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ウルトラマン80 31話「怪獣の種飛んだ」 〜児童編開始

ファミリー劇場ウルトラマンエイティ』放映記念「全話評」連動連載!)
『ウルトラマン80』 再評価・全話評! ~序文
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『ウルトラマン80』全話評 〜全記事見出し一覧


第31話『怪獣の種(たね)飛んだ』

植物もどき怪獣ゾラ登場

(作・阿井文瓶 監督・外山徹 特撮監督・高野宏一 放映日・80年10月29日)
(視聴率:関東8.4% 中部11.7% 関西9.6%)


(文・久保達也)
(2009年10月執筆)


 車にひかれそうになったところを主人公・矢的猛(やまと・たけし)に救われた少女・マリコ
 そのマリコの母親は1年前に夫が他界したのを機に神経性の心臓病を煩(わずら)い、病室で寝たきりの生活を送っていた。


 亡くなった夫の最初のプレゼントが野菊の花束であり、思い出の地である一面の花畑にもう一度足を運びたいと願う母を元気づけるため、マリコは空き家の庭を拝借して「マリコのお花畑」なる看板を掲げ、


「大きなお花を咲かせてね。きれいなお花を咲かせてね」


 と、庭に花の種を植えつけ、せっせと世話をする(空き家とはいえ他人の家なので、本来は決して許される行為ではありません!・笑)。


 ある日、その「マリコのお花畑」にタンポポの綿毛のような大きな種子が飛んできた。それもお花畑に植えてあげるマリコだった。しかし、以後その場所から強力なエネルギー反応が感知されるようになり、やがて防衛組織・UGM(ユージーエム)が現場を特定する。


 イトウチーフ(副隊長)と矢的猛隊員がUGM専用車・スカウターS7(エスセブン)で現地に急行すると、地球上のものとは思えない巨大な植物が生息していた。思わずライザーガンの銃口を向けるイトウだったが、


「これはあの子が育てた芽なんです! 母親の病気を治すために、大きな花を咲かせようと一生懸命なんです!」


 と矢的が制止し、急に処分しては少女が傷つく、危険があったらマリコに訳を話してから自分が切ります! と力説したため、やむなく赤外線カメラを設置し、様子を見ることになる。
 (見知らぬ赤の他人に伐採されて彼女が失望して人間不信に陥るより、せめて知人である自分が彼女の前で汚れ役を引き受けることで、彼女の心は無傷で済まないまでも少しでも傷をやわらげようというところだろう。漢(おとこ)である!)


 赤外線カメラの映像分析で奇怪な植物がわずかながら移動し、周囲の花が枯れていく様子が映し出され、さらにこの植物は通常の植物とは逆に動物のように大量の酸素を吸収し炭酸ガス二酸化炭素)を吐き出していることが判明する。


イトウ「あの木のまわりでは人間も危険だ!」


 矢的が「マリコのお花畑」に急行するや、酸欠状態になったマリコが倒れていた。


 矢的に緑色の炭酸ガスを吐きかけて襲いかかる奇怪な植物! UGM専用拳銃・ライザーガンの攻撃を受けた植物は植物もどき怪獣ゾラとなって巨大化、長いムチ状のツタを振り乱して進撃を開始する!



 物語の導入部は同じく阿井文瓶(あい・ぶんぺい)が執筆した、病気で寝こむ母親を元気づけるために正博少年が屏いっぱいに桜並木を描く『ウルトラマンタロウ』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)第41話『母の願い 真冬の桜吹雪!』を連想させる。
 しかし、どちらかといえば脚本・監督は異なるものの、『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)第47話『恐怖の円盤生物シリーズ! 悪魔の星くずを集める少女』(脚本・若槻文三 監督・東条昭平)に近い雰囲気を感じさせる(本作にはあそこまで過激な描写はないけれど……)。同作は円盤生物ブラックテリナが吐き出した無数の美しい貝を「これをたくさん集めると幸せになれる」と信じる少女がゲスト主役であり(奇しくもこの子の名前もマリコである)、美しい貝の正体がそれを身につけた人間をロボットのようにコントロールしてしまうブラックテリナの分身・テリナQであったように、ゾラも少女の優しい気持ちを隠れみのにして暗躍する点が共通しているのだ。


 マリコが矢的を「矢的さん」「矢的隊員」ではなく、


「おにいちゃん」


 と呼んでみたり、花畑が暴風雨に襲われるや、


ナレーション「花が倒れるとき、母親の命も……」


 と思いこんだマリコが赤いレインコート姿で花畑に走り、懸命に花を守ろうとする描写は、ここまで純粋無垢(むく)な子はさすがにいないだろうと思いつつ、マリコを演じた臼田まゆみがおさげ髪がよく似合う可憐(かれん)な少女でもあり、同じ年頃の娘がいてもおかしくない年齢に達した筆者的には実に心を動かされるものがある。
 (余談だが、先述の『レオ』第47話で主人公のおおとりゲンに襲いかかる女性たちは全員レインコート姿だった。大雨の中、傘をさしてゲンに迫る彼女たちの姿はすごいコワい演出だった!)


 うさぎの絵柄入りのトレーナー姿をはじめ、正味20分強のドラマの中で計5種類もの服装で登場するあたり、マリコの描写には実に力が入っており、現在のU−15(アンダー・フィフティーン)のお菓子系アイドル好きの方々にも結構楽しめるのではないかと思う(笑~近年なら写真集やDVDが発売されてもおかしくないルックスかと思うが、当時は潜在的にはともかく表立ってはそういう需要はなかった。もっとも当時はまだビデオソフトすらも一般には発売されていなかったが)。


 ただその一方、『レオ』第47話がテリナQが漁師を海に落としたり、自分の名前を彫ろうとした女性を襲うなど冒頭から「迫りつつある危機」をていねいに積み重ねて描写していたのに比べて、今回はマリコに力が入れられた分、ゾラを描くことが若干おざなりになってしまった感がある。
 というのは矢的に攻撃されて巨大化するまでの過程で、ゾラがハッキリと「怪獣」であると判断できるような描写がほとんどないのである。強(し)いて挙げれば巨大化した芽が小さな鳥を捕らえて食べるという場面があるものの、現実にも「食虫植物」というものも存在するわけであり、その描写もさりげなさすぎて正体が巨大怪獣であるという伏線的な見せ場にはなりきれていないように思える。ここはやはり『ウルトラセブン』(67年)第2話『緑の恐怖』で同じ植物型怪獣である生物X(エックス)・ワイアール星人が夜な夜な人々を襲ったように、ゾラが夜の間は花畑から道路に移動し、通行人を襲うといった描写がほしかったように思う。


 そうすればイトウチーフと現場に駆けつけた際、母を想うマリコの気持ちと地球防衛の任務の間で葛藤する矢的の姿を描くことができ、矢的とマリコとの間にさらなる展開が生み出されたと思うのだが。マリコが単なる「いい子」「被害者」で終わってしまっているのは、それはそれで大切にすべき個人の「私(わたくし)」が、TPO(時・場所・機会)などの大局的な「公(おおやけ)」によっては時に「悪」にもなる逆説もたしかにあるはずで、「児童ドラマ」としては実にもったいないような気がする。


 それでも巨大化して以降のゾラはまるで水を得た魚のように実に生き生きと暴れ回ってくれている。
 全身がツタに被われたゾラ。そのツタにはていねいにも葉型のギザギザが造りこまれており、ムチのようにせわしなく振り回しては地球防衛軍の戦闘機をからめとって地上に叩き落とし、イトウの専用機・エースフライヤーとフジモリ・イケダが搭乗するシルバーガルも次々に撃墜!


 マリコが拝借していた庭の空き家は本編には登場しなかったが、ミニチュアセットではこれがかなり大きな邸宅として表現されるばかりではなく、電柱や街灯・電話ボックスに至るまで、実に細かなものまでもが用意されているのも迫力を増している!


 オープン(スタジオではなく屋外)であおりで撮られた巨大感あふれるゾラが矢的に迫りくる描写を何度も挿入して危機感を最大限に盛り上げたあと、遂に矢的はウルトラマンエイティに変身!
 なんとゾラは『ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル』(07年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080427/p1)に主役級で登場する古代怪獣ゴモラよりもずっと前に、エイティに対してジャンピングキックをかますわ、両者跳び上がって宙ですれちがうわ、ゾラがエイティの右腕をツタでからめとってブン投げるわと、東映ヒーロー作品的な実にスピーディーなバトルを次々に展開!



 「今では考えられませんが、ああいう飛び越しの蹴りなんかは本当に空中で蹴ってますからね。今はCGが入ってきたりして、25年前とは特撮やアクションが根本的に違います。今は、グリーンバックでウルトラマンを吊って蹴りの形をとらせた画を、怪獣の前にタイミング合わせて通過させればいいわけですからね。でも『80』の頃はそういうことはまずなかった。あってもせいぜい吊りですが、それも本当に現場で飛ばしたりしていた。ほかにも怪獣を飛び越して後ろから蹴りを入れたり、怪獣を投げ飛ばすなんてことも現場でやってましたからね。カメラの横から「1・2・3」って合図して僕が投げたりとか。それでつられてフレームに入っちゃったりなんてこともありました(笑)。『80』のころは本当に「人間的にできるか、コレ!?」っていうくらい、肉体的なアクションが多かった。今でも「『80』のあのシーンはどうやっているんですか?」って聞かれることがあるんですが、実際凄いことをやっているんですね」

(『君はウルトラマン80を愛しているか』(辰巳出版・06年2月5日発行・05年12月22日実売・ISBN:4777802124)擬闘・車邦秀インタビュー)



 その迫力みなぎる「肉体的な」アクションに華を添えるのが光学合成!
 ゾラの長いツタに首を締められたエイティが全身を白く発光させるや、ゾラの全身に白い稲妻状の電撃がほと走る!
 逃れたエイティにゾラが黄色い炭酸ガスを吐きかけるや、エイティはなんとバリヤーを張らず、両腕を前に突き出すだけでこれを跳ね返した!
 両手から交互に放ったウルトラダブルアローとサクシウム光線の連続攻撃に、猛威を奮ったさしものゾラも遂に大地に倒れ伏し、大爆発を遂げた!



 すっかり荒れ果ててしまった「マリコのお花畑」は、エイティが両手から発した放射線・ウルトラメディカルパワーで美しい花が咲き乱れるという、少年たちにとっては少々気恥しいかもしれない乙女(おとめ)チック・メルヘンチックな美しいオチを迎え、マリコと矢的はそれらを手にマリコの母を見舞うのであった。



・第1話『ウルトラマン先生』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100502/p1)~第12話『美しい転校生』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100718/p1)までの主人公・矢的猛隊員が中学校の教師も兼ねていた「学校編」(「学園編」や「中学編」や「教師編」とも呼称)
・第13話『必殺! フォーメーション・ヤマト』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100725/p1)~前回の第30話『砂漠に消えた友人』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101120/p1)までの防衛組織・UGMを作劇の中心の据えていたいわゆる「UGM編」


 上記を経て、今回から児童ゲストを中心に据えたいわゆる「児童編」となる。まぁ低視聴率対策としてのいわゆる「路線変更」である。
 当時の小学生たちが観たかった『ウルトラマン80』とは、たまに登場する強敵怪獣を相手に歴代の先輩ウルトラ兄弟たちが月に1回くらいはひとりずつゲスト出演し、学年誌『小学三年生』が勝手に設定(笑)していたエイティが成長次第でウルトラ兄弟の一員になれるようなシリーズのタテ糸を持っている少々の連続性があるストーリーの作品であったハズである。事実、同時期に放映されていたライバルである『(新)仮面ライダー』(79年・通称スカイライダー)では、シリーズ中盤から歴代の先輩仮面ライダーたちが続々と客演したり全員集合したりして当時の子供たちをおおいに熱狂させていたのだが……。
 これは当時もうすでに本邦初のマニア向け書籍が発行されており(77年)、第1期ウルトラシリーズ至上主義である第1世代の特撮ライターたちがつくった第2期ウルトラシリーズを扱った書籍『ファンタスティック・コレクションNo.10 ウルトラマン PART2』(78年)において陰に陽に第2期ウルトラやウルトラ兄弟客演編やウルトラ兄弟の設定にウルトラの国やその歴史設定自体をウルトランの神秘性を毀損(きそん)するものとして否定的に論じたために、つくり手たちが子供たちの嗜好を誤解して『80』にウルトラ兄弟をかたくなに客演させなかったためだろうと推測されるのだ。


 そこに根本的な問題はあるにせよ、そこを差し引いて「児童編」を観てみれば、マイルドではありながらも観るべき良質なジュブナイルドラマはあると思う。本稿『80』全話評ではウルトラ兄弟客演によるスケール感や活劇性の向上のメリットを脳裏に置きつつもそれはいったん棚上げにして、「児童編」の良さや魅力を解題していくつもりである。



<こだわりコーナー>


*従来のウルトラシリーズでは数十秒のメインタイトルのあとに提供やCMが入り、それに続いてサブタイトルが冒頭に冠されるオープニング主題歌とCM抜きで連続して30分作品の前半Aパートが流れるという放送フォーマットであったが、今回からメインタイトルに続いてドラマの導入部が数分間展開、次いでオープニング主題歌が流れるという(そのあとに提供やCMやAパート)、往年の『ウルトラQ』(66年)、後年のビデオ作品『ウルトラマンパワード』(93年)後半、近年の『ウルトラマンネクサス』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041108/p1)・『ウルトラマンマックス』(05年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060311/p1)・『ウルトラマンメビウス』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070506/p1)などにも踏襲されたスタイルへと変更になった――『ウルトラQ』とその次作・初代『ウルトラマン』(66年)は後年の再放送とは異なり本放映ではAパートとBパートを区切る中CMはなかったそうだが――。これは導入部で視聴者をまずひきつけ、チャンネルを回さなくさせるという視聴率面での対策という理由が大きいだろう。


 1960年前後生まれのオタク第1世代が思春期・青年期に達して、『宇宙戦艦ヤマト』(74年)の総集編映画(77年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20101207/p1)の大ヒットを発端に、テレビアニメ『宇宙海賊キャプテンハーロック』や『銀河鉄道999(スリーナイン)』(共に78年)などの漫画家・松本零士(まつもと・れいじ)原作作品がブーム・ブランドとなって、マニア向け書籍や月刊アニメ雑誌などが続々と発行され、80年代前半までつづく空前のアニメブーム(第1次アニメブーム)に沸いて、年長マニアなどもねらってテレビアニメ草創期の大人気作品『鉄腕アトム』や『鉄人28号』(共に63年)や『サイボーグ009(ゼロゼロナイン)』(68年)や『ルパン三世』(71年)などのリメイクや続編作品も続々登場していたこの当時、『80』の裏番組としては、


日本テレビで、79年10月から放映が開始されたフランス革命を描いた名作少女漫画のアニメ化『ベルサイユのばら』(79年・東京ムービー新社→現・トムスエンタテインメント)が引き続き放映されており、10月からは故・手塚治虫(てづか・おさむ)の代表作のリメイク『鉄腕アトム』(80年・手塚プロ)がスタート、
・フジテレビで、大ヒット野球アニメ『ドカベン』(77年)の後番組として、メーテルリンク原作の名作童話劇『青い鳥』(1908年)のテレビアニメ化として80年1月から『メーテルリンクの青い鳥 チルチルミチルの冒険旅行』(80年)を半年挟んで、同年80年7月に『がんばれ元気』がスタート(小学館週刊少年サンデー』で76〜81年に連載された小山ゆう原作の名作ボクシング漫画のアニメ化。東映動画(現・東映アニメーション)。全35話という当時としては短命な作品に終わった)――ちなみに同作の後番組が81年4月スタートのテレビアニメ『Dr.(ドクター)スランプ アラレちゃん』(81〜86年・東映動画)であり、視聴率35%を達成して裏番組をすべて駆逐してしまうほどの大人気作品となった(手塚治虫は『アトム』が『アラレちゃん』に負けたことに対して、今度(リメイク)の『アトム』は『アラレちゃん』的なデタラメなアクションの豪快さや破天荒さには欠けていたことも敗因だったかもしれないネ(大意)という趣旨のことを某所で語っていたことを記憶している――、
テレビ朝日で、長寿クイズ番組『霊感ヤマカン第六感』(74〜84年・当初は大阪の朝日放送が製作、75年春の「腸捻転(ちょうねんてん)」と称されたネット改編後、NET→現・テレビ朝日に製作が移管)、


 などがあり、『80』はかなりの苦戦を強いられていたのである。


 なお余談ではあるが、『80』夏季の放映時には、同年『裸足の季節(はだしのきせつ)』でデビューし、当時『青い珊瑚礁(あおいさんごしょう)』を大ヒットさせていたアイドル歌手・松田聖子(まつだ・せいこ)が出演するグリコ協同乳業のアイスクリームのCMがメインタイトルを挟んでオープニング主題歌の直前に流れるのが慣例となっていた。つまり松田聖子がニコッと微笑むのに続き、「♪ウルトラマ〜ン、エイテ〜ィ」と主題歌が流れるという具合であったのだ。『80』でのCM放映にかぎらないが、このCMは彼女をお茶の間に浸透させるのに幾分かは貢献したと思う。実際当時中学2年生だった筆者は『80』よりも聖子ちゃんに夢中だったからなぁ(笑)。


*第6話『星から来た少年』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100606/p1)に医師の役で出演した渡部猛(わたべ・たけし)は、『キカイダー01(ゼロワン)』(73年)のライバル・ワルダーや、『イナズマンF(フラッシュ)』(74年)の敵幹部・ウデスパーα(アルファ)をはじめ、90年代末期に至るまで東映ヒーロー作品で悪役声優を務めた人物として有名だが、今回やはり医師の役で出演している依田英助(よだ・えいすけ)も、


・『イナズマン』(73年)第10話『人喰いガスの恐怖!!』のガスバンバラ、第22話『歩く土人形 恐怖の大地割れ!!』のツチバンバラ、
・『イナズマンF』第16話『謎の女 その名はデスパー秘密捜査官』のノコギリデスパー、
・『アクマイザー3(スリー)』(75年)第3話『なぜだ?! ガブラが消えた』&第4話『なぜだ!? イビルの裏切り』のアカニーダ(ちなみにアオニーダを演じたのは渡部猛)、第9話『なぜだ?! ガブラが敵に』のバケネーゴン、第19話『なぜだ?! ザビタン5つの謎』のハンニャードのゲスト怪人のほか、
・『宇宙刑事ギャバン』(82年)では全43話のうち半数近くの回でベム怪獣(同作におけるゲスト怪人)の声を担当、


 『秘密戦隊ゴレンジャー』(75年)以降、90年代中盤までの戦隊シリーズ常連の悪役声優として活躍していた。


 なお第1次怪獣ブームの最中に発売され、当時の怪獣少年たちのバイブルとなった『怪獣大図鑑』(朝日ソノラマ・66年11月5日発行・ASIN:B07H52C1VX)に添付されたソノシートの声の出演者として「依田英二」という名前がクレジットされている。これもまぎれもなく氏の仕事である。


*今回マリコを描写する場面に『80』のオリジナルBGMではない音楽が何曲か使用されている。『80』の選曲を担当した小原孝司は永井豪石川賢原作の特撮ヒーロー『バトルホーク』(76年・東洋エージェンシー・ナック)や『(新)コメットさん』(78年・国際放映)なども手掛けており、主に国際放映の作品の選曲を多数手掛けてきたようだ。実際『バトルホーク』の音楽は『80』にブリッジ曲を中心に多数流用されていることから、今回流用された曲も氏が選曲を担当した作品のどれかのオリジナルBGMかと思われるのだが。


*第29話『怪獣帝王の怒り』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101113/p1)でイトウチーフにたしなめられたにもかかわらず、今回も矢的は廊下ですれ違いざまに小坂を「ユリちゃん」と呼んでいる。だから勤務中に「ユリちゃん」はいかんっちゅーに! イトウチーフより城野エミ(じょうの・えみ)隊員がコワいぞ(笑)。


*今回エイティが使用したウルトラダブルアローは、矢じり型の光弾を左右の手から交互に撃ち放つ技だが、これは設定のみに終わったウルトラブーメランの変形技であるとされている。放映当時の小学館『てれびくん』や『コロコロコミック』などでは、エイティ頭頂部の赤い部分がウルトラセブンアイスラッガーのような宇宙ブーメランに変形するなどと紹介され、『てれびくん』80年5月号(だったと思う)ではセブンが「新しい必殺技ウルトラブーメランも早く見たいな」などとコメントを寄せていたものだが、結局劇中に登場することがなかったのは未だに残念でならないものがある。


マリコとすっかり元気になった母親が一面の花畑を走るイメージシーンからラストに至るまで流れる曲は、以降のエンディング曲として多用されることになる。これは挿入歌『心を燃やすあいつ-矢的猛の歌-』のインストゥルメンタル(歌抜きの演奏のみの楽曲)である。『80』にかぎらず年長マニア向けのサントラ(サウンドトラック)音盤化の草創期でもあったこの当時は、近年のヒーロー作品では必ずリリースされるいわゆる「ヒット曲集」のような挿入歌集のアルバムが発売されなかったために、代わりに80年6月10日に日本コロムビアから発売されたLPレコード『ウルトラマン80テーマ音楽集』(ASIN:B0001A7VC4)B面の1曲目に収録されるという異例の措置がとられた。劇中でも歌入りのバージョンは流れなかったため、旧作特撮のみならず当時の現行特撮である『80』音楽集も購入するような御仁しか知らない、知る人ぞ知る名曲となっていた。だがその後、この挿入歌は「ここぞ!」という際に遂に劇中で使用され、大いなる感動を視聴者に与えることになる。これについてはいずれまた……


*これは今回だけに限らないのだが、すっかり荒れ果ててしまった「マリコのお花畑」の中で涙するマリコの描写に際し、


ナレーション「花は枯れてしまった。もう病室を飾ることはできない。母親の病気も治せない。ウルトマンエイティにはマリコの気持ちが痛いほどわかった……」


 などと、画面でやっていることをそのまま説明しているだけの、無用なナレーションはせっかくの感動を半減させてしまっている。そんなことはマリコを演じる臼田まゆみとエイティを演じるスーツアクター・奈良光一の名演技で充分に感じとることができるのだから「余計なことを云うな!」と云いたくなってしまう。


 『80』にムダなナレーションが多すぎたことの反動からか、『ウルトラマンティガ』(96年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961201/p1)以降はナレーションが添えられることが極端に少なくなってしまったが、『80』最大の難点のひとつがまさにこれなのである。もっとも近年は視覚障害の人々のために「音声ガイド」がつけられた番組もあることから、一概に切り捨ててしまえばいいというものではないのかもしれない。今改めて観返すと前作『ザ★ウルトラマン』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971117/p1)のナレーションの量も『80』と同じくらい多いのだが、それが気にならないのはナレーターの声質の差なのかもしれず(クールだったり、やや野暮(やぼ)ったかったりという差)、難しいところではあるのだが……


*当時ロッテから発売されていた『ウルトラマン80 フーセンガム』は4枚綴(つづ)りのカードと1枚のシールがおまけに付いていたが――それ以前に発売されていた初代『ウルトラマン』から『ウルトラマンレオ』までの同様のオマケが付いていた商品のスタイルを踏襲したもの――、カードの方はこの第31話までが商品化されていたようである。こうした商品の宿命ではあるが、やはり全話をフォローするのは難しいようである。


マリコの母を演じた佐野アツ子は、ジャンルファンならばテレビ時代劇『必殺』シリーズ第3弾『助け人走る(たすけにん・はしる)』(73年)で主人公・中山文十郎(なかやま・ぶんじゅうろう)(演:田村高廣(たむら・たかひろ)の妹・中山しの役と、第4弾『暗闇仕留人(くらやみ・しとめにん)』(74年)で仕留人に情報収集・密偵などで協力するおみつ役で、共に佐野厚子名義でレギュラー出演していたことでも記憶に残る。NHKの平日帯(おび)番組「連続テレビ小説」(通称・朝ドラ)(61年~)と双璧をなしていたTBS平日お昼の帯番組でポーラ化粧品提供の「ポーラテレビ小説」(68~86年)『ひまわりの道』(71年)のヒロイン出身だそうである。


*『ウルトラマンメビウス』第40話『ひとりの楽園』に登場した宇宙植物怪獣ソリチュラが噴射する花粉に含まれるソリチュラ化合銀は、番組公式サイトの「WEB(ウェブ)メビナビ」によると、今回の植物もどき怪獣ゾラの花粉にも含まれているそうだ! 「宇宙のどこか同じ星に生息していた植物から分かれて進化した、親戚のような怪獣なのかもしれない」とのことだそうで、「WEBメビナビ」のスタッフ(実態は同人ライター上がりで特撮マニア向け書籍で活躍する編集プロダクション・スタジオタルカスにともに所属する同作のメインライター・赤星政尚(あかほし・まさなお)と設定考証の谷崎あきらであろうと推測・笑)の「ウルトラ」への愛と、メインターゲットである子供たちもおおいに喜びそうな往年の怪獣図鑑のような稚気(ちき)あふれる小学生向け疑似科学センス(今の子供向け特撮番組にこそ必要なもの!)には頭が下がる!


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2010年冬号』(2010年2月7日発行)〜『仮面特攻隊2011年号』(2010年12月30日発行)所収『ウルトラマン80』後半再評価・各話評より分載抜粋)



ウルトラマンフュージョンファイト/K5-075 ウルトラマン80 / ウルトラマンメビウス CP

#ウルトラマン80 #ウルトラマンエイティ



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