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クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 ~ガンダムSEEDの福田監督が放つ逆「アナ雪」! 女囚部隊に没落した元・王女が主役のロボットアニメの悪趣味快作!

『ガンダム Gのレコンギスタ』 ~富野監督降臨。持続可能な中世的停滞を選択した遠未来。しかしその作劇的な出来栄えは?(富野信者は目を覚ませ・汗)
『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』 ~完結! 肯定評!!
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 2019年11月22日(金)からアニメ洋画『アナと雪の女王2』が公開記念! とカコつけて……。元祖『アナと雪の女王』(13年・日本公開14年)の逆パターンをねらったとおぼしき異世界を舞台としたロボットアニメ『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞(ロンド)』(14年)評をアップ!


クロスアンジュ 天使と竜の輪舞(ロンド)』 ~ガンダムSEEDの福田監督が放つ逆「アナ雪」! 女囚部隊に没落した元・王女が主役のロボットアニメの悪趣味快作!

(文・T.SATO)
(2015年4月27日脱稿)


 水樹奈々堀江由衣田村ゆかり喜多村英梨上坂すみれ小倉唯石原夏織林原めぐみ
 最初からオーディションをする気がなかったのか(?)、キングレコード系の若手のみならずアラサー・アラフォーのアイドル声優(笑)たちだけが大挙集結!――オッサンの筆者にはルックス含めてまだまだ若くてウェルカムだけど、高校生くらいのオタが見たならば一部はオバサンですかネ?(汗)――


 国民たちも注目する、文武両道の気高き美人王女さまがのぞむハレの場の戴冠式
 そこで予想だにしないことに、お姫さまが「異能」(?)の持ち主であることが発覚して大騒ぎ! ……って昨2014年に大ヒットしたディズニーのCGアニメ映画『アナと雪の女王』と同じやないけー!


 「異能」というのがこの作品世界においては、国民必須の能力である「超能力」を「保持していない」ことであったり、王女さまが外ヅラは良くって態度もフェアでも、プライベートや本心では勝ち気だったり、王家を追放された先が「泣く子も黙る監獄島」だったりと、アレンジはイチイチが逆だけど。


 #1のアバンタイトルは、バイクみたいな飛行メカにまたがった半ケツの姉ちゃんだらけの女囚部隊が命令一下、一糸乱れぬ編隊飛行で、西欧中世ファンタジー風の空飛ぶ大小の翼竜ドラゴン軍団と、明るい洋上にて血しぶき空中戦!
 しかし、命令を無視したお姉ちゃん(元・王女さま)が子守歌(?)を歌いつつ独断専行! 戦友たちのブーイングも無視してバイクを中型ロボットに変形させて、圧倒的な強さで大活躍も果たして、ついには巨大ドラゴンにトドメを刺す!


 ツカミは上々! 主役はこのお姉ちゃんで、本作は巨大ロボットものですよ! と判らせる秀逸な導入部でもある。


 続けて何かの間違いで(笑)、去年の大晦日の『NHK紅白歌合戦』でも披露された、主演声優・水樹奈々が歌うノリノリの本作オープニング主題歌が流される。


 気立てのいいウブな少女性や萌え媚び・癒しの精神性よりも、凛々しさ・ハツラツさやセクシーな肉体性を前面に押し出していた、1970~90年代アニメのビキニアーマーや半裸の「戦闘美少女」たち。「学園異能」や「日常系」アニメに押しやられて、かつては輝きを放った「戦闘美少女」たちも今や傍流。
 よって、大きなニーズがあったとも思えないのに、そんな「戦闘美少女」が2010年代の御代に復活! ……いや、「戦闘悪女」・「戦闘猛女」・「戦闘毒婦」というべきか?(汗)


 育ちの悪いヤツらばかりの女囚間では、意地の張り合いやらイジメが横行! 服を切り裂き画鋲を仕込み、時に互いに身体を慰め合う!


 とはいえ、高貴の生まれの元・王女さまは悲劇の主人公にはならない。彼女個人の人間関係面での相手の気持ちを推測することができない空気の読めなさ、生来からの身分差別意識がまたヒドいものなのだ(爆)。


 筆者個人は本作の確信犯で下世話な作りが非常に気に入ったけど、少々ヘビーな展開があると「鬱アニメだ、鬱アニメだ」と小ウルサい、心優しい今のオタ間では覇権を取ることはナイだろうと、作品への質的評価とはまた別に、素人マーケティングをしていたところだ。


 実際、若いアニオタたちの批評系ブログを眺めても、今どきの洗練された美少女アニメばかりが語られる。
 下品な作りで何よりも作画が悪い本作は(汗)、語られること自体が極少で――「萌え」要素に乏しくて女性ファンが多めのオタク版『池袋ウエストゲートパーク』(98年・00年にTVドラマ化)ことラノベ原作の深夜アニメ『デュラララ!!』(10年)なども同様だったけど――、筆者の私見をこのアニメ感想クラスタの現実がウラ付けしているとも見てきた。


 ところがフタを開けたら、円盤第1巻の売上が同じく同季の2クールアニメ『ガンダム Gのレコンギスタ』(14年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191215/p1)を上回るスマッシュヒット!


 愉快ツーカイ(コラ)。
 しかしナニゆえにこうなる? 本作の円盤を購入した君たちは今までいったいドコに隠れていたのか?(笑) イチイチ「鬱アニメ」だとクレームを付けている層は現今の主流派じゃなかったの?


 こーいう現実に直面すると作品の外側のこと、ひとかたまりのマスに見えがちなアニオタも決して一枚岩ではなく、内実は「水平方向」に四分五裂しており、批評ブログ・まとめサイトも時にファンの最大公約数ではなく、ノイジーマイノリティとサイレントマジョリティの両者があることによる「垂直方向」でのバラつき偏差にも気付かされてしまう。


 ていねいな描線&輪郭が標準となった2010年代のアニメにはとても見えない、#1はまだしもオープニング主題歌のビジュアルが象徴する(汗)、画力に乏しくてもササッと描けそうな(?)少々粗いキャラデザ&作画。コレは2014年前半の『バディ・コンプレックス』&『キャプテン・アース』が売上的には爆死したから、「ロボットアニメはやはり売れないかも?」的に予算を削られてしまったせいですかネ?――本作後半・第2クール前半の作画に至っては崩壊で、そのへんの各回の出来もグダグダでしたけど(笑)――


 このテの作品での常套の「超展開」で、シリーズ後半では「もうひとつの地球」(並行世界)が登場! 終盤では持ち直して、ラスボス&劇中世界に迫る大破局のスケールも超特大にしてみせて、作劇的にも盛り上げる!


 「もうひとつの地球」に新たな居を定めて、荒廃した元の世界は放置して残存者の「自助努力」に任せる(!)本作の最終回は、たしかに「自助努力」自体が「人間の基本」かもしれないので小気味がイイ気もする。
 と同時に、コレは昨今の新自由主義経済の極端化だともいえて――元の世界では生存のために発砲して、盗っ人を殺害している図までもが!――、筆者みたいな弱者は真っ先に死ぬであろうし、近代的な市民社会(笑)とは程遠いよナと思ったりもする。……などとマジレスして論考するような作品でもナイけれど(汗)。


 「指をさして半分は笑いながら観てください!」という方向性をねらったネタ作品でもあるけれど、


・タフなリア充(リアル充実)
・キマジメな学級委員タイプ
・損をして恨みを募らせる弱者
・集団内での生存戦略で仲間のフリ


 などの多数の女性キャラの描き分け、力学&因縁決着を、過不足なくまとめあげていたことは指摘しておきたい。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.64(15年5月2日発行))


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