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ザ・ウルトラマン15話「君がウルトラマンだ」 〜超人に選ばれし者の条件・ウルトラ史に残すべき超名作!

ファミリー劇場『ザ★ウルトラマン』放映「全話評」連動連載!)


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#15『君がウルトラマンだ』

いん石獣ゴグラン登場

(作・吉川惣司 演出・石田昌久 絵コンテ・鳥海永行 怪獣原案・鯨井実)
(視聴率:関東9.6% 中部12.1% 関西8.2%。
 以上、ビデオリサーチ。以下、ニールセン 関東11.5%)


(文・内山和正)
(1997年執筆)


 本放映時の1979年に本作『ザ・ウルトラマン』を観始めたころ、主人公の演者が従来のような新鮮な俳優ではなく、TVアニメ『タイガーマスク』(69年)の主人公・伊達直人(だて・なおと)、『侍ジャイアンツ』(73年)の主人公・番場蛮(ばんば・ばん)、『宇宙戦艦ヤマト』(74年)の主人公・古代進、『UFOロボ グレンダイザー』(75年)の主人公・宇門大介/デューク・フリードなど、声優として有名すぎるおなじみの富山敬(とみやま・けい)氏であることに抵抗があった。
 しかし観続けていくうちに本作の主人公・ヒカリ超一郎隊員のような派手な個性のないキャラクターに命を吹き込むのにはベテランの富山氏でなければと思い直したものだ。



 さて、この回ではいつもはいいひとなだけのヒカリが人間的な悩みを抱えていることが示される。


 これまでのウルトラマンの闘いをVTR(電子怪獣コンビューゴン・同居怪獣オプト・地底怪獣タフギラン親子)で振り返って称(たた)え、彼に応え恥ずかしくない行動をとるべきだと隊員たちに檄を飛ばすアキヤマ隊長。
 ヒカリは苦しんでいた。いくらウルトラマンとして頑張っても自分自身がほめられるわけではないことに。


 追い討ちをかけるようにマルメ隊員が


 「肝心なときにいつもいないヒカリなどいなくても困らない」


 と口にする。


 そんなとき、筑波山の植物園で巨大な芋虫に所員が焼き殺される事件がおきる。
 「心当たりはこれだけ」と所長がさしだした植物の種(と思われていた)を見たヒカリは、宇宙ステーションEGG3(エッグスリー)在任中の事故で目にした隕石(=怪獣の卵であり、孵化すると金属をも食する)であることに気づき説明しようとしたが、「自慢話はよせ」とマルメに封じられてしまう。
 さらに巨大化した芋虫が街で暴れる。「自分の力で戦いたい」と変身を拒むヒカリの迷いがマルメを負傷させる結果を招く。
(以上、ストーリー)


 ようやくヒカリが何故ウルトラマンに選ばれたかが語られる。
 その理由は従来どおり自分の命を危機にさらして他者(ここではEGG3の所員たち)を救ったことではあるのだがそれだけではなく、不可能な体力的限界を超えることのできる力と気力が重要視されている。
 ウルトラマンがヒカリにつきつける


 「君のような若者はいくらでもいる(その中で何故選んだのか)」


 という言葉が、《ある一点》を除けば特別の人物でないことを示し、シビアさを感じさせる。


 それまでのシリーズがドラマづくりのお約束として避けてきた、「変身時の不在を他の隊員がどう受けとめているのだろうか」という現実的な側面をとりあげ、さらに変身する本人自身の個人としての存在意義の悩みへと深化させたことは素晴らしい。
 それまでのシリーズで曖昧にされてきた、ウルトラマンと彼に一体化している主人公とふたつの人格が存在することを明確にしたこととともに、この作品がシリーズに新しい1ぺージを付け加えたともいえ、本作賛美派は批判派に対し充分誇っても良いと思う。


 ただ結局のところヒカリの悩みは本質的には解決しておらず、ウルトラマンに選ばれたことへの誇りに転嫁されており、この回は手応えを感じさせながらいまひとつスッキリしないものが残る。
 今回の再視聴ではそれほどでもなかったものの放送時には違和感が強かった。
 (とはいえ筆者個人も、作劇的な代案を提示できるわけでもないのだが……)
 ウルトラマンがヒカリに求めている要件は非常に高くかつ多くて、イジワルな見方をすればある種、ウルトラマンは自惚れすぎていると考えられなくもない。


 ドラマの終幕間際、詫びるマルメを快く許すヒカリ(自分にも負い目はあったものの散々口汚なくののしった相手をである)。
 そのさわやかさからも、演者が富山氏で良かったと改めて思った。


※:製作No.14『ヒカリ・絶対の危機』
 シナリオでは、別名は「隕石怪獣」名義。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊98年号』(97年12月28日発行)『ザ☆ウルトラマン』特集・合評3より分載抜粋)



編集者付記:
 芋虫が蛾の怪獣に変態するのは、もちろん東宝映画の怪獣モスラからの引用。


 クソナマイキな小学校中高学年にもなれば我々怪獣少年もネタとしてツッコミを入れていた、隊員たちが怪獣との戦闘中に肝心の主人公隊員がいなくなってしまうことを劇中でも話題にしてみせて(!)、かてて加えて他の隊員に糾弾させてみてしまうというアリエナイはずの作劇を駆使してみせる超サプライズ!
 その本当の理由を決して話すことができない正義のヒーローと合体した人間の煩悶!
 そしてそれは、決して根源的な意味での解決を与えることができない(シリーズ最終回ならばともかく)という次元での苦悩。


 その本作が一応の便宜として提示してみせた解答は……。
 それでも周囲の誤解に決してメゲず、恨み言も云わずに自身の心理・感情を制御して、おごらず昂ぶらず、その逆に卑下もせず、軽躁に空元気にふるまうというのではなしに、相手に無用な心配や同情を引かせないように自然体な愛嬌もふるまいつつ、倦まず弛まず淡々とジョギングで自身を鍛えるヒカリ超一郎の勇姿であったのだった……。
 敬服。ヒトとして、かくありたいものだ。



 本話の絵コンテは、チーフ監督・鳥海永行(とりうみ・ひさゆき)氏。
 名作アニメ『科学忍者隊ガッチャマン』(72年)の総監督としても有名で、あまたのタツノコアニメの監督を務めてきた御仁。
 その鳥海氏の力か、演出か作画監督の力か、そのすべての融合か、本話は各キャラの細かい仕草や表情や動きの演技付けがすばらしい。


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