假面特攻隊の一寸先は闇!読みにくいブログ(笑)

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DVD付きビジュアルブック ウルトラマンレオ1974 〜&『レオ』私論!


『ウルトラマンメビウス』#34「故郷のない男」 〜レオ客演!
[ウルトラ] 〜全記事見出し一覧
『ウルトラマンレオ』 〜全記事見出し一覧

CSファミリー劇場ウルトラマンレオ』放映終了間近に連動して、「レオ」記事集中UP!
09年5月からCSファミリー劇場ザ・ウルトラマン』放映と連動して、「ザ☆ウルトラマン全話評」も毎週連載UP予定!
ファミ劇で「ザ★ウルトラマンのすべて」(ゲスト・伊武雅刀!……とHP等で告知されてましたが、実際には声優・柴田秀勝氏でしたがイイ内容でした……)が、5/3(日)10:30、深夜5:30、5/5(火)20:00で放映終了!)

DVD付きビジュアルブック ウルトラマンレオ1974


金田益美・編/ジェネオン エンタテインメント/08年09月26日発売)


(文・久保達也)
(08年12月執筆)


 “あの時代のムード”を満載した本格ビジュアルブックとして、ジェネオンエンタテインメントから刊行され続けた、ウルトラシリーズの「レア映像&音声」収録のDVD付写真集の第6弾、遂に『ウルトラマンレオ1974』がこのほど発売された。


 思ったほど“あの時代のムード”が再現されていないなあ、とか、「どこでも見られる写真のオンパレード」だとか、とかくこのシリーズに対しては辛辣な評価を与えてきた筆者であるが、悔しいけど結局また買っちまったぜ。


 まあ、そもそも『ウルトラマンレオ』(74年)を単独で扱った書籍自体珍しいから、今回はいやでも買わざるを得なかったのであるが、果たして今回の中身は如何に?


 お〜っ、真夏竜が演じるおおとりゲンの単体スチールはこれまであまり見たことがないような。
 黒の空手着で気合を入れるポーズ、
 第4クール『恐怖の円盤生物シリーズ!』撮影時のものと思われる、紺のGジャン姿でレオのファイティングポーズのように構えた姿(左手を開いて前方に突き出し、右手を拳にして構えたポーズ)、
 紺のTシャツにジーンズ姿でMAC(マック・『レオ』で活躍した防衛チーム)ナイフを右手にポーズを決めた姿など……


 余談であるが、前作『ウルトラマンタロウ』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)の主人公・東光太郎(ひがし・こうたろう。演・篠田三郎)が初期話数で見せた普段着姿は妙にピンク色が多かったのであるが、それに比べ、おおとりゲンは黒や紺など、暗目の色調の衣服を着用していることが多かったように思う。
 これはそのまま作品のカラーを象徴しているかのようであり、こうした部分にまで仮に色彩設計が計算し尽くされていたのであれば見事である。



 “あの時代のムード”を最も感じることができるのは、やはり70年代に円谷プロと独占契約を結んでいた二子玉川園で開催されていたイベントの様子を撮らえた一連である。
 『レオ』放映直前の74年3月9日から開催された『怪獣ランド二子玉川園 ウルトラ怪獣博 ウルトラマンレオVS.怪獣軍団』の宣伝用ポスターは、蝉(せみ)怪獣キングゼミラ、しんきろう怪獣ロードラ、百足(むかで)怪獣ムカデンダー、さぼてん超獣改造サボテンダーが暴れ回る中、新ヒーロー・ウルトラマンレオが颯爽と登場した姿が描かれている。


 小学館の学習雑誌は毎年3月初めに新学年の4月号が発売されるため、4月にスタートする新番組の事前情報が掲載されることになるが、それと併せ、こうしたイベントで一早く新ヒーローの姿をお目にかかることで、子供たちがいよいよ始まる新番組に対し、期待に胸を膨らませたであろうことは想像に難くない。
 というか、筆者自身イベントの経験はなかったが、学習雑誌の新番組事前紹介記事には相当刺激されたものだからなあ……それが動いている姿を見た日にゃあ、そりゃあもう大騒ぎさ!


 毎週日曜日や祝日に行われていたという盛大なパレード……
 少女たちのブラスバンドを筆頭に、自転車に乗った子供たち、特殊車両マックロディー、マックカー、ウルトラマンレオとMAC隊員、ウルトラの父ウルトラの母ウルトラ兄弟
 さらに『ミラーマン』――71年・円谷プロ、フジテレビ。ちなみに『レオ』がスタートした74年4月には、『ミラーマン』のバトルシーンの短縮編集分と、アトラクション用の怪獣を使用した新規撮影分で構成された『ミラーファイト』が東京12チャンネル(現・テレビ東京)でスタートしている――に『ジャンボーグA(エース)』(73年・円谷プロ毎日放送)までも!
 子供たちが次々に握手を求め、追いかけ回し、やはり大騒ぎだったようだ。


 ちなみにこの際パレードに参加しているMACの隊員は青島(演・柳沢優一)、黒田(演・黒田宗)、桃井(演・新玉恭子)と思われる女性
 ――なんか顔が違うような。白川(演・三田美枝子)でないことは確かだが……ひょっとしてイベント用に綺麗どころを特別に隊員に仕立てたのか?――
 であるが、劇中ゲンをいびりまくっていた青島と握手している子供がいるのには笑える。
 多分放映前の時期のものかと思うのだが、そうでなければ隊員服姿であればとりあえず誰でもいいのか? それとも案外子供の方が冷静にドラマを観ていられるのかもしれない?
 筆者なんかはゲンを執拗に責めるMACの連中に対し、「なんでそこまで!」と思ってしまうのであるが(笑)。


 また余談になってしまうが、ベレー帽にミニスカワンピースにブーツ姿という、MACの女性隊員の制服は、正直筆者も隊員服というよりイベントコンパニオンのコスチュームに見えてしまい、機能性にはやや欠けると考える。
 しかし、だからこそ、筆者的には「萌え〜っ!」(最早(もはや)死語……)であり、『ウルトラマンフェスティバル』などのライブステージの司会をするお姉さんには、ぜひMAC女性隊員のコスプレをお願いしたいのだが。
 つ−か、CSファミリー劇場『ウルトラ情報局』でMCを担当している鈴木繭菓(すずき・まゆか)になぜこれを着せないのか!? 閑話休題


 (後日編註:なんと『ウルトラ情報局』ウルトラマンレオ編最終2編(09年3月&4月号・まとめ録りか?)のエンディング・アイキャッチ部分で、ボクらの繭菓ちゃんがMAC女性隊員服姿に扮装!・笑)


 森永製菓協賛による、エンゼルステージで催された怪獣決闘ショーの壇上には、中央にレオとMAC隊員を配し、ウルトラの父と母、ウルトラ兄弟ミラーマンとジャンボーグエースがズラリと勢揃い! そりゃもう大騒ぎだ!
 そして当時円谷音楽出版に在籍し、円谷プロ作品では 『レッドマン』(72年・日本テレビ)、『トリプルファイター』(72年・TBS)、『ファイヤーマン』(73年・日本テレビ)、『ジャンボーグA』、そして『SFドラマ 猿の軍団』(74年・TBS)などの主題歌を歌唱した子門真人(しもん・まさと)が真夏竜に代わり、『ウルトラマンレオ』の主題歌を披露した様子も写っている。
 76年に『およげ! たいやきくん』で大ヒットを飛ばしたころの、アフロヘアに眼鏡姿というレゲエというかヒッピーみたいな不健康そうな(失礼・笑)印象とはかなり異なり、実に若々しく健康的な姿であり、これもまた貴重な一枚ではある。


 なお蛇足ではあるが、『レオ』第9話『宇宙にかける友情の橋』星獣ギロ編において、この『ウルトラ怪獣博』はロケに使用され、当時の様子を伺い知ることのできる貴重な映像資料ともなっている。



 カラーページにはレオにMAC隊員のコスチューム、MACのメカニック類のデザイン画も掲載されているが、ミニチュアには十分に表現しきれなかったとはいえ、戦闘機マッキー2号やマッキー3号、潜水艇マックシャークの流麗なボディラインは未来感覚に溢れており、実に美しいものがある。


 放映時からはかなり先の、近未来が舞台だったはずの 『ウルトラマン』(66年)『ウルトラセブン』(67年)に登場するメカ群が、デザインとしては比較的オーソドックスな出来であったのに対し、放映当時の「70年代」が舞台だった『タロウ』のZAT(ザット。『タロウ』で活躍する防衛チーム)やMACのメカの方が未来感覚に溢れているというのは実に面白いものがある。


 確か『ファンタスティックコレクションNo.20 ウルトラマン 特撮ヒーローのすばらしき世界』(朝日ソノラマ・80年5月20日発行 〜初代『ウルトラマン』の単独ムック)の総論だったか、「登場人物の名前がカタカナというだけで『ウルトラマン』『ウルトラセブン』には不思議な未来感がある」なんて記述があったかと思うが、一理あるけど実に単純な思考だよなあ(笑)。
 そういう思考回路だからZATやMACのメカデザインや隊員服や基地の電飾いっぱいの内装が「おもちゃ」にしか見えなかったと思うのだが。まあ、いまさら頭の固いオッサン(筆者もその年齢に達してしまったが……)にケンカ売るつもりはないのでこの辺でやめときますが。


 ちなみにMACメカの名称は企画書においてはマッキー1号がジャンボカンガルー、マッキー2号がスペースゼブラ、マッキー3号がスカイシャーク、マックロディーはパンダジュニア、マックヘリコプター――第27話『日本名作民話シリーズ! 強いぞ! 桃太郎! 桃太郎より』において、鬼怪獣オニオンの眼前に大きな桃をブラ下げるために登場したくらいか?――はモスキーターだったらしい。
 なんともセンスの良さを感じさせる素敵なネーミングであるが、これはZATメカの名称がスカイホエール、スーパースワロー、コンドル1号、ウルフ777(スリーセブン)、ラビットパンダ、ドラゴン、アイアンフィッシュなど、動物の名前をもじっていたことの踏襲であるのだ。



 圧巻なのが、小学館『小学二年生』74年6月号掲載『だれも知らなかったウルトラマンレオ物語』のカラー再録である。
 獅子座L77星の王様がまだ幼いレオと弟のアストラを両腕に抱えた挿し絵は、当時小学二年生だった筆者の記憶の片隅に残像がはっきりと残っており、これには“あの時代のムード”が一気に甦った!


 『巨人の星』(68年・東京ムービーよみうりテレビ)で星一徹(ほし・いってつ)が息子の飛雄馬(ひゅうま)に課した試練のごとく、レオとアストラもL77星の王である父に切りたった崖から突き落とされたり、流れの早い川に投げこまれたり(笑)して鍛えられ、立派な若者になった。
 全宇宙の平和を守る人になるため、レオは武者修行として宇宙の旅に出るが、その留守を狙い、サーベル暴君マグマ星人率いる怪獣軍団
 ――双子怪獣レッドギラス・ブラックギラス以外はミサイル超獣ベロクロン、古代超獣カメレキング、一角超獣バキシム、怪魚超獣ガランとナゼか『ウルトラマンA(エース)』(72年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070430/p1)の超獣ばかり。絵を担当した梶田達二画伯はよほど超獣がお好きだったのか?(資料がそれしかなかった?) それにしても、先生の描く怪獣画はいつ見ても素晴らしいです!――
 がL77星を襲う! レオは急いで宇宙の旅から引きかえし、怪獣軍団に立ち向かおうとするが、その行く手をアストラが遮った!



アストラ「レオ、L77星は全滅だ。この場はひとまず逃げのびて、新しいL77星をつくるんだ!」
レオ「いやだ、僕は今戦う!」
アストラ「レオ、わかってくれ。死んでいったみんなが、君に望みをかけているんだ。ここで君が死んでしまっては、一体誰がこの恨みを晴らすんだ。僕はこんなに傷をうけてしまって、もうだめだ。マグマ星人たちは君を捜している。僕が君の身代わりになって戦おう。そのすきに逃げるんだ!」


 手を握り、じっと互いを見つめあうレオとアストラ……


アストラ「レオ、僕はたとえ死んでも、君の心の中でずっと生き続ける。いつまでも一緒だ。さようなら、レオ!」


 何十匹もの怪獣軍団に向かって飛び出していき、大声で叫ぶアストラ!


アストラ「僕がウルトラマンレオだ!」



 泣けるわ、これ……


 ここまで具体的に映像化されることはなかったが、小学館の学習雑誌では、ウルトラ兄弟のようにM78星雲ウルトラの星出身ではない、全く新しいウルトラマンであるレオ、そして彼の故郷・獅子座L77星を「謎と神秘に包まれた」存在であるとして、独自の記事構成で徹底的に煽りたてた上で、マグマ星人の侵略、L77星の最期(さいご)、弟・アストラの秘密を完全なオリジナルストーリーで独占公開することで、レオに悲劇のバックボーンを背負わせることに成功したのである!


 それは70年代後半のケイブンシャの『ウルトラマン大百科』(78年・ISBN:476691564X)などでも紹介され続けて、30年を経て「月刊マガジンZ」連載のウルトラ一族の前日談の漫画『ウルトラマンSTORY 0(ストーリー・ゼロ)』(05年)のウルトラマンレオ編(ISBN:4063492931ISBN:4063493369ISBN:4063493822)のストーリーの原型になるほどの大きな影響を現在に至るまで与えている。
 近年でいうならネット配信された『ウルトラマンメビウス外伝 ヒカリサーガ』(06年)に相当するものを低学年誌で当時100万部前後を誇った学年誌で展開していたわけであり、これぞメディアミックスなのだ!



 モノクロページにおいても、小学館の学習雑誌に掲載された独占記事はふんだんに縮小復刻されており、「どこでも」「カラーで」見られる写真の羅列なんかまったく目に入らない(笑)。
 “あの時代のムード”を感じるにはこれだけで十分に事足りるのである!


 『小学二年生』74年4月号掲載『これがウルトラマンレオだ!』においては、ウルトラ6兄弟が「ウルトラマンレオの顔」「ウルトラマンレオのからだ」「ウルトラマンレオのうでと足」を自分たちのものと比較し、「謎と神秘に包まれた」新ヒーローについて考察しているが、



 「まだくわしくはわからないが、頭のとさかはすごい武器になりそうだ。あんなのでやられたら怪獣もいちころだぞ」


 「ぼくは足が短かったのでキックがきかなかった。レオの足がうらやましいよ」



 と、ウルトラマンエースのコメントがいちいち笑える。しかし後者はスーツアクターに随分と失礼だぞ(笑)。


 それにしても、レオは確かに鋭角な頭部を切断技として用いることはなかったな。意外といえば確かに意外だが、モロボシ・ダンウルトラセブンの猛特訓を受けることによって必殺技を編み出すという戦闘スタイルからは、そのような安易な技を描くことはできなかったのか。
 せっかくセブンが師匠なのだから、アイ・スラッガーのように頭部をブン投げて切断技として用いる方法もあったかと思うが(絵として変か?・笑)、せめて空中から猛スピードで怪獣に突撃して頭部で切り裂く、なんて技は見たかったように思えてくる。



 『小学三年生』74年6月号『ウルトラ大企画 レオのなぞ大公開! ☆レオのなぞをぜんぶ教えちゃうぞ!!』は、視聴者の子供たちが『レオ』を観ているうちに感じた素朴な疑問について、全て答えてくれるありがたい企画であるが、その中で注目してしまったのが……



Q:なぜウルトラ族はレオのことを知らなかったのですか?
A:レオの星L77星は獅子座の大流星群にかこまれている。そのため、ほかの星からの電波がみんなはねかえってしまい、L77星のあることはだれも知らなかった。


Q:セブンのカプセル怪獣はどうなるの?
A:ウルトラアイがこわれていると、カプセル怪獣も使えない。カプセル怪獣はアイのエネルギーを使っているからだ。


Q:セブンのウルトラアイは直らないの?
A:今ウルトラの国では、ウルトラアイを新しく作ろうとしているが、しばらくは作るのはむりなようだ。



 ほとんど「講釈師、見てきたような、嘘を云い」の世界だが(笑)、子供たちの真剣な疑問に対し、ここまでハッタリをきかせて強引に納得させてしまっていた、当時の小学館学年誌の編集部には本当に頭が下がる思いである。
 昨今の小学館『てれびくん』や講談社の『テレビマガジン』など、製作側の設定をただ引用するばかりで(あるいは円谷プロの縛りが強いのか)、こうした独自性を放てないようでは、果たして編集部(今や契約社員やバイトや下請けの編集プロダクションが多いのだろうが)が本当に番組を真摯に応援しているのか、まったく伝わらないのではなかろうか。改めてその姿勢が問われるところである。



 これらのQAを読んでいると、せっかくモロボシ・ダンがMAC隊長として出ているのだから、やっぱりいつの日か傷が治ってセブンに変身して戦ってほしい、と願う子供たちは、当時の筆者も含め、相当数にのぼったと考えられる。
 良くも悪くもヒーロー性ある娯楽イベント編より人間ドラマを重視した作劇のせいか、『レオ』本編ではそのような話は実現しなかったが、内山まもる先生が学年誌で連載していた漫画版『ウルトラマンレオ』(asin:409108575X)では、1分間だけウルトラの父からエネルギーを送ってもらってダン隊長がセブンに変身するというエピソードがあった。
 『小学二年生』74年8月号『ウルトラマンレオひみつ大作戦 ついに出た!! レオのセブン生きかえり作戦だ!!』なども、そうした反響を受けての企画だ。



 「セブンの正義を愛する心と勇気がぼくはたまらなくすきだ。だがセブンは変身できない! こんな残念なことってあるか! ぼくはセブンとともに戦いたい。どうしたらセブンは生きかえることができるのか。それをじっくり考えよう!」



 といったおおとりゲンの独白、そして「昭和42年10月1日に地球に来た」に始まり、「宇宙警備隊でかつやく」「新マンをたすけた」「エースにわざを教えた」「ヒッポリト星人にやられた」「マグマ星人、レッドギラス、ブラックギラスにやられる」に至るまでの戦歴を簡単に振り返った『ウルトラセブンひみつアルバム』なんかは当時目にした記憶が鮮明にあり、なんとも感慨深かった(涙)。


 ここでもまた『ウルトラアイかいぞう大作戦』として、レオが壊れたウルトラアイをウルトラの国に持っていき、直すのに必要な鉱石をウルトラ兄弟が拾い集め、ウルトラの父が修理するという、なんともテキトーな案が披露されているが、結局実現することはなかったとはいえ、子供たちのはかない夢に、こうしたハッタリをきかせてかすかな希望を与えてくれた小学館編集部には、やはり敬服せずにはいられないのである。



 一方、幼年誌の『よいこ』では特写を用いたオリジナルの写真物語が掲載されていたようであるが、74年9月号にはなんとニセウルトラマンレオが登場! 頭部前面と目の周囲に黒い縁どりをしたニセウルトラマンレオが「じゅんちゃん」をいじめて暴れ回る。
 そこに本物のレオが登場! レオはニセのレオを空手でやっつけ、「やっぱり本物のレオがつよいや」と、じゅんちゃんはレオと握手をしました。めでたし、めでたし(笑)。



 逆にさすがに『小学六年生』ともなると、オリジナルの独占記事は掲載されず、『番組ガイド』として当月放映分のあらすじ紹介のみにとどまっていたようであるが、サブタイトルの表記が実際のものとは異なるものが存在する。



第18話『吸血鬼! こうもり少女』
    →『東京をおそったこうもり』
第19話『よみがえる半魚人』
    →『生き返った半魚人』
第21話『北の果てに女神を見た!』
    →『宇宙船に乗った女神』
第31話『地球を守る白い花 花咲か爺さんより』
    →『ねむり花を咲かせるおじいさん』
第32話『さようならかぐや姫 竹取り物語より』
    →『弥生は月の王女さま』
第33話『レオ兄弟対宇宙悪霊星人』
    →『まっ赤な怪奇いん石』
第34話『ウルトラ兄弟永遠の誓い』
    →『帰ってきたウルトラマン登場』


※第18〜21話は『見よ! ウルトラ怪奇シリーズ』、第31、32話は『日本名作民話シリーズ!』と表示。



 単純に考えればシナリオタイトルということになるのだが、雑誌の締切までに情報が間に合わず、小学館側で考案したタイトルなのか、はたまた平成ライダー諸作品のように、シナリオタイトルとは別に新聞のテレビ欄用のサブタイトルが用意されていた例もあることから、円谷側から雑誌掲載用に提供された仮のタイトルという見方もできる。
 真相の解明が待たれるところである。



 第22話『レオ兄弟対怪獣兄弟』が放映された9月、
 第26話『日本名作民話シリーズ! ウルトラマンキング対魔法使い 一寸法師より』が放映された10月、
 第33話『レオ兄弟対宇宙悪霊星人』、第34話『ウルトラ兄弟永遠の誓い』が放映された11月、
 第36話『飛べ! レオ兄弟 宇宙基地を救え!』、第38話『決闘! レオ兄弟対ウルトラ兄弟』が放映された12月、
 第39話『レオ兄弟ウルトラ兄弟勝利の時』、第40話『恐怖の円盤生物シリーズ! MAC全滅! 円盤は生物だった!』が放映された1月……
 と、『レオ』は中盤以降、月1回以上派手なイベント編を連打し続けていた。


 当然ながら小学館の学習雑誌は毎月これらの大特集を組むことができたわけであるが、円谷プロ小学館が強い信頼関係に結ばれ、連係プレーがとれていた証でもある。
 特にアストラとウルトラマンキングの初登場は共に各月の第1週のことであり、月初めに発売された学年誌で視聴者が事前情報を得て間もなく、新ヒーローの姿にお目にかかることになったのである。
 完全に「狙って」やってたわけなのだ(?)。円谷もこの当時は商売うまかったのになあ(笑)。


 逆に云うと5〜8月の通称・特訓編がそのストイック(禁欲的)な作りゆえに、偏り・癖はあってもドラマ的・テーマ的に非常な高みに達したことを認めるにやぶさかではないのだが、1〜2ヶ月に1回くらいはセブンが一時的に復活したりウルトラ兄弟ひとりひとりが助けに来てレオが栄光の兄弟たちに認められたりお墨付きをもらう、子供たちが喜ぶ娯楽活劇イベント編はあった方がよかったかもしれないが。



 レオとアストラはふたごの兄弟。それなのに、顔やからだがちがっている。どうしたんだ。


 「にいさん、聞いてくれ。ぼくにはあれから、いろんなことがあったんだ……」


 アストラはマグマ星につかまっていたのだ。殺されずにくさりでつながれ、どれいのようにはたらかされていた。
 「くそっ、いつかきっと、にげだしてやる」


 そんなある日、なぞの男があらわれ、アストラをたすけ出した。アストラはひっしににげ出した。
 ぼろぼろになったアストラは、なぞの男に改造された。強さをばいにして、生きかえったのだ!
 せいぎのいかりにもえるアストラになぞの男はいった。
 「ちきゅうのレオをたすけに行け!」


 アストラをたすけたなぞの男とはいったいだれだ。
 そのひみつは小学二年生11月号で大はっぴょう!!


(『レオの弟 アストラのひみつ』小学館『小学二年生』74年10月号掲載)
 



 ★9月6日(金)のテレビで、レオとアストラは短い間話しあう。そのときの話はこれだ。



レオ「生きていたのか、アストラ……」
アストラ「レオにいさん……」
レオ「おまえのむねのアストラサインを見たときは、おどろいたよ。あのほのおの中で死んでしまったとばかり思っていたからな」
アストラ「ぼくも、やられたと思うと、その場にきぜつしちゃったんです。気がついたら、マグマ星のろうやの中で……」
レオ「そうか、すまない。おまえにばかり苦しい思いをさせて」
アストラ「なにをいうのです。にいさんが地球を守り、宇宙平和のために活躍してくれていると思うと、心強かったですよ」
レオ「どうして地球へ来たのだ」
アストラ「ぼくをたすけてくれた男が、にいさんのピンチを教えてくれたのです」
レオ「その男は、いったいだれなんだい」
アストラ「ぼくにもよくわからないんです。ただ、とても強くてやさしい人ですよ……にいさん、ぼくはもう行かなくっちゃ」
レオ「どこへ行くのだ」
アストラ「ぼくは宇宙パトロールをしなければならないのです。なぞの男との約束です」
レオ「そうか、それではしかたがない。また会おう」
アストラ「さようなら」


 (そういうと、アストラは去っていった)


 なぞの男はだれだ!?


 ★小四11月号では、アストラをたすけたなぞの男のひみつをさぐる! 楽しみに待とう!


(『よかったな、また会えて』小学館『小学四年生』74年10月号)
 



 う〜ん、あの僅かの間にこんな長い会話を(笑)。
 第22話の時点では、まだウルトラマンキングの存在については劇中では一切語られてはいないのだが、小学館の学習雑誌においては新ヒーロー・アストラの登場に絡め、早くもキングの存在を「なぞの男」として先行発表。
 読者の期待を徹底的に煽りたて、翌月まで関心を持続させることに成功したのである!



 74年11月号の各誌では遂にウルトラマンキングがその全貌を現した!


 『小学二年生』74年11月号『ウルトラ大特集 ウルトラマンキングのすべて』は恒例の『ウルトラマンキングかんぜん図かい』
 (顎にたくわえた豊かな髭は「40万さいいじょうにならないと、はえてこない」のだとか。ちなみに「からだがむらさき色なのは、40万さいいじょうだからだ」そうだ・笑)、


 第26話の紹介である『ついにとう場! ウルトラマンキング』、
 小学館のオリジナル設定による解説『ついにわかったキングの6大ひみつ』
 (「ゾフィーのおじいさんといううわさもある」との記述に注目! 個人的には公式設定にしてほしい)、


 などで構成された、徹底大特集であった!


 (編:キングの年齢は70年代後半以降には20万歳に統一される。27万年前にウルトラの国の太陽が爆発して人工太陽のディファレーター光線でウルトラ一族が超人化した設定よりも年長となり矛盾するためだろう。しかし映画『新世紀ウルトラマン伝説2003』(03年)ではキングはいきなり30万歳の誕生日を迎えていたが……、今から10万年後の出来事であろうか?・笑)


 アストラ、そしてウルトラマンキングのデザインは、MAC基地やマッキー1号、登場怪獣や星人も担当した現在も活躍される美術の大沢哲三氏であったが(ちなみにレオのデザインは『ゴジラ』初作(54年)から平成ゴジラシリーズまで関わり、第2期ウルトラでは本編&特撮美術を兼任してきた鈴木儀雄(すずき・よしお)氏が担当)、特にキングの王冠を彷彿とさせる頭部、顎に見られる髭状の装飾、勲章を思わせるバックル、ウルトラマント(『ウルトラマンキングかんぜん図かい』では「光の糸であんである」と紹介・笑)などには途方もないほどの神秘性が感じられる。
 とかく第1期ウルトラ至上主義のオッサンたちは、第2期ウルトラのヒーローたちに対し、「神秘性に欠ける」「擬人化された」などと酷評したものであるが、このキングのデザインや設定に神秘性を感じなかったのだとすれば、それはもう「感受性の欠如」というよりほかにない。



 新年を迎え、第40話を紹介した各誌では「MACぜんめつ!!」がかなりセンセーショナルに扱われているが、驚くべきことに、全滅することによって初めてMACは小学館の学習雑誌でまともに扱われることとなったのだ(前作『タロウ』のZATなどは扱われてきた)。
 劇中におけるMACの存在の希薄さは作品を視聴すれば誰でも感じることかと思うが、おおとりゲンとモロボシ・ダンの師弟関係、そしてゲンとトオル、カオル、百子(ももこ)、猛(たけし)らスポーツセンターの人々との交流を主軸に描くために、MACの隊員たちの個性が確立できなかったのではなく、かなり意図的に小さく描かれてきたということが、この事実からも傍証されるというものだ。



 なお、放映終了間近となったこの時点においても、『小学二年生』75年2月号『ウルトラひみつ特集 レオ! 大へんしん』――余談だが、同時期放映の『仮面ライダーX』(74年)では、第28話『見よ! Xライダーの大変身!!』以降、『仮面ライダーV3』(73年)の主人公・風見志郎にマーキュリー回路を取りつけられて強化された神啓介(じん・けいすけ)がそれまでの「セッタップ!」から「大変身!」と叫んで変身するようになった――や、『小学三年生』75年2月号『ウルトラ大企画 新レオ強化作戦』などにおいて、新たな敵・ブラック指令が操る円盤生物に対抗するため、晴れてウルトラ兄弟の一員と認められたレオがウルトラの国で大特訓を重ね、心臓にウルトラ回路を組みこまれて強化され、「改造新レオ」として生まれ変わったというオリジナル記事が掲載された。
 あくまで鍛えた肉体を武器とする『レオ』に「改造」という概念は似つかわしくないが(笑)、TBSの橋本洋二プロデューサーの意向で人間ドラマや社会派テーマ性を重視する第2期ウルトラに欠けていたファクターは、このような良い意味での稚気あるギミックやアイテムを前面に立てることだったかもしれない。



 3月発売の4月号で新学年となる都合上、小学館の学習雑誌では第4クール『恐怖の円盤生物シリーズ!』を完全にフォローすることはできなかった。
 よって『小学三年生』75年3月号で、ひと足早く『レオ全記録 さようならウルトラマンレオ保存版 レオの1年間をふりかえる!!』と題したメモリアル記事が掲載されている。



*4月  セブンがやられた!!
*5月  ゲン、MACにはいる。
*6月  ゲン、とっくんをうける。
*7月  レオ、光線わざを使う。
*8月  怪奇怪獣、つぎつぎとあらわれる。
*9月  アストラ登場!!
*10月 ウルトラマンキング登場!!
*11月 セブンガーあらわれる。
*12月 レオ兄弟対ウルトラ兄弟
*1月  MACの全めつ。
*2月  レオは、たたかった。
*3月  そして、今、また旅に出る……。



 一年間の戦いの名場面と怪獣図鑑の大特集で締めくくられた記事をもって、『レオ』のみではなく、ウルトラマン関連記事自体が小学館の学習雑誌から一旦姿を消すこととなる。
 最後まで番組をフォローしたのは、同じ小学館の『週刊少年サンデー』に連載された『サンデーテレパックコーナー・ウルトラマンレオ』であった。
 特に第50話『レオの命よ! キングの奇跡!』を紹介した75年4月6日号(第14号)の『こぼれ話』に、筆者的には思わず大注目してしまった。



 今回登場するブニョは、名まえのとおり、ブニョブニョしていて、くらげが変身したみたいなヤツだ。
 これは、お酒のおかずからヒントをえたんだよ。
 特撮監督の矢島さん(筆者注・矢島信男氏)と、デザイナーの大沢さん(筆者注・大沢哲三氏)が、つぎはどんな円盤生物にしようかと、お酒を飲みながら、話していた時に、出てきたおかずが、くらげだったんだって。
 うまくやったねえ。



 偶然の産物が大成功をおさめた典型的な例であるが、名バイプレーヤー(脇役)・蟹江敬三(かにえ・けいぞう)が役者魂を炸裂させた、狂気に満ちた演技によって、見事に命を吹きこまれた円盤生物・星人ブニョは、CSのファミリー劇場で放送された『ウルトラマンレオのすべて』にゲスト出演した真夏竜が、最も印象深い怪獣として挙げるほどの大傑作となったのだ!



 最終回の手前に至っても、そのような力がみなぎった作品が『レオ』からは続出した。そのパワーの源は果たしてどこにあったのか。
 オイルショックによる製作費の高騰、『マジンガーZ』(72年・東映アニメーション、フジテレビ)や『ゲッターロボ』(74年・東映アニメーション、フジテレビ)に代表される、スーパーロボットアニメの台頭による人気の低迷、視聴率の低下など、74年は特撮ヒーロー作品に対し、逆風が吹き荒れた年だった。
 円谷プロもまさに土壇場に立たされた一年であったのだ。


 しかし、だからこそ、当時から80年前後にかけてはSF性がないと第1期ウルトラ至上主義者たちに酷評されていたのに、今見返すとヘビーで見応えがあると再評価する人が増えてきた、こうした力量あふれる作品が生み出されたのではないか。
 レオ自身、L77星の崩壊によって故郷も家族も失い、円盤生物シルバーブルーメ襲撃のために、師匠のモロボシ・ダンも、MACの仲間たちも、カオルも百子も猛も失ってしまった。そうした過酷な運命にあったからこそ、レオはあんなに強くなれたのである!
 逆境にめげず、果敢に戦い続けるレオの姿は、まさに当時の『レオ』の製作スタッフそのものの姿だったのだ!



 いま君たち小学生でウルトラマンを知らずに育った人はいないでしょう。あれほど人気のあったウルトラマン。しかし石油ショックがきました。怪獣がビルをこわしたり、ガソリンをどんどん使うことはむずかしくなったのです。それでなくても特撮は、真夏の海辺に雪を降らしたり、とてもお金がかかるのです。視聴率も下がりました。こういうテレビ局のいろいろの事情から、一応、打ち切ることにしたのです。


 小学館では、編集者たちの間でウルトラ専門のチーム、MAT(マット)を作っていました。隊長の上野明雄さんは、


 「ウルトラで育った子どもたちは、おとなになってお酒を飲めば、ウルトラマンの歌を歌うようになるかもしれません。みんなウルトラマンから教わった、理想主義を忘れないでしょう。ただ、ウルトラマンは、いつも立派で正しいので、見ている方が、少々くたびれてしまったのかもしれません」


 といっています。


 モロボシ・ダン森次晃嗣さんは、


 「うちの子は、私に、ずっとウルトラマンをやってほしかったみたいです」


 と別れを惜しんでいます。


 怪獣の中にはいっていた河合徹さんは、


 「怪獣がたおされるのは運命だが、一回くらい勝ってみたかった」


 と残念そうです。


 円谷プロのプロデューサー・熊谷健(くまがい・けん)さんは、ウルトラマンに青春をかけてきたといわれる人ですが、


 「正義とはなんだ。しあわせとは、勇気とはなんだ、ということを、きっと子どもたちはわかってくれたでしょう。ウルトラの星も、もう見せてしまったので、新しく神秘性のある星をさがして、もう一度ウルトラマンに帰ってこさせるつもりです」


 といっています。


 ウルトラマン・レオからの、お別れのことばは、こうです。


 「自分のことは自分でして、人をたよらず生きる。海が見たければ、自分の足で歩いて行きなさい」


(『グッドバイ ウルトラマン』・『毎日小学生新聞』75年3月26日掲載)
 



 同じ毎日でも、



 みんなが、子どもに夢を、といった。だが外野の一人は「あれはやってる大人たちの積木遊び」といった。ほんとうは大人たちが集まって、みんなでおもしろがっていたのだ。そして積木がこわれたのだ。



 などと冷酷に結んでいた『毎日新聞』――75年3月13日夕刊掲載『さよならウルトラマン』より。こんなものを 『ファンタスティックコレクションNo.10 空想特撮映像のすばらしき世界 ウルトラマンPARTⅡ』(朝日ソノラマ・78年12月1日発行)では第2期ウルトラの作り手や作劇に対する批判の補強らしきものとして、「ある意味では正しい」などと擁護していた! この理屈で云ったら第1期ウルトラも平成ウルトラや平成ガメラ、あらゆる子供番組やファンタジー作品なども大人が作っている以上は全て「大人の積み木遊び」に過ぎないだろ!――とは異なり、『毎日小学生新聞』ではやむにやまれず、一旦ウルトラシリーズを打ち切らねばならない外部事情を暖かく解説していた
 (これまた当時購読していたので感慨深いです)。



 「『ウルトラマンレオ』の戦いは、星人や怪獣だけではなかった。70年代ウルトラマン四部作の最終ランナーが挑んだのは1974年という時代。そして新シリーズへの飽くなき挑戦だった」


金田益美・『ウルトラマンレオ1974』あとがきより)
 



 時代の波に翻弄され、悪戦苦闘を続けた『ウルトラマンレオ』。
 五島勉(ごとう・べん)『ノストラダムスの大予言』発売(73年11月25日。発売5ヶ月で131万部突破)、韓国の朴大統領狙撃事件(文世光事件〜北朝鮮シンパの在日韓国人による大統領暗殺未遂・8月15日)、三菱重工爆破事件(8月30日〜翌年5月までに左翼過激派による合計9件の連続企業爆破事件に発展)、原子力船むつの放射能漏れ事故(9月1日)、日本赤軍(左翼過激派の一派)がオランダのフランス大使館を占拠(ハーグ事件・9月13日)など、世間を震憾させる事件が続発し、
 巨人軍・長嶋茂雄(10月14日)、同じ巨人軍の川上哲治監督(11月21日)、田中角栄首相(11月26日)ら、往年のヒーローたちもまた、ウルトラマンと同様に次々に辞意を表明した。
 74年とは、まさにそんな時代だったのである。



 そして2008年、「世界大恐慌」とでも呼ぶべき金融危機の嵐の中、企業はまたしても人員削減に踏みきり、自動車メーカーを中心に期間従業員を大量解雇、その魔の手は正社員にまで伸びようとしている。
 来る2009年を果たして無事に迎えることができるのか、悲観する者の中には、まだ記憶に新しい秋葉原通り魔事件のようなことをやらかす者も出てくるかもしれない。
 思えば08年は『レオ』1クール目に登場する、星人たちがひき起こしたような凄惨な通り魔事件が続発した年でもあった。


 そんな世相だからこそ、同じような時代に製作された『ウルトラマンレオ』は人々の共感を得られ、一層の輝きを増すことであろう。
 崖っぷちに追いつめられたときこそ、人は必ず強くなれる。ウルトラマンレオはそのことを、体を張って我々に教えてくれる。
 CSファミリー劇場で08年5月から放映されているのは実にタイムリーであるが、これを機に多くの人々が“生きる厳しさと哀しさを鮮烈に謳(うた)う”『ウルトラマンレオ』を鑑賞することで、生きる力を取り戻してほしい、と切に願うものである。


 先日仕事で顧客の家に電話したら、『ウルトラマンレオ』の主題歌が大音量で流れており、そこの子供が大声で歌っていたため、母親の声がまるで聞こえず、仕事にならずに困ってしまったが(笑)、あの子が『レオ』で得た精神を成長するまで持続させてくれれば、この国の将来もまだまだ捨てたものではないだろう。



 まだ大丈夫さ、きっと。



2008.12.5.




<付記>


 モノクロページのもうひとつの名物である、放映当時のカレンダーであるが、今回も新たな発見が続出。ついでに筆者の頼りない記憶も補足しながら、特に注目すべきものを列挙しておく。


*74年4月12日、TBSが平日の18時から再放送していた『ウルトラセブン』が終了、そして19時から『ウルトラマンレオ』の放送がスタートしているのだ!
 うまい、うますぎる! 『ウルトラマンメビウス』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070506/p1)放映前も、せめて第2期シリーズのウルトラ兄弟登場イベント編だけでも傑作選として放映してもらいたかったものである。
(編:編集者は当時幼稚園児だったが、夕方6時に『セブン』最終回、7時から『レオ』#1放映開始、という奇遇がキョーレツに印象に残っている)


日本テレビが73年10月4日から木曜19時30分に放送していた『木曜スペシャル』では、74年3月7日に超能力者ユリ・ゲラーが生出演したのを皮切りに、4月4日『特集!! 驚異の超能力ユリ・ゲラー』、4月25日『クレスキンの超能力の世界』、8月1日『怪奇大行進! 恐怖の90分! フランケンシュタインからノストラダムスまで』、10月10日『現代の怪奇・追跡第3弾・宇宙人は地球に来ている!!』、12月5日『世界の予言者・戦慄の大予言!!』、75年2月13日『現代の怪奇・空飛ぶ円盤をキャッチ! 雪男が見つかった! 四次元世界の謎を探る!!』などが立て続けに放送されていた。


 つのだじろうの漫画「週刊少年チャンピオン」連載『恐怖新聞』、「週刊少年マガジン」連載『うしろの百太郎』(共に73年)の大ヒット。洋画『エクソシスト』(7月13日)、東宝ノストラダムスの大予言』(8月3日)、洋画『ヘルハウス』(9月7日)、洋画『悪魔のいけにえ』(75年2月1日)などの公開と併せ、やはり当時のオカルト・ホラーブームは相当なものであったらしい。


*NETテレビ(現・テレビ朝日)で当時平日7時20分から放送されていた子供向けバラエティ『ブンブンバンバン』――テレビ東京の『おはスタ』みたいなものか? マスコットキャラとして蜂の「ブンブン」と熊の「バンバン」の着ぐるみが登場していた――の、7月22日から26日放送分に『イナズマンF(フラッシュ)』(74年・東映、NET)の主人公・渡五郎(わたり・ごろう)とイナズマン、悪の組織デスパー軍団がゲスト出演していた。
 確か渡五郎はサナギマンの過程をはしょり、「超力招来(チョーリキショーライ)!」といきなりイナズマンに変身していたような記憶がある。


 なお9月16日から19日までは『仮面ライダー』(71年)から『仮面ライダーX』に登場した1号、2号、V3、ライダーマン、Xの5人の仮面ライダーに、『仮面ライダーV3』のデストロン大幹部・ヨロイ元師や怪人たちが総出演していた。
 この際は三重県鈴鹿(すずか)市の鈴鹿サーキットに隣接した遊園地からの中継を交え、神啓介は当時存在した「でんでんむし」なるモノレールの高架上という、危険な場所で「大変身!」を披露していたように思う。
 ちなみにこの番組には『人造人間キカイダー』(72年)で名探偵・服部半平を演じていた植田峻(うえだ・しゅん)も「おにいさん」(?)として出演していた。


*『8時だヨ! 全員集合』(69〜85年・TBS)にウルトラ怪獣がゲスト出演したという、おぼろげな記憶があったのだが、どうやらそれは74年8月10日のことであったらしい。
 この際は宇宙怪獣エレキング、暗闇宇宙人カーリー星人(多分巨大化の方)、そして『ジャンボーグA』第26話『―グロース第2号作戦― 謎! ノンビリゴンの正体』に登場したノンビリ怪獣ノンビリゴンだったようである。
 前半のコント部分に登場していたのであるが、この際の怪獣たちはなぜかランニングシャツにランニングパンツを着用、舞台の袖から袖を走るだけという、ほんの十数秒の出演だったように記憶している。
 どういうシチュエーションで登場していたかは、とんと覚えがないのであるが。


*『レオ』第31話に登場した花咲か爺さん役は当初岸田森〜きしだ・しん。『帰ってきたウルトラマン』(71年)の坂田健(さかた・けん)、『怪奇大作戦』(72年)の牧史郎、『ウルトラマンA』のナレーターなどが円谷プロ作品では有名〜が予定されていたとか!
 74年7月20日公開の東宝『血を吸う薔薇』で正体が吸血鬼である学園長――ちなみにその夫人を演じたのは『帰ってきたウルトラマン』でMATチームの紅一点・丘隊員役だった桂木美加――役で見せてくれた狂気に満ちた演技を『レオ』においてもぜひ披露してもらいたかった……


 実際に花咲か爺さんを演じたのは、同年10月6日からTBSで日曜20時に放映されたTVドラマ版『日本沈没』において、主人公・小野寺俊夫(演・村野武範)の上司である、海洋開発センターの運行部長・吉村秀夫役だった故・仲谷昇(なかや・のぼる)。
 小野寺の恋人である阿部玲子(演・由美かおる)に対し、執拗にストーカー行為を働く姿は、正直云って昆虫星人バーミン星人なんかよりもよっぽどコワい(笑)。


 なお『レオ』第31話が放映されたのは74年11月8日(金)のことであったが、その5日前である11月3日(日・祝)に放映された『日本沈没』第5話『いま、島が沈む』には、『レオ』でレギュラーの梅田トオル少年を演じていた新井つねひろが、太一という少年役でゲスト出演していた。
 ほぼ同時期に双方のレギュラーをゲスト出演させるという手法は、まるで近年の『クレヨンしんちゃん』(90年・92年にTVアニメ化)と平成ライダーのジョイント企画のようであり、やはり双方の視聴者を番組に呼びこもうという意図があったのだろうか。


 ちなみに『日本沈没』で唯一リアルタイムで筆者が視聴したのはこの第5話のみ。当時小学二年生だったため、夜は20時になると寝かされていたのだが(いまどきこんな子はいないのだろうが)、当日は「誕生日」だったため、特別に遅くまで起きていることを許され、真剣に視聴した記憶がある。
 太一が絵を取りに校舎に戻ってしまったために津波に飲まれて絶命し、代わりに浮き上がってきた太一の描いた絵を見て哀しむ小野寺に対し、


 「小野寺君、この絵が一枚であるうちは、まだいい。今にこうした絵が何百万枚、何千万枚と浮き上がることになる!」


 と田所博士(演・小林桂樹(こばやし・けいじゅ))が語ったセリフは、今も痛切に耳にこびりついている。
 筆者が『日本沈没』の大半を視聴することができたのは翌75年の夏休み、TBS系の中部日本放送が平日14時に行った再放送であった
 (私事ばかりで恐縮だが、まあ、74年関連のリアルタイムな記憶ということで、ちっとばかりご参考になれば幸いである)。


 (関連記事:『日本沈没』06年映画版評 〜果てし無き、日本沈没の果てに…・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060716/p1・73年映画版にも言及)


*そして、第32話に登場する中島弥生(なかじま・やよい)=かぐや姫は当初秋吉久美子が予定されていたとか!
 実際に演じたのは『仮面ライダーV3』で珠純子(たま・じゅんこ)役でレギュラー出演していた小野ひずるであったが、秋吉が演じていたら、80年代によく放送されていた「あの人の意外な過去」的番組において、散々ネタにされたに違いない。



<おことわり>


 今回付属していたDVD『ウルトラマンレオ TIME−SLIP FILE ―映像&音声コレクション―』に収録されたコメンタリーには、いつもの満田かずほ・五藤圭子のほか、真夏竜森次晃嗣(もりつぐ・こうじ)も招かれているが、トークの内容の大半がCSファミリー劇場『ウルトラ情報局』と重複しており、別項でそれについて述べているので(編:近日中にUP予定)、今回は割愛させて頂いた。ご了承願いたい。


 ただひとつ気になったのが、恒例で収録されている、放映当時にサングラフから発売されていた8ミリフィルム(今回は『悪魔マグマ星人出現!!』を収録)が、トーキーではなく、サイレント(無音)だったことである。これもやはり、オイルショックの影響だったのであろうか?


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2009年号』(08年12月28日発行)『ウルトラマンレオ1974』評より抜粋)


CSファミリー劇場ウルトラマンレオ』放映終了間近に連動して、「レオ」記事集中UP!

ファミリー劇場「真夏座VOICECUL(ボイスカル)第一幕」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090426/p1

[関連記事]

DVD付きフォトブック ウルトラマンA 1972

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070210/p1

DVD付きビジュアルブック ウルトラマンタロウ 1973

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080504/p1

[関連記事] 〜「ウルトラマンレオ」言及記事

コンビニ漫画『ウルトラマンレオ 完全復刻版』

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061028/p1 

ウルトラマンエース』#24「見よ! 真夜中の大変身」

〜『ウルトラマンレオ』#36「怪奇! 悪魔のすむ鏡」に言及

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061015/p1 

ウルトラマンエース』#22「復讐鬼ヤプール

〜『ウルトラマンレオ』#37「飛べ! レオ兄弟 宇宙基地を救え!」に少し言及

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061010/p1

ウルトラマンメビウス』#15「不死鳥の砦(とりで)」

〜『ウルトラマンレオ』における防衛組織MAC(マック)の死者出まくり描写のある意味のリアルさ

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060924/p1#20060924f1

ウルトラマンメビウス』#34「故郷(ふるさと)のない男」 〜レオ客演!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061224/p1

ウルトラマンダイナ』総論 〜『ダイナ』と『レオ』の熱血の差異

精神主義」ではない「熱血ドラマ」、という特異な橋本イズム

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971215/p1


ウルトラマンレオ 1974 [DVD]

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09年5月からCSファミリー劇場ザ・ウルトラマン』放映開始と連動して、「ザ☆ウルトラマン全話評」も毎週連載UP予定!
ファミ劇で「ザ★ウルトラマンのすべて」(ゲスト・伊武雅刀!……とHP等で告知されてましたが、実際には声優・柴田秀勝氏でしたがイイ内容でした……)が、5/3(日)10:30、深夜5:30、5/5(火)20:00で放映終了!)

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