假面特攻隊の一寸先は闇!読みにくいブログ(笑)

★★★特撮・アニメ・時代劇・サブカル思想をフォロー!(予定・汗)★★★ ~身辺雑記・小ネタ・ニュース速報の類いはありませんので、悪しからず!(笑)

ウルトラマンエース29話「ウルトラ6番目の弟」 〜名脚本家・長坂秀佳登板!

ファミリー劇場ウルトラマンA』放映・連動連載!)


ウルトラマンメビウス#29「別れの日」、#30「約束の炎」 〜30数年後にウルトラの星が見えた男・タロウ客演前後編!
「ウルトラマンA 再評価・全話評!」 〜全記事見出し一覧


(脚本・長坂秀佳 監督・山際永三 特殊技術・佐川和夫)
(文・久保達也)
 マニア間では悪名高いウルトラ6番目の弟・ダン少年編の開幕である。


 当時『人造人間キカイダー』(72年)を多数執筆し、その後『キカイダー01(ゼロワン)』(73年)や『仮面ライダーX』(74年)、『少年探偵団(BD7:ビー・ディー・セブン)』(75年)や『アクマイザー3(スリー)』(75年)に『快傑ズバット』(77年)、
 刑事ドラマ『特捜最前線』(77〜87年)にTBS金曜ドラマ『都会の森』(90年)、ゲームソフトのエポックメイク作『弟切草(おとぎりそう)』(92年)、映画『ウルトラマンゼアス』(96年)など、数々の作品のメインライターを担当し傑作を残したことから、現在でもマニア間で人気が根強い長坂秀佳(ながさか・しゅうけい)の『ウルトラマンA(エース)』(72年)初参加の作品でもある。


 果たして、現在の視点で改めて見返したときに、そこになにがあるのか否や……



 事故死した父のことを「酔っぱらい運転」だと周囲にからかわれ、常日頃から大きなことを口にすることから嘘つき呼ばわりされるダン少年が今回からレギュラーとなる。


 京浜工業地帯に出現した地底超獣ギタギタンガが破壊した跡には強いアルコール臭が漂っていた。
 北斗の調査で一年前のダンの父親の事故死は飲酒運転が原因ではなく、少女を救うためにギタギタンガに向かって車で突っ込んだのが真相であることが判明する。
 その証拠写真をダンに見せる北斗。


 本来であれば父の疑いが晴れたのだから喜びそうなところだが、ダンは


 「おまえの云っていることは全部ウソだ!」


 と写真を放り投げて泣きながら河原を走り去ってしまう。


 第2期ウルトラ作品のこうした展開が他の子供番組と異にするところであり、ドラマ面では最も注目すべきところなのである。



 前作『帰ってきたウルトラマン』(71年)第15話『怪獣少年の復讐』(脚本・田口成光 監督・山際永三 特殊技術・高野宏一)に登場した少年・史郎
 ――演じるは『超人バロム・1(ワン)』(72年)に合体変身する白鳥健太郎をはじめ、この当時の特撮ヒーロー作品のほとんどにゲスト出演していた高野浩之。後年、『ウルトラマンティガ』(96年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961201/p1)でも地球の先住民(太古に飛来した異星人?)・炎魔人キリエル人(びと)(姿は人間と同じ)を数話に渡って演じる――
 も電車の運転手をしていた父を吸電怪獣エレドータスに殺された。


 これまた本来ならエレドータスを倒して父の仇をとるなんて口にしそうなところを


 「今にエレドータスが現れて、鉄道なんかメチャクチャにしてやるからな!」


 などと発言しており、異様に屈折した内面を見せていた。


 同様の境遇であるダンも、強い人であると信じていた父がこともあろうに事故の原因が飲酒運転であったと知らされたときは相当のショックであっただろう。だが今回ダンは北斗から事実を明かされたことによってそれ以上のダメージを受けてしまうのだ。



 それがどういうことなのか説明しよう。ダン少年がウルトラの星を見ることができる能力を有していることを知った北斗は


 「あの星は『負けるもんか!』と思ったときに見える星なんだ」


 などと説明していたのだが、北斗はダンに事故の真相を明かした際にそこを的確にツっこまれ、


 「あのとき父さんだって『負けるもんか!』って思ったハズだ。それなのに父さんは死んじゃったし、エースだって助けにきてくれなかったじゃないか!」


 と論理的に責められる。それに対して


 「それは……、君の父さんが『もうだめだ…』と思ってしまったからなのかもしれない……」


 などと窮した北斗があまり根拠もなく適当な回答で済ませようとした対応がまずかったのだ。
 強い人間であると信じていた父が、超獣に襲われた際に「もうだめだ」と思ってしまった。
 たったひとつの心の拠(よりどころ)であった父が本当は弱い人間であったと聞かされたのだ。まさに偶像の破壊であり、こんなことならいっそのこと飲酒運転の方がよほどマシであったとダン少年は考えたのではないだろうか。


 先述の『帰ってきた』第15話でも史郎の父が運転する電車がエレドータスに転覆させられたという話(劇中内実話)に対して、主人公・郷秀樹が


 「ウソをつくな!」


 と史郎を平手打ちしてしまうシーンがある(!)。
 子供の味方・人気者である変身ヒーローがあろうことか無謬ではなく、まだ未完成で発展途上の若者・青年に過ぎず、子供を傷つけてしまう場面を描くことによって、子供と正面から真剣に向き合うことがいかに難しいかをこれらの作品では世の親に問いかけているのである
 (もちろん失態があっても、彼らは事態を改善しようと向き合い続けていくのだが)。


 「学級崩壊」が叫ばれて既に久しいが、近年では中学や高校で校内暴力が減少しているのに小学校では逆に増加しているなどとも報道されている。
 もちろん72年当時はまだそんな深刻な状況とは程遠いものであったろうが、そんなころにこうした作品を生み出したスタッフたちにはやはり時代の先見性があったのだし、それこそ子供たちに対して真剣に向き合っていたのだと思われる。
 子供の心の闇に迫ったこうした作品が今こそ必要なのではないか。


 またダンは両親(母親はダンを生んだ直後に死亡)を失って以来、姉の香代子
 ――ダンが予言した通りにギタギタンガが工場を襲撃したことから香代子は務めていた工場を解雇されるが(!)、これもリストラばやりの現代に通じるリアリティのある描写である――
 に育てられ、史郎は祖父に育てられたが、郷が訪れた際に祖父が


 「やはり甘やかしたんですかね……」


 と寂しそうにつぶやく場面が実に印象的であった。
 そう、ダンも史郎も不幸な境遇の身の上であるが、劇中内での絶対正義としては描かれていないのである。子育てに悩んで我が子に手をかけるなどという事件が多発(?)する昨今、これら善悪両面・多面的な子供の描写がある本作は、やはり世の全ての親必見なのではなかろうか?


 地底超人アングラモンによってダンは断崖絶壁から転落しそうになるが(これがマジですごいガケで、ダン役の梅津昭典が体を張って演技している!)、ダンは


 「負けるもんか! 負けるもんか!」


 と叫び続ける。
 その声に反応したエースが劣勢から優勢へと変わる本編と特撮のリンクが実に見事であり、ギタギタンガはエースリフターで叩きつけられて木っ端微塵に。
 地震光線(!)で反撃に出たアングラモンによって地底に落ちそうになるエースであったが


 「地底人の弱点は胸だよう!」


 というダンの声にハンドビームでアングラモンを燃え上がらせた。
 「怪獣と人間のドラマが分離して進む奇妙な現象」だなんて断じて云わせないぞ!(笑)



<こだわりコーナー>
*アングラモンの声を演じたのは阪脩(さか・おさむ)であると思われるが、氏は奇しくも同じ長坂秀佳が書いた『帰ってきたウルトラマン』第41話『バルタン星人Jr(ジュニア)の復讐』でもバルタン星人ジュニアの声を演じている。
 ただ辰巳出版『僕らのウルトラマンA』(00年・ISBN:4886415180)によれば、アングラモンの着ぐるみは第5話に登場した地底エージェント・ギロン人の改造だったそうだから、ギロン人を演じた沢りつおがやっても良かったかもしれない。


*脚本家・長坂秀佳があまたの作品でテーマとしてきた「父と子」。ダンの父は本作では既に死していたとはいえ、本作もまたそのテーマの変奏版でもある。
*ちなみに長坂先生は、この作品を生まれたばかりのご子息への遺言のつもりで執筆したとか……。長坂先生のご子息の名前は「断」だそうである。


*ダンの父が亡くなったのは墓標によれば「昭和46年(1971年)」なので、この回は確かに放映と同じ72年の物語である。というか71年にギタギタンガがダンの父を殺害しているということはそれ以前から超獣が出現していることを示唆しているわけであり、第20話『青春の星 ふたりの星』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061008/p1)で北斗がTACに入隊したのが69年であるとされていることの裏付けにもなっているのである(!?)。
 しかしそうなると『帰ってきたウルトラマン』はやはりいつの作品なんだ?(笑) あれだけ70年代の風情を感じる作品の中で描かれている時代が69年以前であるとはとても思えないのだが……
 (もちろん大人の余裕ある知的遊戯としてならともかく、マジツッコミしても正解のない不毛な話であるのは念のため)


*今回の再見で実にみごたえのある作品だと感じた第29話であるが、やはり北斗の単独変身は少し寂しかった。
 ちなみにデジタルウルトラプロジェクト発売のDVD『ウルトラマンA』Vol.8(asin:B00024JJI8)の解説書ではこの件について、北斗を演じた高峰圭二が以下のように語っている。


 「夕子がいなくなったことが僕の演技に影響を与えたみたいなことは特にありません。ただ夕子がいなくなったことによって、今までだったら二人で空中回転して「ウルトラタッチ!」って派手にやっていたものを、北斗がたったひとりでやらなければならなくなった。どう考えても地味だからさ、健ちゃん(俳優・桜木健一)にも相談してカッコイイ変身ポーズをいくつか考えたんだよ。なのに「『仮面ライダー』じゃないから」ってプロデューサーと監督に却下されて、いちばん単純なポーズを採用されたんですね(笑)」


*視聴率23.6%


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2007年号』(06年12月30日発行)『ウルトラマンA』再評価・全話評大特集より抜粋)


[関連記事]

ファミリー劇場『ウルトラ情報局』ウルトラマンA編 〜2・脚本家・長坂秀佳出演!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070708/p1

ウルトラマンエース#29「ウルトラ6番目の弟」 〜名脚本家・長坂秀佳登板!

  (当該記事)

ウルトラマンエース#34「海の虹に超獣が踊る」 〜長坂秀佳脚本第2弾!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061223/p1

ウルトラマンエース#36「この超獣10,000ホーン?」 〜長坂秀佳脚本第3弾!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070109/p1


ウルトラマンエース#35「ゾフィからの贈りもの」 〜子供に過ちを犯す主役!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061231/p1


[関連記事] 〜30数年後にウルトラの星が見えたもうひとりの男!

ウルトラマンメビウス#29「別れの日」、#30「約束の炎」 〜タロウ客演前後編!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061203/p1



DVDウルトラマンA Vol.8

DVDウルトラマンA Vol.8



「ウルトラマンA 再評価・全話評!」 〜全記事見出し一覧