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DVD付きフォトブック ウルトラマンA 1972


「ウルトラマンエース」総論
「ウルトラマンA 再評価・全話評!」 〜全記事見出し一覧
[ウルトラ] 〜全記事見出し一覧


(金田益実・編 発売元・ジェネオンエンタテインメント 07年1月25日発売 税抜価格3800円)
(文・久保達也)
 ウルトラシリーズが放映されていた頃の、「あの時代のムード」を満載した本格ビジュアルムックに、レア映像&音声を収録したDVDをプラス! というキャッチコピーのDVD付写真集シリーズの4冊目として、『ウルトラマンA(エース)』(72年)版がようやく発売された。


 05年4月1日に『ウルトラマン1966』(asin:B0007N37F0)、同年10月1日に『ウルトラセブン1967』(asin:B000A869TI)、06年6月9日に『帰ってきたウルトラマン1971』(asin:B000F7MQKU)と発売されてきたこのシリーズ、筆者は一応買い揃えてきたが、その構成にはややイマイチという印象を感じている。


 最初の『ウルトラマン1966』は、66年3月26日から4月3日まで銀座・松屋で開催された「春休み子供大会 大怪獣『ウルトラQ』(66年)の大行進」や、同年のゴールデンウィークに向ケ丘遊園で行われた小田急電鉄主催の怪獣撮影会、同年4月17・24・29日に多摩テック円形劇場で開催の『ウルトラQ』大会などのイベントの模様や、『アサヒグラフ』(朝日新聞社)に掲載された怪獣造形担当・高山良策の取材記事をはじめ、『週刊実話』(日本ジャーナル出版)、『中学三年コース』(!・学習研究社)、『毎日グラフ』(毎日新聞社)、『週刊サンケイ』(産経新聞社)などのメイキング記事、さらには『月刊平凡』(平凡出版→現・マガジンハウス)に掲載された、どくろ怪獣レッドキングと当時『こまっちゃうナ』でデビューしたばかりの歌手・山本リンダ、及び彗星怪獣ドラコとスクールメイツ出身のアイドル・恵とも子が、銀座をなかよくデートしている仰天の企画グラフ(今なら倖田來未(こうだ・くみ)と長澤まさみってところか・笑)など、確かに第一次怪獣ブームの熱気をムンムンと感じさせる、「あの時代のムード」が濃厚な仕上がりになっていた。


 だが『ウルトラセブン1967』になると、そうした当時の雑誌や新聞の復刻記事は影を潜め(もちろん第一次怪獣ブームの落ちつきにより、数も減少したのであろうが、消滅したわけではないはずだ)、当時各地で行われたイベントのスナップもあるものの、他の媒体でカラーで発表されている写真(要するにどこでも見れる作品の名場面)までをもモノクロで処理してページを埋めるという、前作に比べてボルテージが極端に低い構成になっていたのだ。
 『ウルトラセブン』(67年)は当時の風俗描写が皆無に近いくらいに少なく(それを「SF作品」として完成度が高くなった理由のひとつ、などと高評価をするマニアも多いことだろうが、筆者にとってはそれこそが『セブン』に対して感じるもの足りなさのひとつなのだ)、作品の時代背景をあまり感じることができないのだから、だからこそ、こうした企画においては、作品に著しく欠けている「あの時代のムード」を忠実に再現してほしかったのだ。


 こうした残念な構成は、『帰ってきたウルトラマン1971』にも踏襲されてしまっている。
 『帰ってきたウルトラマン』(71年)が放映された71年は第2次怪獣ブームが爆発した年であったにもかかわらず、雑誌・新聞記事の復刻やイベントの模様、要するに当時の人々の熱狂ぶりを象徴するような、「あの時代のムード」は巻頭カラーページにわずかにあるのみで、モノクロページの大半は「どこでも見られるような写真」の中に、僅かの珍しい写真が点在している、といった構成でお茶を濁しているのだ。


 そもそもカラー24ページ、モノクロ72ページという紙面構成をいい加減どうにかしてほしいものだ。『ウルトラQ』や『ウルトラマン』(66年)放映当時とは違い、第2期ウルトラシリーズのころはメイキングスナップも大半がカラーで撮影されているのだろうから、オールカラーの写真集にしてほしいものである。もちろん価格は据え置きにしてほしいのだが(笑)。



 さて今回の『ウルトラマンA1972』。
 筆者がこだわる「あの時代のムード」としては、『A』第20話『青春の星 ふたりの星』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061008/p1)のロケ地である静岡県沼津市で行われたイベントのスナップが掲載。
 ウルトラマンエース対殺し屋超獣バラバ(!・生で見られた人々がうらやましい……)や、防衛組織TAC(タック)の隊員によるサイン会に行列する大勢の人々の様子が写し出されている。バラバに握手を求める子供がいたりするが、右手が鉄球で左手が鎌だというのに、まったく恐れを知らない奴らだ(笑)。
 このときのエースのスーツをよく見ると、なんと第1話『輝け! ウルトラ五兄弟』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060514/p1)や、第2話『大超獣を越えてゆけ!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060515/p1)の撮影のみに使用された両股の部分で別れた上下2ピースのものなのだ! アクションに不向きということで役目を終えたはずのスーツなのだが、やはりせっかく作ったものだからと、その後アトラクション用に流用されたのであろうことを物語る貴重な一連である(筆者が知る限り、この事実に関してはどこにも語られていないはず!)。
 ちなみに、このスーツはのちに第40話『パンダを返して!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070204/p1)に登場する宇宙超人スチール星人に改造されたとマニア向け書籍では語られてきた。


 そして二子玉川園で72年3月5日から6月11日にかけて開催された「ウルトラ怪獣大会 ヒーローフェスティバル」、72年7月16日から11月30日にかけて開催の「ウルトラ怪獣大会=エース登場 超獣大決戦」の会場周辺のハリボテや会場内の着ぐるみ展示の様子に、「あの時代」を語る上では欠かすことのできない小学館学習雑誌における、「ウルトラの父と五兄弟物語」「なぜなにウルトラの星」「ウルトラマンエースがきめる超獣ナンバー1」などの関連記事の扉の数々なども掲載されている。


 ただねえ……今回のモノクロページも冒頭こそTBSの『テレビニュース№1764』(72年2月14日発行)からの『A』新番組広報資料全文の復刻や、エースのスーツ完成直後の商品化権用の三面写真、特撮メイキング風景などを配しているとはいえ、あとは第1話から第52話(最終回)『明日(あす)のエースは君だ!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070429/p1)に至るまで、順を追って単に名場面を並べているだけという趣である。
 その大半はどこでも見ることのできる写真ばかりであり、中にはわざわざ本編から抜き焼きしたものも含まれており、ビデオやDVDが普及し尽くした現在において、こういうものにどれだけの価値を感じて掲載しているのかと、非常に理解に苦しむのであるが……
 ハッキリ云ってデジタルウルトラプロジェクトから発売中の『A』DVD解説書やノベルティの方がよほど貴重な写真が散見されるので、「お宝写真」をお目当ての向きには少々お薦めしづらいものがある……


 それでもつい買っちまうのは、やはりオマケのDVDが目当てだからである(本当にいくつになってもこれには弱い・笑)。


 このシリーズ定番である、放映当時サングラフから発売されていた8ミリムービーは今回は第1話を収録。約5分30秒に編集し、音声をほとんど入れ替え、新録のナレーション(声の主は不明)を加えたものであるが、音楽は全編に渡って主題歌『ウルトラマンA』を使用している。
 この主題歌が第36話『この超獣10,000ホーン?』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070109/p1)や、第43話『冬の怪奇シリーズ 怪談 雪男の叫び!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070224/p1)においても使用された、ゼール音楽出版が原盤を製作した、コール・ゼールなるグループが歌唱するカバー・バージョンであることから、東芝レコードのオリジナル版以外では最も流布していたバージョンではないかと推測できる(放映当時は東宝レコードや朝日ソノラマなどが発売した盤に収録されていた)。
 それはともかくとして、ベロクロンの声にどくろ怪獣レッドキングや地底怪獣マグラー、有翼怪獣チャンドラーという、『ウルトラマン』第8話『怪獣無法地帯』に登場した怪獣の声を混成して使用してしまうような、当時ならではのアバウトさがなんとも微笑ましいが、エースが北斗と夕子に「大いなる力」を与える場面ではナレーション担当者がそのままエースの声を演じており、オリジナルの納谷悟朗の荘厳なイメージとはほど遠い、「単なるオッサン」の声にはおもいっきりコケた(笑)。


 そして当時スポンサーだったロッテの『ウルトラマンAフーセンガム』のCM。出演している男の子は、『仮面ライダーアマゾン』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001008/p2)で岡村マサヒコを演じた松田洋治に酷似しているが、果たして真偽のほどはいかに?


 しかし「あの時代」の記録として収録されたCMがこれ一本というのはやはり寂しいものがある。ブルマアクの玩具や、関東エリアのみで流れたと思われる二子玉川園の各イベント告知のCMはやっぱ必要不可欠ではないのか?


 なお本ブログ記事の『A』第28話『さようなら夕子よ、月の妹よ』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061111/p1)評でも詳述した、73年1月2日に放映された『激突! 人気番組対抗合戦』で『ウルトラマンA』チームが演じた、超獣が現われたのに夕子がいなくなって北斗が彼女を探すというパロディの寸劇は収録されていない(多分、この番組の存在すら認知されていなかったのだろう・笑)。VTRはともかく、写真くらい残っていないんですかね……


 あとは例によって円谷プロの満田かずほ(「のぎへん」に「斉」の「禾斉」(かずほ)の漢字は毎度変換不能……)氏と、『ウルトラマンネクサス』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060308/p1)で軍事組織(笑)・ナイトレーダーの平木詩織隊員を演じていた五藤圭子サンによる「ウルトラ談話室」なる恒例のコメンタリーである。
 当時のスタッフによる証言に関しては、記憶違いとか、マニアに感化されて美化あるいは劣化して語ってしまうといったことが度々あるので、筆者的には話半分に聞いた方がよいのではないかというスタンスである。


 今回も満田氏はTACについて、「Terrible Monstar Attacking Crew」(テリブル・モンスター・アタッキング・クルー=超獣攻撃隊!)の略称として「TAC」という組織名を考案したのではなく、TBS側から「今回のチームは「タック」でいきましょう!」と勝手に決められてしまい、「Terrible〜」以下は円谷側であとでこじ付けて考案したと語っているのだが、先述のTBS新番組広報資料の中で早くも、「TACとはTerrible〜の略」とはっきり印字されているのを見ると、果たしてどうなんでしょ?


 あと当初南夕子役として関かおりがキャスティングされた経緯について、「候補者の中で運転免許を持っていたのが彼女だけだったから」と語っているが、第23話『逆転! ゾフィ只今参上』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061012/p1)においては、星光子演じる南夕子が 「右へ曲がりま〜す!」と北斗を助手席に乗せてジープを運転しているのだ。あれは無免許運転なのか?(爆・もちろん彼女は当初の候補者には入っていなかったのだろうが) 
 まあ女性でも運転免許を持っているのが当り前の現在とは違い、当時は極めて少数派だったことを考えると、劇中で専用車・タックパンサーを運転する機会を想定し、運転免許所有者に決定したという理由自体は確かに妥当なものであると思えるけど。
 ちなみに関かおりが演じた南夕子を撮影したフィルムは残念ながら現存していないらしい。もし残っていたなら、当然このDVDの最大の目玉として収録されていただろうに……(スチールはかろうじて現存、この本にも収録)


 そして『A』で導入された、地球にいるウルトラ戦士に対し、ウルトラの国から発せられる文字「ウルトラサイン」誕生の経緯については、『A』製作前に行われた各イベントにおいてウルトラマンたちが色紙にサインを書く際、単に「ウルトラマン」とカタカナで書いていた(笑)のを「なんかそれらしいものにしてもらえないか?」と提案されたことから、満田氏が苦心して考案したものが発展・継承された形で作品で使用されたのだと語られている。


 こうした音声解説(約20分)の間、画面には数々のスチールが連続して映しだされているのだが、ほとんどのものが写真集とかぶっており、そういう配慮の乏しさが筆者の神経を余計に逆撫でする。そんなことなら五藤圭子サンが動いている姿を映してくれた方が筆者的にはよほど嬉しい。なんせ筆者は『ネクサス』を1クールしか視聴してはいないのだから(笑)。


 ただ中には写真集には使用されていないスチールもごく一部ではあるが存在しており、その中に驚くべき1枚があった! ミサイル超獣ベロクロンが、広島の原爆ドームの前で火炎を吐いている場面である!
 市川森一による第1話のシナリオでは、冒頭でベロクロンが登場する場所は広島市原爆ドーム付近と設定されているのだが、『ウルトラセブン』第12話『遊星より愛をこめて』の欠番騒動(1970年)の間近だったことから、完成作品では同じ広島県内の福山市と場所が改められたのである。
 だが実際にはちゃんと原爆ドームのミニチュアが製作され、当初は特撮もシナリオ同様に舞台を広島市として進行していたことがこれで証明されたのである! このフィルムもぜひ収録してもらいたかったところだが、果たして残っているのだろうか?


 色々と不満も述べてはきたが、やはりそうした新発見があったことはかなりの収穫ではあった。この写真集の定番である、他の特撮・アニメ番組の放映開始・放映終了にとどまらず、関東地区のジャンル作品の再放送状況なども克明に記された放映当時のカレンダーも、なかなか興味深い事実をうかがい知ることができ、「あの時代」のムードを醸し出すのに大いに貢献している。
 モノクロ作品である『ウルトラQ』が関東地区では第2次怪獣ブームで『A』本放映時の72年の再放送(フジテレビ)終了後は、第3次怪獣ブームの79年7月(フジテレビ早朝6時)まで再放送が途絶えたこと、当時は土曜や日曜に東宝特撮映画が頻繁にテレビ放映されていたこと、『仮面ライダー』(71年)のマネをした子供たちが全国各地で負傷(中には死亡者も……)したり、『ミラーマン』(71年)のマスク(ヘルメット)をかぶっていたおかげで交通事故で命拾いをした子供がいたこと(これは草創期マニア向け書籍『ファンタスティックコレクションNo.16 華麗なる円谷特撮の世界 ミラーマン・ファイヤーマン・ジャンーグA』(79年・朝日ソノラマ)にも新聞記事が再録されている)、歌謡番組『歌え! ヤンヤン!!』(東京12チャンネル→現・テレビ東京)にゴジラが、ワイドショー『奥さま8時半です』(TBS・72年4月〜84年)にウルトラマンエースがゲスト出演したこと……第2次怪獣ブーム、変身ブームに湧いた72年とは、まさにそんな時代だったのである。


 72年版カレンダーに記載された、そうした「あの時代のムード」に浸る中で、筆者が長年気になっていた「ある記憶」の正体もまた明らかになった!
 『人造人間キカイダー』(72年)が放映開始されて間もない頃、ある番組にキカイダーがゲスト出演し、マスクを脱がせたところ、中から顔を出したのが変身するジロー(演・伴大介)ではなく、まったくの別人だったことに、司会者の落語家・桂小金治が「するとジローさんはジローさんで、キカイダーさんはキカイダーさんなんですか?」と驚いていた姿がずっと記憶の片隅に残っていたのだ(特撮同人誌『假面特攻隊2000年準備号』(99年8月14日発行)「ヒーローの番宣! 70年代ワイドショーでの番宣一覧!」でも同趣旨で執筆)。
 どうやらそれは72年8月4日にNET(現・テレビ朝日)で放送された『桂小金治アフタヌーンショー』の特集「怪獣映画はこうして作られる」の中の一場面のようである。タイトルから想像するに特撮怪獣映画のメイキングについて紹介、種明かしをするという趣向だったと思われ、そうした中でキカイダーのマスクを脱がせるという演出が行われたのではなかろうか。


 変身ヒーロー番組が百花繚乱し、児童マスコミ文化の頂点として君臨していた「あの時代」=72年度に登場した新しいウルトラマンは、全てにおける「変身」を要求されたと、金田益実は巻末で以下のように記している。


 「変身の設定、ポーズはもちろん、ウルトラマンの意匠、怪獣、宇宙人、戦闘シーン、アクション、ドラマに至るまで、それまで以上のものを要求されたのが『ウルトラマンA』である」


 男女合体変身、超獣、異次元人ヤプール、シリーズ中でも群を抜いて圧倒的に広大な東宝撮影所第9ステージで撮影した豪華な特撮、技術進歩により可能になったカラフルな光学合成、側転・バック転・トランポリンジャンプによる空中回転、人間ドラマを充実させた本編……全ては「あの時代」の要求だったのである!


 「『ウルトラマンA』がなければ今の「ウルトラ兄弟」は存在しないし、その後のウルトラマンが生まれていくきっかけもなかった。『ウルトラQ』という空想特撮シリーズが打ち出した最初のQ=クエスチョンに、ウルトラマンたちの世界というA=アンサーを提示した『ウルトラマンA』は、まさにウルトラマンのエースである」


 この結び文句は確かに嬉しいものがあり、大いに賛同できるものがある。ただ、07年1月26日にバンダイビジュアルから発売された、DVD『ウルトラマンメビウス』(06年)Volume.7(asin:B000KJT9EE)の解説書の中に、筆者は気になる一節を発見してしまった。
 『怪獣大全集 第1巻 円谷怪獣のひみつ 〜ゴジラからゴロザウルスまで〜』(ノーベル書房・67年7月1日発行)の中で、脚本家・金城哲夫(第1期ウルトラ作品のメインライター)によって、M78星雲光の国の歴史や、宇宙警備隊の沿革が、70年代に小学館の学習雑誌で繰り返し語られる前に既に設定されていたというのである!


 第1期ウルトラ世代だって、当時この設定を読んだ子供であれば胸をときめかせたはずなのではないのか!? だが、こうした事実はこれまで公にはほとんど語られてはこなかった。
 「ウルトラ兄弟の設定がシリーズを堕落させた」と主張してきた第1期至上主義者たちは、既に第1期ウルトラ作品に秘められていたこうした魅力的な要素について、こともあろうに彼らが「神」として崇めている金城哲夫が設定したという事実を、どう捉えるのであろうか?
 ちなみに、宇宙警備隊の下部組織・勇士司令部などの設定も、第2期ウルトラ放映当時の70年代前半の学年誌が初出ではなく、第1期ウルトラ放映当時の60年代後半の『週刊少年マガジン』『ぼくら』誌などが初出であり、そうするとこちらも第1期至上主義者が崇める編集者・大伴昌司が作成したものだと思われる。


 朝日ソノラマ『宇宙船』(05年に休刊)における90年代後半〜00年代の連載『ウルトラゾーンの時代」の中で、金田益実はウルトラシリーズが放映されていた時代背景の検証を続け、「小学生にウルトラシリーズを返してあげるべきだ」という主旨で締めくくっていた。
 こうした試みは第1期至上主義者が絶対的な権威を奮っていた70〜90年代前半にはほとんど行われていなかった。彼らにとって、ウルトラシリーズとは「SF作品」「テーマ至上主義作品」でなければならなかったからである。


 だがそうした思想に基づいて製作されてきた近年の特撮ヒーロー作品が幼児とマニアにはともかく小学生たちに見捨てられてしまった以上、我々は小学生たちが特撮ヒーロー作品に夢中になっていた「あの時代」について、今こそ検証せねばならないときに来ているのだ。


 「あの時代」、小学生たちはなぜ特撮ヒーロー作品に夢中になったのか? 作品のいかなる要素が小学生を夢中にさせたのか? 「あの時代」の熱狂の渦の中に、今いちど身を置いて考えてみたら、特撮ヒーロー作品再生の道も、少しは開けてくるような気がするのだ……


 少なくともそうした一助になれそうな書籍ではある。


2007.1.31.


★締切直前・『ウルトラマンA全話評』再評価大特集・追加情報!

 07年2月7日にキングレコードから発売されたCD『ウルトラマン・クラシック』(ASIN:B000L22TZQ)によって、第51話『命を吸う音』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070423/p1)に流用された曲の詳細が明らかになりました。


*バイオリン超獣ギーゴンが乗り移ったバイオリンが奏でた曲→バッハ・パルティータ第3番


ウルトラマンエースのメタリウム光線に敗れたギーゴンから、魂が持ち主の人々の元へと帰っていく場面に流れた曲→モーツァルト・フルートとハープのための協奏曲


 ちなみにウルトラシリーズの楽曲をあまた担当してきた、この第51話でも音楽教室の先生として出演(笑)した冬木透先生の解説によれば、音楽教室の場面に出演した子供たちは、桐朋学園子供のための音楽教室に当時通っていた生徒たちだそうです。
 なお、第28話『さようなら夕子よ、月の妹よ』において情感たっぷりと流れたドビュッシーの『月の光』は収録されませんでした……続編に期待!


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2007年冬号』(07年2月11日発行)「ウルトラマンA1972」評より抜粋)


[関連記事]

特撮意見④ 特撮ジャンルの独自性・アイデンティティとは何か!? 〜SFや文学のサブジャンルではない特撮

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DVD付きビジュアルブック ウルトラマンタロウ1973

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DVD付きビジュアルブック ウルトラマンレオ1974 〜意外な収穫! 学年誌記事多数再録!(長文)

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[関連記事] 〜エース全話評・主要記事!

ウルトラマンA 再評価・全話評!」 〜序文

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ウルトラマンエース#13「死刑! ウルトラ5兄弟」

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ウルトラマンエース#17「怪談 ほたるケ原の鬼女」 〜真船演出! #23のプロト!

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ウルトラマンエース#18「鳩を返せ!」 〜名作傑作!

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ウルトラマンエース#19「河童屋敷の謎」 〜夕子活躍!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061007/p1

ウルトラマンエース#23「逆転! ゾフィ只今参上」 〜メビウスの名の由来はA#23にあり!?

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ウルトラマンエース#24「見よ! 真夜中の大変身」 〜赤い雨! ヤプール壊滅二部作後編!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061015/p1

ウルトラマンエース#28「さようなら夕子よ、月の妹よ」 〜南夕子降板の真相異論!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061111/p1

ウルトラマンエース#30「きみにも見えるウルトラの星」 〜主役窮地の作劇極北!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061125/p1

ウルトラマンエース#33「あの気球船を撃て!」 〜最終回の着想はここに!?

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061218/p1

ウルトラマンエース#34「海の虹に超獣が踊る」 〜長坂秀佳脚本第2弾!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061223/p1

ウルトラマンエース#35「ゾフィからの贈りもの」 〜子供に過ちを犯す主役!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061231/p1

ウルトラマンエース#43「怪談 雪男の叫び!」 〜身勝手な大衆に批判の視点!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070224/p1

〈DVD付きフォトブック〉「ウルトラマンA 1972」レビュー

  (当該記事)

『エース』同人誌の歴史1 〜『A』再評価の端緒を築いた伝説の名同人誌『全員脱出!』

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070331/p1

ウルトラマンエース最終回「明日のエースは君だ!」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070429/p1