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正解するカド ~40次元の超知性体が3次元に干渉する本格SFアニメ。高次元を材としたアニメが本作前後に4作も!

『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』 ~大人気の本作にノレない私的理由を記しつつ大ヒットのワケを分析!
『ID-0(アイ・ディー・ゼロ)』 ~谷口悟朗×黒田洋介×サンジゲン! 円盤売上爆死でも、宇宙SF・巨大ロボットアニメの良作だと私見!
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[アニメ] ~全記事見出し一覧


 2019年9月20日(金)からアニメ映画『HELLO WORLD(ハロー・ワールド)』が公開記念! とカコつけて……。
 『HELLO WORLD』の脚本・野崎まど(小説家)が手懸けた深夜アニメ『正解するカド』(17年)評をアップ!


正解するカド KADO: The Right Answer』 ~40次元の超知性体が3次元に干渉する本格SFアニメ。高次元を材としたアニメが本作前後に4作も!

正解するカド』 ~合評1


(文・T.SATO)
(17年4月28日脱稿)


 今どき珍しい本格SFアニメが登場。
 ただしセル画ライクなCGアニメ。だけど、指摘されなきゃCGアニメだとはパッとは判らないほどのナチュラルさ(少なくとも筆者には・汗)。
 別項で加齢ゆえかSFに対する個人的な関心がウスれている……なぞと書き散らしてしまったけど撤回します。この作品はスゲェ!


 表面に複雑な幾何学模様を浮かばせてそれを常時変化させている、数キロ四方の超巨大で金属チックな輝きを放つ正立方体が宙空に突如出現! 羽田空港にゆっくりと垂直着陸して、離陸寸前の200名が搭乗した旅客機を内部に吸収してしまう!
 ただちに日本国政府が、首相・閣僚・霞ヶ関のお役人・科学者らも陣頭指揮を取って、対処にコレ努めるも徒労に終わる。
 万策尽きたかと思ったそのとき、旅客機に搭乗していた若手エリート外交官とナゾの青年が正立方体の上面のカドに出現して、人類に「ヒトよ……」と呼びかける……。


 未知なる存在に対して日本政府が対応するリアルシミュレーション、そして官房長官ゴジラ大好きの政治家・石破さん、首相も西暦2000年前後に活躍した故・小渕首相にソックリなので、ドーしたって昨年の怪獣映画『シン・ゴジラ』(16年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20160824/p1)を想起する。が、ググってみると本作の製作発表はそれを遡ること2015年11月(汗)。
 まぁ映画の神さまのイタズラか、本作放映開始の翌月2017年初夏には『メッセージ』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20170516/p1)という似たような趣向の巨大物体が出現するハリウッドのSF映画も公開されるしネ……。
――もっと云うなら、巨大円盤が飛来して、人類が地球もろとも高次な存在によって強制進化させられちゃう古典SF『幼年期の終り』(53年)という前例もありましたけど――


 とはいうものの#2以降、タバコ吹かしたバリバリなキャリアウーマンでベラんめい口調の姉御セリフをしゃべるマンガ・アニメ的な記号的キャラクターでも出てきたら、この作品のリアリティの階梯&品位はイッキに下がって台無しになるやもしれないから――いや別ジャンルの作品であれば、そーいう記号キャラもキライじゃないけれど(笑)――、#1の段階では様子見の判断保留でいたのだが……。#3まで視聴したけど、この作品はガチな異星人とのファースト・コンタクトもので、このままの路線で行くようだ!?


 しかも、異星人(?)は「宇宙の外」から来たというので、エリート外交官がそれを――「4次元」以上の空間という意味での――「高次元」世界から来た……と意訳・翻訳するものの、人間たちとコミュニケートしやすいようにヒトの姿を取っているナゾの青年は、それは正しくない翻訳だとのたまう(笑)。
 いやいやいや。3次元の「宇宙の外」なり、この「宇宙よりも上位の空間」があるのなら、それは充分「高次元」空間と呼んでもイイっしょ! というSFオタクや元・科学少年たちのツッコミの先を行く、あくまでも「既知」ではなく「不可知」なモノとして超存在を描写しようとするスレたセンスも本作は垣間見させてくれる!


 いやぁたしかに若いころにワクワクした「価値転倒」や「視点の拡大」といった知的快感をもたらすSFマインドって、こーいうモンだったような気がするねェ(遠い目)。


 んで、かつてのSFファンは――筆者も含めて――、


「自分が面白いと思った、あるいは感動したSF的興趣は普遍的なモノであり、ゆえに全人類(笑)も同じように面白いと思うに違いない!」


と素朴に思い込むような傾向があった。


 それはウラを返せば、SFや科学が理解できない人種に遭遇するや、「信じられない」「バカじゃねーの」とケーベツに走りがちな傾向のモノであったようにも思うのだ――筆者個人の経験を一般化するなってか?(汗)――。


 歳月を経て思う。SF的興趣に感度があるのは全人類の1~2割程度の恐怖奇形人間だけであると。しかもSFというジャンルは、日常生活では非論理的かつフワッとして感覚的な、例えば女のコとの即興の軽口会話などを苦手とする人種が、「世界」や「宇宙」の「縮図」を早分かりしてスゴロクでアガリになった気分になるための慰謝ツールに過ぎなかったのではないのかと(爆)。
 そうは思うものの、こんな作品を見せつけられてしまうと、我が体内のSFの血が騒ぎだす(笑)。


 もちろんショボいビジュアルやキャラデザでは本作の興趣は台無しになってしまうので、大作アニメにふさわしいビジュアルの高精細さが本作に説得力を与えていることも指摘しておかないと大変だ。


 と、ここまで書いておいてナニだけど、主人公が若手外交官であることからもわかる通り、本作はSFよりも外交交渉がメインになるような気配もある。まぁSF至上主義者ではナイので、面白ければドコの方向に行こうとイイけれど。


 しかし、70~80年代の宇宙SF全盛の時代ならばともかく、今季の覇権アニメになれる予感もまったくしないなぁ(笑)。


 エッ、あの女性役人のメインヒロインも、荘厳なオープニング主題歌の歌唱も、またまた『海賊戦隊ゴーカイジャー』(11年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20111107/p1)のゴーカイイエローことM・A・Oちゃんなの!?


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.69(17年5月4日発行))


正解するカド』 ~合評2


(文・久保達也)
(2017年6月8日脱稿)


 羽田空港を飛び立とうとする旅客機の中で、


「ひさしぶりの海外ですね!」


とはしゃぐ、スーツ姿の後輩ビジネスマン(?)の花森に、


「目先の利益だけで相手を打ち負かすのではなく、双方に利益が得られるように交渉すべき」


などと、先輩の真藤(しんどう)が工業用地買収を成功する秘訣(ひけつ)について語る……


 何の予備知識もなしに第1話の冒頭を観て、これはイケメンの先輩後輩コンビを主人公にしたビジネスアニメ(笑)でも始めるつもりなのか? と思いきや……


 ふたりの眼前で、突然謎の巨大な立方体が空から姿を現し、やがて七色に輝く透明な不定型生物らしきものが機内に侵入! 乗客たちは次々にそれに飲みこまれ、遂に旅客機そのものが巨大な立方体に吸いこまれてしまう!


 これを観て筆者の脳裏(のうり)に浮かんだのは、羽田空港に着陸寸前の旅客機が、東京上空に現れた未知の空間に吸いこまれるところから物語が始まる『ウルトラQ』(66年)第27話『206便消滅す』である。
 つまり、かなり久々の直球ストレートな「SF」マインドにあふれた導入部を観ただけで、もう心が踊らずにはいられないものがあったのだ!
 古いタイプの特撮マニアたちが『ウルトラQ』を「SF」扱いする行為に対して、いやあれは「怪獣もの」で「SF」じゃないから、そのような論法は一見高尚なようでも「怪獣もの」よりも「SF」を上位に見立てて、「怪獣もの」を自立・独立した1ジャンルではなく「SF」の下位のサブカテゴリ―に隷属させてしまう行為でもある! と否定的な立場の筆者ではあるものの、やはりこういうノリを観て「SF」だ! 「SF」だ! と大騒ぎしたくなる気持ちは、確かに理解できなくもないのだなぁ(爆)。



 ただ、これだけではマニアたちがよく云うところの「既視感」バリバリの展開ということになるので、個人的に本作に対して目新しさを感じた点を少々。
 まず、本作のヒロインが、単に事件の傍観(ぼうかん)者となってしまいがちな普通のOLとかではなく、政府の危機管理センターに勤める、紺色ショートボブヘアの有能なキャリアウーマンであることだ。
 ここで注目したいのが、ヒロインが行方不明になった旅客機の乗客名簿を見て「真藤くん!?」と驚くことで、実は外務省のお役人である真藤とは旧知の間柄であることを端的に示すとともに、今後ふたりが恋人関係へと進展するであろうことを匂(にお)わせる、なかなか心憎い演出である。
 つまり、「真藤くん!?」とは叫んでも、「花森くん!?」とは叫ばないのだ。決して後輩の花森のことが、ヒロインにとってどうでもいいというワケではなく、本作ではあくまで二の次の存在ということなのだ(爆)。


 先述した『ウルトラQ』のヒロインで、主人公・万城目淳(まんじょうめ・じゅん)の一応の恋人として描かれた江戸川由利子(えどがわ・ゆりこ)に置き換えても、「淳ちゃん!?」とは叫んだだろうが、淳の後輩・戸川一平のことは案じつつも、そんな単なる友人に対しては「一平くん!?」とは叫ばなかったであろうから。
 まぁ女性とはそういう生きものなのだ、とのプチ主張も、やや垣間(かいま)見えるような気もするが(笑)。



 で、別の意味で女性のある種の残酷さを垣間(かいま)見せてくれるのが、謎の巨大立方体に旅客機が飲みこまれたことが明らかとなり、政府の対策会議が騒然となる中、国全体を揺るがすほどのこの危機的状況こそ、自身の探求心を最大に満たしてくれるものだとして、うれしくてしかたがないようにしか見えない女性科学者の存在である。
 リアル系のキャラが大半を占める中、パープル髪でやや萌(も)え度が感じられるメガネっ娘(こ)の科学者は、謎の立方体の解説を政府のお偉い方に得意げに早口でまくしたて、次から次へとメカを投入して立方体の壁を破る方法を現地で調査したあげく、陸上自衛隊朝霞駐屯地(あさか・ちゅうとんち)から戦車を出動させ、あまりにも気楽に


「撃っちゃってくださ~い」


などとのたまうのだ。


 もう旅客機の乗客の安全とか、立方体の中に潜む謎の存在からの反撃とか、な~んも考えてない(爆)。


 戦車の砲弾でさえも壁を突き破ることができず、それが跳ね返されてボトンと落ちる描写は、本来なら驚愕(きょうがく)すべきところなのであろうが、それすらも女科学者が


「神です~!」


と喜ぶさまは、もう単なるギャグにしか見えない(大爆)。


 ただ、その甲斐(かい)あって立方体のカド(角)に突然入り口ができ、階段を上がって中から真藤が出てくるのだが、それに続いて立方体の主が遂に姿を見せる!


 まさかタイトルの「カド」ってここからきてるのか? 「正解」も「政界」とかけあわせているような気もするし(笑)。


 もちろんセミの頭に両手がハサミという、初代『ウルトラマン』(66年)の代表的宇宙人・宇宙忍者バルタン星人みたいなのがいまどき出てくるハズもなく、髪も顔色も衣装もひたすら白いイケメン宇宙人が登場するのだが、そいつがまた日本政府に対し、「地球人よ」ではなく、「ヒトよ」と呼びかけるのだ!
 おまえだってヒューマノイドなんだから、立派に「ヒト」じゃねえかよ(爆)。


 いや、これがまた実に心憎いところで、こいつの正体は、おそらくは冒頭に出てきた透明な不定型生物であり、それが地球人とコンタクトしやすいように「ヒト」の姿に変身しているのだと思えるワケで、「ヒトよ」なる呼びかけこそが、その最大の証(あかし)なのだろう。


 しかし、こいつの名前が「ヤハクィザシュニナ」って……舌噛(か)んでまうやないか!(笑)


 そんなワケで、往年のハリウッドのSF映画『未知との遭遇(そうぐう)』(77年・日本公開78年)のような第1種接近遭遇――小学生のころ、このフレーズにはワクワクせずにはいられなかったものだ!――、ファースト・コンタクトものであり、地球人対宇宙人のハデなドンパチが繰り広げられるものではなさそうだ。
 むしろ日本政府対ヤハクィザシュニナによる、双方に利益が得られるような話し合い、つまり「交渉」が主軸に描かれるということが、冒頭の用地買収云々(うんぬん)なる真藤と花森のビジネス会話に伏線として描かれていたワケで、これまた実に心憎いものがあるのだ。


 まぁ、政界の群像劇となると、映画『シン・ゴジラ』(16年・東宝)をどうしても彷彿(ほうふつ)としてしまうワケで、そうなると既視感云々は拭(ぬぐ)えなくなってしまうのだが。
 そういや『シン・ゴジラ』にも、早口でまくしたてる理系女子が出てましたねえ。もっともあちらの場合は、終始無愛想(ぶあいそう)な表情をしてましたけど。まぁ、彼女も本当はゴジラが出現したのがうれしくてたまらなかったのを、隠すためだったんでしょうが(大爆)。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.78(17年6月18日発行))


後日付記:『正解するカド』中後盤評 ~「高次元」に材を取った、『宇宙戦艦ヤマト2202』・『機動戦士ガンダムNT』・『GODZILLA 星を喰う者』・『アントマン』!


(文・T.SATO)
(2019年9月27日執筆)


 とはいうものの#2以降、タバコ吹かしたバリバリなキャリアウーマンでベラんめい口調の姉御セリフをしゃべるマンガ・アニメ的な記号的キャラクターでも出てきたら、この作品のリアリティの階梯&品位はイッキに下がって台無しになるやもしれない……


 などと語ったそばから、いやすでに、「撃っちゃってくださ~い」「神です~!」とはしゃいでいる、パープル髪で萌え系のメガネっ娘の科学者であり、マンガ・アニメ的な記号キャラがいるじゃん(爆)。


 彼女に違和感をいだかずにスンナリと受け入れて、先の発言をしているあたり、当方がいかに記号的な美少女アニメに毒されてしまっているのかがよくわかる(汗)。


 それはさておき、宇宙人ならぬ高次元人との「外交交渉」が主軸となるのやも……という憶測は「勇み足」であったようだ。
 本作は高次元人がもたらすアイテム――永久機関(永久電力)や、高次元感覚や並行宇宙感覚の獲得による睡眠不要、重力・運動・物質の制御装置――への驚きや、超巨大立方体・カドの羽田空港から郊外への大移動などのスペクタクルが中盤の主眼となり、最終的には高次元人が主人公男性に恋慕(?)するような展開ともなっていく。


 この最後の高次元人が主人公男性といおうか、人間という低次な「知性体」の劣情も含んだ複雑怪奇な「情緒」のナゾに興味を覚えて傾注していく姿が、古典SF的な機械やロボットの反乱モノにも通じる「知性」よりも「感情」や「人間性」の賞揚という、既成感あふれるパターンに回収されてしまったともいえる。
 よって、そこに引っ掛かりを覚える御仁もいてイイとも思う。筆者個人もクールでドライなシミュレーションSFに徹することができなかったという感もある。


 けれども、出来上がった作品を擁護するならば、「情緒」賞揚や「人間」賛歌になりつつも、並行して高次元世界から見た大宇宙や地球の生命の歴史や、そこに高次元生命体がすでに宿っていた劇中内事実なども美麗な映像&音楽の力で描写しているので、テイストとしてはそんなにベタついて湿ったノリではなく、クールで乾いてハイブロウ(高尚)でスペクタクルな本作のカラーは維持できてもいて、ナマっちょろい感じには堕していない。
 よって、コレはコレで筆者にとっては、作品が空中分解してしまったというような酷評の感慨はいだいておらず、最善のオチではないにせよ次善としては許容範囲のオチでもあって、大スキという作品ではないけれどもキライでは決してナイという位置付けとなる。



 ジャンル作品の神様のイタズラか、4次元以上の高次の空間に住まう超越的存在が、我々が住まう3次元世界に干渉してくる作品がこの2017年には奇しくも2作品も本邦ジャンル作品には登場した。
 ハイブロウなSF深夜アニメの本作『正解するカド KADO: The Right Answer』に登場したヒト型の超生命体と、往年の超ヒットアニメのリメイク『宇宙戦艦ヤマト2202(ニーニーゼロニー) 愛の戦士たち』(共に17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20181208/p1)に登場した美女・テレサのリブート版だ。


 前者においては、3次元世界はあくまでもタテ・ヨコ・高さという3乗(3次元)の広がりに基づいた集積回路&処理速度という物理的限界に知性体の脳ミソや計算機は束縛されているけど、「3次元世界」の37乗倍の広がり&処理速度を持つ世界から飛来したと超生命体が終盤で明かしたことから、彼らは3+37ということで「40次元」という超高位な高次元空間から飛来した存在であったと比定できる。
――古代ギリシャの哲学者・プラトンが唱える「イデアの世界(理念・メタ・天上世界・あの世)」=「本体」と、「この世(物質の世界)」=「影絵」の関係に例えれば、超生命体の本体は40次元の高次元空間にあって、『正解するカド』#1冒頭にて登場した不定形な生物も、40次元存在である40乗の広がりを持った超々立体の本体が3次元世界に単純化・平面化(3次元立体化)されて写った「影絵」であったといえる――


 後者においては、原典では「反物質」のヒト型生命体という設定で、しかして電荷が逆である「反物質」と「物質」が接触したら物理的に対消滅が発生して大爆発が生じてしまうのに、テレザート惑星は「物質」組成であり、そこに住まう知的生物・テレサが「反物質」であるのは、当地では惑星の「物質」素材由来(多分)であったハズの原始生命が「反物質」であるテレサにどのようにして進化ができたんだよ! という、往時でも筆者のような可愛くない科学少年であれば(笑)、少々ツッコミどころはあった設定ではあった――その一点の瑕疵(かし)をもって、『2202』の原典『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』(78年)を全否定しているワケではないので念のため。むしろ傑作だと思ってます――。


 40年後のリメイク『2202』では、さすがにこの設定のままではムリがあると思ってだろう。知的生命体の高次な精神活動は脳ミソ以外にも、3次元的には超々ミクロの世界に折り畳まれているようにも解釈できる「高次元」空間とも通じている、波とも粒ともつかない超々ミクロの「量子」レベルのゆらぎや共鳴などの振動現象にも依拠して「意識」や「知的活動」が発生しているという、真偽は定かならず証明もできそうにない最新トンデモ科学仮説におそらくは則ったのであろう。
 その「量子」レベルの真理を技術化し、精神の力を物理的な力に変換するテクノロジーで近隣星域を支配して、やがて肉体を捨てて全テレザート星人が合体した集合知の精神生命体となり「高次元世界」の上方へと上り詰め、「高次元」からは低次の「3次元世界」の「時間」すら可視化して認識もできるがために、我らが「3次元宇宙」の過去~未来までをも見通せる超生命、劇中での文学的レトリックだと「この世」と「あの世」の狭間にいる超存在として定義され直すことで、筆者のようなウザすぎるマニアによるツッコミの隙を減らしている(笑)。


――ちなみに、アリ男ならぬアメコミ洋画『アントマン』(15年)&続編『アントマン&ワスプ』(18年)でも、ミクロ化できるスーパーヒーローの「ミクロ化」の部分をさらに推し進めて、それが超々ミクロな「量子」の域にまで達したことで、時間・空間・高次元の境界もあいまい・混在の極微な世界で四半世紀も前に行方不明になったヒロインの母親探しネタを一方に据えて、「量子」経由での精神活動への干渉という設定を用意することで、「夢でのお告げ」などの古典的な作劇を正当化している。今や「高次元」は「ナンでもあり」や「精神主義」をそれっぽく可能とするジャンル作品におけるマジックワード・万能兵器となったのだ(笑)――


 逆に3次元世界の側から4次元以上の高次元空間に精神が拡張していったのが、巨大ロボットアニメ「ガンダム」シリーズの1本たるアニメ映画『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』(18年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20181209/p1)である。
 本作では死者の霊とも交流でき、物理法則を超えて隕石落としさえ防ぐまでに、後付けでインフレ・拡張していった「ニュータイプ」(新人類)の概念を、コレまた30年後の後付けの後付け(笑)で、過去作の該当シーンのバンクフィルムも多用して「何もかもすべて懐かしい」というロートル観客の「思い出補正」作用も援用しつつ、未知の金色ガンダムの影響で時間が局所的に逆行したかのごとき部品破損が発生する追加能力も作って、やはりニュータイプは「時が見える」ような時間・空間を超えた4次元以上の高次元世界にまで精神が上昇したがゆえの能力だと再定義。
 サイコフレームなるバイオコンピューター素子を封じた金属装置も技術者の思惑(おもわく)&理論を超えて、精神の力を物理的な力に変換する媒介となって、それが物理法則を超えた超常現象をも惹起。金色ガンダムの少女パイロットも「完全なるニュータイプ」として彼岸の彼方の高次元世界へと立ち去り、肉体を消失して思念だけでサイコフレーム経由にて金色ガンダムを操縦し、物理限界を超える亜光速で飛行可能とする!
――同時に高次元世界や思念だけの存在を劇中で肯定することで、死者の霊との交信にもSF的根拠を与えていた――



 平成になってからも、遺伝子操作をされた超生物や、日本を守る護国聖獣、あまたの星間文明を滅ぼしてきたギドラ属と呼ばれる宇宙怪獣種などなど、さまざまな新解釈でリメイクされつづけてきた金色の三つ首怪獣・キングギドラ
 フル3D-CGアニメ映画『GODZILLAゴジラ) 星を喰う者』(18年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20181123/p1)では、別名「高次元怪獣」という新設定でリマジネーションされている。我々が住まう3次元世界・3次元宇宙ではなく、「高次元宇宙」に出自を持つ怪獣!
 なるほど! そう来たか! たしかに我々が住まうこの3次元世界とは「水平」「パラレル」の関係にある「平行宇宙」に由来する怪獣では、いかにこの「宇宙」の「外部」から飛来した存在であったとしても、原理的には我々とも対等・平等の存在にはなってしまう。
 しかし、この「宇宙」にとっては同じく「外部」の関係にあるとはいえ、我らの「宇宙」や一連の「平行宇宙」の「上部」というべき、「垂直」「バーチカル」な4次元・5次元・6次元以上の、我々の3次元世界に対して優位に立つ「超空間」「高次元」の世界や宇宙に出自を持つ、神にも近しい超越的な存在としてキングギドラを描くのであれば、コレぞまさしく地球怪獣2~3体から10体を相手にまわして、一歩もヒケを取らなかった宇宙超怪獣キングギドラのもっとも現代的な解釈ではあり、ハイブロウなSF的リマジ版に昇格したともいえるだろう!


 で、『正解するカド』の高次元生命体や『2202』のテレサの域に達してしまった本作の我らがキングギドラ
 それは箱根上空の雲海に開いた、高次元空間に通じる3つの黒いワームホールから半ば無限(!)に伸びてくる、金色の竜の三つ首だけで描かれる。キングギドラの特徴的なボディーや両翼に2本のシッポや両脚は描かれない。
 そのギドラの三つ首がゴジラのボディーにカラみつき、そして噛み付きつづけるというかたちで怪獣バトルが描かれる。


 とはいえ、それだけではどのへんが高次元の怪獣としての特性であるのかサッパリとなってしまうので(笑)、周囲のリアクションの方でギドラの特異な属性を描写する。
 人間や宇宙人などの知的生命体・生物には視認が可能でも、センサーや計器などの機械にはまったく検知不能。どころか、ギドラの周囲の時間&空間はゆがんでいるらしく、ごくごく近い未来に起きる宇宙船内の区画の爆発や生存者ゼロの反応を、センサーや計器は先んじて検知して、それに管制室のオペレーターが驚愕するなどの描写を入れることで、知的・SF的なフック(引っかかり)としつつ、ギドラの超越的な属性&脅威も描写する。
 以上の前座を踏まえて、高次のギドラ側は低次のゴジラをカラめとって締め付けることができるのに、影絵のゴジラ側が理念のギドラ側に掴みかかろうとしてもスリ抜けてしまうという非対称な異種格闘技戦となる。


 げに、ジャンル作品の神様のイタズラである(笑)。


――高次元存在ではないけど、地球人よりも高次な宇宙人として登場し、犯罪の基となる「感情」を人類から消去しようとする銀河警察ハイジャス人が登場した子供向け合体ロボットアニメ『勇者警察ジェイデッカー』(94年)終盤、真のラスボスが3次元人(=我々のこと・笑)であった『勇者特急マイトガイン』(93年)、「知恵の実」を食させて人類を強制進化しようとする宇宙人が終盤に登場した国産ヒーローをメタ的に総括した深夜アニメ『サムライフラメンコ』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190301/p1)、同じく「知恵の実」を食した異世界の知性体が進化の階梯を昇った「オーバーロード」なる存在がシリーズ後半の暫定的な上級・敵怪人となる『仮面ライダー鎧武(ガイム)』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20140303/p1)、地球人よりも高次な宇宙人種族である巨大ヒーロー・ウルトラマンの一族に、劇中では地球の知性体を「地球人」ではなくあくまでも「人間」と呼称させ、地球や人類の守護だけではなくその劣情も含めた「人間性」を学習することを新人ウルトラマンの任務とさせていた『ウルトラマンメビウス』(06年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060625/p1)なども想起してみたり……――


 しかし、本作『正解するカド』の円盤売上は第1巻が500枚弱の爆死。600枚弱の同期2017年春の宇宙SFロボットアニメ『ID-O(アイ・ディー・ゼロ)』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190924/p1)の不人気同様、日本のロボットアニメやSFアニメの未来は暗い……(笑)。


(了)


[関連記事] ~「高次元」世界が奇遇にも主題となった2018年秋の3大アニメ評! 完結後の『正解するカド』にも言及!

GODZILLAゴジラ) 星を喰う者』 ~高次元怪獣にリブートされた宇宙超怪獣キングギドラが登場! 「終焉の必然」と「生への執着」を高次元を媒介に是々非々で天秤にかける!

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機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』(18年) ~ニュータイプを精神が高次元世界に拡張した存在だと再定義! 時が見え、死者と交流、隕石落下を防ぎ、保守的家族像を賞揚の果てに消失したニュータイプ論を改めて辻褄合わせ!

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宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』#1~10(第一章~第三章) ~高次元存在にリブートされた美女テレサが登場! 戦争モノの本質とは!? 愛をも相対視する40年後のリメイク!

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[関連記事] ~フル3D-CGアニメ評

『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』 ~低劣な軍艦擬人化アニメに見えて、テーマ&萌えも両立した爽快活劇の傑作!

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