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あさがおと加瀬さん。・やがて君になる・citrus ~2018年3大百合アニメ評・細分化する百合とは何ぞや!?

『BanG Dream!(バンドリ!)』 ~「こんなのロックじゃない!」から30数年。和製「可愛いロック」の勝利!(笑)
『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』 ~声優がミュージカルも熱演するけど傑作か!? 賛否合評!
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[アニメ] ~全記事見出し一覧


 2019年11月22日(金)から百合(ゆり)アニメのOVA『フラグタイム』が劇場先行公開記念! とカコつけて……。
 『フラグタイム』のスタッフが先に手懸けた劇場先行公開の百合OVA『あさがおと加瀬(かせ)さん。』(18年)。
 加えて、2018年に放映された百合アニメ『やがて君になる』と『citrusシトラス)』評をアップ!


あさがおと加瀬さん。』『やがて君になる』『citrus』 ~2018年3大百合アニメ評・細分化する百合とは何ぞや!?


(文・T.SATO)

あさがおと加瀬さん。


(2018年8月1日脱稿)


 2018年6月9日(土)先行公開の百合OVA。


 ハスキーな低音ボイスの黒髪ショートで長身スレンダーな陸上女子のハツラツとした加瀬さん。
 校庭の中庭で大きな麦ワラ帽子をかぶって花壇をいじっている金髪ショートでチビチビの全身オトメで女のコといった感じの山田さん。
 対極的ともいえるふたりの女子高生の百合関係を延々と描いていく作品である。


 37年前の「アニメ新世紀宣言」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990801/p1)が夢見たアニメの未来は、人類の革新! 種としての進化! 無限チカラに試される人類の行く末! みたいな、ドコに出しても恥ずかしくない(?)マクロな議題に挑戦するハズのものだったと思う(笑)。
 それが今や、こんなにも小市民的でミクロな懊悩にすぎる、観てるとヨソさまに後ろ指を指されそうな「百合(ゆり)」だの「BL(ボーイズ・ラブ)」だのに拘泥するだなんて、初志を忘れた堕落の極みだ! 北朝鮮やシリア問題の方を気にしろよ!(ウソです)


 いやまぁ「百合」だの「BL」だのは、個人の隠れた読書体験で終わるモノだったハズで、シネコン内でも一番小さなハコとはいえ、同好の士といっしょに「百合」アニメなんぞを観るような日が来ようとは……。


 一昨年2016年は女性オタ向けのアンニュイな「BL」を題材にした『同級生』というアニメ映画も公開されてたほどで――いやまぁお耽美な世界を観に来た女性ばかりの観客の中に、ルックス的にも醜い筆者みたいな男性キモオタが視界に入ったら、さぞや気分を害するだろうと思って、鑑賞は自粛しましたが(笑)――。


 とはいえ「百合」も細分化。


 深夜アニメ『響け! ユーフォニアム』(15年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160504/p1)の脇役たちを主役に据えた番外編映画『リズと青い鳥』(18年)は、絵的にも劇中人物のメンタル的にも「真性女子」であって、控えめな女のコの快活な女のコに対する恋情や依存心も混じったかのような片思いの秘めたる百合感情。
 対するに本作は、絵的には野郎向けの美少女アニメの文法寄りで、陸上女子のオトメ女子に対する恋情は、「野郎」の女子に対する恋情や欲情のオルタナ(代替物)だとも云えなくもない。


 陸上女子がオトメ女子のお部屋に招かれて、オトメ女子のいない間にベッドに潜って匂いをかいだり、成り行き&偶然でついつい陸上女子がオトメ女子を押し倒すような格好にもなってしまい……(黄色い声!)。


 筆者にも羞恥心があるので、スクリーンを見つめながら終始ニヤニヤしてました……、みたいな感想を述べることは、「べ、別にアンタのことなんて○○じゃないんだからネ!」ばりに性格的にもムリなので(笑)、ハスに構えさせてもらおう。


 やっぱ、「百合」だろうが「BL」だろうが、美男美女じゃなきゃ相思相愛は成立しないよネ!(爆)


 なので、彼ら彼女らがルックスには恵まれていなかったならば、はたして両者間に相思相愛の「百合」「BL」関係は成立したのであろうか? とついつ勘ぐってもしまうのだ。


 それに「百合」「BL」とはいっても、既存の男女関係や男尊女卑とも無関係ではなく、やはりその中でも擬似的男役・擬似的女役がいるじゃん。快活で颯爽としていて能動的なのが前者で、総受け的なのが後者であって……。
 「可憐で守ってあげたいと思う情動」&「颯爽として頼もしいと思う情動」の非対称な組合せにこそセクシュアリティーが宿るなら……。


 陸上女子を演じるのは「あやねる」こと佐倉綾音。筆者にとっては人気美少女アニメご注文はうさぎですか?』(14年)の主人公ではなく、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続』(15年)のアザト可愛いサードヒロイン「いろはす」こと一色いろは
 ロボットアニメ『アクエリオンロゴス』(15年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20151006/p1)での銀髪ショートのメインヒロイン役で、低音ハスキーかつ絶叫も通るボイスも聞き知ってはいたけれど、宝塚の男役をイイ意味で頼りなくて情けなくもしたようなボイスを見事披露!――いや、地声に近いのか?(汗)――
あさがおと加瀬さん。

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(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.72(18年8月11日発行))


やがて君になる


(2018年12月26日脱稿)


 一見は妹系である女子はピンク髪のショートヘアの女子高生で新入生。
 一見はお姉さん系である黒髪ロング女子も女子高生だけど2年生。
 このふたりの百合関係を描くマンガ原作アニメ。


 百合の概念もインフレしすぎで輪郭がボヤけすぎだろ!? と常々思っているけれども、コレは真性の百合でありかつ、ふたりの関係性さえ良ければ他はドーなっても構わない、世界が滅びようとも構わない、この世の醜いモノは眼に入れたくない……といった、排他的で公共心のプチ欠如や度量の狭さがドコかで匂っているかのような凡百の百合作品とは異なり、そこまでには行かないであろう節度や常識や抑制があって、なおかつヒネりもある作品である。


 トンネルを抜けると……ならぬ、校舎のウラの樹林を歩いて抜けていった先には、古びたオシャレな木造棟があり、そこはハイソな面子が集う生徒会の根城であって……。といったワンクッションを置くことで、日常・俗事から少し離れた少々セイントな感じを醸す舞台を構築することにも成功している。
 なぞと書いていくと、ロートル的には往年の名作百合アニメ『マリア様がみてる』(03年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20040406/p1)における生徒会棟との類似も想起するけれど。


 妹系女子はフィクションでは恋愛物語にトキメく感性もあるのに、3次元では異性やその告白にトキメいたことがナイことにプチ苦悩する少女。
 今では中堅の声優・寿美菜子(ことぶき・みなこ)が颯爽としたお姉さんボイスで演じる姉系黒髪ロング女子が、男子生徒に告白されるも丁重に断っている姿を偶然見かけてしまった妹系女子は、生徒会活動を手伝うようになるうちに、少々親しくなった黒髪ロング女子に先の悩みを打ち明ける。


 そうしたら、黒髪ロング女子が頬を紅潮させ瞳をキラキラと潤ませて、


「自分もそうだ。(だから)アナタのことが好きになりそうだ」


と接近してくるのだ!


 似た者同士、いや通じるモノがある者同士、同じ悩みがある同士で、シニカルに見れば心理学的には「共依存」だともいえる百合関係のはじまりか!? と思いきや……。


 ひとりでドキドキと盛り上がって妹系女子に無防備にも隙を見せまくっているのは、普段は完璧超人かつ人間的にも余裕があるように見えて、小首を傾げてプチ・コケティッシュに試してくるような黒髪ロング女子ひとりだけなのだ!
 反対に妹系女子は姉系女子のそんな姿に、たった今しがた「彼女がトキメいたこと」で彼岸へと去っていき、「自分とは異なる存在」になったと感じて瞬時に冷めていき、しかもそんな冷めていく妹系女子のメンタルに姉系女子が気付いていないディスコミュニケーションを描いていくイジワルさ!


 さらに、妹系女子と姉系女子が密かにイチャイチャしているところを目撃してしまった、生徒会を手伝う美少女みたいな中性的な小柄の新入生美少年クンも、妹系女子に「このことを口外しない」と応じつつも、「自身も実は姉ふたりと妹に囲まれて育ったせいで、女性に警戒されないせいか女生徒たちにも常に囲まれていて、異性に対してトキメキを抱かない」のだと独白する。
 しかして彼が妹系女子とまったくな同じワケがなく、似て同なるところと似て非なるところも同時に描いていく。


 さらにそこに、生徒会長に当選した姉系女子の女房役を任じてきた、声優・茅野愛衣(かやの・あい)演じる明るい茶髪の副会長キャラが、姉系女子&妹系女子の急接近に気付いてプチ嫉妬もして、妹系女子に牽制をかけてくる!
 そんな彼女は中学生時代の同性愛体験で失恋してしまった経験があり、姉系女子を助けているようでも彼女に実は依存しているようなプチ病んでいる描写で深みも出していく。


 茶髪女副会長 → 姉系黒髪ロング女子 → 妹系ピンク髪女子 の一方通行な片思い!


 通常、実写作品とは異なり、漫画やアニメは「キャラデザ」や「髪の毛の色」自体がイコール「性格」も表わす記号的なモノだけど――それが悪いというのではなく――、ここでは見た目は甘ったるそうに見える妹系女子が内面においてはシニカルで、見た目はクールな姉系女子にチョロい一面も持たせることで、単なる記号キャラには陥らないナマっぽい多面性も出せている。
――もちろん多面性があるから即優れているワケではない。カルト人気を放つ新房昭之が総監督を務めた昨2017夏のアニメ映画『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』などは、清楚さの記号である黒髪ロングのメインヒロインにコケティッシュなキャラ性も付与して、その一点では多面的な描写に成功しているけど、作品全体としては優れていないと私見――。


 予算も潤沢なのであろう。作画や背景美術も美麗であり、それが本作にリリカルさ(抒情性)も生んでいる。


 他方でコレは異性にお相手として見てもらえる人種の特権であって、誰にも依存せずに孤独に堪えるダンディズムみたいな作品も出てきてくれよ! みたいな相反する気持ちがヘソ曲がりな筆者にはあるけれど、それはそれとして一時的には耽美の世界に神経の一部を麻痺させて酔うのも悪くはないと思う。

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(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.73(18年12月29日発行))


『citrus(シトラス)』


(2018年4月27日脱稿)


 たいていの美少女アニメでは悪者として登場するか存在しないことにされている(笑)金茶髪なギャル娘と、学園の御曹司でもある黒髪ロングの清楚な生徒会長。この水と油のようなふたりの女子高生の百合関係を描く作品。


 弱者男子にとっての都合がイイ、可愛さや健気さに特化した性格や、頭身も低くて描線も少なく丸っこい記号的な萌えキャラではなく、デッサン骨格しっかり系の繊細ナイーブな描線による8頭身で、ナマっぽい複雑な内面や人格も感じさせる造形のキャラデザでもある。
――アニメでも実写でも、物語である以上は、すべての人物には記号的な簡素化・性格の単純化が施されてるというツッコミはさて置き、ココでは程度問題として捉えてください――


 近年の単なる女性同士の友情すら「百合」と呼称してしまう風潮には個人的には疑問をいだく。それらが百合なら、ありとあらゆる美少女アニメはすべて百合だろう。百合ってゆーのは、マンガ原作の深夜アニメ『青い花』(09年)みたいなガチで嘆美で繊細でデリケートで、時には女性同士の性愛も伴なう作品のことを云うのであって(以下略)。


 そこの『桜Trick』(14年)! すぐにキスするな! そこまでに至る押したり引いたり、付かず離れずな中間過程や揺れる心情を経ないと、キスの場面が盛り上がらん!(笑)
 3期も作られた美少女アニメゆるゆり』(11年)に至っては、どのへんが百合なのかが筆者にはサッパリわからない……。エッ、「ユルい百合」を省略したメインタイトルで全力でエクスキューズしている作品に、そのツッコミはナンセンス? コリャまた失礼いたしました。
 まぁ確信犯的に範囲をズラしたり拡張したり、聞くところによると今では「百合」と呼称した方が売れるから(笑)という商業的理由から来る「総称」にツッコミを入れるのもヤボですナ(汗)。


 一応ギャル娘が主役だけど、そこは野郎向けの商品としてもよくできていて、彼女は真性ギャルではない。いやファッション&スイーツな輩ではあるし、ファミレスでは妄想彼氏とのHをギャル友たちにミエっ張りにも罪悪感なくスラスラと自慢するけど、少女漫画『オオカミ少女と黒王子』(11年・14年に深夜アニメ化)冒頭の主人公女子高生の同じミエっぱりとも同様、その実態は非常にウブだともゆーあたりで、我々非モテのオタク男子もホッとする。


 ここで「ウブなギャル」という語句に、昨2017年夏の深夜アニメ『はじめてのギャル』を連想した御仁は間違っている!
 いや、正しいのかもしれないが(汗)、繊細な描線の本作と豪胆な描線の『はじギャル』を同一視するのは、本作に対する冒涜である(爆)。本作でギャル娘を演じる竹達彩奈(たけたつ・あやな)嬢は、『はじギャル』では清楚な黒髪ロングなのに自室ではギャル姿の隠れユーチューバーであったが(笑)。


 で、気合いを入れて化粧をして制服も適度に着崩して、転入先の高校に乗り込んだギャル娘は、校門の前で黒髪生徒会長に拒絶され……。
 トコロがドッコイ、この堅物そうな黒髪生徒会長が校舎ウラで若手男性教師とキスをしているのを目撃したことから(!)、ギャル娘は黒髪生徒会長をその件で脅そうとするも、逆にその唇を奪われて……。


 果てはギャル娘の奔放な母の再婚により、その黒髪生徒会長と義理の姉妹として同居することになり! ……といった往年の少女漫画『イタズラなKiss』(90年・96年にTVドラマ・08年に深夜アニメ化)パターンにもなったりして、なかなかといわずともまぁまぁの序盤ではある。
 しかし、その後の展開は、キョーレツなヒキなり背徳感(汗)には少々欠ける淡泊なモノにも個人的には思えて……。


 とはいえ、アイドル声優竹達彩奈の少々小生意気でも放埒(ほうらつ)の域には行かずに節度も感じられるボイス演技は、本作のギャル娘役にはピッタリには思う。「あずにゃんペロペロ」の『けいおん!』(09年)からでもまる10年。この業界では中堅の域に達したにも関わらず、18年冬季は本作の他に『ラーメン大好き小泉さん』『だがしかし2』と3作ものメインヒロインをゲット!
 昨2017年の缶コーヒー・ダイドーブレンドCMではヒーロー課で黒い強化スーツをまとって顔出し出演を果たし――今やってるCMでは同じくアイドル声優内田真礼(うちだ・まあや)に交代だけど――、今年2018年の『快盗戦隊ルパンレンジャーVS(ブイエス)警察戦隊パトレンジャー』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190526/p1)の女敵幹部役の妖艶な声も見事だし、まだまだ延命できそうだ。

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  • 発売日: 2019/01/22
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(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.71(18年5月4日発行))


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