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宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち #1〜10 〜戦争モノの本質とは!? 愛をも相対視する40年後のリメイク!

『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第七章「新星編」』 ~不評の同作完結編を絶賛擁護する!
『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第一章「嚆矢篇」』 ~キナ臭い主張を期待したい(爆)
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宇宙戦艦ヤマト2202(ニーニーゼロニー) 愛の戦士たち』#1〜10(第一章〜第三章) 〜戦争モノの本質とは!? 愛をも相対視する40年後のリメイク!

(文・T.SATO)
(2018年12月2日脱稿)


 善良でリベラルな皆さまには大変申し訳ないけど、こーいう巨大ロボットとか宇宙戦艦――怪獣怪人やヒーローでも可――が出てきてドンパチする作品は、いかに劇中で「戦争は悲惨だ」「平和は大切だ」「軍拡に反対だ」と唱えても、それは言い訳に過ぎなくて、メインディッシュは巨大な存在や物体それ自体への驚きや畏敬の念、そしてそれらが重厚に動き出したり歩を進めたり宙に浮かんだりといったことに対する感嘆の想い、もっと云えばそれらが複数・数十・数百と登場したり、同等・拮抗する敵の巨大物体も登場させ、カッコよくて迫力のある戦闘シーンを、そして一進一退の果てにたとえ一時はピンチになったとしても最終的には勝利を納めることで、カタルシス・爽快感を視聴者にもたらすことが主眼のジャンルであると思う。
 結局のところは、そーいう巨大物体の登場・始動・物量・戦闘・一進一退・勝利! といった一連の運動、その運動の永遠の連続体でできている。


 無限に広がる大宇宙で、重厚感のある地球艦隊が進撃、旧敵・ガミラス艦隊と対峙し、両者が90度向きを変えるやそれは連合艦隊で、その先には新敵・白色彗星ガトランティス帝国の大艦隊!
 緒戦は快勝。新敵の後衛に十字架状に聳えていた小惑星が前倒しになるや、岩塊が剥離して超巨大な大戦艦が現れて劣勢に。そこに旧敵はもちろん地球軍も下っ端は知らなかった最新戦艦アンドロメダが投入されて形勢は再度逆転! 満身創痍の大戦艦は地球に自爆特攻を試みて再度大ピンチ! ドッグに停泊中のヤマトが寸前で主砲を上空へ発射して撃破するシーソーバトル!


 あるいは、太陽系第11番惑星近辺に現れた、数万艘にもおよぶ新敵・ガトランティス先遣隊の宇宙戦艦群の偉容、それらがトグロを巻いて巨大コイル状磁場を発生させ超巨大レーザーを発射するスケール感&絶望感!――と同時に不謹慎だけれども、それらに感じるカッコよさ(笑)――


 ただまぁたしかに戦争モノは、思想的・情緒的には危険な面もあるし、正常な人間であれば正当防衛ではない無制限な力の行使には良心が痛んでくるモノだ――幼稚園〜学校〜職場やお笑い番組のイジメ芸を屈託なく楽しむ同級生たちを思い返すに、他人をキズつけても良心がさほどに痛まない加虐的な人間の方が実は人類の多数派なのかもしれないけど(汗)――。
 そこで、爽快感のあるカッコいい戦闘シーンを担保するためにも各種の合理的な言い訳や、言い訳できなければ逡巡をそのまま劇中キャラに代弁させて、設定的なツッカエ棒を無数に配置することでワク組を作って、その中での許容される戦闘行為を追求せんとする。


 あるいは、戦争した国家・民族同士の完全なる和解は困難、軍拡への一部の疑念も当然と見れば、それをメインにせずとも脇役や風景の点描として挿入することで、物事の多面性や多層性も出していく。
 本作であればそれは、満場のアンドロメダ出航式で艦首前の巨大クス玉が割れる直前に小さく数秒写る、画面の外から投げつけられた生卵が船体に命中して割れる描写であり、前作『宇宙戦艦ヤマト2199』(12年)において旧敵が落とした膨大な遊星爆弾で家族や友人を喪った遺族がペンキで落書きしたのであろう「ガミ公、出ていけ!」を自走掃除機メカが消していく、シーンとシーンの短い繋ぎであったりする――各自のリテラシー(読解能力)にも依拠するので、作り手が込めた意図は過半の視聴者には伝わっていない気もするけれど(汗)――。


 本作の原典である映画『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』(78年)封切当時はともかく、コレに「FINAL」のあとの「FOREVER」や「超電王」みたく(笑)、『ヤマト』の続編が製作されるや、40年前のまだ上限が十代の少年少女であったウブなアニメファンは、後年のマニアたちのように「商売とはそーいうモノ、続編やリメイクは当たり前」とは割り切れずに怒り狂って、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いで、当初は反発していた上の世代の左翼映画人による「特攻賛美」だの「ヤマト再出航は軍規違反」だのの批判を今度は口マネして(冷笑)、「バスに乗り遅れるな」とばかりに隆盛してきた『機動戦士ガンダム』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990801/p1)に鞍替えして、鵜の目鷹の目で『ヤマト』の欠点を粗探ししたモノだ――筆者もその典型だったやもしれないけど(後悔)――。


 往時の作り手たちは、単に無理解で官僚的・抑圧的な上層部に対するサヨク的な反権力のイミにて現場のヤマト独断出航を描いたのやもしれない……。しかし、先の大戦でも抑制的な大本営を無視して現地の関東軍が暴走したことで日中戦争はドロ沼化になったワケであり、階級闘争的に常に上層部は悪であり現場が正義であるワケでもない。
 40年後のリメイク『2202』は、そこにも返歌でヤマト再出航は、軍のシビリアンコントール(文民統制)、現場が上層部を無視した二重の意味での悪事、すなわち反乱であり鎮圧すべき事項として、再出航に銃殺も厭わない特殊部隊を乱入させて、原典では主人公・古代青年vs土方(ひじかた)艦長であった対決を古代vs山南(やまなみ)艦長――原典の次々作『ヤマトよ永遠(とわ)に』(80年)でヤマト3代目艦長に昇進する御仁――に変えて、ヤマトvsアンドロメダ小惑星帯での正面衝突スレスレの対向スレ違いチキンレースとしても見せ場を作っていく――出航直後で波動エンジンが本調子ではないからビームが当たっても衝撃を和らげる波動防壁(バリア)が使えないとの言い訳で、『2199』では略された小惑星の岩塊でその身をまとうヤマトもココにて再現!―――。


 とはいえ、永遠の反乱者であり地球に追われる立場であっても本作の主題が散漫になるので、ナンと! 地球防衛軍の上層部を飛び越えて、星間伝説の女神・テレサの秘密を知りたいガミラス大使&地球連邦大統領とで玉虫色の政治決着! ヤマト反乱の嫌疑は突如晴れたことにする――その旨をヤマトに事務的に伝える藤堂司令の口の端がニヤッとするサマで、法的・職業人としてのオモテ向きはともかく道義面では彼がヤマトに同情的であったことをも示唆(笑)――。


 重ねて、軍人としてはそれが軍規違反だとはわかってはいても再出航に踏み切る動機付けの補強として、女神・テレサによるヤマト乗員に絞った超指向性テレパスや、その際に乗員が目撃する亡き家族や恩人による後押し、近代的な軍隊以前に船乗りは救難者を必ず助ける古例を持ち出して、目的地・テレザート星への最短進路からはハズれていようが、敵手に落ちた第11番惑星に取り残されていた民間人&軍人の救出作戦決断へも紐付けしていく。
 一応はヒューマニズムの称揚でもあり、成功したから結果オーライではあるけれど、絶対平和主義者の皆さんは外交交渉によらずに特殊部隊に頼った犠牲を伴う多少強引な難民奪還行為は批判しなくちゃイケナイだろう(爆)。
 などと云っている筆者自身は、ドイツ1国相手だけならばともかく独ソ不可侵条約締結後の2ヶ国が相手だと、かの国と相互扶助の同盟も結んでいたのにポーランドを見捨ててしまった英仏みたいなモノで、世界平和と自国平和とを天秤にかけて自国が勝てるのならば助けるし、自国領土に惨禍がおよぶのならば苦渋を飲んで見捨てるやも……といったヘタレた立場で、軍規がうんぬんではなくパワー・ポリティクスの観点からヤマト再出航を全肯定はしないけど(汗)。しかし、そーいう煩瑣な諸々は別にするならば、せめて虚構作品の中でだけでも「道義」が通って勝利もしてほしいという諸氏の願いもよくわかるのだ。


 後出しじゃんけんリメイクの利点で、旧敵・ガミラスやその被征服民にイスカンダルやら地球人などの人型生命体らはすべて、往年の『宇宙戦艦ヤマト 完結編』(83年)を原典とする星間文明の始祖・超古代アクエリアス文明人の末裔であってそれゆえにその姿も似ており、その中から宇宙規模での覇権を目指す文明が出現した場合にそれを滅ぼすための安全装置でもあり、生殖機能を廃してクローンで代を重ねる「戦闘」に特化した生体爆弾でもある強化人間種族として新敵・ガトランティス人を再定義――ロートル的には『マクロス』初作(82年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990901/p1)の敵種族・ゼントラーディー人をも想起する――。
 しかも、その本来の役割をも逸脱してしまった新敵・ズォーダー大帝の究極の目的も、生きていくことに伴なう仏教的な「四苦八苦」でもあるすべての「苦悩」をすべての知性体から取り除かんとする「大いなる愛」(慈悲?)に基づいていたとする!――映画の神様のイタズラか、同季公開のあのCGアニメ映画(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20181123/p1)ともネタがカブっているゾ~(汗)――。


 やはり40年後のリメイク。「愛がすべてを救う」なぞと考えるお花畑な人間は今や評論オタク界隈には少ないとも思うし、「愛」こそが「好悪」という「差別」や他人とのさまざまな「遠近」をもたらして、「愛する異性や子供を救うために、生き返らせるためには、同僚の命や国家や世界に自身の魂をすら悪魔に売ってでも!」、「ミーイズム」や「国家利権」だけではなく、「愛」もまた「争い」や「裏切り」に「戦火」をも産み出していることの逆説&背理までをも描いていく……。


 3隻のうちの1隻だけを救ってやると悪魔・メフィストフェレスのごとくに精神感応で主人公青年を試してくる大帝は、愛する女性が乗る1隻を指してくるとタカをくくってきたけれども、その土俵自体をズラすことでゲーム不成立に持ち込んでしまうという作劇は「反則」と取るべきか「クレバー」と取るべきか?――まぁ永遠に決着が付くこともない、双方に一理がある二択だったけれども――


 とはいえ、世間一般的な「愛」なぞは私情として否定して、我らこそが冷徹な思考ができるのだと豪語しているガトランティス軍人たちも、機械生命体ならぬ有機生命体である以上は、自身や同族のクローンの息子たちや赤ん坊に向ける眼差しや笑顔や涙はまさに「愛」そのものだとしか見えないあたりで、敵種族側にも感動的なドラマを構築していくのだ――その一方で、武器の「修理」という概念がなかったり、ヤマトに敗北して武士の情けで助命してもらっても、恩に着るどころか侮辱と受け取って逆恨みしているあたりで、武士道や騎士道が通じずに地球人とは解り合えない異質な異文化メンタルもカナリ強調されている――。


 てなワケで、劇場公開版でいうならば、『第3章』までに相当する#10までの出来やテーマ的達成度は神懸かっているとすら私見する。
 なのだけど、劇中でアレだけ主人公青年が苦悩して、意見具申した土方艦長も第11番惑星に左遷されたのにナニだけど、たった3年での「波動砲艦隊」建造やそれを可能とする「時間断層」――前作ラストで持ち帰った「空間」自体にやどる極微の量子レベルで刻まれて永遠に残っている記憶(=波動)を基に地球を再生したコスモリバースシステムの副産物による時間流の速度が異なる地下空間――のアドバンテージ喪失&乱用を恐れてヒタ隠しにする地球政府の決定に、心がウス汚れている筆者なぞはついつい賛同してしまうのであった(爆)。


――ウルトラマン一族の科学者でもあるウルトラマンヒカリ(06年)が造った「命」を持ってきたウルトラ兄弟の長兄・ゾフィー兄さんが、宇宙恐竜ゼットンに敗れた初代ウルトラマンをその最終回(67年)で復活させたのはイイけれど、その「命」の技術の開示をめぐってバット星人連合艦隊がウルトラの星を攻めてきたために、帰ってきたウルトラマンことウルトラマンジャックはその最終回(72年)で故郷に帰ったのだ! ……なぞという、35年後の後付けウラ設定みたいな戦乱の再来を恐れるのであった(笑)――


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.81(18年12月29日発行))


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