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ウルトラマン80 33話「少年が作ってしまった怪獣」 〜阿井文瓶、最後の脚本!

ファミリー劇場ウルトラマンエイティ』放映記念「全話評」連動連載!)


『ウルトラマン80』全話評 〜全記事見出し一覧

第33話『少年が作ってしまった怪獣』

工作怪獣ガゼラ登場

(作・阿井文瓶 監督・湯浅憲明 特撮監督・佐川和夫 放映日・80年11月12日)
(視聴率:関東7.8% 中部9.8% 関西12.1%)


(文・久保達也)
(2009年11月執筆)
 ある夜、手術の成功率15%という難病を抱える少年・健一が入院する西山病院の院長からUGMに「怪獣出現」の通報が入った。
 UGMの矢的猛(やまと・たけし)隊員らが急行するものの、怪獣が出現したと思われる痕跡は皆無だった。矢的はガウン姿で庭にいた健一の姿を見かける。
 院長と看護婦の話で健一が翌日に控えた手術を恐がっていると知った矢的は、院長からの電話の少し前に、やはり「怪獣出現」を通報してきた少年が健一であると直感し翌日、城野エミ(じょうの・えみ)隊員をお供に健一を訪ねた。


健一「お父さん、お母さん、手術なんかへっちゃらだよ」


 手術が失敗する可能性もあることを知っているものの、病院の中庭で両親に明るく語る健一は、粘土細工と廃物を利用して作った手製の怪獣人形ガゼラの特徴や能力を誇示していた。


矢的「両親に心配かけまいと、一所懸命明るくけなげに振るまっているんだ」


 病院にほど近い長浜海岸で健一について語る矢的とエミ……


矢的「あの少年の苦しみや悲しみを、目に見えるもので表現したら、一体どんなものなんだ……」


 『愛と死をみつめて』(64年・日活)から『世界の中心で、愛をさけぶ』(04年5月8日公開・東宝興行収入85億円、観客動員数620万人を記録!)に至るまで、いや近年に至ってもほぼ毎年のように映画やスペシャルドラマで製作され続ける「闘病モノ」。
 筆者的にはいささか食傷気味の感があるが、そのどれもがことごとく高い興行収入や視聴率を稼いでいることから、やはり安定したコンテンツとなり得ているのだろう。
 特撮ジャンル・ヒーロー作品も、それらの題材の普遍性・コンテンツの商業的安定性という一点については学ぶべき点も多いのではないだろうか?


 さてウルトラで同様のシークエンスを扱った作品としては前例として、やはり『ウルトラセブン』(67年)第38話『勇気ある闘い』が筆頭にあげられるだろう。
 心臓手術を恐れる少年・杉崎治――演じたのは『マグマ大使』(66年・ピープロ フジテレビ)第17〜20話の怪獣ガレオン&ドロックス登場編で二宮秀樹に代わってガム役を務め、その後は主に青春ドラマなどで活躍した吉田継明――と手術に立ち会うことを約束するセブンこと主人公モロボシ・ダン隊員との交流と、資源不足に悩むバンダ星人が地球に送りこんだロボット怪獣クレージーゴン対ウルトラ警備隊との戦いを並行して描き、


治「ダンはうそつきだ! 人間の科学を信じろなんて、あんなうそつきの云うことが信じられるもんか!」


 と手術の立ち会いに来られないダンを責める治、そしてクレージーゴンに重傷を負わされながらも治との約束を果たすために病院に向かうダンの献身的な姿、『セブン』では予算の関係でほとんど描かれることのなかった徹底的な都市破壊場面とロボット怪獣を倒すための意外な必殺技……
 まさに本編と特撮が渾然(こんぜん)一体となってクライマックスをリンクさせた少年ドラマ編&バトル編となっていた。


 第2話『緑の恐怖』がシリーズ最高視聴率32.3%を稼ぎながら第3クールには十数%にまで低迷した『セブン』が、「こりゃいかん!」と『ウルトラQ』『ウルトラマン』(66年)を支えるも当時は京都で時代劇を撮影していたTBSの飯島敏宏監督を急遽呼び戻して製作したこの第38話と続く第39&40話『セブン暗殺計画』前後編の飯島監督作品3本は、個人的には『セブン』ベスト3に挙げたいくらいなのだが……閑話休題


 この『セブン』第38話と『80』第33話、どちらも手術を恐れる少年をゲスト主役に据えているのだが、その描き方にはかなり大きな違いがある。
 治の場合、のちに青春ドラマにもよく出演していた吉田継明が演じていることもあるのだが、その風貌も立ち居振舞いもどちらかといえば「やんちゃ坊主」風であり、治が手術を露骨に嫌がる様子が終始セリフや演技でハッキリと明確にされていたのである。


 だが健一の場合、


健一「僕、大きくなったらUGMの宇宙技術班に入るつもりなんです」


 と丁寧語で矢的に語るほどのインテリ風美少年といった趣(おもむき)であり、内心では手術を恐れながらも両親に対してはそれを素直に表現することなく、明るく振る舞うといった二面性が強調されているのだ。
 このけなげな姿は矢的やエミにとどまらず、視聴者の同情の涙を誘うのに絶大な効果をあげているばかりでなく、もうひとつ大きな役割を果たしているのである。


 手術前夜、健一は担当の看護婦・吉村鈴子には


健一「人は死んだらどうなるんだろう。天国って本当にあるのかなあ」


 と自らの不安を素直に打ち明け、母を手術の失敗で喪(うしな)って廊下で涙する姉妹の姿を見て不安を一層強くするが、ここのイメージシーンが実に秀逸。
 泣き出しそうな健一の顔に手術台天井の大きな照明や、メスをはじめとする手術用具の数々をオーバーラップさせているのだ!


 感極まった健一は手製の幻燈機で夜空にガゼラの幻影を映し出し、再度UGMに「怪獣出現」を通報する。
 冒頭で西山院長や看護婦たちが目撃したガゼラの姿も、実は健一が投影したものだったのである! この騒ぎにより、健一の手術は1日延期されたのだ。
 基本的には性格の良い子である健一でも、自分の命に関わる大きな不安ストレスには、つい発露されてしまう現実逃避・屈折の心理描写! このへんのこれ見よがしではないさりげないヒネリの描写が、阿井文瓶脚本のテクニックであり妙味でもある。


 ここまでの一連の場面を観ていると、『80』で長らく忘れられていた、ある重要な設定に鋭い視聴者は気がつくことであろう。そう、それだと謳(うた)わないまでも「マイナスエネルギー」である!



 『80』第1話『ウルトラマン先生』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100502/p1)〜第12話『美しい転校生』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100718/p1)の桜ヶ岡中学編では「醜い心や悪い心、汚れた気持ち、憎しみ、疑い、嫉妬」などといった人間の心が生み出す悪意に染まった感情が結晶化し、それが怪獣を生み出したり、怪獣にエネルギーを与えるなどと設定されていたのである。
 今回は導入部から登場していた青白い火の玉状の物体(ラストのエミのエリフでは「怪獣の魂」とされている)が、健一が長浜海岸に置き忘れてきたガゼラの人形を実体化させ工作怪獣ガゼラを誕生させることになるのであり、その意味では『80』が本来描こうとしていた路線を見事に復活させている。


 そして、それを描くにはマイナスエネルギーが人間の心の裏側に潜む悪意から発せられるという設定である以上、見るからに悪ガキという少年よりは、普段はいい子なのに実は……(あまり現実社会と安易に結びつけたくないが、近年はこうした子供たちの方が問題をひき起こす確率の方が高いのではないか?)という少年を主軸に展開する方がふさわしいような気がするので、健一がそのような二面性を持つ少年として描かれたのは正解だったように思う。



 ちなみに『超神(ちょうじん)ビビューン』(76年・東映 NET→現・テレビ朝日)第18話『古銭から煙が? ヒネクレ少年の初恋』に登場する妖怪カネダマは、
 「母ちゃんなんか逆さ磔(はりつけ)になってしまえ!」
 「おまえたちなんか石の下敷きになっちまえ!」
 「先生――『仮面ライダーアマゾン』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090809/p1)のレギュラー・岡村リツコ役や、『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)第24話『美しいおとめ座の少女』のアンドロイド少女カロリン役で知られる松岡まり子が演じた。カネダマが彼女を池にひきずりこもうとする場面はスカートの裾がめくれまくり、なかなかエロい(笑)――なんか池にはまって死んじまえ!」
 などという、少年の捨てゼリフを現実のものにしようと大暴れする。
 これなんかはマイナスエネルギーの露骨な発露であり、いかにも東映らしい表現だが(笑)、母親のセリフで「本当は優しいいい子なのに……」なんてのがあったり、本当は好きな同級生女子の好意を無にしたあとで、
 「おれってどうして素直じゃないんだろう……」
 などと思い悩む場面があったりと、健一とはまったく逆ではあるものの、ゲスト主役がやはり二面性を持つ少年として描かれているという共通点が面白い。
 カネダマも人間の怨み(うらみ)を吸い取って生きているという設定であり、やはりマイナスエネルギーの産物なのである。


 なお、これの脚本は、『ウルトラマンA』第29話『ウルトラ6番目の弟』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061120/p1)、第34話『海の虹に超獣が踊る』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061223/p1 〜これに登場するユウジの姉って完全に虹超獣カイテイガガンにマイナスエネルギー与えてるわ・笑)、第36話『この超獣10,000ホーン?』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070109/p1)のほか、『人造人間キカイダー』(72年)、『快傑ズバット』(77年・東映 東京12チャンネル→現・テレビ東京)、刑事ドラマ『特捜最前線』(77〜87年・東映 テレビ朝日)などで数々の傑作を残した長坂秀佳(ながさか・しゅうけい)。先生はやはり偉大です!



 そんなマイナスエネルギーを放つ健一の再度の電話に急行した矢的は病室で、


矢的「あのね、僕も本当はすごく怪獣が恐いんだよ。ビルみたいにでっかいし、ものすごい顔をしているし、それに力も強い。火を吐いたり、殺人光線を吐いたり、すごく恐いよ。でも、戦うんだ! (中略)恐いものに向かっていく。それが本当に勇気があることなんじゃないかな」


健一「ウルトラマンエイティも怪獣が恐いのかなあ」


矢的「そうだと思うよ」


 などと健一と会話するが、ここでの矢的は隊員服姿ではあるものの、その表情や語り口はUGMの矢的猛隊員ではなく、どことなく桜ヶ岡中学校の矢的猛先生に見えてくるのだ!


矢的「勇気をもって! いいね!」


 と帰り際に右腕でガッツポーズを示した矢的に励まされ、健一は不安気だった表情が一変する! やはり矢的猛が今でも「矢的先生」であることを象徴する場面なのだ!



 手術に臨(のぞ)む決意をした健一は当日の朝、長浜海岸に置き忘れたガゼラの人形を元気に取りに行く。
 すでに健一の心からは矢的先生によってマイナスエネルギーは取り払われたかに見えたが、すでに強大化していた怪獣の魂に取り憑(つ)かれたガゼラの人形が動き出した!
 矢的先生に「勇気」をもらった健一は落ちていた棒切れを手に、「恐いもの」に立ち向かう! だがガゼラは等身大の大きさとなり、健一を襲う!


 再度健一に呼び出された矢的がライザーガンで射撃し、ガゼラは海中に転落。だがその直後、ガゼラは巨大化して矢的と健一の前に姿を現した!
 二人の眼前に海中から巨大化するガゼラを合成した場面は、正直ガゼラ大きすぎんじゃねえの? と思ってしまうが、圧倒的な巨大感を表現するには、これくらいオーバーでアバウトな演出でもまあいいか(笑)。


 イトウチーフ(副隊長)が搭乗するスカイハイヤー、フジモリ・イケダが搭乗するシルバーガル、地球防衛軍戦闘機群の攻撃を、ガゼラは腹の増幅機で吸収、その威力を倍にしてはね返した! 胸から発する赤い稲妻状の光線で次々に撃ち落とされる戦闘機群!


 遂にウルトラマンエイティ登場!
 海中から跳び上がったエイティが宙を反転し、『仮面ライダー』(71年)のライダーキックや、『ウルトラマンレオ』のレオキックのように、オープン撮影でトランポリンを使用し、キックポーズのまま下降していく様子を丁寧に描き、ガゼラに猛烈なキックを見舞う描写は迫力満点!
 サクシウム光線をガゼラが増幅器ではね返す場面はフィルムを逆回転させて表現しているが、そのサクシウム光線が赤い稲妻状の光線となってガゼラの角と右腕から発射され、逆にエイティを襲った!


健一「エイティ、胸だよ! そいつの胸はちょっとのことですぐはずれるんだ! そいつの胸の増幅機をはずせば、そいつはただの怪獣なんだ!」


 隣の病室のおばさんが落として壊したラジオからもらった(笑)増幅機をガゼラの腹につけたものの、重くてすぐに落っこちてしまうのが難点だったのだが、健一はそれがガゼラ最大の弱点であることをエイティに教えた!


 これ先述の『A』第29話において、地底超人アングラモンに苦戦するウルトラマンエースに対し、梅津ダン少年が自らも崖から転落しそうになりながらも、


ダン「地底人の弱点は、胸だよう!」


 と叫んでいたのを彷彿とさせるが、少年の成長物語である本編と、怪獣・侵略者との戦いを描く特撮双方のクライマックスが華麗にリンクしていることの象徴であるのだ!


 それを聞きつけたエイティはガゼラを一本背負いで豪快に投げ飛ばし、第18話『魔の怪獣島へ飛べ!(後編)』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100829/p1)で吸血怪獣ギマイラを葬り去ったムーンサルトキック(空中で身体をひねり、足先にエネルギーを集中させて相手に飛び蹴りをくらわす大技! それにしてもこのネーミングは最高だわ!)を増幅器にくらわした!
 エイティの脚部に空気との摩擦熱を表現したかのような黄色の線画合成が加えられているのも芸コマだが、増幅機がバチバチと派手に火花を散らしながらガゼラの腹から落下するのも実に説得力がある(笑)。


 華麗に側転を披露したあと、エイティはガゼラを連続して投げ飛ばし、断崖に向かって叩きつけた! ガゼラは元が人形であったせいか、まるで壊れたぜんまい仕掛けの玩具のように全身をドタバタさせながら大地に沈んでいく。
 これも『A』第14話『銀河に散った5つの星』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060805/p1)に登場した殺し屋超獣バラバの断末魔を彷彿とさせる。工作怪獣と殺し屋超獣を同じ壇上で論じるのは不謹慎かもしれないが、ガゼラとバラバって結構スタイルが似てるんだなあ。熱心なバラバファンには怒られるかもしれんが(笑)。


 ガゼラは緑色の炎に包まれて消滅したが、青白い火の玉=怪獣の魂が上空へと飛び去った! エイティが右腕から放ったウルトラアローショットでそれは消滅したが、いつまたマイナスエネルギーを受けて復活するとも限らないのである……


健一「矢的さん、エイティ、僕も向かっていくからね。恐いけど、向かっていくからね」


 健一が手術中にそんなうわごとを繰り返していたと吉村看護婦から聞く矢的。健一と矢的の「勇気ある闘い」は、ここに一応の終わりを告げたのである。



<こだわりコーナー>


*今回からオープニングのタイトルバックが変更され、従来のウルトラ伝統の「影絵」から、矢的をはじめとするUGM隊員の活躍イメージや、第2話『先生の秘密』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100507/p1)、第9話『エアポート危機一髪!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100627/p1)などの特撮場面を編集した実写映像となった。
 で、その中に盛りこまれている大津波の場面に怪獣の黒い足……どうひいき目に見ても『レオ』第1話『セブンが死ぬ時! 東京は沈没する!』か第2話『大沈没! 日本列島最後の日』に登場した双子怪獣ブラックギラスのバンクフィルムを使用したと思われるのだが……都市破壊描写は比較的充実していた『80』だけに、なぜわざわざそんな古い映像を流用したかは不明だが、それっぽいからまあいいか(笑)。


*西山院長を演じた中山昭二は特撮マニアには説明不要かもしれないが、『ウルトラセブン』に登場する防衛組織・ウルトラ警備隊のキリヤマ隊長役で広く知られている。
 意外なことに、元々はバレエダンサーとして幾多の舞踏団に在籍し、52年に故・越路吹雪(こしじ・ふぶき)の相手役として舞台に出演していたところを、日米合作映画『アナタハン』製作のために来日していたジョセフ・フォン・スタンバーグ監督にスカウトされたのが映画俳優への転身のきっかけである。なお『アナタハン』には撮影スタッフとして、特撮監督の故・円谷英二も参加している。
 翌53年に新東宝に入社し、『憲兵』に主演。59年に東映東京に移籍し、ニュー東映製作の数々の劇場作品に出演する傍ら(かたわら)、『ヘッドライト』(62年・日本テレビ)や『青年弁護士』(63年・日本テレビ)に主演するなど、テレビドラマにも進出を果たしている。
 主なレギュラー出演は『少年ケニヤ』(62年・東映 NET→現・テレビ朝日)の主人公ワタルの父・村上大介博士、『特別機動捜査隊』(63〜77年・東映 NET)の藤島主任(氏の出演は71年まで)、『忍者部隊月光』(64〜66年・国際放映 フジテレビ)のあけぼの機関長・南郷、『流星人間ゾーン』(73年・東宝 日本テレビ)のゾーンファミリーの父・防人(さきもり)陽一郎など、やはりキリヤマ隊長同様にグループのリーダー的存在を演じることが多かった。


 時代劇や刑事ドラマへのゲスト出演は数えきれないが、特撮作品ではやはり『ウルトラマン』第31話『来たのは誰だ』の二宮博士役が有名。変わったところでは『イナズマン』第21話『渡五郎(わたり・ごろう) イナズマン死す!?』で村人のひとりを演じている。
 98年にバップが製作したオリジナルビデオシリーズ・『ウルトラセブン』誕生30周年記念3部作への出演オファーを快諾していたが、残念ながら健康上の理由で出演は果たせず、同年12月1日に肺炎のため、70歳で亡くなっている。


*今回UGMのオオヤマキャップ(隊長)は登場するものの、なんと一切セリフを喋らない! 西山院長の通報から事態を重く見て矢的にアイコンタクトで出動を命じたり、健一からの二度の通報で出動を懇願する矢的に無言でうなずいたりするだけなのである。う〜ん、やはり『サインはV』か(笑)。
 おそらくは演じる中山仁(なかやま・じん)のスケジュールの都合でこの回のアフレコへの参加が困難だったことから、それを前提に当初シナリオにあったセリフがカットされたのかと推測されるが、これもなんかそれっぽくてかえっていい感じ。ヘタに別の人間に声をアテられるよりはマシかと(笑)。


*西山病院に健一を訪ねる矢的とエミは私服姿だが、今回のエミは黒のタイトスカートを着用! ムチムチボディにピッタリとフィットしてまぶしすぎるぜ(笑)。


*それに負けないくらいに今回まぶしかったのが、看護婦の吉村鈴子を演じた田中エミ(こちらもエミ・笑)。どことなく女優の紺野美沙子を思わせる清楚な雰囲気である。特撮ヒーロー作品ではチョイ役として看護婦がよく登場するが、今回はかなり出番も多く、ことさら印象に残る。
 なお本文中でも「看護婦」と称したが、現在は「看護士」と呼ぶのが正しいらしい。だが、「看護士」なる名称は「ブルマー排斥運動」と根っこは同じ行き過ぎた男女平等主義であり、個人的にはどうかと思うため、今後も筆者は「看護婦」と呼称させて頂きたく思っている。ご了承願いたい。


*健一が作ったガゼラの人形は薄い青緑色で着色されていたが、巨大化した途端に全身が濃い青色となった。これもひょっとしたらマイナスエネルギーの作用によるものなのか?(笑)
 ところでガゼラ人形の左腕には洗濯バサミが取りつけられているが、右腕のパンチはなんとスーパー戦隊シリーズ『バトルフィーバーJ』(79年・東映 テレビ朝日)に登場した巨大ロボ・バトルフィーバーロボのポピー(現・バンダイ)製玩具のものをそのまま流用しているらしい!
 あと口には健一の父が捨てたライターが修理して取りつけられ、


健一「ダイヤモンドも3秒で溶かすモンスターファイヤー」


 を吐くと健一が設定したにもかかわらず、巨大化したガゼラがそれを披露することはなかった。ダイヤモンドを3秒で溶かすくらいだから、エイティなんかイチコロだったのでは?(笑)


*「怪獣にガゼラっているでしょう。非常に個人的な話になるんですけど、原案は僕の息子なんです(笑)。デザインの山ちゃん(山口修)から、子供が発想した怪獣だから大人の発想にしたくないと、僕のところに相談があって。ちょうど息子が6〜7歳だったから、僕は何も言わないで粘土だけ与えて作らせたんです。最終的には人間が入るから直した部分もあったと思うけど、洗濯バサミとか電池ボックスなんていうのは息子が作った通りだった。息子はデザイン料として小道具で使ったモーターボートのラジコンをもらったんですよ(笑)」
 (撮影・大岡新一インタビュー・『君はウルトラマン80を愛しているか』(辰巳出版・06年2月5日発行・05年12月22日実売・ISBN:4777802124))


 そのラジコンボートって第32話『暗黒の海のモンスターシップ』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101204/p1)で明少年が遊んでいたヤツですね(笑)。


*健一からの「怪獣出現!」の二度目の通報に、フジモリ隊員が


フジモリ「怪獣反応にもレーダーにも、怪獣の「か」の字も出てません!」


 なる迷セリフ。レーダーに「か」なんて文字が現れる方がよっぽどコワいわ(笑)。


*健一が夜空にガゼラの幻影を浮かび上がらせるのに使用していたのは、昔小学館の学習雑誌によく付録として付いていた組立式の幻燈機。って、あんなものでそんな芸当ができるわけがないのだが(笑)。
 ただ世代人としては、まだビデオデッキも普及していなかったころ、付録とともに付いていた薄いビニール製のフィルムを壁に映写して楽しんだ想い出は実に懐かしく残っている。今ではDVDが付録に付いてしまうんだからねえ……


 とはいえ、海辺の病院だから夜霧が多いという設定なのか、白いスモークの中に巨大なガゼラの姿が浮かび上がる合成カットは実によくできている。


*三度目の健一からの電話に出動していく矢的に対し、


フジモリ「あいつは何度だまされたら気が済むんだ?」


イケダ「あきれちゃうよ」


 と二人がヌカした途端、


エミ「フジモリ隊員! ちょっといいすぎよ!」


 とエミがエラい剣幕!


フジモリ「お〜こわ〜っ」


 この一連から、矢的とエミはすでにUGM公認の仲となっていたと解釈できるのではないか?(笑)


*矢的以外のUGM隊員には健一がイソップ童話の「狼少年」のように映っていたようだが、今回は『帰ってきたウルトラマン』(71年)第15話『怪獣少年の復讐』とはテーマが異なるため、健一を「嘘つき少年」として糾弾する場面は描かれていないので念のため。
 そういえばあれに登場する史郎少年も、


史郎「今にエレドータスが現れて、鉄道なんかメチャクチャにしてやるからな!」


 とか、都市を破壊する吸電怪獣エレドータスに対し、


史郎「暴れろ暴れろ!」


 と、当時流行していた玩具のアメリカンクラッカーをせわしなく打ち鳴らして(アレは史郎の内心のイライラを象徴していて実によい!)ケシかけたりしていたし、『A』においては「人間の欲望・妄想・執念が超獣を生み出す」と設定されたりもしていたのである。
 初代『ウルトラマン』(66年)第33話『禁じられた言葉』に登場する悪質宇宙人メフィラス星人科学特捜隊のフジ隊員の弟・サトル少年の心を試そうとアメとムチで「地球をあげます」と云うように迫るのも広義では同じことであろうし、だからぶっちゃけ云えばマイナスエネルギーが怪獣に力を与えるという設定は決して目新しいものではなかったのであり、『80』放映開始当時、第2期ウルトラ以前のシリーズもすでにそんな要素を内包していたという事実に、誰も気がつかなかったというだけの話ではないのか?(爆弾発言!?)


*本文中で話題にしたクレージーゴン、廃材で作ったガゼラ同様、こちらもいかにも資源不足に悩むバンダ星人が作っただけあって、ポンコツ感がにじみ出てますなあ。短い足に終始発する機械音、同じ『セブン』第14&15話『ウルトラ警備隊西へ』に登場する宇宙ロボット・キングジョーのスタイルの良さと機械音を比較するとなおさら。
 だが怪獣デザインって美しさも大事かもしれんが、それ以上にキャラとして面白いかどうかの方が大事なんじゃないか? と個人的には考えている。洗練されたデザインとはいえ、物語の展開やクライマックスにほとんど関係なく登場し、ただ倒されて終わりなだけの平成ライダー初期シリーズの怪人よりも、筆者は『仮面ライダーX(エックス)』(74年)後半のキングダーク編に登場する、古今東西の悪人と動物を合成したGOD(ゴッド)悪人軍団の方によほど魅力を感じるが。ヒトデヒットラーやアリカポネなんて最高だわ(笑)。


*本話をもって『80』のメインライターであった阿井文瓶氏は降板する。
 既に刑事ドラマ『特捜最前線』でのメインライター級のご活躍をはじめ、大人向けの刑事ドラマ数作でご活躍されていた阿井氏のことだからご多忙であったのだろうが、本サークル主宰者が10年前の『仮面特攻隊2000年号』「ウルトラマン80」大特集号を阿井文瓶(現在は小説作家の阿井渉介)氏に進呈して丁寧なご返信をもらったところによると、20年も前の自作が俎上に乗せられ分析的に語られてしまうのは面映ゆい(大意)とのご感想と当時に、脚本の内容を正確に読めないTBS側のプロデューサーに嫌気がさして、最後に「もう結構です」と原稿用紙の隅をトントンと揃えて会議を退席したことが記憶に残っている……とのことだそうである(汗)。
 『80』第1話〜第12話の教師編、第13話『必殺! フォーメーション・ヤマト』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100725/p1)〜第30話『砂漠に消えた友人』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101120/p1)のUGM編、そして第31話『怪獣の種(たね)飛んだ』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101127/p1)〜第42話『さすが! 観音さまは強かった!』((http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110212/p1))の児童編それぞれのトップバッターも務め、本意であったかはともかく大人の態度でそれぞれの路線の作品世界を見事に構築していたと思えるだけに、氏の降板は残念である。
 その代わりなのか、阿井氏が1972年に30歳を過ぎてから上京して真っ先に転がり込んだ先である師匠筋に当たる脚本家・石堂淑朗(いしどう・としろう)先生が(阿井氏自身は石堂先生の口利きでウルトラシリーズの本編撮影現場を手伝いながら、翌73年には早くもデビュー)、ウルトラシリーズにカムバックして独特の魅惑的なワールドを展開していくことになる。
 その詳細は、次回の第34話『ヘンテコリンな魚を釣ったぞ!』評以降にて!


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2010年春号』(2010年4月11日発行)〜『仮面特攻隊2011年号』(2010年12月30日発行)所収『ウルトラマン80』後半再評価・各話評より分載抜粋)


[デジタル・ウルトラ・プロジェクトのチーフプロデューサーによるインタビュー]

電子書籍『脚本家 阿井文瓶の原点「脚本家として、小説家として」』

  http://www.ebookbank.jp/eobook/ep/item/1-106041/(2019年現在・リンク切れ・汗)



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