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO』 ~劇場先行お披露目で戦隊の起死回生は成功するのか!?
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[戦隊] ~全記事見出し一覧


『騎士竜戦隊リュウソウジャー』最終回・総括 ~ラスボスの正体・善悪反転の終盤・作品総括・賛否合評!


『騎士竜戦隊リュウソウジャー』最終回・総括・合評1

(文・戸島竹三)
(2020年3月2日脱稿)


 本作のラスボス・エラスの正体は、いわゆる「絶対的正義」とでもいうべき存在であった。この設定に『機動戦士ガンダム』(79年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/19990801/p1)の富野由悠季(とみの・よしゆき)監督が手掛けた往年の合体ロボットアニメ『無敵超人ザンボット3(スリー)』(77)を連想した人は少なからずいた――筆者のツイッタ―検索による結果――。
 『サンボット3』最終回に登場したコンピューター・ドール第8号も同族間で争う人間を、地球のひいては宇宙の害悪と見なし「正義」のために始末することが目的だった。
 当時はかなり衝撃的な展開だったが、それから40年以上。ジャンル作品におけるこのパターンは決して珍しくはなく、むしろテンプレ化している――寄る年波でポンポンと例を挙げられないのはご容赦――。


 とはいえ、まさかスーパー戦隊で導入されるとは意外で驚いたのも事実。
 もちろんレギュラーキャラが次々と散っていく『ザンボット』最終回のようなハードな展開ではない。だが比較的ラクな展開になる(はずと思われる)「力は正義だぜ、ヒャッホー!」的な単純悪の敵ではなく、あえてこの設定を導入したことは評価したい。子どもたちがやがてこの作品を思い出す時、はたしてこの要素をどう語るのか? ちょっと気になる。


 あと団時朗(だん・じろう)氏演じるリュウソウ族の長老が、何と人間世界で事業に失敗していたという衝撃。もちろんギャグ要素ではある。だが特撮ヒーロー番組の長老(聖人君子の象徴)が俗物の極みであったという事実が、人間こそが悪という展開に厚みを加えていたと感じたのは、ひいきの引き倒しか?


 そしてリュウソウピンク・アスナの存在。演じた尾碕真花(おさき・いちか)の好演もあいまって、可愛いけれども大食&力持ちキャラとして見事に花開いた。
 というのも、筆者はエラスの計画――戦隊の6人に幸せな夢を見させたまま葬る――の描写に無理を感じていた。それまでの戦いで絆を深めた6人。その6人の各々の理想の夢の世界に他の戦隊メンバーが1人も出てこないというのはあまりに不自然ではないか? 「他の5人がいない夢の世界なんてゴメンだ!」的な反論を言わせたいがための作為的な設定にしか思えず納得がいかなかった。


 そんな中、アスナの「夢で食べても満腹にならない!」(大意)という原始的な叫び。これはまさに正論中の正論として恐るべきリアリティーをかもし出し、展開の穴を力技でふさいだ感がある。
 リアリティーといえば、戦いを一時終え龍井宅に戻った彼女。すぐさまお菓子をボリボリ食べはじめる様子を、特にギャグ場面として強調せず「燃料補給」として淡々と描いていたことには静かな感動を覚えた。すでにアスナの大食いは日常であるという、作り手と我々視聴者の共通認識が生んだ隠れた名場面だと思う。


 最後に書いておきたいのが、最終回序盤の巨大ロボット戦。今やCGがメインのロボ特撮。そんな中、オープンセットというかミニチュアなしの広い屋外で複数の着ぐるみが並ぶ画(え)は、いい意味でのチャチさが久々に味わえうれしかった。もしかしたらレジェンド・矢島信男特撮監督へのオマージュ?


(了)


『騎士竜戦隊リュウソウジャー』最終回・総括・合評2

(文・久保達也)
(2020年3月8日脱稿)

*ようやく加えられた「縦糸」の魅力!


 騎士と恐竜をモチーフにしたヒーロー&ヒロインのデザイン自体はカッコいいにもかかわらず、毎回登場する怪人=マイナソーが人間のマイナス感情を利用して生み出される設定だったがために、『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(19年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190602/p1)の第2クールくらいまでの作風には、個人的にはどうしてもやや陰鬱(いんうつ)で湿っぽい印象が強かった。
 だが映画『騎士竜戦隊リュウソウジャー THE MOVIE(ザ・ムービー) タイムスリップ! 恐竜パニック!!』(19年・東映https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190818/p1)に登場した6500万年前のリュウソウ族・ヴァルマが、敵組織・ドルイドンとの対戦用に開発したメタリックパープルの鎧(よろい)・ガイソーグを装着して変身する7人目の戦士・ナダが新たに加わる第26話『七人目の騎士』以降、その印象は個人的にはガラリと変わり、従来のスーパー戦隊と変わらぬような「王道」モードへと突入したように感じられたものだ。


 ナダがコウ=リュウソウレッドの師匠(ししょう)・マスターレッドの弟子としてバンバ=リュウソウブラックとともに修行していたものの、リュウソウジャーに選ばれなかったために周囲を見返す力がほしいとの想いで最強の鎧・ガイソーグを装着するようになった経緯は、『ウルトラマンオーブ』(16年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20170415/p1)のレギュラー悪で、ウルトラマンに選ばれなかったがために悪の道へと走ることとなったネタキャラ(笑)=ジャグラス・ジャグラーを彷彿(ほうふつ)とさせるものだ。
 そしてナダの前にガイソーグを装着していたのはバンバの弟・トワ=リュウソウグリーンの先祖であるマスターグリーンだったが、鎧の呪(のろ)いのために仲間を殺害した末に人知れず亡くなった過去話なども語られることにより、第2クール(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191102/p1)までは圧倒的に欠けていた、6500万年に渡る登場キャラの間の深い因縁(いんねん)を活(い)かした縦糸となる要素が、第3クール以降では濃厚に感じられるようになったのだ。
 また当初は関西弁で話す気のいいにいちゃんとして描かれていたナダが、回が進むにつれて次第に本性を見せるようになり、それでも仲間として受け入れようとしたコウを「おまえのそういうとこがホンマに嫌い」として、その長剣で斬りつけるに至るのは、敵が味方に味方が敵にとキャラの立ち位置をシャッフルさせて盛りあげる手法を常套(じょうとう)とする、近年の仮面ライダーシリーズの作劇と共通するものであった。


 だが第32話『憎悪(ぞうお)の雨が止(や)む時』でせっかく鎧の呪いから解放され、自分の意志でガイソーグに変身できるようになったナダが、つづく第33話『新たなる刺客(しかく)』で自己犠牲でリュウソウジャーを助けて早くも退場となってしまったのにはさすがに早すぎると感じてしまい、せめて最終展開までは7人体制で盛りあげてほしかったものだ。
 ただナダの魂(たましい)=ソウルがマックスリュウソウチェンジャーへと変化し、それを継承したコウがリュウソウレッドにガイソーグの鎧をまとわせたようなメタリックレッドの最強形態・マックスリュウソウレッドへとパワーアップを遂(と)げるさまを、ナダとコウの関係性の変化と心の変遷(へんせん)の象徴として描くことでよりドラマ性を高める作劇がなされていたのは好印象だった。


 第31話『空からのメロディ』で、それまでペンギンのぬいぐるみみたいな姿で「ピーたん」と呼ばれていた空の騎士竜・プテラードンが、


「空を見ろ! 鳥か? 飛行機か? いや、プテラードンだ!」


と、我々よりもはるかに上の世代がリアルタイムで観た(笑)テレビシリーズ『スーパーマン』(1952~1958年・アメリカ。日本では1956年にKRテレビ→現TBSで初放映)の名フレーズにて本来の翼竜型の巨大な姿となったのも、カナロ=リュウソウゴールドの妹・オトの危機を前に、自身にかけられていた封印を自ら解くことで登場したものであり、これもマックスリュウソウレッドと同じ作劇的技巧によるものだといえるだろう。


 そのプテラードンからリュウソウルを手渡されたリュウソウレッドが背中に青い翼を翻(ひるがえ)して華麗に空を舞う姿までもが描かれたが、『リュウソウジャー』はそれ以降もビジュアル的にもドラマ的にもかなりにぎやかになっていった。


*「地球最大の決戦」! ゴジラもウルトラも大好きな荒川センセイ(笑)


 ナダの退場と入れ違うかのように第34話『宇宙凶竜現る!』で新幹部としてプリシャスが登場して以降、それまでコミカルキャラのクレオンと愉快犯的なワイズルーのコンビ以外は戦闘員のドルン兵のみという、悪の組織としてはあまりにスケール感が不足していたドルイドンにも、ウデン・サデン・ガンジョージ・ヤバソードと次々に新たな幹部級の武闘派怪人が加えられ、第3クールから第4クールにかけては悪側の群像劇も描かれるようになったのだ。


 第34話&第35話『地球最大の決戦』ではいつもの怪人・マイナソーではなく、これまで100以上の星を滅ぼしたスペースドラゴン(!)を近年のウルトラマンシリーズに登場するような外見的にケバケバしいデザイン・造形の宇宙大怪獣として出すことで、それを宇宙から呼び寄せた新幹部・プリシャスをより強敵として印象づけることに成功していた。
 もちろんこれは年末商戦販促用の合体ロボの新たなバリエーション、陸・海・空の騎士竜が合体したキングキシリュウオーの登場を最大限にカッコよく描くための作劇でもあるのだが、その前段としてリュウソウジャーが世話になっている古生物学者・龍井尚久(たつい・なおひさ)に憑依(ひょうい)しているリュウソウ族の伝説の偉人・セトーによってリュウソウジャー全員が試練を課せられ、それを乗り越えるさまが描かれることで本編ドラマと特撮の巨大戦のクライマックスを絶妙に融合させていたのだ。


 まぁサブタイトルにしろスペースドラゴンの設定にしろ、明らかに東宝が製作したゴジラシリーズの怪獣映画『三大怪獣 地球最大の決戦』(64年・東宝)と、それに初登場した宇宙超怪獣キングギドラに対するオマージュだろうが、今回久々に登場したリュウソウ族の長老は、新たに経営をはじめたカフェ・ケボーンでバイトに来てるオトの名前を「アキちゃん」だの「るみちゃん」だのと呼びまちがえてしまう……
 これは長老を演じたのがかつて『帰ってきたウルトラマン』(71年)で主人公の郷秀樹(ごう・ひでき)=ウルトラマンジャック役で主演した団時朗(だん・じろう)氏であり、その『帰ってきた』でヒロインの坂田「アキ」を演じたのが女優の榊原(さかきばら)「るみ」氏だったことを指(さ)す、おもいっきりの楽屋(がくや)オチなのだ。
 脚本を担当した荒川稔久(あらかわ・なるひさ)センセイは「ウルトラマン」を書きたくて脚本家になった人なので、このネタがわからなかった若い層の視聴者はどうか許してあげてください(爆)。
――この前後編では「美女がおまえ?」との兄・カナロの発言に妹・オトがグーで腹パンチをかます際、オトが「爆弾パンチ!」と叫んでいるが、これも往年の東映特撮ヒーロー『超人バロム・1(ワン)』(72年)の必殺技からの引用(笑)――
 ただそれらのネタはともかく、この前後編はスーパー戦隊の大ベテランとしての荒川氏の底力を見せつけるかのような傑作であったことは確かだろう。


*坂本監督の熱血演出が作品温度を上げた最終展開


 さらに第38話『天空の神殿』にて、かつてリュウソウ族がドルイドンの首領的存在・エラスを封印するために使った伝説の聖剣・リュウソウカリバーが新アイテムとして登場し、リュウソウジャー全員を強化形態にチェンジさせるのみならず、彼らとドルイドンとの間に6500万年にも渡る因縁の象徴として最終章に至るまで描かれることとなった。
 再びセトーに課せられた試練の中で「使命と仲間のどちらかを選べ」と問われ、仲間=「私(わたくし)」を選んだコウと使命=「公(おおやけ)」を選んだカナロは、伝説の聖剣=「おおいなる力」をめぐって「はじまりの神殿」の中でガチンコ勝負を繰りひろげる!
 一方、第2クールでリュウソウジャーに倒されたかに見えたものの、第3クールで再び登場するようになったドルイドンの幹部・ガチレウスが、プリシャスに忠誠を誓うために奪われていた心臓を取り戻すため、リュウソウジャーに最後の決戦を挑(いど)む!


 課せられた試練の中で大量に火薬を使用することでコウがいつもの採石場で吹っ飛びまくったり(笑)、合体ロボのラストバトルが実景のダムに合成された臨場感あふれるカットや、リュウソウカリバーをともに手にすることとなったコウ=レッドとカナロ=ゴールドが初披露する黒や金のゴージャスなマントを翻す最強形態……と、コウVSカナロとガチレウスVSリュウソウジャーが全編に渡って並行して描かれたこの回では、坂本浩一監督による白熱したバトル演出の中で、長年に渡る因縁ドラマのクライマックスが点描されていった。
 そしてガチレウスとの戦いはいわゆるクリスマス編のコミカル回ながらも、リュウソウジャーがドルン兵と戦いながら名乗りをあげる坂本監督らしい華(はな)のある演出、実景の都心のビル街に合成された巨大化したガチレウスとキングキシリュウオーとのラストバトルを宙から俯瞰(ふかん)してとらえる一方、オープンセットで真下からあおりでとらえ、ともに360度回転させて見せる臨場感のある演出がなされた第39話『奪われた聖夜』に持ち越され、プリシャス曰(いわ)く「ガッちゃん(ガチレウス)、使えなかったなぁ」(笑)として決着した。


 なお、第38話では先述した映画『タイムスリップ! 恐竜パニック!!』の限定キャラだったリュウソウ族の先祖・ユノが残留思念のかたちで登場し、映画と同じくアイドルグループ・AKB48(エイケービー・フォーティエイト)の元メンバーだった北原里英(きたはら・りえ)氏が演じることで、リュウソウカリバーに「伝説の聖剣」としての説得力を与えることにおおいに貢献(こうけん)していた。
 また、第39話でバンバが面倒を見る保育園の保母・あかりを演じた小松彩夏(こまつ・あやか)氏は、実写版『美少女戦士セーラームーン』(03年・東映 中部日本放送https://katoku99.hatenablog.com/entry/20041105/p1)で愛野美奈子(あいの・みなこ)=セーラーヴィーナスを演じた過去があり、リュウソウジャーの師匠だったマスターレッド・マスターブルー・マスターピンクにつづく実写版『セーラームーン』出身者の登場には、実写版を「黒歴史(くろれきし)」扱いするテレビアニメ版(92年)至上主義者の人々にはトラウマを呼び起こすこととなってしまったかも(爆)。
 こうしたマニア向けのサプライズもまた、坂本監督ならではのものだろう。


 そして第38話でユノが「本当の試練のはじまり」と語り、そのラストでプリシャスが鼻歌混じりで「順調順調」とつぶやくのが伏線となっていたのだが、これまで描かれてきたリュウソウジャーの戦いは、宇宙から次々と強敵が現れることにより、エラスを封印してきたリュウソウカリバー=「おおいなる力」をリュウソウジャーが使わざるを得ない状況に至らせてエラスを復活させるという、プリシャスの手の中で踊らされてきたものであったことが、第45話『心臓を取り戻せ』で語られるのだ!
 その前段となる第44話『試されたキズナ』ではオトがリュウソウカリバーを狙うドルイドンによって人質とされるが――コウがカリバーを渡すフリをしてその背後からメルト=リュウソウブルーが急襲するあざやかな、いや実に卑怯(ひきょう)な(爆)描写や、森の中でリュウソウジャーがドルン兵と戦いながら名乗りをあげる演出が光る!――、この回ではメルト・トワ・バンバ・カナロが先述した「はじまりの神殿」へと向かったために、市街地で暴れるプリシャス・ヤバソード・ガンジョージの3大幹部に大苦戦するコウ=レッドとアスナリュウソウピンクの危機に、オトがプテラードンが変形した巨大ロボ・ヨクリュウオーを自ら操縦して駆けつけるのだ!


 これは同じ坂本監督による『ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションヒーローズ』(19年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200110/p1)で悪の超人・ウルトラダークキラーに昭和の時代のライダーガールズのように人質にされてしまい、それを助けようとして囚(とら)われの身となってしまったウルトラマンゼロの足をひっぱっているだけに見えかねなかったウルトラウーマングリージョが、終盤で「私だってウルトラマンです!」と敵に一矢報(いっし・むく)いるかたちで、全身から光を放ってダークキラーとゼロの偽物・ゼロダークネスを勢いよく吹っ飛ばすさまを彷彿とさせたものだ。
 先述した第31話でオトがプテラードンを自ら封印を解かせるに至らせたのもそうだったが、こうした周辺キャラ、いや深夜アニメに登場するような妹キャラ(笑)にまでも活躍の場を与えてしまう坂本演出にはやはりすがすがしいカタルシスを感じずにはいられないのだ。


 この際アスナがプリシャスに語る


「いつも都合のよいときに来る。それが仲間!」


という主張も、まさにヒーローものや少年漫画や娯楽活劇作品の本質とは「ご都合主義」そのものであることを自己言及的に指摘してみせたものである(笑)。
 しかし、現実世界が実際にそうなっているかはともかく、「悪であっても力さえ強ければ勝てる世界」ではなく「道理や正義がある方にこそ勝ってほしいという願望」が込められた「ご都合主義」こそが、実はこの手の変身ヒーローものにおいては登場人物に魂(たましい)を与えて「人間ドラマ性」や「道徳テーマ性」をも高めるための作劇的な技巧だと実感させてしまうほどに説得力にあふれたものではなかったか?


 また第44話で初登場となるマスターブラック=先代リュウソウブラックを演じたのは実写版『セーラームーン』の出身者ではなく(爆)、『未来戦隊タイムレンジャー』(00年・もう20年も前!・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001102/p1)で浅見竜也(あさみ・たつや)=タイムレッドを演じ、その後俳優と並行して各局のスポーツ系バラエティ番組に多数出演したことで一般的にも知名度が高い永井大(ながい・まさる。『タイムレンジャー』当時の名義は「永井マサル」)氏だったのだ!
 プリシャスを倒すために300年前にサデンを倒して入れ替わったマスターブラックがサデンの仮面を脱ぐ場面で、おもわず狂喜してしまった往年のファンも多かったことだろう。正直個人的には氏は『タイムレンジャー』当時よりも現在の方がずっとカッコよく思えてしまい、自分が女子ならおそらく黄色い声をあげていたかと(爆)。


 第45話のクライマックスでは人間態のままで戦いながら名乗りをあげたリュウソウジャーが主題歌が流れる中、炎を背景にいっせいに変身する華にあふれるカットをはじめ、大量に火薬を使用することで炎と白い噴煙があがる中で繰りだされるバトルアクションが絶品だった。
 しかも第44話のアスナのセリフ「それが仲間!」と係り結びとなるかたちでマスターブラックがプリシャスに語る「あいつらは仲間に裏切られるとは微塵(みじん)も思っていない」や「おまえはひとりだ」は、『リュウソウジャー』最大のヤマ場の中で高いドラマ性を宿らせたものとなり得ていたのだ。


 そして重戦車のようなデザインのガンジョージが「プリシャスが喜ぶなら本望(ほんもう)」と、リュウソウジャーを倒すためには自爆も辞さない覚悟だったのに対し、閻魔(えんま)大王をモチーフにしたかのようなヤバソードは「ドルイドン倒す! リュウソウ族倒す!」と巨大化し、双方を攻撃してリュウソウジャーとドルイドンを混乱させてしまう!


 ラストカットで鼓動(こどう)をあげながら赤い光を明滅させる抽象(ちゅうしょう)的な謎の存在としてエラスが描かれるに至るまで、これだけ坂本監督が最高のお膳立てをしてくれたのだから、『リュウソウジャー』も従来のスーパー戦隊と同様に、最終章はおおいに盛りあがるに違いないと、個人的には期待していたものだ。
 だが、むしろ今ではそんな過度な期待をさせた坂本監督のことを、つい恨(うら)みたくなるほどなのだが(爆)。


*『平成ウルトラセブン』みたいな最終章……


 第46話『気高(けだか)き騎士竜たち』・第47話『幸福と絶望の間で』・最終回(第48話)『地球の意思』と、メイン監督の上堀内佳寿也(かみほりうち・かずや)監督――ただし計9話しか撮っておらず、坂本監督の計11話よりも少ない(汗)――による『リュウソウジャー』の最終章三部作には、個人的には唖然(あぜん)とするしかなかった。
 まるで先述した『ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションヒーローズ』の続編として製作されたハズなのに、回を重ねるごとにまったく違う作風へと至ってしまった『ウルトラマンタイガ』(19年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200108/p1)を観せられたときのように(大爆)。


 第46話ではプリシャスによってリュウソウジャー、そしてドルイドンの出自の真実が語られる。
 それによれば、今はドルイドンの首領として君臨するエラスが地球で最初に生み出したのは実はリュウソウ族であり、そのリュウソウ族が身勝手な理由で争いばかりする愚(おろ)かな存在となってしまったがために、それを駆逐(くちく)しようとしてエラスはドルイドンを生み出したのだと。
 そのドルイドンまでもがどうしようもないために、エラスは双方を滅亡させて地球をつくりなおそうとしているのだ……


 このノリはまさに先述した『未来戦隊タイムレンジャー』でユウリ=タイムピンクを演じた勝村美香(かつむら・みか)氏が、のちに防衛組織・ウルトラ警備隊のキサラギ・ユキ隊員役で出演したオリジナルビデオ作品、「平成」『ウルトラセブン』シリーズ(98年・99年・02年 バップ)と同様の、いわば「厨二病(ちゅうにびょう)」的世界観なのではあるまいか?
 地球の平和を守る正義のヒーロー&ヒロインとして描かれてきたリュウソウジャーの先祖・リュウソウ族は、エラス曰く「争いでしか存在を主張できない害虫ども」(苦笑)だったのであり、その敵として描かれてきたドルイドンこそが、実はリュウソウ族から地球を守るために生み出されたヒーロー的存在だったのだ(笑)。
 もうまんま『ウルトラセブン』(67年)第42話『ノンマルトの使者』そのものなんだよなぁ…… こうなるとリュウソウジャーに対してではなく、おもわずエラスに感情移入してしまうものがある。つーか、そもそもエラスって「悪」じゃないよな(爆)。


 すっかりやさぐれた中年の筆者にとっては、正直この設定は実におもしろく、一種の小気味良さすら感じられるほどであり、座布団(ざぶとん)3枚はあげてもいいかと思える(大爆)。
 ただ、たとえば深夜アニメでこうしたかたちで従来の変身ヒーロー作品のフォーマットを徹底的にちゃかすことで笑いをとるのなら大賛成だが、果たしてコレは日曜朝の「子供番組」の枠でやっていいモノなのか? と考えるならおおいに疑問が残るところだ。


 もしどうしてもこういうのをやりたいのなら、これまで「正義」の名のもとに、本来は地球を守る存在だったハズのドルイドンの幹部・怪人・戦闘員の多くを殺害してきたことに対して、リュウソウジャーがまずは謝罪をするのが筋ではあるまいか?
 だが、リュウソウジャーは最終回に至るまで、ドルイドンにもエラスにもただの一言も謝罪せず、第40話『霧の中の悪夢』でコウが「明るい未来をかたちにするのがオレたちの騎士道」と結論づけたように、エラスと戦う理由として彼らはひたすら「未来」を口にするばかりであった。
 これではまるで太平洋戦争時の過去のあやまちはあくまで先祖がやったことで、自分たちには責任がないとして中国や韓国にいっさい謝罪せず、ひたすら「未来志向」を口にする安倍晋三(あべ・しんぞう)政権の外交姿勢と同じではないのか?(苦笑)


 実際第47話ではカナロが「これ以上戦う意味があるのか?」との疑問を示したことに、抽象的な存在から怪人態となったエラスを前に、リュウソウジャー全員が絶句して固まってしまう(笑)。
 その前段としてエラスがリュウソウジャーを含めた全人類を眠りにつかせ、争いも心配も絶望もない、ただひたすら幸せな夢を見せる場面があったのだが、カナロはそれを指して「このままみんなが眠りつづけた方が幸せだ」と主張するのだ。
 個人的にはそれにおおいに共感してしまったのだが(爆)、あくまで「地球をつくりなおす」と主張するエラスに対し、紅一点のアスナが「それはアンタの都合だろ!」とタンカをきる!


 そして変身ヒーローアニメ『SSSS.GRIDMAN(グリッドマン)』(18年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190529/p1)第9話『夢・想』にて、有象無象怪獣バジャックに幸せな夢を見せられた怪獣オタクの男子高校生・内海将(うつみ・しょう)が、「ここにはオレの友達がいない」と夢から覚めた際のセリフをアスナはまんまパクって(笑)、「その夢の中には仲間がいなかった!」と叫ぶのだ。
 だが夢から覚めた内海が「やるべきことが!」と怪獣退治=「公」のために駆けだしたのとは対照的に、アスナは私は仲間とずっといっしょにいたい、笑いたいなどと、ひたすら「私」のことばかりを口にする。
 それもアンタの都合だよな(爆)。


 アスナが口火を切ったのにつづき、ほかのメンバーも口々に戦う動機を叫ぶのだが、リュウソウ族もドルイドンもどうしようもないから地球をつくりなおすという、エラスのあまりに明確で一種の正当性すら感じられる動機を上回るほどの説得力のあるものは皆無(かいむ)に近かった。
 おかげでリュウソウジャーの最後の変身や名乗り、そして騎士竜の総登場が、クライマックスで盛りあがりを見せずに終わってしまった感がある。
 それにしても、リュウソウジャーにとっては6500万年もの因縁関係にあったハズのドルイドンに対する彼らの想いがここでまったく語られず、完全に蚊帳(かや)の外に置かれていたのはいったいどういうワケだろうか?


*地球での共存を許されずに終わったドルイド


 『リュウソウジャー』の後番組としてスタートした『魔進(マシン)戦隊キラメイジャー』(20年・もうコレに期待するしかないだろ・笑)が宝石と車をモチーフにしていることから、車つながりで動画無料配信サイト・YouTube(ユーチューブ)で配信が開始された『激走戦隊カーレンジャー』(96年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110521/p1)では宇宙の暴走族(笑)・ボーゾックが悪の組織として描かれてきたが、終盤で彼らは全宇宙を支配する暴走皇帝エグゾスにだまされていたことに気づき、最終回(第48話)『いつまでも交通安全』(爆)でボーゾックはカーレンジャーと共闘してエグゾスを倒したのだ!
 また先述した『ウルトラマンタイガ』の最終回(第25話)『バディ ステディ ゴー』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200112/p1)でも、侵略宇宙人の組織・ヴィランギルドに所属するサーベル暴君マグマ星人と宇宙商人マーキンド星人が、レギュラー悪のウルトラマントレギアが起こした地球に迫る危機を前に、民間の警備会社・E.G.I.S.(イージス)の作戦に協力する姿が描かれていた。


 だから『リュウソウジャー』でもドルイドンでわずかに生き残ったプリシャス・ワイズルー・クレオンと、まずは和解の握手でもかわした上で、リュウソウジャーとドルイドンが共闘してエラスを倒すさまを、6500万年にもおよぶ因縁バトルに決着をつける意味でもキッチリと描くべきではなかったのか?
 クレオンは第41話『消えた聖剣』にてプリシャスに渡せば手柄として認めてもらえるハズのリュウソウカリバーを危機に陥(おちい)ったリュウソウジャーに投げ渡したり、第42話『決戦のステージ』でリュウソウレッドに敗れたワイズルーを「ボクを認めてくれた」存在として別れを惜しむなど、幹部たちに翻弄(ほんろう)されてきた中で心の変遷や承認欲求がていねいに描かれていただけに、そのドラマ性を高めるためにもエラスに致命傷を与えるくらいの活躍をさせるべきだったろう。
 だがドルイドンの3人は第47話から最終回に至るリュウソウジャーとエラスのラストバトルの間はずっと不在であり、エラスが倒されるとやっと出てきて「クレオンの星に行く」としてそそくさと退場する始末だったのだ。


 そういや『リュウソウジャー』と同じく恐竜モチーフだった『獣電戦隊キョウリュウジャー』(13年)でメイン監督の坂本監督が撮った終盤では、敵組織・デーボス軍の女幹部でアイドル声優・戸松遙(とまつ・はるか)が声を演じたキャンデリラが、ラストバトルでキョウリュウジャーと共闘して幹部の百面神官カオスを倒したり、親とはぐれて泣いていた少女をクレオンみたいなコミカルキャラ・ラッキューロと世話をするさまが描かれていた。
 すでに「悪」ではなくなった、いや、元々「悪」ではなかったといえるプリシャス・ワイズルー・クレオンのそうした姿をラストで描くことで、リュウソウジャーが再三口にした「明るい未来」のかたちとは、それこそ『ウルトラマンタイガ』みたいにリュウソウ族・ドルイドン・人類が共存する理想社会の実現とすべきだったように思えてならないのだ。


*コミカル演出のマズい使い方


 あと第46話で気になったのが、リュウソウ族の伝説の偉人・セトーがリュウソウブラウンに変身して以降の描写である。
 このセトーはリュウソウジャーが世話になる古生物学者・龍井を演じる著名な俳優・吹越満(ふきこし・みつる)氏が二役で務め、飄々(ひょうひょう)としたキャラの龍井に時折セトーが憑依(ひょうい)しては助言を与えたり試練を課したりする、いわば神秘的な存在として描かれてきた。
 同様の事例としては『天装戦隊ゴセイジャー』(10年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20130121/p1)のゴセイジャーの指導者的存在・マスターヘッドが、ゴセイジャーが世話になる天文学者・天知秀一郎(あまち・しゅういちろう)博士に終盤で憑依し、天知博士の姿でゴセイジャーに助言を与える描写があったが、これも漫才コンビ髭男爵(ひげだんしゃく)の山田ルイ53世氏が、コミカルな天知博士と神秘的な存在のマスターヘッドを器用に演じわけていたものだった。


 セトーがリュウソウブラウンに変身した際、アスナが「リュウソウ……茶色?」(笑)とボケるのはむしろ微笑(ほほえ)ましいと思えるくらいだ。だが、強敵のプリシャスを前に「見た目は騎士だが中身はオッサン」と語って以降、リュウソウブラウンのアクションはまともに戦闘もできないような、単に足をひっぱるだけの存在として演出されていたのだ。リュウソウジャー全員が揃って名乗りをあげる場面で、ブラウンが「これがやりたかった」とボソッとつぶやくに至っては明らかに興(きょう)ざめであり、正直不快にすら思えたほどだった。コレはセトーのキャラではなく、むしろ龍井のキャラなのではあるまいか?


 スーパー戦隊の年寄りヒーローとしては先述した『獣電戦隊キョウリュウジャー』の初代キョウリュウバイオレット(紫色)の前例があり、変身直後にギックリ腰となってキョウリュウジャーとデーボス軍の双方をコケさせたものだが(笑)、これは変身前のドクター・ウルシェードが、彼を顔出しの生身で演じた大ベテラン声優・千葉繁(ちば・しげる)氏(!)のキャラをまんま活(い)かしたファンキーおやじだったからこそ、そのカッコ悪さも違和感なく楽しめたのだ。
 だがセトーはそんなネタキャラどころか、これまでリュウソウジャーの指導者的存在として崇高(すうこう)に描かれてきたのだ。にもかかわらず、変身後の方がカッコ悪く描かれることで、本作最大のクライマックスバトルのカタルシスを台無しにしてしまうとは何事か? これでは『ウルトラマンR/B(ルーブ)』(18年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20181104/p1)前半に登場した悪のネタキャラ・愛染(あいぜん)マコトが変身したウルトラマンオーブダークノワールブラックシュバルツのように、「神秘性がなくなる!」(爆)とボヤきたくもなるというものだ。


 誤解のないように主張しておくが、筆者は近年のスーパー戦隊仮面ライダーがコミカル演出を多用していること自体には賛成の立場である。
 ましてや『リュウソウジャー』の最終章三部作が「厨二病」的世界観として描かれた以上、「子供番組」としてのバランスをとるためにもむしろ笑える場面がもっとほしいと思えたほどだ。
 だが、バトル場面の中でコミカル演出を点描するなら、たとえば第44話の前半でメルト=リュウソウブルーの機転で助けられたオトが元々好意を感じていたメルトに「メルトくん」と抱きつくさまを見て、兄のカナロが「おまえを弟と認めよう……」とつぶやいて呆然(ぼうぜん)としてしまう(笑)といった調子で、各キャラがいかにもな行動を示すかたちで描かれるべきだろう。
 まぁ、先述した『激走戦隊カーレンジャー』に登場するボーゾックの怪人が、地球の和菓子屋・芋長(いもちょう)の芋ようかんを食べると巨大化する――ちなみにコンビニ売りの芋ようかんを食べると逆に体が縮小してしまう(爆)――、なんてユルユルな世界観が最初から示されていたのなら、リュウソウブラウンが最終決戦でボケまくるのも違和感があるどころか、むしろ当然だったかもしれないが。


 こんなことならせっかく第44話で初登場となったマスターブラック=先代リュウソウブラックこそ、ラストバトルに参戦させてほしかったものだ。ましてや先代ブラックのスーツアクターを務めたのは、「平成」仮面ライダーシリーズで主人公ライダーを長年演じつづけ、改元とともに後進に道を譲った、かつてはタイムレッドも演じた高岩成二(たかいわ・せいじ)氏だったのだから! だが第45話でプリシャスから心臓を取り戻したばかりで体が本調子じゃないからと、バンバのよけいな配慮(笑)によってマスターブラックは最終章三部作ではまともな見せ場がないままに終わってしまった。


 ついでにいうなら、最終回のラストでリュウソウ族の長老が「フィットネスクラブの経営失敗」云々(うんぬん)と語るのにも「神秘性がなくなる!」と叫びたくなったが(爆)。


スーパー戦隊最大の様式美をこともあろうに排除(!)


 さて本作でリュウソウジャーの相棒として何種類も登場してきた、人間の言葉で話す恐竜型の機械生命体・騎士竜こそが、メインターゲットの子供たちにとっては最も注目する存在であったことと思える。
 第46話でコウの相棒・ティラミーゴは、エラスの封印こそがオレたち騎士竜の使命だとして「おまえが大好きだ。おまえのためなら封印されてもいい」とまで語り、別れを惜しむコウに「どこにいてもソウルはひとつ」と、ふたりの絆(きずな)の強さを示していた。
 最終決戦でリュウソウカリバーに融合したすべての騎士竜は再び封印されることとなったのだが、エラスが消滅するカット――大量の火薬が爆発して炎がブチあがるのではなく、CGでガラスのように砕(くだ)け散るその最期(さいご)もカタルシスに欠けるものだったが……――のすぐ次の場面で、騎士竜たちがもう石像と化してしまっているのには唖然としてしまった(笑)。
 本来ならリュウソウジャー全員がそれぞれの相棒の騎士竜とメッセージをかわして別れを惜しむ描写があって然るべきかと思えるのだが、彼らの関係性はこんなにもクールに完結されてしまう程度のものだったのか?


 だが、『リュウソウジャー』ではもっと問題にしたいことがある。
 まだ変身ヒーロー作品の地位が現在よりもずっと低かった時代に、スーパー戦隊に対する揶揄(やゆ)として「なんで戦隊の名乗りの間に悪の組織は攻撃せぇへんのや~!」なんてのがあったものだ。
 先述したウルトラマンオーブダークノワールブラックシュバルツからすれば、それは「ルール違反なんだぞ~!!」だったのだが(爆)、スーパー戦隊の元祖『秘密戦隊ゴレンジャー』(75年)で「5人そろって、ゴレンジャー!」とキメて以降、その様式美は実に半世紀近くにも渡ってシリーズを通して継承されつづけてきたのである。
 だが、『リュウソウジャー』の多くの回ではこの様式美をよりによって省略してしまっていたのだ!


 今回話題にした第31話から最終回に至る計18話の中で、リュウソウジャーの名乗りが描かれたのは第39話・第40話・第43話・第44話・第45話・第46話・第47話の計7回しかなく――最終回ですら描かれなかった!――、それも最終決戦を描く第4クールに集中していたのである。
 まさか「名乗りなんてガキっぽい演出はもうやめましょう」なんて、プロデューサー・メインライター・本編監督たちとの間で妙な申し合わせがされていたワケではないだろうな? スーパー戦隊最大の様式美をはしょっておいて、「王道」志向も何もあったものではないと思えるのだが…… まさにこれこそが、『リュウソウジャー』の作風を最大に象徴するものではなかろうか?


 『リュウソウジャー』で東映側のプロデューサーを務めた丸山真哉(まるやま・しんや)氏は、かつて『ビーロボ カブタック』(97年・東映 テレビ朝日)・『テツワン探偵ロボタック』(98年・東映 テレビ朝日)・『燃えろ!! ロボコン』(99年・東映 テレビ朝日)などのコメディ色が強い作品群や――マニアたちの間では『カブタック』と『ロボタック』はいわゆるメタルヒーローシリーズには含まないとする見方が強い――、先述した実写版『美少女戦士セーラームーン』でサブプロデューサーを務めて以来、スーパー戦隊仮面ライダーといった正統派の変身ヒーロー作品にはほとんど関わったことのない人物である――『リュウソウジャー』に実写版『セーラームーン』出身者が多く出演することとなったのは、氏の人脈によるところが大きいのかと――。
 またメインライターを務めた山岡潤平(やまおか・じゅんぺい)氏は特撮どころかアニメやゲームの脚本すらも書いたことがない、いわばジャンル作品については完全な初心者だった。
 氏は1983年生まれなのだが、ひょっとしたら中高生のころに先述した『平成ウルトラセブン』や「平成」ウルトラマン三部作(96~98年)、怪獣映画「平成」ガメラシリーズ(95~99年・角川大映)などを楽しんでいたのだろうか?(笑)


 大の大人が変身ヒーロー作品を楽しみたいがために「ウルトラマンを子供からとりあげろ!」(大爆)などとして、テーマやドラマばかりを偏重(へんちょう)した「大人の鑑賞に耐える作品」が求められていた1990年代後半から2000年代初頭の感性でつくられてしまったような印象が、全面的にではないが『リュウソウジャー』にはどこか透けて感じられてならなかった。
 巨大メカ戦の演出に定評があり、「巨大戦の達人」とまで評されるほどの竹本昇(たけもと・のぼる)監督が最後までローテーションに加えられなかった一方で、「平成」仮面ライダーアバンギャルドな演出を得意とした若手の上堀内監督をメインに起用したのも、今思えばそんな感性を如実(にょじつ)に象徴させるものであり、「子供番組」というよりは「オレたちが観たいもの」を撮らせていたような感がある。
 『リュウソウジャー』と同じく恐竜モチーフの戦隊だった『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(92年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120220/p1)で監督デビューを果たし、30年近くに渡ってスーパー戦隊を演出しつづけてきた大ベテランの渡辺勝也(わたなべ・かつや)監督が、第25話『踊るクレオン』を最後に本作を離れたのは、そんな現場に対する抵抗だったのだろうか?――なお第25話が序盤の勢いに迫る3.6%もの視聴率を記録して以降、『リュウソウジャー』は3%の壁をついに一度も超えられなかった(大汗)――


 『リュウソウジャー』の作風は1990年代後半から2000年代初頭ならば、マニア間で「傑作」と評されていたかもしれない。
 なんせその時代は「王道」だった『百獣戦隊ガオレンジャー』(01年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20011113/p1)が、インターネットの巨大掲示板・5ちゃんねる――当時は「2ちゃんねる」――でボロカスに酷評されたほどだったのだから。
 もっとも筆者とて、先述した『激走戦隊カーレンジャー』の当時はまだ東宝・円谷至上主義者の気が残っていたので、「完全なガキ向け」としてバカにしていたのだが(汗)、今ではあまりにユルユルな『カーレンジャー』のことが愛(いと)おしく思えてならないほどだ(爆)。


 だが、あれから20年も経った「新時代」の現在では、ネット上で『リュウソウジャー』を「つまらない」どころか「ゴミのようにつまらない」(大汗)との酷評がなされ、それに多数の賛同意見が寄せられてしまうまでに至っている。
 特撮マニアの多くが現在の作品に求めているものも、「あのころ」とは完全に異なっているのだから、まずは製作側の意識改革こそが先決ではないのだろうか?
 まぁ、ここまでドハデに大失敗をやらかした以上、その反動で『魔進戦隊キラメイジャー』はきっと良くなることだろう(笑)。


2020.3.8.
(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2020年春号』(20年3月8日発行予定分)所収『騎士竜戦隊リュウソウジャー』総括・合評より抜粋)


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