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チア男子!!・アニマエール・風が強く吹いている ~チア男女やマラソン部を描いたアニメの相似と相違

『夜は短し歩けよ乙女』『夜明け告げるルーのうた』 ~鬼才・湯浅政明カントクのイマ半と大傑作!
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』第1期
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[アニメ] ~全記事見出し一覧


 2019年5月10日(金)から映画『チア男子!!』が上映中記念! とカコつけて……。
 深夜アニメ版『チア男子!!』(16年)とチア女子を描いた深夜アニメ『アニマエール!』(18年)と駅伝マラソン部を描いた『風が強く吹いている(18年)』評をアップ!

チア男子!!・アニマエール・風が強く吹いている ~チア男女やマラソン部を描いたアニメの相似と相違

(文・T.SATO)

チア男子!!

(16年8月8日脱稿)


 「チアダンス」を踊る男子という題材からも、絶対にイロモノのナンチャッテ的なギャグアニメだろう、タイトルからして「笑い」を取りに来てるよネ? ……などと思っていたら、マジメな作りの深夜アニメであった。


 スタッフはラノベ原作の深夜アニメ『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』第1期(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20150403/p1)や少女マンガ原作の深夜アニメ『アオハライド』(14年)などの監督で名をなした吉村愛――私見では両作ともに傑作!――。
 脚本も今やベテラン実力派脚本家で、近年では特撮でも坂本浩一カントクと組んだ『白魔女学園』(13年)――コレも傑作!――なども執筆している吉田玲子。


 絵柄は少女マンガ系。よって、少女マンガが原作か? タイトル末尾が「!!」とケーハクであることからライトノベルが原作か? と思いきや……。
 なんと、スクールカースト文学の金字塔『桐島、部活やめるってよ』(10年)――まぁ筆者も映画版(12年)しか観てないですけど――の朝井リョウ原作の小説なのでした!


 ただし少女マンガ絵でも、近年では少女マンガにもよくある(?)、BL(ボーイズ・ラブ)ではないけどBL的な消費も可能な、デッサン骨格しっかり系の男のコたちだけのホモ・ソーシャルな世界が中心で、女の子キャラは基本的に脇役としてしか登場しない――序盤を見ているかぎりでは――。


 単なるイロモノ作品としては終わらせないためか、主人公の可愛いお坊ちゃん系の大学生男子は淡泊で巻き込まれ型のキャラであり、我ら凡俗たる視聴者に近しい存在ではあるけれど、物語が開幕した早々で、柔道一家の落ちこぼれであり、相手を投げ飛ばす際に自身の方が痛そうな顔をしていると、コレまたよく見ている友人に指摘させ、彼を心優しい共感能力に優れた人物として造形してみせて、視聴者の感情移入を誘うあたりの作劇はお見事。
 で、凡人が主人公の作品の典型で(?)、彼の一応の相棒である男子の方が能動的で、彼の方が男子チアリーディング部を能動的に設立していくサマを描いていく。


 そこに集っていく、センスのなさそうなデブの初心者や、ご都合にもバック転なども最初からできる運動神経バツグンのチャラ男、元・男子チア経験者らしきコーチ業のみを希望する青年……。
 といった感じで、集結劇・群像劇としても、物語的には拙いところはない。ないのだが、もう少しコレ見よがしのケレン味やスパイスがほしいような気はする。

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(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.75(16年8月13日発行))


アニマエール!

(18年12月3日脱稿)


 「フレッ! フレッ! 私ー!!」だと、チアガールをモチーフにした今年2018年度の女児向けアニメ『HUG(はぐ)っと! プリキュア』の主役キュアエールになってしまう。


 今季2018年秋の萌え4コマ漫画誌『まんがタイムきらら』系アニメで、高校のチアダンス部が主題。ピンク髪の元気女子が、チアガールを夢見て高校に入学したら、チアダンス部がナイので、新規に部活を立ち上げる以前に、部活新設に必要な最低5人の部員集めからスタートするというモノ。


 近年でも『ラブライブ!』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20150615/p1)や実写映画版『ハルチカ』(17年)などで既視感バリバリどころか、大学の男子チアダンス部(!)を題材にした小説原作(10年。『桐島、部活やめるってよ』と同じ作家による小説)の深夜アニメ化『チア男子!!』(16年)とも同じ導入部だ(汗)。
 まったくのド素人集団ではステップアップやら大会出場にリアリティがなくなるので、経験者なり何らかの才能の持ち主が、イヤイヤながらも放っておけずに参加してしまうのも全作で共通。本作でも一度は夢を断念した経験者の役回りをクールな黒髪ロング女子が務める。


 そのコテコテさにケチを付けるか、それをもう「王道」と捉えてこう作るしかナイと取るかはムズカしい。ヒトそれぞれであろう。個人的には後者の立場であり、あとは料理の仕方で、単なる味気ナイ段取り劇か、密度や血肉が感じられて劇中に吸引される仕上がりになったか、といったところで線を引きたいけど、そこにも個人の主観や好みが入るからなぁ。げに作品評価とはムズカしい。


 チアガールなんて日米共にスクールカースト最上位でオタの敵。TVドラマ『ダンドリ。~Dance Drill』(06年)や同じく実話の映画『チア☆ダン』(17年)にその続編のTVドラマ版(18年)もあったことを思うと、リア充文化のおこぼれにオタらも反発しそうに思うけど、まるっこいデフォルメされた頭身低めの記号的絵柄で、現実との地続き感やリアリズム的な眼差しはウスれ、「現実にはこんなに美少女だったら男が寄ってくるよネ」「女の方も好ましい異性にイロ眼を使うよネ」「ムキーーッッ!(嫉妬・羨望)」的な感慨も湧いてこない(笑)。


 ただし、作品自体の罪ではないしクオリティの話でもなくマーケティングの話になるけど、『きらら』系の18年夏季アニメ『はるかなレシーブ』が、まるっこい記号的な萌えキャラによる他愛ないキャッキャウフフではなく、デッサン骨格しっかりめの頭身高めでいわゆる恵体キャラによるスポ根路線をねらったら、円盤売上は『きらら』系アニメで断トツの爆死。
 そのへんの近年のオタの嗜好も考慮したのか、筋肉を感じさせない平面的なキャラデザで生グサさを中和(?)した『武装少女マキャヴェリズム』(17年)・『刀使ノ巫女(とじのみこ)』(18年)の2大刀剣美少女アニメも爆死したことと併せて――個人的には後者は神懸かった大傑作だと私見するけど(汗)――、体育会系部活女子や戦闘美少女モノは、当今の心優しい(?)『きらら』系読者や萌えオタにはウケないようにも悪寒。

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風が強く吹いている

(18年12月3日脱稿)


 「辞書」作りを題材に、実写映画化(13年)やノイタミナ枠でアニメ化(16年)もされた『舟を編む』)。その原作(09年)は中堅の女流作家・三浦しをんの筆によるものだが、本作もその三浦しをんの小説(06年)を原作にした深夜アニメだ。


 題材は大学箱根駅伝! なのだが、玄関が共同の歴史ある昭和チックなオンボロ木造アパートに住まう異形の学生たちを脅したり宥めすかしたりして、大学マラソン部を復活させようとする導入部となる。
 こう書くと、萌え4コマ原作の同季の深夜アニメ『アニマエール!』と題材的には同じだ。しかし、絵柄がまるっこい記号的な美少女か、デザイン骨格しっかりの筋肉も感じられる8頭身のイケメン青年やムクつけき男子かで、そのテイストはまるで異なって感じられる――くれぐれも云うけど、両者の優劣の話ではないので、念のため――。


 約30年も前(歳がバレる・汗)、第1世代SF作家の筒井康隆センセイがベストセラー小説『文学部只野教授』で、80年代ポストモダン思想や20世紀の現代思想に文学理論の要点などを解説、その中に「ナラティブ」(語り口)なる概念もあったと記憶するけど――同季公開の福井晴敏原作の映画『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』(18年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20181209/p1)のタイトルも、ココからの引用と思われ?――、まさにその「ナラティブ」。題材・テーマよりも語り口・文体・叙述の方でその作品の質が決まり、同じ材からでも作風・風情・情緒は陰陽いかようにも変わる好例だとも思える。


 男性キャラの8頭身のキャラデザは、女性オタ層を狙ったモノだと云ってしまえば、野郎オタ向け美少女アニメと等価だともいえる。とはいえ、絵柄的にも作品のリアリティの喫水線が自動的に上がるので、一方では許容されるナンちゃって的な努力や精神主義での解決が、他方では許容されなくなるあたりで非対称ではある。
 楽天的な元気が燃料となる『アニマエール!』と、楽天的で強引な副主人公(?)によるマラソン部再建でストーリーは動くも、流されているようで安易に内面を視聴者にも覗かせない主人公(?)青年の姿にフォーカスが結ばれていくような本作――ググってみると、副主人公だと思っていた方が主人公で、主人公だと思っていた方が副主人公でしたけど(笑)――。


 大学近くの古き良き木造アパートということで、同じく小説原作の深夜アニメ『四畳半神話体系』(10年)やその派生映画『夜は短し歩けよ乙女』(17年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190621/p1)も想起するけど、アチラはモテ非モテに重きを置かない京都大学の小汚い変人インテリ学生たちの自意識過剰で饒舌な内面トークが特徴だとすれば、コチラの小汚い学生たちはボキャ貧の愛すべき筋肉バカではある。ドチラもイケてない系であり、ストリートやクラブに繰り出してナンパしたりされたりといった人種でない点では共通項もあるのだが(笑)。


 とはいえ、本作もそれなりに高射程を狙ってはいるけど、地味でありツカミには弱いとも思う。
 同じ地味でも、コレならば古参出版社で10年越しの「辞書」作りに励む編集部を舞台に、そこに集う地味な若手・中堅・老年の編集者や契約社員にパートや営業、外注ライターや監修の老骨な学者先生たちによる、実に地道で気の遠くなる数万・数十万の語彙カードの作成&整理、原稿取りや、版下作りに校正・校閲や、紙やインクの選定などなどを描いた『舟を編む』の方が――傑作だったとまで評価はしないけど――、個人的にはまだ好感が持てた。


 ただまぁこの評価も筆者の性格に起因するところが大であろう。1日中狭くて薄暗い書庫にこもって他人とほとんど会話せず、シコシコと文献整理&思索に明け暮れるような仕事は、筆者のようなネクラ人種にとっては苦にならずむしろ天職であり天国だ! とすら思えるが、大多数の健全(冷笑)な一般ピープルにとっては、苦痛どころか拷問・虐待ですらあろうから(爆)。
 そんな職には就けない、就けたとして安月給で喰べていけない凡俗な我々は、90年代以降のSF冬の時代にデビューした日本のSF作家の大勢やラノベ作家の一部の兼業日曜作家たちのように、趣味を満喫といかずとも余暇に心の安寧を得るためにも、身過ぎ世過ぎでせめて表面だけでも他人に合わせて会話したり、生きて喰べていくためにも働いて小銭を稼がねばならない……といったような苦悩は、まだモラトリアムにある本作の学生たちや、ジャンル作品における若き主人公たちには無縁の悩みだ(笑)。

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(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.73(18年12月29日発行))


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