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ヲタクに恋は難しい ~こんなのオタじゃない!? リア充オタの出現。オタの変質と解体(笑)

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 2020年2月7日(金)から実写映画版『ヲタクに恋は難しい』が公開記念! とカコつけて……。深夜アニメ版『ヲタクに恋は難しい』(18年)評をアップ!


ヲタクに恋は難しい』 ~こんなのオタじゃない!? リア充オタの出現。オタの変質と解体(笑)

(文・T.SATO)
(2018年4月27日脱稿)


 フジテレビ深夜のアニメ枠「ノイタミナ」18年春季作品。ヲタといってもキモオタではない隠れオタのOLが主人公。ドコか自信なさげな風などは一切なく、ダメンズなカレ氏も過去に何人かいたらしきリア充の女オタ。
 対するにお相手の男性は、周囲にオタであることを隠してナイっぽいオープンオタだが、コレまた変人ぽさはあってもキモオタではなく、長身スーツ姿のクールな眼鏡クンで「君ってセーフじゃん!」という感じ。


 コ、コレは詐欺だ(笑)。彼らリア充(リアル・現実世界で充実)なエリートオタなら、「恋は難しい」どころか「恋」も「異性のゲット」もカンタンじゃん(爆)。


 いやまぁ、いくら内面・人間性が大事だとはいっても、異性との交流に至る前段として下駄を履いていることも重要で、見た目からして他人に好かれやすいルックスやコミュ力があった方が、異性のゲットには近道に決まっている。


 物語・エンタメも、結局はこの法則に無意識に従って、異性とイイ仲になる主要人物は、たとえその人間性が決定打ではあろうとも、美男美女もしくは平均以上のルックスであることで、お互いにホレあったり付き合ったりしても不思議じゃないよネ? とドコかで想わせて、愛の勝利(笑)へと至った説得力を、観客の無意識の次元で補強する。


 #1は大企業(多分)へ転職して初出勤したその日に、中学時代の知己である先のメガネ青年に偶然廊下で再会し、彼の空気を読まない「夏コミ(=超巨大同人誌即売会コミックマーケット)、受かったか?」とのセリフに凍り付く彼女のサマが描かれる。
 云うまでもないけれども、オタが蔑視の対象ではなくなり、世間にも受け入れられた……などとゆー言説なぞは「虚妄」なのだとわからせる名シーンではある(笑)――もちろん30年前のM君事件時のオタク弾圧と比すれば、今の時代は100倍ラクだけど――。


 加えて、沢城みゆき嬢が演じる姐御肌な女上司もBL(ボーイズ・ラブ)好きな腐女子……つまり要約すればオタク女子であることが判明してしまう。


 ……とココまで来て思う。本作はこんな内容だったっけ?


 オタクの祭典・コミケコミックマーケット)の開催期間中の数日間、地下に停車する国際展示場駅エスカレーター壁から東京ビッグサイトに至る道中には、膨大なオタ向け作品の宣伝ポスターが数百数千枚と飾られる。本作の存在を近年のそれらで知った御仁は多いだろう。筆者もそのクチだ。


 オタと恋愛。オタとモテ/非モテ。このネタが大好物の筆者は、ネット上での非モテ論壇での暑苦しい議論(笑)やマンガ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』(11年・13年に深夜アニメ化・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190606/p1)などを好んで読んできた。
 その一連としてマンガ『ブスに花束を。』や本作の原作マンガ版も、お絵描きオタ向けSNS「pixiv(ピクシブ)」中に商業出版社が出店して配信中であった無料電子書籍で読んだことはあった。


 正直に云わせてもらうと、本作の原作マンガ版は筆者にはイマイチな出来の印象で、序盤で早々に読書をリタイアしてしまった記憶がある(汗)。


 ちなみに、アニメ#1は終盤以外はオリジナル展開である。そう考えると、原作マンガ版の導入部と比すれば、この深夜アニメ版はまだマシだったような気がするにはする……(爆)。


 しかし。ウ~ム。筆者が作品タイトルから連想して、ぜひとも観てみたいと思っていた内容は、もっとオタであることの自分に劣等感で自意識をコジらせた深夜アニメ『ネト充のススメ』(17年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201213/p1)のような、非モテ男女たちの飢餓や渇き、イイ歳こいて思春期のシャイな少年少女のようにモジモジしながら、不器用な成人オタ男女が一歩前進、二歩後退するようなヒイてジラして盛り上げる作品であったのだが、ナイものねだりなのであろうけど、本作はそーいう類いの作品ではナイのであった……。


 だから、この作品はダメなのだ! と腐してみたいけど、それもまた芸がナイので、ココでヘリクツ芸をヒネり出す(笑)。
 ググってみると、筆者が抱いたような感想もネット上にはカナリあふれてはいた。しかし、原作マンガが結構な部数で売れており、支持者も少なからずいるのも事実なのだ。


 察するに、そこまで劣等感で自意識をコジらせてはおらず、コミュ力がナイわけでもないオタの周辺・外縁層、つまりは超々マニアックな求道者(ぐどうしゃ)ではナイけれども、マンガやゲームもたしなむヌルオタ(ヌルいオタ)やライトオタ(軽いオタ)にとっての「自己イメージ」や「理想の異性」とは、本作のように過剰な劣等感にはまったくまみれてはおらず、ギャルや仕事デキるプライド系のイイ女の域にまでは行かないけど、異性に対して気後れすることなくまぁまぁキラクに雑談もできたり、異性を呼び捨てにできてしまったり、どころかバンバンと背中を叩いてプチ・ビッチ的なボディータッチでの自己アピールもできてしまうようなライトな「女オタ」や、少々奇人変人でも暑苦しくはなくってルックスも人並み以上で連れて歩いても恥ずくない、共通ないしは隣接した趣味を持つ「野郎オタ」のカレ氏なのだろうと分析するのだ。


 そーなってしまうと、キモオタな筆者にとっては共感・感情移入はしづらい世界になってしまう。我々オタの内実や輪郭も随分と稀釈・拡散したものだ(汗)。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.71(18年5月4日発行))


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