(ファミリー劇場『ザ★ウルトラマン』放映「全話評」連動連載!)
ザ☆ウルトラマン#20「これがウルトラの星だ!! 第2部」 ~ウルトラの星・U40、10億年の歴史!
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#27『怪獣島浮上!!』
レッドキングと怪獣軍団登場
(作・若槻文三 演出・辻勝之 絵コンテ・坂田透)
(サブタイトル表記含めて、どくろ怪獣レッドキング・凶悪怪獣アーストロン・爆弾怪獣ゴーストロン・プラスチック怪獣ゴキネズラ・青色発泡怪獣アボラス・赤色火焔怪獣バニラ・宇宙悪魔バラドン星人登場)
(視聴率:関東7.9% 中部13.6% 関西13.9%)
(文・内山和正)
(1997年執筆)
かってウルトラの星・U40(ユーフォーティ)を悪魔の星バラドンで襲った宇宙の悪魔と怖れられるバラドン星人が、ウルトラ戦士たちと小競り合いを演じたあとワープ航法で空間を跳躍して地球の方へ向かった。
U40の長老・大賢者は七人のウルトラ戦士を派遣するとともに、ウルトラサインを地球にいる我らがウルトラマンジョーニアスに送り警告する。
地球の海上へ落ちた隕石は島となり、その中ではバラドン星人が宇宙の怪獣墓場から連れてきた怪獣たちが暴れていた。
彼らを東京湾に入れたら大変なことになる。科学警備隊のヒカリ隊員とマルメ隊員は島を爆破しようと島の中に潜入する。
(以上、ストーリー)
前回の26話「地球最大の危機!!」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091025/p1)ラストで栄転したアキヤマキャップ(隊長)の後任キャップをすぐに出さず、キャップ不在の回を用意した趣向は嬉しい。代わりにトベ隊員が指揮を執るのも頼もしい。
過去の人気怪獣の大量登場(本放送当時はアニメ用デザイン・作画のラフさはともかく、もう高校生だった筆者も喜んだ)や、19〜21話「これがウルトラの星だ!!」三部作に登場したエレク&ロト&ウルトラ五大戦士たちの再登場、U40を襲ったこともあるというバラドン星人の因縁の設定……と視聴者の興味を引く要素は豊富。
実際にはバラドン星人の恐ろしさはコケ脅しに過ぎず、怪獣たちも本能に従って殺し合うばかりで、「戦いのため」ならともかく「地球の環境に慣れさせるため」解き放ったことで、戦力を失ったバラドン星人のまぬけぶりを強調する結果だけに終わっている。
ウルトラ七大戦士たちがジョーニアスとともに怪獣軍団と激闘して倒すのだろうとの期待を裏切り、生き残ったレッドキングら四体をジョーニアスが倒した他は、宇宙に逃げたバラドン星人の円盤を駆けつけたみんなで破壊するのみで、ウルトラスーパーレーザー光線という合体光線の新技を出すとはいえ、ヒーローとしての魅力には欠けてしまったように思う。
そのうえ作画がひどすぎる。筆者はエレクが最もかっこいいウルトラマンデザインだと思ってきたが、設定画が格好良くても実作がこれほどひどくては、エレクファンがあまり見当たらないのも無理はないだろう。
話題性の部分を除き、主人公・ヒカリ隊員とマルメ隊員の怪獣島潜入部分に限るのなら、スリルなどもありそれなりに楽しめた。
第1話「新しいヒーローの誕生!!」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090505/p1)冒頭以来久々に登場した、ウルトラ戦士たちによる警告のウルトラ文字ことウルトラサインが、変身しないと(ヒカリ隊員のままでは)解読できないのが興味深かった。
※:製作No.27『魔の怪獣島浮上す!(仮)』
シナリオでは、「どくろ怪獣レッドキングと五大怪獣登場」名義。
編集者付記:
放映当時、まだ小学生であった弊ブログ編集者は、直上記事の執筆者とは異なり、事前に幼児誌「てれびくん」や「テレビマガジン」に毎号ある巻頭の描き下ろしカラー挿絵グラビアで、本話のシチュエーションを知って大コーフン!
そのノリの状態で本話も視聴することになる(笑)。
作画が悪い――怪獣の蛇腹(じゃばら)などの線も少ない――ということは、幼児ならぬ児童の身なので判ってはいたし微量にガッカリもしていたが……。
過去のウルトラシリーズの人気怪獣大挙再登場! ウルトラの星・U40も再登場! 当時流行りのTVアニメ『宇宙戦艦ヤマト』(74年。77&78年に映画化)などでもおなじみワープ航法(!)で光の速さを超えて移動する敵宇宙人!
ウルトラマンジョーニアスの胸中央のカラータイマーにあたる五芒星(★)型の“スターシンボル”を授かった勇者のみが宇宙空間を飛行してよその星へ行けるという設定が明かされ、大賢者から授与されたエレクたちがそれを胸に装着して地球へ向かう!
ラストにようやく駆けつけたウルトラ7大戦士とジョーニアスが敵円盤を囲んで合体光線! というシチュエーション群!!
怪獣ものとしての複数怪獣登場編! かつ、複数ヒーロー共演のイベント編! 『未知との遭遇』『スター・ウォーズ』(共に77年・日本公開78年)や松本零士アニメに、内山まもる先生のウルトラ漫画『ザ・ウルトラマン』――(75年『小学三年生』に連載、77〜78年『コロコロコミック』で再連載。小学館のてんとう虫コミックスで単行本化(78〜80年・全4巻・ASIN:B000J8L868。98年に小学館コロコロ文庫に所収・ISBN:4091941214。その後も新書サイズなどで度々再販。同98年に双葉社ASIN:4575935514。00年に小学館ASIN:4091402410)――や、かたおか徹治先生の『ウルトラ兄弟物語』――(78〜79年『コロコロコミック』で連載。てんとう虫コミックスで79年に単行本化・ASIN:B000J8GFFC。98年に双葉社で再刊・ISBN:4575935875)――などでも顕著であった、当時流行の宇宙を舞台に銀河規模のスケール&因縁の戦いを描く壮大なSF性をも具備した内容!
こんな「ウルトラマン」が今このSFブームの時代にTV本編で観たかったンだヨ!! と、至福の喜びに打ち震えていた少年の日の筆者であった……。
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