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ウルトラマンネクサス1話「Episode.01夜襲 ―ナイトレイド―」


『ウルトラマンネクサス』評 〜全記事見出し一覧


(脚本・長谷川圭一 監督・小中和哉 特技監督菊地雄一
(視聴率:関東5.2% 中部7.2% 関西3.7%)


(文・T.SATO)
(04年10月2日執筆)
 『ウルトラマンコスモス』(01年)終了からブランクが空くこと、まる2年。
 『コスモス』の後番となった『機動戦士ガンダムSEED(シード)』(02年)は、NTTやSonyMusicなど超メジャーがカラんだビッグプロジェクトであったことは読者諸賢も承知だろう。コレには業界側のポスト怪獣世代の台頭を痛感せざるをえなかった。


 そして、幼児向け作品である平成『ウルトラ』とは単純比較はできないが、『ガンダムSEED』は、リアル系というより、お目めパッチリの美少年ぞろぞろで、美少年主人公と美少年副主人公が敵味方に別れて戦うという、つい最近も『ウルトラマンガイア』(98年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19981206/p1)で見たような、アリガチ設定で(←批判ではないョ)、大方のアニメファンは判らなかったであろう福田己津央(ふくだ・みつお)カントクの特撮ファンぶりが発揮されたジャスティスガンダムカラミティガンダムブルーコスモスのネーミングもイイとして(笑)、マニアの婦女子層に大ヒットを納めたのは記憶に新しい。
 ただし、本家・富野『ガンダム』ファンには、評判悪かったそうだけど……(ちなみに筆者個人は、表層的な意匠面の商業戦略と同時に、内容面でも高く評価する)。


 どのくらいの大ヒットだったかを、非常にラフなイチ物差しに過ぎないが、DVD売上で云うのなら、『ガンダムSEED』DVD全巻の売上は約130万枚。
 つまり、1巻あたり約10万。ちなみに、フツーのアニメDVD売上は平均3〜4000枚とのことなので、それらの20倍以上の売上だったことになる。


 特撮作品も例にあげるなら、ヒットしたといわれる『DVDウルトラセブン』は当時のオーディオビジュアル雑誌の年間ランキング記事によれば、1巻あたり5000枚強とのことだ(エッ、コミケの超人気大手サークルの同人誌の部数よりも少ないって?)。……いずれにしても、『ガンダムSEED』の約1/20に過ぎないことになる。
 (後日付記:デジタルウルトラプロジェクトのHPを見ると、『DVDセブン』の1巻あたりの初版枚数は4万枚という記述あり。それでも『SEED』の半分以下の枚数ということで逃げさせてください・汗)


 『ガンダムSEED』のヒットは、客層はビミョーに異なるも、マニア系の10代20代の婦女子をもほぼ総動員しえたような現象を見るに、筆者に平成『仮面ライダー』のF1・F2層でのヒットと通ずるものを思わせる。
 通勤電車で筆者も、女子高生が(イケてるコとはいえないだろうけど)、『SEED』のピアノ弾きのガンダム乗り美少年が死ぬ場面の話題で盛り上がっていたのを目撃したことがある
 (劇場版『爆竜戦隊アバレンジャー』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20031112/p1)&『劇場版 仮面ライダー555(ファイズ)』(03年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20031104/p1)試写会ででも……って、あの場はオタク率が高いよな・笑)。


 『SEED』の後をねらっていた円谷プロは、『ウルトラ』の当今の商業的地位を値踏みされたか、社内のゴタゆえか、ワクを取れなかったのはみなさんご存じの通り。
 代わりに登場したダークホースは、単なるオタク系マニア系マンガのアニメ化と思われた『鋼(はがね)の錬金術師』(03年)。テレ東か深夜かTBSでもせめて30分前の土曜夕方オタアニメ枠がテキトーな作品じゃねーのかと思いきや、コレも大ヒット。コチラはくわしくないのだが、仕掛けた側はやはり内容にも自信があったのだろうネ(?)。


 その後ワクも、ついに円谷は確保ができない。終了後もアニメ誌で特集記事が絶えなかった『SEED』の続編(!)『機動戦士ガンダムSEED DESTINY(デスティニー)』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060324/p1)が来週から放映開始されるのも、商業的には順当というべきだ。ちなみにガンダム乗りの新主人公の名が、『ウルトラマンダイナ』(97年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971201/p1)の主人公の姓名を逆転させたものになってるが……イイのかよ!?(笑)
 (後日付記:ガイアガンダムカオスガンダムも登場。アビスガンダムウルトラマンアグルに相当か? さらにはレジェンドガンダムまで登場。名前はすべて平成のウルトラマン(ゲストや悪のウルトラマンも含む)と符合。まぁメカはバンダイ主導だろうけど、ネーミングはカントクによるものなんじゃないのかなぁ? 作品の本質に関わる要素ではないのだし、その程度のお遊びはご愛嬌)

 


 社会的なステータスでいえば、TBSから毎日放送、さらには中部日本放送へと都落ちしていく平成『ウルトラ』。風聞によれば、テレビ東京行きも検討されたという。
 ただしこの都落ちで、土曜の夕方から午前にワクがなったこと自体は、筆者に不満はない。土曜午前はコレから子供たちにとってのゴールデンタイムになることが自明だからだ。今でも現役児童の日曜午前の印象は、我ら70年代ボーイズにとっての土日夜の6時〜8時に相当するらしいし……
 (ただし、元々は80年代末期に、来たるべき少子化時代に備え数字が取れなくなる子供番組を僻地に追いやったものではあるのだが、善悪はあざなえる縄のごとし〜笑)。


 ただ、朝7:30はやはり早いけど。しかし、第3期『ウルトラ』ブーム時の70年代末期の関東では、毎週土曜朝7時に『ウルトラセブン』(67年)、『ウルトラマンタロウ』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)が再放送され、視聴率10パーセントを超えていたのだから(平成『ウルトラ』よりも高い・笑)、そこまでは行かずとも、もう少しなんとかなるハズのワクだろう! 何より、同じ7:30でも日曜朝の『戦隊』は、片手で足りない数字をあげえているではないか! 視聴習慣の問題もあるとはいえ、数字面でいえば、めざすべきはそこだろう。


 とはいえ個人的には、土曜朝7:30だとまだ寝てるので、9時以降の方がうれしいな(笑)。TBS系だと、その時間に子供ワクがないので、ならばテレ東の方がイイのではなかろうか?
 2002年4月より幼稚園〜高校まで土曜は全休になったのだから、遅起きのコも多かろう。いっそ、『超星神(ちょうせいしん)グランセイザー』(03年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041104/p1)の30分後ワクで、新作『ウルトラ』をやった方が視聴習慣からも相乗効果からも『戦隊』&『ライダー』的な差別化メリハリ流通の点でもイイのでは!? なぞと筆者は思っていたのだが……。


 そんな筆者のよもやま想いとは別次元で、現実はキビシいらしい。午前であるより地方局がネックで、製作費は半減だとも聞く(テレ東だったらもっと下がるのか?)。怪獣は4〜5話に1体しか出ないとのウワサも聞く。
 ただし90年代後半、平成『ウルトラ』3部作が1本あたり3〜4000万円、対するに『戦隊』がアニメの1000万円よりも安い800万円で作っていた事実を思えば、今までの平成『ウルトラ』の視聴率や商品売上などの結果も不可解だったのだともいえ(あまり語られていないが、実は関東地方では、東映メタルヒーローシリーズの平均視聴率を、平成ウルトラ3部作はついに超えることができなかったのだ)、この機会にピンチをチャンスに変えてほしくも思うのだ。
 などと、毎度おなじみ井戸端会議での悪口とは別に、誌面ではキレイ事をつい述べちゃったりもするのだが……(まぁオトナですから。偽善ではなしに、複数の眼にふれる以上は、それが常識というものです。いやマジで)。



 放映開始を心待ちにしていた方々には恐縮だけど、個人的にはもう全然まったくサッパリ期待していなかった新作TV版『ウルトラマン』。
 もちろん、評価は毎度おなじみ、ヒトそれぞれ、読者それぞれなのだけど。それに筆者個人の範疇でも、#1の時点で、何かの物言いをしてしまうのは、#2以降で評価や印象が反転した場合に、勇み足になってしまうので(笑)、リスクもあるのだが……。


 個人的に、そして#1の段階では、意外にも面白く見ることができた。いやカナリ面白かった。ひきこまれた。
 平成以降の『ウルトラ』TVシリーズ#1の中では、一番面白かったかもしれない。幼児が見ても面白い、楽しめる作品であったかは別にして(笑)。


 平成『ライダー』ばりに、いやそれ以上に、子供番組であることを度外視した、ハイテンポでカッコいい、そして音とリンクさせた映像の主題歌で、番組は開幕!


 シャープでクールな映像に世界観。乾いた淡々とした筆致でつづられていく物語。
 夜の闇に徘徊する、等身大の人間スケール次元でのCG不定形ゲロゲロモンスター。コミュニケートが絶対不可能そうな、愛嬌ゼロで熱帯海洋の下等動物チックなスプラッタ映画的モンスターは、ヒトを捕食する!


 コレまた人知れず対抗するのが、ダークブルーの制服と銃器で包んだ、スワットでミリタリーな特務部隊。
 そこにかかる、『機動警察パトレイバー』や押井守アニメでオタク連中にはおなじみ、川井憲次のドライな劇伴。


 主人公青年がたどる体験も尋常ではない。ゲロゲロモンスターの事件とは別に、警視庁レスキュー部隊からナゾの特務部隊へと転属。
 堀内正美演ずる特務機関の無表情な痩身オジサンといい、黒服の従者たちといい、ヒト気のない待合せ場所での、拉致同然のボックスカーへの連れ込み。アイマスク強要。
 目覚めると、そこは『仮面ライダー』初作(71年)#1ばりの、暗がりとライトのコントラストも鮮やかな手術台。しかも拘束されている!


 湿った人間のドラマ・会話劇中心ではなく、あくまで怪事件のスリルとサスペンスとサプライズを主体に、登場人物をコマ的に、従(のリアクション)として描いていくストーリー。
 ハイブロウかもしれないが、人間ドラマとして複雑玄妙な心情描写があるワケではない、不思議ビジュアル体験番組ともいえるので、幼児でも見れないことはないだろう。


 女性キャラも、従来の子供ウケしそうな健康的なアイドル系キャラがひとりもいない。
 険しい女性副隊長といい、主人公のカノジョといい、みながみな不健康そうな、もといスレンダーで低血圧で朝が弱そうな(笑)都会的な女性陣ばかりだが、それがまた本作にはマッチしているともいえるだろう。
 というか、さような作風にするための一助として、意図的にキャスティングしたものでもあろうけど……。


 ラスト、主人公の危機にやっと出現したウルトラマン。主人公とは別の、ワイルド風来坊が登場する新機軸。しかし巨大怪獣はいないので、中途半端な、しかしあのシチュエーションでは効果的な10メートルサイズほどでの登場。そしてパンチ一発のみの一点豪華主義的な活躍。
 安息や弛緩した空気はポイントに留め、緊張感を基調トーンとして維持しつづけ、ナゾをいくつか感じさせて次回へのヒキとする……。

 
 シリーズ最マイルドだったやもしれない前作『コスモス』とは一転した、ハードでシリアスな硬派路線。
 コレはもう『セブン』や『レオ』どころではない。シリーズ最高の硬派路線の登場ともいうべきだろう。
 こう云うと、スレ過ぎて1回転してしまったマニアは、子供に向いていない、また今さらな、マニアに顔を向けただけの作品になってしまうことを危惧するだろう。


 そのことは正しいともいえるのだが、しかしもっと腑分けをしてみたい。
 平成『ウルトラ』3部作は大雑把に平均化するならば、マニア界草創期のハード&シリアス志向を、基本的には疑わないトライブ(種族)たちによって作られた作品群だった。
 対するに『ネクサス』は、ハード&シリアス志向のマニアからはキラわれることが自明の『コスモス』を、確信犯で作った渋谷浩康プロデューサーが、前作との差別化というバリエーションとして、コレまたあえて作ってみせた、相対化・客観視ができている『ウルトラマン』であることに、企画の次元でのアドバンテージは認めたい。
 が、商業作品としての成功は、政治や軍事同様、結果だけで図られるので、この路線が子供に受容されなければ、制作者の企画に対する内心の相対化に、何もイミはなくなるが(笑)。


 特撮イケメンブーム的な文脈からの危惧でいえば、都会のトレンディスポットやオシャレな小物という美術・背景面で、夜や怪物が主体となるであろう本作は不利になるかもしれない。
 また映像面では、#2の予告編などを見ると、『サンダーバード』(65年)や90年代合体ロボアニメ『絶対無敵ライジンオー』シリーズ(91〜93年・エルドランシリーズ)ばりに、座席ごと上昇していく(戦闘機に搭乗するための)、いわゆるワンダバが描かれている。
 そのこと自体はテーマ&ドラマには貢献しないことなのだが(笑)、様式美的カッコよさ&盛り上げとしては、とても重要なことである。


 このへんは、テーマ&ドラマ至上主義的な特撮評論の文脈では、声高に言説化されてこなかったことであり、もちろん筆者とて無罪ではなく反省すべきことなのだが、コレも大ワクで肯定しつつ、細部では批判したい。
 映像がクラいこと自体は演出のねらいなのだからけっこうだが、ヒトの顔なり背景なりメカのエッジ(端)なりにもう少しライトを当てて、映像的にもうちょっとメリハリやコントラストを付けるべきではなかったろうか? と。
 メインターゲットである幼児は、あのクラい画面をパターン認識しづらいだろうと推測する。そーいう微妙な差異こそが、子供番組としての命運を分けると見るのだが。


 ……まだ云いたいことはあるが、紙幅の都合でとりあえずここで筆をおく。#2以降にも注視していきたい。

(了)


(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2005年準備号2』(04年10月3日発行)〜『仮面特攻隊2005年号』(04年12月30日発行)所収『ウルトラマンネクサス』合評①より抜粋)



『假面特攻隊2005年号』「ウルトラマンネクサス」関係記事
バンダイ ウルトラマンフェスティバル2004
  ウルトラライブステージ7 第2部「N」〜もう1つの光〜(レポート・T.INUTSUKA)



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朝日新聞 1973年10月13日(土) 読者欄「声」 怪獣退治はスポンサーから(横浜市・自由業44歳)
スポーツニッポン 2004年7月21日(水) 14作目ウルトラマン「ネクサス」は色が変わる!


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ウルトラマンネクサス#1「Episode.01夜襲 ―ナイトレイド―」

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ウルトラマンネクサス最終回 〜中後盤評 #37「Final Episode 絆 ―ネクサス―」

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ウルトラマンネクサス 〜音盤評「ウルトラヒーローVS怪獣軍団! 大決戦ストーリーCD」

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