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ウルトラマンエース19話「河童屋敷の謎」 〜夕子活躍!


「ウルトラマンエース」総論
「ウルトラマンA 再評価・全話評!」 〜全記事見出し一覧


ファミリー劇場ウルトラマンA』放映・連動連載!)
(脚本・斎藤正夫 監督・筧正典 特殊技術・佐川和夫)
(文・久保達也)
 「ウソつきやっちゃん」の異名を持つ安夫はある日、木の上でオカリナを吹いていたところ、稲光と地から噴き出す水流とともに出現した超獣の幻影が地面に沈み、豪邸の庭でプールに変身するのを目撃する。
 「プールになった」というあまりに荒唐無稽な話に現地に調査に来たTACの北斗と山中隊員には信用してもらえなかったが、その豪邸の上品な初老の紳士とマダムの春山夫妻の許しと招きでプールで遊んだ安夫の姉や友人たち(純太と三平)は渦に巻き込まれへそを取られて、カッパ人間にされてしまう!


 直前の第18話『鳩を返せ!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060907/p1)と放映順が逆なら立派に『夏の怪奇シリーズ』として通用した作品(多分、『夏の怪奇シリーズ』として製作されたのだろうが、脚本作成なり撮影の進行の都合の処置だろう。プールと広い庭のある豪邸がなかなか見つからなかった?)。
 豪邸のプールで泳いだ子供たちがへそを取られ、顔の半分や手足が濃緑色のただれたような鱗(うろこ)に覆われたり、夜の豪邸に忍び込んだ少年を襲うアンドロイド夫婦の描写なんかは結構コワイ。


 『帰ってきたウルトラマン』第15話『怪獣少年の復讐』(脚本・田口成光)以来、第2期ウルトラ作品の定番となる嘘つき少年と主役との交流を描いているが(本話の脚本は斎藤正夫)、今になって見返してみると意外と深い。
 冒頭、公園で大勢の子供たちが遊んでいる(子供の数が多かった時代だということだ)。安夫少年が友人たちに自転車に乗せてくれよと頼む。つまり少年は自転車を買ってもらえない身上なのだ。
 貸してもらえるのかと思いきや、母さんの屋台のラーメンを手伝わなくていいのか、と問われる安夫少年。つまり彼は母子家庭であり安夫少年はふだんは母の屋台の手伝いをしていることも示唆している。


 「(からかうように)いっしょに屋台ひいて歩くんじゃないのか?」。
 「ラーメン屋なんて、とっくに止めちまったんだ! 今じゃデッカイ中華料理店、経営してるんだぞ!」。
 「そんなのまたやっちゃんのウソに決まってらあ!」。
 「ウソつきやっちゃん、や〜〜い!」。


 自転車を貸さずに走り去っていく友人たち。
 友人たちのこの年代の大方の男の子特有の無神経さと残酷さ。そして自分の生活状態・境遇を恥じていて、つい嘘をついてしまった安夫少年。さらには自転車を貸してもらえなくてもションボリせずに、負けん気で不敵な表情の安夫少年。しかしオカリナで吹く曲は……「♪ あ〜の街、こ〜の街、日が暮〜れる〜」。


 一方、安夫との約束に執拗にこだわる北斗は夕子にその理由を吐露している。
 中学生のころに山で遭難した際、引率の大学生が「ここで待っていろ」と救援を求めて下山したが、その間に北斗たちは救助隊に救われたものの、大学生は吹雪の中北斗たちを捜し続けた結果亡くなってしまい、以後約束は必ず守ると心に誓うようになったという。


 第3クールのいわゆる「ダン少年編」で北斗はしばしば任務を離れ、ダンやゲストの少年の悩みを解決するために奔走するようになるが、そんな行動につい走ってしまう理由が今回明かされているとも云えるわけで、作家が意図したものではないだろうが、個人的にはその伏線として解釈したい。


 とはいえ安夫からの2度目の通報で駆けつけた北斗は、安夫の姉にへそがあることを確認して、


 「やっぱり嘘だったのかい? どうなんだい、安夫くん」と迷いと嘘だった場合の厳しさも垣間見せる。
 「僕わかんない。もしも、もしも僕が云ったことがホントだとわかったら……」。


 春山邸のダンディな銀髪交じりの紳士主人「ハハハハ、本当だとわかったら、北斗隊員がプールに飛び込んで、おへそを取り戻してくれるそうだ」。
 北斗「ああ、何でもするよ安夫くん。(略)いいか、嘘をつくということは男にとって一番恥ずかしいことなんだ。これだけは覚えとけ」


 恐るべし! 北斗の安夫を信じる心、約束を守る精神までをも、逆用して危地に陥れんとする異次元人ヤプールの策謀!
 ここではストレートに北斗の善意が全てを解決するわけではなく、かえって危機の場面につなげんとする意地悪な作劇の妙! この手のさりげないけどパラドキシカルな作劇が今どきの脚本家にできるかな?


 安夫との約束を守るために河童超獣キングカッパーの頭(豪邸のプールの正体)に飛び込んで危機に陥る北斗を、隊長命令に背いて突撃して助けに行く夕子がカッコよく、少年のみならず夕子と北斗の強い絆もきっちり描かれ、キングカッパーのミサイル攻撃による派手なミニチュア破壊も楽しめる、子供のころに観るとジミに写ったかもしれない通常編だが、今見るとなかなかの名編である。



<こだわりコーナー>
*埋もれていた名シーンを発見! 夜間、安夫の母の屋台でTACの制服姿でラーメンをすする北斗と南!


 夕子「でもぉ、もし安夫くんの云ったことは本当だとしたら。そりゃ大変なことだけど、でも安夫くんのためには嬉しいような気がするわね」


 北斗「そうさ、乾杯してやるよ!」


 赤色系の照明に照らされた夕子のご尊顔の美しいアップといい、媚びてないけど醸される色気ある早口気味のセリフまわしといい、不謹慎なセリフ内容といい、かなりの名シーンだ! 『新世紀エヴァンゲリオン』(95年)中盤でも主要人物が屋台でラーメンをすするシーンがあったが、本話を参考にしたということは……まずありえない(笑)。


*本話では特に中盤以降、南夕子の顔や表情の変化を美しく捉えたアップや見せ場が多い。春山邸でアンドロイド夫妻の銃撃によりかすり傷を負うわ、決意して命令無視して戦闘機タックアローで出撃するわ。第11話『超獣は10人の女?』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060731/p1)、第17話『怪談 ほたるケ原の鬼女(きじょ)』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060904/p1)に続く我らがヒロイン南夕子が目立つ第3エピソードに認定!


*豪邸のプールで泳ぐとへそを取られると安夫から聞かされた北斗が、プールで泳いだ安夫の姉のへそを確認するシーンがある。安夫の姉はへそを見せることに恥じらいを見せ(安夫くんの方は「見せろよ、姉ちゃん!」と遠慮がない・笑)、北斗は「そんなことをやってるからTACの評判が悪くなるんだ!」と案の定山中に怒鳴られるが(笑)、へそ出しルックどころか公衆の面前で平気でパンツを見せる女性が溢れる昨今では、こうした羞恥心といったものは完全に過去のものとなってしまった……


*正式に異常が確認されるや、TAC隊員たちは即座に春山邸を包囲し、ガス弾を打ち込んで踏み込むあたりは結構リアルだ。このへんは怪奇ものではなく、警察・軍隊もののようだ。


*友人たちや姉はカッパ人間にされてヤプールに心を支配されても、安夫くんは支配されない精神力に、梶研究員も感心。こうやって安夫くんのキャラを立て、梶研究員にも活躍場面を与えている。
*豪邸の主人に変身していたアンドロイド夫妻。ヤプールはロボットをも製造できる科学力があるということだ。第14話『銀河に散った5つの星』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060805/p1)で偽ウルトラマンエースことエースロボットを造れるくらいだから当たり前だな。アンドロイド夫妻はタックガンの攻撃を受けると腹からメカを露出させ、火花を散らしてマリオネットのように倒れるが、当時ならではのアナクロ(時代錯誤)さがなんとも良い感じである(笑)。


*東京都世田谷区の昭和30年代からあるような緑の多い閑静な住宅街を特撮美術化したセットが今回も凄い。団地や公園のブランコやジャングルジムに石垣や交通標識や街角の立て看板に電柱に街灯。駐車や走行している自動車群。それらをカメラを低く据えて、枝ぶり豊かな樹木のなめカットで見せていく。やはりこの時期の円谷特撮は俗説とは異なりかなりレベルが高い(厳密には『エース』〜『タロウ』前半は撮影所やそのスタッフからも東宝特撮と云うべきだろうが)。
*河童超獣キングカッパー。頭上は河童(カッパ)の頭頂のお皿のイメージを拡張したお盆のように横に張り出した春山邸のプール。その縁には草木も生えていて、両脇から下に向かって牙が生えている。首のあたりに両目があり、へそのあたりに黄色いクチバシ。背中に亀のような甲羅。褐色系の青や緑や黄色や赤の鱗に覆われたデザイン。芸術・アートではないかもしれないが、そもそも日本古来の妖怪系の怪獣が芸術系デザインだったりしても絶対腑に落ちないはずだ(笑)。妖怪系怪獣はB級のゲテモノに限る! これはこれで味があると思うけどなあ。口から白いガスを吐き、両手から弾着を発射する。


*南夕子がタックアローから脱出して、超獣キングカッパー頭頂のプールに飛び込む人形特撮だが、途中でなにげに首に巻いたスカーフが取れて空に舞っていて、芸が細かい。
*今回エースはオープンでのトランポリンによるジャンプや空中回転、キックの新撮映像を観せてくれる。キレイにカッコよく撮れているのでバンクフィルムにして度々流用してほしかったところだが。エースのスーツは登場時はキレイなのだがなぜか途中から色落ちが激しく、下地の赤がかなり露出している。もう少しメンテナンスをきちんとやってほしかった。水がらみの特撮バトルでの地面スライディングアクションなどで色落ちしてしまったのか?


*ラストはまたまた出た! 北斗・南の規律違反に対する竜隊長の粋(いき)な計らい(笑)。


*視聴率16.1%


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2006年号』(05年12月30日発行)『ウルトラマンA』再評価・全話評大特集より抜粋)


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