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ザ・ウルトラマン1話「新しいヒーローの誕生!!」

ファミリー劇場『ザ★ウルトラマン』放映開始記念「全話評」連動連載開始!)

#1『新しいヒーローの誕生!!』

冷凍怪獣シーグラ登場

(作・阿部桂一 演出・石田昌久 怪獣原案・高橋昭彦)
(※:「作」は「脚本」。79〜80年ごろのTBSドラマの多くがこう表記していたと記憶)
(視聴率:関東19.3% 中部13.7% 関西14.6%。
 以上、ビデオリサーチ。以下、ニールセン 関東19.9%)


(文・内山和正)
(1997年執筆)


 初放送時は面白くないと思ったものだが、今観るとむしろ傑作では? と思えるほど感銘した。
 第1話において隊員たちの個性を描きだせたのはシリーズ中唯一ではないか。


 地球防衛軍・極東ゾーンの科学警備隊キャップ(隊長)を引き受けるにあたりアキヤマ徹男は隊員の選択権と、桜田長官に対して「(模型を指差し)あれを私にください!」と司令部直属の新兵器・大型戦闘機スーパーマードックを上層部に要求する。
 演出や効果音とも相まってここは名シーンに仕上がっている。

 
 アキヤマの前身についてはハッキリした説明がないものの、瞬時の躊躇のあと桜田長官が容認することから、かなり実力を認知されている人物であることがこのことから察せられる。


 そして隊員にしてくれとアキヤマにすがりついてくるマルメ敬(まるめ・けい)。エリートをということになれば自分が選ばれるはずはないからと食い下がるキャラクターは新鮮かつ強烈である。
 デブの彼のズボンがずり落ちる。
 それを見てアキヤマが「新チームのユニフォームはよくサイズを測ってもらうんだぞ」という言葉で承諾を示すのも、二人のキャラクターを明確にし、アキヤマを引き立てている。


 スーパーマードックを設計し一身同体だからと売り込むトベ博明(とべ・ひろあき)、
 医療班出身で自立する女性としての意識が強いムツミ……


 と各自のキャラクターが明確に示され、その過程でアキヤマが下の者の信望も厚いことをうかがわせる。


 美人のムツミをどうしてトベが個人的に知っているのかとマルメが問い、怪現象
 ――ドラマ冒頭で地球が輝きだしたり謎の文字が空に浮かびあがったこと。実は危険を知らせるためのウルトラマンの仕業(しわざ)――
 について話しあった仲だとトベに説明されるあたり、長々と描いているわけではないのに、その時間以上の効果を与える人物関係の提示が的確である。


 彼ら見知った仲ともいえるメンバーの中で、主人公だけが宇宙開発兼地球観測用の宇宙ステーションEGG3(エッグスリー)から転任する、いわば外部の人間として登場する。
 この主人公のヒカリ超一郎という名前、放送当時はアニメならではのふざけたネーミングと思われ個人的には抵抗があったのだが、この番組が特撮もの『ウルトラマンⅢ(三世)』として企画されていたときからこの名前なのだとあとで書籍で知って驚いた。


 地球へ向かう彼の前にウルトラマンが現われ合体を求めるのだが、流れる光の中からウルトラマンが現われる幻想的な映像は特撮系ウルトラマンの主人公との出会いのシーンとはまた違った美しさであった。


 出撃の際のエレベーターの中でビームフラッシャーが落ちる。
 ムツミが拾い誰のものかと訊く。ヒカリはウルトラマンとの出会いが夢ではなかったことに気づく。
 ここでも各人の反応でキャラクターが示されるとともに、視聴者にこの変身道具を印象づけている。


 この回の冷凍怪獣シーグラは第1話ということでか、かっての『ウルトラマンエース』(72年)の古代超獣カメレキングや一角超獣バキシムなどの斬新な名獣を手がけた高橋昭彦(現・井口昭彦)氏が起用されているが、初回を意識してかオーソドックスな怪獣らしいデザインとなっている。
 放送当時特撮系を見慣れた筆者の知人の間で、“シーグラの動きがみっともない・幻滅した”との声が囁(ささや)かれたが、今観ると闘いのシーンは意図的にコミカルに演出されているようだ。


 企画書で提示されたアニメ版の長所のひとつとして、集団で現われる怪獣を描けるということがあったそうだが、今回のシーグラは四匹登場。
 しかし二匹単位での闘い方・生かし方がほとんどで、四匹いる必要性はほとんど感じられず少し残念。
 長年特撮版を観てきた後遺症かもしれないが、同じ怪獣が無闇に何匹も登場すると却って存在感が薄れる気がする(リアルではあるのだけど)


 第1話にして早くも戦闘後の変身解除の描写があるのはアニメ故の効用だろうか?



◎南極から赤道を越えて来る氷山。東京湾一帯の海面が見渡すかぎりのパノラミックな氷原になってしまうビジュアルイメージはスゴい! その中でのウルトラマン対シーグラのバトルの動きもスゴい!
◎前年1978年のタツノコプロの先代社長逝去に伴う分裂騒動で分派してきたスタッフが、日本サンライズの第3スタジオに結集して作っていたのが『ザ・ウルトラマン』のアニメ側製作現場の実態でもあったが、それゆえシリーズ初期は作画レベルも意外と高く、ヒーローや怪獣のアクションも本当によく動く。
◎小型戦闘機バーディが垂直離着陸する際、両翼端のエンジン&噴射口も垂直に回転するが、噴射口が下ではなく上を向いているミスが残念。作画スタッフがあまりメカにくわしくなかったのだろうが。
◎この第1話は本放送時に、レギュラーやメカやプラニウム光線などの初登場映像に、名前や技名の字幕がスーパーインポーズされた。2話ではジョーニアスの額から発する光線・アストロビームの映像のみ字幕がスーパーインポーズされたと記憶する。


◎前記のように楽しく観られただけに、本放送時なぜつまらなかったのかとの疑問が浮かび考えてみた。
 やはり本来は実写特撮であるはずの『ウルトラマン』が、新作アニメだったことへの抵抗や、作品の内容以前の偏見ゆえだったのか?
 チームができて怪獣と戦うだけの展開がある種、単調で華やかさに欠けるからではなかったか?
 また他の作品に比べ隊員たちが描かれている反面、主人公の描写が薄い。
 一人だけ外部の者だけに、それを活かした展開も考えられるのだが、それはなく(誰に対してもていねいな口調がソレかもしれないが口調は性格ゆえだろうし)、なぜウルトラマンに選ばれたのかも15話「君がウルトラマンだ」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090808/p1)まで語られない。
 歴代の主人公がアクの強い面々だけに正統的に「いいひと」なだけのヒカリでは印象に残りにくかったのかも。
 (アクが強くて熱血な若年主人公が主流になるのは70年代以降のことなので、60年代以前の子供向けヒーローものの品行方正な主人公像に回帰させているのかもしれない)


※:製作No.1『来た! 神秘の使者が』


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊98年号』(97年12月28日発行)『ザ☆ウルトラマン』特集・合評③より分載抜粋)
(全話の視聴率調査者:森川由浩。#2以降の「全話評」での視聴率調査者の注釈は略)
(製作№や準備稿サブタイトルは特撮同人誌『夢倶楽部』「ザ★ウルトラマン」特集号記事より参照)



編集者付記:
 1996年に発売されたLD−BOX(レーザーディスク・ボックス)では、第1話のOP(オープニング)主題歌のみ、映像の一部が他の回と異なっているとのこと。
 当時のLDの解説書を総合すると、第1話のOP部分のみが東京現像所所有(?)のネガフィルムから欠落しており(OP集でも作る際に抜粋でもしてしまったのだろうか?)、本放映に使用したフィルムから発掘したとの触れ込みだったが……。
 2008年に発売されたDVD−BOXでは、第1話のOPも2〜9話と変わらない。本放映時に録画したビデオにて確認した事実だとのことで、してみるとLDに収録された1話OPはNG版であろうか? であれば、それはそれで価値があることになる(笑)。


[関連記事]

ザ・ウルトラマン再評価・全話評! 〜序文

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090504/p1

ザ・ウルトラマン#1「新しいヒーローの誕生!!」

  (当該記事)

ザ・ウルトラマン#12「怪獣とピグだけの不思議な会話」 〜怪獣レクイエム・泣かせる超名編!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090719/p1

ザ・ウルトラマン#15「君がウルトラマンだ」 〜超人に選ばれし者の条件・ウルトラ史に残すべき超名作!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090808/p1

ザ・ウルトラマン#19「これがウルトラの星だ!! 第1部」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090913/p1

ザ・ウルトラマン#20「これがウルトラの星だ!! 第2部」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090914/p1

ザ・ウルトラマン#21「これがウルトラの星だ!! 第3部」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090920/p1

ザ・ウルトラマン#27「怪獣島浮上!!」 〜レッドキングと怪獣軍団登場

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091102/p1

ザ・ウルトラマン#28「新キャップが来た!!」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091108/p1

ザ・ウルトラマン#31「ウルトラの女戦士」 〜ジョーの妹アミア!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091129/p1

ザ・ウルトラマン#34「盗まれた怪獣収容星(前編)」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091220/p1

ザ・ウルトラマン#35「盗まれた怪獣収容星(後編)」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091227/p1

ザ・ウルトラマン#37「ウルトラの星U40の危機!! ウルトリアの謎?」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100118/p1

ザ・ウルトラマン#38「ウルトラ大戦争!! 巨大戦闘艦ウルトリア出撃」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100123/p1

ザ・ウルトラマン#39「ねらわれた巨大戦闘艦ウルトリア」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100124/p1


ザ・ウルトラマン総論 〜ザ☆ウルトラマンの時代・埋もれた大スケールSF名作! 第3次怪獣ブームの猛威! 70’s末の熱い夏!

 (関東・中部・関西の全話平均・クール平均視聴率も加筆!)
  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971117/p1

ウルトラマンメビウス#22「日々の未来」 〜真の元ネタは『ザ☆ウルトラマン』#15か!?

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061029/p1



『ザ☆ウルトラマン』全話評 〜全記事見出し一覧

ファミ劇で「ザ★ウルトラマンのすべて」(ゲスト・伊武雅刀!……とHP等で告知されてましたが、実際には声優・柴田秀勝氏でしたがイイ内容でした……)が、5/5(火)20:00分で放映終了!)