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ウルトラマン80 40話「山からすもう小僧がやって来た」 〜脚本家・水沢又三郎の正体

(「山からすもう小僧がやってきた」という表記は間違い。「きた」ではなく「来た」が正解です・笑)
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第40話『山からすもう小僧がやって来た』 〜脚本家・水沢又三郎の正体

すもう怪獣ジヒビキラン すもう小僧登場

(作・水沢又三郎 監督・湯浅憲明 特撮監督・高野宏一 放映日・81年1月14日)
(視聴率:関東8.2% 中部10.9% 関西12.7%)
(文・久保達也)
(2010年11月執筆)


 1990年代中盤に特撮同人ライター・T.HONMA氏の取材で判明したことだが、本話の脚本の水沢又三郎は『仮面ライダー(新)』(79年・通称「スカイライダー」・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210102/p1)後半でメインライターに昇格し、当時は『仮面ライダースーパー1(ワン)』(80年)のメインライターも務めていた江連卓(えづれ・たかし)のペンネームである。


 江連卓氏の商業デビュー作は漫画家・石森章太郎原作のヒロインものテレビドラマ『フラワーアクション 009ノ1(ゼロゼロクノイチ)』(69年)だ。しかし、アングラ(アンダーグラウンド)劇団の主宰者として活躍していたそうで、テレビドラマの脚本は70年代後半になってから本格的に活動を開始。
 東映特撮『宇宙鉄人キョーダイン』(76年)・『大鉄人17(ワンセブン)』(77年)・『宇宙からのメッセージ 銀河大戦』(78年)などに参加しつつ、東映製作の名作刑事ドラマ『特捜最前線』(77~87年)や大映テレビ製作の刑事ドラマ『明日(あした)の刑事』(78年)やその後番組である大ヒット番組『噂の刑事トミーとマツ』(79年)など多数の作品をものしている。


 80年代には大映テレビ作品『不良少女とよばれて』(84年・TBS)・『青い瞳の聖ライフ』(84年・フジテレビ)・『少女が大人になる時 その細き道』(84年・TBS)・『乳兄弟(ちきょうだい)』(85年・TBS)・『ヤヌスの鏡』(85年・フジテレビ)・『このこ誰の子?』(86年・フジテレビ)・『プロゴルファー祈子(れいこ)』(87年・フジテレビ)などの大ヒット作品のメインライターをほとんどひとりで全話を執筆する勢いで務めていた。
 これらの作品群は、70年代までの学園ものや青春ものなどの熱血風味を「クサい」といって茶化して全否定をしてみせるように世相が急変してしまった軽佻浮薄な80年代お笑いブームの真っ只中であったのに、時代に逆行するかのようなアナクロ(時代錯誤)で暑苦しい作品群となっていた。しかし、リアルではないが情熱的でジェットコースター的な勢いがあると評されている作風のこれらのテレビドラマは大ヒット・高視聴率を記録して一世も風靡していたのであった。
(筆者個人はこれらの作品群を江連が手掛けていたことを当時は知らず、10代後半のころでもありメジャー作品を最も毛嫌い(汗)していた時期でもあったためにほとんど観ておらず、今になって後悔しているのだが……)


 メジャーな脚本家になってからも、子供向けの東映不思議コメディシリーズ『おもいっきり探偵団 覇悪怒組(はあどぐみ)』(87年)・『仮面ライダーBLACK RX』(88年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090726/p1)のメインライターを務めている。


 T.HONMA氏の取材によれば、同じく『80』や東映特撮ヒーロー作品にも参加していた脚本家・土筆勉(つくし・つとむ)氏などとも同様に、70年代にはアングラ劇団を主宰し、テレビ脚本の原稿料を劇団運営につぎこんでいたそうだ。自身が脚本も担当したスーパー戦隊シリーズバトルフィーバーJ』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120130/p1)第44話『地獄谷の月影一族』に登場した秘密結社エゴスの怪人・ゲンソウ怪人は、江連が主宰するアングラ劇団・幻想劇場の名前にちなんだもの。月影一族も幻想劇場のメンバーたちだったそうである(笑)。


 水沢又三郎の正体は長らくナゾであったが、同人誌『江連卓 その脚本世界』(96年・T.HONMA)製作における取材ではじめて正体が判明した。先の同人誌によれば、TBS側のプロデューサーから「とにかく視聴率が上がるものを」と懇願されて参加したそうである。ペンネームは江連氏が私淑する大正末期~昭和初年代にかけて活躍した童話作家宮沢賢治(みやざわ・けんじ)の『風の又三郎』(1934・昭和9年)に由来するものであり、「水沢」の名字も宮沢賢治が度々訪れていた「緯度観測所」(現・水沢VLBI観測所)の所在地名にちなんだものである。このペンネームから本エピソードにかけた想いも透けて見えてくることだろう。


 ちなみに、『80』のメインライターであった阿井文瓶(あい・ぶんぺい)氏も宮沢賢治に私淑しており、『ウルトラマンタロウ』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)第32話『木枯らし怪獣! 風の又三郎』というジュブナイル・ファンタジー色あふれる佳作でオマージュを全開させている。こちらも本話同様に子供のころよりも高校生以上や大人になってから見るとその味わいがよくわかり、歳を重ねるほどにドンドン良く思えてくる良作なのであった(それが子供番組としては手放しで良いことであるのかについては難しいところだが・汗)。こちらも機会を改めて、いずれ詳細に語りたいところだ。



 足柄秘境の青葉山に住むといわれ、地元の子供たちに親しまれている「すもう小僧」が、放映組織・UGMの広報班・セラ隊員がかつて所属した青葉高校相撲(すもう)部の合宿所に突然現れた。「すもう小僧」は子供とは思えない怪力で部員全員と休暇で訪れていたセラを次々投げ飛ばしていく。


 たまたま合宿所に盗みに入っていたジンとゴンという2人組がこれに目をつけて「すもう小僧」を街に連れ出し、賞金10万円を名目に人々に彼と相撲の相手をさせ、参加料と賭け金で大儲けを企む。セラからの連絡を受けたUGMは「すもう小僧」の正体がすもう怪獣ジヒビキランであると判断。街への進入を阻止しようとするが、「すもう小僧」の怪力とジンとゴンの妨害によって阻まれてしまう。


 だが、あまりに大食漢の「すもう小僧」をジンとゴンは持てあまし、彼を金持ちの家に侵入させ、金の延べ棒(のべぼう)の入った金庫と相撲をとらせようとするが(笑)、屏(へい)に仕掛けられていた防犯用の電流に感電した「すもう小僧」はそのショックで怪獣ジヒビキランとして巨大化する!
 ジヒビキランを撃退しようとするUGMだが、おとなしく山に帰ってほしいと願う主人公・矢的猛(やまと・たけし)隊員はウルトラマンエイティに変身! ジヒビキランの百番目の相撲相手であるエイティの勝利は如何(いか)に!?



 正直、第1期ウルトラシリーズ至上主義者であった10代のころは(筆者もそうだったのです・汗)、「いったい何を考えとんのや?」と思っていた回である。しかし、中年となってしまった筆者からすると、足柄秘境に住むというだけあって「日本むかし話」の『金太郎』そのままの「赤い腹がけ姿」(モロにマルに(金)と書いてある・笑)の「すもう小僧」が大暴れしている様子を見ているだけで、もう何もかもが許せてしまう。


 「すもう小僧」がシコを踏むだけで大袈裟(おおげさ)にカメラを揺らし、怪獣の足音のような効果音を使って、そばに落ちていた大きな岩をパックリとカチ割って、


イケダ「なぁんだ、ただの子供じゃないか」


 とナメてかかっていたUGM隊員たちを仰天させ、


イトウ「フジモリ、イケダ、セラ、かかりなさい、ホラ!」


 とイトウチーフ(副隊長)までをもビビらせて、「すもう小僧」は取り囲んだフジモリ・イケダ・セラを一度に投げ飛ばし、イトウチーフはシコを踏んだ衝撃だけでノックダウンする始末(笑)。


オオヤマ「なんとかならんのか! 大の男が5人もかかって何をしてるんだ! とにかく一刻も早く捜すんだ!」


 と、UGM作戦室でひとりでイライラしているオオヤマキャップ(隊長)がまた笑える。そんなに云うんやったら、アンタもかかってみいや(笑)。


 「すもう小僧」はもともとは相撲好きな木こりの息子であり、村祭りで行われる相撲に飛び入りで参加しては毎回、賞品をかっさらっていたことから、その強さを妬(ねた)んだ村人たちに谷底に突き落とされてジヒビキランに転じたという設定であり、時折り山から降りては人々と相撲を取りたがり、百番取ると満足して10年でも20年でも眠り続けるらしい(笑)。
 しかし、昔話とか童話とか神話って村人に殺されるとか、非道徳的でナンセンスで残酷なノリが多いよなぁ。正直、特撮ヒーロー作品よりもよほどひどいことをやっているような気がする。70年代の変身ブームの時代にはこの手の変身ヒーローものが良識的な大人たちにヤリ玉にあげられたものだが、彼らには「むかしの人たちも、そういうので楽しんでたんだよ!」と云いたい(笑)。


 機嫌よく相撲をとっているうちは怪獣としての実体を現わさず、害のない「すもう小僧」だったが(青葉高校相撲部員やUGM隊員たちの痛みを見るかぎりではそうとも云えないが・笑)、今回はジンとゴンの悪だくみに利用された結果、ジヒビキランとしての正体を現わすこととなったのであり、その意味ではこれとて広い意味でのマイナスエネルギー怪獣=つまり極めて『80』らしい怪獣ともいえるのではないだろうか?(ちと苦しい・笑)


 そのジヒビキラン、ちゃんとお腹(なか)に「マル(金)」のマークがモールドされており(笑)、青いまわしまで締めているが、筋肉質の赤茶色の身体に頭部の緑色のタテガミ、肩から天空に向かってそびえ立つ金色の装飾など、まさに金剛力士(こんごうりきし)像のような荒々しいイメージもあり(顔は可愛いのだが)、個人的にはこれはこれで非常に魅力的なデザインに映る。
 またよく見ると、『ウルトラセブン』(67年)に登場するカプセル怪獣ミクラスに似ているように思うのは筆者だけであろうか? ちなみに鳴き声は『帰ってきたウルトラマン』(71年)第13話『津波怪獣の恐怖 東京大ピンチ』~第14話『二大怪獣の恐怖 東京大龍巻』の前後編に登場する竜巻怪獣シーゴラスの鳴き声をそのまま流用している。


 登場するやオープンでのあおり撮影で「ドスコイ」をしながら進撃する様子や、シコを踏むや日本家屋の屋根の瓦がガラガラと崩れていく描写などは、力強さがみなぎっており、なかなか迫力にあふれている。


 今回はエイティとの対戦では当然、光線技などは披露されないが、対戦前に両者が準備運動をしている(笑)。その様子をロング(引きの映像)でとらえ、奥に向かって進む道路やブロック屏の上にそびえる住宅を手前に配したカットが距離感にあふれており、画面に奥行きが感じられてマル。


 ジヒビキランが塩ならぬ砂利(じゃり)を撒(ま)いたり、エイティが卑怯にもフェイントで「待った!」をかけるなど(笑)、基本的には相撲技を踏襲している。


 しかし、ジヒビキランの張り手攻撃に吹っ飛ばされたエイティがカッコよく宙を回転して着地したり、ジャンプして向かってきたエイティに突っこもうとしてジヒビキランがビルを崩してしまうなど、いつもながらのアクロバティックな妙技も楽しめる。


 そして今回、エイティは矢的の声で対戦中に『スペクトルマン』(71年・ピープロ フジテレビ)並みにしゃべりまくっている!(笑) 欲を云うなら、ウルトラマンタロウの声が変身前の東光太郎(ひがし・こうたろう)と同一でありながらも、かなりエコーをかけていたような音声効果がほしかったところだが。


 エイティが豪快に投げ飛ばして勝利するや、ジヒビキランは「すもう小僧」の姿に戻り、矢的に弁当の入った風呂敷包みを手渡され、


「ごっちゃんです!」(笑)


 と機嫌よく青葉山に帰っていく。それを手を振って見送る子供たちに青葉高校相撲部、そして矢的隊員と城野エミ(じょうの・えみ)隊員。


 そうそう、今回は矢的とエミがずっとペアで行動していたのもマル。ふたりはジンとゴンによって木に縛りつけられてしまうのだが、それを発見したイケダ隊員が、


「いやぁ、お似合いですね〜」


 などと道化(どうけ)ている。しかし同時に、後出しジャンケンで思ってしまうことなのだが、数話後の第43話『ウルトラの星から飛んで来た女戦士』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110219/p1)でのエミの悲劇性を強くするために伏線にも感じられてきてしまったりして……


 まぁ、1年間のテレビシリーズの中ではシリーズの後半であるならば、こんなキッチュ(通俗)なノリの作品が数回くらいあってもいいではないだろうか? 神話・伝説・民話の類いのエピソードがあっても違和感が実に少ないウルトラシリーズならではの好編ではあると思う。



<こだわりコーナー>


*本話からオープニング主題歌が『がんばれウルトラマン80』(ASIN:B000H30GTA)に変更となる。より低年齢層にアピールした優しいメロディラインと歌い口が印象的な曲だ。しかし、それまでの主題歌『ウルトラマン80』が超ハイセンスでカッコよかったこともあり、賛否両論はあるだろう。
 同時期の『(新)仮面ライダー』(79年)後期の主題歌がそうであったように、勇ましさよりもマイルドさを強調した楽曲に反発を覚える子供たちもいそうではある。ただまぁ、それはそれとしてもう30年も前の旧作であるのだし、『80』路線変更後の「児童編」にはマッチしているともいえなくはないのだし、オジサンの歳になるとこの主題歌もまた心地よく思えるようにはなってきている(笑)。


*「すもう小僧」を演じた田辺潤(たなべ・じゅん)はゲスト主役であるにもかかわらず、第38話『大空にひびけウルトラの父の声』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110115/p1)のゲスト副主人公であった子役少女などとも同様、オープニングにはクレジットされていない。
 このエピソードにかぎらず、当時のジャンル作品ではテロップに乗せるキャストやスタッフの数が少なく、メイン以外の子役の場合は表示されない場合が多かったのだが、仮にも彼はそのまさにメインの子役であり功労者でもある。あまりに強烈なキャラクターのために、まさか本人や家族から「からかわれたり、いじめられたりするかもしれないから、名前を出さないでくれ!」なんていう申し出があったとか?(爆)
 なお、第39話『ボクは怪獣だ~い』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110122/p1)評の中でふれた、映画『ウルトラマン物語(ストーリー)』(84年・松竹)の円谷プロ製作の実写併映作品『アニメちゃん』にもガキ大将の役で出演していたらしい。しかし、公開当時に観たきりなので一切記憶に残っていない(汗)。マジで『アニメちゃん』のDVD化を切望!


*神社の境内(けいだい)で「すもう小僧」と相撲をした力士を演じたのは、なんとあの松崎真(まつざき・まこと)! 長寿お笑い番組笑点』(66年〜)の大喜利(おおぎり)コーナーで1971〜84年まで「座布団運び」を担当しており、「手を上げて、横断歩道を渡りましょう! 松崎真でございます~」の名乗り文句で世代人にはおなじみの顔だろう。


*泥棒で興行主にもなるジンを演じた及川ヒロオは、『魔法少女ちゅうかなぱいぱい』(89年・東映 フジテレビ)と次作『魔法少女ちゅうかないぱねま』(89年・東映 フジテレビ)の竜神会組長・ヒロオ(笑)、次々作『美少女仮面ポワトリン』(90年・東映 フジテレビ)の緋牡丹組(ひぼたんぐみ)の組長、『勝手に! カミタマン』(85年・東映 フジテレビ)の佃煮(つくだに)博士、『もりもりぼっくん』(86年・東映 フジテレビ)のサムシングの声など、いわゆる「東映不思議コメディシリーズ」によく出演していた俳優である。
 しかし、さらに古い特撮ヒーロー作品である『光速エスパー』(67年・宣広社 日本テレビ)でも、小林清志加藤精三とともにレギュラー悪のギロン星人の声を演じていた。余談だが、この小林と加藤のふたりは『スペクトルマン』では敵首領・宇宙猿人ゴリの声を演じている(小林は第1話~10話、第19~29話。加藤は第11話~第18話。第30話以降は西山連が担当)。
 及川ヒロオは声優としても活動しており、『ハクション大魔王』(69年)・『昆虫物語 みなしごハッチ』(70年)・『いなかっぺ大将』(70年)・『科学忍者隊ガッチャマン』(72年)・『樫(かし)の木モック』(72年)・『一発貫太くん』(77年)・『タイムボカンシリーズ イタダキマン』(83年)など、タツノコプロ製作・フジテレビ放映のアニメにレギュラー・ゲストを問わず数多く出演している。
 『フランダースの犬』(75年・日本アニメーション フジテレビ)では、主人公のネロ・ダース少年の祖父であるジェハン・ダースの声も演じていた。イギリスの特撮人形劇であるテレビシリーズの劇場映画『サンダーバード』(66年・ユナイテッド アーティスツ)や同じく映画『サンダーバード6号』(68年・ユナイテッド アーティスツ)が80年代半ばにバンダイ・エモーションレーベルからビデオソフト化された際には、ヒロイン・ペネロープの運転手・パーカーの声を吹き替えていた。
 95年9月25日に60歳の若さで亡くなっているが、奇しくもその日は『ザ★ウルトラマン』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100430/p1)の主人公・ヒカリ超一郎や、『タイガーマスク』(69年・東映動画 よみうりテレビ)の主人公・伊達直人(だて・なおと)、『宇宙戦艦ヤマト』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101207/p1)の主人公・古代進、『UFO(ユーフォー)ロボ グレンダイザー』(75年・東映動画 フジテレビ)の主人公・宇門大介(デューク・フリード)などの声で知られる名声優の富山敬(とみやま・けい)が他界した日でもあった。


*「こうなったら千代の富士にでも出てもらわねばならなくなった」「千代の富士も驚くほどの相撲技だ」と予告編ナレーションで繰り返された千代の富士(ちよのふじ)とは、『80』放映開始直前の80年大相撲春場所から幕内(まくのうち)上位に定着して、連日ワイドショーなどでも報道されて大人気となっていた力士である。
 この第40話が放映された直後の81年の大相撲初場所の千秋楽(1月25日)では、当時の横綱(よこづな)・北の湖(きたのうみ)を上手出し投げ(うわてだしなげ)で下して初優勝を果たして、大関(おおぜき)昇進となった。ちなみに、この際の大相撲中継の視聴率は52.2%、瞬間最高で65.3%にも達しており(ビデオリサーチ調べ)、2010年現在に至るまで大相撲中継の最高記録となっている。世代人でもある筆者は強烈に覚えているが、当時の千代の富士の人気がいかに高かったかの証左でもある。ハンサムな顔立ちでもあり、子供や女性の支持も多くて、その筋肉質のボディーから「ウルフ」という愛称でも親しまれた。
 当時、『週刊少年ジャンプ』に連載されていた大人気漫画『キン肉マン』(79年・83年にテレビアニメ化。原作・ゆでたまご)に、比較的に初期から登場していた、キン肉マンたち「正義超人」なる主人公ヒーローチームのひとりである相撲の力士の姿をした超人・ウルフマンなるキャラクターは、世代人ならばご承知のことだろうが、この千代の富士をモデルにしたキャラクターなのだった(テレビアニメ版ではリキシマンと改称されていたが・笑)。
 81年の夏場所の優勝で横綱に昇進後は数々の新記録を打ち立て、89年の秋場所では通算勝ち星の新記録を達成し、相撲界で唯一の国民栄誉賞を受賞するなど、まさに80年代を代表するスポーツ選手となった。しかし、91年の夏場所の初日に、貴花田(たかはなだ。~兄の若花田(わかはなだ)とともに90年代に若い女性層の間で相撲ブームを巻き起こした)に敗れたことを契機に、「気力・体力の限界」を理由として現役を引退した。なお、彼が88年の夏場所7日目から同年の九州場所14日目にかけて達成した53連勝の記録は、2010年の秋場所にて横綱白鵬(はくほう)についに破られた。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2011年号』(2010年12月30日発行)所収『ウルトラマン80』後半再評価・各話評より分載抜粋)


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