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ウルトラギャラクシー大怪獣バトルNEO 9~11話 ペダン星人ダイル死す! アーマードダークネス・アーマードメフィラス・キングジョーブラック!

テレビ東京ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』放映開始記念! #1・序盤・前半・後半・終盤評・随時連動連載!)
『ウルトラギャラクシー大怪獣バトルNEO』#1「レイオニクスハンター」 〜第2シリーズ開幕!
『ウルトラギャラクシー大怪獣バトルNEO』#2~4 敵宇宙人の劇画的キャラ立ち!
『ウルトラギャラクシー大怪獣バトルNEO』#5〜8 キール星人グランデ・暴君怪獣タイラント・偽ウルトラマン!
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テレビ東京にて、09年12月31日より毎週木曜17:30放映中)


ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』#9「暗黒の鎧」・#10「新たな戦いの地平で」・#11「ある戦士の墓標」 ~ペダン星人ダイル死す! アーマードダークネス・アーマードメフィラス・キングジョーブラック!

(文・久保達也)
(昨2009年7月執筆)

第9話『暗黒の鎧』


 さて、第9話『暗黒の鎧』(脚本・増田貴彦 監督・村石宏實)だ。


 極悪宇宙人テンペラー星人のレイオニクス戦士(怪獣使い)!


 彼とのレイオニクスバトルに敗れてしまった悪質宇宙人メフィラス星人のレイオニクス戦士!


――メフィラスは、『ウルトラマンメビウス』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070506/p1)第43話〜第47話(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070422/p1)同様に、初代『ウルトラマン』(66年)第33話『禁じられた言葉』でも演じていた加藤精三が三度目の声を担当している!――


 彼は『メビウス』終盤のラスボスにして、ウルトラマン一族の宿敵・暗黒宇宙大皇帝エンペラ星人が全身に纏(まと)うハズであった悪魔の鎧(よろい)・アーマードダークネスとも遭遇! その力を授かって、そして鎧をまとったような姿であるアーマードメフィラスへと強化変身した!


 テンペラー星人のレイオニクス戦士が怪獣カードから怪獣召喚アイテム・バトルナイザーでモンスロード(召喚)した、『メビウス』第38話『オーシャンの勇魚(イサナ)』にも登場したことがある宇宙有翼怪獣アリゲラ! それをテンペラー星人もろともに剣で一刀両断!


 さらには、


 「甦れ、暗黒の鎧よ!」


 と、暗黒の鎧・アーマードダークネスを覚醒させた!


 だが、アーマードダークネスは彼が装備する巨大な三つ又の槍(ヤリ)・ダークネストライデントで、メフィラスを串刺しにしてしまった!!(汗)


 アーマードダークネスに立ち向かう、われらが正義側の主役怪獣・ゴモラ&リトラとの決戦の火ぶたが切って落とされる!


 アーマードダークネスが左腰脇に装備している暗黒剣・ダークネスブロードから発する紫色の光に呼び寄せられるように、本来はウルトラセブンが有していたトサカ部分のブーメラン武器アイ・スラッガーが明滅しだした。


 そして、地球人のレイオニクス戦士であるレイ青年が、第3話『大暴走! レイオニックバースト』から所有するようになったアイ・スラッガーをアーマードダークネスに向けて投げつける!


 すると、鎧のマスクの右目の部分が破れて、なんとウルトラセブンの右目が出現した!!


 なんと! アーマードダークネスの鎧の中にいたのは、われらがヒーロー・ウルトラセブンだったのだ!


 セブンはこの闇の力を封じこめるために、ビデオ作品『ウルトラマンメビウス外伝 アーマードダークネス』(08年)・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080914/p1)でのウルトラマンヒカリと同様に、自らがアーマードダークネスを纏っていたのだ!


 そして、本来はセブンの頭頂部に装着するアイ・スラッガーだけを縮小化してレイに託していたのだ!


 ゴモラの必殺技・超振動波を浴びてアーマードダークネスは完全に破壊された!


 セブンは殉職したエレキングの代わりに、自身のカプセル怪獣ミクラスをレイに託して、空の彼方へと飛び去っていった……



 2008年度(2008年4月)より、


小学館『てれびくん』で展開された『ウルトラマンメビウス外伝 アーマードダークネス ジャッカル軍団大逆襲!!』(ISBN:409105126Xhttps://katoku99.hatenablog.com/entry/20210117/p1
講談社『テレビマガジン』で展開された『ウルトラマンメビウス外伝 アーマードダークネス ウルトラ7兄弟大活躍!』(ISBN:406344435X
・アトラクショーの舞台『ウルトラマンプレミアステージ2 命の星』
バンダイビジュアルから発売されたDVDオリジナル作品『ウルトラマンメビウス外伝 アーマードダークネス』(STAGE1(ASIN:B00154DRBOhttp://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080914/p1)は08年7月25日、STAGE2(ASIN:B0018RC49Y)は08年8月25日に発売)


と、様々な媒体で展開されてきた『ウルトラマンメビウス外伝 アーマードダークネス』が、ここにきて『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』とも連動!


 まさにカードゲームとテレビシリーズとの連携により、営業的に成功をおさめた前作『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』(07年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080427/p1)の続編『ウルトラギャラクシー大怪獣バトルNEVER ENDING ODYSSEY(ネバー・エンディング・オデッセイ)』(08年)ならではの怒涛の展開である!


 前話までは個人的には少々「中だるみ」の印象を感じていた筆者であったが、第7話『第二覚醒』のキール星人グランデのセリフを借りれば、


 「こいつぁ〜、がぜん面白くなってきたぜぇ〜!」


 である(笑)。


第10話『新たな戦いの地平で』


 その頂点を極めたのが、第10話『新たな戦いの地平で』~第11話『ある戦士の墓標』(脚本・長谷川圭一 監督・村石宏實)である!


 第10話冒頭、いきなり変身怪人ゼットン星人がモンスロードした地底怪獣テレスドンと、集団宇宙人フック星人がモンスロードした彗星怪獣・再生ドラコのガチンコ対決! これは初代『ウルトラマン』第37話『小さな英雄』における大岩山でのバトルの再現なのであった!


 それだけならばともかく、バック転を決めるわ、ジャンプして頭から再生ドラコに体当りをかますわ、なんとも身軽なテレスドン! ホントにこいつ、体重が12万トンもあるのかしら?(笑)


 再生ドラコがテレスドンを抱え上げて投げ捨てようとするや、猛烈な大爆発が巻き起こる!


 さらなる強敵が出現! 前作終盤にも登場した宇宙ロボット・キングジョーブラックが奴らを始末してしまったのだ!


 そして、キングジョーブラックを操っている、本作のレギュラー敵キャラであるレイオニクス・ハンターでもあるペダン星人ダイルが現れて、先にテレスドンとドラコを召喚したゼットン星人と命乞いをしてきたフック星人を容赦なく射殺!


 あくまでも、基本設定とおりに、レイオニクス戦士たちを全滅させることに執念を燃やしている青年ダイルは、ブレがない描写を与えられている!


 次いで、分身宇宙人ガッツ星人がモンスロードした宇宙凶剣怪獣ケルビムにカプセル怪獣ミクラスを差し向けるレイ青年!


 これまた『メビウス』第4話『傷だらけの絆』での怪獣ケルビム対VS怪獣ミクラスとのバトルの再現だろう!(同話の特撮監督も本話と同じ村石監督だった) やはり『メビウス』での脚本作品と同様に、長谷川圭一は本作でも過去シリーズからのマニアックな引用を積極的にやっているのだろう。


 怪獣なのにナゼか擬人化された演技を与えられて、日本の相撲(すもう)の四股(しこ)を踏んで気合を入れるミクラス!(笑)


 ウルトラシリーズでは、


・『ウルトラマンA(エース)』(72年)第15話『夏の怪奇シリーズ 黒い蟹(かに)の呪い』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060828/p1
・『ウルトラマンA』第48話『ベロクロンの復讐』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070402/p1


において、ウルトラマンエース対大蟹超獣キングクラブ、ミサイル超獣ベロクロンⅡ世のバトルで演出されたのが端緒であった。共に特殊技術(特撮監督)は東宝の田渕吉男だ。


 のちに、


・『ウルトラマンタロウ』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)第39話『ウルトラ父子(おやこ)餅つき大作戦!』
・『ウルトラマン80(エイティ)』(80年)第40話『山からすもう小僧がやってきた』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110129/p1
・『ウルトラマンダイナ』(97年)第8話『遥かなるバオーン』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971201/p1


などでもウルトラマンたちが四股を踏んでいる。こういったウルトラマンの擬人化された演出を第1期ウルトラシリーズ至上主義者は極度にキラってきたハズだ!(汗)


 特撮の撮影現場でのシナリオを無視した即興の演出などではなく、脚本上で長谷川圭一がこのように指定していのだとしたら、氏は心変わりしたのだろうか!?(だとしたら、個人的には大カンゲイなのだが、あまり手前勝手に期待して裏切られてしまっては滑稽(こっけい)で見苦しいことになるので、世渡り的にも深入りはしないことにしておこう・笑)


 しかし、中距離では口からの火球、近距離ではシッポ攻撃、そして至近距離では頭部の鋭いツノと、攻守ともに完璧なケルビムから逃げ出してしまい、座りこんでしまう!(笑)


 近年ではともかく、70年代後半〜90年代までは特撮マニア連中に猛烈に批判されまくってきた、コミカルでかわいらしく擬人化された怪獣の演技がここでは繰り広げられている!


 ウルトラセブンから託された怪獣だから「強い怪獣」だと思いこんでいたZAP(ザップ)隊員たちは一同茫然……


 だが、レイが、


 「おまえの力はそんなもんじゃない!!」


 とゲキを飛ばした途端、目がCGで怒り目に変化!(笑) 怪獣ケルビムの連続火球攻撃の中を猛然と突進していくミクラス


 ケルビムをその長いシッポでグルグル巻きにして、パンチの嵐! ツノで突撃! 遂にケルビムに勝利してしまった!!


 ……なんでや?(笑)


 「きっとレイが強くなったから。彼にはもう恐れも迷いもない。そのまっすぐな想いがミクラスにも通じたんじゃないかしら」


 紅一点の副長・ハルナがそう云うんだから、まぁエエやないか(笑)。



 だが、例によってダイルがまた宇宙船スペースペンドラゴン内に不法侵入(笑)、レイたちを挑発する!


ダイル「地球人よ。貴様らオレに云った。『戦いは望んでいない。この男と地球に帰りたいだけだ』とな。だが、帰らなかった! それどころか、今ものうのうとレイオニクスバトルを続けている! このウソつきめ! 最後まで勝ち残り、レイブラッドの後継者になるつもりだな。全宇宙を支配するつもりか!? そして、わがペダン星を!」


レイ「違う! オレが戦っているのは、レイブラッドの後継者になるためなんかじゃない!」


ダイル「ウソだ!」(レイにつかみかかる)


レイ「ウソじゃない!」


ヒュウガ船長「レイはな、この戦いを一刻も早く終わらせるため、あえてこの星に残ったんだ」


ダイル「なに?」


ヒュウガ船長「レイの望みはな。破滅や混乱ではない。この宇宙の平和だ! そのためにレイは戦っている! 勝ち残って、レイブラッド星人を倒す! それが彼の目標だ!」


ダイル「……ホントウなのか?」


レイ「ああ!」


ダイル「……フフフフ、ハハハハ……」


ヒュウガ船長「なにがおかしい!」


ダイル「レイブラッド星人を倒すだと? そんなこと、ホンキでできると考えているのか!」


ハルナ「できるわ! レイなら、きっとできる!」


クマノ「そうさ、レイは今までだって、何度も不可能を可能にしてきた! オレ以上の魔法使い、いや、怪獣使いだ!」


オキ「君も信じなよ! レイならきっと未来も救える! 君の故郷だって!」


ダイル「だまれ! そこまで云うなら、証拠を見せてもらおう! まずはキングジョーブラックを倒してみろ! 寝言はそのあとに聞いてやる」


 4機の宇宙船が合体して登場するキングジョーブラック!


 レイがモンスロードして、出現するゴモラ


 キングジョーブラックとゴモラ、ともにバトルの最中にホントウに足が高々とよく上がるのだ! スーツアクターの演技&アクションにも大拍手だ!!


 いかに本作『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』シリーズでは、文字通りの「大怪獣バトル」がしやすいように、考慮されて着ぐるみが製作、もしくは関節の可動部分が改造されていることかがわかろうともいうものだ。


 その逆に、超獣バキシムが登場した第5話『暴走の果てに』を観たときにも思ったことだが、『メビウス』第24話『復活のヤプール』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061112/p1)に登場した際の着ぐるみを流用、もしくはアトラク用の着ぐるみを流用したとおぼしき超獣バキシムの着ぐるみの大きさには、改めて驚かされる!
 バキシムの着ぐるみ自体が、原典の『ウルトラマンA』でもまだまだシリーズ序盤の第3話(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060521/p1)に登場したゆえに予算も潤沢で、番組の作品カラーを象徴させるためにか、直立二足歩行型の恐竜体型の怪獣ながらも着ぐるみ自体の造形の出来もよい。映像本編のみならずスチール写真などで見返してみると、その硬質なシッポも含めて身長や全長などが随分と大きいのだ! その体積もウルトラマンの数倍はあるだろう!
 『メビウス』では律儀にもこれに準じて大きめな着ぐるみが新規造形されている。もちろん激しい動きはできないのだが、その着ぐるみがそこにいてノシノシと歩いているだけでも存在感・強敵感自体が強烈であった。
 こうなると、口からの火炎放射やツノをミサイル発射するなどの飛び道具でアクションを作って、ウルトラマン側の受け身や反撃描写の組み立て方もキモとなってくる。そういった特撮現場でのアクション演出の工夫を解題するところも、特撮マニアたる者の本懐(ほんかい)だろう!


 ゴモラの長いシッポの連続攻撃にビクともしないキングジョーブラック! 勝ち誇ったように叫ぶダイル。


ダイル「ハッ! 当然だ!! キングジョーブラックは過去の戦闘データを元に、常に改造を繰り返している。たとえば惑星ボリスでの戦い。体表がトゲトゲに進化した「EX(イーエックス)ゴモラ」のデータもすべて記録され、わがペダン星に送信されていたのだ。そして、キングジョーブラックはさらに数倍パワーアップされた! 貴様とゴモラに万にひとつの勝ち目もない!」


 ここで前作の第13話(最終回)『惑星脱出』(脚本・荒木憲一 監督・菊池雄一)から、EXゴモラの伸縮自在の長いシッポがキングジョーブラックを串刺しにして放り投げる場面の映像を流用する!


レイ「ハ、それはどうかな? ゴモラ、おまえの持つ力をすべて燃やすんだ!!」


 ゴモラ、全身を赤熱させ、赤い体表であるゴモラ・レイオニックスバーストにパワーアップ!


レイ「戦え! ゴモラ!!」


 ゴモラ、砂塵を巻き上げ、地面にスベりこみをした勢いのままで、キングジョーブラックに両足でキック!
 さらに飛び蹴りを喰らわして、側転して長いシッポで一撃!
 必殺技の超振動波で遂にキングジョーブラックを葬り去った!


 戦いが終わって、帰路につこうとするレイ。


ダイル「待て! まだ戦いは終わっていない!」


レイ「いや、もう終わったはずだ」


 レイの背後に銃口を向けながらも、引金をひくことができないダイル……


 ところ変わって、ペダン星人の一般兵士2名の前に姿を現すキール星人グランデ。銃口を向けられるや、


グランデ「問答無用ってか? ためしてみるかい?」


 グランデがモンスロードしたのは、どくろ怪獣レッドキング! ペダン兵士は何やら小型の機械をレッドキングに向けて、


ペダン兵士「レベル3(スリー)。キングジョーブラックの敵ではない」


 とナメてかかるが、新たに登場したキングジョーブラックはレッドキングのパンチの猛襲によろめいてしまった……


ペダン兵士「なぜだ!? 戦闘レベルは段違いのハズ。あの程度の怪獣に押されるはずが……」


グランデ「ふつうはな。でもオレは、ふつうじゃない」


 レッドキング、パンチと頭突きの連続! サバ折り! ジャンピングキック!!


 特に必殺技も持たないのに怪力だけで押しまくり、遂にキングジョーブラックを倒してしまった!!


 数値的なスペックとしては劣っている怪獣なのに、操縦者の能力で、スペックでは勝っている怪獣にも勝ててしまうことで、レッドキングとグランデの強さ&カッコよさといった強敵ぶりをここで描いてもいるのだ!


グランデ「(手を叩いて)ハイ、オレの勝ち〜! じゃあ、今日はここまで。じゃあね〜~」


 バイバイまでして、実に面白すぎるグランデ役の唐橋充(からはし・みつる)のキテレツな演技!(笑)


 あくまでも瓢々(ひょうひょう)としながら去っていくグランデにペダン兵士が銃を連射する!


グランデ「ワッ、アブねっ!」


 もちろん、お約束で銃弾は当たらないのだけど、しかし慌てて走り去っていくことで、ここでも強敵なのに滑稽さがあるグランデの特異な個性を描いてみせているのだ(笑)。



 そのころ、ペダン星指令母艦の中では……


ダイル「あのレイオニクスは特別です! 彼は、レイはもしかしたら、未来を救えるかもしれません! わがペダン星の未来を!」


 なぜに地球人のレイオニクス戦士を真っ先に始末しないのか? とダイルを責めていたのはペダン星のハーラン司令!


 1980年代のスーパー戦隊シリーズに登場していた悪の女性幹部のようなコスチュームに身を包んで、演劇チックな大芝居を演じていたのは、『ウルトラマンネクサス』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041108/p1)第1クールでおっとりホンワカ癒し系のメインヒロインの斎田リコを演じていた中丸シオン! なんともエラい豹変ぶりだ! 小劇団の舞台あたりで場数を踏んだのだろうか? 大きなお友達目線でグランデ流に云わせてもらえば、「スゲェ、べっぴん」だ!(笑)


第11話「ある戦士の墓標」


 第11話『ある戦士の墓標』の冒頭、火山怪鳥バードンをモンスロードさせたのは、『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)とその主人公・おおとりゲンを再登場させ、われらを涙させた『ウルトラマンメビウス』第34話『故郷(ふるさと)のない男』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061224/p1)に登場した光波宇宙人リフレクト星人の同族別個体であるレイオニクス戦士だ!


 「さあ、戦いなさい」「やりなさい」などと、なぜか敬語でバードンに命令するキャラもそのまんま(笑)。


 ゴモラを相手に翼で猛烈な風を巻き起こすバードン


 高速飛行でゴモラめがけて突撃するが、ゴモラはそれを長いシッポで叩き落とした!


 さらに、鋭いクチバシでゴモラを狙うバードン


オキ「気をつけて! そのクチバシには猛毒が!」


 『タロウ』第18話『ゾフィが死んだ! タロウも死んだ!』でウルトラ兄弟の長男ゾフィーウルトラマンタロウを一旦は絶命にまで追いこんだバードンのクチバシだ!


 かつては憎たらしいほどの第1期ウルトラ至上主義者であったハズの長谷川先生、やっぱり今では第2期ウルトラ怪獣のことも好きになっているのではなかろうか?(笑)


 ゴモラバードンのクチバシを両手で押さえつけ、すかさず超振動波を見舞う! たまらず大爆発を起こすバードン


 地球最強の怪獣とも称されるバードンゆえ、少々尺が短すぎる気もしてしまうけど…… まぁ満足だ(笑)。



 一方、ペダン星司令母艦では……


ダイル「私はレイという男に、無限の可能性を感じたのです!」


 オオッ、ダイルにも改心の兆(きざ)しが!


ハーラン「ダイル、その男を連れてきなさい。私が直接会い、その真価を見定めましょう」


 われらが宇宙線・ペンドラゴン内でくつろいでいるレイとオキ。


オキ「バトルナイザーを最近よくそうやって見てるね」


レイ「ああ、戦いが終わったあとに、ゴモラたちに声をかけると、嬉しそうに答えてくれるんだ」


オキ「へえ〜、怪獣たちとしっかり心がつながっているんだね」


 まさにペット感覚というのか、これぞ『ポケットモンスター』(97年)感覚であり、怪獣を視聴者の子供たちに身近な存在だと感じさせてくれる秀逸な場面でもある。『ポケモン』も元はといえば『ウルトラセブン』に登場したウインダム・ミクラス・アギラのカプセル怪獣が元祖なのだと『ポケモン』の生みの親たちも明言している。本家ウルトラでこうした要素が『メビウス』で防衛隊が宇宙人由来の超科学で実体化させるマケット怪獣という設定で再び採用されるまでに、『ポケモン』登場から約10年間もの歳月が過ぎてしまった。
 こうしたチャイルディッシュな要素を、「リアルじゃない!」とか「動物虐待だ!」などとマジメに考察して批判するのではなく、平成ウルトラ3部作でも、怪獣保護をテーマとした『ウルトラマンコスモス』(01年)でも同年放映の『百獣戦隊ガオレンジャー』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20011113/p1)の天空島に保護した百獣メカたちよろしく、鏑矢(かぶらや)諸島に保護した怪獣たちが改心(笑)してひんぱんに助っ人参戦するような、もっとユルいノリを早々に導入しておけば、『ポケモン』や『遊☆戯☆王』(98年)には勝てずとも、それらの大人気作品にももっと拮抗できたのではなかろうか!? と今さらながらに惜しまれるのだ。


ダイル「なるほどな。それがおまえの強さの秘密か」


 またしても、いつのまにやら、ペンドラゴン内に不法侵入していたダイル!(笑)


ダイル「レイ、オレといっしょに来てほしい。そしてハーラン司令に会ってもらいたい。もしおまえが、本当にこの戦いを終結させる力があると認められれば、われらは未来へと帰る。もう過去には干渉せず、50年後の未来で壊滅に瀕(ひん)したペダン星の復興に尽力する」


 罠かもしれないと止めるオキだが、ダイルを信じたレイはハーラン司令のもとへと向かう!


ハーラン「おまえですね。レイという名の、地球のレイオニクスは」


レイ「そうだ」


ハーラン「なるほど。たしかに特別な力を感じます」


ダイル「では、彼の力を認めて下さったのですね…… よかった」


 ダイル、そしてレイに笑顔が浮かぶ。だが……


ハーラン「その力、われらペダンのために使ってもらいます! 最強の……兵器として!!」


 ハーランの取り巻き兵士たちが一斉にレイに銃口を向ける!


 『ウルトラセブン』第15話『ウルトラ警備隊西へ 後編』において、ライトンR30(アール・さんじゅう)爆弾を開発したドロシー・アンダーソン女博士になりすまして、「ペダン星に対抗する兵器の開発をやめれば地球侵略を中止する」と主人公青年モロボシ・ダン隊員と交わした「宇宙人同志の約束」をいともに簡単に破ったペダン星人の汚いやり口は、まったく変わっていなかったのだ!
 宇宙人をいつも悪者として描くな! たまには宇宙人との友好も描け! という声もあるかもしれない。それもまぁ正論ではある。
 しかし、勧善懲悪のバトル活劇では、「先に宇宙開発をはじめた地球人の方が悪なのかもしれないという」というような、善悪を相対化するようなハイブロウなSF作品などではなく、善悪を明瞭にして悪をやっつけるカタルシス(快感)を主目的とすることが正しい作劇なのだし、ここでペダン星人には悪者になってもらわないと、それに続くバトルも描けなくなってしまうのだ!(笑)


ダイル「いったい、どういうことです!?」


ハーラン「ダイル、おまえは知らなかっただろうが、ペダン星司令部はレイオニクス抹殺計画において、ある修正案を検討していたのです」


ダイル「修正案?」


ハーラン「レイオニクスを洗脳することで、そのパワーをわれらの兵器として利用する考えです」


ダイル「そんな!」


ハーラン「ご覧なさい」


 ペダン兵士たちに捕らえられたボスことヒュウガ船長、ハルナ、クマノ、オキの姿が!


レイ「ボス! みんな!」


ヒュウガ「レイ!」


 オキの手がなにかに触れて、やけどのような症状を起こす!


ハーラン「電磁ネットの檻(おり)です。誰ひとりあの中から出ることはできません」


レイ「すぐに仲間を解放しろ!」


ハーラン「いいでしょう。でもその前に、おまえを洗脳させてもらいます。最強のレイオニクスであるおまえを、われらの兵器として改造すれば、レイブラッド星人も倒せるに違いありません。されば必然的に未来も変わる。50年後の破滅も回避できるはず。ダイル、おまえの望みがかなうのですよ。そして全宇宙の覇権はわれらペダンが手にし、すべての生命体がわれらの前にひれ伏すのです。われら科学力の前に。どうです。すばらしい計画だと思いませんか?」


レイ「そんなことはさせない!」


ダイル「お待ち下さい! ハーラン司令は私と約束してくれたはずです。もう過去に干渉するのはやめ、未来に戻り、荒廃したペダンの復興に力を尽くすと! レイオニクスを兵器に利用するなど、間違ってます! この世界には、力より大切なものがある!」


 ハッとするハルナ。


ハルナ「この宇宙には、力より、もっと大切なものがある!」


 それはかつて、ハルナがダイルに向けた言葉だった……


ダイル「争いを起こせば、また新たな争いを招くだけです! その繰り返しです! その結果、ペダン星は……」


 ハーランは手にした短いステッキ状のアクセサリーに隠された銃口からダイルに発砲した! 倒れこむダイル!


ハーラン「ペダンに、憶病者は不要です」


レイ「貴様〜!!」


 怒りを爆発させたレイがゴモラをモンスロードさせる!


レイ「ゴモラ、ボスたちを救え!!」


 そのとき司令母艦から舞い降りる数え切れないくらいの宇宙船の群れ!


 それらはすべてが合体を遂げて、何十体、いや何百体(!)とも思えるほどのキングジョーブラックの大群となって大地に着地した!


 原理的に画質の劣化なしに映像素材を画面上で無限に複製することができるデジタル合成、バンザイ!(笑) マルチ分割の画面が絶大な効果を発揮する!


ハーラン「さあ、見せてごらん。特別なレイオニクスの、その実力を!」


 電磁ネットの檻の中からハルナが叫ぶ!


ハルナ「レイ、逃げて! いくらあなたでも、この数相手に勝てるはずがない!」


ヒュウガ「よせ、ハルナ!」


ハルナ「でも!」


ヒュウガ「レイは逃げたりはしない。どんなに強大な敵を目の前にしても。そして、絶対に勝つ!」


 ヒュウガをあざ笑うかのように大行進をするキングジョーブラック大軍団!


レイ「戦え! ゴモラ!!」


 ゴモラ、全身が赤いレイオニックバーストにパワーアップ!


レイ「行け! リトラ! ミクラス!」


 3大怪獣・惑星ハマー最大の決戦!


 画面で判断するかぎりはキングジョーブラックの着ぐるみは2体しか製作されていない。一部は多数のソフビ人形を撮影したようだ(笑)。しかし、CGと演出のマジックによって、見事なまでに数えきれないほどの大群と3大怪獣が戦っているように錯覚させてくれている!


 赤いキングジョーも混ざっているが、キングジョースカーレット(!)という、これまた実にカッチョいいネーミング設定らしい。


 また、『ジャイアントロボ』(67年・東映)で矢島信男特撮監督がよく演出していたような、オープン撮影でのあおりという古典的な手法も併用され、ゴモラミクラス・キングジョーブラックの巨大感が絶妙に表現されている!


ハーラン「やっておしまい!」


 キングジョーブラック大軍団、ゴモラミクラスに一斉砲撃!


 紅蓮(ぐれん)の炎に包まれるゴモラミクラス


クマノ「クソッ! やはり数が多すぎる!」


ヒュウガ「いや、レイはまだ本当の力を出しきれていない!」


ハーラン「フフフ、安心しろ。殺しはしない。でも二度と抵抗する気が起きないくらい痛めつけておかないとね」


ハルナ「ボス、レイがまだ力を出しきれていないって、どういう……」


 電磁ネットの檻にダイルが這(は)ったままで近づく。


ダイル「気にしているからだ! レイは貴様らとの絆で強くなった。だが同時にそれはレイの弱点でもある。馬鹿な奴だ! そんな甘さがなければ無敵だというのに!」


 ハーラン、ペダン兵士がダイルの様子に気づく!


ペダン兵士「その装置から離れろ!」


ハーラン「殺(や)れ!」


 無数の銃弾を浴びるダイル。


ダイル「俺はペダン星の誇り高きハンター! レイ、未来を頼んだぞ……」


 断末魔に電磁ネットの檻を開放するダイル……


レイ「ダイル〜〜~!!!」


 これもこれでジャンル作品のお約束の展開なのだが、それまで悪人であったキャラクラーが最後に善人になって、後事を託していくという、ベタでもこの感動はいかんせん!(笑)


ハーラン「奴らを逃がすな! ひとり残らず撃ち殺せ!!」


 からくも脱出したZAP隊員たちはスペースペンドラゴンに搭乗、レイとともに逆襲を開始する!


レイ「戦え! ゴモラ! リトラ! ミクラス!!」


ペダン兵士「ハーラン司令、危険です! すぐ撤退を!」


ハーラン「だまれ! 撤退など許さぬ! 偉大なるペダンの科学力が、たかが怪獣などに!」


ヒュウガ「心を持たぬ科学は、悪魔の力だ! それを今、おまえたちに返してやる!」


クマノ「ペダニウムランチャー、発射準備完了!」


 ペダン星人ダイルが第2話『レイオニクスバトル』で、ZAP隊員たちの宇宙船スペースペンドラゴンに勝手に装着して宇宙大怪獣ベムスターを一発で撃破するも、ハルナが「ペンドラゴンは戦闘艦じゃない!」と云って封印してきたペダニウムランチャー。


 今やダイルの形見となってしまったそれが、遂に時宜(じぎ)を得て、火を噴いたのだ!


 「心を持たぬ科学」うんぬんは、『ウルトラセブン』第18話『空間X(エックス)脱出』のラストシーンにおける、ウルトラ警備隊・キリヤマ隊長の警鐘セリフであった「神無き知恵は、知恵有る悪魔を作る」へのオマージュでもあるのだろう!


 ペダニウムランチャーの一斉砲撃に、さしものキングジョーブラック大軍団も壊滅!


 吹っ飛ばされたキングジョースカーレットの一体の首がハーラン司令の頭上に天罰のように襲いかかってきた!!


 これまた実に都合よく、女司令が圧死してしまう。彼女は最後の最後で憎々しげな悪人として描かれてきただけあって、視聴者はその死を悼(いた)むことなく、因果応報の「ザマアみろ!」的な快感を感じてしまうのだ!(笑)
 そして、それこそが勧善懲悪の娯楽活劇の本質でもあるのだ! こういった描写をお約束だからと軽視してはならない! むしろ、こういったシーンがいかに盛り上がってクライマックスのひとつともなるように、この手の作品は上手に組み立てて作劇していくべきでもあるのだ!



クマノ「ボス、キングジョーブラックは全滅です!」


 ペダン星司令母艦は彼方へと逃げ去っていった。


 キングジョーブラックの残骸が無限に広がる荒野の中で、建てられた墓標にダイルのヘルメットが供えられた。


ヒュウガ「勇敢な戦士に……」


 敬礼するZAP一同……


 ペダン星人ダイルとは敵対してきたが、礼節を知る戦士でもあった。最後には改心もした。それによっても、それまでの罪が帳消しとなるワケでもないのだし、裁かれるべきところも残るのだろうが、そうであっても、認めるべきところは認めて、われわれもまた礼節を持って敬意を表すべきなのだ!


 2千年後に宇宙に災いをもたらすとされた地球生物を抹殺するためにやってきたウルトラマンジャスティスが登場した劇場用作品『ウルトラマンコスモスVSウルトラマンジャスティス THE FINAL BATTLE(ファイナル・バトル)』(03年・松竹 脚本・長谷川圭一&川上英幸 監督&特撮監督・北浦嗣巳)と同様のネタを扱いながらも、あのような陰欝だったりドコかでイマイチな作風には陥(おちい)らずに、格段に面白くてお約束な展開でも実に熱い仕上がりにもなっている!


 全編にわたって繰り広げられる大怪獣バトル、ハーランの徹底した悪党ぶり、レイとZAPとの強い絆ゆえの燃える展開! もう云うことなし! の一級のエンターテイメントに仕上がっていた!


 本作は製作予算の節約のためか、基本的には外出してのロケはなくスタジオで終始撮影されていた。しかし、このクライマックスではロケ撮影を敢行!


 ぶっちゃけ、その辺の空き地のような場所で、特別なセットが組まれているわけでもなく、ペダン星人の一般兵士などはたったの4人だけであり、それもそれでスレたマニアとしては低予算で製作されていることがイヤでもわかってしまうのだ――スタジオ内からロケに出られただけでもこの作品としては豪華なのだが(笑)――。しかし、脳裏に浮かんできてしまう、われわれのような小賢しいマニアのそんな分析なども、スッ飛ばしてしまうほどの劇的な盛り上がりがスゴいのだ!


 まぁ、ダイルの改心については、少年マンガなどでは古来からよくあるネタではある。しかし、それこそが普遍的で王道な燃える展開でもあったのだ!

2009.7.20.


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2009年準備号』(09年8月14日発行)『ウルトラギャラクシー大怪獣バトルNEO』評より分割抜粋)


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