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コンクリート・レボルティオ~超人幻想~ 往年の国産ヒーローのアレンジ存在たちが番組を越境して共闘するメタ・ヒーロー作品だけれども…

(2019年3月3日(日)UP)
『サムライフラメンコ』 ~ご町内⇒単身⇒戦隊⇒新旧ヒーロー大集合へとインフレ! ヒーロー&正義とは何か? を問うメタ・ヒーロー作品!
『ワンパンマン』 ~ヒーロー大集合世界における最強ヒーローの倦怠・無欲・メタ正義・人格力!
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 2019年4月からの深夜アニメ『ワンパンマン』第2期・放映開始に備えて、『ワンパンマン』第1期(15年)が再放送中記念! とカコつけて……。
 『サムライフラメンコ』(13年)・『コンクリート・レボルティオ~超人幻想~』(15年)・『ワンパンマン』第1期の、3大「メタ・ヒーローアニメ」評をアップ!

コンクリート・レボルティオ~超人幻想~ 往年の国産ヒーローのアレンジ存在たちが番組を越境して共闘するメタ・ヒーロー作品だけれども…

(文・T.SATO)
(15年12月26日脱稿)


 ポップでカラフルな色彩で、ディテールは省略された昭和中期のビル街や繁華街に郊外、電柱・看板などの背景美術群。そこにカブるのは、架空の元号「神化41年7月」やら「神化46年4月」やらのバカでっかいテロップ。
 この字幕に、40代以上のオッサンオタの大半は、その時代にまだ生まれずとも、第1次怪獣ブームの旗手・初代『ウルトラマン』(66年)や、第2次怪獣ブームの先鋒・『帰ってきたウルトラマン』(71年)の昭和表記での放映開始年月(昭和41年7月や昭和46年4月)をつい想起したことと思う。


 だが、特オタ・アニオタが未分化で、昭和特撮がオタの基礎教養でもあった80年代までならばともかく、今の時代にこーいうオタの古典教養をくすぐる手法が有効だとは思われない――逆に80~90年代のハードでシリアスなマニア向け作品至上主義の風潮も過ぎ去って久しい21世紀以降だと、アニオタ間でも戦隊・平成ライダープリキュアなどの日アサキッズ枠こそが新たな共通言語・スタンダードと化した感もあるけれど――


ウルトラマンを想起させる巨大宇宙人ヒーロー
・コメットさんみたいな魔女っ子
・児童向けオカルト書籍に出てたような都心の日中のデパートの玩具売場などにフツーにいるらしい(笑)Q太郎みたいな名前の少年姿のオバケ
・筆者には元ネタが判らない正体は妖怪のハイミス姉御
エイトマンみたいな元刑事のロボット刑事
・実は25世紀の未来から来たタイムパトロールの青年
・劇中の時代よりも前に活躍したという、月光仮面を想起させる等身大・覆面ヒーロー


 序盤以降のゲストキャラも含めば、


鉄腕アトムみたいな純粋な正義感の固まりの空飛ぶ少年型ロボット
・初代『ウルトラマン』と『ウルトラセブン』(67年)の間の半年間に放映された東映の『キャプテンウルトラ』(67年)みたいなマスターウルティマ
・『忍者部隊月光』(64年)みたいな特殊部隊
・『怪奇大作戦』(68年)のSRIみたいな捜査機関
・『妖怪人間ベム』(68年)みたいな不老不死の家族
・各種の巨大ロボットなどなど。


 コレらの元ネタヒーローたちが、異なる作品世界を生きていることは百も承知でも、彼らが番組を越境して実は同一世界で活躍し、時に遭遇、時に共闘もしていたら……と妄想して、近所の子たちとソフビ人形を持ち寄って、番組の垣根を無視した「スーパーヒーロー大戦」を、筆者も子供時分には散々に繰り広げてきたものだ。


 本作でも彼らヒーロー・超人たちは、それぞれ固有の敵対組織や怪獣・怪人だけを敵と定めて、専門化して戦っているという設定がなされて、ゴレンジャーのピンチになぜ仮面ライダーは助けに来ないのか? という疑問を回避する世界観を作り上げてはいる(笑)。
 そのかぎりでは、本作は設定的にも、本来的には多くのマニアたちをカンタンに転がせるアドバンテージがあるハズだったのだが……。実際に出来上がった作品は、個人的にはワクワクできないなぁ。


 突如、物語の舞台が数年後になったり、数年前に戻ったり、正義の相対性もしくは複数性を俎上に載せて懊悩してみせる、価値相対主義的な一応の知的な作劇の数々も、70~80年代ならばともかく2010年代には斬新ではなくむしろデフォルトであろうし。
 今ならばむしろ、漠としたモノでもそれでも正義はある! とゆー、本作と同じく国産ヒーロー作品群の総決算をめざした『サムライフラメンコ』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190301/p1)的な再回帰がなきゃダメなのでは?


 あるいは、まずはヒーローの大活躍ありき! 超人たちも一応人間(?)であるから心理面ではお互いに張り合いつつも、マレには強敵相手に夢の共闘ありきで、視聴者に十二分に爽快感・カタルシスを与えて、その上で初めて小難しいアンチテーゼや作り手たちの主張が込められていたのならば、メンドくさい懊悩や問題提起にもクサみがウスれて、スンナリとコチラのハートに伝わったのやもしれない。そこが本作の弱点、もしくは筆者の好みに合わないのかとも私見


 本作のメイン脚本は、以前は毎季のアニメで必ず名前を見かけた――最近はあまり見ない(汗)――、今や30年選手の會川昇(あいかわ・しょう)センセイ。シリーズ構成のみならず、「原作」名義にもなっていることから、本作は水島精二監督ではなく會川昇の主導作品だと見てイイであろう。
 元々頭でっかちテーマ主導の傾向が氏にはあったけど、ライバル&ダークヒーローを描くときだけは、イイ意味で理屈ではなく情念重視になる傾向があったと思う。サブで参加した児童向けロボアニメ『勇者警察ジェイデッカー』(94年)のシャドウ丸、『爆竜戦隊アバレンジャー』(03年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20031113/p1)のアバレキラーしかり。悪く云えばゼロからではなく、途中参加の二次創作的・アンチテーゼ編的な想像力でこそ真価を発揮するタイプだとも思うけど。『仮面ライダー剣ブレイド)』(04年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20041113/p1)後半もしかり。
 よってメイン担当の『轟轟戦隊ボウケンジャー』(06年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070108/p1)などはドコか説明的で生彩を欠き、逆に全編が二次創作の(笑)『仮面ライダーディケイド』(09年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20090308/p1)前半は物議があっても娯楽性&批評性を両立して水を得た魚のように見えたものだ。


 マニア上がりの宿願が一通り果たせて気が済んだのか、近年の戦隊シリーズでのゲスト脚本はどれもかつての肩の力が抜けた良編で、好ましく思っていたのだが。本作は氏の悪い面(?)が全開に思えて残念だ。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.66(15年12月30日発行))


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  (当該記事)

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