假面特攻隊の一寸先は闇!読みにくいブログ(笑)

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ウルトラマン80 38話「大空にひびけウルトラの父の声」 〜イジメられっ子をかばってくれる少女はいるか?(笑)

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『ウルトラマン80』全話評 〜全記事見出し一覧


第38話『大空にひびけウルトラの父の声』 〜イジメられっ子をかばってくれる少女はいるか?(笑)

心霊怪獣ゴースドン ウルトラの父登場

(作・若槻文三 監督・外山徹 特撮監督・佐川和夫 放映日・80年12月24日)
(視聴率:関東8.4% 中部11.4% 関西11.9%)


(文・久保達也)
(2010年10月執筆)


太(ふとし)「やめろよ! なにすんだよ!」


いじめっこたち「やれやれ〜、やっちまえ〜、ざまぁみろ〜」


 下校途中、4人の悪ガキ風の小学生たちに囲まれ、背にしたランドセルの中身を路上に散らかされる太。


 女子小学生のふたり連れが見て見ぬフリをして通り過ぎていく。良くも悪くも腕力&胆力がなければ横暴は止められず、自分が暴力を受けるトバッチリの可能性もある以上、心苦しくても本能的に自己保身に走ってしまうのも子供にかぎらず人間一般の仕方がない反応であることも示す、なんともリアルな描写である。


いじめっこA「あっ、ウソつき太の作文だ。三重丸(さんじゅうまる)」
いじめっこB「きっとウソばっかり書いてるぜ」


太「ウソなんか書いてないよ!」


いじめっこA「よ〜し、それなら読んでみろ〜」


 まるめた作文用紙を突きだし、太に迫るいじめっこA。


いじめっこA「読めないだろう。ウソばっかり書いてあるからさ〜」


太「読めるよ!」


 いじめっこAから取り上げた作文用紙を広げて朗読する太。



太「『ぼくの父』    5年6組 長島太


 僕の父は長距離トラックに乗ってました。運転の名人で長い間、無事故でした」



いじめっこたち「ウソだ、ウソだ!」「崖から落ちたんじゃないのか〜!」「そうだ、そうだ!」



太「名古屋へ荷物を運び、父のトラックは中津台まで帰ってきました。そのときのことです」



 回想場面。太の父・長島茂太が運転するトラック。助手席には同僚の川村治が乗っている。


父「もう少しだな」
川村「ええ」


 そのとき、前方にそびえる中津山の頂上付近から不気味な黒い雲が立ちこめ、閃光とともに雷鳴が鳴り響いた!


川村「あ? 中津山にヘンな雲が!」
父「ん? いつものことだよ」
川村「カミナリだ!」
父「なんだあれは!?」



太「父のトラックは崖から落ちました。助手席の人は死にました。父も胸を打ちました。トラックの前に突然怪獣が立ちはだかったのです」


いじめっこA「ウソだ、ウソだ〜い!」
いじめっこB「怪獣なんか出るもんか! そのときちゃんと新聞にも出ていたよ!」
いじめっこA「うちのパパも云ってたよ。寝ぼけて事故を起こしてそんなウソをついたんだって」


太「父は本当に怪獣を見ました。中津台付近のどこかに怪獣が潜んでいて、怪獣はまたいつか現れ、犠牲者が出る。父はそう云って死んでしまいました。父はウソはつきません」


いじめっこA「ウソだ〜い!」
いじめっこB「太の父さん、ウソつき父さん!」
いじめっこたち「息子の太もウソつき太!」


 太の周囲で囃(はや)したてるいじめっこたち。


悦子「こら! あんたたち、やめなさいよ!」


 通りかかったクラスメートの悦子(えつこ)がいじめっこたちを一喝する。だがいじめっこたちはそれをよけいに面白がった。


いじめっこたち「ヒャハハハハ! ウソつき太! 泣き虫・太! や〜い!」


 はしゃぎながらその場を去っていく、いじめっこたち。


 路上に散乱した教科書やノートをひろう太を手伝う悦子。


悦子「太くん、やっつけてあげなさいよ! あたし信じてるわ。太くんの父さんは、本当に怪獣を見たんだわ!」


 思わず悦子を見つめる太。


 30数年前の悪夢の日々を個人的には思い出させてしまうほど(汗)、いじめっこたちを演じた子役俳優の熱演が光っている。特にいじめっこAとBのようなセリフはほとんど発しないにもかかわらず、いじめっこたちの中心人物となる不敵な面(つら)構えで終始、太を威嚇(いかく)する子役の異様なまでの存在感がたまらない(笑)。



「基本的に子供たちは天使だっていうけれどそれはウソでね。天使と悪魔、両方を持っているものなんですよ。親の見ていないところで子供は何をやっているかわからない、という感覚を表現したかったんです」

(DVD『バトルフィーバーJ』VOL.4(07年5月21日発売 東映ビデオ・ASIN:B000M5KBGQ) 脚本家・上原正三インタビュー スーパー戦隊シリーズ『バトルフィーバーJ』(79年・東映 テレビ朝日)第49話『2年5組の反乱軍』(引用者駐:子供たちが自爆テロを企てる話・汗)に関する発言より)



 もちろん心優しい子供やモラルや正義感がある子供がいるのも事実だ。しかしターゲットにされた太の父がよい例だが、死者に鞭(むち)打って笑いの種(たね)にしてしまうほど、過半の子供や男の子の本質は実に残酷なものである。親の見ていないところで子供は何をやっているかわからない。先の上原氏の発言をまさに的確に表現したかのような実にリアルないじめ描写である。


 ただこの手の作品にはつきものなのだが、ゲスト主役のいじめられっこに必ず理解ある同級生の女子が存在するというのは筆者の経験からしてもウソっぽい。あと太を演じる木村英幸がいじめられっこを演じるには、隙や弱さが感じられなくてちょっとシッカリしすぎており顔面も美形に過ぎてこれまたウソっぽい(笑)。いや本当に『ウルトラマン80(エイティ)』(80年)にゲストで出てくる子役俳優は、第32話『暗黒の海のモンスターシップ』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101204/p1)の明くんしかり、第33話『少年が作ってしまった怪獣』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101211/p1)の健一少年しかり、第35話『99年目の竜神祭』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101225/p1)の光男少年しかり、同時期の東映ヒーロー作品と比べても妙にイケメンが多いので、そうした趣向の持ち主は要チェックかもしれない(笑)。


 この冒頭の場面によって、太が「ウソつき太」などとさげすまれるようになった経緯、太が現在置かれている苦しい立場がすべて説明されている。


 これらの一連を観て、ウルトラシリーズのマニアであれば大勢が思い起こすことは、『ウルトラマンA(エース)』(72年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070430/p1)第29話『ウルトラ6番目の弟』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061120/p1)から同作にレギュラー入りした梅津ダン少年編のことである(『ウルトラマンA』は2010年12月22日よりバンダイビジュアルから『ウルトラ1800シリーズ』として低価格の再発DVD(ASIN:B0041858K4)のリリースが開始)。


 彼もまた交通事故で父親を亡くした少年であったが、事故現場で大量のアルコールが検出されたことから、同級生から「父親の酔っぱらい運転」だとからかわれていた。だが実はダンの父は地底超獣ギタギタンガから少女を守るために自らが犠牲となって事故を起こしたのである。現場から大量のアルコールが検出されたのはギタギタンガが頭部の赤いツノの先端から発する酸欠ガスにアルコールが含まれていたためだった。


 ダンは昼間でもウルトラの星が見えるという超感覚の持ち主でもあったのだが、それすらも


いじめっこ「昼間っから星が見えるなんて、大ウソつきもいいところだ!」


 などと、よけいにダンの立場を悪くさせてしまっていたのである。


 『A』の主人公である北斗星司(ほくと・せいじ)隊員と知り合ったダン少年は、以降は北斗と防衛組織・TAC(タック)の基地外ではコンビを組むかたちになっていく。この『A』第29話の直前話である第28話『さようなら夕子よ、月の妹よ』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061111/p1)で地球の衛星・月の住民であることを明かして仲間が待つ冥王星へと地球を去っていった南夕子隊員と別れて、いわば「半人前」になってしまった北斗はよりにもよって彼よりもさらに「未熟」な少年を不充分ながらも教え諭(さと)す立場となって、『A』第3クールではこの北斗とダンの二人三脚での成長物語といった側面が強くなる。


 そしてこの『80』第38話もまた、今回の事件を経た太がたくましく成長していく姿が描かれている。


 今回登場する怪獣ゴースドンは中津山上空に浮かぶ黒い雲海に身を潜め、自分のテリトリーに侵入してしまった太の父が運転するトラックを攻撃した。ダン少年編の2本目のエピソードに相当する『A』第30話『きみにも見えるウルトラの星』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061125/p1)に登場した黒雲超獣レッドジャックもまた、黒い雲に隠れて飛行移動をして自分の縄張りに侵入した救急車や暴走族を叩き潰していた。つまり、本話は『A』のダン少年編の初期2本のエピソードとも共通項があるのだ。


 だが大きく異なるところもある。今回はこの『A』ダン少年編にかぎらず子役をメインゲストに据えた特撮ヒーロー番組一般のエピソードとは異なり、ゲスト主役の太と主人公の矢的猛(やまと・たけし)隊員がからむ場面がわずかにラストのみなのである。事件を乗り越えて成長を遂げるゲスト主役の子供を描く場合、通常ならば主人公とのからみは欠かせないはずである。しかし今回、太を成長させたのは矢的からの叱咤激励ではなく亡き父との強い絆の方だったのだ。そして本話の矢的ことエイティもまた……



 帰宅した太に微笑(ほほえ)む父の遺影。その後ろに飾られた白い大きな凧(たこ)は、父が太にある願いをこめて作ってくれたものであった……



 回想場面。コタツでくつろぐ家族の姿には季節感を、家計簿でもつけているのかソロバンをはじく母・秋子の姿には庶民的な生活感も表現しており、一瞬の短い場面にも行き届いている細かな本編演出には好感がもてる。


父「さぁできたぞ、太。これにおまえの好きな絵を描いて上げてみろ」


太「ダメだよ父さん。こんなデッカい凧(たこ)、上げられないよ」


父「やってみるんだ」


太「だってぇ……」


父「太、お父さんいつも云ってるだろ。人間は正直に生きろって。正直に生きるためには強くなくっちゃってな」


太「うん」


父「ビュービュー吹く風の中を、ぐんぐん上がっていく凧のように、強い子になってほしいな」


 強い逆風の中で世間や社会が悪かったと他責にして愚痴るのはある程度までは仕方がないし普通のことでもあり、あまり責めてもいけないことかもしれない。しかしそれでは悪人ではなくても弱々しい善人であってただの凡人にすぎない。そこで卑屈にならずに前を見て胸を張って自分を強く正しく保(たも)って頭角を現わしていく人間こそが、たしかに人格的にも立派だとはいえるのだ。太の父はそのことを息子に教え諭してもいるのだろう。



 遺影の後ろに飾られた凧を取り出し、ジッと見つめる太。


 そこにパン工場のパート勤めを終えた太の母・秋子が帰ってきた。


母「ただいま」


太「お帰り、お母さん」


母「すぐ夕飯の支度(したく)するからね」


太「お母さん、お父さんは本当に怪獣を見たんだよね!?」


 思わず言葉に詰まる母。亡き夫の言葉ではあっても、たとえウソはついていなくても錯覚の可能性もあるのだから、理性的・客観的には一概には断言しがたいという彼女の当たり前に揺れる多面的な心情が絶妙に表現された、この回の隠れた名場面・名演技でもある。



 毎朝新聞社に読者から送られた不思議な写真を分析する、防衛組織・UGM司令室での隊員一同の場面がつづく。


オオヤマキャップ(隊長)「あの山、中津山だね」


イケダ隊員「何が光ってるんでしょ?」


矢的隊員「あれオーラじゃないですかね? キャップ」


広報班・セラ隊員「そうそうそう、これオーラっていうんですよ」


城野エミ隊員「オーラって、人間の体からも出てるんでしょ?」


フジモリ隊員「うん、そう云うねえ」


 「オーラバトラー」などと劇中の巨大ロボの総称が主題歌の歌詞にも歌われた、『機動戦士ガンダム』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990801/p1)の富野由悠季(とみの・よしゆき)が総監督を務めた西欧中世ファンタジー異世界を舞台に人間のオーラの力で動くリアルロボットアニメ『聖戦士ダンバイン』(83年・サンライズ 名古屋テレビ)の放映よりも前の1980年の時点ではまったくメジャーではなかった「オーラ」という語句が本話ですでに登場していたことに、今回の再視聴では少々驚いた。そして次の城野エミ(じょうの・えみ)隊員による


「するとこれ、怪獣の心霊写真……?」


 というセリフは、1973年ごろからのオカルトブームでテレビ各局のゴールデンタイムの90分枠スペシャル番組などで頻繁に題材となっていた心霊写真特集や、この1980年当時でも『お昼のワイドショー』(68~87年・日本テレビ)や『3時にあいましょう』(73~92年・TBS)や『2時のワイドショー』(79~92年・読売テレビ日本テレビ系)など芸能ニュース中心の1時間枠ワイドショー番組で時々あるいは週に1回、視聴者から寄せられた不思議な写真を霊能力者が鑑定する「恐怖の心霊写真特集」が名物コーナーとして人気を集めていた背景もあるのだろう。夏休みや中高の中間・期末テストで早めに帰宅した日は、これらを視聴するのが当時の小学生や中高生たちの楽しみだったものだ(笑)。



悦子「凧上げ大会、どうすれば勝ちなの?」


太「自分の凧で相手の凧の糸を切ったり、体当りして落とせばいいんだ」


悦子「じゃあ最後に残った凧が勝ちね」


太「うん」


悦子「あたしが男なら凧を上げるわ。ねぇ太くん、凧上げ競技会に出ればいいのに」


太「お父さんの作ってくれた凧はあるんだけどね」


悦子「そうよ。その凧で出れば?」


太「うん……」


 ふたりで仲良く下校する太と悦子。「あたしが男なら凧をあげるわ」という一言が、気弱な太の胸にグサリと突き刺さる!(笑)
 男の子に対して「男らしくあれ!」と煽(あお)っているような少女のこのセリフ。今ならばフェミニズム的には少々ツッコミが入りそうである(汗)。しかしフェミニズム的な言説を述べているのは良くも悪くも女性の中のそのまたごく一部である。当のフェミニズム女性たちもダブルスタンダードで「頼りない男でもOK」だとは決して見てくれず「男らしくあれ!」と無意識に思っているのがミエミエで、実際にもそのように頼りない男性を見下しているものなので(爆)、21世紀初頭の今の小学生女子たちもこんなふうに男児に対して「男らしくあれ!」と煽ったり、あるいはその観点から頼りない男の子に対してケチをつけているのではなかろうか?
 もちろんこのシーンにそんなアンチ・フェミニズム的な意図がこめられていたワケではないだろう(笑)。単に男の子が父親の遺志のみならず、好ましい女の子の励ましでも奮起する点火材になっていることを示しているシーンにすぎない。


 でもまぁ、頼りない男子やいじめられっこの男子が、良識のある学級委員タイプの女子にかばってもらったり励ましてもらえるというのは、この手のジュブナイル作品の様式美的なお約束ではある。しかし、よほどマセていたり子供心に周囲に対して自身のモテ具合を見せびらかしたい虚栄心が強かったり、あるいは生まれつきコミュニケーション能力&胆力に恵まれていなければ、しかも男子の方がいじめられっこである小学校中高学年の男女同士が、照れくささを抑えていっしょに帰宅や同道をするような行為はなかなかないだろう。
 そのような現実的にはなかなかアリエなさそうなシーンの弱点をリアリズムの観点から指摘することもドラマ批評としては重要だとも思うが、と同時にそこだけにとどまらずにフィクションである以上は「事実よりも真実」だから、子供同士ながらも繊細な男女の機微もこの手の描写で微量にスパイスしつつ、お互いの心情・真情もここぞとばかりに吐露させて、成長の契機や問題解決のハッピーエンドに持っていくという作劇は、フィクション作品・ドラマのつくりかたとしてはまちがってはいないと思う。


 その太の視界に、いじめっこたちの先輩格と思われる中学生のマサルが凧を上げている姿が飛びこんできた。


いじめっこA「わぁ、スゲェな」


いじめっこB「怪獣凧だ! マサルさん、絶対優勝だね!」


マサル「おぉ」


いじめっこA「あっ、ウソつき太だ」


マサル「おい、太! どうだ、怪獣凧だぞ! おまえのウソつきおやじ、生きてたら腰抜かして崖から落っこちるぞ!」


 ウワァ~。なんという他人に対する思いやりの欠片もない無神経、というか確信犯であえて人のイヤがることを云って傷つけることで、相手よりも精神的に上位に立とうとする卑劣な行為(爆)。でもまぁこういう品性下劣な輩は、子供だけでなく青年期になっても大人になっても、あるいは日本人にかぎらず全人類の多数派が同様なのかもしれないが(汗)。


太「お父さんはウソはつかないよ!」


マサル「ついたじゃないか! みんな知ってるぞ!」


太「つかないよ!」


マサル「なに云ってやがる! トラックが落ちて、人が死んだじゃないか! それで怪獣が出たなんてウソつきやがって! おまえの親父(おやじ)は人殺しだ!!」


いじめっこA「そうだ、そうだ!」


いじめっこB「人殺しだ!」


太「父さんは人殺しじゃない! この野郎!」


 無謀にも中学生のマサルに飛びかかっていく太。


マサル「なにすんだよ!」


太「ちきしょう〜! バカヤロ〜! この野郎〜!」


 「ウソつき」にとどまらず、遂に「人殺し」呼ばわりである(汗)。


 『ウルトラマンA』第3話『燃えろ! 超獣地獄』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060521/p1)におけるヤプールのセリフがあらためて心に響いてくる。


「子供が純真だと思っているのは人間だけだ!」


 マサルにコテンパンにのされる太。しかしそのことが太を発奮させることになる。太は凧上げ競技会に出ることを決意。父が作ってくれた凧に描くための下絵として、画用紙に絵の具を用いてウルトラマンエイティの絵を描きだす太。だが……


悦子「泣きべそをかいてるみたい……」


太「違うよ!」


悦子「でも泣いてるじゃないの……」


 両腕をL字型に組んで力強く必殺技・サクシウム光線発射のポーズをとっているウルトラマンエイティの姿。だが悦子はそこに太の心象風景を見ることとなったのだ。今回のゲストヒロインを務める女の子ならではの鋭い「感覚」が発揮されつつ、彼女を単なるお飾りではなく子供ながらに見識もある人物像としてそのキャラを立てることもできている。


母「太、マーケット行ってくるね」


悦子「あ、おばさん。私もう帰ります」


母「そう、じゃあそこまでいっしょに」


悦子「じゃあ太くん、がんばってね」


 納得がいかず、何枚ものエイティの絵を描いては捨てる太……


 帰宅する悦子を連れて買い物に出る母・秋子だが、よりによって事故で亡くなった助手席にいた川村のその妻・秀美と近所の主婦に出くわしてしまう。


母「奥さん……」


秀美「主人のお墓に花を供(そな)えてくれたの、奥さんね」


母「はい……」


秀美「花なんか供えてくれても、主人は帰ってこないわ!」(!!)


主婦「そうよね。お宅の太ちゃんはもう大きいけど、川村さんの奥さんのところは4歳と7歳よ! 奥さん行きましょう!」


 子供向け番組としてはなんとも重たすぎる描写である。私事で恐縮だが、先ごろ高校生の姪が自転車で通学途中に無免許運転の少年の車に衝突されて亡くなってしまうという悲劇が起きた。姪の両親は数ヶ月に渡って仕事に行くことができないほどの精神的ダメージを受けてしまったが、遺族感情というものはそれほど根深いものなのだ。いざ身近でそんな事態に遭遇したからということでもないが、こんな短い場面からでさえも子供の視聴者はともかく年長の視聴者であれば「痛み」がイヤというほど伝わってくるだろう……
 逆に云うなら、不謹慎ではあるけどニガ味と人間味にあふれる実にドラマ性が高いこの一連のシーンは、その作劇意図が理解はできても当のメインターゲットである子供たちにとっては照れくさくてムズがゆくて爽快な気持ちでは観ていられなくなり、同時期の人間ドラマ性よりかはヒロイズムの方を重視した『仮面ライダースーパー1(ワン)』(80年)や『電子戦隊デンジマン』(80年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120205/p1)の方に子供たちが走ってしまう一因にもなるものなので、痛し痒しでもあるのだが……


 エイティの絵を描き続ける太の耳に、亡き父の叫びが響く。


父「太、強い子になるんだぞ!」


 先にふれたことの繰り返しになるが、もちろんここで云う「強い子」とは、肉体的・物理的に強いという意味だけではなく、精神面や道徳面で強い子になれ、イザというときに困った人々や弱い人々を助けられるだけの強い人間になれるように、心や体も鍛(きた)えておけという意味である。そしてこの父の遺言が先の少女・悦子につづいて太に対する第二の背中押しとして機能していくのだ。



 病室のベッドに横たわる父と太との回想場面。


父「太…… カミナリが鳴って、黒いカミナリが…… あぁ……」


太「お父さん!」


父「突然トラックのすぐ前に、ボ〜ッと怪獣が現れた…… あの怪獣はきっとまた現れて、誰かがまた…… あぁ……」


太「(父の手をとり)お父さん!」


父「太…… 強い子になるんだぞ…… お母さんを助けて……」



太「できた! よ〜し!」


 すると、中津山の上空に雷鳴とともにまたも黒い雲が立ちこめ、青白い奇妙な発光体が出現する! 亡き父が云ったとおり、また怪獣が現れて誰かが犠牲になるかもしれないのだ……


子供A「ウルトラマンエイティ凧だ!」
子供B「すごいぞ、すごいぞ!」


 凧上げ競技会当日、すれ違った子供たちの声にハッと振り返った母・秋子は、思わずあわてて自宅に戻り、太の部屋で完成したエイティの下絵を見つける。父の願いを受け、太は力強いエイティの絵を立派に完成させていたのである! すぐさま競技会会場に向かう秋子。空に舞う無数の凧の中に……


悦子「おばさん」


太の母「えっちゃん」


悦子「太くんの凧よ。ほら、あそこに一番高く上がっているのが!」


太の母「えっちゃん…… 太、あなたは……」


 ビュービューと吹く風の中をぐんぐん上がっていく凧のように強い子になってほしい…… 最も高く上がっているウルトラマンエイティ凧に、秋子は夫の願いどおりに、太が力強く成長した証(あかし)を見たのである。挿入歌『心を燃やすあいつ-矢的猛の歌-』のインストゥルメンタル(歌なしの演奏)(ASIN:B0001A7VC4)をこの場面で使用した演出もこのシーンを実にエモーショナルに盛り上げてくれている。


 そのすぐ横に迫る、マサルが上げている怪獣凧!


悦子「太く〜ん、がんばって〜!」


実況「あっ、また落とされました! これで怪獣凧にやられたのは21個になりました!」


 ハンドスピーカーの実況まで入る本格的な凧上げ競技会(笑)。なんと、競技会運営本部のテントには


 「桜ヶ岡小中学生 凧あげ大会」


 なる看板が! かつて矢的が教師を務めていた桜ヶ岡中学校の校区内で行われていたのである! 『ウルトラマン80』第1話『ウルトラマン先生』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100502/p1)~第12話『美しい転校生』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100718/p1)までの通称「学校編」が路線変更により消滅して半年を経た時点でこうした演出がなされていることから、脚本上ではおそらく学校名までは指定されていなかったであろうから(?)、本編美術班などの側に「学校編」に少々のこだわりを残していた一部スタッフによる趣向であると推測されて、「学校編」やその舞台がこの作品世界から完全になかったことにはされなかった優しい気づかいには少々嬉しくもなる。しかし同時に、そうなるとマサルは桜ヶ岡中学校の生徒ということになってしまう(汗)。矢的の教えを受けていたら、太の父を「人殺し」呼ばわりすることもなかっただろうに(笑)。



 中津山の再調査を終え、UGM専用車・スカウターS7(エスセブン)で帰還途中の矢的とイケダ両隊員。空を華麗に舞う凧を車窓から見つけたイケダは、道草はダメだとしぶる矢的を


「いいじゃないですか。5分だけですよ、5分」


 と強引に説得し、凧上げ競技会に寄り道することとなる。そのためにUGM基地に戻ってから、イトウチーフ(副隊長)に道草の時間だけ逆立ちさせられるというキツ〜い罰をくらうのだが(笑)。


矢的「あっ、怪獣凧だよ!」


イケダ「あっ、その横! ウルトラマンエイティ凧ですよ!」


実況「これで怪獣凧とウルトラマンエイティ凧の一騎打ちとなりました! 皆さん応援してください! ふたりに拍手をお願いします! がんばってください!」


矢的「切れ、切れ! 怪獣凧の糸を切れ!!」


イケダ「がんばれ〜、がんばれ〜! ウルトラマンエイティ凧〜!!」


 応援団風のオーバーアクションで声援を送るイケダの姿が笑いを誘うが、太を応援していたのは悦子や矢的、イケダばかりではなかった!


いじめっこB「がんばれ!」
いじめっこA「負けるな太!」
いじめっこB「怪獣凧なんかやっつけちゃえ!」


 「マサルさん、絶対優勝だね!」なんて云っていたいじめっこBが、「怪獣凧なんかやっつけちゃえ!」などと太の声援に回るというのは少々ウソっぽい感が強い。それまでたとえマサルに対して面従腹背だったとしても、子供であっても人間は横暴な強者に対しては自己保身からなかなか本心を明かさない、明かせないものである(汗)。まぁ、尺の都合で彼の翻心(ほんしん)へと至る伏線描写がカットされたのかもしれないが。ただし30分のかぎられた尺数でのドラマで相応の決着をつけるためにはこれでもよいかとは思える。第36話『がんばれ! クワガタ越冬隊』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110101/p1)のゲスト主役・アッちゃんが乱暴者の山ちゃんをいとも簡単に許してしまった件にも見られたように、この程度のナマぬるいストーリー展開は万全とは思わないまでも許容されてもよいようには思うのだ(もちろん当然ながらこれをウソっぽい、唐突であるとする批判もおおいにあってよい)。


父「がんばれ! 負けるなよ! 太!」


 病床に横たわった亡き父の叫びが、太の脳裏にこだまする!


太「(心の声)お父さん、もうお父さんのこと、誰もウソつきだなんて云わないよ。ぼくのこと、泣き虫・太とも云わないよ!」


 番組のラストシーンではなくこのタイミングのこの描写で、太の成長物語はほぼ完結してしまっている。児童ドラマとしては第3クールのラストを飾るにふさわしい出色の出来ではあるものの、これこそが同時にこの回の最大の弱点であるともいえるのだ。


 先にも記したが、ここに至るまで太は矢的と直接的にはまったくからむことがない。そして、つづく怪獣ゴースドン出現以降は太の物語はまったく描かれなくなってしまうのだ。往年の草創期マニア向け書籍『ファンタスティクコレクションNo.10 空想特撮映像のすばらしき世界 ウルトラマンPARTII』(朝日ソノラマ・78年12月1日発行)で、『ウルトラマンタロウ』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)第40話『ウルトラ兄弟を超えてゆけ!』こそが『タロウ』全編を象徴するエピソードであり、「怪獣と人間のドラマが分離したまま進む奇妙な現象」だと『タロウ』全般を評していた(その形容が本当に正しかったのかはまた別として)。あまり用いたくない表現だが、本話はある意味でその論法を体現してしまったかのようなエピソードでもあるのだ。


 この回との共通項がある作品として挙げた『A』第29話では、ダン少年は北斗から父の事故死の現場写真を見せられ、飲酒運転の容疑は晴れることとなる。しかしながら、少女を救うという勇敢な行為に走ったのにどうしてウルトラマンエースは助けに来てくれず父は死んでしまったのか? と当然に生じるであろう疑問とともに詰め寄るダンに、北斗はダンの父が「もうダメだ」と思って超獣に立ち向かうという強い気持ちを捨ててしまったためではないか? と実に配慮に欠けるその場しのぎ(!)を語ってしまうのだ。
 強い人だと信じていた「偶像」を破壊され、泣きながら父の墓に向かったダンは、そこで超獣ギタギタンガに命令をくだす地底人アングラモンの姿を目撃! 手にしたパチンコ(スリンガーショット)でアングラモンの胸を攻撃し、その程度で大げさに苦しんだことからアングラモンの急所が胸であることを知るが、アングラモンの反撃を受けて断崖絶壁から転落しそうになってしまう。ギタギタンガの攻撃に向かう途中でダンを発見する北斗だが、「自分は大丈夫だから早く超獣を!」と健気にも力強く叫んでみせたダンの言葉で、北斗はその場を任せてウルトラマンエースに変身! 地底人アングラモンと超獣ギタギタンガのダブル攻撃に苦戦しながらも立ち向かうエースの姿に、ダンは崖から生えた一本の細い枝につかまりながら「おれだって、負けるもんか!」と自身を奮い立たせる。「負けるもんか! 負けるもんか!」とのダンの叫びがエースの形勢をも逆転させる。エースはギタギタンガを抱えあげて投げ技・エースリフターで地上に叩きつけ、木っ端微塵に粉砕! しかしアングラモンが放った地震光線で地割れした地底に落下してしまうエースだが、


「地底人の急所は、胸だよう!」


 とのダンの叫びに、エースは空中高くジャンプ、ハンドビームでアングラモンの胸を狙い撃ちして炎上させる! この『A』第29話では本編ドラマのクライマックスと特撮バトルのクライマックスが分離することなく、ややストレートで安直ながらもリンクはしており、戦闘場面を一応は盛り上げることとなっていたのである。


 『80』第36話『がんばれ! クワガタ越冬隊』でも、昆虫怪獣グワガンダに組み伏せられてピンチに陥ったエイティを、グワガンダ出現の元凶となった山ちゃんに対する怒りをアッちゃんが断ち切ることでグワガンダが弱体化、エイティが形勢逆転する様子が描かれたことで、ラストバトルにドラマがリンクできていたことから考えても、今回のラスト部分の作劇は本編と特撮がやや分離ぎみであるとは思えるのだ……


 早い話、たとえゴースドンが登場しなくても、エイティとのバトルを描かなくても、その気になればこの人間ドラマ部分のクライマックスだけでもこのエピソードを完結させることができてしまうのだ。ウルトラマンが主役であり怪獣とのバトルをウリにした作品だから、そんなワケにはいかないというだけの怪獣バトルの配置なのである。
 だからゴースドンも今回の最大の目玉であるはずのウルトラの父の登場も、いわば「つけ足し」のようなやや薄い印象を感じてしまう構成となってしまっているのだ。そういえばこれだけ長々と書いてきても、まだウルトラの父が登場していない。ウ〜ム……



 太に声援を送るいじめっこAとBの後方で、太を暖かく見守る母・秋子。しかし幼い子を連れて見物に来ていた秀美と視線が合う。すぐさま目をそらして上空に浮かぶ凧を子とともに見上げる秀美。助手席にいた夫を理不尽にも失ってしまった妻としてはやはり心情的には許せないというのもしょうがないことだろう。またまた実にシビアな人間の人情の真実も突いている、大人になるとこのニガ味がクセにもなってくる本編演出なのだが(笑)、子供番組としてはややヤリすぎな描写でもある。


 そのとき、中津山の上空に例の黒い雲が立ちこめ、雷鳴が鳴り響いた!


悦子「おばさん、カミナリよ」
秋子「ヘンねぇ、こんな季節にカミナリだなんて」


 稲妻が怪獣凧に向かって走り、青白い魂のような発光体が怪獣凧に乗り移って(!)、心霊怪獣ゴースドンとして実体化した!


 初代『ウルトラマン』(66年)第15話『恐怖の宇宙線』では、新種の宇宙線と太陽光線が融合し、ゲスト主役のムシ歯少年が土管に描いた絵が実体化して二次元怪獣ガヴァドンとなっていたが、今回このオーラが巨大怪獣として実体化する対象として怪獣凧に目をつけたのは、決してそれに都合のいい絵が描かれていたばかりではない(オタク風でもヤンチャな小学生風でもない悪ガキ風のもう中学生であるマサルが凧に怪獣の絵を描くというのも、ややリアルではないと思うのだが・笑)。
 今回は本編において、あまりにもシビアな人間たちの姿がまざまざと描かれてきた。太の父を「人殺し」呼ばわりしたマサルが描いた怪獣凧は、いじめっこたちや秀美のマイナスエネルギーをたっぷりと吸収していたとも解釈したくなる(身内を失ってしまった家族がどうしても抱いてしまう恨みのエネルギーをも「マイナスエネルギー」と称してしまうのはやや心苦しくはあるのだが、でもそれはやはりプラスのエネルギーとは云い難いものではあるだろう)。


 凧に乗り移るナゾの発光体は、第33話『少年が作ってしまった怪獣』で健一少年が作った怪獣人形に乗り移って工作怪獣ガゼラを誕生させた「怪獣の魂」(城野エミ隊員が命名)にも酷似している。怪獣の魂は手術を拒絶する健一からマイナスエネルギーを吸収して実体化していた。あのときエイティに退治されたと見られた怪獣の魂は元々はこの心霊怪獣ゴースドンでもあり、再び乗り移る対象を求めて中津山上空をさまよっていたのではないか? などとつくり手の意図以上のことを勝手に想像するのもアリかもしれない。


 マイナスエネルギーが怪獣として実体化する際の効果音「ピュルルル〜~~ン」とともに出現したゴースドンは、『ウルトラマン』第36話『射つな! アラシ』で初登場し、映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE(ザ・ムービー)』(09年・ワーナー・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101224/p1)で実に40数年ぶりに復活を果たした変身怪獣ザラガスを思わせる、頭部から前方に突き出た巨大なツノが印象的な怪獣である(目の作りもザラガスに酷似している)。
 黒雲に潜んでいるという設定からか全身漆黒という体色はいささか地味ではあるものの、右腕は二股のムチ(先端は多数のトゲが付いた砲丸状になっている)、左腕は稲妻を模したギザギザ状の剣と、『A』第13話『死刑! ウルトラ5兄弟』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060803/p1)&第14話『銀河に散った5つの星』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060805/p1)の前後編に登場した殺し屋超獣バラバを彷彿とさせる重武装型の怪獣である。巨大な背ビレは開閉して突風を巻き起こすが、なぜか今回のネタである凧のような形状であり、ここだけが妙に軽い感じではある(笑)。


太「きっとあの怪獣だ! お父さんが云ってたのは!」


 車やテントを踏み潰しながら太とマサルに迫るゴースドンを、超ローアングルでとらえているのがいつもながらの臨場感だが、今回は人物や実景との合成場面が皆無であるのが特撮マニア的には少々残念ではある。



 太の危機に駆け寄ろうとする太の母だが、避難してくる大群集の勢いに押されて転倒! そのとき、太の母を抱き起こしたのは……


秀美「奥さん、本当だったんですね、怪獣!」


 これも実に良いシーンではある。しかし太とマサル・いじめっこたちにも演じてもらいたかった場面でもある(子役にやらせるとややクサくなってしまう場面かな?・汗)。ただし『A』第29話や『80』第36話を例にあげるまでもなく、本編ドラマ部分と特撮バトル部分の遊離感を少しでも減らすためにも、特撮バトル後のラストシーンまではゲストキャラたちの人間ドラマを完結させてしまわない方がよいようにも思う。



 黒雲から稲妻が起こり、再び青白い怪獣の魂がゴースドンに吸収されるや、前部のツノと頭部後方に生えた一対のツノから黄色い稲妻状の心霊光線が発せられ、地球防衛軍の戦闘機群を次々に撃墜! 稲妻と心霊光線のイメージの統一は素晴らしい。


 UGMの戦闘機・スカイハイヤー、シルバーガル、イトウ専用のエースフライヤーがゴースドンを攻撃!
 だが矢的が搭乗するスカイハイヤーは心霊光線の直撃を受けてしまう!


 パラシュートで脱出する矢的だが、ゴースドンは降下中の矢的に心霊光線をまともに浴びせかけた!
 着地した矢的は変身アイテム・ブライトスティックを掲げようとするが、大地に倒れ伏してしまう!


矢的「体が動かない。俺は、俺は死ぬのか!?……」



 そのとき、天空から矢的に呼びかける声が! その声の主こそ、宇宙警備隊の大隊長ウルトラの父だったのである!


ウルトラの父ウルトラマンエイティよ」


矢的「ウルトラの父!」


ウルトラの父ウルトラマンエイティよ、立て! 立て!」


矢的「ウルトラの父…… ウルトラの父……」


ウルトラの父ウルトラマンエイティ、おまえの勇気は死んだのか!? 肉体よりも早くおまえの精神は死に果てたのか!? ウルトラマンエイティよ、立て! 立って戦え! おまえの勇気を正義の矢として悪を倒すのだ!!」



 今回のウルトラの父は幻影のようなかたちで描写され、『ウルトラマンA』第39話『セブンの命! エースの命!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070129/p1)で火炎超獣ファイヤーモンスに炎の剣で心臓を貫かれたエースを蘇生させるために、激励の言葉(だけ・笑)をかけたウルトラセブンの幻影のようなイメージで描かれている。しかしこの『A』第39話も視聴者の子供たちの大勢がそうであっただろうが、実際に地球に来訪して現役ウルトラマンとも共闘して、強敵怪獣に対する反撃に成功して勝って勝って勝ちまくるような描写がないと爽快感には欠けるというものだろう(笑)。


 『ウルトラマンA』第38話『復活! ウルトラの父』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070121/p1)では、ウルトラの父は当初は人間大サイズのサンタクロースのおじさんに扮して孤児院の子供たちの前に現われて、雪超獣スノーギランに苦戦するエースを援護、マントを翻(ひるがえ)してその正体を現すや、両腕をL字型に組んで発する光線技・ファザーショットで同話の元凶である伝説怪人ナマハゲを撃退、ソリに乗って天に帰っていった。
 『ウルトラマンタロウ』第39話『ウルトラ父子(おやこ) 餅つき大作戦!』でも、堂々たる頼もしい威厳をもってセリフを発しており、うす怪獣モチロンをこらしめるためにタロウにモチロンをうすにして餅つきをさせるように命じていた。
 このようにウルトラの父に単なる顔見せではなく、現役ヒーローに勝機を与えたり有用な活躍をさせたりしていた過去シリーズでのゲスト出演と比較すると、当時のメインターゲットである子供たちであればなおさら今回はやや物足りなかったのではなかろうか?
 ――余談だが、『復活! ウルトラの父』と『ウルトラ父子 餅つき大作戦!』はどちらもウルトラの父のみならず、『ウルトラマンA』前半のメインヒロインであった南夕子をゲスト出演させたこともまた、子供心にウルトラシリーズの連続性や同一世界観であることも感じさせてくれる趣向でよかったと思う。脚本はどちらも石堂淑朗(いしどう・としろう)先生。思えば南夕子が退場した『A』第28話『さようなら夕子よ、月の妹よ』も石堂先生の作品。出演可否の調整も必要だろうから石堂先生の一存ということではなく、南夕子の出演はTBSの橋本洋二プロデューサーか円谷プロ側のプロデューサーからのオーダー(注文)だったのだろうが――


 本話は1980年最後の放映回でもあることから、当初は脚本上にはなかったものの急遽、ウルトラの父を登板させることになったのだとも推測する。だからウルトラの父が登場するシーンがクライマックスにはならずに、取って付けたような登場になってしまったのではなかろうか?
 しかし仮にそうだとしても、特撮バトルの蚊帳の外になってしまった太をウルトラの父とからませるような点描(てんびょう)もアリではなかったか? もっとも矢的とウルトラの父の会話を太が見聞きしてしまうと矢的の正体がウルトラマンエイティであることがバレてしまうので(笑)、変身後に苦戦するエイティにウルトラの父が呼びかけるかたちにするか、ウルトラの父の矢的への呼びかけは聞こえないがその姿を太だけが見ることができた! あるいはウルトラの父が太にも語りかける! など。
 まぁ、それはそれでウルトラの星を見ることができる『A』ダン少年編におけるダン偏重、選民主義にも通じてしまうような悪い意味での再現になってしまうかもしれない(汗)。ならば、矢的や太にかぎらず、あの現場にいた人々もまたウルトラの父の声はともかくその姿を見ることはできた! そして人々もおおいに歓喜して勇気づけられる! などというようにすれば、よりカタルシスもあったと思うのだが……


 ウルトラの父の励ましを受け、遂に矢的は立ち上がった!


矢的「エイティ!」


 メインタイトルから計測してぴったり20分後、矢的が掛け声とともにエイティに変身する!
 ドラマ主導の回であり、ウルトラの父の出演もあったことから、エイティとゴースドンのバトルは簡略化され、約1分50秒にとどまっている。


 右腕の二股ムチを振り回して襲いかかるゴースドンの頭部に、エイティは高々とジャンプしてそのままキック!
 ゴースドンの頭部からバチバチと派手に火花が散る!
 ゴースドン、3本のツノから心霊光線を発射!


 苦しむエイティをゴースドンはムチと稲妻状の剣でどつき回し、頭部の巨大なツノで突進をかける!
 たまらず吹っ飛ぶエイティ!
 さらにゴースドンはエイティに背を向け、巨大な背ビレをバタつかせて突風を巻き起こす!
 猛々と巻き上がる砂塵とともに、猛烈な風の勢いがエイティを襲う!
 ゴースドン、今度は宙へ舞い上がり、3回連続でエイティに飛び蹴りをかます


 『ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル』(07年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080427/p1)では古代怪獣ゴモラや宇宙恐竜ゼットンが華麗にジャンピングキックをかましている。怪獣の擬人化されたアクションには賛否両論あるだろうが(筆者個人は賛成派)、これは動きやすさを重視した着ぐるみ技術の進歩の賜物であり、昭和ウルトラでは(いや平成ウルトラでも)怪獣のこんな大技はお目にかかれなかったものである。
 今回はスーツアクターが入ったムチ状の右腕を派手に振り回してもいる着ぐるみをそのままワイヤーで吊り上げることでこの大技を実現させている。『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』より30年も前に、ウルトラではワイヤーアクションに挑戦していたのである。さらに云うなら、『80』より8年も前の『ウルトラマンA』第18話『鳩を返せ!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060907/p1)の大鳩超獣ブラックピジョンや第24話『見よ! 真夜中の大変身』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061015/p1)のマグマ超人マザロン人とのバトルなどでも、東宝の巨大な第7ステージの高い天井を活かして怪獣の着ぐるみを人間が入ったままで吊り上げて空中で交差や激突させるような高度で斬新なワイヤーアクションは実はすでに試みられているので、そちらの方にも注目してほしい。


 終始劣勢だったエイティ、右腕から青白い針状の光線技・ウルトラストレートフラッシュを発射! ゴースドンの頭部に命中!
 するとエイティの右手から突如ロープが出現!(……これもウルトラマンタロウの左手首にはめたキングブレスレットのように万能武装の変型であれば唐突感はもう少しやわらいだのだろうが・笑)
 ロープでゴースドンをからめ取ると、エイティは左手のアクションでゴースドン目がけて猛烈な旋風を念動力で巻き起こした! 凧のように宙に舞い上がるゴースドン!
 エイティが胸中央のカラータイマーから渦巻き状の光線・タイマースパイラルを放つと、ゴースドンはグルグル回りながら地上に叩きつけられた!


 エイティ、両腕を回転させて黄色い輪を作り出し、全身からゴースドン目がけてウルトラオーラを放った!
 黄色い稲妻状の光線がゴースドンの全身を覆い尽くして、ゴースドンは虹色の炎のようなかたちと化し、そのまま消滅していった……


 尺は短いながら色々と工夫を凝らした特撮バトルが展開されていた。しかし今回の直前回である第36話『がんばれ! クワガタ越冬隊』と第37話『怖(おそ)れていたバルタン星人の動物園作戦』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110108/p1)が、ゲストたちの児童ドラマも充実させながらグワガンダや宇宙忍者バルタン星人とエイティとの特撮バトルもかなり派手に描かれていたことを考えると、ややインパクトが薄く感じられてもしまう。ゴースドンはデザイン・造形的には久々に怪獣らしいスタイルの怪獣だったので、もっと派手に暴れてほしかった気がする。今回は出現からバトルに至るまで凧上げ競技会の会場であった河原が舞台として描かれたため、ミニチュアセットも寂しく派手な都市破壊も皆無であった。ウ〜ン、もったいないなぁ……


 私事で恐縮だが先ごろ、東映特撮版『スパイダーマン』(78年・東映 東京12チャンネル→現テレビ東京)第12話『華麗なる殺人マシーンへの変身』とスーパー戦隊シリーズ『バトルフィーバーJ』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120130/p1)第27話『初恋泥棒にご用心』をたまたま同日に鑑賞した。ともに偶然にもレオパルドンバトルフィーバーロボによる定番であるはずの巨大ロボ戦が描かれないパターン破りの回だった。しかもどちらもゲスト主役である女性の淡い恋心が鉄十字団やエゴスといった悪の組織に利用されてしまう話なのである。年長になるとその人間ドラマの良さもわかるのだが、むしろそんな湿っぽい話だからこそ、特撮バトルは通常の回以上に派手に描かなければ子供の視聴者を引き付けるためにもバランスがとれないのではなかろうか? そうやってシリアスなドラマ志向に走ったばかりに低視聴率で打ち切りや路線変更の憂き目にあってきた特撮ヒーロー番組を我々は幾度も観てきた(笑)。人間ドラマの比重が大きいために特撮バトルの尺を過度に削ってしまうのも子供向け番組としては痛し痒しとなるのである。


 本話の脚本を担当したベテラン脚本家・若槻文三(わかつき・ぶんぞう)は特撮評論においては言及されることが非常に少ない。しかし平成ウルトラでいうなら人間の湿っぽい人情よりもシャープでクールなSF性を重視した小中千昭(こなか・ちあき)に相当するポジションの作風の持ち主であり、大宇宙から巨大隕石が接近してきたりゲストの庶民的なドラマよりも怪事件の捜査や作戦中心の乾いた攻防編をメインで描いてきた、ある意味では王道路線の作家でもある。
 初代『ウルトラマン』(66年)第25話『怪彗星ツイフォン』、『ウルトラセブン』(67年)第6話『ダーク・ゾーン』や第10話『怪しい隣人』や第26話『超兵器R1号』、『ミラーマン』(71年)の序盤3話や第10話『時計が止まった街』、『ウルトラマンレオ』(74年)第33話『レオ兄弟対宇宙悪霊星人』、『ザ★ウルトラマン』(79年)第27話『怪獣島(じま)浮上!!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091102/p1)や第29話『悪魔のUFO(ユーフォー)大襲来』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091115/p1)や第32話『宇宙からの物体X(エックス)』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091206/p1)。どれも庶民や子役たちの人情ドラマよりもイベント性・SF性・怪奇性を前面に押し出したエピソードであった。
 しかし今回は、本作『80』が児童編に突入したことから児童ゲストを中心に描いてほしいというオーダーがあったのだろうが、このような児童や大人たちの庶民的かつ実にシビアな人情の機微を見事に描いてみせているあたり、氏の知られざる引き出しの広さを垣間見せてもおり、その観点からも実に興味深い。


 ラストはボロボロになったエイティの凧を矢的に手渡された太と母・秋子がともに駆け寄ってくる場面となっている。


 トータルでは好印象の作品である。しかしながら、太の成長物語・心霊怪獣ゴースドン・ウルトラの父のゲスト出演、と魅力的な要素が揃っているのに、特にサブタイトルにも大々的に謳(うた)われているウルトラの父が活躍しないあたりで物足りない(笑)。あと一歩で傑作となりうるのに、個人的には少々惜しい印象がある作品である。



<こだわりコーナー>


*太の父・長島茂太を演じたのは、特撮マニアには『仮面ライダーストロンガー』(75年)に登場した悪の組織・ブラックサタンの大幹部・タイタン役で知られる浜田晃(はまだ・あきら)。刑事ドラマやテレビ時代劇で数多く演じている悪役としての姿が印象深いことから、少々意外な配役とも思えるのだが……



「タイタンをやるまでは“ワル”をやったことはなかったんです。NHKのドラマで幻の名作といわれる『タイムトラベラー』(72年)で先生役をやったりしてまして、このタイタン役がよかったんだか悪かったんだか……その後、悪い仇役をたくさんやるようになりまして。まあ、ひとつの節目みたいな、今考えると自分にとってよい意味で役者としての幅が拡がったと思っています」


「まさか自分が仮面被ってやるとは思わなかったけど。そこは“話が違ったな”って感じでした(笑)。怪人になっちゃったら、そのシーンはヌイグルミの方がやってくれるのかなぁ、と思ってたら、「スーツ姿で顔だけ変わるってことなんで、体型とか色々あるんでやってくれませんか?」って、ビックリでした。
 キツかったですよ。普通の役者がああいうの被ってやるのって、それまでなかったでしょ? 僕だけだと思います。だから大変でしたよ。(撮影の)全部に付き合わないといけないから。立ち回りも結構やりましたね。あれって被ると殆ど前が見えないんですよ。ということは、相手をいかに信用するかっていうことなんです。信頼関係、それは勉強になりましたね」


「でも、ちょうど娘が3歳くらいだった頃、ある日友達が遊びに来たら僕の顔を見て泣くんですよ。「これはヤバイ! ワルをやめないと」なんて思っていたら、(一つ目タイタンは)死んだんだけど阿部さん(東映のプロデューサー・阿部征司)が「“百目”になってパワーアップしますから」って。「また出るの?」って感じでした。そんなの最初はなかった話なんだから(笑)」


(DVD『仮面ライダーストロンガー』第2巻(03年11月21日発売 東映ビデオ・ASIN:B0000C4GNO) 浜田晃インタビュー)


(引用者駐:平日帯(おび)番組であった往年のNHK少年ドラマシリーズ枠(72~83年)の記念すべき第1作でもある『タイムトラベラー』とは、ジュブナイルSF小説の古典『時をかける少女』(65年)の初テレビドラマ化作品でもある。主演の島田淳子はのちに浅野真弓と改名し、『80』学校編でのメインヒロイン・相原京子(あいはら・きょうこ)先生を演じている。ちなみに彼女は『帰ってきたウルトラマン』(71年)第1話『怪獣総進撃』でも、凶暴怪獣アーストロンに焼き払われた山村で祖父を必死で助けようとする少女を演じていた)



 浜田晃氏は2009年に最高裁判所が「裁判員制度広報用映画」として制作した『裁判員 〜選ばれ、そして見えてきたもの〜』に被告側の弁護人・兼松大典の役で出演しているそうだ。この映画の主役で裁判員に選ばれる会社員・村瀬智昭を演じるのは『(新)仮面ライダー』(79年)で主人公の筑波洋(つくば・ひろし)=スカイライダー役だった村上弘明である。同じく裁判員に選ばれる面々を見てみる。主婦・佐々木郁恵を演じた小林綾子はNHK連続テレビ小説の大ヒット作品『おしん』(83年)の子供時代編の主演女優として超有名だが、彼女は『(新)仮面ライダー』第22話『コゴエンスキー 東京冷凍5秒前』にサムスギール帝国の神・ヒエール(笑)にいけにえとして捧げられ冷凍ミサイルに閉じこめられる少女の役ですでに30年も前に村上弘明と共演していた。さらに車椅子生活を送っているNPO団体職員・青井拓也の役は『仮面ライダー555(ファイズ)』(03年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20031102/p1)で主人公青年と対比の関係にあったレギュラーのオルフェノク怪人・木場勇治を演じていた泉政行である。ちなみに村瀬の娘・美樹を演じている黒川芽衣も『劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』(03年・東映http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20031105/p1)でゲストヒロイン・ミナを演じていたりするわけで…… なお同作は「制作協力」として東映株式会社・東映シーエム株式会社がクレジットされている。つまり実製作は東映なので、その関係からのキャスティングなのだろう。


(編註:浜田晃は、平成ライダーシリーズ最新作『仮面ライダー000(オーズ)』(10年)第13話『シャム猫とストレスと天才外科医』と第14話『プライドと手術と秘密』に病院院長役でゲスト出演。 ……さらなる編註:『仮面ライダービルド』(17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180513/p1)でも難波重工の会長・難波重三郎(なんば・じゅうざぶろう)役としてレギュラー出演を果たしている)


*ゲストヒロインである悦子を演じたのは多田愛という子役女優。出番が多い重要な役回りであるにもかかわらずオープニングにはなぜかクレジットされておらず、マニア向け書籍によれば完成台本のみにその名前が残されている。本文で挙げた『A』第30話も、ダンと知り合いになるゲスト主役の少女・陽子や少女の姉・救急隊員・暴走族のメンバー・ダンの近所の子供たちなどかなりゲストが多いにもかかわらず、オープニングにクレジットされているのは超獣レッドジャック出現時に避難する群集を整理する警官の役でその回ではごく短い出演に終わったウルトラシリーズ常連ゲスト俳優・大泉滉(おおいずみ・あきら)ただひとりである。当時はスタッフ・キャストを多数クレジットすることは非常に稀(まれ)であり、名の知られたゲストだけを目立たせるためか他のゲストは役名を表記しないようなこともしていたし、子役は一段下の存在として扱われてオミットされてしまったのだろうが、今後は当時のクレジットはされなかった出演者たちの研究が待たれるところである。


*『ウルトラマンメビウス』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070506/p1)第37話『父の背中』(06年12月23日放映)では33年ぶりにウルトラの父が地球に来訪した。しかも人々の間では例年この時期には「ウルトラの父 降臨祭」が開催されているとされていた。これはウルトラの父がそれまでの歴代シリーズでは地球に降臨したのが12月下旬であることが多かったからであることは、ウルトラシリーズのマニアであれば誰でもわかる明白なことであり、歓迎すべき趣向であった(『A』第38話の放映は72年12月22日、『タロウ』第39話の放映は73年12月28日)。
 今回の『80』第38話の放映も80年12月24日だったことから、当然これもカウントされているのかと思っていたが、今回再視聴をしてみるとウルトラの父の姿は矢的にしか見えなかったワケで人々の前には「降臨」していない。せっかくのクリスマス・イブだったのに(笑)。ここはひとつ、この『メビウス』でゲスト出演した際に、同作の公式ホームページにあった豆知識や追加設定コーナー『WEBメビナビ』あたりで、『80』当時も人々にはウルトラの父の姿は見えていたのだが、矢的への助言は聞こえなかったのだ……とかなんとかの後付けの追加設定をほどこしても、誰もケチはつけなかったどころか、かえって大歓迎をされたのではなかろうか?(笑)



「当初は完全にクリスマスの話で、クリスマスだったら父を出したいね、と言ってたんですが、地域によって放送の時期が違ったり、特別編成になったりすると年を越してしまうかもしれない。じゃあもう少し長いスパンのイベントに落としこむのはどうか、ということで降臨祭に落ち着いたんです」

(DVD『ウルトラマンメビウス』Volume10(07年4月25日発売 バンダイビジュアルASIN:B000MTF2MU円谷プロプロデューサー 渋谷浩康)



 同時ネットの系列局がわずかに過ぎなかった『メビウス』ならではの苦肉の策である。同時ネットではない地方の子供たちの夢を多少壊してでも(汗)クリスマスの出来事にしてほしかったような気もしてしまうのだが、今後の円谷プロの動向によっては第2期ウルトラシリーズで好んで描かれたピンポイントの「季節ネタ」を扱うことはいっそう難しくなるのかもしれない……


*今回クローズアップされた凧上げは、『80』が放映されていた80年の時点でもすでにやや古典的な遊びと化してしまっていた。当時のテレビのCMでもロック調の楽曲とともに散々に流されていた「ゲイラ・カイト」なるビニール製の三角形の洋凧が大流行したのも70年代半ばから後期にかけてのことである。現在20代の世代にとっては凧上げの経験自体が皆無という人々も多いのではなかろうか? このころはツクダ・オリジナルの「ルービック・キューブ」、タカラの「チョロQ」、任天堂の「ゲーム&ウォッチ」(LSI携帯ゲーム機)などが各社から発売されるなど新種の玩具が次々に登場、子供たちの遊びの世界は携帯・室内型に移行しつつあったのである。そんな時代に凧上げを描くこと自体が当時の子供たちの感覚的にやや古かった可能性もあり、残念ながら『80』や「ウルトラ」が時代に取り残されて次第に支持を失っていった理由がこんな面からも見てとれるのかもしれない。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2011年号』(2010年12月30日発行)所収『ウルトラマン80』後半再評価・各話評より分載抜粋)


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