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ウルトラマン80 14話「テレポーテーション! パリから来た男」 〜急降下のテーマ&イトウチーフ初登場!

ファミリー劇場ウルトラマンエイティ』放映開始記念「全話評」連動連載!)

第14話『テレポーテーション! パリから来た男』 〜評1

テレポート怪獣ザルドン登場

(作・阿井文瓶 監督:湯浅憲明 特撮監督・川北紘一 放映日・80年7月2日)
(視聴率:関東11.8% 中部18.4% 関西14.4%)


(文・内山和正)
(1999年執筆)


 イトウチーフ(副隊長)登場。


 その乗機が赴任途中の空中で消え、UGM基地の上空に光に包まれて現れたり、乗機から降りたあとも整備員や警備兵の制止を横柄に無言で押しのけてUGM司令室に向かったり、UGM隊員たちに理由も云わずに無謀な垂直降下特訓を行なったり、イトウ自身が夜間の調査中に光に包まれて消えたりとその行動は怪しげで、エイリアンにスリ替わられたのでは? と隊員たちの疑念をつのらせる。


 視聴者としては、彼がエイリアンではなく何か訳があるのだろうと思うものの、その真相は突飛である。
 彼は若いころからテレポーテーション(瞬間移動)の研究をしており、ヨーロッパを同様の手口で荒らしまわった怪獣のテレポーテーション能力を研究して、人間たちが消失するあたりの方位を計算し、それに乗ってテレポートして怪獣の居所を突き止めて、催眠状態にある人々をUGMの専用銃ライザーガンをかざして脅して怪獣が潜伏する倉庫の外に誘導していたというのである。


 真相を知った主人公・矢的猛(やまと・たけし)隊員は、イトウを疑った自分を恥じて許せず、イトウに自分を殴ってくれと頼む。


 「ムリもないさ。俺はいちいち言葉で説明せんからな」


 と云うイトウだが、さらに懇願(こんがん)する矢的に折れて、イトウは一発見舞う。
 心のわだかまりが晴れる矢的。両者の和解と信頼の構築を意味する、このへんの体育会系のノリもそれなりに魅力的だ。


 もちろんイトウのやりかたも一長一短であるからには、そのダークサイドや欠点も描く。和解の直後に、電波が通じないため倉庫の外で通信していて、戻ってきたハラダ隊員は事情を知らないからムリもないのだが、大声を出してイトウを「あんたはエイリアンだ!」と糾弾、そのために怪獣は目を覚ましてしまうのだ。


 眠りながら餌となる人間をテレポーテーションの能力で捕えてくるザルドンの、怪獣というよりは魔神というべきようなルックスと巨眼のキャラクターも印象的で、この赴任話は新キャラクターの初登場回としても心に焼き付くような新鮮なものとなった。


 ザルドンが両目から発するテレポート光輪を、80が超能力で手持ちの正方形の鏡(ハレーションミラー)で跳ね返すや、ザルドン自身がテレポート消失してしまう。
 それを追って80もテレポートして、郊外から4次元らしき異空間に移動してのバトルも魅力的だ。
 前回披露したリバウンドミラーにつづき今回はハレーションミラーなどの防御の光学バリア技を披露するあたり、『ウルトラマンA(エース)』(72年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070430/p1)22話「復讐鬼ヤプール」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061010/p1)でも超獣ブラックサタンの攻撃に対して円形のサークルバリヤーを披露した、いかにも川北紘一らしい特撮演出だ。


 ラストシーン、イトウチーフが単に傲岸不遜・横柄なだけの人間ではなく、道化てみせて冗談を云ったり、オオヤマキャップに若いころの失敗談をバラされて「勘弁してくださいよ〜」と弱いところを見せるあたり、今後の展開におけるイトウの性格描写、人間としての幅の広さの可能性を予感・提示もしていて、他の脚本家がいかようなりとも料理できるようにタネをまいており、本作前半のメインライターであり本話も担当した阿井文瓶氏の工夫には感心させられる。
 (それを体現できる中堅どころの大門正明氏のたしかな演技力もあるのだが)


 前回の13話「必殺! フォーメーション・ヤマト」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100725/p1)ともども軍隊調であるのが顕著なのが、軍隊ぎらいの人間としては気になるものの、それもさして気にならぬUGM編開幕の魅力的な作品群だった。



◎イトウチーフが使用する戦闘機は、スカイハイヤーやシルバーガルのような架空の近未来兵器ではなく、実在する(?)現用戦闘機であるらしいことも彼のシブさと特権性を演出している。まあ小さな子供にとっては気付かないような類いのこだわりではあるが……


◎80年当時のジャンル作品で、「異星人」「エイリアン」という呼称はまだ珍しいが、前年79年のSF洋画ホラー『エイリアン』で、「異星人」や「エイリアン」という呼称がようやっと勃興しだす。本作『ウルトラマン80』では従来の「宇宙人」「星人」の呼称に代わり「エイリアン」の呼称が多用された。


◎おそらく実在の在日米軍厚木基地などの高空写真を基にした、広大な複線の滑走路を有するUGM極東エリア基地を、上空から見下ろした超リアルな特撮美術の出来には脱帽。特撮美術陣の働きには拍手。
 (編:『80』同様、東宝の特撮部門(東宝映像)に下請けに出している『ウルトラマンエース』の#20「青春の星 ふたりの星」(特撮監督・佐川和夫 http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061008/p1)における、冒頭の高空から眼下に見下ろす夜間の駿河湾岸の超リアルな特撮美術もマニアならばチェック!)


◎隊員たちがUGM基地玄関(?)前の庭でくつろぐシーンで、地球防衛軍の英語名が掲示された門が写る。それによると、「UNITED NATIONS DEFENCE ARMY」。直訳すると「連合国(国際連合)・防衛軍」。


◎オオヤマキャップの5期下であるという設定を持つイトウ順吉チーフを演じた大門正明氏は、特撮ジャンルにおいては怪獣映画『ゴジラ対メカゴジラ』(74年)主人公・清水敬介、『メカゴジラの逆襲』(75年)の草刈、TV特撮『電脳警察サイバーコップ』(88年・東宝)のZAC(ザック)隊長こと織田久義がジャンルファンには有名。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2000年号』(99年12月26日発行)『ウルトラマン80』大特集・合評8「ウルトラマン80全話評」より分載抜粋)


第14話『テレポーテーション! パリから来た男』 〜評2

(文・久保達也)
(2006年9月執筆)
 『ウルトラマンメビウス』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070506/p1)第17話『誓いのフォーメーション』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061001/p1)において、『ウルトラマン80(エイティ)』(80年)第13話『必殺! フォーメーション・ヤマト』で使用された防衛組織UGM戦闘機シルバーガルによる分離編隊攻撃フォーメーション・ヤマトが再現されたシーンでBGMが流用されたことから、だまされている人も多いかと思うが、『80』に初めていわゆる『急降下のテーマ』のBGMが流用されたのは第13話ではなく第14話『テレポーテーション! パリから来た男』(脚本・阿井文瓶 監督・湯浅憲明 特撮監督・川北紘一)における、UGMの垂直降下の訓練シーンからである。


 『ザ★ウルトラマン』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971117/p1)第14話『悪魔の星が来た!!』(脚本・梓沢四郎 絵コンテ・八尋旭 演出・安濃高志 http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090803/p1)において、主人公のヒカリ超一郎隊員が火山怪獣ガドン攻撃のために、小型攻撃機バーディで出撃する場面で初使用されて以来、科学警備隊のフライトシーンで多用され、『ウルトラマン80』にも流用された、高揚感あふれるBGM。


 『80』第14話での使用が印象的であったことから、ファンの間で『急降下のテーマ』と命名されたわけであるが、元々『ザ★ウルトラマン』で何度も使用された曲が、『80』の時点でそんな扱いを受けるというのは考えてみればおかしな話。
 要するに第1期ウルトラ世代のマニア(当時もう20歳前後)は、『ザ★ウルトラマン』がアニメであったことに難色を示し、放映当時にまともに視聴しなかった人間が多いという裏づけとも云える現象である(『80』で初めて耳にしたわけだろ?)。


 このような状況に対して、各種商業誌や編集ビデオ、最近では平日帯番組『ウルトラマンボーイのウルころ ウルトラころせうむ』(03年)やファミリー劇場『ウルトラ情報局』(02年〜)の監督としても活躍される、『ザ★ウル』本放映当時は小学生であった特撮ライター・秋廣泰生(あきひろ・やすお)氏は、特撮同人誌『夢倶楽部 VOL.10』(大石昌弘・97年8月15日発行)の『ザ★ウルトラマン』特集において、こう語っている。


 「本放映当時は結構人気があったように思うのですが、あくまでリアルタイムならではの人気だったのでしょうか。そう言えば『ウルトラマン80』の第14話から『ザ☆ウルトラマン』の冬木透氏の劇伴が流用されはじめた時も、『80』の新録音曲と思われたりして、なんだかなあ。“急降下のテーマ”なんて、僕はいの一番にバーディの活躍シーンを思い出すんですけど……」。


 そう、この曲は『科学警備隊スクランブル・テーマ』とでも呼称すべき楽曲なのだ。


 ちなみにこの曲は『80』第25話『美しきチャレンジャー』(脚本・阿井文瓶 監督・湯浅憲明 特撮監督・佐川和夫 http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101016/p1)――空前のボーリングブームに沸いた72年に、同名タイトルのスポ根ドラマが新藤恵美森次浩司(『ウルトラセブン』(67年)主人公モロボシ・ダンを演じた森次浩司!)らの出演でTBS系にて放映されていたが、このサブタイトルもオオヤマキャップこと中山仁がバレーボールのコーチを演じた青春路線『サインはV』つながりの連想で引っ張り出されてきたか?(笑)――において、再度フォーメーション・ヤマトが試みられて(!)敵の円盤群の撃墜に成功した際に使用されており、『メビウス』第17話での流用はむしろそちらからの引用なのである。


 ちなみに、この第25話『美しきチャレンジャー』も平成ウルトラの特撮では考えられないような、広大なUGM基地の飛行場セットとウルトラシリーズ最高レベルのリアルな出来の大型にして多数のミニチュア群(現実の空軍風の基地施設)、および既にSF洋画『未知との遭遇』『スター・ウォーズ』(共に77年・78年日本公開)以降の時代もあってか謎の宇宙人の円盤のデザインも超カッコよく、そんな中でエイティと怪獣がウルトラシリーズ十指に入るであろう豪快な特撮怪獣バトルを繰り広げる注目作!


 なお『急降下のテーマ』は06年9月20日にコロムビアミュージックエンタテインメントから発売された『ウルトラサウンド殿堂シリーズ(8) ザ★ウルトラマン』(asin:B000H30GT0)にも収録されている。06年現在入手可能なのはこれだけなのでぜひ!



 そして『メビウス』第17話は、単なる流用ではなく、新たに男声コーラスによる「ワンダバ」がミックスされているのがポイントである。


 88年10月1日に日本コロムビアから発売された2枚組CD『円谷作品オリジナル原盤 ザ・ウルトラマンウルトラマン80音楽集 冬木透の音楽世界』の解説書において、この曲について


 「録音時のクレジットには“コーラス無し”と書かれており、この曲に本来は“ワンダバ”コーラスが付く筈であったことを示唆している」


 と書かれているのだが、今回はこれが実に27年ぶりに、新規にコーラスをミックスして再現されたのである!
 (06年8月30日にコロムビアミュージックエンタテインメントから発売された『ウルトラマンメビウス ソング・コレクション』(asin:B000GFM8BS)に収録)


 さらに97年1月21日に日本コロムビアから発売された2枚組CD『ザ★ウルトラマン ミュージック・コレクション』(asin:B00005ENGI)の解説書の中に、同時に録音した挿入歌『ウルトラマン賛歌』のメロオケのコーラスのために当時男声コーラスが集まっており、コーラス入りバージョンを録音した可能性はあるとの作曲担当・冬木透の証言が掲載されている。


 『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)で防衛組織MAC(マック)の攻撃シーンに多用された『MACのテーマ』も、ワンダバコーラス入りが録音されたものの、結局劇中では使用されなかったという前例があることから考えても、ワンダバ入りの『急降下のテーマ』の録音テープは行方不明となっているか破損して廃棄などされただけで、録音された可能性はあるといえるだろう。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2007年準備号2』(06年10月1日発行)『ウルトラマンメビウス』中盤評より一部抜粋)


[関連記事]

ウルトラマンメビウス』#17「誓いのフォーメーション」 〜&『80』#13、25フォーメーション・ヤマト編&BGM急降下のテーマ

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061001/p1

ウルトラマン80』#13「必殺! フォーメーション・ヤマト」 〜UGM編開始

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100725/p1

ウルトラマン80』#25「美しきチャレンジャー」 〜フォーメーション・ヤマト&急降下のテーマ再度使用!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101016/p1

『ザ☆ウルトラマン』#14「悪魔の星が来た!!」 〜星そのものが怪獣! 「急降下のテーマ」初使用!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090803/p1



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