假面特攻隊の一寸先は闇!読みにくいブログ(笑)

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ウルトラマン80 9話「エアポート危機一髪!」 〜佳作

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『ウルトラマン80』全話評 〜全記事見出し一覧


第9話『エアポート危機一髪!』 〜合評1

オイル怪獣ガビシェール登場

(作・阿井文瓶 監督・湯浅憲明 特撮監督・川北紘一 放映日・80年5月28日)
(視聴率:関東11.1% 中部15.4% 関西14.1%)


(文・内山和正)
(1999年執筆)


 怪獣がらみの話ではじまり、スタッフの気持ちが徐々に旧来の防衛隊VS怪獣路線に移行していくのを感じさせる。


 女教頭の親戚にあたるフランスのソルボンヌ大学助教授と京子先生のお見合い話がもちあがり、主人公・矢的猛(やまと・たけし)は自分の気持ちをハッキリさせなくてはならなくなる。
 他の脚本家担当の次回10話「宇宙からの訪問者」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100704/p1)などを観ると京子が矢的を好きであるとしか思えないが、阿井文瓶氏の作品としては3話「泣くな初恋怪獣」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100516/p1)などでの描写を引き継いだ、京子自身は矢的を強く意識していない展開といえるだろう。


 京子先生の見合いが決まったことに落ちこむ矢的に対し、


 「当たって砕けろ! 正々堂々と勝負!」


 と励ますなど、珍しく格好いい面も見せて矢的を応援する校長の理解者ぶりも印象的で、いずれ地球を去るウルトラ人の宿命をわすれたかのようにマジメに恋の達成を考える矢的の姿勢ともども、このまま教師編がつづいていったらどのようになったのだろうかと思わせる。
 (ウルトラマンの正体さえ知られなければ地球に永住するつもりなのだろうか、いざとなったら京子を宇宙へ連れていくつもりなのか、本人もハッキリしていないのだろうが、少なくとも遊びではないのだろうし)


 生徒たちが助力して矢的はデートにこぎつけるが、裏の顔のひとつである防衛組織・UGM隊員としての緊急呼びだしのために恋があやうくなる。
 矢的をむかえに来た私服姿の城野エミ隊員を生徒たちは恋人と誤解する。
 (前回の8話「よみがえった伝説」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100620/p1)ラストでも隊員服姿のエミと一瞬遭遇しているので、「UGMの隊員かも?」「いや違うだろ!」と生徒たちが口にするのもリアルだ)


 「プレイボーイ!」 「裏切り者!」


 と罵倒するスーパーと落語。


 ファッション(女生徒)の云う


 「私もう恋なんて出来ない! 男のいい加減さを見せつけられたもの……」


 はともかく、


 「京子先生のほうがよっぽど美人じゃないの!」


 はのちにエミがヒロインになることを考えあわすと複雑な思いがする。


 助教授・山岡はあの野崎教頭が野崎一族のホープとベタボメする人物とは思えないようなキザでもコミカルなクレージーぶりだが、ハカセ(男生徒)の隠し子作戦をすぐに見破るかたちで華を持たせ、ただのバカではなくしている。


 翌日、デートをすっぽかしたことを京子先生に詫びた矢的はファッションたちに「京子先生は全然気にしてなかったぞ」などと云うが(笑)、ファッションは「女の気持ちが全然わかってない!」と非難する。



 京子と生徒たちを守るため、地球をはなれることになっても目の前で変身することを選ぶ矢的。
 教師編としてのラストがなかったことを思うと、ここでの別れの言葉(そこにいる五人に一言ずつ、スーパーに「ちゃんと歯を磨けよ。おまえ虫歯だらけなんだからな」、落語に「理科をもっとしっかりな」、ファッションに「いつまでも優しさを忘れずにな」、博士に「クラスのまとめ役を頼むぞ!」、そして京子先生に「お元気で」)はその代わりのようにも感じられる。


 教師編のまま続いても、2話「先生の秘密」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100507/p1)に登場した塚本幸夫(つかもと・ゆきお)や3話「泣くな初恋怪獣」の真一や6話「星から来た少年」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100606/p1)の大島明男生徒らを再登場させて、一般の教師ドラマのように一言ずつ言葉をかけるようなラストではなかっただろう気もするが。



中国東北部や韓国のソウルで大暴れしたオイル怪獣ガビシェール。脳がムキ出しになったような頭に血管が浮き出たような体表と結構グロい奴だ。広大な東京湾岸地域の地底100メートルのところを膨大な菌糸のようなもので覆い、オイルを吸収する。


◎コンビナートの石油タンクや、成田空港の駐車場に並ぶ何十台もの車のミニチュアを、惜し気もなく圧倒的な火炎で派手にブチ壊す東宝川北紘一特撮監督による特撮シーンも素晴らしい。


ソルボンヌ大学助教授・山岡は、『ウルトラマンネクサス』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060308/p1)の防衛組織TLT(ティルト)管理官・松永役や、映画『ウルトラマンメビウスウルトラ兄弟』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070128/p1)では神戸市長役だった堀内正美が演じたらしい。
 「ボンジュール、京子サ〜ン! トレビア〜ン!」と、成田空港に出迎えに来た京子先生に感激するのはいいものの、オイル怪獣ガビシェールが出現するや、京子先生を置いてスタコラサッサと逃げてしまう。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2000年号』(99年12月26日発行)『ウルトラマン80』大特集・合評8「ウルトラマン80全話評」より分載抜粋)


#9『エアポート危機一髪!』 〜合評2

(文・黒鮫建武隊)
(1999年執筆)


 遂に出た川北特撮!


 「え〜っ、川北ぁ〜?」


 と今イヤな顔をした貴方、平成ゴジラシリーズばかりが川北紘一作品じゃないんだよ。『80』の川北特撮は凄いんだから。


 とにかく今回は怪獣ガビシェールによる九州・東海両オイル基地襲撃場面に尽きる。これでもか、これでもかの爆発爆発大爆発! が堪能できる。
 (33話「少年が作ってしまった怪獣」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101211/p1)からの新オープニングでも一部使用されてます)


 又、UGM機コクピットからの視点で怪獣をとらえる、という第二期ウルトラシリーズによく見られた構図も数カットあるのだが、これらには搭乗者の後頭部を合成してある念の入れよう。


 更に、成田空港(には全然見えないが)でのエイティとの決戦では、二体が見えなくなるほど大量のスモークが焚かれ、闘いの激しさを表現。


 エイティが光線技を撃つ時には背景の青空の方を抜いて玉虫色の合成を施す等、どこをとっても豪華な仕上がりだ。
 光線技といえば、エイティのダメージ技中で最もポピュラーな「ウルトラダブルアロー」も、今回初使用。光線のブーメランという感じの動きが楽しい。



 今回は、京子先生の縁談に振り回される猛、という、常にも増してラブコメ色の強いエピソードなのだが、そのラブコメ話の流れを断ち切るように、怪獣の各地襲撃が挿入される。
 で、寸前までドタバタと三枚目していた猛が急にキリッと活躍し始めるわけで、この落差がたまらなく楽しい(この点が、猛の最大の魅力のように、筆者には思えるんだよね〜)。


 教師編の設定のデメリットとして「舞台が学校とUGMを往復する為に話がまとまりを欠く」という指摘がよく聞かれたものだが、今回はこのデメリットを逆用して舞台と雰囲気をクルクルと切り替えることにより、テンポの良いコメディーを成立させていたように思う。


 また、ラブコメ騒動の傍ら怪獣が中国大陸、韓国、九州、東海と次第に南下北上する様を描き、学校の在る東京の地底を通り越して千葉県の成田空港に出現。


 ところがその縁談の絡みで京子先生と生徒たちが成田に向かっていた……


 と実に考えられた構成で二つのストーリーをうまく収束させ得ている点も、評価に値しよう(8話「よみがえった伝説」同様、学校近辺に怪獣が出ない話だ)。



(重箱のスミ)
・今回、登場する生徒はレギュラー四人組だけ。矢的先生の為に大活躍だ。
・23歳で教員に成り立ての京子先生に、いきなり縁談を持ってくる教頭も、かなり凄い。これで結婚してパリに行くことになったら、もう教員をやめなければならないではないの。それにしても、「婚期を逃す」なんて台詞をウルトラで聞くことになろうとは。
・「ウルトラマン80が私の恋人です」と言われて、一瞬(勘違いして)喜ぶ猛が好きです。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2000年号』(99年12月26日発行)『ウルトラマン80』大特集・合評1「ウルトラマン80教師編・各話評」より分載抜粋)


編註:


 今では懐かしの話題ですけど、90年代前半の平成ゴジラシリーズも後期に至ると、特撮マニア間での限定ではありましたが、当初は同じ東宝中野昭慶特技監督のやや大雑把な特撮演出と比すれば現代的でクールでシャープでハイセンスな映像だと称されていた川北紘一特技監督も、マンネリだの取っ組み合いの怪獣プロレスがなくなって光線作画の垂れ流しばかりだのといったバッシングがはじまっていました――70年代末期〜90年代初頭までは擬人化された怪獣プロレスが特撮マニア間では「悪」だとされていたというのに、なんという壮大な手のひら返し!(汗)――。
 黒鮫建武隊氏の川北特撮監督に対する記述は、当該評が執筆された1999年時点の特撮マニア間での風潮に対する返歌の要素も含んだものになるかと思われます。失礼を承知で10年後の2010年の今日に後出しジャンケンでツッコミを入れさせていただければ、黒鮫建武隊氏の記述もそんな風潮に微量に影響された川北観だったやもしれず(?)、現在ではその川北観も変わっているやもしれません。読者のみなさまについても、周囲の特撮マニアたちが住まう「ムラ世間」的な「空気」の同調圧力に流されずに、ご自分自身の眼や価値観・美意識で独自に判断していただきたいと思います。
 その上でならば、川北特撮にそのヒトなりのYESやNOをくだすのは充分アリかと思います。


2020年時点での編註:


 上記の「編註」の内容も古びてしまいまして、90年代中盤~00年代には根強くあった川北特撮批判も遠い日々となってしまいました。
 特撮マニア草創期の70年代末期~90年代にかけて、今思えばまだまだ「中二病」期であった特撮マニア間で根強くあった、前期東宝特撮の特技監督円谷英二=「正義」/後期東宝特撮の特技監督中野昭慶=「悪」! といった素朴な二元論がやや拡張されたかたちで、当初は新進気鋭ともてはやされた特技監督川北紘一が早々にマニア間で小賢しいことにも悪しざまに罵られるようになった時代が、かつては実際にあったのでした(汗)。
 とはいえ、2020年の現在では、そんな尺度自体もまた遠くに過ぎ去っていってしまいました。今の特撮マニアの大勢は、円谷英二中野昭慶川北紘一の各人をまぁまぁ「等価」に、その演出方法も個性の違いや時代の違いとして、安直な二元論ではなく引いた視点で公平かつ客観的に見られるように成熟したようにも思います。



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