『からかい上手の高木さん』『上野さんは不器用』『宇崎ちゃんは遊びたい!』『イジらないで、長瀞さん』 ~女子の方からカマってくれる、高木さん系アニメ4本評!
『五等分の花嫁』『ドメスティックな彼女』 ~陰陽対極の恋愛劇! 少年マガジン連載漫画の同季アニメ化!
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「週刊少年マガジン」連載に人気ラブコメ漫画の深夜アニメ化『五等分の花嫁』の第2期『五等分の花嫁∬』――「∬」は数学の「二重積分記号」で「インテグラル」と読む記号だそうだけど、あえて読ませない趣向だそうだ(汗)――が2022年冬季の再放送が終了記念! そして、2022年5月の劇場公開・完結編『映画 五等分の花嫁』が公開間近記念! とカコつけて……。深夜アニメ『五等分の花嫁』1期(19年)&2期(21年)評をアップ!
『五等分の花嫁』(1期&2期) ~ベタでも高みに到達。告白された男子側でなく女子側の恋情で胸キュンさせる
(文・T.SATO)
『五等分の花嫁』(1期)
(2019年4月27日脱稿)
野郎高校生ひとりに美少女が5人のハーレム・ラブコメアニメ。美少女の方を五つ子とすることで既存の類似のハーレム・ラブコメ作品とは一応の差別化。
ただし六つ子を描いた往年の『おそ松くん』(62年)のように見た目での区別が付かないということはなく(笑)、『おそ松さん』(15年)のように(?)髪型・髪色・眉毛のかたち・瞳の目力の強弱・口調などで性格の描き分けはバッチリできている。
・中堅声優である花澤香菜が演じる長女は、余裕のあるお姉さんといった感じだけど汚部屋に住む(汗)。
・竹達彩奈が演じる次女は、強気だけど華はあるアイドルといった風情。
・失礼ながら存じ上げていなかった伊藤美来が演じる三女は、クールで奥手なヘッドフォン少女。
・佐倉綾音が演じる四女は、ウサギの耳型の巨大リボンで女子力も高そうな元気女子。
・そして、オープニングテロップはテキトーに流し観しただけだったので、なんとはなしに本編では三女を演じているのかと思った水瀬いのりが、多分メインヒロインであろうサバサバした五女であることに気付いてビックリ。こんな声も出せるとは……。
てなワケで、五つ子には新人ではなく、全員がほぼ主役級の人気声優を配している。
やはり今どきの週刊少年マンガ誌連載作品の深夜アニメ化は――本作の原作は「週刊少年マガジン」連載作品(17年)――、円盤が売れなくても書籍が売れるための宣伝になればと大手出版社がおカネも出してくれることで、通常の深夜アニメよりも予算が潤沢、声優陣・作画&背景もゴージャスにできるということか?
ふだんはイマイチな作画作品を繰り出す新進のアニメ製作会社・ライデンフィルムが、同じく講談社の青年マンガ誌・月刊「good! アフタヌーン」連載で昨2018年夏に放映された高校女子スポ根バドミントンアニメ『はねバド!』のときだけは高作画作品であったことも思い出す。
対するに、主人公である野郎高校生クンは週刊少年マンガ誌にアリがちなチョイ悪でブッキラ棒な少年クンではない――のちに明かされる彼の過去はともかく――。狭いアパートに住まう苦労人の貧乏優等生であり、高級マンションの上層階に住まう五つ子には家庭教師として接している。
優等生! 家庭教師!
弱者男子たるオタク向け漫画ではなく、普通の元気で健全で野蛮(汗)な多数派が愛好する少年マンガでは、優等生や家庭教師は自分たちの自由――その実態は身勝手・放縦でしかない(汗)――を抑圧・制限してくる体制側の唾棄すべき存在であり、革命が起きたら真っ先にギロチン首にすべきヘイト(憎悪)の対象であろうに……
――実態は真逆であり、教室内の元気なヤツこそがプチ権力者であり、優等生はスクールカースト低位なのだけど(汗)――。
SNSでの身内馴れ合いコミュニケーションやらスマホゲームの隆盛で読者が激減している週刊少年マンガ誌は、それでも残った読者にオタク男子の比率が相対的に高まったことで、こーいうストイックな人物でも主役になりうるようになったといったところか?
30年弱前(汗)の時点でもう、別冊宝島『ザ・中学教師』シリーズで、本来は学級委員になるようなタイプのコが
「今ではそれだと生徒間で『カッコ悪い』扱いされてしまうので、『チョイ悪』に走ってそれを演じる新傾向がある」
とされていた記憶があるけど、この主人公クンがそんな大勢に流される虚栄心野郎ではなく、周囲はどうあれ我が道というかヒトとして正しい道を行く「禁欲」を重んじるタイプでホントによかった(笑)。
とはいえ、美少女側のキャラデザは、クラスではカースト上位に君臨してオタを見下す健康優良なギャルや元気女子への反発か、オトナしげな貧乳志向となった昨今のオタ向けラブコメとは異なり、珍しく5人全員が恵体(めぐたい)な巨乳キャラであり、筆者は大好物なのだけど(爆)、現今のオタの嗜好的にはいかがか?
勉強はできる主人公少年と、勉強ができない五つ子女子。および、勉強したくないけど少年の妹ちゃんの健気さにヒロインが同情することで、両者は家庭教師&生徒という関係性を継続。同一空間で同席することにも必然性が生じて、ラブコメとしての物語的土台も整備される。
てなワケで、美少女五つ子たちが共同で住まう高級マンションの広大なお部屋に主人公少年クンは公然と闖入。
一緒に料理・食事をしたり、姉妹のどちらの料理がウマいかの意地の張り合いに付き合わされたり、お風呂上がりに遭遇、近眼女子なので少年と知らずに後ろからバスタオル越しに巨乳を押し付けられるラッキースケベを体験したり、夏祭りをシャッフル1対1のデート形式にて散策。打ち上げ花火を鑑賞する際のドギマギなやりとりなども展開。
そのような展開もまたベタそのものなのだけど、決して段取りチックではなく、土台の盤石さか語り口のセンスか、まぁまぁ真に迫って胸キュンさせてくれたりするあたり、傑作だとは豪語しないけど佳作だとは私見する。
『五等分の花嫁∬』(2期)
(2021年4月27日脱稿)
「週刊少年マガジン」連載のラブコメ漫画の深夜アニメ化の第2期。オタ向け漫画やラノベのハーレム・ラブコメの文法を、ラブコメ漫画の本来の始祖である少年漫画誌の方にマーケティング的に逆輸入したパターンが2010年代には散見されるようになったけど、本作もまた企画的にはそんな一本なのだろう。
お金持ちでも勉強はできない同じ高校の五つ子美少女宅に、諸事情で家庭教師として通うことになった学年成績トップではあるも貧困家庭で育った男子高校生の主人公クン。そんな彼には健気な妹もいたりして、キャラシフト的にはコテコテのハーレムラブコメではある。
ただし、純オタ向け媒体ではなく一般青少年向け媒体での連載漫画であることからか、主人公クンはそこまで繊細ナイーブではなくやや覇気もあってブッキラボウであるところで、オタ層にも一般青少年層にも目配せした基本設定は絶妙。筆者は本作が大傑作だとは思わないけど、コテコテでも観られる作品には仕上がっていたとは私見する。
そんな作品だったけど、原作マンガが完結していることからか、この第2期では早くも物語の風呂敷を畳んでいくようなストーリーが延々と描かれてもいく。
第1期では彼の家庭教師ぶりに反発するも、個々人とは各イベントごとに親密さが増して、徐々に内心では彼に好意を募らせていく五つ子たち……といった微笑ましい展開ではあった。
しかし、一夫多妻制でもなければリアルに考えれば、五つ子の誰かと主人公男子クンは結ばれるオチが、1期の#1冒頭から示唆されてはきたのだ。
・女王さまタイプの強気な次女は積極的に打って出る
・歴女(れきじょ・歴史好き女子)でもある弱気な三女は懊悩する
・しかし、次女との角逐の末に三女も打って出る
・四女とも悶着がある
・妹たちの恋を応援するつもりでいた長女だが、やはり次女との角逐の末に内心の想いは捨てがたく、妹たちに変装して主人公クンとの束の間の逢瀬を楽しむネジクレた奇行を開始する
それらは作劇的にはもちろん失恋フラグではある。しかし、同時に変化球のソレでもあるのだ。
そう。告白されて主人公男子クンの胸がキュンとなる感情ではなく、五つ子たちの切ない胸キュン感情の方にスポットが当てられて、そこに視聴者も感情移入をさせられるようなドラマが展開されていくのである。
まぁそのことが特別にスゴい! 優れている! 本作の独自性だ! などとガナる気もないのだけれども。
しかし、ベタベタなハーレムラブコメの革袋からスタートしつつも、その範疇では美少女キャラたちの複雑デリケートな心情を、ラブコメだから決して過剰なドロドロの域には達しないけど、ある種の高みに達したかたちで描けたようには思えたのであった……。
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http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20040402/p1
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