假面特攻隊の一寸先は闇!読みにくいブログ(笑)

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ウルトラマンタロウ1話「ウルトラの母は太陽のように」


ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟2 〜東光太郎! 幻の流産企画!
「ウルトラマンタロウ 再評価・全話評!」 〜全記事見出し一覧

ウルトラマンタロウ1話「ウルトラの母は太陽のように」

(脚本・田口成光 監督・山際永三 特殊技術・佐川和夫)
(CSファミリー劇場ウルトラマンタロウ』放映・連動(?)連載!)
(文・久保達也)
(07年6月執筆)


ナレーション「ウルトラ6番目の兄弟、ウルトラマンタロウについての物語は、今、ここから始まる」


 前作『ウルトラマンA(エース)』(72年)で防衛組織・TAC(タック)の竜五郎隊長を演じた瑳川哲朗の、穏やかでソフトな語り口で物語は始まるが、この第1話はそれとはまさに相反するような、終始バタバタと慌ただしい雰囲気(もちろん良い意味で!)で展開されていく!


東光太郎「やっと帰ってきた!」


 白のタートルネックのシャツに白のパンツというファッションが象徴するような、清潔感あふれるすがすがしい好青年・東光太郎(ひがし・こうたろう)は、白鳥潔(しらとり・きよし。これまたすがすがしいネーミング!)が船長を務めるタンカー・日々丸に乗って世界中を航海し、今日本へと帰ってきた。
 サンドバッグのようなカバンを船から海に放り投げ、光太郎は豪快にも、服を着たまま海へ飛び込む!


白鳥船長「船に就職する話はどうするんだ!?」
光太郎「せっかくですが、お断りします!」


 東京湾岸の埋立地に泳ぎついた光太郎は、濡れた衣服を脱ぎ捨てて白のトランクス姿となり、その場に居合わせた可愛らしい柴犬の子犬と戯れ、旅から持ち帰ったひとつの球根をナイフで土を掘り起こし、埋めながらつぶやく。


光太郎「船長、俺は裸一貫で世界中を歩いてきたけど、やっぱりボクシングやりたいんです! 男らしい仕事だと思うんだ! あ、それから、チグリスフラワーの球根、砂漠の中で百年に一度しか咲かない花だそうですが、俺が日本の土で育て、花を咲かせてみせます。綺麗な、大きな花を!」


 この冒頭のわずか数分間で、無駄なナレーションやセリフなしで、青年・東光太郎という人間をほぼ描き尽くしているといっても過言ではない。
 停泊した船から服を着たまま飛びこむなど、当時放映されていた青春ドラマ『飛び出せ! 青春』(72年・日本テレビ)を彷彿とさせるノリでもあり、ややマンガチックではあるものの、このあと描かれる彼の行動に比べればまだまだ序の口(笑)であり、光太郎が猪突猛進で無鉄砲であることが端的に表現されているのである。
 いや、彼は決してそればかりではない。子犬と戯れる描写には、『A』第52話(最終回)『明日(あす)のエースは君だ!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070429/p1)において、ウルトラマンエースが地球人に向けた最後の言葉「やさしさを失わないでくれ。弱いものをいたわり……」が継承されており、光太郎が根は優しい青年であることを象徴するものとなっている。
 もしお時間が許すならば、彼が子犬を抱き上げる場面をスロー再生してじっくりと見てほしい。光太郎が子犬に対して向けるまなざしが、どれだけやさしいものであるかに気づかされるから。


 その平和な時をブチ破り、東京湾に突如オイル超獣オイルドリンカーが現れる! グレーの頭部の頭頂部と鼻先に巨大な角を生やし、全身が鱗に被われた茶色の胴体(しかし超獣というワリに随分と地味な配色だな・笑)のオイルドリンカーは好物の石油を求め、タンカーを破壊する!
 宇宙科学警備隊・ZAT(ザット)の大型主力戦闘機・スカイホエールとコンドル1号が出撃! だが周囲の石油タンクへの引火を防ぐため、思うように攻撃ができない!
 濡れた体を乾かしている最中だった光太郎は、素肌に赤いジャケットを羽織い(はだけた胸がセクシーだぞい)、人々が逃げまどう中、なんと運搬用の大型クレーンに乗りこみ、鎖をオイルドリンカーの首に巻きつけ、石油タンクから奴を引き離す。もがき苦しむオイルドリンカー!


光太郎「ざまあ見やがれ!」


 大型クレーンの操縦席からオイルドリンカーを映した、光太郎目線の特撮主観カットが実に臨場感を醸し出し、迫力あふれるカットに仕上がっている!
 いや、それだけではない! オイルドリンカーとクレーンが引っ張り合いをした揚げ句、結局鎖は耐えきれずに切れてしまうのだが、その状況を見せるために、オイルドリンカーとクレーンの引っ張り合いのロングショットのあとに、鎖がブチッと切れる場面をアップで描いているのだ!



山際監督「今、見てて思い出したんだけど、やっぱりあのクレーンの鎖は納得いかないなあ。当時も思ったんだけど、本物に見えないんだよね(笑)」
熊谷健プロデューサー「いやいや、監督。実はあそこは結構苦労したんですよ」

(「円谷特撮〜その創意工夫 〜」・DVD『ウルトラマンタロウ』Vol.1・デジタルウルトラプロジェクト・05年5月27日発売・ASIN:B00092QQJS



 現在ならCGでカンタンに表現してしまうところであろうが、コンピュータ画像処理なんて技術どころか概念すらなかった当時では、ミニチュアのサイズに合う普通の鉄の鎖を用意し、ヒューズに使われている導線で鎖の一部を作り、切りたい部分に継ぎ足すという方法をとったのだ。
 山際監督にはリアルに見えなかったようであるが、この場面のあとに鎖が切れた反動でオイルドリンカーが海面に叩きつけられる描写が続いていることから、なかなかどうして視覚的なインパクトは絶大なものとなっている。
 もちろんミニチュアが少しでも実物に近く見えるにこしたことはない。しかしながら、少々ハッタリでも良いからいかに視聴者に強く印象づけることができるか、優先すべきはやはりそれではないだろうか。
 クレーンからの主観カットもそうであるが、この回を担当した特殊技術(特撮監督)の佐川和夫は、このあとにも視聴者の度肝を抜くような、実に大胆な演出を施しているのである!
 こう書くとこの回のミニチュアセットが鎖同様にリアルでないと思われてしまうかもしれないが、決してそんなことはなく、オイルドリンカーが海中に逃げたあと、スカイホエールとコンドル1号が飛び去っていく描写をロングでとらえた場面では、コンビナートの複数の煙突から黒い煙が空へ吹き上がっており、なかなかいい雰囲気である!


 危機を救われた白鳥船長が、光太郎が船に置き忘れたものを手渡す。それは光太郎の母(和服姿であるのが時代を感じさせる)を写したモノクロ写真であった。


白鳥船長「忘れものだ。君にとっては大切なものだろ」


 そんな大事なものを、ましてや一枚の写真を船に置き忘れるなんて、普通に考えたら相当おかしいのだが(笑)、これも視聴者に光太郎の母を強く印象づけるための演出であり、のちの重要な伏線にもなっているのである!


白鳥船長「しばらく私の家に泊まっていったら。子供たちだけしかいないんだから」
光太郎「ありがとうございます。でも、俺は俺のやり方でやっていきます!」


 ここまで描かれた光太郎の「俺のやり方」は実に周囲をひやひやさせるものであり(笑)、このあとも光太郎は「俺のやり方」を貫いていくのだが、それが彼の運命を大きく左右させることとなり、実に象徴的なセリフである。


 事件解決後、美しい夕焼けに染まった埋立地の公園で、光太郎が植えた球根から一輪の赤い花が咲き、「ウォ〜〜」といううめき声(『ウルトラマン』(66年)第5話『ミロガンダの秘密』に登場した怪奇植物グリーンモンスの声を流用)とともに、黄色い煙を吹き上げた(それを不思議そうに見つめる子犬をとらえたカットが実に見事! なんちゅう芸達者な子犬や・笑)。次の瞬間、公園一面に赤い花が咲き乱れた!


光太郎「百年に一度しか咲かない花が咲いたんだ〜!」


 「やった〜っ」とオーバーに喜びながら花の周囲を子供のように駆けずり回り、しまいに花の上をジャンプする光太郎。子犬も彼につられてか、嬉しそうに花の周囲を駆けずり回る(やっぱり芸達者な犬や!・笑)。
 着地したあと、ボクシングのファイティングポーズを決める光太郎。自身もまた夢であるボクサーとなり、まさにひと花咲かせたいという願いを表現した的確な演出だ。


 一つの寝袋で仲良く眠る光太郎と子犬。だが花の「ウォ〜」といううめき声に目を覚ました子犬が花の方に駆け寄ると、赤く伸びるムチにからめとられてしまった!
 オイルドリンカーの再度の出現に備え、ZATの偵察用小型車・ラビットパンダでパトロールしていた西田隊員も赤いムチに襲われるが、ラビットパンダが発した電撃攻撃に赤いムチはひるんだ様子で彼方へと去っていった。
 西田の通報で朝日奈隊長やほかの隊員たちもスカイホエールで現場に駆けつけた。遠景にとらえたミニチュアのスカイホエールの前に隊員たちを合成したカットが自然で良い。もっともナイトシーンだからバレにくいのだが(笑)。
 怪現象から花の一群が咲いた埋立地の下にオイルドリンカーが潜んでいるとにらんだZATは、スーパーナパームで花を焼きつくした。するとそばで寝ていた光太郎が悲鳴をあげ、ナパームを抱えた北島隊員に食ってかかった!


光太郎「オイ、俺の花がどんなに大切なものなのか知っているのか? えっ? バカヤロ〜〜っ!!」


 いきなり北島を殴りつけ、ボクシングのファイティングスタイルをシュッシュッと取って北島を徴発する光太郎。北島にしてみれば「そんなこと知るか!」であり、迷惑この上ない話ではある。
 だが光太郎にとって、砂漠の中で百年に一度しか咲かない花=チグリスフラワーは彼の夢の象徴であったのだ。
 裸一貫で世界中を渡り歩いてきても、それでも満たされないものを感じていた光太郎は、彼の夢であるボクサーとなることで、人生にひと花咲かせたかったのである。
 百年といえば人間の一生に等しい期間である。そのほとんどは実は砂漠の中で感じるような飢えと渇きに襲われ、花のように咲くことができるのは人生の中で一度きり……光太郎に限らず、まさに人間の一生を象徴するようなチグリスフラワーであるが、それに自分の夢を託した光太郎が血気盛んに怒りまくるのはまあやむなしとはいえる。


 とっくみあう光太郎と北島。格闘の中で光太郎は夜空を華麗にジャンプして宙返り(スタントではなく、光太郎を演じる篠田三郎自身のようだ!)、着地して北島を……ではなく、そこに居合わせた南原隊員を殴ってしまう。


南原「俺は違う〜!」
光太郎「邪魔なんだよ!」


 まあ「俺のやり方」を通そうとすると周囲に多大な迷惑をかけるという典型を描いており、これをリアルに表現すればすげえ陰欝になってしまうところだが、コメディタッチの演出と、光太郎演じる篠田三郎のどこまでも爽やかな印象のせいか、あまり嫌な感じを受けさせないところが秀逸な点である。


 そこに再度オイルドリンカーが出現! 口から炎を吐き出して夜のコンビナートを炎上させる!
 この場面、最初北島隊員が股ぐらから顔をのぞかせて目撃する目線でとらえられ、画面が逆になっているのを反転させるという、面白い手法がとられている。これこそ『タロウ』のユニークな作品世界を象徴するかのようだ!


 さらに地響きに続き、埋立地を突き破って宇宙大怪獣アストロモンスが姿を現した! 光太郎が植えた球根の正体は実はこいつだったのだ!
 頭部と鼻先の角、右手がムチに左手が鎌(全て配色は赤)でスタイルは一見すると正統派の恐竜型怪獣であるが、なんといっても腹に植えられた巨大な赤い花=チグリスフラワーこそ、アストロモンスのトレードマークである!


 植物をモチーフにしたウルトラ怪獣といえば、古くは『ウルトラQ』(66年)第4話『マンモスフラワー』に登場した古代植物ジュランに始まり、『ウルトラマン』第5話『ミロガンダの秘密』に登場した怪奇植物グリーンモンス、第31話『来たのは誰だ』に登場した吸血植物ケロニア、『ウルトラセブン』(67年)第2話『緑の恐怖』に登場した生物X・ワイアール星人など、今ひとつ地味な印象のため、人気怪獣となり得た奴はほとんど存在せず、今日に至るまでまともに商品化すらされていない奴が多い。


 だがアストロモンスの場合、バンダイの『ウルトラ怪獣シリーズ』で89年に発売されて以来、何度も整形色や塗装を変更して現在に至るまで継続して発売されているのだ!(ASIN:B0002U3HPS
 植物をモチーフにしつつもそのまんま巨大化させるのではなく、スタイルはあくまで怪獣然としており、濃紺のボディの要所に子供が最も好むとされる赤色を配し、角、ムチ、鎌、腕や背中のトゲなど、各所に突起物を備えて外見的にケバケバしく、派手な印象を与えたデザイン・造形こそ、人気怪獣となり得た理由であろう。
 そしてかっこいい外見ばかりではなく、実際このあと描かれる奴の暴れっぷりは、第1話に登場するにまさにふさわしい爽快なものであり、その印象をより強いものにしているのである!


 アストロモンス対オイルドリンカー! 怪獣対超獣の死闘が夜のコンビナートで展開される!……が、ほんの少しの格闘でオイルドリンカーは吹っ飛ばされ、アストロモンスに立ち向かっていくや、腹部の巨大なチグリスフラワーにあっけなく飲みこまれてしまった!
 これの尺の短さには筆者的に正直かなりもの足りなさが残るのだが、怪獣よりも強いとされていた超獣を、アストロモンスがいとも簡単に打ち負かしてしまうことで、超獣以上の脅威が新たに出現したという、鮮烈な印象を視聴者に与える手段としては、まあ致し方ないといったところであろう。
 数回挿入される、チグリスフラワー中央の口が開閉するさまをアップでとらえたカットが、「宇宙大怪獣」としての不気味さを醸し出し、実に効果的である!


光太郎「チグリスフラワーだ!」
北島「おまえの花と同じじゃないか!?」
光太郎「俺の花が怪獣に! 畜生!」


 この日本でひと花咲かせようと、光太郎が自分の夢を託したチグリスフラワーの正体は、実は宇宙大怪獣アストロモンスだった! ここで光太郎の夢は完全に打ち砕かれ、ただでさえ無鉄砲な彼を自暴自棄な行動へと走らせる!


光太郎「よーし、こうなったら俺自身の手で!」


 ZATの制止を振りきり、アストロモンスに立ち向かう光太郎! 夜のコンビナートを進撃するアストロモンスの特撮カットに走る光太郎を合成したり、逆にひっくり返る光太郎の実写場面に、踏み潰そうとするアストロモンスの巨大な足のみを合成(しかも丁寧にも地面を踏んで巻き上がる砂塵までをも合成で追加!)と、臨場感あふれる大胆なカットが目をひく。CGもいいけど、こうした新鮮な驚きが感じられたアナログ特撮もやっぱ捨てがたいぞ!


 そして、なんと光太郎は空へ飛び去ろうとするアストロモンスの足にジャンプしてしがみつき、そのままアストロモンスとともに夜空を飛行する!


光太郎「バカヤロー! どこまで飛んでいくんだよ〜!」


 光太郎は手にしたナイフでアストロモンスの足を突き刺すばかりでなく、なんと足にかみついた!(笑)
 その痛さに耐えかね(リアルに考えたら蚊に刺されたくらいにしか感じないはずだが・爆)、アストロモンスは光太郎を振り落とした!
 飛行するアストロモンスのギニョール、着ぐるみの表情のアップ、そして光太郎がしがみつくアストロモンスの巨大な足のセットを巧みにカットバックさせ、ユーモラスな演出ながらも緊迫感があふれている!


 振り落とされた光太郎は、そのままバッティングセンターに張り巡らされたネットに転落(できすぎ・笑)、数回高く飛び跳ねたあと、地面に叩きつけられた。「ああ、痛ぇなあ」とだらしなくのびてしまう光太郎……


 『帰ってきたウルトラマン』(71年)の主人公・郷秀樹は、第1話『怪獣総進撃』において、オイル怪獣タッコングの襲撃から少年と子犬を守るために命を落とした。
 光太郎と同様、無鉄砲で猪突猛進タイプであった『ウルトラマンA』の主人公・北斗星司(ほくと・せいじ)でさえ、第1話『輝け! ウルトラ五兄弟』において、車椅子の少女と彼女を看護する南夕子をミサイル超獣ベロクロンの襲撃から守るために、タンクローリーでベロクロンに突撃したのである。
 そうした自己犠牲の精神のようなものが、ここまでの光太郎にはあまり感じられないのである。アストロモンスに立ち向かったのも自分の夢が打ち砕かれ、やけになっての行動のように映る。オイルドリンカーをクレーンで追い払った際も、白鳥船長たちを救うことになったとはいえ、それはあくまで結果論に過ぎず、まるで超獣にケンカをしかけただけの感があり、決して「世のため人のため」に戦ったとは思えない印象を感じるのである。


 これを裏づける証拠がある。先に紹介したDVDのVol.1の解説書に掲載された、山際監督所蔵の第1話のシナリオを見ると、オイルドリンカーの出現時において、


光太郎「このままじゃ東京の街までやられちまう!」


 というセリフがあるのだが、これが監督の手によって鉛筆で消され、本編では削除されているのである。これを見ても、従来の自己犠牲型ヒーローとは異なる主人公像を描こうとした意図がうかがえるのである。


 それだけではない。「バカヤロー!」「畜生!」「ざまあ見やがれ!」などと、筆者も今回の再見で驚いたほど、当初の光太郎は実に口が悪かったのである。
 同時期のヒーロー作品の主人公と比べてもこれはかなり異質である。『仮面ライダーV3(ブイスリー)』(73年)の風見志郎はキザではあったが口は悪くなかったし、『キカイダー01(ゼロワン)』(73年)のイチローや『イナズマン』(73年)の渡五郎(わたり・ごろう)なんかはむしろ優等生として描かれていたのだ(まあそれぞれ改造人間、人造人間、ミュータントと並の人間ではなかったわけだが)。


 ここでどうしても連想してしまうのは、光太郎みたいにケンカっぱやく、機械獣を相手に「笑わせるな!」だの「ふざけるな!」などと口走っていた『マジンガーZ』(72年)の主人公・兜甲児(かぶと・こうじ)である。
 『マジンガーZ』は当時全盛だった変身ヒーロー作品をやがては蹴ちらし、スーパーロボットアニメの黄金時代の礎となった作品だが、当時の時代の趨勢として、従来の古典的な自己犠牲型の優等生ヒーローよりも、無鉄砲なやんちゃ坊主的ヒーローが求められた結果、『マジンガーZ』が児童マスコミ文化のトップに躍り出ることができたとも考えられるのである。
 従って円谷が「時代を掴む」ための最高のテキストとして、『マジンガーZ』を参考にして新しいヒーロー像をつくりあげた可能性は決してないとはいえないのだ(まあ『ジャンボーグA(エース)』(73年)のDVD解説書なんかでは満田かずほ氏が「他社の作品はまともに見たことがなかった」なんて語っておりますから、時代の空気が反映したとでもいいますか)。


 もちろんそれだけの単純な理由ばかりではない。光太郎がこうした型破りな主人公として描かれたのにはもっと大きな理由がある。適度にやんちゃ坊主だからこそ、女性は母性本能をくすぐられ、優しく包んであげたいと思うのだ。光太郎のキャラクターは、本作の重要なキーパーソンを機能的に描くための、確信犯的設定だったのである!


 顔面を傷だらけにしてだらしなくのびている光太郎に、登校中の小学生たちが水をぶっかける。その中のひとり、健一少年の姉・女子大生のさおりが白いハンカチを光太郎の右手の甲に包帯がわりに巻きつけると……


光太郎「きれいだ……」
さおり「いいんです。こんなハンカチ」
光太郎「いやあ、あなたのことですよ」


 ハンカチのことを「きれいだ」などと誉める男もいようはずがなく、この会話はたまらなく変なのだが(いきなり口説いてる?・笑)、さおりは可愛いらしいのだけど純朴かつどことなく「イケてねえ」感じの「イモ姉ちゃん」(死語・笑)的風貌でもあり、このピンボケのリアクションは確かにしっくりとくるものがあったりする。
 猪突猛進型の光太郎だからこそ、こうしたおっとり型のさおりのようなタイプがふさわしいのだが、さおりと今後の二人の展開についてはいずれまた詳述。


 光太郎の傷を心配した小学生たちが交通指導員=緑のおばさんを連れてきた。黄色い帽子に緑のブレザー、首からは笛を下げているというスタイルは、近年地元の主婦が普段着姿で交替で交通指導をする姿とは違い、実に説得力あふれるものだ(と同時に世代人には郷愁が……)。


緑のおばさん「ちょっと脱いでごらんなさい」


 光太郎の白いシャツの袖をまくりあげる緑のおばさん。


緑のおばさん「あらあら。ひどい傷ねえ」


 緑のおばさんは光太郎の右腕の傷に口づけをした……
 それをまざまざと眺めていた光太郎が思わずつぶやく。


光太郎「お母さん……」


 「この場面は最初にサンプルストーリーを書いたときから存在していました。やっぱり「血の交換」ということですね。ドラキュラと同じで同族になるっていうか(笑)。いずれにしても、母と息子の絆とかいうことになってくると、言葉だけだと伝わりにくいじゃないですか。それを具体的に、血を吸うということで行為として表現すれば、見ている人にも、その絆の重さが理屈じゃなくて実感として分かるんじゃないかという思いで書きました」

(脚本家・田口成光「ウルトラの母にこめられた願い」・DVD『ウルトラマンタロウ』Vol.1解説書より)


光太郎「不思議だなあ。死んだ母さんに似てるんです」


 緑のおばさんは光太郎が日々丸に置き忘れた母の写真とそっくりの風貌をした女性だったのである。


緑のおばさん「そういえばあなたも私の息子によく似ているわ」


 彼女はふと思い出したように上着のポケットからある物を取り出した。太陽のような紋章を中心にして三方に広がった先端には赤い宝石があしらえられた、金属製の黄色いバッジであり、彼女はそれを光太郎の治療した右腕の上に置いた……


緑のおばさん「そうだ。いいものあげる。これお守りなの……大切に持っててちょうだい」
光太郎「ありがとう」
緑のおばさん「ねえあなた、やりかけたことは最後までおやりなさいよ。途中でやめたらだめですよ」


 「さようなら」と緑のおばさんを見送る光太郎。



 ここでようやくAパートの終了と、わずか十数分の間にギッシリと詰めこまれた密度の濃さ!
 続々登場する超獣や怪獣の大破壊、ZATの空中戦や地上攻撃と、見せ場をたっぷりと描きながらも、たたみかけるようなテンポの良さで主要登場人物をしっかりと描ききっている点はまさに驚嘆に値する!
 このノリはもちろんBパートに続き、視聴者の関心をつなぎとめて離さないのだ!


 東京都中央区霞が関1丁目1番地のビル街に威容を誇るZAT基地の全景。車が行き交うビル街のバックにミニチュアが合成されたカットが現実感を醸し出して良い(いや「秘密基地」を否定するわけじゃありませんが……)。


朝日奈隊長「諸君、新入隊員を紹介する。東光太郎君だ」


 「あの男が!?」とばかりに驚く隊員一同。つーか、入隊の経緯についてはほとんど無視であるが(笑)、光太郎にとっては、母にうり二つの緑のおばさんに「やりかけたことは最後までおやりなさい」と励まされたことで、「俺自身の手であの怪獣を倒す!」ことをやり遂げるためにZATに入隊した。それこそが最大の動機なのである!


 ZAT基地近くにアストロモンスが出現した! 避難する群集のカットに続き、地下鉄霞が関駅入口近辺で群集や避難を誘導する隊員たちの実写場面の背景のビルに、迫り来るアストロモンスの影を合成したカットが絶妙な緊迫感を醸し出しており、あまりに秀逸である!
 歩道橋、街灯、アドバルーンに看板(サントリーオールドらしき洋酒が描かれているものもある!)に至るまで、実に精密に再現されたミニチュアセットを、アストロモンスが右手のムチと左手の鎌で惜しげもなく破壊する場面が実に爽快!
 なんといっても破壊されるビル内部からの主観カットがいくつも挿入されていることが臨場感を醸し出す! アストロモンスが建物にムチを振りおろしたり、鎌で突き崩すカットに続き、赤いソファーが多数配置されたレストランかホテルのロビー風の室内で、ガラスや柱が粉々になるさまが描かれているのだ!
 白眉はアストロモンスが足元の赤い乗用車を蹴飛ばし、ブティックの室内に突っこんで炎上する場面だろう。天井には複数のシャンデリアがぶら下がり、多数配置されたマネキンもちゃんと衣服を着用と、この芸の細かさは驚嘆に値する!
 そして腹の巨大なチグリスフラワーの中央からは溶解液を噴射してビルをドロドロに溶かしてしまう! これも今ならCGでやっちまうかもしれないが、ビルが溶けていく過程をきっちりと手間かけて描いた場面見てると、やっぱアナログ特撮も捨てがたいぞ!
 あの超獣をもひと飲みにしてしまったアストロモンスはまさに「宇宙大怪獣」と形容するにふさわしい威容を誇る強敵だ! 果たしてZATはこれにどう立ち向かうのか!


荒垣副隊長「電気ショック作戦を開始する!」


 夜の埋立地でパトロール中の西田隊員をアストロモンスが襲った際、ラビットパンダの電流攻撃でひるんだことから考案された作戦だ! おのおのの怪獣の特性を分析した実に的を得た作戦を、ZATは今後も怪獣攻撃において展開していくが、それらは毎回キッチリ紹介する予定!
 アストロモンスの首にスカイホエールの機体下部からワイヤーが打ちこまれ、高圧電流が放たれた! アストロモンスの全身に電流を表現した稲妻状の光線が合成されるのもさることながら、なんとワイヤーの刺さったアストロモンスの首からは煙まであがっているという芸の細かさ!


 だがアストロモンスが暴れたためにスカイホエールは機体を制御できなくなり、やむなくワイヤーを切断、電気ショック作戦は失敗に終わってしまった!
 首都高速のガードを突き破り、アストロモンスがZAT基地に迫る! だが基地上部は支柱を離れて空へ上昇! 現在では決して珍しくないかもしれないが、当時としては防衛組織の基地がこうした移動要塞として描かれたのは前例がなく、まさに画期的なことであった!


光太郎「畜生! あの怪獣は俺の手で倒すんだ!」


 一人乗りの戦闘機・スーパースワローに搭乗した光太郎がアストロモンスに突撃! だが左手の鎌に衝突し、スワローはあっけなく撃墜されてしまった!


ナレーション「東光太郎は完全に爆発の炎に包まれた。死線をさまよう光太郎を、新しい世界へと導いたのは、ウルトラの兄弟たち」


 爆発する炎のイメージ、やがてそれは『ウルトラマンA』のタイトルバックを思わせる油に光が反射して七色にギラギラ輝いたような異次元空間のイメージへと変わり、宇宙空間(霊界?)の中で横たわる東光太郎の姿となる。
 そして彼方からゾフィー初代ウルトラマンウルトラセブン、新ウルトラマンウルトラマンエースがやってきた! 兄弟たちは光太郎の周囲を回転飛行、エースが光太郎を抱えると(兄弟たちは人間と同じ大きさ)、ウルトラ兄弟たちは太陽のイメージの中に飛びこんでいく!


 太陽を思わせるイメージの中に、光太郎を暖かく迎えようとするウルトラの母の姿が!
 もっともこのウルトラの母はスーツの製作が第1話の撮影に間に合わなかったために、初代ウルトラマンのスーツを改造して使用したというのが定説となっている。今見ると胸の造形が異様にデカいのが気になるが(笑)、このカットは第40話『ウルトラ兄弟を超えてゆけ!』においても、暴君怪獣タイラントを倒したウルトラマンタロウを、暖かく見守るウルトラの母のイメージ映像として使用されている。
 星空に七色のオーロラが浮かぶウルトラの国。光太郎は透明な半球カプセルの中で横たわり、周囲をウルトラ兄弟が取り囲む。


ナレーション「そして今、ウルトラの母


ウルトラの母「ウルトラの兄弟たちよ。ウルトラ6番目の弟、ウルトラマンタロウが今誕生する姿を見るがよい。おまえたち兄弟は皆こうして生まれたのです」


 空高く、一斉にVサインを掲げるウルトラ兄弟


ウルトラの母「見よ、ウルトラの命の誕生を!」


 カプセルの中の光太郎が変調をきたし始めた! 心臓の鼓動が鳴る音をバックに、光太郎の姿がまるで洗面器に映った影を水面で揺らしたように変形し、やはり『ウルトラマンA』のタイトルバックのようなイメージと変わる。やげてそれは小さく収束し、赤ん坊の産声が聞こえる……


 「ウルトラ兄弟の設定がウルトラマンから神秘性を奪う要因となった」とは古いマニアがよく云ったものだが、あまりに神秘性に満ちあふれた映像と音声の演出による、このタロウ誕生の瞬間の場面を観て何も感じることはなかったのか? と筆者には疑問に思えてならないのだが……


 次の瞬間、やはり水面に落とした白い液体のしずくが王冠状に跳ねた瞬間を、超スローモーションで真上からとらえた映像を加工したかのような、輪っかが幾重にも重なったイメージ(その中を火花が逆回転で撮影したかに散っているのも芸コマ)の中から、ウルトラ6番目の弟・ウルトラマンタロウが華麗に誕生し、巨大化を遂げた!


 スーパースワローが撃墜され、爆発する炎の中から空高く跳び上がるウルトラマンタロウ!(現実世界ではタロウ誕生(光太郎との合体?)はほんの一瞬の出来事であったのか?) アップテンポの主題歌をバックに、タロウは空中で華麗に三段跳びを決め、そのまま空からアストロモンスに突撃する! あまりに華のある演出だ!
 流れるアップテンポの主題歌と連動し、タロウのファイティングスタイルは実にスピーディーで躍動感にあふれている! 腹の巨大なチグリスフラワーに蹴りを決め、中央にパンチをかました後、タロウはアストロモンスをサンドバッグがわりにパンチで連打!


 完全にボクシングのスタイルであり、変身前の光太郎の特技を演じることで、タロウ=光太郎であることを端的に表現し、特撮と本編を華麗に融合させている(空中の三段跳びも、光太郎が北島との格闘の間に見せた技だ!)。アストロモンスに連続パンチをかます描写を、下からあおりでとらえているのがまた効果的!
 怒ったアストロモンスが右手のムチを振り回して逆襲をかけるも、タロウはこれをバック転の連続でかわした!
 さらに空中高く跳び上がったタロウはスピンを繰り返し、その勢いをつけてスワローキックをアストロモンスに見舞った!
 たまらず吹っ飛ぶアストロモンス!


 だがアストロモンスは腹のチグリスフラワーの中心からビルを溶かした溶解液をタロウに放った! 苦しむタロウをムチで連打し、さらには首に巻きつけてタロウを吹っ飛ばす! 大地にひっくり返ったタロウを押さえつけ、左腕の鎌を何度もタロウに振りおろす(タロウの目線であおりでとらえているので迫力満点!)が、タロウは鎌を掴んでアストロモンスを放り投げ、さらに掴み上げてジャイアントスイングかまして放り捨てる!
 「まだまだ〜」と起き上がるアストロモンスに対し、タロウは遂に伝家の宝刀を放つ!


 「ストリウム光線!」


 と叫ぶや、タロウは両腕を引き絞ってエネルギーを充填(タロウの全身が光学合成でネガ像のように処理されるのが説得力あふれる演出!)、そして両腕をT字型(逆L字型)に交差し、七色の必殺光線を発射した!
 発砲スチロールのカポックが木っ端微塵に砕け散ることで表現された、アストロモンスの最期がカタルシス満点である!


 基本的に変身後は「シュワッ!」だの「デュアーッ!」だの「テ〜イッ!」だの(笑)としか叫ばす、人間語で会話することはまれであったウルトラヒーローが、技の名称を叫ぶようになったのはウルトラマンエースからだが(厳密には『帰ってきたウルトラマン』(71年)最終回の「ウルトラハリケーン!」)、それでも『A』第6話『変身超獣の謎を追え!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060611/p1)で披露した「ウルトラギロチン!」や、第10話『決戦! エース対郷秀樹』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060709/p1)における「ウルトラナイフ!」など、その回限りの特殊な技に限られており、レギュラーの定番技の名称を使用時に叫ぶようになったのはタロウが初めてである。
 もちろんこれには『仮面ライダー』(71年)の「ライダーキック!」「ライダーきりもみシュート!」をはじめとする等身大の変身ヒーローは当然として、巨大ヒーローでも『スペクトルマン』(71年)の「スペクトルフラッシュ!」「スペクトルバックル!」や、『ミラーマン』(71年)の「ミラーナイフ!」「シルバークロス!」、『流星人間ゾーン』(73年)の「流星ミサイルマイト!」「流星プロトンビーム!」などと叫ぶ奴が出てきており、そして『マジンガーZ』の「ロケットパンチ!」「光子力ビーム!」なども加わったことから、それらに影響されたことは多分にあるに違いない。
 ただまあ、子供がごっこ遊びをする際、そうした叫びがあるのとないのとでは全然盛り上がりが違うだろうし、単純に観ていてより効果的にカタルシスを感じさせるから、SF性だの神秘性だのハイブロウさだのを度外視して、あるかないかどっちがいいかを考えたら、あった方がやっぱよいんじゃないかと。
 タロウを最後に平成ウルトラヒーローに至るまで、技の名称を叫ぶ奴が全然いなくなったのはちと寂しい。子供たちの間でウルトラより戦隊に人気があるのもこれに一因があるように思うし(平成ライダーも叫ばないけどね。オレ的にはやっぱそこが……・笑)、叫ぶだけなら予算いらねえんだから(笑)、次回作ではぜひこれを復活させてほしいと思ったりする。



ラストシーンでは朝日奈隊長が光太郎を下宿先に案内。白塗りの壁の豪邸で「あ、このあいだのお兄さん」と最初に光太郎を出迎えたのは、アストロモンスに敗北して傷を負った際にいた健一少年。しかも家主は白鳥船長、なんと親子だったというあまりにできすぎな偶然(笑)。
一度は白鳥船長の誘いを断ったことでバツが悪かったのか、光太郎は世話になるのを拒絶しようとするが、朝日奈隊長は「隊長命令だ!」とすごむ(笑)。
そしてピンクのブラウスに白のベストを羽織ったさおりが登場。軽く会釈をされ、光太郎が「こんなカワイコちゃんと一緒に住めるなら」みたく、急に笑顔になるのが実にリアルだ(笑)。
しかし素直じゃない光太郎。渋い真顔に戻り「考えさせてもらいます!」とその場を飛び出してしまう。どうせ厄介になるのだから無意味な行動ではあるものの、照れもあるだろうからある意味リアルでもあり、その後のさおりとの青春ドラマ的な展開の伏線ともなっている演出であるともいえる。


美しい夕焼け空の下、川沿いの土手に走ってきた光太郎は首に巻いたスカーフを夕日にかざした。すると夕日の中に緑のおばさん=光太郎、そしてウルトラマンタロウにとっての母の姿が浮かび上がった。


ウルトラの母「光太郎さん、今日からあなたはひとりで生きていくのです。さびしいことなんかありません。あなたの上には、いつも太陽が輝いていることを忘れないで」


美しい夕日の中、光太郎の母とうり二つの女性の姿は、やがてウルトラの母のシルエットへと変わった……


光太郎を手当してくれた白いハンカチを、母の象徴としてラストで再び描いている点が実にうまいが、ひょっとしたら光太郎が普段首に巻いている白いスカーフは、緑のおばさんからもらったハンカチを洗濯し、そのまま使用しているんじゃないかと思わせてくれる演出となっている。
もっとも白いスカーフに関しては、光太郎を演じる篠田三郎が『A』第20話『青春の星 ふたりの星』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061008/p1)にゲスト出演した際、北斗星司役の高峰圭二が首に巻いていた白いスカーフを見て「カッコいいなと思って、真似したんですよ」とDVD『ウルトラマンタロウ』Vol.2(デジタルウルトラプロジェクト・05年5月27日発売・ASIN:B00092QQK2)の解説書の中で語っているのだが、そうしたものをも作品の中で重要なアイテムとして昇華させた、シナリオや演出の巧みさはまさに敬服に値するといえるだろう。


作品の隅々に感じられる、こうした「肌のぬくもり」的な味わいこそが、本作が怪獣番組と青春ドラマを見事に両立させた、希有な一例となった要因ではなかろうか。



<こだわりコーナー>


*オイルドリンカーのスーツは『ミラーマン』第29話『わが友! フェニックス−二大怪獣対決作戦−』に登場した巨大星獣ゴルゴザウルスの改造である。超獣の割に地味な配色なのはそのせいなのだが、まあどうせやられ役なのだからと、予算はかけられなかったのかと。
ちなみに『ウルトラマンタロウ』第47話『日本の童話から 怪獣大将』の冒頭では『ミラーマン』怪獣であるはずのゴルゴザウルスがゴルゴザウルスⅡ世として登場している。『ウルトラマン』第8話『怪獣無法地帯』に登場したどくろ怪獣レッドキングが、第19話『悪魔はふたたび』において青色発泡怪獣アボラスに改造後、第25話『怪彗星ツイフォン』で再度レッドキングに戻されたという前例もあるのだが、『タロウ』放映時に二子玉川園などで開催されたイベントのスナップにゴルゴザウルスの姿がよく写っているのを見るに、第47話の登場時にはアトラクション用の着ぐるみが流用されたのでないかという推測も可能だ。


*タンカー日々丸の船長・白鳥潔を演じた中村竹弥は中村の姓の通り歌舞伎界出身で、草創期(昭和30〜40年代前半)のモノクロフィルムのTV時代劇であまたの主役を務めたスター。TV時代劇マニアにはもっと後年の『大江戸捜査網』(70〜84年)の旗本・隠密支配の内藤勘解由(ないとう・かげゆ)役で知られている。おそらく前作『ウルトラマンA』の竜隊長こと瑳川哲朗が、『大江戸捜査網』で配下の隠密同心・井坂十蔵役で出演していた縁で呼ばれたのではないか?


ウルトラの母の地球での姿がなんで緑のおばさんなんや〜、などとかつて揶揄されたこともあったのだが、DVD『ウルトラマンタロウ』Vol.1の解説書において、熊谷健プロデューサーは以下のように語っている。


 「ウルトラの母を人間として出すとすれば、どんな職業に就いているのかといった観点で話し合われましたね。子供たちに親しみがある存在で、子供たちを守り、指導するような立場といえば、どういう仕事かということです。教師ではないだろうとか、警察官は違うねとかいった検討の中から交通指導員、いわゆる「緑のおばさん」という職業が決定されたんですね」


もっとも演じたペギー葉山は同解説書において、「二枚目の篠田さんとのせっかくの共演なのに、緑のおばさんの格好をするのはいやだった」と語っているのだが(笑)。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2008年号』(07年12月29日発行)『ウルトラマンタロウ』再評価・全話評大特集より抜粋)



『假面特攻隊2008年号』「ウルトラマンタロウ」関係記事の縮小コピー収録一覧
静岡新聞 1973年4月6日(金) TV欄:後7・0新番組ウルトラマンタロウ ウルトラの母は太陽のように(はごろも缶詰、大同薬品提供) 〜#1を大々的に紹介・篠田三郎ペギー葉山のバッジ手渡し2ショット大写真
・「ケイブンシャの原色怪獣怪人大百科(第3巻)(昭和48年版)」(1973年)宇宙大怪獣アストロモンス
静岡新聞 1973年3月19日(月) 「新番組の紹介」頭に二本角、太陽バッジで変身、「ウルトラマンタロウ」、一層SF的に
・読売新聞 1973年4月27日(金) 「てれび街」人気上昇中のウルトラの母 〜想像図募集に10万通、4割が女児
静岡新聞 1973年3月26日(月) 最新武器持ち、奇想天外の特撮 〜怪獣にしがみついたり和製アラビアンナイト
毎日新聞 1973年4月5日(木) 木曜の夜は 金曜の夜は 〜TBS73年春の新番組広告・7〜10時台全てドラマ
静岡新聞 1973年4月6日(金) TV欄「超能力を持つ」 〜タロウ#1紹介記事


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ウルトラマンメビウスウルトラ兄弟2 〜東光太郎! 幻の流産企画!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20130317/p1


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ウルトラマンエース#1「輝け! ウルトラ五兄弟」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060514/p1

ウルトラマンタロウ#1「ウルトラの母は太陽のように」

  (当該記事)

ウルトラマンダイナ#1「新たなる光(前編)」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971201/p1

ウルトラマンネクサス#1「Episode.01夜襲 ―ナイトレイド―」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041108/p1

ウルトラギャラクシー大怪獣バトル#1「怪獣無法惑星」 〜第1シリーズ序盤合評

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080427/p1

ウルトラギャラクシー大怪獣バトルNEO#1「レイオニクスハンター」 〜第2シリーズ!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091230/p1


[関連記事] 〜ウルトラの母・登場編!

ウルトラマンメビウス序盤10話! 総括5 〜#9「復讐の鎧」、#10「GUYSの誇り」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060706/p1