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7SEEDS・A.I.C.O. Incarnation ~NETFLIXお下がりアニメ2本評!

『ULTRAMAN』 ~人間サイズの初代ウルトラマン・セブン・エース型強化服vs人間サイズの宇宙人! 高技術3D-CGに溺れない良質作劇! 歴代作品へのオマージュ満載!!
『天気の子』『薄暮』『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』 ~「天気の子」は凡作なのでは!? 2019年初夏アニメ映画評!
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[アニメ] ~全記事見出し一覧


 動画配信サービス・NETFLIX(ネットフリックス)にて先行配信されていたアニメが地上波にお下がりで、昨2020年末には『HERO MASK Part2』(19年)が一挙放映、21年冬アニメでも『7SEEDS(セブンシーズ)』2期(20年)が放映完結記念! とカコつけて……
 NETFLIXのお下がりアニメで昨2020年に放映された2本、『7SEEDS』1期(19年)と『A.I.C.O. Incarnation(アイコ インカーネーション)』(18年)評をアップ!


7SEEDS』『A.I.C.O. Incarnation』 ~NETFLIXお下がりアニメ2本評!

(文・T.SATO)

『7SEEDS(セブンシーズ)』

(2020年冬アニメ)
(2019年夏配信)
(2020年8月11日脱稿)


 2020年冬季の昆虫パニックもの(?)かつサバイバルものでもある深夜アニメ。


 アレ? 同時期に封切された同じく昆虫パニックもののアニメ映画『巨蟲列島(きょちゅうれっとう)』(20年)とネタがもろカブりやないけー! ……とは思ったモノのググってみると、本作『7SEEDS』の方は製作は先であり、実は昨2019年夏に世界的な動画配信サイト・Netflix(ネットフリックス)にて配信された作品の地上波へのお下がりなのであった(笑)。


 暗室でハッと眼が覚めた黒髪オカッパの少女が、扉から懐中電灯で照らしてきた姉御肌の女性に「沈みそうだから、早く来なさい!」と命令されて外に出るや、そこは夜の嵐の中で翻弄されている船舶! テント付きのボートに乗り移って漂着した先での無人島(?)で、襲いかかってくる巨大昆虫を相手に10人弱の青年男女がサバイバルを繰り広げていくといった内容である。


 そして、往年の名作SF洋画『猿の惑星』(68年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20171107/p1)パターンで、この世界は天体落下で人類が滅んだ世界であり、7人ずつ5チームに分けた若い男女が選抜、拉致されて日本各地で冷凍睡眠の果てに目覚めた終末世界なのであった……。


 通常、怪獣・怪人・ヒーローを題材とした作品では「アクション」がヤマ場となる。しかし、ゾンビものやパニックものといった作品群はそれらと比するとやや「人間ドラマ」寄りである。本作もいかにして敵の化け物を倒すのか? この世界はどうしてこうなってしまったのか? といった要素がありつつも、青年男女たちの極限状況下でのムキだしホンネの人間関係や性格悲喜劇といった要素の方も印象に残るモノとなっている。
 モラルがあるヤツ、モラルがウスいヤツ。しかしてモラルがウスいがゆえに他集団の悪意を察知できて、味方集団を窮地から救ってみせるような逆説劇まで描いてみせている。


 加えて、サバイバル作品なのに、チーム中でも一番体力的にも劣っていて気も弱そうでボッチ気味な黒髪オカッパ少女が主人公! よって、実際に戦っているのは周囲の男性キャラや先の姉御肌キャラであって、彼女は足手まといにもなっている。
 行軍中にコケたりすると、姉御肌の女リーダーに「ドジっ娘を演じて男に助けてもらおうと媚びるのはやめなさい!」(大意)などと糾弾されたりしてしまう。彼女はロリ可愛いけどそれをハナにかけたりはしていないし、単に素で意志薄弱でトロいだけなのに(爆)。


 とはいうものの、ストーリー展開以前のこーいう描写がフック・引っかかりとなって、視聴者の感情移入の端緒を作っていることも指摘しておきたい。


 ググってみると、原作は2001年スタートで、「別冊少女コミック」連載の長寿マンガだとのこと。少女マンガ!? たしかに絵柄的には少女マンガだけれども……。内容は本格的だし面白いしウェルメイド。


 よくよく原作マンガ家のご尊名を拝見してみると、文明崩壊後の遠い未来で『三国志』状態の争乱に陥った日本を舞台にした、本邦初のUHFアニメ(!)とも称されている深夜アニメ『LEGEND OF BASARA』(98年)の大ベテラン・田村由美であった!


(後日付記:21年冬アニメとしても放映された同作第2期も、7大チームの大群像劇といった体に変化していくけど、実に面白いストーリーテリングに滋味あふれる人間観やリアリティーショー的な人間関係シミュレーションにも仕上がっている! 余力があったら詳述してみたい……)
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(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.77(20年8月15日発行))


『A.I.C.O. Incarnation(アイコ インカーネイション)』

(2020年夏アニメ)
(2018年3月配信)
(2020年8月11日脱稿)


 近未来的な清潔な街の防壁の外側には、人外の化け物チックな人工生命たちがウヨウヨと跋扈して非常に危険であるらしい近未来の日本が舞台。
――ググってみると、街の外の世界すべてが怪物に埋め尽くされているワケではなく、北陸は黒部峡谷にだけ割拠しているようだけど、序盤の完成フィルムからはそうは感じ取れなかった(汗)。まぁ序盤でだけ誤認をさせようというフェイク演出やもしれないけど――


 リハビリしつつ病院から車イスで学校に通う15歳の可憐で健気な黒髪オカッパの制服女子高生・アイコちゃんから物語はスタート。


 その病院で少し陰があるけどストイックそう、かつハンサムな制服高校生少年クンとも一度ゴッツンコして、お姫様抱っこで助けてもらう。


 そして学校に転入してきたのは先のカレ! 驚きのあまりに、彼女は両脚で立ち上がれてしまう!(笑)


 安直といえば安直。だけれども、#1冒頭では人外との絶望的な超常バトルが描かれていたので、元からそーいう超常要素があると、あるいは美麗な作画・背景美術・演出が作品の品位を上げてくるのか、「アリエナイ!」「安っぽい!」といった感慨はあまり浮かんでこない。むしろ、「少女マンガの王道」&「囚われの姫君を助ける少年活劇の王道」、両者のイイとこ取りといった印象も醸してくるのだ。


 夕景の放課後、ふたりが部活動の「折り紙部」(笑)で紙ヒコーキを飛ばしているヒューマンな描写を挟んで、その後日に亡き家族を偲んでアイコちゃんが実家をひさしぶりに訪れるや、彼女を拉致しようと迫る悪いオトナたちの魔手が迫ってくる!


 危険を察知した高校生少年クンはアイコちゃんをまたまたお姫様抱っこで逆奪取! 未成年なのに無免許運転で住宅地を逃走して、壮絶作画(CG)によるカーチェイスのヤマ場でも魅せてくれる。


 制服高校生の兵士を描いた往年のラノベ原作深夜アニメ『フルメタル・パニック!』も一瞬想起させるけど、有刺鉄線を越えた先のスラム街に逃げ込むと敵は追ってこない。そこで出会ったムサいオジサン・オバサンたちに彼女は自身の身の真相を知らされる……。


 彼らに不意に鈍器で殴られてもビクともせず、殴打された彼女の顔面に青黒いヒビが細かく入ったモノのすぐに修復されていく映像がショッキング!――この時点では彼女はロボットなのかサイボーグなのかも判然としないけど、ホントウの身体を直すために人工生体ボディーに脳だけを移植した存在である……とあとの回では明かされる――


 とはいえ、彼女も彼女で少年クンやオジサンたちを信用しきれず――それもそうだ(汗)――、#2以降ではこのアジトを脱走するなど、ストーリー展開も撹乱させつつ物語を紡いでいくことで、#1と比すると#2以降はややツカミに欠ける気もするけど、ていねいに作品世界を見せていく。


 事故で死んだとばかりに思っていた家族の生存可能性、その家族が人外が巣喰っている土地の中心地にいることもほのめかされることで、彼女に「動機」&「目的」を与えていく作劇も実に手堅い。


 虚淵玄(うろぶち・げん)脚本の深夜枠の巨大ロボットアニメ『翠星(すいせい)のガルガンティア』(13年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140928/p1)や、野崎まど脚本のSFアニメ『正解するカド』(17年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190929/p1)など、本格志向の作品を手掛けてきた村田和也が監督。


 ググってみると2年も前(2017年)にNetflixで配信されたアニメの地上波初放送作品であった。ググる過程で糞アニメだとの文言もまとめサイトのコメントでチラ見したけど(笑)、序盤を見るかぎりではハイソな映像に加えて語り口にも拙さはナイので、最終回までその出来を確認してみたい。
A.I.C.O. Incarnation Blu-ray Box 1

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.77(20年8月15日発行))


『A.I.C.O. Incarnation』 ~完結評

(2020年11月15日脱稿)


 病院でリハビリしながら車イスで学校に通う15歳の健気な黒髪オカッパの制服女子高生・アイコちゃんが主人公。彼女が住まう街と黒部峡谷との間には万里の長城があって、彼の地に住まう怪物たちから侵入を防いでくれる壁にもなっている。
 ナゾの転校生少年との出会いで彼女は歩行ができるようになり、自身を悪人の魔手から匿ってくれた郊外のスラムに住まうアウトロー集団との出会いで、彼女は生き別れた家族が怪物の住まう黒部峡谷の深奥部に生存している可能性を知らされる。
 三者三様の思惑を秘めて、彼らは怪物と戦いながら徐々に峡谷を突き進んでいき、途中の廃施設に残された資料やメンバーの述懐などから、この世界の真相と怪物(人工生命)が誕生した理由がヒロイン・アイコの過去にも密接にカラんだものであったことが明かされていく……。
 さらには怪物が最新技術の産物でもありうまく飼い慣らせば諸外国に対するアドバンテージになるけど一線を超えれば破却も辞さない、政府や官公庁のイザとなればドチラにでも転がすつもりの綱渡りポリティクスも描かれて……。


 世界規模での大配信サイト・NETFLIXに食い込んで製作したアニメでもあるから、高予算で作画も背景美術も高精細である。#1や序盤のツカミも強くて教科書的にも良くできている。
 平凡な日常とは無縁に生きてきたアウトローのプロ集団にも、無骨で頼もしいオジサンや姉御に未熟さを残すもプロではある10代の少年少女も配してキャラクターシフトも斜線交錯させて多角的にもしている。
 彼らがスケートのように大地や岸壁を失踪する強化スーツメカを駆って怪物たちとスピーディーなバトルを繰り広げることで、アクション面も充実させている。


 主人公少女は実は致命傷の重傷を負った身体を治療するために、脳以外は本人も気付いていない人工生体であることが判明。そして、本来の身体はやはり峡谷の中核に保存されているけど、彼女の脳や記憶をコピーしたホンモノと寸分違わぬ人造脳と接続するかたちで治療がなされているという。
 しかして人造脳とはいえ、すでに自我や実存まで持ってしまった存在をモデルとなった人間(主人公少女)を救うための犠牲・踏み台にしてもイイのか? という議題も浮上してきたところで、その真相をさらに二転三転させていく。


――巨大量子コンピューター内での膨大な計算で構築された現実世界の写し絵としての仮想世界内の人々が、自身も生きていると感じて独自の人生を歩みはじめた場合に、その自律的に変容していくデータの消去は倫理的にも許されることなのか!? という議題を提起した昨2019年秋のセル画ライクなCGアニメ映画『HELLO WORLD』とのテーマ的な相似もつい想起――。


 まぁまぁ面白いし充分に及第点ではあるけれども、コレは作品自体の罪ではナイことは重々強調しておくけど、ジャンル作品を膨大に観すぎてあまたの作劇パターンが見えてきてしまうスレたマニアであれば、二転三転の果てのオチが推測できないこともナイ。ただしまぁ、こんな物言いでは「自分語り」になってしまって、純然たる「作品批評」でもなくなってしまうけど(汗)。


 本作は大スジにしろオチにしろ妥当であり、水準以上の作品ではあると思う。しかし、シリーズ中盤以降はやや失速した印象も受けてしまう。おそらくチョットした肉付けとパワーと勢いが少々欠如していただけなのではあろうけど。
 もちろん本作にかぎらず序盤は神懸かった吸引力はあっても中盤以降でダメではないけどイマ半な感慨を抱かせる作品の方が多数派ではある。ケナしたくはない良心作だけれども、諸手を挙げてホメたり他人に自信を持って薦めるほどでもナイ。そんな作品に留まってしまったようにも思えて実に惜しい。
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(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.86(2020年12月20日発行)所収)


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