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ウルトラマン80 宇宙大戦争 ~マンガ版最終章は連続活劇! TVでも観たかったウルトラ兄弟vsバルタン軍団総力戦!

ファミリー劇場ウルトラマンエイティ』放映記念「全話評」連動連載!)
『コロコロコミック増刊号 ウルトラマンPART1』&『2』 ~『ザ・ウルトラマン』&『コロコロ増刊』ウルトラ特集記事の時代!
『ウルトラマン80』#37「怖れていたバルタン星人の動物園作戦」 ~UGM&子役らの石堂節のセリフ漫才が炸裂!
『ウルトラマン80』#45「バルタン星人の限りなきチャレンジ魂」 ~俗っぽい侵略の超合理性!
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『ウルトラマン80』全話評 ~全記事見出し一覧


ウルトラマン80 宇宙大戦争』 ~マンガ版最終章は連続活劇! TVでも観たかったウルトラ兄弟vsバルタン軍団総力戦!

居村眞二・幼児誌『てれびくん』1980年度連載『80』コミカライズ作品)

(文・久保達也)
(2010年6月執筆)

1980年10月号『あやしい流星』 ~古代怪獣ゴモラ&バルタン星人登場! 初代ウルトラマンも客演!


 初代『ウルトラマン』(66年)第2話『侵略者を撃て』での初登場以来、再三に渡ってウルトラシリーズで再登場を果たすほど、全ウルトラ怪獣の中で圧倒的な知名度と人気を誇る宇宙忍者バルタン星人!


 『ウルトラマン80(エイティ)』(80年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971121/p1)本放映当時、小学館『てれびくん』で連載されていた居村眞二(いむら・しんじ)先生による『ウルトラマン80』のコミカライズ作品では、80年10月号『あやしい流星』において、第22話『惑星が並ぶ日なにかが起こる』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100926/p1)でひと足早く復活していた古代怪獣ゴモラとともにバルタン星人が登場する!



 宇宙に発せられている謎の電波を調査していた矢的の眼前に巨大な隕石が落下するが、その中から古代怪獣ゴモラが出現する! たまたま付近を通りかかった村娘を守るため、主人公・矢的猛(やまと・たけし)はウルトラマンエイティに変身するが……


村娘「ふふふ、わなにはまったわねエイティ!!」


エイティ「な、なに!」


村娘「くくく……」


エイティ「あっ、き、君は……」


 エイティの眼前で、村娘は巨大化し、その正体を現した!


バルタン星人「きさまらウルトラ兄弟に苦しめられたバルタン星人よ!」


 その巨大なハサミから波状光線を浴びせかけるバルタン星人!


バルタン星人「父や兄の仇(かたき)!」


 大地に伏したエイティを巨大な足で踏み潰そうとするゴモラ


バルタン星人「冷凍光線をお受け!!」


 両者の攻撃からとっさに身をかわし、


エイティ「ウルトラブーメランを受けろ!」


 『ウルトラマン80』放映開始当初、『てれびくん』『コロコロコミック』や各種学年誌では発表されるも、設定のみでテレビ本編ではついに映像化されずに終わった、ウルトラセブンが頭頂部のトサカを放つアイスラッガーに相当する幻の必殺技・ウルトラブーメランを繰り出そうとするエイティ!


 だが大地が割れ、中から出現したゴモラが鋭いツノでエイティに一撃を加える!


バルタン星人「ゴモラと私に勝てるはずがないわ! 今までわが一族が受けた苦しみを味わいながら死ね!」


 バルタン星人の冷凍光線をまともに浴びせられ、胸のカラータイマーが点滅するエイティ!


エイティ「おれは、このままバルタンにやられてしまうのか……」


 だがそのとき、天空から一条の光がバルタン星人を急襲した!


バルタン星人「こ、この光は!!」


エイティ「力が戻ってきたぞ! ウルトラブーメランだ!!」


 ウルトラセブンアイスラッガーのように、頭頂部からエイティが放ったウルトラブーメランがゴモラの首を切断した!


バルタン星人「あっ、ゴモラが! エイティ!! いずれこの礼は……」


エイティ「逃がさんぞバルタン星人!! サムシウム光線だ!!」


 宇宙へ逃れようとするバルタン星人めがけ、必殺のサクシウム光線を炸裂させるエイティ!


エイティ「か、勝った…… あの不思議な光のおかげで…… ん!? ウルトラサインだ!」


 勝利したエイティを祝福する、空に輝くウルトラサイン!


ウルトラサイン「あやしい流星を追って地球へやって来たんだが…… よくやったぞエイティ!! (初代ウルトラマン)」


エイティ「それじゃあ、あの光は、初代ウルトラマンスペシウム光線だったのか!」


 地球を見降ろしてエイティに語りかける初代ウルトラマン


ウルトラマン「エイティ、がんばれよ。ウルトラの国では、みんながおまえの行動を見守っているぞ!」


矢的「ありがとう、ウルトラマン!!」



 わずか12ページの短編ながら、バルタン星人やゴモラのみならず、初代ウルトラマンまでをも登場させる大サービスぶり! テレビ本編でもこんなウルトラ兄弟客演話が観たかった!
 しかも、バルタン星人は初代のデザインながらも女性であり、過去にウルトラ兄弟に倒されたバルタン星人の娘や妹であるという設定もほかに例がなく、きわめてポイントが高い!


 実は『ウルトラマン80』テレビ本編には歴代ウルトラ兄弟は一度たりとも客演したことがなかった。それはおそらく78年に発行された本邦初の年長マニア向け特撮書籍に、遠回しにウルトラ兄弟客演編を否定的に記述した、第1世代の特撮マニア上がりのライターによる影響で、ウルトラ兄弟やウルトラファミリーの設定がウルトラマンの俗人化を惹起して神秘性を奪うとする論法に、作り手側が悪い意味で影響を受けてしまったためだろう。
 しかし、当時の子供たちは『80』にウルトラ兄弟が客演しないことが大いに不満であり、不自然にも思っていたものだ。ところが、『てれびくん』編集部と居村眞二先生は、子供たちのそのへんの機微を汲んだのか、ラストにチラリとだけではあるけれど、初代ウルトラマンを登場させて、しかもエイティに勝機を与えることで、読者である子供たちに華やかなイベント編的な興趣(きょうしゅ)も与えたのだ!


80年11月号『怪獣魔城の怪獣魔王』・12月号『ウルトラの母を救い出せ!』・81年1月号『怪獣魔王の正体は!?』 ~3話連続ストーリー! ウルトラ兄弟の長男・ゾフィーと共闘!


 そして、80年11月号『怪獣魔城の怪獣魔王』、12月号『ウルトラの母を救い出せ!』、81年1月号『怪獣魔王の正体は!?』で、捕らわれたウルトラの母を救うため、エイティがウルトラ兄弟の長男・ゾフィーとともに、怪獣軍団と激闘を繰り広げる連続ストーリーの3部作を展開!


 これに続いて、『てれびくん』における『80』のコミカライズ最終章はメインタイトルまで『ウルトラマン80 宇宙大戦争』と改題。エイティ&ウルトラ兄弟VSバルタン星人大軍団を描く一大連続スペース・オペラへと変貌(へんぼう)を遂げたのである!


ウルトラマン80 宇宙大戦争』 ~3話連続ストーリー! 大宇宙を舞台にウルトラ一族vsバルタン軍団総力戦!

1981年2月号『バルタン大軍団侵略開始』


 81年2月号『バルタン大軍団侵略開始』では、バルタン星人の機動部隊がSP5星雲のウルトラベースを急襲!


 このSP5星雲も、ウルトラ一族が結成した宇宙警備隊の支部がある星雲として、1970年代から設定されていた、怪獣博士タイプの子供であれば知っている、由緒(ゆいしょ)のあるものなのだ。


 そして、機動部隊の機動兵士は、『ウルトラQ』(66年)第16話『ガラモンの逆襲』に登場した宇宙怪人セミ人間のデザインで描かれている(特撮マニア諸氏には説明不要かと思うが、初代バルタン星人の頭部はセミ人間のそれにハサミ状のツノを付けるかたちで造形したとされている)。


 部隊のリーダーの姿は、初代『ウルトラマン』第16話『科特隊宇宙へ』に登場したバルタン星人2代目の姿をした個体!


 こういった処置は一部のマニア受けを狙ったものではない。70年代末期から当時は第3次怪獣ブームの時代で、子供向けの怪獣大百科が大量に発行されていて、飽かずに眺めていた時代なので、怪獣博士タイプといわず小学校中高学年の子供たちの少なくない数が、バルタン星人の初代や2代目などの区別がついていた時代でもあるのだが、なんともマニアックで嬉しい趣向であったのだ!


 ウルトラベース全滅の一報を地球のウルトラマンエイティに伝えるため、ウルトラの父はエイティの幼馴染(おさななじ)みであるウルトラ戦士・ユタを地球へと派遣する!


 人間の姿になったユタと久々の再会を果たす矢的。


 だがそのとき、上空を防衛組織・UGMの戦闘機スカイハイヤーが超低空飛行するのを矢的は目撃!


 光波バリヤーで姿を隠しているバルタン星人とUGMの戦いが始まったのである!


 バルタン星人の見えない攻撃により、オオヤマキャップが搭乗するスカイハイヤーが撃墜!


 キャップを救うため、矢的はエイティに変身する!


 ここで姿を現したのは、今度は『帰ってきたウルトラマン』(71年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20230402/p1)第41話『バルタン星人Jr(ジュニア)の復讐』に登場したバルタン星人ジュニアの姿をした個体!(笑)


 苦戦するエイティに、ユタもウルトラ戦士の姿に変身する!!


 だが、上空に浮かぶバルタン星人のUFOから殺人エネルギー線が放たれた!


 エイティをかばって、まともに直撃をくらってしまうユタ!


 これまた、初代『ウルトラマン』第2話に登場したバルタン星人の円盤のデザイン(!)で描かれたUFOを、必殺技・サクシウム光線で破壊し、バルタン星人ジュニアをウルトラブーメランで真っ二つに切断するエイティ!


 ともに遊んだ幼き日々を回想し、宇宙空間にユタを葬るエイティ。


バルタン星人2代目「エイティは去った。ユタの死体を収容しろ! これですべて準備は整ったぞ!! ふふふ、全宇宙はわがバルタン大軍団のものになるのだ! ウルトラ戦士はみな殺しだ!!」


1981年3月号『バルタン軍団総統の罠』


 3月号『バルタン軍団総統の罠』において、エイティは故郷・ウルトラの星にある宇宙警備隊本部でユタの死を報告する。


 しかし、そのときユタが警備していた第三星区ウルトラベースが、バルタン大軍団の奇襲攻撃を受けて全滅!


 占領されたウルトラベースに、宇宙戦艦(!)で突撃するウルトラの父ウルトラ兄弟


 セミ人間の機動兵士を片っ端から蹴散らしていく!


 自爆装置を起動させるため、ベース中央部へと突入するウルトラ兄弟


 遅れてかけつけるエイティだが、その眼前でシャッターが降りてしまう!


バルタン軍団総統「ふふふ、罠にはまったねずみだな…… もはやウルトラ戦士もこれまでだ……」


 殺人光線を浴びせられ、次々に倒れるウルトラ兄弟


エイティ「くそっ! サクシウム光線でトビラをぶちやぶってやる!」


バルタン軍団総統「やめろ! むだなことだ。おまえの仲間はもうこの世にはいないぞ!」


エイティ「なにっ!!」


 総統の声に振り返ったエイティは、その姿を見て愕然(がくぜん)とする!


エイティ「ああっ、おまえは……!!」


1981年4月号『宇宙の平和のために!』(最終回)


 4月号『宇宙の平和のために!』でバルタン軍団総統の姿が明らかになる! なんと死んだはずのウルトラ戦士・ユタがバルタン星人の頭部を模したマスクを被り、強化服姿でエイティの眼前に現れたのである!


ユタ「おれの頭脳のよさ、支配者にふさわしいことを全宇宙に知らしめてやるのだ!」


 その姿を見て、真のバルタン軍団総統である初代バルタン星人の姿をした個体がほくそ笑んでいた!


バルタン軍団総統「ふふふ、ユタの奴め、うまく総統役を演じておるわ」


 テレビ本編である『ウルトラマン80』第37話『怖(おそ)れていたバルタン星人の動物園作戦』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110108/p1)に登場した、バルタン星人5代目の姿をした個体がここで配下として描かれる!


バルタン軍団総統「我々が宇宙を支配したときのユタの処分は!?」


バルタン星人5代目「はっ! ご心配なく。ユタが強化服とマスクをとると、体にしかけた時限爆弾が爆発するようになっています」


バルタン軍団総統「ふふふ、わしが全宇宙の支配者となれる日も、間近だわ!」


 そのとき地球では、バルタン星人とUGMの壮絶な戦いが繰り広げられていた! ここで暴れているのは、なんと低予算の平日帯番組『ウルトラファイト』(70年)の新規撮影分に登場したアトラクション用の「星人」抜きの名前の「バルタン」の姿をした個体であった!(笑)


オオヤマ「おい星隊員、無理な攻撃をしすぎるぞ!」


星涼子「すみませんキャップ! でも矢的隊員のいない今……」


 なんと! 『80』テレビ本編の第4クール・ユリアン編同様、ウルトラの星の王女・ユリアンこと星涼子隊員も初登場編こそ省かれたが、すでに防衛組織・UGMの隊員として活躍している! といったかたちで、彼女も登場させているのだ!


 星涼子が搭乗するスカイハイヤーが、バルタンのハサミからの光線で撃墜される!


星涼子「ウルトラの父はこのことを予測していたのね」


 涼子はウルトラの女戦士・ユリアンに変身! バルタンに強烈なキックを見舞う!


ユリアン「それで私をエイティの代わりに地球へ送ったのだわ」


 端的な描写だとはいえ、本漫画ではそれまで登場していなかった涼子=ユリアンが、すでに地球に滞在して活躍している理由を説明して、すでにUGMの隊員としても活躍中だったのだ! と感じさせる点描で、子供の読者でも感じてしまうだろう唐突感を和らげて、納得感を与えているあたりもウマいのだ!


 突き出した両腕から放ったウルトラフラッシュでバルタンを倒すユリアン


ユリアン「行かなくては、第三星区に……」


 出るところは出て、引っ込むところは引っ込んだ、ボン! キュッ! ボン! のナイスバディで描かれたユリアンは正直、実物よりも魅力的かもしれない(笑)。


 そのころ、第三星区のウルトラベースでは……


バルタン軍団総統「なにごとだ!」


バルタン星人5代目「はっ、自爆装置の警報サインです。あと10分でウルトラベースは消滅です!」


バルタン軍団総統「なに! どうしてそんなことが起きたんだ! なんとしても爆発をくいとめるのだ!」


 そこに姿を現すウルトラの父


ウルトラの父「ここの自爆装置は、動きだしたらもう止められないのだ!」


バルタン軍団総統「なに? あっ、ウルトラ兄弟たちだ!! バ、バカな。やつらは死んだはず……」


 復活したウルトラ兄弟が機動兵士と戦う姿をモニターで見て、驚愕(きょうがく)するバルタン軍団総統。


ウルトラの父「そう、確かに一度は死んだ。貴様がウルトラ戦士のユタを生き返らせたように、私がみんなを甦らせたのだ!」


 ウルトラベース爆発の秒読みが開始される中、宇宙空間ではユタがエイティを倒さんとしていた!


エイティ「やめろユタ!」


 遂にウルトラベースが大爆発! 爆風に吹き飛ばされるエイティとユタ! その衝撃でマスクと強化服が外れ、ユタは意識を取り戻すが、体内の時限爆弾が起動を始めた!


ユタ「お、おれは今まで何を? ん! この音は!?」


 無事に脱出したウルトラ兄弟の眼前で、バルタン星人の宇宙母艦が逃走する!


ウルトラセブン「あっ、バルタン星人の宇宙母艦だ!」


ウルトラマン帰ってきたウルトラマンことウルトラマンジャック)「にげるつもりだ!」


ウルトラマンエース「あっ、ユタが宇宙母艦のあとを……」


ユタ「エイティ、許してくれ! 宇宙母艦はおれがかたづける!」


エイティ「ユタ!」


 宇宙母艦に突撃するユタ!


ユタ「バルタン星人め、おれの体に時限装置をしかけたな! 許せん! おれといっしょに宇宙へ散れ!」


バルタン軍団総統「わあぁぁぁ……」


 宇宙母艦は大爆発! 猛烈な轟音と閃光が宇宙にほと走る!!


ゾフィー「おお、やった!!」


ウルトラの父「すまぬユタ! バルタン星人に洗脳され、あやつり人形として使われたユタ。全てはわしが、バルタン星人の企みをさぐるという危険な使命を与えたためだ」


エイティ「そうだったのか…… ウルトラ一族のために…… ユタ!!」



●漫画家・内山まもる先生による学年誌に連載された『ウルトラマンレオ』(74年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20090405/p1)コミカライズ(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20061028/p1)の最終章3部作
●『ウルトラマンティガ』(96年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961201/p1)・『ウルトラマンダイナ』(97年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971201/p1)・『ウルトラマンガイア』(98年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19981206/p1)の各最終回3部作(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091211/p1http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091212/p1


 なども彷彿(ほうふつ)とさせるような、強大な敵に主役側が総力戦で挑むという圧倒的なスケール感・ゴージャス感を読者に充分に堪能(たんのう)させて、オリジナルのウルトラ戦士・ユタまで登場させるかたちで、『てれびくん』における『ウルトラマン80』コミカライズは幕を閉じた。


 正直に云って、このように宇宙規模でスケールが拡大していき、歴代の先輩ウルトラ兄弟たちも頻繁に助っ人参戦したり、最終展開ではウルトラ一族全員集合の総力戦になるような内容の『ウルトラマン80』をテレビ本編でこそ観たかったご同輩も、当時は多かったことだろう!


――そして、続けて『てれびくん』81年5月号からは、ウルトラ一族とも共闘するヨロイをまとったヒーロー・アンドロメロスたちアンドロ超戦士と、ジュダ・ギナ・モルド三兄妹を擁するグア軍団との戦い、そしてウルトラの星の秘史をもタイムスリップを通じて描いていく長期連載漫画『ウルトラ超伝説』(81~86年)がスタートするのだ!――



 本作『宇宙大戦争』の内容を見るだけでも、『80』放映当時においても、児童間でいかにバルタン星人が絶大な人気を誇っていたか、そしてテレビシリーズでも大活躍することがどれだけ待望されていたか、伺い知ることができるというものだろう。その期待値は実際に『ウルトラマン80』のバルタン星人登場編の視聴率に結果となって表れているのだ。


 本誌『假面特攻隊2010年冬号』(10年2月7日発行)に掲載された、特撮同人ライター・森川由浩氏調査の『ウルトラマン80』関東・中部・関西全話視聴率表によれば――『假面特攻隊2011年号』(10年12月30日発行・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101206/p1)にも再録(後日付記:完売)――、関東地区で第16話『謎の宇宙物体スノーアート』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100815/p1)以降、ずっとひとケタだった視聴率が、第37話『怖れていたバルタン星人の動物園作戦』では10.8%を記録、中部地区では12.9%と、前回の第36話『がんばれ! クワガタ越冬隊』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110101/p1)がそれぞれ7.6%、9.7%だったのに対し、ともに3.2%もの上昇を遂げたのである!


 だが意外や意外、関西地区では第36話が9.4%だったのに対し、今回は8.6%と下降するどころか、なんと『80』全話中で最低の視聴率を記録してしまったのであった――関西地区で『80』がひとケタを記録したのは、第31話『怪獣の種(たね)飛んだ』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101127/p1)と第36・37話の3回のみである――。


 ちなみに、ウルトラシリーズ最新作『ウルトラマンメビウス』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070506/p1)の視聴率を見ても、地域別にそれぞれの嗜好(しこう)が如実に反映されているようであり、実に興味深いものがある。本誌『假面特攻隊2008年号』(07年12月発行)に掲載された、森川氏調査による『メビウス』視聴率表によれば、各地域の最高視聴率は関東が第39話『無敵のママ』(6.4%)、中部が第43話『脅威のメビウスキラー』と第45話『デスレムのたくらみ』(ともに7.1%)、関西が第32話『怪獣使いの遺産』(7.0%)という具合だったのだ。これを強引に解釈するなら、関東では人情派コメディ、中部では正統派のヒーロー活劇、関西では社会派のアンチテーゼ編が好まれるということになるのだろうか?


――残念ながら、関東での『無敵のママ』の突出した視聴率は、放映当日の午後に千島列島沖地震が発生して終日、テレビ画面の右隅に日本列島の線画付きの津波警報が表示され、その情報を観るためにテレビを付けていた視聴者が多かったためだろう。『怪獣使いの遺産』についても話題づくり・宣伝目的もあったのだろう、3大新聞などで事前に脚本を務めた朱川湊人(しゅかわ・みなと)のインタビューが掲載された効果も微量にはあっただろう。
 よって視聴率は、各地域の各話単独の作風や出来に対する視聴者の好悪を測る純粋に統計的な数値とは云い難いことも事実なのだ。かつて、視聴率の調査会社はビデオリサーチとニールセンの2社があった。そして、この両者が提示した結果には相当な差異があり、関東と関西での視聴率の高低が双方で逆転していることも往々にしてあったのだ。加えて、統計学的に有意なサンプル数なり平均的な視聴者をゲットできているのかといった根強い疑問も提起されており、実際の真の視聴率とは相応に誤差も生じていると見た方がいいので、あくまでも参考程度にとどめた方がよいのだろう――



 特撮雑誌『宇宙船』の創刊号(朝日ソノラマ・80年1月30日発売)に掲載された、当時の主要な特撮同人誌の主宰者たちによる座談会の席上で、『宇宙船』編集部側の人間のこんな発言があったように記憶している。


「うちのファンコレ『ウルトラマン』――引用者注・『ファンタスティックコレクションNo.2 ウルトラマン 空想特撮映像のすばらしき世界』(朝日ソノラマ・78年1月25日発行)――が売れたのも関西からだった」


 本邦初のマニア向け書籍の売上初動が早かったり――フジテレビ系の関西テレビで78年3月9日(木)から夕方16時30分の平日帯番組(おびばんぐみ)枠で『特集! ウルトラ60分』と銘打って、『帰ってきたウルトラマン』を皮切りに歴代ウルトラシリーズが2話連続の2本立てで再放送されたことも後追いとなったのだろう――、アメリカのSFテレビドラマ『宇宙大作戦(原題・スタートレック)』(66~69年・日本放映69年)がエンドレスで再放送されていたり、関東ではなかなか再放送がなかった『怪奇大作戦』(68年・円谷プロ TBS)のような作品が80年代中盤にマニア向けとおぼしき深夜枠でリピートされたりといった現象から、関西も古くから熱心な特撮マニアが多数開拓されてきた土地柄ではある。そんなマニアックな人々の目線で見て、大人気のバルタン星人が再登場するような話は「極めて安直だ!」などと思われて視聴をボイコットされてしまったのであろうか?(笑)


 ……まぁ、当時の熱心な年長の特撮マニアたちは『ウルトラQ』(66年)・初代『ウルトラマン』・『ウルトラセブン』(67年)といった第1期ウルトラシリーズの至上主義者であったから、本作『ウルトラマン80』などはシリーズ序盤で早々に視聴をリタイアしてしまって、この中盤の時期にはそもそも鑑賞さえしていなかっただろうが(汗)。


 周知の通り、関西は毎週土曜の午後に『吉本新喜劇』が放送されているようなお笑いの本場である。そこでは関東ではウケるような芸人が、まったく受け入れられないという厳しい現実が存在したりもする――もちろん、逆に関西ではウケた芸人が関東で『笑っていいとも!』に出演した際にはウケなかったという月亭八方のようなケースもある――。


 石堂先生の脚本回である第36話・37話が、2週連続で『80』全話中ワースト2位・ワースト1位の視聴率を記録したのは、氏が紡(つむ)ぎ出すような大阪的な「漫才」というよりも江戸の下町「落語」的な「噺(はなし)」のギャグは関西ではウケなかったということなのかもしれない!? そして、関西人は赤信号を無視して横断歩道を渡る人間が数多いといったことから(一般化したくはないが、統計上そうした結果が出てしまっている・笑)、気が短いという気質も見受けられるのだ。バルタン星人の登場を期待してテレビの前に座りつつも、なかなか登場しないことにイライラし、


「しょーもないことばっかしやがって! はよバルタン出せや!」


 と怒り出し、チャンネルを替えてしまった人々も多かったのだろうか?(笑) 冗談はともかく、次に論評する第37話『怖れていたバルタン星人の動物園作戦』はたしかにそうした側面もあるエピソードではあるのだ。


ウルトラマン80』第37話『怖れていたバルタン星人の動物園作戦』 ~UGM&子役らの石堂節のセリフ漫才が炸裂! バルタンin児童編!

d.hatena.ne.jp



(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2011年号』(2010年12月30日発行)所収『ウルトラマン80』後半再評価・各話評より分載抜粋)


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