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ウルトラマンタイガ最終回「バディ ステディ ゴー」 ~タロウの息子としての物語たりえたか!?

(2021年6月12日(土)UP)
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 ウルトラマンシリーズの正統番外編であるネット配信『ウルトラギャラクシーファイト』(19年)の第2弾『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀』(20年)が、2021年5月26日(水)にBD&DVD発売記念! そして、同作にウルトラマンタイガも登場記念! とカコつけて、『ウルトラマンタイガ』最終回合評をUP!


ウルトラマンタイガ』最終回「バディ ステディ ゴー」 ~タロウの息子としての物語たりえたか!?

(文・久保達也)
(2020年1月12日脱稿)

*「最終章」ではなかった『ウルトラマンタイガ』の最終章(汗)


 仮面ライダースーパー戦隊もそうだが、近年のウルトラマンシリーズの「最終章」は、レギュラー悪との最終決戦に的をしぼった連続ものの形式で描かれることが常だったものだ。


・『ウルトラマンオーブ』(16年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170415/p1)におけるライバル青年ジャグラス・ジャグラー
・『ウルトラマンジード』(17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170819/p1)におけるラスボス・ウルトラマンベリアル、そして彼と通じている壮年SF作家・伏井出ケイ(ふくいで・けい)=ストルム星人
・『ウルトラマンR/B(ルーブ)』(18年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180826/p1)における大企業社長・愛染マコト(あいぜん・まこと)=ウルトラマンオーブダーク=精神寄生体チェレーザに、ナゾの美少女・美剣サキ(みつるぎ・さき)――彼女は厳密には「悪」ではなかったが――


 「昭和」や「平成」中盤までの時代に放映されたウルトラマンシリーズとは異なり、『ウルトラマンギンガ』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200819/p1)以降のいわゆるニュージェネレーションウルトラマンシリーズでは、もはやレギュラーの敵キャラが登場するのが当たりまえとなっている。仮面ライダースーパー戦隊のように正義側のキャラと悪側のキャラの間にある深い因縁で結ばれた人物相関図を描く群像劇のクライマックスとしてもおおいに盛りあがり、視聴者につづきを早く観たくてしかたがないと思わせるこの手法。近年のウルトラマンシリーズがこの手法を採用したこと自体は正解だったと見てよいだろう。


 本作『ウルトラマンタイガ』(19年)でも、レギュラー悪としてナゾの青年・霧崎(きりさき)=ウルトラマントレギアが登場してきた。
 しかもトレギアは、『タイガ』で主役ヒーローとして活躍するウルトラマンであるウルトラマンタイガの父であるウルトラマンタロウのかつての友人として設定されていた。そして、第1話『バディゴー!』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190811/p1)の冒頭で描かれたように12年前に、


ウルトラマンギンガ
ウルトラマンビクトリー
ウルトラマンエックス
ウルトラマンオーブ
ウルトラマンジー
ウルトラマンロッソ
ウルトラマンブル


 といった7大ニュージェネレーションウルトラマンと宇宙空間で一大決戦を展開した!


 トレギアはウルトラ一族の故郷で自身の故郷でもあるM78星雲・光の国を攻撃しようとするも、


ウルトラマンタイガ
ウルトラマンタイタス
ウルトラマンフーマ


 といった、『タイガ』に登場する新米ウルトラマンたちも駆けつけてきてこれを阻止するが、圧倒的な猛威を見せつけるウルトラマントレギアによって3人のウルトラマンは宇宙の藻屑となって消え去ってしまう!
 タイガの父・タロウもまた、自身の全身を炎上させて自爆特攻する捨て身の荒技・ウルトラダイナマイト(!)でトレギアと相打ちになって姿を消してしまう!



 ウルトラマントレギアがこれだけの因縁も深い強敵として描かれた以上は、『タイガ』の終盤でも近年のウルトラマンシリーズの作劇を踏襲してタイガ・タイタス・フーマとトレギアの最終決戦を「最終章」として連続ものの形式で描くのだと、筆者は当然のように思っていたものだ。


 だが、『タイガ』終盤である第21話『地球の友人』~最終回(第25話)『バディ ステディ ゴー』は、そんな「最終章」「最終展開」とは呼びがたい構成となっていた。


 まず、第21話『地球の友人』は第18話『新しき世界のために』の続編的な内容であり、往年のウルトラシリーズでは初代ウルトラマンを倒したこともあるほどの最強怪獣である宇宙恐竜ゼットンの都市破壊で母親が重傷を負ったことで、宇宙人に復讐を果たそうとする青年をゲスト主役としていた。これは『ウルトラマンタロウ』(73年)第5話『親星子星一番星』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080511/p1)でのタロウと大亀怪獣との戦いで両親を失った少女をゲスト主役にした名作回である第38話『ウルトラのクリスマスツリー』を彷彿とさせる趣向ではあった。


 ただ、そのゲスト青年が霧崎にそそのかされて復讐を果たそうとした相手は、宇宙恐竜ゼットンとは何の関係もないどころか、『ウルトラセブン』(67年)第48話~最終回(第49話)『史上最大の侵略』前後編では全人類を地底ミサイルで滅亡させようとした強敵宇宙人である幽霊怪人ゴース星人であった。
 『タイガ』第10話『夕映(ゆうば)えの戦士』に登場した暗殺宇宙人ナックル星人オデッサや第18話『新しき世界のために』に登場した触覚宇宙人バット星人のように、昭和のウルトラシリーズでは強豪宇宙人であったナックル星人やバット星人が人類に友好的で平和に暮らす宇宙人として、そのキャラを大幅に改変されての登場となっていた。


 いくら『ウルトラセブン』や『帰ってきたウルトラマン』(71年)などの昭和ウルトラシリーズとは別の並行宇宙にある別次元の地球が舞台である『タイガ』で、たしかにその宇宙人種族の全員が悪党ではない可能性もあるとはいえ、このようなエピソードにやや善良で同情の余地もあるゲストに割り振るのであれば、かつてのウルトラシリーズでは問答無用の凶悪宇宙人であったキャラクターを配するのではなく、それこそ先の『タロウ』第38話『ウルトラのクリスマスツリー』に登場した善良な宇宙人であるエフェクト宇宙人ミラクル星人などの方がよかったのではあるまいか?――当時の着ぐるみも現存しており、映画『ウルトラマンギンガ劇場スペシャル ウルトラ怪獣☆ヒーロー大乱戦!』(14年)でも再登場したのだし!――。


 これではゴース星人ではなく、その着ぐるみを流用して別キャラクターとして登場した円谷特撮『戦え! マイティジャック』(68年・円谷プロ フジテレビ)第16話『来訪者を守りぬけ!』に登場した友好的な宇宙人・モノロン星人ではないか!?――つーか、それをねらったんだろうが、そんなネタは我々オッサン世代にしか通じないわい!(笑)――
 先に挙げた『セブン』最終回前後編でもウルトラセブンを絶体絶命の危機に追いやったハズの強敵怪獣である双頭怪獣パンドンに至っては、モノロン星人が飼っていた小さな猿が環境の激変で巨大化して大暴れした悲劇の怪獣・パッキーと同等の扱いであった(爆)。


*「王道」回のハズなのに『タイガ』の中では「異色作」!


 まぁ、上記の「変化球」のエピソードは『タイガ』としては「通常回」だったワケだが(苦笑)、つづく第22話『タッコングは謎だ』では、『帰ってきたウルトラマン』第1話『怪獣総進撃』~第2話『タッコング大逆襲』に登場したオイル怪獣タッコングが、それこそ『セブン』のカプセル怪獣のように「人類の味方」として、タイガとタッグを組んで『帰ってきた』第1話に登場した凶暴怪獣アーストロンの兄怪獣・凶猛怪獣ギーストロンと戦った。


――往年の初代アーストロンの着ぐるみを改造しての登場となった『帰ってきた』第8話『怪獣時限爆弾』の爆弾怪獣ゴーストロンはアーストロンの弟だったとウラ設定されていた。同じく近年のアーストロンの着ぐるみを改造したギーストロンを、筆者も特撮マニア諸氏らの見解と同様、アーストロンの兄だと解釈させてもらおう(笑)――


 『帰ってきた』の劇中音楽を大量に流用したり――しかもクライマックスバトルではかの名BGM『夕陽に立つウルトラマン』が流れた!――、『セブン』第42話『ノンマルトの使者』に登場したゲスト少年・真市(しんいち)みたいに、鼻の左に大きなほくろがあるボーダーシャツを着た少年・シンジ(笑)をゲスト主役にしたりと、かなりマニアックな演出が目立つ回ではあった。
 しかしながら、ギーストロンが両腕にある金色のトゲ状部分から発射した三日月(みかづき)状のカッターをタッコングが高速回転してカワしたり(!)、宙をジャンプしたタッコングがギーストロンにケリを入れたり、夕陽が水平線に沈んでいく海へとタッコングが帰還するラストシーンなどに、東宝の怪獣映画・昭和ゴジラシリーズ(54~74年)の後期作品群や、大映の怪獣映画・昭和ガメラシリーズ(65~80年・大映)のラストシーンなどを彷彿としてしまったのは、決して筆者ばかりではないだろう。


 球形のボディーの股下部分に小顔が突き出ている可愛らしくて親しみやすいデザインである怪獣タッコングは、その憎めないルックス的にも「悪の怪獣」としてよりも「正義の怪獣」としての配役の方が望ましいとしての処置だろう。たしかに『タイガ』としては「異色作」ではあるのだが、ゴジラガメラといった「正義の怪獣」「ヒーロー怪獣」に声援を送った世代としては、タッコングのヒロイックな描写も広い意味での「王道」ではあるのだろうし、本来のターゲットである現代の子供たちにも受け入れられるように思えてならないのだ――ただし、この回ではレギュラー悪のハズである霧崎=トレギアが登場する余地がなくなってしまっていたが・汗――。


 そして、第23話『激突! ウルトラビッグマッチ』には、第15話『キミの声が聞こえない』に登場した頭脳宇宙人チブル星人マブゼが、凶悪宇宙人サラブ星人・反重力宇宙人ゴドラ星人・高速宇宙人スラン星人とともに再登場。
 第15話では、『ウルトラマンジード』第1話(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170819/p1)ほかに登場した、同作の宿敵であるSF作家・伏井出ケイが悪のウルトラマンであるベリアルの力と、どくろ怪獣レッドキングと古代怪獣ゴモラの能力を秘めた携帯型の怪獣カプセル2種を起動して変身していた、いわゆる合体怪獣であるベリアル合成獣スカルゴモラの着ぐるみの使い回し(笑)だった培養(ばいよう)合成獣スカルゴモラをつくる際に使用した「ベリアル因子(いんし)」を再利用して、チブル星人がニセウルトラマンベリアル(!)を誕生させる! そして、今は亡き本来のベリアルの長年の宿敵であったウルトラマンゼロ、そしてトレギアを巻きこむかたちで、市街地をリングとしたタイガ&ゼロ VS トレギア&ニセベリアルのタッグマッチが繰りひろげられた!


 ニセベリアルはオリジナルとの差別化として手のツメが黄色く塗装されていたが、これは元祖『仮面ライダー』(71年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140407/p1)終盤の白眉(はくび)となった第92話~第94話=ニセ仮面ライダー編3部作に登場した、ショッカーライダー1号から6号の手袋とブーツが黄色かったのを意識したものか?(笑)


 ゴドラ星人がベリアルのことを


「あいつは(ウルトラマンジードに負けたハズでは?」


と語るのは、ゴドラ星人(の同族)が『ウルトラマンジード』第16話『世界の終わりがはじまる日』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200523/p1)にも登場していたこともあり、『タイガ』と『ジード』が異なる並行宇宙を舞台としていても、近年のウルトラシリーズに登場する宇宙人たちは拳銃の連射で空間の一部を切り取って別の空間につなげることができたりと、並行宇宙間での越境が技術的にも容易になっているようなので(笑)、広い意味では歴代シリーズがつながった世界であることを表現もできており、「ハードSF」ならぬ「ソフトSF」(笑)としてワクワクさせるには絶大な効果をあげていた。


 その『ジード』ではレギュラーのサブヒーローであったゼロがニセベリアルを指さして、


ジードがせっかく成仏させたっていうのに……」


と語るのもまたしかり。タイガが自身と合体している主人公青年である工藤ヒロユキ(くどう・ひろゆき)に、ベリアルを「光の国の大罪人」としてやや説明的(笑)に紹介するのは、映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE(ザ・ムービー)』(09年・ワーナー・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101224/p1)にて父であるウルトラマンタロウがベリアルと直接対決したことから、タイガにとっても因縁深い敵であることを表現した実に秀逸(しゅういつ)な描写だろう。
 そればかりか、ニセタイガに変身しようとしたザラブ星人をゴドラ星人が「光の国の連中に目をつけられる」(!)と制止する場面は、たとえ「昭和」のウルトラマンの世界とは別次元の並行宇宙ではあったとしても、今や『タイガ』の並行宇宙でも「昭和」の「光の国」出身のウルトラマンたちの存在が宇宙人たちに知られていることが明確にされたことになるのだ!


 また、先の第15話では苦労して誕生させたスカルゴモラをトレギアに瞬殺されたにもかかわらず、そのままチブル星人が退場してしまったことには違和感が残ったが、今回はニセベリアルを「でくのぼう」と称したトレギアに、再登場したチブル星人が「ワタシの芸術を愚弄(ぐろう)するか!?」と怒り心頭となって、配下の宇宙人たちにさらにベリアル因子を注入させた描写は、知能指数5万(笑)で「宇宙最高の頭脳」を自称するほどにプライドが高いチブル星人でも、知識はあっても知性はない(笑)、知識はあっても人格や徳性面では劣ったキャラ(笑)であることを的確に描けていたかと思えるのだ。


 さらにタイガとニセベリアルが戦う最中にトレギアがビルに腰かけて高見の見物を決めこんだり、乱入したかと思えば「ホラよ」と両腕をうしろに組みながらウルトラマンフーマの足を蹴って転倒させたり、


「こんにちは、みなさん。そして、さようなら……」


と人間大サイズの侵略宇宙人たちが潜伏している部屋を覗(のぞ)きこんで――室内からの主観で窓越しにトレギアの巨大な顔面をとらえたカットが実に効果的だった――、そこに突進してきたニセベリアルをトレギアがかわしたことでそのビルがガラガラと崩れていくや、トレギアが軽やかにスキップして去っていく(笑)といった一連の描写は、トレギアをいわゆる「ネタキャラ」として存分に描きつくした演出となっていた。


 地球でひっそりと暮らしている宇宙人たちの人間態をゲスト主役とした話が「通常回」(汗)であった『タイガ』では、着ぐるみのままの宇宙人キャラを多数登場させてシーソーバトルに徹したこんな「王道」回が「異色作」に見えてしまったが(苦笑)、「子供番組」で「重い話」をひんぱんに描くのなら、視聴者を逃さないためにもこうした回も合間合間に挟むべきではなかったか?


*1話完結形式の弊害。そして「いきなり最終回」!(笑)


 「通常回」である第21話、「異色作」である第22話、「王道回」である第23話と、『タイガ』の終盤は良く云うならばバラエティに富む構成で、悪く云うならば最後の最後まで「昭和」のウルトラマンさながらの「1話完結形式」であり、視聴者の興味を完結まで持続させるにはどうなのか? と思えたものだったが、残るはもう第24話『私はピリカ』~最終回『バディ ステディ ゴー』の前後編だけである。
 かつて宝島社が名作マンガの最終回だけ(!)を集めて発行していたオムニバス本のタイトルではないが、連続ものの様相を呈していた近年のウルトラマンシリーズの終盤とは異なり、『タイガ』はまさに「いきなり最終回」となっていた(笑)。


 それにしても、主人公のヒロユキが所属している民間の警備会社・E.G.I.S.(イージス)でオペレーターを務めていた娘・旭川ピリカ(あさひかわ・ぴりか)までもが、「いきなりアンドロイド」(爆)だったとして語られてしまうとは……


 映画『ゴジラモスラキングギドラ 大怪獣総攻撃』(01年・東宝)の主人公・立花由里(たちばな・ゆり)役や、映画『特捜戦隊デカレンジャー THE MOVIE フルブラスト・アクション』(04年・東映http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041106/p1)のレスリー星人マリー・ゴールド=デカゴールド役ですでに特撮出演歴のあるグラビアアイドル上がりの女優・新山千春(にいやま・ちはる)が演じたE.G.I.S.の女社長・佐々木カナは第24話で、ピリカの正体が実は7年前にカナが道端でひろったアンドロイドであると、E.G.I.S.の隊員ですでにその正体が地球人ではなく宇宙人として描かれてきた青年・宗谷ホマレ(そうや・ほまれ)とヒロユキに唐突に語ったのだった。
 これは『ウルトラマンA(エース)』(72年)第28話『さようなら夕子よ 月の妹よ』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061111/p1)で、それまで主人公の北斗星司(ほくと・せいじ)といっしょにウルトラマンエースに合体変身していた南夕子が突然、月星人の正体を明かして退場したのを彷彿とさせたほどの唐突さであった(笑)。


 いや、彼女の正体が実はアンドロイドだったなんて、それまでのシリーズで何の伏線もなかったよね? 『A』の場合は種々の「大人の事情」で夕子を退場させねばならなくなったのだが、そんな「昭和」の時代ならばともかく、今の時代にこんな荒っぽい展開は通常ありえないのではあるまいか?


 これについてはカナ社長とホマレとヒロユキがカップラーメンの銘柄(めいがら)をめぐってジャンケンで争う場面にピリカだけがいなかったなど、ピリカだけが食事をする描写がなかったために、それがアンドロイドとしての「伏線」だったとする意見がネットで見られたものだけど、筆者のみならずほとんど全員の視聴者や特撮マニアたちが気づかないような「伏線」ではそもそも「伏線」としては機能していないし(笑)、いくらなんでもそれはあまりに好意的に解釈しすぎなのではあるまいか?
 たとえばもっとあからさまに、ヒロユキとホマレが人間大サイズの宇宙人たちに囲まれてピンチに陥(おちい)る中に乱入してきたピリカが突然、常人とは思えない怪力を発揮して宇宙人たちを全滅させるさまや、ピリカには子供時代の記憶がなくてそのことを自分でも悩んでいたりするようなさまをベタでもシリーズ中盤で描いたりして、「ピリカの正体とはいったい?……」といった、視聴者の興味関心を持続させる手法くらいはとるべきだったと思えるのだ。


 前作『ウルトラマンR/B』では、主人公兄弟の湊カツミ(みなと・かつみ)=ウルトラマンロッソと湊イサミ=ウルトラマンブルの妹として描かれてきた女子高生・湊アサヒ(最終的にはウルトラウーマングリージョに変身!)が、シリーズ中盤で家族アルバムの写真や思い出の品が何ひとつ存在しないと判明したことで、アサヒの正体をめぐってネット上では特撮マニアたちがさまざまな憶測が飛び交わせる二次的な楽しみ方もできるつくりになっていた。
 これと並行して兄妹(きょうだい)たちの母親である湊ミオ(演じたのは元グラビアアイドルである真鍋かをり!)が行方不明となっていることのナゾ解きなども展開されたことで、アサヒは実はミオが変身した姿ではないのか? といった憶測なども、筆者も含めた当時のマニアたちが下馬評を楽しく展開していたものだ。
 実際にはその予測は見事にハズれてミオとアサヒは別人だったワケだが(笑)、いくら1話完結形式とはいえ、いや、だからこそ、せめてこうしたナゾ解き展開で視聴者の興味を持続させようともしなかったのは、やはり今どきの21世紀の作品としてはいかがなものだっただろうか?


 第17話『ガーディアンエンジェル』のラストにて霧崎がカナ社長を狙撃したのを皮切りに――ゲスト主役の宇宙人・ミードが身代わりとなってくれることで難を逃れたが――、ホマレとピリカが順に霧崎の襲撃を受けていく…… これらはヒロユキを精神的に動揺させるためにあえて周囲の大切な人物たちをねらったのだと霧崎自身が語ってもおり、霧崎=トレギアが最終回前後編で宇宙から呼び寄せた宇宙爆蝕(ばくしょく)怪獣ウーラーの活動を阻止する重大な使命を実は担(にな)っていたピリカのことが邪魔だからとして襲ったワケではなかったのであった。


 シリーズ途中からでもトレギアがピリカの正体に気づいたりするようなかたちで接点をつくることもなく、むしろトレギアの陰謀阻止とはまったくの無関係なものとしてピリカが抱えていた怪獣ウーラー撃滅の使命が設定されていたために、ピリカ暗殺未遂劇や第24話のピリカの正体明かしがより唐突に感じられてしまうのである……
 強(し)いて云うならば、霧崎がピリカを襲おうとした際に、ウーラーが地球に迫(せま)ってくるビジョンをピリカから感じとった霧崎がほくそ笑(え)んでいる描写があって、ピリカとウーラーにはなんらかの関係があるとは示されてはいたのだが、彼女の正体が宇宙人製造のアンドロイドである伏線としては説明不足にすぎるというものだろう。


*トレギア&ヴィランギルドの動機が「理由なき反抗」でイイのか!?


 最終回前後編ではウルトラマンタイガ・ウルトラマンタイタス・ウルトラマンフーマ VS ウルトラマントレギアの最終決戦よりも、単身でウーラーの阻止に向かったピリカをE.G.I.S.のメンバー、そしてピリカの勇気ある行動に心を動かされたサーベル暴君マグマ星人と宇宙商人マーキンド星人の共同による救出劇に主眼が置かれた印象が強かった。
 一見は感動的な展開に見えるのだが、このようなストーリー展開にする予定があったのであれば、マグマ星人とマーキンド星人を毎回のレギュラーとまではいかなくとも、数話に一度くらいは憎めない宇宙人として登場させることで、彼ら侵略宇宙人たちの地球人に対する心の変遷(へんせん)劇なども描くべきであったと思えてしまい、やはり唐突感は否(いな)めなかったものである。


 彼らはその最後の行動動機を「怪獣兵器を売る商売がしやすかった地球を守るためだ」などと偽悪的にウソぶいて主張していたが(笑)、それまでにもマグマ星人は第1話『バディゴー!』、マーキンド星人も第1話と第2話『トレギア』に登場しただけだったし、そもそもの彼らの「商売」自体がシリーズ全編を通して描かれてもこなかったし、彼らの商売を邪魔したトレギアに対して一泡(ひとあわ)吹かせてやるといった発言すらもがなかったのであった(汗)。
 本作『タイガ』における侵略宇宙人たちの犯罪組織として設定されていた「ヴィランギルド」だが、たとえば時にはタイガたちと共闘して彼らの商売の邪魔になるトレギアを攻撃したり、その逆にトレギアと同盟してタイガたちを襲ってくるといった、敵が味方に味方が敵にとその立ち位置をシャッフルさせて三つ巴(みつどもえ)の戦いを描くこともなかったほどに、『タイガ』においてはこの「ヴィランギルド」の存在感がいかに希薄(きはく)であったかを改めて露呈させてしまったような感もある。
 本作『タイガ』のコレクション玩具でもある「怪獣の力を秘めたリングタイプのアクセサリー」をトレギアから奪ってオークションにかけてしまい――それこそこの作品世界に登場する宇宙人たちには高値で売れるだろう(笑)――、怒り狂ったトレギアとヴィランギルドとの壮絶なお宝争奪戦が展開する! といったような第3勢力としてのエンタメ的な対立劇などもやるべきではなかったか?
 最終回では「宇宙人(外国人のメタファー・汗)を地球から追い出せ!」と叫んでいたデモ隊のメンバーを、よりにもよってその宇宙人たちである第18話で古い木造アパートのひとつ屋根の下でバット星人と暮らしていた変身怪人ピット星人がラスボス怪獣ウーラーの攻撃による都市破壊から救う描写があったのだが――ピット星人は第18話に登場した人間態の「やさぐれ女」(笑)と同じく黒の皮ジャンにジーンズを着用することで同一個体であることを表現していた――、やはり『タイガ』では「愉快なヴィランギルド」よりも、トレギアにそそのかされて悪事に走ってしまったゲストたちである「お気の毒な宇宙人」たちの方が目立ってしまっていた……


 そのトレギア=霧崎が、第24話で自身には「何の目的もない……」などとニヒルなことをピリカに語っていたのに至っては、さすがに少々絶句せざるを得なかったものだ。そこは旧友・ウルトラマンタロウに対する妬みや恨みや憎しみでなければ『タイガ』という作品の基本設定的にもダメだろう! おそらく一種の意外性をねらって、タロウとその息子であるタイガへの「憎しみ」ですらなく、もっと「虚無的」「ニヒリズム」なところに行動動機を設定しようとしたのだろうが、それが成功していたとはとうてい思えない。
 タロウの古い友人だと設定されても、トレギアがいったいタロウとの間に何があって、なぜに闇堕(やみお)ちしてしまったかについてが結局、最後まで語られなかったこともあってか、これまでタイガやヴィランギルドに対して散々やらかしてきたイヤがらせの類いは、その行動動機を裏づけるものが何もない、「ニヒリズム」ですらなく単なる「愉快犯」に近いものに堕(だ)してしまったようにも思えてならないものがあるのだ(汗)。


 こうなると、『タイガ』はその「シリーズ構成」が最後の最後で破綻(はたん)してしまったというよりかは、「1話完結形式」として個々のドラマ性を重視したあまりに、シリーズとしての全体的な流れを考えないままで突き進んでしまったために、しかもその最終展開や一応のラスボスとして君臨してきたトレギアのキャラに関してはその最後があまり盛り上がらないものになってしまったのではなかろうか?
 どんな作品でもスタッフは良かれと想って作品をつくっている以上は失礼な発言になってしまうのだが、『タイガ』がこうなってしまったA級戦犯は、各所でのインタビュー記事などで推測はつく。


 ウルトラシリーズ番外編シリーズである『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』(07年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080427/p1)~『ウルトラマン列伝』(11年)~『ウルトラマンX(エックス)』(15年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200405/p1)までのメインプロデューサーを務めたのは、『列伝ブログ』なども執筆していたバンダイから出向してきたプロデューサー・岡崎聖(おかざき・ひじり)であって、テレビシリーズにおけるウルトラマンエックスの最終形態のアーマー(ヨロイ)は、アーマーを着用したエックスの着ぐるみをチェックしている際に、それまでに登場してきたあまたの形態のアーマーの各所を合体させた最強アーマーを思いついて急遽それを実現させたという、実にチャイルディッシュな発想に基づいた逸話(いつわ)に象徴されるように、ウルトラマンシリーズを21世紀の子供たちにも合うようなエンタメ性や玩具性を高める方向性での番組づくりを進めてきた御仁であった。
 その次の『ウルトラマンオーブ』(16年)・『ウルトラマンジード』(17年)・『ウルトラマンR/B』(18年)では、『ジード』のメインライターに人気作家の乙一(おついち)を連れてきた製作畑上がりの鶴田幸伸が主導権を握っていたのであろうことが読み取れる。
 しかし、本作『タイガ』では円谷側の筆頭プロデューサーであり、かの実相寺昭雄監督の製作プロダクションである株式会社コダイ出身で、平成ウルトラ3部作ではシャープでクールな本編演出や空中戦特撮を披露してきた北浦嗣巳(きたうら・つぐみ)が主導権を握っていたようであり、氏は「昭和の時代のような1話完結形式のウルトラシリーズに戻したい」という主旨の発言を各所でしてきた御仁でもあったのだ。そんな氏だから、おそらくタイガがタロウの息子であるという設定にも関心はさほどなく、そこの設定を掘り下げてタイガ自身のドラマも構築していくという発想もなかったのだろう(汗)。


 ……ウ~ン。1話完結スタイルのテレビシリーズに、今の子供たちや特撮マニアたちが喰いつくと想っているあたりでそうとうに絶望的に感覚が古いような(汗)。てゆーか、今から40年も前の特撮マニアたちも、特撮雑誌『宇宙船』の創刊号(80年)などで「当時の『宇宙戦艦ヤマト』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101207/p1)や『機動戦士ガンダム』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990801/p1)などの人気テレビアニメが続きものとしての連続ストーリー性を獲得して年長視聴者の鑑賞にも堪えうるものをつくっているのと比較して、当時のスーパー戦隊シリーズなどのテレビ特撮の方は1話完結型式の『VSOP(ベリー・スペシャル・ワン・パターン)』になっていて観るに堪えない……(大意)」といった主旨の批判をしていた時代があったというのに……(汗)


 筆頭プロデューサー側がそういう意識でも、いやだからこそ撮影現場ではそれに抵抗して、むしろ良い意味での「愉快犯」としてトレギア=霧崎を描写・演出していった方がよかったのでは? という想いもある。『タイガ』放映開始の数ヶ月前に公開された『劇場版ウルトラマンR/B セレクト! 絆のクリスタル』(19年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190407/p1)では、主に主役ではない2号ウルトラマンや悪のウルトラマンを演じてきた名スーツアクター・石川真之介による、他人を小バカにしたようなピエロ的に小気味よく軽やかにしなやかな仕草やアクションをしてみせる演技と、声優・内田雄馬によるイケメン悪役なボイスによって、「悪」ではあっても過剰な重たさはないようなキャラクター造型が、同作で初登場したウルトラマントレギアにはなされていた。
 しかし、『タイガ』では第1話~第2話のパイロット編を担当してメイン監督ともなった市野龍一監督による、トレギアの人間態である霧崎役の役者さんに対するディレクション・演技付けの方向性にはやや問題があったのではなかろうか? その正体であるトレギアとは異なり霧崎は、その出で立ちがモノトーンのピエロ的な扮装でも直立不動のままで静的に佇んでいるだけであり、道化(どうけ)て狂ってもいるような軽妙なお芝居を与えられてはいなかったのだ。そのへんでジャグラー・伏井出ケイ・愛染マコト・美剣サキちゃんといった、若い特撮オタたちいわく「円谷のヤベーやつ」(笑)といった強烈なインパクトが出せなかったのも事実ではなかろうか? まぁ、このへんは役者さんの一存でできるお芝居ではないので、メイン監督がヘタに前作までの差別化としてそのように静的にディレクションしてしまったことにも責任があったのではないのかとも推測するのだ。
 脚本内容が仮にまったくの同一であったとしても、霧崎役の役者さんにジャグラーや愛染マコト社長のようにテンション高くてフザケまくったお芝居をさせてあげていれば、本作『タイガ』の作風はもっと明るく弾(はじ)けて、ひいてはバランスも取れて、対比の妙で「お気の毒なゲスト宇宙人」たちの人間ドラマも際立って、「明るさ」と「暗さ」の行き来でメリハリもついたのではなかろうか?――完成作品としての『タイガ』については、近年のウルトラシリーズとしてはやや「暗さ」の方が勝ってしまった作品に仕上がった……という結論が、衆目の一致するところでもあるだろう――



 それでも『タイガ』で最後まで一貫していたのは、最終回に登場した宇宙の星々を食い尽くすウーラーまでもが、ピリカが語ったように「おなかが空いてるだけ」の「お気の毒な宇宙人」ならぬ「お気の毒な怪獣」として描かれたことだった(笑)。
 先述したジャグラス・ジャグラーや伏井出ケイ、愛染マコトらがたとえ「ネタキャラ」ではあってもその行動には「悪」なりの明確な動機があったのに対して、そういう動機が実は「何もなかった」とされてしまった以上は(汗)、トレギアがもはや憎々しげな倒してしまっても構わない、むしろ倒してしまうことで爽快感も得られる「大悪党」としての精彩を欠いてしまっていただけに、これでは「変身ヒーロー作品」のラストとして本来ならば最大限に描かれてしかるべき「勧善懲悪のカタルシス」が得られるハズもないだろう。


 それにしても、『ウルトラマンギンガ』のラスボスである悪のヒーロー・ダークルギエルから『ウルトラマンR/B』のラスボス怪獣であるルーゴサイトに至るまで、ニュージェネレーションウルトラマンシリーズの最終回に登場した怪獣たちはバンダイのソフビ人形『ウルトラ怪獣シリーズ』ですべて商品化が先行して登場したのにもかかわらず、『タイガ』の最終回に登場したウーラーだけは発売されることがなかった。
 玩具会社・バンダイ側の意向や販売スケジュールが先行して、子供たちに売れそうな怪獣デザインも昭和の時代とは異なり脚本完成以前に決定しているのだろうと思われる近年のウルトラマンシリーズとしては珍しい処置なのだが、そういう意味ではバンダイ側の『タイガ』担当者も悪い意味での右から左へと流していくだけのサラリーマン仕事で、最終回の怪獣のデザインなどにも強く関与してこなかったのだとすれば、この場合はその処置が「凶」と出てしまったのではなかろうか?(汗) 製作現場のトップたちにエンタメ的なセンスがなさそうならば、玩具会社の担当者の方でエンタメ性の増強のためにシャシャリ出てきて、ウチで販売するこのラスボスにふさわしい怪獣を大活躍させるようなストーリーをつくりなさい! なぞと介入をするべきだったのだ!(笑)


*テーマ・ドラマ・人間描写の方が優先か? ウルトラマンたちの描写の方が優先か?


 全世界的に自国第一主義が蔓延し、移民排斥の動きが強まる中で、日本も決して例外ではなく、悪化する一方の日韓関係や中国で新型コロナウィルスが発生した件に便乗した、韓国人や中国人に対するヘイトをはじめとする民族差別が、ネトウヨだけならまだしも出版物や一部のマスコミにまで横行している始末である(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210213/p1)。
 そんな惨状の中で、宇宙人たちがひそかに暮らしている並行宇宙の地球を舞台に、カナ女社長=地球人、ヒロユキ=ウルトラマン、ホマレ=宇宙人、ピリカ=アンドロイドで結成されたE.G.I.S.の活躍を描くことで、人種を超越したさまざまな生命体の共存を訴えていた『タイガ』の志自体は、おおいに評価してもよいだろう。ウーラーを一見、醜悪に見える怪獣としてデザイン・造形して、最後にはウーラーとも共存へと至るのも、好意的に解釈するならば、そのテーマゆえのものかと思える。


 ただし、『タイガ』よりも2ヶ月遅れで放映が開始されて、AI(エーアイ)=人工知能を備えたヒューマノイド型ロボット=ヒューマギアと人類との共存を訴える『仮面ライダーゼロワン』(19年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200517/p1)と比べると、実は同じような異種族同士の共存テーマをやっているのにもかかわらず、そのテイストはあまりにも異なっている。
 アメリカで同時多発テロが起きた2001年に放映されて、『タイガ』と同様に怪獣と人類との共存を訴えていた『ウルトラマンコスモス』(01年)の商業成績はイマイチに終わったが、テロを口実にイラクを武力攻撃したアメリカが主張した「正義」に異を唱えた東映のプロデューサー・白倉伸一郎が、多くの「正義」をぶつけることで自分とは異なる意見の持ち主をどう許容するのか? を世に問いかけた『仮面ライダー龍騎(りゅうき)』(02年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20021109/p1)は空前の大ヒットを飛ばすことになった。
 地球環境の保護を訴えるために『ウルトラマンガイア』(98年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19981206/p1)では2号ウルトラマン・藤宮博也=ウルトラマンアグルが「地球環境を汚している人類」に対する批判を再三口にしていたが、『炎神(エンジン)戦隊ゴーオンジャー』(08年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080824/p1)では敵組織の蛮機族(ばんきぞく)・ガイアークが「地球環境を汚している作戦」を深刻にではなくあくまでもコミカルに描きつつ、ゴーオンジャーが動物と乗りものの特性を兼ね備えた異種族でもある機械生命体・炎神たちともカッコよく共闘しているさまが描かれていった。
 同じような環境テーマを描くにせよ、深刻な「人間ドラマ」主導によってテーマを陰気に強調してしまうのか? それともあくまで悪が暴れてそれを倒すヒーローを描くための背景・舞台装置としてとどめるか? 時代は移り変わっても、円谷プロはあいかわらず前者であって、東映は後者であるように思えてならないのだ……


ウルトラマンゼロ客演・先輩ヒーロー客演・追加ヒーロー登場編の突出した再生回数でも明白!


 たとえ「重い話」が多かろうが、3大新ヒーローであるウルトラマンタイガ・ウルトラマンタイタス・ウルトラマンフーマの初登場時のバトル演出のカッコよさや、彼らがかわすコミカルなやりとり、戦闘のプロフェッショナル集団ではない警備会社にすぎないE.G.I.S.が人間大サイズの敵宇宙人たちと頻繁に格闘してみせたりと、『タイガ』は序盤の時点では社会派テーマが明朗なアクションといい感じに中和できているとたしかに感じられたものだった。


 だが、中盤を経ても「お気の毒な宇宙人」をゲスト主役にした「重い話」ばかりがあまりにもつづいたことに、さすがに疲れてしまった視聴者も多かったのではなかろうか?
 本誌に掲載された関東地方での視聴率表を参照すると、最高だったのは第5話『きみの決める未来』と第9話『それぞれの今』が1.1%、最低が第13話『イージス超会議』と第14話『護(まも)る力と闘う力』の0.6%だったが、その差はわずか0.5%(大汗)では正直指標としてはほとんど意味をなさない。悪い意味で安定していたと解釈すべきところだろう。関西に至っては最高が0.6%、最低が0.1%であり、こうなるともう最高視聴率と最低視聴率も誤差の範囲内だろう(苦笑)。
 ただ、中部地区では最高が第1話と第2話の1.8%、最低が関西の最高よりも高い(笑)第9話『それぞれの今』と第19話『電撃を跳(は)ね返せ!』の0.7%であり、少なくとも1980年前後のころから関東や関西に比べて変身ヒーロー作品の視聴率が高くなる傾向が強かったことを思えば、いまだにウルトラマンが受け入れられやすい土地柄なのかもしれない。


 旧態依然の集計方法が現在の時代にはそぐわないかと思える視聴率よりも、個人的には動画無料配信サイト・YouTube(ユーチューブ)の再生回数の方が、番組の人気がストレートに表示される指標だと最近では考えている。もちろんメインターゲットの子供たちが占める割合は極少だろうし、リアルタイムでの視聴にこだわったり、しっかりと毎週タイマー録画して、高額の映像ソフトを購入するような熱心なマニアたちの数もそこにはさして含まれていないかとは思える。むしろ週末に早起きして観るのもタイマー録画も面倒だ、映像ソフトなぞは買う気にもならない、でもちょっとは気になる……といったライト層の若い世代こそが、YouTubeで現行番組を視聴する場合が多いのではなかろうか?


 『タイガ』の場合、第1話の再生回数は1週間で100万回を超えていたのだが、その後は右肩下がりをつづけて、中盤以降は30万回を超えるのがやっとという状況がつづいていた――第18話に至っては30万すら下回る29万回だった(汗)――。
 『仮面ライダー電王』(07年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080217/p1)や『仮面ライダーW(ダブル)』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100809/p1)、『仮面ライダーOOO(オーズ)』(10年)といった10年も前の平成仮面ライダー作品が毎回50万回~60万回だったのだから、現行作品の『タイガ』がそんな旧作の半分程度の再生回数しか稼げなかったあたりで、現在のウルトラマンの人気の低さが如実(にょじつ)に表れているといえるだろう――2019年12月から配信中の『仮面ライダーフォーゼ』(11年)に至っては、毎回「急上昇ランキング」の上位に入るほどの高い人気を誇っている!――。


 だが、2019年でデビュー10周年を飾って、いまだに根強い人気を誇っているウルトラマンゼロと、その宿敵であるウルトラマンベリアルのニセもの=ニセウルトラマンベリアルがゲスト出演した『タイガ』第23話の再生回数は、1週間で通常回の倍以上となる70万回にまで達していたのだ!――そしてその翌週に配信された第24話=「最終回前後編の前編」は1週間で35万回と、またいつもどおりに戻ってしまったのであった――


・高速道路を走っている自動車のミニチュアからの主観(!)で白昼の都会に現れたニセベリアルをとらえて、次の瞬間にニセベリアルが高速道路を破壊したり!
・ニセベリアルが右手のツメから紫色のブーメランを発射して、空中のウルトラマンタイガを撃ち落としたり!
 ウルトラマンタイタスとニセベリアルが拳法アニメ『北斗の拳』(84年・東映動画→現東映アニメーション フジテレビ)のごとく、すばやい高速の動きで両手のこぶしを打ちあったり!
ウルトラマンフーマが放った手裏剣(しゅりけん)を、ニセベリアルが持ちあげたビルでかわしたり!
・宙に浮かぶオーロラのシャワーの中から、ウルトラマンゼロが腕組みして登場したり!
・タイガ&ゼロ、そしてトレギア&ニセベリアルが発射した必殺光線がX(エックス)字状に交錯するさまを、上空から俯瞰(ふかん)してとらえたり!
・ゼロの父であるウルトラセブンウルトラマンジャックにウルトラブレスレットを与えたように、ゼロが「オレの力をこめたブレスレット」をタイガに与えたり!


 現在の若い層が「変身ヒーロー番組」「特撮番組」に求めているのは、やはりこんな作品ではないのだろうか?


 ちなみに、昭和の時代に高い人気を誇った『仮面ライダーV3(ブイ・スリー)』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140901/p1)や『仮面ライダーX(エックス)』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20141005/p1)、『仮面ライダーアマゾン』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20141101/p1)などの再生回数は、先述した平成ライダー作品群からゼロを取った5万回前後にとどまっている(汗)。しかし、『V3』第43話『敵か味方か? 謎のライダーマン』は1週間で20万回! 映画『五人ライダー対キングダーク』(74年・東映)と連動して昭和ライダーの総集編として製作された『X』第27話『特集 5人ライダー勢ぞろい!!』は11万回! 仮面ライダー2号仮面ライダーV3がゲストで登場した第33話『恐怖! キングダークの復しゅう!!』は9万回に達していたのだ!
 これは「昭和」の作品群にはあまり興味がないかと思われる若い層ですらもが、新ヒーローの登場や新旧ヒーローの競演・大集合が描かれた回だけはついつい観てしまうという事実を裏づける現象ではないのだろうか?


 なので、『タイガ』の最終回におけるトレギアとのラストバトルは、ヒロユキ青年との合体抜きでもその肉体も含めてついに完全復活を果たしたタイガ・タイタス・フーマの3人を第1話の冒頭のように並べて登場させて、3対1のかたちで描くべきだったと思えるのだ。
 主人公のヒロユキが3タイプではなく3人もの別人のウルトラマンに変身できる画期的な設定こそが『タイガ』最大の特徴であり魅力であったように、タイタスは第3話『星の復讐者』、フーマは第4話『群狼(ぐんろう)の挽歌(ばんか)』と、それぞれの初登場回ではバトルスタイルがじっくりと描かれた。だが、それ以降はネット上で「従来のヒーローたちのタイプチェンジと変わらない」という声が散見されたほどに、ほぼ毎回、ヒロユキはまずタイガに変身して、戦況に応じてタイタスやフーマにチェンジするといった調子であり、タイタスかフーマが劇中一度も登場せずに割を食う回すらあったほどだった。
 ニュージェネレーションウルトラマンが総登場した第1話や、先輩ウルトラマンであるゼロとの競演が描かれた第23話が突出した人気を呼んだことからすれば、もちろん3人のウルトラマンが全合体している状態である強化形態であったウルトラマンタイガ・トライストリウムもいいのだけれど、せめて最終回くらいはタイガ・タイタス・フーマが個別に登場して大活躍して、その共闘を描いたあとにトライストリウムに再合体するかたちにして、3大ウルトラマンの活躍をまんべんなく見せるべきではなかったのか?


*ドラマ性を重視でも、肝心のウルトラマンたちにはドラマ性が希薄


 ただ、これは決して最終回としての絵的なハデさばかりを求めた上での提言ではない。先述したように、『タイガ』はさまざまな生命体の共存をテーマにした作品だった。であるならば、


・M78星雲にある光の国出身であるタイガ
・U40(ユー・フォーティ)出身であるタイタス
・O‐50(オー・フィフティ)出身であるフーマ


 出自が異なる3人のウルトラマンがいかにして過去においてトライスクワッドなるチームを結成するに至ったかについても、劇中でキッチリとしかるべき本編と連動した回想のかたちで描くべきではなかったのか?
 YouTubeで配信されていた『トライスクワッド ボイスドラマ』では、3人のウルトラマンが「しょーもないこと」(笑)でコミカルに争うさまが再三描かれていたが、『タイガ』の劇中ではタイガ・タイタス・フーマの対立はほとんど描かれてはおらず、やはりその回のゲスト宇宙人や怪獣に対する各自の考え方・思惑(おもわく)の違いで少々争うくらいの不和描写はあってもよかったかと思えるのだ。
 そうした中で各自の成長・関係性の変化・心の変遷が生じたことにより、タイガ・タイタス・フーマが人種の違いを乗り越えた結果として、因縁の敵であったトレギアを共同で倒すに至る群像劇こそが、「共存」をテーマにした『タイガ』のクライマックスとして描くべきではなかったか? 「お気の毒な宇宙人」たちと比べ、タイガ・タイタス・フーマには劇中で描かれたかぎりでは、彼ら自身の「ドラマ性」があまりにも感じられなかったものである。それこそが『タイガ』が中盤以降に失速したり、マニアたちの興味関心を維持できなかった要因ではないかと考える。


 もっとも変身前の主人公と変身後のヒーローが完全に同一人格である仮面ライダースーパー戦隊に比べると、変身する主人公とヒーローが一心同体ではあるものの、あくまで別個体であることが多かったウルトラマンの場合には、合体している人間とヒーロー双方のドラマを描きこむのはやや難しいところなのかもしれない。しかし、主人公青年・野上良太郎(のがみ・りょうたろう)に人格や個性もある複数のユカイなイマジン怪人たちが交互に合体することでヒーローのタイプチェンジも表現していた『仮面ライダー電王』が大ヒットしたことを想えば、やはりヤリ方次第なのには違いない。
 たとえばシリーズ中盤から終盤にかけては、タイガ・タイタス・フーマがE.G.I.S.の各隊員たちと合体して、隊員たちが変身できるようになったりすることで、イベント性を高めることもできたのではなかろうか? 「お気の毒な宇宙人」たちのドラマばかりをやっている場合ではないのである!


 ネット上でも散見された声ではあるが、「タイガがあのタロウの息子である必然性がない」とされてしまったほどに、この魅力的な設定は結局はほとんど活かされることがなかった。
 自身の因縁の敵であるトレギアを息子のタイガが苦労の末にようやく倒したのだから、せめてタロウが「よくやった。さすがわたしの息子だ」などと云って、ウルトラサインでタイガを誉(ほ)め称(たた)える描写くらいは入れるべきではなかったか? 先述した映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』のラストシーンでも、戦闘中に亡くなったと思われたウルトラセブンがゼロの前に現れて、見事にベリアルを倒したゼロを「さすが、オレの子だな」と称えたあげくに抱きしめる場面があったくらいなのだから。
 まぁ、そんな描写は2020年3月6日公開予定の映画『劇場版 ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス』(20年・松竹)に期待すべきなのかもしれないが。ちなみに最新の予告編によれば、テレビシリーズの最終回で死んだように見えたトレギアは実はしぶとく生き残っていたことが判明している(笑)。


 いや、それ以上に、『タロウ』最終回(第53話)『さらばタロウよ! ウルトラの母よ!』に登場した宇宙海人バルキー星人を再登場させることで――アトラクショー用の着ぐるみの流用だろうが『ウルトラマンメビウス』第16話『宇宙の剣豪』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060928/p1)でも同族の別個体が登場、『ウルトラマンギンガ』前半でもまた別の個体がレギュラー悪として登場している――、その因縁の敵を相手に、巨大化しているバルキー星人をタロウの力を捨ててあくまでもひとりのナマ身の人間としての才覚と力だけで倒してみせた(!)『タロウ』主人公こと東光太郎(ひがし・こうたろう)を篠田三郎(しのだ・さぶろう)氏(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071118/p1)が再度演じて(!)、東光太郎が並行宇宙を越境してきて闇堕ちしたタロウを救うこととなる展開を、望みウスでも個人的にはおおいに期待したいものである(笑)。

2020.1.12.


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2020年冬号』(20年2月9日発行)所収『ウルトラマンタイガ』終盤合評4より抜粋)


ウルトラマンタイガ』最終回間近、迫る地球の危機

(文・中村達彦)
(2019年12月14日脱稿)


 『ウルトラマンタイガ』(2019年)も2019年12月が最終回。その展開は近年の「ウルトラマン」シリーズの中でもややハードだ。

第21話「地球の友人」


 民間警備組織E.G.I.S.(イージス)に入社したい青年・田崎修がやって来る。第18話「新しき世界のために」の宇宙恐竜ゼットン襲撃で、母親を負傷させられた修は、宇宙人に異様な敵意を抱いており、カナ社長は修の態度に危惧しつつ彼を仮採用するのであった。主人公青年・ヒロユキやホマレ隊員は修に研修を行い、それにはE.G.I.S.に支給されたばかりの宇宙人識別装置・CQの使用法も含まれていたが、修はCQを持ち出してしまう。彼の背後には霧崎(悪のウルトラマンことトレギア)がいた。
 霧崎に導かれて修は市民に交じっている幽霊怪人ゴース星人を発見し電磁警棒で痛めつける。ゴース星人は駆け付けたホマレを翻訳機代わりにして、修とのコミュニケーションをとり敵意のないことを示すが、修は聞く耳を持たない。
 一方、霧崎はヒロユキと対峙し、挑発する口調でタイガのことをジグソーパズルになぞらえる。そのうちにゴース星人の飼っている双頭怪獣パンドンが山中から出現する。ヒロユキはタイガに変身して対峙する。火炎を吐き岩石を投げつけて対抗するパンドン


 拘束されたゴース星人はパンドンが暴れている理由は親代わりになっている自分を助けたいからだと言う。その様子に母を案じる自分と重ねて心を動かされた修は、ゴース星人のいましめを解いてタイガへ戦いの中止を訴える。
 しかしトレギアはパンドンを切り裂いて一瞬にして絶命させてしまう。そしてタイガから強化変身したトライストリウムの攻撃をかわしながら自分の真の狙いを明かす。ゴース星人の円盤には地底ミサイルが搭載されており、その地底ミサイルを手に入れるためにゴース星人を引き離す。修は利用されていたのであった。
 トレギアは去る前に地底ミサイルを発射する。ミサイル発射で地底から放出された地球や天体を構成する超物質・エーテルを目当てに、ナゾの存在が地球に接近してくる。
 パンドンの墓を作ってあげたゴース星人に謝罪をする修。それを許す星人。そして修は母の看病のこともあって、E.G.I.S.を退職するのであった。


 『ウルトラセブン』(1967年)第48&第49話(最終回)「史上最大の侵略」前後編に登場したゴース星人とパンドンが登場する。『ウルトラマンタイガ』第18話も関係している。しかし題材から当初想像していたストーリーとは異なっていた。『ウルトラセブン』では侵略者であったゴース星人が、パラレルワールドとはいえ『ウルトラマンタイガ』では善良な宇宙人として描かれた。霧崎からの地底ミサイル使用の依頼も断っている。力づくで地底ミサイルを奪えばよいのに、修を利用しようとするあたりは霧崎らしい。だがこのゴース星人はなぜ地球に来ていたのだろう? そこが語られなかったのは残念である。
(ゴース星人といえば、30年前に『ビッグコミックスピリッツ』に連載された漫画家・澤井健による『表萬家裏萬家(おもてまんけうらまんけ)』(1989)第1巻後半に、「史上最大の侵略」に登場したウルトラセブンそっくりのセブンの上司こと「セブン上司」のパロディと共に登場していた・笑)


 前話である第20話「砂のお城」で登場したCQが配備されており、その回でカナ社長が心配していた事態になってしまった。地球人の友情で物語は締めくくられたのが救いである。しかし第18話のゼットン出現の正確な経緯をホマレやヒロユキは修に説明したのか、それが明かされなかったことは残念である。本話と第18話に似た姉妹編的なエピソードは、『ウルトラマンタロウ』(1973年)の第5話「親星子星一番星」と第38話「ウルトラのクリスマスツリー」が姉妹編になっていた前例もある(ウルトラ兄弟が助命したほどの善良な亀怪獣の美談の裏にも怪獣災害にあった被害者がいたという話)。本話の脚本を執筆したのは、本作第11話「星の魔法が消えた午後」~第12話「それでも宇宙は夢を見る」の前後編も担当していた小林弘利
 そしてトレギアの計画も明かされた。親切そうに修に接していたが、実はそれは地底ミサイルを奪うためであった。地球から放出された超物質・エーテルに導かれて迫るもの、それは第19話でピリカの奥に霧崎が見たものであった……。


第22話「タッコングは謎だ」


 夜、本部でTVの前で語らっていたE.G.I.S.メンバーは、埠頭に怪獣が上陸したと知る。飛び出すヒロユキ。ウルトラマンタイガ・ウルトラマンタイタス・ウルトラマンフーマへと次々変身してそれぞれで対するが、戦意はないものの吸盤や石油で対抗する怪獣に次々に撃退されてしまう。翌日、怪獣は埠頭で眠り続けている。ヒロユキは出会った少年シンジに、そのオイル怪獣タッコングは凶猛怪獣ギーストロンを鎮めるために現われたが、タッコングは老いているとのこと。更にシンジはヒロユキとウルトラマンたちの関係についても知っており助けを求める。
 ヒロユキが事の次第が呑み込めないでいるうちに、地面を貫いてギーストロンも姿を現わした。眠っていたタッコングは目を開け、全身にツノを張り巡らせたギーストロンに立ち向かう。ヒロユキもタイガに、次いでトライストリウムに変身して、タッコングと共同でギーストロンに戦いを挑む。ウルトラマンと怪獣が共に戦う!
 ギーストロンからレーザーを受けるが、タッコングはその巨体をジャンプさせ、続いて口から吐く炎で全身を包んで体当たり攻撃! 同時にトライストリウムも攻撃も浴びせかける。ギーストロンを倒したあと、夕焼けの海へ帰っていくタッコング。その背中にはシンジの姿があった。
 その後、ヒロユキは宇宙から迫る何かを感じていた。


 タイガと『帰ってきたウルトラマン』(1971年)に登場した怪獣タッコングの共闘が描かれた。『ウルトラマンタイガ』の傑作話のひとつに数えられるであろう。『セブン』のペロリンガ星人が登場した第6話や『帰ってきた』のナックル星人が登場した第10話とも比べてしまう。
 怪獣アーストロンに類似したギーストロンの登場や、『帰ってきたウルトラマン』のBGMの使用など、タッコング登場回と同じ演出も見られる。本話は『帰ってきたウルトラマン』第1話へのオマージュが強い話だが、シンジ少年の立ち位置は『ウルトラセブン』第42話「ノンマルトの使者」に登場した真市(しんいち)少年とも重なる。ふたりを対比させると、シンジの方がヒロユキたち地球人に理解を示していて好感が持てるのだが。
 タッコングもギーストロンも地球人の環境破壊に怒りを感じているとシンジを通して語られている。ラスト近くで、ヒロユキも環境問題に前向きである様子にシンジは安心しているが、現在も日本内外で環境破壊が問題になっていることも思い浮かべてしまう。それがスタッフの狙いでもあるのだろう。
 人々が宇宙人のことを、続いて怪獣のことを、各々TV番組での街頭インタビューで否定的に語って、それにヒロユキやホマレが反応を見せるシーンがあるが、我々が日々感じていることと相通じている。


 特撮面では後半の戦いにおけるギーストロンのレーザー照射や、タッコングとトライストリウムが両者ともに全身火炎状態になって突撃するタロウの必殺技・ウルトラダイナマイトを模した攻撃描写に力が入っている。街のミニチュアセットにタコがモチーフの怪獣タッコングが登場しているせいか、たこ焼き屋や公園のタコ型すべり台などタコも強調されている。第20話での「タイ焼きが好きでタコを食べない」描写を念押しするように、ピリカがタコの玩具を見せホマレが嫌がるシーンもあった(笑)。


第23話「激突! ウルトラビッグマッチ!」


 ウルトラマンタイガやウルトラマントレギアのために地球侵略ができない宇宙人たちの前に第15話にも登場したチブル星人が再登場して、ベリアル因子を使って悪のウルトラマンであるベリアルを復活させようと提案する。最強のウルトラマンベリアルを我々宇宙人たちが倒せば、光の国も手が出せないと言う。宇宙人たちはその案に乗る。
 市街に姿を見せるニセウルトラマンベリアル。ヒロユキはE.G.I.S.を脱け出し、タイガに変身してニセベリアルに対抗するが、偽者とはいえ強い戦闘力を持つベリアルはタイガやタイタスをものともしない。霧崎もウルトラマントレギアに変身して戦いに加わり、チブル星人はベリアル因子を注入してニセベリアルを狂暴化させる。激化する戦い。トレギアの策略でニセベリアルは宇宙人たちのいるビルを破壊してしまう。強化形態フォトンアースに変身したタイガも苦戦する。だがベリアルの攻撃からタイガを救ったのは、ベリアル因子を追って現われたウルトラマンゼロであった!
 タイガは強化形態トライストリウムに変身してゼロと共にベリアル・トレギアと戦う。ゼロとトレギア、超高速でパンチを浴びせ合う。互いに光線を撃ち合う4人のウルトラマン。タイガはゼロから与えられたブレスレットであるプラズマゼロレットでタイガダイナマイトシュートを発射する。トレギアに盾にされてニセベリアルは消滅する。ゼロは手の上でヒロユキを介抱し言葉を交わしたあと、別のベリアル因子捜索のために地球を去っていく。
 だが、ゼロの攻撃を逃れたトレギア=霧崎は宇宙へ視線を向けていた。


 本話の見どころは、タイガとゼロの共闘である。昭和のウルトラシリーズを彷彿させるが、当時の多くはただの顔見せに過ぎなかったウルトラ兄弟の客演に比べて、ゼロの活躍が相応に描かれている。
 今年2019年はゼロとベリアルが初登場してからちょうど10年。その再登場は嬉しい。ちなみにゼロはウルトラセブンの息子、タイガはウルトラマンタロウの息子だが、むかしの小学館学年誌などのでの設定によると、ウルトラの母の姉はウルトラセブンの母だから、タイガとゼロは「はとこ」の関係になる。
 宇宙人たちの会話やゼロの発言で、本物のベリアルは既に前々作の最終回でウルトラマンジードに倒されていることにもきちんと触れている。第15話「キミの声が聞こえない」で登場したチブル星人マブゼも再登場。ベリアル因子でベリアル・レッドキングゴモラを融合させたスカルゴモラを作った設定を生かしてニセベリアルを登場させたが、納得できる展開である。
 イベント性の高い熱血の共闘話ながら前半はギャグ話でもあり、初代『ウルトラマン』(1966年)第18話に登場した凶悪宇宙人ザラブ星人、『ウルトラセブン』第4話に登場した反重力宇宙人ゴドラ星人、『ウルトラマンマックス』(2005年)第4話(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060311/p1)に登場した高速宇宙人スラン星人が集まって(皆、人間への変身能力を持った宇宙人だ!)、ウルトラマン対策を話し合うシーンには笑ってしまう(深夜の特撮コメディ番組だった『ウルトラゾーン』(2011年)か?)。
 E.G.I.S.も個々の隊員たちの活躍を描きつつ、ランチ選びにも熱心で、続いてTVに映ったベリアルの姿を「カッコ悪い……」と評するなど普段の緊張感がなく、ギャグ的に演出されている(このシーンに登場するインスタントラーメンの商品名は、過去のウルトラシリーズ作品でウルトラマンゼロと合体したことがある人間たちの名前になっている(笑)。ちなみに2012年の映画『ウルトラマンサーガ』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140113/p1)でゼロに憑依されたのはDAIGO演じるタイガ・ノゾム隊員)。
 宇宙人たちはそれなりに作戦を考えてはいるが、チブル星人の方はベリアルを復活させたのは良いけど、その後どう扱うのかは考えていないようだし、ザラブ星人やゴドラ星人は『タイガ』とは別作品での個体だったが、利用しようとしていたベリアルに瞬時に倒されたことがあるのを忘れていてマヌケとして演出されている(笑)。結局、トレギアの策略により自分たちが生んだベリアルに、彼らが潜伏していたビルに突っ込まれてまとめて落命してしまった。
 その寸前にチブル星人が「チブルの科学は宇宙一~~~!!」という大人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険』(1986年~)で聞いたような台詞を口にするのには笑ってしまう。


 トレギアは自分のゲームに熱心で、タイガやヒロユキに比べて偽者のベリアルやゼロの方には関心がない。ビルの上に乗っかって戦いを見ているシーンもある。そしてゼロもベリアルを倒したあと、すぐに別の平行宇宙へと去ってしまうが、もう少し滞在していてもよかったのでは? プラズマゼロレットは返却せずにまだタイガが持っているのだろうか? もうすぐこの世界の地球にもトレギアが呼び寄せた大いなる脅威が訪れるのだからこの武装は必要である。ゼロとタイガは10年ぶりの再会だそうだが、光の国のウルトラ一族たちはこの別の平行宇宙にいるタイガの所在がわかっているのだろうか?


 そしてこの次の回では、いよいよトレギアが招いた大いなる脅威がその姿を見せる……。


第24話「私はピリカ」

(以降、2020年2月8日脱稿)


 地球に迫ってきていた大いなる脅威が遂に埠頭近くの海に降りてくる。その衝撃に晒されるE.G.I.S.基地でピリカは失っていた記憶を取り戻した。カナ社長はホマレとヒロユキに7年前に宇宙から飛来したアンドロイドであったピリカとの出会いについて明かす。ピリカの正体についてはショックだが、ヒロユキに憑依している3人のウルトラマンたちもピリカが地球人ではないことに今まで気づかなかったのだろうか?(笑)
 外へ出たピリカだが、地球人としての意識も失ってはいなかった。そして霧崎は『ウルトラマンオーブ』(2016年)や『ウルトラマンジード』(2017年)、そして『劇場版ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりしますす!』(2017年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200406/p1)や『劇場版ウルトラマンジード つなくぜ!願い!!』(2018年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180401/p1)にも登場したロボット怪獣であるシビルジャッジメンター・ギャラクトロンMK2(マークツー)を繰り出してきた。ヒロユキはタイガに変身して戦いを挑み、プラズマゼロレットの力を使って額からウルトラセブンの必殺技エメリウム光線と同様の光線を放つ。


 だが、必殺技が強敵を撃破するより先に、地下から現われた宇宙爆蝕怪獣ウーラーがギャラクトロンを食べてしまう! タイガは強化形態トライストリウムに変身してウーラーにあたるが、長剣トライブレイドやエネルギーすら食べてしまうウーラーになすすべがない。
 ウーラーは宇宙のある文明が宇宙にゴミの廃棄を続けた結果、生まれた疑似生命であり、体内にブラックホール(!)を持つ。更にビルを食べ続けて、このままでは地球という惑星自体が食べられてしまう!
 その頃、ピリカはヴィラン・ギルドのアジトに向かい、地球から逃走しようとする宇宙人たちからコントロール装置を奪って操作する。自分にはウーラーを止めることができるとわかっていたのだ。
 アジトへ駆け付けたカナ社長やホマレ・ヒロユキらの説得を振り切り、自らの身をウーラーに突入させるピリカ。直後に外へと駆け出すヒロユキ。


 第19話や第21話でトレギアが仕組んだ計略は、地球にウーラーを呼び寄せることだったことが明らかになる。ピリカの正体も明かされて話は盛り上がるが、取ってつけた感もある。
 ウルトラシリーズにおけるアンドロイドの存在は、『ウルトラマンマックス』の女性ロボット隊員・エリーや『ウルトラマンギンガS(エス)』(2014年)でレギュラー敵のチブル星人が造ったアンドロイド・ワンゼロなどの前例がある(後者は改心して怪獣攻撃隊の隊員になる)。ピリカも宇宙人に作られたアンドロイドで、7年前にカナ社長に拾われたと明かされるも、それを裏付ける台詞やシーンはこれまでになく(コンピューター操作に優れているくらいか?)、伏線が語られて来なかったのでピンと来ない。
 第13話などでウルトラマンたちはピリカが地球人ではないと気付かなかったのか? 第23話ではたしかにひとり、ランチをめぐるジャンケンに加わっていなかったが遅すぎる。その前から皆と物を食べるシーンはなかったのか?
 今までは記憶を封じられていて、怪獣ウーラーが地球に飛来したから、アンドロイドとしての記憶に目覚めたわけでもなかった。本話で街をさまよっていたピリカは霧崎と出逢い、第19話では一方的に圧倒されていたのと違って、今回のピリカは霧崎に言い返してもおり、彼を苛立たせてもいるが、スカッとさせる半面、唐突すぎる変化でもあるから、キャラクターの不統一を感じてしまう。


 トレギアの策略も今までの陰険さから比べれば、実際にその策略の正体を見せられると内容が小さく感じられてしまう。もっと別にタイガを追い詰める方法があったはずだ。とはいえ霧崎は、先にギャラクトロンを送り込んでタイガと戦わせると見せかけて、実はウーラーに食わせることで、その威力やそれまでの作品のボスキャラとの違いを視聴者にも見せているが。
 宇宙に棄てられたゴミから生まれた疑似生命・ウーラーの設定は、母星に見捨てられた者の復讐を描いた第3話や環境破壊ネタの第22話も反映しているのだろうか? グロテスクなデザインが効いている。


 悪い宇宙人たちの犯罪集団であるヴィラン・ギルドは、


・『ウルトラマンレオ』(1974年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)や『アンドロメロス』(1983年)に『ウルトラマンメビウス』(2006年)、『ウルトラマンギンガ』(2013年)や『ウルトラマンX(エックス)』(2015年)に本作『タイガ』第1話にも登場してきたサーベル暴君マグマ星人
・『ウルトラセブンX(エックス)』(2007年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080413/p1)第3話や『ウルトラマンX』第14話にも登場してきた宇宙商人マーキンド星人


 などが登場するが、ピリカやE.G.I.S.の面々に圧倒されており、本来の悪人面を発揮できていない。ギャグキャラになっている(しかもそのギャグキャラを最終回まで引っ張るとは)。反面、ピリカに思いとどまるように説得するカナ社長・ホマレ・ヒロユキの様子には迫力ある。


第25話「バディ ステディ ゴー」


 タイガは再びウーラーに対するが、光線エネルギーすら食してしまう怪獣ウーラーにまたも敗れ去る。そのヒロユキへと歩み寄る人影。人々はウーラーの出現を地球に居住している宇宙人たちの仕業だと思い込む。一方、E.G.I.S.のカナ社長やホマレに佐倉警部は、ウーラーの体内に入ったピリカからのメッセージをキャッチする。それによると、ウーラーには悪意はなく、ただ怯えているだけだという。そこへヒロユキが戻ってきて、同行したヴィラン・ギルドのマグマ星人やマーキンド星人がピリカの行動に感動して力を貸してくれることを伝える。マグマ星人の円盤に搭載されたマグマウェーブでウーラーを地上に引っ張り出し、タイガの力で宇宙へと放り出す作戦になる。その会話内容から、やはりE.G.I.S.メンバーはヒロユキとウルトラマンタイガの関係にすでに気づいていたことが判明する。
 ホマレとマグマ星人が操縦する円盤から発するマグマウェーブで地表に出てきたウーラー。そこへタイガが飛びかかるが、群衆の慌てる様子を見ていた霧崎もウルトラマントレギアに変身して割って入る。ウーラーを叩きのめすトレギア。その時、崩落してきたガレキから宇宙人排斥デモをしていた地球人を守ってみせる潜伏宇宙人たち。
 その後、トレギアに空へと飛ばされたタイガのブレスレットであるプラズマゼロレットがウーラーを宇宙へ。その時に地球を覆った輝きのあと、トライストリウムとトレギアとが戦う。その戦いの中で遂に「タロウの息子」であることを受け入れたタイガ。最後にタイタスとフーマ、そしてヒロユキの力を合わせた必殺光線・クワトロスクワッドブラスターが放たれて、トレギアは爆発の炎に飲み込まれていく……。
 地球は救われた。戦いのあと、佐倉警部にも認められてE.G.I.S.に入社するマグマ星人とマーキンド星人。続いてウーラーの体内から実は脱出ができていたピリカが姿を見せて物語は終わる。


 敵対していたヴィラン・ギルドのマグマ星人たちとE.G.I.Sの共同作戦、加えてラスボスのような怪獣を倒さずに地球を救ってみせるのは歴代ウルトラシリーズになかった展開でもある。トレギアとの戦いではタイガが「タロウの息子」であると受け入れたことに加えて、タイタスとフーマもそれぞれが初登場した第3話と第4話でトレギアに翻弄されていたのに、今回はトレギアを大いに苦戦させたのには、それぞれの成長を感じさせてくれる。
 そしてトレギア。大空に広がった輝きの美に思わず見とれてしまって、タイガにそのことを突っ込まれてしまう。直後に笑い出してタイガに敵対したが、一瞬改心しかけたのか否かについては、視聴者それぞれの想像と今後のウルトラシリーズでの展開に任せるしかないだろう。トレギアを注意して見てみれば、顔面のあちこちにまだウルトラ一族の名残りを感じさせてくれる。さすがに今までの悪行を考えると仮に改心したとしても簡単には受け入れられない。一方、以前にヒドい目に合わされたのにも関わらずトレギアをも許してみせるような態度のタイガには人格的な器量の成長を感じさせてくるが……。


 前作『ウルトラマンR/B(ルーブ)』(2018年)最終回ラストの主人公兄弟の妹・アサヒ同様、ピリカがなぜ助かったのかが描かれなかったことについては疑問に残る。それと『ウルトラマンX』最終回のように、E.G.I.S.隊員たちとタイガら3大ウルトラマンたちが遂に最後に言葉を交わしあうようなシーンが観たかったのだが。
 マグマ星人たちもE.G.I.S.に入社した。『ウルトラマンタイガ』においては作品テーマ的にも「地球人と宇宙人の共存」を示しているシーンとして許容されるが……。次作では宇宙人たちとの関係描写はどうなるのだろうか? 欲を言えば、『ウルトラマンタイガ』にこれまでゲストで出演した宇宙人役の役者さんたちにも最終回で再出演してもらうかたちで、戦いに巻き込まれた地球人を助けるシーンを作ってもらいたかった。


第26話(最終話)「そしてタイガがここにいる」


 最終回だが総集編であり新作ではない。実質的な最終回である前話の時点で来春2020年3月に公開される映画『劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス』の予告編が流れて、この劇場版がTV最終回の後日談であり、E.G.I.Sの活躍や真の最終回である前話で死亡フラグが立っていたピリカの姿も確認できてしまっていたが、先にネタ晴らしをしてしまうようで面白さが半減した。予告編は今回の本当の最終話の方で流してほしかった。
 しかし、2013年の『ウルトラマンギンガ』からの歴代主人公たちが勢ぞろいするのにはシビれる。TV最終回で死んだように見えたトレギアがまだ生きていて、この劇場版でも敵役になることは紛れもなくなったが。



 総体的には『ウルトラマンタイガ』は全体としては、前作『ウルトラマンR/B』よりもハードな作品カラーであった。ここ数年のウルトラシリーズは昭和の旧作オマージュや旧作エピソードの変形後日談のような作品も多く、むかしの怪獣や宇宙人に寄り掛かっている感は否めないのだが、同時に現代社会に通じる問題を描いてみせていた。奇しくも本作最終回の直後の2020年1月に亡くなられた脚本家・上原正三のテイストを多く含んでもいる。果たして上原氏は『ウルトラマンタイガ』を観ていたのであろうか? とはいえ、上原テイストとは真逆かもしれない『ウルトラマンタロウ』テイストを含んだエピソードなども観たかったものだが。
 ヴィラン・ギルドの犯罪者宇宙人たちをはじめ、それとは別に地球に移民として住んで生活している宇宙人たちの事情についても、もう少し説明してほしかった。2014年の『ウルトラマンギンガS』以来のウルトラシリーズでは地球人に扮装して生活している宇宙人たちについてもたしかに描いてきており、今回の『ウルトラマンタイガ』ではそれらをより突っ込んで描いた作品であったとも捉えることができるが。地球で暮らす宇宙人たちとの共存は、次作以降のまた異なる平行宇宙が舞台となる『ウルトラマン』シリーズでも認められている設定になるのであろうか?


 ヒロユキはその前向きさと勇敢さは主人公としては申し分がない。しかし、E.G.I.S.の面々や霧崎の方も個性が出ていた。E.G.I.S.も一見は地球人でもその正体は宇宙人にアンドロイドなど、出自の違う者が集まって作られた組織で、予算や装備もなく怪獣と戦わない優しい民間企業の防衛チームとして、霧崎もまた主人公と相対するライバルキャラクターとして最後まで描かれ切っていた。
 ウルトラマンウルトラマンタイガの他にも、ウルトラマンタイタス、ウルトラマンフーマ、そしてタイガ強化形態フォトンアース、タイガ強化形態トライストリウムと5体も登場した。玩具を売る必要もわかるのだが、2クールしかない作品としては数が多すぎないだろうか? タイタスとフーマは、昭和の光の国出身のウルトラマンではない。しかし映像本編ではそのへんの説明があまりなされていない。1話分をまるまる費やしてタイガ・タイタス・フーマの3人の出会いとトライスクワッド結成を見せる番外編的なエピソードなども観てみたかった。


 果たして次作以降の『ウルトラマン』はどういうかたちになっていくのだろうか? その敵役はトレギアなのだろうか? 注視していきたい。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2020年冬号』(20年2月9日発行)所収『ウルトラマンタイガ』終盤合評2より抜粋)


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