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うる星やつら・つぐもも・小林さんちのメイドラゴン・よふかしのうた ~異界から来た美少女キャラとの同居ラブコメにも今昔!(非日常・異能よりも日常性が強調・好まれる傾向)

『彼女、お借りします』『カッコウの許嫁』『可愛いだけじゃない式守さん』『カノジョも彼女』『トニカクカワイイ』 ~純オタ向け媒体ならぬ少年マンガ誌出自のラブコメ! 同工異曲のようでも成否の差!
『エロマンガ先生』『妹さえいればいい』『俺が好きなのは妹だけど妹じゃない』『干物妹!うまるちゃん』『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが』『ささみさん@がんばらない』『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』 ~2010年代7大・妹アニメ評!
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[アニメ] ~全記事見出し一覧


 リメイク深夜アニメ『うる星(せい)やつら』が来冬からのシリーズ後半2期(24年)の放映を控えて、1期(22年)の傑作選が放映記念! とカコつけて……。陸海空から異界・異能の美少女キャラがやってきて同居生活をはじめる、深夜アニメ『うる星やつら』1期(22年)・『つぐもも』1期(17年)・『小林さんちのメイドラゴン』1期(17年)・『よふかしのうた』(22年)評をアップ!


うる星やつら』1期・『つぐもも』1期・『小林さんちのメイドラゴン』1期・『よふかしのうた』 ~異界から来た美少女キャラとの同居ラブコメにも今昔!(非日常・異能よりも日常性が強調・好まれる傾向)

(文・T.SATO)

『うる星(せい)やつら』

(2022年秋~2023年冬アニメ)
(2022年12月25日脱稿)


 空から人外の美少女キャラが降ってきて、冴えない男子高校生と同居することになる、今日的な美少女アニメ・ハーレムアニメ・ラブコメの原点といった大人気マンガにして高視聴率の大人気アニメでもあった作品が、35年の歳月を経て再アニメ化された作品。


 ロートルな筆者なぞも小学生時分に同作の原作マンガ連載開始には遭遇しており、当時は原オタクではなくとも同世代の皆が本作には革命的な衝撃を受けてハマっていたものだ。
 云ってみれば、1955~1960年前後生まれのアニメ・怪獣特撮・マンガで育ったライトSF的な感性を持ったオタク第1世代が初めて作り手側に回って放ってみせた、我々とも近しい空気・文化を享受してきた世代による、我々の世代向けの作品がついにココにて誕生したのだ! といった感慨を子供心にも受けたのであった――オタクという語句はまだ存在しなかった時代だけど――。


 リメイクにあたっては、時代設定を現代に置き換えてもイイはずである。なのだけど、本作ではあえて原作マンガが連載開始された1978年をモデルとしたのだろう。風景や家屋や高校生たちの制服や私服などは、筆者のようなロートルにとっては見覚えがある、いかにも70年代末期的なモノともなっている。


――子供部屋や居間の押入れや出入り口などがドアではなくフスマ! 家具が少ない! 主人公男子高校生の自室の壁には観光地のお土産のむかしの定番であった細長い二等辺三角形のかたちをした三角旗が貼ってある! 女子の体操着がブルマ! 制服スカートもヒザ下まであって丈が長い! ……授業参観に母親たちが和装で参加しているあたりは、石森章太郎原作の東映特撮『好き!すき!! 魔女先生』(71年)などの70年代初頭であればともかく、70年代末期にはもうなかった事例だとは思うけど、それもまた懐古趣味的な確信犯なのであろう(笑)――


 今のユニクロにつながる中国での縫製による安価で多彩な若者向けの服飾の元祖や、男性でも美容院に行くようになったのは80年代中盤以降のことである。なので、この70年代末期の若者たちは皆が似たようなシャツとGパンを着用していることで、ルックス面でも性格類型が過度に可視化、カーストも拡大化されることがなかった古き良き時代の空気を懐かしくも思い出す(笑)。


 それはさておき、「あなたにオススメです」的に上がってくるオタク向けニュースもまた、サイレントマジョリティーならぬノイジーマイノリティーの意見であるやもしれない。よって、オタク全体におけるその意見比率については軽々には判断ができない。つまり、そのままで受け取るべきではない。
 しかし、本リメイク放映開始当初には、「本作の主人公男子高校生・諸星あたるに対して、若いオタクたちから非難囂々の嵐!」といった記事をよく見掛けたものだ。


 そう、たしかに本作は美少女ハーレムアニメの元祖ではある。しかし、35~45年という歳月の隔たりは実に大きい。後年のオタク向け美少女アニメの主人公少年はメインターゲットに合わせて、もっと受動的で内向的で繊細ナイーブであったり、自分で告白する胆力はないし、そういった積極的な行動にはリアリティーや身近さを感じられないので、女子の方から告白されたがっていたり、そのことで胸キュン感情を惹起されたかったり、対外的にはともかくアタマの中では言葉が渦巻いているモノローグ少年であったりもする。
 つまり、アクティブでケーハクで浮気性でナンパもやすやすとコナしている諸星あたるとは真逆の性格なのでもあった(笑)。


 この作品はそーいったモノなのだと割り切って楽しむことも可能だとは思うものの、そこがネックにはなってしまうのやもしれない。とはいえ、だからといって諸星あたるの性格設定を変えてしまっては、もう『うる星(せい)やつら』ではなくなってしまうので、それもムリだけど(笑)。


 筆者個人は我々のような高齢世代のオタに一定数は存在しているようなガチの『うる星』マニアなどではない。原作マンガや往時のTVアニメを幾度も繰り返して再鑑賞したような熱心な研究家タイプの『うる星』オタでもない。
 よって、マンガにはないアニメオリジナルの展開や点描をキラっていたタイプでもない。押井守カントクが増幅していた同級生キャラ・メガネやオリジナル編は評価もしている。押井守は後年の作品群よりもTVの『うる星』時代が頂点であったと思っているくらいだ(笑)。


 コレは今のような審美眼はなかった中高生時代の感慨に基づいた思い出補正であり、いま観返してみれば現在進行形での生命力は往時のTVアニメ版にもナイのやもしれない。しかし、破裂的でハチャメチャな勢いといったものにはやはり欠如しているとは感じてしまう。


 客観的に見れば、特に拙(つたな)いところもなく、同季の深夜アニメの中では充分に水準以上の作品だとは思うのものの。
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(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.84(22年12月30日発行))


つぐもも』1期

(2017年春アニメ)
(2017年4月27日脱稿)


 今では40年もの伝統がある、空から異界の美少女が降ってきて平凡な少年と同居するパターンのバリエーション作品でもある。


――このジャンルのことを端的にネタ的にも指し示すものとして「落ちもの」といったジャンル名(笑)まで21世紀には出現。それを受けてのメタ的なタイトルの美少女キャラ作品としては、角川書店系のマンガ作品『そらのおとしもの』(07年。09・10年に深夜アニメ化)といった作品も登場している。ただまぁ、筆者個人は前掲の作品については評価してはいませんけど(汗)――


 本作においては、少年の亡き母の着物のオビが、歳月を経て魂を生じていわゆるアニミズム的な付喪神(つくもがみ)となって、それがヒト型の水色髪で白和装姿の美少女ヒロインに昇華しているといった設定である――耳のかたちはなぜかトガったエルフ(妖精)耳だけど(笑)――。彼女はいわゆる「戦闘美少女」でもあり、この少年を守らんがために妖怪と戦うのであった!


 #1は非常に見やすくて基本設定もわかりやすい。ジャンル作品のお約束で「質量保存の法則」を無視して超長大に伸びていくオビを武器として無数に繰り出して、主人公少年を守るために「黒髪のカツラ」(笑)の妖怪と戦ってみせる、迫力ある超高速バトルもイイ感じではあった。起承転結・勧善懲悪のメリハリも強くてプレーンな作りだとも思うのだ。


 しかし、この作品の罪ではナイのだけど、各話単位の脚本&演出にも拙さはナイのだけれども、個別単独の作品としてのクオリティとはまた別に、ひょっとしてひょっとすると、ドコとなく少しだけそのプレーンさが今となっては少々古クサいかもしれない?(汗)


 古クサいと思ってしまうことの原因はナニなのであろうか? この付喪神ヒロインの造形が今となってはやや単調で、いわゆる「戦闘美少女」属性の方に寄り気味だからであろうか?
 今どきの美少女アニメにおける、異能的な非日常要素などはなくても、ただの「人間」としてのヒロインとのやりとり・交際・会話などに伴なう繊細デリケートな表情・仕草・言動などをフェティッシュに追いかけて、「萌え」的に執着してみせるような、それだけでも「間」が持ってしまうような作劇的な「視線」や「演出」が欠如気味だからであろうか?


 常々オタク系や萌え系のいわゆる「落ちもの」美少女ジャンルは年々歳々クセが強くなっていっており、それが「進歩」であるのか間口の狭い「袋小路化」であるのかがビミョーだとは思ってきたものだ。
 しかし、いざ本作のようにプレーン(平明)でオーソドックスで先祖返りしたかのような作品が登場してしまうと、フツーに楽しめつつも少々物足りなくも感じてしまうとは……。我ながら身勝手ではあるし、筆者もそーとーにこのテのジャンルの長年にわたる変化に染まって、そこを基準に考えてしまうように毒されていたようでもある(笑)。


 主演の男子中学生役はテロップを見ると三瓶由布子(さんぺい・ゆうこ)。近年だと児童向けTVアニメ『団地ともお』(13年)の1970~80年代っぽい少年主人公や、少女マンガ原作の(ひとり)ボッチ深夜アニメ『君に届け』(09年・11年)のレギュラーキャラであり沢城みゆき(さわしろ・みゆき)嬢とのギャルコンビが個人的には印象に残っている。両役ともに本作の主人公少年とも同様に、低音ハスキーな感じではあった。
 もう10年も前の女児向けアニメ『Yes! プリキュア5(ファイブ)』(07年)主演にて披露していた、元気だけれども甘~い高音の美少女声が個人的にはスキだっただけに残念なのだけど(笑)。地声に近いのは本作のような少年声の方だったようで、あのプリキュアはけっこう作っていた声であったようだ……。
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(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.69(17年5月4日発行))


小林さんちのメイドラゴン』1期

(2017年冬アニメ)
(2017年2月21日脱稿)


 「メイド」+「ドラゴン」。西洋ファンタジー風ドラゴンがふだんは金髪ツインテールのかわいい美少女メイドに変身しているから「メイドラゴン」というタイトルである(笑)。ダジャレの出オチ的な発想から構築されたとおぼしき作品だ。


 弱者男子にとっての都合のイイ、アリがちな弱者女子・天真爛漫ハクチ女子モノなのであろうと思いきや……。


 我々キオオタにとっては縁遠い、メンドくさい出会いやら声掛けナンパやら、論理的・実務的ではない戯(たわむ)れの言葉遊び的な無内容な会話(汗)で女性を楽しませつつ、そういったことの積み重ねでの交流・交情の深まりといった進展の描写を省いてくれて(笑)、そもそもの最初からすでに出会ってもいる「妹」や「幼馴染」であったり、職業的にも無条件で尽くしてもくれる「メイド」モノといったジャンルの一環作品なのであろうネ? あ~、ハイハイ。そのテは見切ったヨ! と思いきや……。


 ナンと! そもそもの居候先が10代の男子高校生のお部屋などではなかった!


 居候先のご主人さまはメガネをかけており、化粧っ気もなくって(多分)、「媚びへつらい」や「愛想笑い」などとは無縁な不愛想な表情で、「スカート」ではなく「グレーのスーツズボン」をはいている、明らかに女子力には欠けていそうな(汗)、スレンダーな冷めた20代の女子である!


 いわゆる暗黙裡に「女子力」や「コミュ力」を要求されそうな営業職とか総合職とかではない、職業はIT屋さんであるらしき一人暮らしのOL・小林さん(笑)なる社会人女性なのだ。


 その彼女宅に「ドラゴンの恩返し」(笑)とばかりに美少女メイドが転がり込んできて、同居生活を開始するという作品なのであった。


 ……って、誰得(だれ・とく)の設定ですか!?


 たしかに、趣味活動に傾注したい女オタクたちも、自分に尽くしてくれて炊事・家事・洗濯までしてくれるパートナーを欲(ほっ)しているという話は聞くけれど(汗)――女子向けアニメ『少年メイド』(16年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160502/p1)など!――。


 とはいえ、小林さんは明らかに「オンナを捨てている」といったタイプでもない。よって、


●往年の綾波レイ(あやなみ・れい)(『新世紀エヴァンゲリオン』(95年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20110827/p1))
長門有希(ながと・ゆき)(『涼宮ハルヒの憂鬱(すずみや・はるひのゆううつ)』(06年))
●最近の尾頭ヒロミ(びとう・ひろみ)(『シン・ゴジラ』(16年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20160824/p1))


 彼女らのような、控えめな「理系女(リケジョ)」タイプのそこはかとない抑えたイロ気というのか、「オバサン」や「媚び媚び系」には行かないけど、年齢が長じても完全消滅はしていかないウブで善良な「少女性」の残存! といった文脈で捉えることも……できるのかもしれない!?


 ……我ながら心にもないことを自動的に書いておりますけど(汗)。「尾頭ヒロミ萌え~」的な文脈で、小林さんを享受しているオタクはそうそういないと思われますし、筆者もそんな目線で彼女を見てはいません(笑)。


 ググってみると、本作のマンガ原作者センセイは、髪の毛を脱色してヤサグレ一歩手前にも見えるサバサバとした女性主人公による、メガネの駄目ンズなオタク男子との新婚生活を私小説風に描いていた5分アニメ『旦那が何を言っているかわからない件』(14年)と同じヒトでもあった。
 なるほど、初々しさはないけど性悪でもない、瞳も小さくて三白眼女子のイロ気や魅力といったものは、両作ともに共通して存在しているかも……ですかネ。まぁ、平均的なオタク男子たちが好みそうな女子像にはまったく見えないけれども(汗)。


 この小林女史のことはともかくとしても、絵柄的には女オタクにも目配せしている作品だともとうてい思えず(そうでもない? 今ではOK?)、野郎オタク向けのベタで安っすい美少女アニメにしか見えない。なのに制作スタジオは、近年はそのブランド力を活かして本格文芸志向に傾きつつあるようにも見える、天下のアニメ製作会社京都アニメーション


 いや、この作品自体に罪はナイのだけれども、天下の「京アニ」がこんな作品をアニメ化するだなんて……。
 ムリやりにムダに言葉遊び的に深読みする評論オタの一部には、本作にも「京アニ」らしさを見出すムキもいるのやもしれない――ご苦労さまです――。
 しかし、筆者はこの作品にいわゆる「京アニ」らしさは感じない。「京アニ」特有のリアルな背景美術や実写のアート邦画的な間・テンポ・カメラアングルなどの冴えやヒネリなどもなくって、ごくごくフツーのオタク向けテンプレ(ート=型にハマった)アニメにすぎないとも思うのだ。


 しかし、それが悪いというワケではない。こーいった空から美少女が降ってきて同居もしてくれるような、思春期・青年期の妄想を体現してくれるような作品こそが、我々のような中高年オタ向けではなく、本来の少年少女向け、もしくはオタク少年向けのアニメ・マンガの王道設定作品でもあるのだ……といったことも間違いではないからだ――まぁ、本作の場合は、そうとうにヒネりは入っているので、王道とは云いがたい作品ではあったものの――。


 けれども、序盤だけを観たかぎりでは、そのお約束・テンプレの範疇での、ベタなりの王道の力強さ・密度感・冴え・キレといったものは、少なくとも筆者個人には感じられず、ワリとルーティンで脱力したテンプレの段取り展開でしかなかったといった印象でもある。


 「京アニ」も企業ですから、会社を安定的に操業させていくためには、いつも常にホンキの作品ばかりを作らずに、作画カロリーも低そうで描線もシンプルな本作のようなイロモノ作品を挟むことにしたのであろうか!? ……なぞとゲスな勘繰りも入れつつ、それはそれでオトナとしての正しいビジネスの態度だナ、とも思うのだ。


 そう考えてみると、『甘城(あまぎ)ブリリアントパーク』(14年)や『無彩限(むさいげん)のファントム・ワールド』(16年)なども、作画カロリーはともかく内容的にはさして深みがあるものではなかったので――異論は受け付けます(汗)――、そーいうコトであったのかと独りごちる。「人はパンのみにて生きるにあらず」の逆なのであった(笑)。


 そんなワケで、ダメダメだということでは決してナイ。気楽に見られる水準作だろうとは思うのだ。しかし、毎季のことではあるけれど、あまたの深夜アニメをすべて観ることなどできようハズもナイのであって、あくまでもイス取りゲームで自身の好みに合ったその季の上位5~6作品だけを鑑賞している都合上、「ゴメンなさい」と多少のやましさを感じつつ、HDD(ハード・ディスク)レコーダーの予約リスト上から本作はご退場を願うのでありました(……本作をスキな方々にはゴメンなさい・汗)。
青空のラプソディ 【アニメ盤】

小林さんちのメイドラゴン 1 [Blu-ray]
(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.77(17年2月26日発行))


『よふかしのうた』

(2022年夏アニメ)
(2022年12月25日脱稿)


 眠れなくなってしまった14才の少年が深夜に団地から外出。郊外の住宅地や公園をさまよう。そこでやや年上で八重歯に不敵な笑みを浮かべた吸血鬼美少女に出会って……。


 中学・高校と進学するにつれて睡眠時間も減って、仕事もしていない学生のモラトリアム(猶予期間)で、夜間に自分の自由にできる時間もできるものだ。活動範囲も広がって、夜間にコンビニへ立ち読みや買いものへ行っても許される。


 あるいは、オモテの学校や家庭ではウマく生きられない人種のうちでも、行動的な陽キャであれば、夜の都心のストリートへと繰り出して出逢い・会話・遊びを楽しむ。
 我々のような陰キャであれば、人通りも少ない郊外の街灯に照らされた闇夜の世界にこそ、級友やご近所などによる値踏みもしてくる他人の目が少なくて蔑視の目線もないゆえに、劣等感をヒリヒリと抱かなくても済む「自由」(解放感)を感じていたりもする(笑)。


 むろん、それが真の意味での「自由」であるのかは怪しい。昼間との落差で「自由」であると相対的に感じているだけだったりもするものなので(汗)。


 本作の場合は、主人公少年は名作アニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(11年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191103/p1)同様に引きこもり少年であったりする。
 そうなると、主人公の性格造形的にも一般の少年マンガ媒体ではなくオタ向け媒体出自なのかと思いきや……。「週刊少年サンデー」出自! 時代は変わったものである(汗)。


 といっても、イジメを受けたワケではない。女子からの告白を受けたのに、それがピンと来なくて断ったことで、女子連中からハブにされたことが原因なのであった(怖!)。


 アニメ化に際しての処置なのだろうが、郊外の闇夜の描写による異化作用がすばらしい。星空は黒でなく青くて星の数も多く、都心なのに天の川が緑色に輝いている。街灯で照らされた地面は黄色く染まっている。夜の湿気も感じられるような空気感も含めて、没入させてくれるのだ。


 もちろん、このテの作品はヒロインの魅惑的で個性的なルックスでも吸引力の大小は変わってくる。人物造形の作り込みまでウマくいけば、もうそれだけでどんな会話を仕掛けてきてどんなリアクションを返すのか? といったところまで規定されて、何気ない雑談の会話をいつまでも継続ができて、間を持たせることもできるのだ。


 本作の場合、アニメ化に際して七色の声を持つも彼女が演じているとはわかる中堅アイドル声優雨宮天(あまみや・そら)による、ダミ声も入ったベラんめぇ口調で少年のオボコさを試しつつカラかってもくるセリフ回しもそれらを増幅! この銀髪吸血鬼少女と少年のグダグダ素っ頓狂な会話と夜の雰囲気描写だけでも、序盤の2話が保ってしまっているのだ。


 吸血行為や吸血鬼美少女による少年の自室への勧誘、マッサージや添い寝業も営んでいる彼女主導による若い男女の接触描写は、思春期の少年少女にドギマギさせるためのツカミでもある――むろん、性行為には及ばないけど(笑)――。


 しかし、メインヒロインの吸血鬼美少女に弱点がなくてもツマらないからだろうが、余裕をカマして下ネタを連発しているワリには、実は恋バナ(恋話)には弱いのだと設定(笑)、時にテレたり赤面させることで「萌え度」も上げているのだ。


 2話のラストでは、サブヒロインも登場。髪の毛にクシを入れていない! といった風情でも、素の顔面偏差値は平均以上なのだろうとは思わせる、アンニュイ・気怠るげでローテンションではあっても、性格は良さげな制服女子中学生の地味女子も登場。
 やはり七色の声を持っているものの彼女が演じていたとはいつもわからない花守ゆみり(はなもり・ゆみり)が、引きこもりや(ひとり)ボッチになるほどではないけれども、クラスの中ではいかにも傍流そうな女子であり、かつ、学生時分から地味な主人公少年のことを少々心安くて好ましくも思っていたのだろうナといった風情を、やや低音のボイスで好演している。
 吸血鬼のメインヒロインとは対照的に、早起きして夜明け前には登校している(!)といった設定での接点を作って、作品世界の広がりも感じさせつつ、対比もウマくできている。


 この3人の関係性だけでもストーリーの継続が可能だよナ……と思いきや。若いオタクが2010年代の平成『仮面ライダー』作品を評していわく、各話ゲストの「お悩み相談室」パターンで、出版社に勤めている社会人2年目の黒髪メガネ女子が吸血少女宅に訪れてマッサージを受けながら、夢と現実の落差に疲弊して涙する6話の滋味!


 7話からは中堅アイドル声優戸松遥(とまつ・はるか)が演じる、高飛車な声もピッタリで援助交際なども平気でしていそうなギャル高生を筆頭に、


●黒スーツ姿の年増の赤髪姉御
●黒髪ロングの落ち着いたお姉さま
●黒髪ショートの上目使いで媚びてくる女子高生
●黒髪ロングの自称「ボク」女子


なども一挙にグループとして登場!(全員が吸血鬼・笑)


 美少女アニメ的なハーレム文法も導入されている。


 しかし、彼女らの主人公少年への迫り方はアザトさを前面に出している。しかも、その計算・打算・競争を彼女ら自身の内心の声で説明したり評し合ったりするあたりで、作者もなかなかの人物眼であり、女性の心理も見抜いている……と思ってググってみたら。


 エッ、あのおバカなギャグ作品にして駄菓子を素材に延々と珍妙な駄弁りをつづっていく、深夜アニメ化もされたヒット作『だがしかし』(14年。16・18年に深夜アニメ化)と同じマンガ家さんの作品だったの!? 引き出しの広さには恐れ入るのであった。
TV アニメ『よふかしのうた』オリジナル ・ サウンドトラック

(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.84(22年12月30日発行))


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うる星やつらつぐもも・よふかしのうた! ~異界から来た美少女キャラとの同居ラブコメにも今昔!
#うる星やつら #つぐもも #よふかしのうた #小林さんちのメイドラゴン #落ちもの



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