(2017年8月20日(日)UP)
『ウルトラマンオーブ』最終回「さすらいの太陽」 〜田口清隆監督の特撮で魅せる最終回・ジャグラス改心の是非・『オーブ』総括!
『ウルトラマンジード』序盤評 〜クライシス・インパクト! 平行宇宙のひとつが壊滅&修復! その原理とは!?
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ウルトラファイトオーブ完結評 〜『オーブ』・『ジード』・昭和・平成の結節点でもある年代記的な物語!
(文・T.SATO)
(2017年6月17日脱稿)
「ゾフィー兄さん! アタマ、アタマ!!」(笑)
ウルトラ兄弟の長男にしてウルトラ一族が設立した宇宙警備隊の隊長ゾフィー。
その全身が、地球最強の怪獣とも云われる火山怪鳥バードンがクチバシから吐いた猛炎につつまれる!
しかし、それをモノともせずに、火炎を払いのけるゾフィー兄さん!
けれど、鎮火はするも最後まで残っている炎は、ゾフィー兄さんの頭頂部の左側面!(笑)
カッコいい! とシビれつつも、長年のファンであれば、笑いがコミあげていることであろう。
某巨大掲示板では「ミスターファイヤーヘッド」(笑)の異名を頂戴し、頭が燃えたゾフィー兄さんのアスキーアートも10数年以上、貼りつづけられている愛すべきゾフィー隊長。カッコいいけど、半分だか1/3くらいは同時に、「ココでネタにしてください!」「ココで笑ってください!」と誘っていますよネ! 我々腐れオタやネット民に対して坂本カントクが燃料を投下! お約束で共犯の炎上! 祭りだ、祭りだ!(笑)
ファイヤーヘッドが鎮火したゾフィー兄さんは飛来してくるバードンを、すかさず必殺のM87光線で粉砕!
ついに、ついに、ついに、44年の時を経て、一度は敗北を喫したバードンに雪辱を果たすゾフィー兄さん!!
設定上は「ウルトラ兄弟最強」と謳(うた)われるも、実際には敗北も多くて、マニア間ではゾフィー最強説は兄さんの「偽称」なのでは? という疑念まで生じていたものだけど、あぁ、こんな強いゾフィー兄さんを正規の本編作品の映像でも観てみたい! と思い続けて幾星霜!――注釈しておくけど、この愛すべき「偽称説ネタ」は某巨大掲示板が発祥ではなく、もっと大むかしの80年代の特撮同人界が発祥かとも思われる(笑)――
……ついでに云うけれども。もう10年も前になるけど、個人的にも傑作・良作だと私見する『ウルトラマンメビウス』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070506/p1)の、数は少ないながらもいくつかの欠点を挙げさせてもらえば、終盤の#42「旧友の来訪」……。ここで云う「旧友」というのは、『ウルトラセブン』のタケナカ元参謀や昭和の人気怪獣レッドキングやゴモラが再登場することの掛け言葉ではあっただろう。
しかし、レッドキングやゴモラまで同時に登場させるのであれば、初代『ウルトラマン』(66年)とその次作『ウルトラセブン』(67年)の空隙(くうげき)期間である、宇宙SF特撮『キャプテンウルトラ』(67年・東映)な半年間(笑)の時期の出来事だとおぼしき、防衛組織・GUYS(ガイズ)のサコミズ隊長の回想におけるゾフィー隊長との邂逅(かいこう)シーンについても物申したいのだ!
あそこに出てくる円盤群は、初代『マン』最終回で初代ウルトラマンに敗退したゼットン星人が、改めて地球にリベンジしに再来訪した円盤群だと設定!
そして、その円盤群をゾフィー隊長が一掃!
しかし、円盤群の残骸の中から、宇宙恐竜ゼットンの別個体が出現!
ゾフィー隊長はM87光線を放って、必殺光線同士の押し合い・へし合いをしばらく続けるも、ついにはゼットンを粉砕するゾフィー兄さん!!
そういった図が観たかったんだよ〜!!
あぁ、こんな図が観られれば、もう筆者は死んでも悔いはなかったのにぃ(←我ながらツマラない人生だな・汗)。
……まぁ、1兆度の光線を粉砕する、87万度の光線ってオカシくね? てなツッコミはさておき(笑)。
それで、ゾフィー兄さんがサコミズ隊長に、
「地球はねらわれている。今、宇宙に漂う幾千の星から……」
などという、『ウルトラセブン』#1冒頭のナレーションを引用したセリフでも語ってくれたならば!
ついでにあの回で、ニッポン以外ではこの25年間、怪獣が出現しなかった、なぞという夢のないダメ押しをするのではなくって、
「アメリカとオーストラリアでは少数ながら出現例が確認できます!」
と云ってくれたならば!
●アニメ映画『ウルトラマンUSA』(87年・日本公開89年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100821/p1)
●日豪合作『ウルトラマンG(グレート)』(90年)
●日米合作『ウルトラマンパワード』(93年)
以上の「3作品」の世界観をも全肯定! 「3作品」を「昭和ウルトラ」と『メビウス』の世界とも地続きにできて、皆といわずとも最大多数の最大幸福を達成できたのにィ!――エッ、あの3作ではウルトラマンは既知ではなく未知の存在だったから、それはムリがあるって? たしかにムリはあるけど、あの3作の舞台はニッポンじゃないのだから、登場人物たちはウルトラマンのことをよく知らなかったのだとコジツケることもギリギリ可能だろ!?――
あぁ〜、やはり悔やんでも悔やみきれない。やっぱりまだ死ねない(笑)。
そーいう作品をまたがった設定や世界観の接続や交差といったものは、たしかに高度な人間ドラマ性や社会派テーマ性といったものではナイ。ナイのだけど、自身の経験からも推測するに、幼児はともかく児童の年齢に達すれば、そーいうことを気にしたり面白がったりもするものなのだし、子供たちのジャンク知識収集癖をも刺激して、彼らをキョーレツに引き付けるものであるとも思うのだ。
しかして近年のウルトラシリーズは、70年代中盤〜80年前後の学年誌や「てれびくん」や「コロコロコミック」などの児童誌でのウルトラシリーズ特集や、番外編マンガなどのセンスを活かしたような展開を継続して試みてもいる。
映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE(ザ・ムービー)』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101224/p1)以降の劇場作品は、それらの映画の前日談としての位置付けのビデオ販売作品として、
●『ウルトラマンメビウス外伝 アーマードダークネス』(08年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080914/p1)
●『ウルトラマンメビウス外伝 ゴーストリバース』(09年)
●『ウルトラ銀河伝説外伝 ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ』(10年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20111201/p1)
●『ウルトラマンゼロ外伝 キラーザビートスター』(11年)
などを頒布する。
映画『ウルトラマンサーガ』(12年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140113/p1)以降の劇場作品やTVシリーズの後日談としても、
●短編作品『ウルトラゼロファイト』(12年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140115/p1)
●短編作品『ウルトラファイトビクトリー』(15年)
●TVシリーズ本編の前日談としてのネット配信作品『ウルトラマンオーブ THE ORIGIN SAGA(ジ・オリジン・サーガ)』(16年)
なども製作する――ウルトラシリーズの長期低落傾向を鑑(かんが)みて、イジワルに見れば、コレらの展開も遅きに失したともいえるけど、それでもやらないよりかはやった方がイイ!――。
映画『大決戦! 超ウルトラ8兄弟』(08年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101223/p1)公開の同時期にも、
●ビデオ『ウルトラマンメビウス外伝 アーマードダークネス』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080914/p1)
が販売されたものだ。しかしそのラストで、メビウスことミライ隊員が『超8兄弟』の異次元=別世界の地球へと紛れ落ちて、映画に続く! となってくれていたならば……。その前年末に終了した
●深夜特撮『ウルトラセブンX(エックス)』(07年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080413/p1)
でも、その最終回にて判明した、昭和ウルトラの世界から『セブンX』の世界へ来ていたウルトラセブンことモロボシ・ダンが、今度は『超8兄弟』の並行世界へと旅立っていってくれていたならば……(監督も同じなのだし!・笑)。
そんなハイブロウではなくロウブロウ(笑)な、世界観クロスオーバーかつ年代記的なオタク的発想や妄想を、最新短編『ウルトラファイトオーブ』ではついに漏れなく遺憾なく存分に発揮してみせる!
ウルトラマンゼロの劣勢に、往年の主題歌とともに助っ人(すけっと)として見参した我らがウルトラ3兄弟!
帰ってきたウルトラマンことウルトラマンジャックは、かつては敗退した怪獣グドン&ツインテールにスペシウム光線&ウルトラブレスレットで圧勝!
ウルトラセブンも同じく大苦戦した宇宙ロボット・キングジョーに今回は圧勝!
同じく懐かしの名挿入歌「ウルトラ六兄弟」が流れる中、かつてウルトラ5兄弟を次々と倒した暴君怪獣タイラントvsウルトラ3兄弟の因縁のリベンジ戦まで描かれる!
対するに、新たなる敵キャラクターもポッと出の新キャラではなく、この2017年1月〜6月にかけて当番組『ウルトラマンゼロ・ザ・クロニクル』枠で再放送されたばかりの映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説』や『ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル』(07年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080427/p1)でも描かれた、怪獣軍団を自在に操れて数万年前には全宇宙を制覇したこともあるレイブラッド星人の遺伝子を引き継いだ、各惑星ごとの宇宙人(レイオニクス戦士)がいるという設定まで継承して、新たなるレイオニクス戦士にして亡霊魔導士レイバトスという人型のカッコいい悪党キャラクターを登場させている!
しかも、映画『ウルトラ銀河伝説』でも舞台となった大宇宙の辺境の「怪獣墓場」を主戦場とし、さらにはウルトラ一族のレイオニクス戦士・ウルトラマンベリアルが使った数百体の怪獣を収納可能な必殺棍棒・ギガバトルナイザーまで復活させることで、ベリアルとの因縁深きウルトラマンゼロ客演の必然性も高めてくれている!
もちろん、最新戦士のウルトラマンオーブも、直近の映画『劇場版ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』(17年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200406/p1)における、近作のヒーローたちであるウルトラマンギンガ・ウルトラマンビクトリー・ウルトラマンエックスとの共演を受けて、ギンガとエックスの力を借りた新造スーツの新形態でもあるウルトラマンオーブ・ライトニングアタッカー!
その『劇場版』で初登場したギンガ・ビクトリー・エックス3人の力を借りた最強形態、ウルトラマンオーブ・オーブトリニティ!
果ては、セブン&ゼロ親子の特訓を受けて、本作終盤の目玉でもあるウルトラマンオーブ・エメリウムスラッガーへと強化変身をとげる!
そのオーブ・エメリウムスラッガーの姿は、頭頂部にブーメラン武器・アイスラッガーをひとつ備えたウルトラセブン、ふたつ備えたウルトラマンゼロを継承して、3つのアイスラッガーを備えてもいる!(笑)
70年代末期のマニア向け書籍草創期のむかしから、ウルトラマンのデザインはシンプルでなければイケナイ。ツノやヒゲが生えていてはイケナイと云われつづけて、90年代中盤の平成ウルトラマンでは頭部を「削ったり」「ヘコませたり」する方向にも向かったけれども、それもまた原理主義的ドグマであって、デザインの自由度が減ってきたと思ってきたところで、改めてチャイルディッシュに「足す」という発想へと転換! いやぁ、適度にバカバカしくて適度にカッコいい! コレぞ子供番組のヒーローとしては適切な塩梅のデザインだと、筆者個人は主張したい!
セブン・ゼロ・オーブエメリウムスラッガーの3人が、同時に両腕をL字型に組んで繰り出す、3大ワイドショットの必殺光線の図もサイコー!
昭和ウルトラ路線・ゼロ年代後半のウルトラ路線・10年代のウルトラ路線のトリプルクロスの結節点としての『ウルトラファイトオーブ』!
オーブエメリウムスラッガーが今回のラスボス・レイバトスにトドメを刺して爆砕するも不穏感が漂い、大ラスではレイバトスが復活してしまう!
ここで、今夏から放映予定と告知済のウルトラマンジード(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170819/p1)がまさかの先行登場!! レイバトスに改めての必殺光線でトドメを刺して幕となる!
もちろん、筆者も子供ではないので、こーいう反則ワザのオマケ要素を入れることで、主人公のウルトラマンオーブ強し! オーブが悪を倒してメデタシめでたしといったカタルシス・爽快感をやや削ぐことや、作品のまとまりが若干(じゃっかん)悪くなることの指摘もできる。そのかぎりで娯楽活劇作品としての完成度も下がってはいったのだけれども……。
作品の外側、子供やマニアたち視聴者の反響まで含めて還流することで作品ははじめて完成するのだ! というヘリクツ(笑)を採用するならば、ウルトラシリーズという年代記もので、次作の新ヒーローを登場させる燃料投下で得られる興奮&お祭り感の大メリットと比すれば、作品としての完成度が下がることのデメリットなどはごくごく小さいものだろう。
よって、個人的には『ウルトラゼロファイト』1期全8話 + 2期全15話や、『ウルトラファイトビクトリー』全13話の最終回まで息切れしない神懸かった出来と比すれば純・娯楽活劇作品としての出来は正直劣ってしまったとは思うものの、次期の新ヒーローを登場させることで視聴者を作品の外側でもメタ的に盛り上げた事象まで足し算するのであれば、本作『ウルトラファイトオーブ』は『ゼロファイト』や『ファイトビクトリー』にも決して負けてはいなかったし、むしろ勝っていたかもしれないとは思うのだ。
断末魔のレイバトスも気付いたように、亡霊魔導士の彼でも復活させることができなかったということは、悪のウルトラマンことウルトラマンベリアルも死んではいない! もしくはすでに復活している! ウルトラマンジードはベリアルの息子(!)であるとはマスコミ媒体ではすでに告知済である。当然、次作『ジード』にも、ジードの父としての登場が期待されるのだ。と同時に、現実に帰ってみせれば毎度、製作予算は少なかろうから(笑)、亡霊魔導士レイバトスの『ジード』におけるリベンジ戦にも期待したい!
後日付記:
本作『ウルトラファイトオーブ』ラストでは、次作『ウルトラマンジード』の主人公・ウルトラマンジードが先行登場して、本作の敵キャラ・亡霊魔導士レイバトスを必殺光線で撃破してみせていた!
ぜひとも『ウルトラマンジード』本編の中でも、実は『ウルトラファイトオーブ』での事件と並行して、レイバトスはオーブやジードとも戦っており、ジードはレイバトスを追いかけて、あの場へと辿り着いたのだ! というようなエピソードもほしかったところだ。
あるいは、何らかの方法でタイムスリップして、歴代先輩戦隊がゲスト出演を繰り広げた『海賊戦隊ゴーカイジャー』(11年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20111107/p1)における1000年後の未来から来た『未来戦隊タイムレンジャー』(00年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001102/p1)ゲスト編であった#40「未来は過去に」のように、時間跳躍が可能な未来の技術の設定を活用して映画『天装戦隊ゴセイジャーVS(たい)シンケンジャー エピックon銀幕』(11年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20130121/p1)での毎年恒例の次年度の新戦隊こと海賊戦隊ゴーカイジャーがお披露目でゲスト出演していたことにも、見事にドラマ的・SF的な整合性&必然性を持たせて、明らかに後付け(笑)でもパズルのピースがピタッとハマったかのように感じさせてくれる手法を採ってほしかったところであったけど。
『ウルトラマンジード』最終回(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180213/p1)でも『ウルトラファイトオーブ』最終回のラストシーンが、悪の黒いウルトラマンことウルトラマンベリアルの回想として引用されていたけど、そこではレイバトスを倒したのはウルトラマンジードではなく、実際にはウルトラマンベリアルだったのだ! として映像が差し替えらえていた……。ウ~ム(汗)。
まぁ、そのことを同作の致命的な欠陥だとまではしないけど(汗)。作品外での書籍による解説などはともかく、子供向けではなくマニア向けな処置ではあるかもしれないけど、このふたつの矛盾してしまったシーンを見事にアクロバティックにSF的にも回収してみせるような処置を、時間を超える能力を持った究極生命体・アブソリュートタルタロスの能力を活用して、2022年現在でも通年で進行中のネット配信・長編シリーズ『ウルトラギャラクシーファイト』(19年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200110/p1)あたりでネタにしたり、キレイに回収していただけないものだろうか?(笑)
『假面特攻隊2018年準備号』「ウルトラファイトオーブ」関係記事の縮小コピー収録一覧
・「ウルトラマンゼロ THE CHRONICLE」全話視聴率:関東・中部・関西。各クール平均・全話平均視聴率
・スポーツ報知 2017年6月2日(水) 変身ポーズ披露 濱田龍臣(製作発表記者会見)
・朝日新聞 2017年5月11日(木)夕刊 三谷幸喜のありふれた生活825 記憶完璧「ウルトラの父」(3歳の息子さんと初代マン鑑賞)
・スポーツ報知 2017年5月14日(日) ウルトラフェスサポーター幸せ 土屋太鳳(ウルトラマンフェスティバル2017)
『ウルトラマンゼロ THE CHRONICLE』平均視聴率:関東1.3%・中部1.2%・関西0.9%
1クール相当(1〜3月):関東1.3%・中部1.4%・関西1.0%
2クール相当(4〜6月):関東1.2%・中部1.0%・関西0.7%
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