(ファミリー劇場『ウルトラマンエイティ』放映開始記念「全話評」連動連載!)
『ウルトラマン80』 再評価・全話評! ~序文
『ウルトラマン80』#25「美しきチャレンジャー」 〜フォーメーション・ヤマト&急降下のテーマ再度使用!
『ウルトラマンメビウス』#17「誓いのフォーメーション」 〜『80』#13・25フォーメーション・ヤマト編&BGM急降下のテーマ!
『ウルトラマンメビウス』#18「ウルトラマンの重圧」 〜フォーメーション・ヤマト再度使用!
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『ウルトラマン80』第13話「必殺! フォーメーション・ヤマト」 ~UGM編開始!
『ウルトラマン80』第13話「必殺! フォーメーション・ヤマト」 〜合評1
(文・内山和正)
(1999年執筆)
UGM編開幕を告げる今回。新たなるメインキャラクター・イトウチーフ(副隊長)登場は、次回14話「テレポーテーション! パリから来た男」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100801/p1)にまわして、主人公・矢的猛(やまと・たけし)とオオヤマキャップ(隊長)の絆を描いたことは正しい選択だったと思う。
教師ドラマをなくしてしまったあと、これまでとを繋ぐ太い糸はそれしかない。教師ものの設定がなくなった分、いままでよりはただの上司と部下というイメージではあるものの、第1話「ウルトラマン先生」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100502/p1)で、誰もが怪獣復活の予兆を信じないなか校外の野原で知り合い、互いの志しを認め合ったふたりの男の信頼を再確認することで作品の地固めがなされたのだ。
どこまでもオオヤマを守ろうとする矢的。部下の危険をのぞまぬオオヤマ。事件の末にオオヤマが矢的の好意を素直に評価し、矢的が前の戦いで編み出した編隊攻撃を使用しようと提案するというかたちで認めてやるところが感動的だ。
エイリアン(異星人)による各国UGM隊長暗殺計画。防いでも敵のたくらみはそれだけで終わらず、人間に化けたエイリアンの暗殺者の死体がどう検視しても人間だったり、ためにオオヤマが殺人者としてマスコミに糾弾されてUGM内で拘禁されたり、意表をついた展開となって楽しませてくれた。
教師ものの設定がなくなったため、それを示すかのように冒頭から怪獣が暴れまわる。この回は特撮の凄さが有名で、当時ジャンルファンではない知人も戦闘機がビルの中へ突っ込んでくるのをビル内から撮ったシーンに感心していた。集中力のない僕は当時は見逃してしまったが確かに凄い。ただ、実際には知人の記憶とはちがって、突っ込んできた機体は火炎にはばまれて見えていないようだ。
怪獣サラマンドラが口から連打する銃弾を、鉄の肉体であるかのようにはねかえすウルトラマン80(エイティ)。かすかな痛みもないかのような表現が生物としては不自然ながら、ヒーローとしては格好良く見えた。
サランドラが吐く炎を身軽にバック転・側転の連続でかわして、『ウルトラマンA(エース)』(72年)3話「燃えろ! 超獣地獄」(特撮監督・佐川和夫 http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060521/p1)において富士山麓で一角超獣バキシムの火炎放射から巨大な長方形のガラス状のバリア(ウルトラネオバリヤー)で身を守ったウルトラマンエースのごとく、巨大な長方形のリバウンド光線(リバウンドミラー)で火炎を防ぐ80の超能力も格好いい。
再生怪獣という設定のサラマンドラだが最初の戦いで死を見せていないだけに(ゴルゴン星人たちがテレポート回収した)、ナレーションで説明されている以外は再生されたのだということがわかりにくいのが難。
◎今回よりウルトラマン80の変身巨大化カットが、歴代ウルトラ兄弟のように右拳を突き出したパース付きの人形に変更。当時発行されたマニア向け書籍などで明かされてきた通り、このパース付き人形は、ウルトラマンタロウ(73年)のそれの改造であり、のちに電光超人グリッドマン(93年)のそれに改造された。
◎サラマンドラをUGMがボディ・リサーチ・レイで透視するが、その透視図が黒バックのX線写真のようなものではなく、よく見ると一応モザイク状ではあるものの白紙に書いた手書きのイラストにしか見えないのが少し残念。
『ウルトラマン80』第13話「必殺! フォーメーション・ヤマト」 〜合評2
(文・久保達也)
(2006年9月執筆)
『ウルトラマン80(エイティ)』(80年)第13話『必殺! フォーメーション・ヤマト』(脚本・阿井文瓶 監督・湯浅憲明 特撮監督・川北紘一)に初登場した再生怪獣サラマンドラ。頭部に何本もの角(ツノ)を生やし、全身が五角形の甲羅に被われた鋭角的なフォルムの肉体が特徴であり、鼻からの強力な火炎光線と口からのミサイル弾を武器にした圧倒的な破壊力と、細胞の一片からでも再生を遂げる能力を持つ恐るべき奴だった!
創刊間もない朝日ソノラマ『宇宙船』(1980年・2005年に休刊・ASIN:B0009PLA0U)Vol.4(80年10月30日発売)において、当時放映中だった『80』に対し、特撮評論家・池田憲章が
「とにかく黒や茶色の怪獣が多すぎると思う」
と苦言を呈していたが、サラマンドラも例外ではなく、若干濃い目の黄土色といったような配色であった。
ただ、当時の特撮論壇が『ウルトラマンA(エース)』(72年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070430/p1)に登場する超獣のような原色中心の派手な配色を嫌う保守的傾向があった中で(今もか?・笑)、こうした革新的指摘がなされたことは実に意外に思えるものがある。『80』の怪獣の色彩の地味さは、当時勃興しつつあったマニア向け書籍での言説に影響されたとおぼしきものなのに。
なお、サラマンドラの鳴き声は、『妖星ゴラス』(62年・東宝)に登場したセイウチ怪獣マグマの鳴き声の流用である。ちなみに、マグマはのちに改造され、『ウルトラQ』第27話『206便消滅す』に異次元怪獣トドラとして登場した。
95年2月17日に東芝EMIから発売された2枚組CD『サウンド・エフェクト・オブ・ゴジラ』(asin:B00005GLM3)の解説書によれば、象の鳴き声と風船笛という玩具の笛の音を合成して作られたそうである。すでにこのCDは廃盤であるが、06年7月26日にビクターエンタテインメントから発売された『映画の効果音/BGM「ゴジラ」』(asin:B000FZDMZA)にも、このマグマ→サラマンドラの声は収録されているので、どうしても聴きたい人はそちらをどうぞ(ちなみにゴルゴン星人の鳴き声は、東宝の宇宙超怪獣キングギドラの鳴き声の早回しだ)。
防衛組織UGM(ユー・ジー・エム)はボディ・リサーチ・レイを用いてサラマンドラの体内を透視。奴の弱点が喉であることを突きとめた。だが、火炎光線とミサイル弾に遮られ、正面からその弱点を攻撃することは不可能だ!
オオヤマキャップはジャックナイフ・フライトという攻撃法を応用した、二機一組で行うフォーメーションを敢行。コンビを組む矢的猛(やまと・たけし。正体はウルトラマンエイティ)の名をもじり、その攻撃は「フォーメーション・ヤマト」と名付けられた!
大型宇宙母艦・スペースマミーから発進した戦闘機・シルバーガルは、α(アルファ)号とβ(ベータ)号に分離!
α号を囚(おとり)に、β号がサラマンドラの喉に攻撃をかける!
致命傷を受けたサラマンドラは、ウルトラマンエイティが両目から発射するウルトラアイスポットによって全ての怪獣細胞を焼き尽くされ、ようやく最期(さいご)を遂げたのであった!
第12話『美しい転校生』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100718/p1)までの学園編。『80』当初は主人公の矢的猛を中学校の教師に設定していた。『熱中時代』(78年・日本テレビ。水谷豊主演の学園ドラマ)や『3年B組金八先生』(79年〜・TBS)などの学園ものが当時ヒットしていた背景が大きいとされている。しかし、その学園編が不振だったと判断されたことから(現在ではむしろ教師編の評価は高いが)、路線変更を遂げた一発目の回であるだけに、都市破壊描写を中心とした特撮にかなり力が入った回となっている。
特に怪獣サラマンドラのミサイル弾に撃墜された地球防衛軍戦闘機・エースフライヤーがビルに突っ込んで炎上するさまを、部屋の内部から撮った描写は絶品である。ゴルゴン星人が合体(?)してサラマンドラが再生巨大化し、ビルを突き破って出現するシーンはじめ、ガラス窓の破片や瓦礫のリアルな細かさも類を見ない。
大規模火力を持っていそうなスペースマミーが活躍せずに、ただの発信台にとどまっているところは残念ではあるが。
また、人間に化けてオオヤマキャップに殺人事件の汚名を着せたドクロ怪人ゴルゴン星人たちの正体を見破るため、矢的がなんと変身アイテムのブライトスティックをUGM専用大型銃器ダイナミック・ショットの銃口に装着し、ベーター線を照射するという、他では例を見ない驚きの描写もチェックすべきところだ。
さらにラストシーンに至っては、ナンゴウ長官がオオヤマに対し、
「君みたいな人がいるからウルトラマンも地球を守ってくれる」
と発言している!
これは明らかにオマージュや引用に満ち満ちた、マニアックな作りが身上の後年の『ウルトラマンメビウス』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070506/p1)第9話『復讐の鎧(よろい)』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060706/p1)におけるセリザワ前隊長のセリフの元ネタでもあるのだ! ちなみに、ナンゴウ長官も、昭和ウルトラの上官では珍しく「いい人」であった!(笑)
スポーツ根性ものTVドラマ『サインはV(ブイ)』(69年・TBS)における、バレーボールのコーチ役で有名な、『80』ではオオヤマキャップを演じている中山仁(なかやま・じん)。 昭和ウルトラ作品の隊長役の俳優の中ではダンディでももっとも若々しい印象であり、ナゼかウインクをかましたり、矢的の腹を小突いたりするあたりは、『サインはV』の青春路線を引きずっている(でも、キマっていてカッコいいのだ、コレが!)。
なお、この第13話ではUGMの隊員たちも知らない、高級ホテルの一室らしい秘密の部屋で、私服姿でクラシック音楽を聴いてくつろぐ場面があり、部屋を訪れたUGM関係者を装った金髪女性(ゴルゴン星人の変身)に、
「コーヒーがいいですか? それとも紅茶?」
などと尋ねる紳士的な姿をも見せている。
こうした隊長の渋い人物の人となりを伺わせる描写は、『ウルトラマンA』第21話『天女の幻を見た!』(脚本・石堂淑朗 http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061009/p1)における、TACの竜隊長と天女アプラサとの冒頭の会話の場面くらいのもので、なかなかお目にかかれない貴重なものだ。
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『80』13話「必殺!フォーメーション・ヤマト」43周年評! ~UGM編開幕!
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