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ウルトラマンUSA 〜日米合作80年代アニメ!

[ウルトラ] 〜全記事見出し一覧


 名画座・銀座シネパトスにて、『ウルトラマンUSA』(87年アメリカ・89年日本公開)を含む『ウルトラマン大会(フェスティバル)』(89年4月28日公開・初代『ウルトラマン』『ウルトラマンエース』『ウルトラマンUSA』の3本立て)が2010年8月21日(土)〜8月27日(金)までリバイバル上映記念!


 ……とカコつけて(汗)、映画『ウルトラマンUSA』評を発掘UP!

ウルトラマンUSA』の日々の過去と未来

――肩の力を抜いて観られる佳作から汲み取れるもの


(文・T.SATO)
(06年12月執筆)


 1989年の映画公開より17年ぶりの再視聴
 (もう17年も前の作品なのかと思うと……・汗)。


 大銀河。
 カメラがパンするとカラフルなガス星雲の中心に光が輝く!
 セル画ではない背景美術絵で、スキマだらけの地殻だけ、中は空洞、核を中心に水晶状の直方体が四方に伸びていて、かつ回転している不気味な小天体(惑星ソーキン)が出現!
 いわゆるコンドラ撮影で小天体はカメラの側へと接近し、月をかすめて太陽を背にした地球に粛然と落下していく……。


 荘厳だったシンフォニーも徐々に高まりだして、赤や黄や橙(だいだい)色のセル画で描かれた太陽表面と、天高く燃え盛っては消えていく太陽フレア(炎)もUPに、


 ♪ ズ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン。


 『ULTRAMAN THE ADVENTURE BEGINS』


 のタイトルが!


 カッチョええー!!


 引き続くOP(オープニング)テロップでは、同じガス星雲から3つの光が飛び出すさまと、小天体が四散しながら北米大陸の各地に落下していくさまが描かれる……。


 センスのイイ開幕だ。 


  
 『ウルトラマンUSA』(87年アメリカ放映・89年日本公開)。
 89年といえば、時代はもう平成元年。
 若い読者にとってはともかく、すでに成人した直後くらいだった(汗)筆者にとっては、つい最近のことのようでもあり……同時にやはり随分とむかしのようでもあり。
 とはいえやはり17年も前だから、本作を思い返したことも、ビデオで見返したこともなかったがために(本作をキライだったから、ということではないですヨ・汗)、記憶の細部はそーとー忘却されていた。


 同時上映の初代『ウルトラマン』(66年)と『ウルトラマンエース』(72年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070430/p1)は、『USA』の前座だったか後だったか?
 ――今回、特撮同人仲間数名に聞いて、『マン』『エース』は前座だったことを確認。各作の合間にデフォルメ・ファンシーキャラ『ウルトラマンキッズ』(86年)のアニメによる牧歌的な数分のコントと各作ごとの紹介があったことは記憶していたが。
 あと、『マン』『エース』と『USA』の合間に休憩はあったっけか?(汗) 後日付記:休憩時間はありました――



 ウルトラマンの世界進出!
 我らが物心ついた幼児のころから、リクツ抜きで大スキであった『ウルトラ』シリーズ。
 しかしてオタク文化がそれなりの市民権を得る以前は、子供心にもいつかは卒業しなくては、という淋しい気持ちや焦りの気持ちも心の隅にはあったものだ(少なくとも筆者には)。
 だがしかし、時代の転機は70年代末期に訪れる。


 ところで、子供だけでなく若者、いわゆる団塊の世代
 ――終戦直後の1940年代後半(昭和20年代前半)生まれ。76年に官僚上がりの経済評論家・かの堺屋太一センセイが命名――
 がマンガを読むようになるのは、それをさらに遡ること約10年前の60年代末期だったそうナ。


 そして、団塊の世代からさらに10歳強下、創刊したばかりの週刊少年マンガ誌やTV放映開始直後のアニメや特撮番組に怪獣映画で幼少期から育ってきた世代、60年(昭和35年)前後生まれのいわゆる新人類・オタク第1世代が勃興。
 イイ歳こいてそのテの趣味をスキだと公言、ヤングアダルト向けの資料集やムック、専門誌が創刊され始めた時代が史上初めて到来した時代が70年代末期であったのだ!


 加えて、海の向こうでも、日本よりも30年は歴史が長いジャンルで育った世代が社会の上層部に達し、映画の企画の主導権を握ったのか、ヒーローや怪獣に宇宙船といった、元来は子供がワクワクする要素を多少ハイブロウ(笑)にした程度の、しかして当時としては前時代と比して映像的には圧倒的・隔絶的な進歩を遂げて、合成映像だとわかっても本物にしか見えなかった(笑)『未知との遭遇』(77年)・『スター・ウォーズ』(77年・78年日本公開)・『スーパーマン』(79年)などのカネをかけた本格的なSF特撮映画が舶来してきて国内でも大ヒット!


 個人的なことを云えば、筆者自身はオタク第1世代のさらに10歳弱下のいわゆるオタク第2世代にあたり、当時は小学校高学年であった(とはいえ、その世代ももう四十目前だが・汗)。
 そんな筆者でも、1世代上のマニアたちの姿を見て、


 「大きくなっても、怪獣やヒーローにアニメを卒業しなくてもイイ!」


 「ボクたちの感性が世の中に認められる時代がやってくる! 時代が変わる!」


 との束の間の輝きとコーフンを味わったものだった……。


 日本のアニメジャンルについては、『宇宙戦艦ヤマト』(74年TVアニメ・77年に劇場アニメ化)シリーズに『銀河鉄道999(スリーナイン)』(78年TVアニメ・79年に劇場アニメ化)などの各々(おのおの)の劇場版の大ヒットによって、あの時点ですでにある程度の市民権を得ていたといってもよかったが、残るは日本特撮のことである。


 ハリウッドばりの本格特撮で、『ゴジラ』や『ウルトラマン』が製作されて大ヒットを飛ばして、市民権を獲得し、それらをジャリ番と見下していた世間や父母の世代を見返して一泡をふかせる(笑)。
 そんな期待をいだいた前だか後だか順序は忘れたが、第3次怪獣ブーム真っ只中の79年春に発行された某ムックの立ち読みであったと思う。


 円谷プロアメリカで『ウルトラマン』を作ろうとしている!
 向こうのプロダクションに600万だか800万ドルだかの大金を寄付した! との記事を眼にして大コーフンしたのは……。


 その書籍だったか後年の書籍の記憶とチャンポンかもしらんけど、USA版『ウルトラマン』は今から数世代先か数十年先だかの近未来で、宇宙ステーションやらスペースコロニーという舞台背景をバックに活躍するウルトラマンでうんぬんかんぬん!(記憶間違いがあったらゴメン・汗) との記述を読んで、またまた妄想炸裂!


 超未来的ハイテクメカがハイスピードで宙を舞い、煙が上にのぼらない(笑)見事な無重力状態での合成爆発も見せつけてくれる本格的宇宙特撮の『ウルトラマン』が、ハクをつけて凱旋帰国を果たして、洋ものSF大作と同程度のステータスで流通・受容をされる……。


 今から思えば、それは半面、「おフランスざ〜ます」的な属国・植民地の民の権威主義的・奴隷根性的な卑しい心根(こころね)だよなぁとの自己ツッコミもできちゃうのだけれども(汗)、そんなジャンルの未来を少年は夢見たものだった。



 89年といえば、そんなジャンルマニア勃興、ジャンル評論草創期の70年代末期からも約10年後。
 それからさらに17年が過ぎてみれば、その10年なんて今にして思えばアッという間の短いものだし、その逆に歳若い読者にとっては、もう89年という狭間の時代(?)の空気・フインキ・イメージがわかないかもしれない。
 ふりかえれば、世はまさにイッキイッキの空騒ぎ狂躁バブル景気の真っ盛りであった。
 それに反して、特撮(特撮映画)は90年代前半に大ヒットする平成『ゴジラ』シリーズも未だきの冬の時代。


 しかし、70年末期〜80年代末期に至るまでのオタクジャンルの10年間の変化と断層・断絶・断念、そして反省、価値観の新展開には大なるものがあったと思う。
 そのことについてはおいおい後述していこう。



 かくして10年を経て実現したUSA版『ウルトラマン』は、当初いだいた妄想とは、大幅に天と地ほどにも異なっており(笑)、なによりもアニメ作品であった。
 一応のオトナになっていた(?)筆者も、ジャンル評論の思春期とでも称すべき時期を過ぎて、イイ意味で成熟、スレはじめていた特撮マニア連中にも、本作はヒステリックな反発を受けることもなく(まぁ一部にはあったんだろうけど)、静かに自然体でその存在を受容されていたとの印象がある。


 もちろんコレには、第3次怪獣ブームの時代にTVアニメの『ザ☆ウルトラマン』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100430/p1)がすでに存在したこと。
 さらには特撮でいえばマニアによるリアル&シリアス志向のムーブメントの末に復活した新『ゴジラ』(84年)の不発(本作を評価する方々には申し訳ないが)。
 『機動戦士ガンダム』(79年・81年に劇場公開・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990801/p1)以降のいわゆるリアルロボ作品の隆盛とそのマニア向け志向の限界、客層と作劇の袋小路化などなど。


 加えて82年秋以降、平日お昼のTV番組『笑っていいとも!』で司会のタモリが大流行させて、若者間で大流通したいわゆるネアカ・ネクラの乱暴な二分法。
 しかして半面やはり確実に存在する(笑)、ジャンル趣味に拘泥するような人種の人格類型の世間への暴露。


 それらを当時のマニア人種の過半が明晰・明快に言語化して自覚していたかは別として、漠然とはドコかで感じはじめていたがゆえに、それらから総合的に醸成された空気によるジャンルとジャンル作品とジャンルファンである我々自身に対する価値判断なども含めての、『USA』に対してのヒステリックではなく静かなる受容があったとは思うのだ。


 ジャンルの未来への期待と挫折。
 そしてジャンルを勃興させるリアル&シリアス&本格志向が唯一絶対の道であったのか? という反省。
 荒唐無稽や単純明快やカタルシスに稚気ある路線への再評価、およびその豊穣たる可能性。


 ……まぁそーは云っても、リアル&シリアス&本格志向の価値観を変えなかったヒトたちもそれ相応に多数存在したからこそ、90年代前半の平成『ゴジラ』シリーズに反発して、90年代後半の平成『ガメラ』や平成『ウルトラ』3部作(https://katoku99.hatenablog.com/archive/category/%E5%B9%B3%E6%88%90%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%A9)が作られたり相応の人気も特撮マニア間で集めたワケなのだから
 ――『ガメラ』の配給収入自体は『ゴジラ』の約半分に留まり、『ウルトラ』も視聴率基準で15%に達せんとしていた90年代前半の東映メタルヒーローレスキューポリスシリーズの域に達したワケでもないが――、
 自分や自身の周辺の価値観だけで、時代を語ってもイケナイけれどもネ(汗)。


 
 で、本作『USA』再視聴の感想に入る。


 ウ〜ム、当然ではあるけれど、作画や動きや演出は、すっかり今は昔の80年代アニメの文法になってるなあ(笑)。



 透過光の使い方。


 表面のディテールが細かいメカや人工衛星


 セル画のベタ塗りではなく、光が当たる部分や陰の部分の色を変えて、メカや人物に立体感を与えたり。


 閃光やスパークの表現に、そのタイミングや点滅のメリハリ。


 黒い枠線ナシでの赤や黄や橙のセル画で描かれた燃え盛る炎が素早く……時にタメて逆巻きウズ巻いて。


 爆発や爆煙の表現。爆発はまるい円としても描かれる。


 パース豊かな構図の中で物体が移動するときの誇張も含めての遠近感の出し方。


 コクピットのガラス窓にあたって反射している二条の光。


 ……人間キャラがアメコミ調でバタくさい点のみが唯一、80年代日本アニメらしくないトコロだが(笑)。



 つまり、79年の『ザ☆ウルトラマン』の作画や動きや演出の方法とは大違いなのだ。
 もちろんこれは『ザ☆ウル』への悪口ではない。
 よく『ザ☆ウル』は作画が悪かったといわれるが、初期1クールの作画レベルはスケジュールの余裕もあってかむしろ高い。
 2クール目に入って少し落ちるものの、あの時代の平均的なTVアニメの水準であり、#15『君がウルトラマンだ』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090808/p1)や#19〜21『これがウルトラの星だ!!』3部作中の第1・2部(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090913/p1http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090914/p1)などは最高水準の作画ですらある。


 それより何より『ザ☆ウル』がスゴいのが、ウルトラマンVS怪獣のアクション描写!
 クルクル回転しグルグル転がりヒネりながら飛んでいき……。


 今の世にカット割りや身体のパーツのアップの誇張パースで迫力ある動きを作れる御仁は数あれど、ロング(遠景)の長廻しの1カットのままで、ここまで動かせるアニメーターが現在いるであろうか?


 コレは必ずしも肯定的な文脈での言及ではなかったとは思うけど、本誌『夢倶楽部』VOL.10(97年8月発行)『ザ☆ウル』連続特集第1号での、あまたのアニメで美術監督としても活躍される特撮批評サークル・ミディアムファクトリー主宰の高橋忍氏の寄稿文によれば
 ――アレ、ペンネームによる記事だっけか? …ま、イッか(←オイ〜汗)――、
 当時のアニメ製作会社日本サンライズの第3スタジオには、前年のタツノコ初代社長・吉田竜夫氏の逝去の影響でタツノコプロのスタッフが大量に移籍して来ていたという。


 そう、あのアクションは、今のアニメのアクション演出の文法とは異なるものであり(昔は良かった式の安直な優劣も付けないが)、名作アニメ『新造人間キャシャーン』(73年)や『破裏拳ポリマー』(74年)などにも通じるダイナミックなものなのだ!
 その観点からも『ザ☆ウル』は再評価をされて然るべき。
 ……以上、脱線。



 もちろん『USA』には、『USA』なりの80年代的な独自の良さがたくさんある。
 やはりこのテの作品の華・見せ場である主人公たちの変身、および戦闘巨人たるウルトラマンの活躍・戦闘シーンは、演出も作画もリキが入っていてカッコいい!


 主人公のヤンキーGI空軍野郎のスコットが、ピンチに陥(おちい)るや、のちにセルビデオ特撮作品『ウルトラマングレート』(90年・日豪合作)のメイン楽曲にも流用されるフレーズのハイテンポ版が流れ出す!
 キレイな作画によるバンクセル画となって(ってドコにも流用されてないバンクだが・笑)、戦闘機のコクピット内のスコットの顔がUP!
 両目全体が黄色く光り、顔面に80年代CG調の格子状のマス目が入る!
 宇宙の星空イメージをバックにウルトラマンが力強く大の字に身体全体を開いて、赤い光と化したかと思うと、前面奥の遠方から眼にも止まらぬような早さでグルグル身体をヒネりながら猛迫、ウルトラマンスコットが力強く筋肉とバネを感じさせつつ飛んできて急上昇!


 女性隊員ベスも、コクピット内でそのピンチの顔斜めUPにつむっていた瞼(まぶた)を開けると両目が輝く!
 少し可憐さを漂わすけど勇ましさも感じさせる専用楽曲とともに、ウルトラウーマンの腹部ベルトのバックルの星UPから両腕の甲を楯のように前方に構えた全身ロングの図へと移行。
 上半身や両腕は細くて繊細優美かつ、女性らしさを強調したバストや、下半身で力強さをデザイン的にも担保した腰や太ももがセクシーなウルトラウーマンベスにと変身!
 口がまた口当てマスクの硬質な表現ではなく、唇の表現であるのも女性らしいやわらかさをさらに醸す!


 中年ウルトラマンことウルトラマンチャックは、ムダに回転したりはしないけど(笑)、優雅で重厚な作画とBGMによる変身シーンが、コレまたコレでシブくてイイ感じだ!



 パース(ペクティブ)を出して遠近感を誇張しやすい直方体の建造物が林立するビル街でのウルトラマンVS怪獣のバトル!


 十頭身に誇張せんばかりにウルトラマンの頭の小ささの表現と、下から見上げた下半身のたくましさから来る巨大感。
 素早いポーズで右手から放たれるエネルギー光球や、二連発のまさに八つ裂き光輪(ウルトラスライサー)に、両手を十字に組んで発射される必殺ワザ・グラニウム光線!
 (東映宇宙刑事たちのメタル戦闘服の素材と同じ名前だ)


 描いていたアニメーターもホレてしまったという、ウルトラウーマンベスのボディの端々と、イチイチに色気を感じさせる彼女の戦闘時の手足や身体の仕草!


 ……ってこー書いているあたり、筆者もナンだカンだと認めたくないことだが、アニメの女性キャラ(しかも人間キャラではない)に時たまにセクシュアリティを感じてしまう変態のひとりであるらしい(汗)。


 ところで本作は、実際には86〜87年製作である。
 その後半である87年(ってもう20年以上も前だよ!)の日本では、女性間に今では懐かしのバブルの時代を象徴するワンレンボディコン・メチャスリムの時代が突如訪れ、過剰に細い脚がカッコいいとされて、アニメの女性キャラも肉感的太ももキャラが急減していって嘆かわしいかぎりだったけど、それを考えると本作の製作時期は実にギリギリにセーフだった!?
 (実写版『アンドロメロス』(83年・円谷プロ)の女性戦士アンドロフロルや、映画『ウルトラマン物語(ストーリー)』(84年)のウルトラの母の太ももに匹敵するよ!・笑)。



 いやまぁ、そんなことはドーでもイイですが。


 誇張やメリハリが多いその作画や演出は、70年代アニメとはまた違った次元で、今見ると古さを感じさせるものなのかもしれない。
 が、コレはコレでカッコいい!
 当時、学生時代の小生は、後年と比すれば多少は時間的に余裕があったのか、ビデオでこれらのシーンを何度も何度もくりかえし再生しては観返したものだった(スローでの再生をそれこそ何度も何度も・汗)。


 ……などという発言は前言と矛盾してしまうのだが。


 それは、コレらの変身シーンと怪獣バトルシーンの一部が、映画公開直前だったと思うけど、TBS関東ローカル(?)の当時平日夕方6時から放映されていて主に山本文郎がキャスターを務めていた30分ワクのニュース情報番組『テレポート6(シックス)』(75〜90年)にて、特集が組まれてその映像が紹介されたことがあったからなのだ
 (インターネット上のフリー百科事典で調べると89年の時点では山本はキャスターを降板)。


 本来ならばその録画ビデオ(当時はベータでした)を再視聴して、ここに紹介すべきであるのだが……発掘ができなかったために(汗)、記憶だけでその番組内容をつづっていきたい。



 まずは当然のことながら、当時の円谷プロダクション社長にしてスポークスマンでもあらせられる故・円谷皐(つぶらや・のぼる)氏が登場!
 ――対人関係に不器用な特撮マニア間では、こーいう出たがり喋りたがりで商売人でもあるタイプはキラわれたり憎まれたりしがちだが、この御仁がいなければとっくに円谷プロは倒産して権利関係も分散していたであろう。タイのチョイヨーとの契約ミスの件は置いといて――


 まず、社長がアニメの下請け製作会社(多分、葦プロダクション)におじゃまして(89年の時点では製作はとっくに終了しているが・汗)、セル画とかを番組取材班に見せて、先のアニメーター自身がウルトラウーマンにホレてしまったうんぬんの内幕話をしていたと記憶する(笑)。


 それから、円谷プロ社員にして、ウルトラマングレートや『USA』の3人のウルトラマンのデザインを担当された、やはり皐社長の逝去の翌96年に42歳の若さで肝不全のために物故された、晩年の写真とは異なりいささか不器用そうな若者の吉田等(よしだ・ひとし)氏が緊張の面持ちで登場(合掌)。
 シナリオやイラストに果ては自作着ぐるみを送りつけ、社長に社員に登用してもらった逸話(いつわ)と、もちろん『USA』の3人のデザインが担当できて光栄です、とのコメント映像を取っていた。
 社長は吉田氏を「我が社の財産です」と絶賛。


 あと社長は、日本のようにヒーローが正体を隠すことは、雑駁(ざつばく)で大らかであるアメリカ人向けだからやらない旨(むね)の発言をしていたと記憶する
 (社長の言い分にも一理はあるのだが、大方のアメコミヒーローも正体隠してんじゃんと心の中でツッコんだけど・笑)。


 多分、コレらを『USA』の映像でサンドイッチしながらの構成ではなかったか?


 ちなみに吉田氏は、本作『USA』(多分、米版原題の方)に、『電光超人グリッドマン』(93年)、平成『ウルトラセブン 太陽エネルギー作戦』(94年)、96年の映画『ウルトラマン ワンダフルワールド』およびそのワク内での『ウルトラマンゼアス』『甦れ! ウルトラマン』などのメインタイトルロゴもデザインされている。
 本作『USA』でウルトラウーマンベスと戦った植物怪獣グリンショックスの名付け親にもなったとか(触手とショックの掛け言葉)。


 余談だが、このグリンショックスと、ウルトラマンスコットが戦った白銀(?)の電磁怪獣ガルバラードのデザインは、杉浦千里氏のデビュー作。
 杉浦氏は後年、ウルトラマンゼアスウルトラマンシャドー、『ウルトラマンコスモス』(01年)でのコスモス強化形態・エクリプスモードに、同作終盤に登場する悪役・カオスウルトラマン、同作劇場版に登場するウルトラマンジャスティスのデザインも担当。
 他には同作の悪役・実体カオスヘッダーイブリース
 ――ちなみにイブリースは、最近読書界隈で話題なのでたまたま読んだ(汗)『現代アラブの社会思想 終末論とイスラーム主義』(講談社現代新書・02年・ISBN:4061495887)での記述によれば、イスラム教の悪魔の名前――
 や、カオスヘッダーメビュートなども。


 氏も01年11月の39歳の秋に心不全で逝去。
 だから氏は自身がデザインした造形物をTV映像では観ていないと思われる
 (各種造形物は翌02年放映分に登場。〜合掌)。


 超変身怪獣キングマイラはあの雨宮慶太氏のデザイン。
 ただし雨宮をプッシュした円谷プロの江藤直行氏は当時すでに雨宮が東映特撮(『時空戦士スピルバン』(86年)・『超人機メタルダー』(87年)・『仮面ライダーBLACK RX(ブラック・アールエックス)』(88年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090726/p1)で活躍していたことは知らなかったとの由(よし)。



 以上、デザイナーのうんちくは、円谷プロファンクラブ会報の江藤直行先生の連載コラム『重箱の隅のまた隅〜円谷プロ・裏街道の20年〜』からのウケウリ。


 なお、同コラムでは、本作がメリケンアニメの通例で、いわゆるアフレコならぬプレスコで、作画の前に声入れ(英語)が行われたこと。
 およびTVシリーズ化には至っていないが、視聴率は子供向けアニメ21本中3位にランクされたとの証言が、特筆事項であろうか。


 また『USA』版ウルトラマンのデザインは、アメリカのハンナ・バーベラ社との数次にわたるキャッチボールの末にできあがり、


 「スコットにはセブンをベースにマンのイメージを重ね、チャックにはマンを母体にウルトラの父ゾフィーのニュアンスを加え、ベスにはウルトラの母ユリアンのイメージを投射して」


 と江藤氏は語っている。


 が、それぞれが、『ザ☆ウル』のウルトラの星・U40(ユーフォーティ)のウルトラの戦士・ロトとエレクとアミアをベースにしたデザインだとしか筆者には見えないゾ!(笑〜文句じゃないよ)。


 あと、皐社長の生前の書籍にも記されていたが(それは本来想定されていた実写版のアメリカ版ウルトラマンのことであったと記憶するけど)、本作『USA』にも社長は、3体の巨大ロボットを出そうとしていたそうだ
 (その名残が3体のコミカルな等身大ロボット。コレはコレで味があるが)。



 私事で恐縮だが、筆者なども95年のパイロット版『ウルトラマンネオス』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971115/p1)のダブル(2人)ウルトラマン企画に大コーフンしたクチだ。
 しかしこれだと、防衛隊の存在価値が相対的に弱まる。
 ならば減点発想ではなくプラス思考でいっそのこと、防衛隊も巨大ロボを建造して数話に1回、敵怪獣を倒したらドーだろう(笑)。
 それでは正義側が強くなりすぎるというのなら、さらにプラス発想で敵側にもやられ怪獣の他にレギュラー敵幹部を設定して、2対2や2対3のバトルをやれば、バトルのバリエーションも順列組合せ的に増加するだろう。
 バンダイも今時の子供も大喜びするだろうと妄想して、今でもそれを今後の『ウルトラ』のあるべき姿だと信じて主張しているのだが……(周囲に反発も買ってるが・汗)。


 そんな95年時点での筆者よりもはるか以前の80年代に、巨大ロボを登場させんとしていた皐社長の先駆的発想には恐るべし!


 スレたマニアならばとうにご存知と思うけど、視聴率でも玩具の売上でもここ10年、東映特撮の後塵を拝し、(06年)現在では『戦隊』の半分が『ライダー』、そのまた半分が『ウルトラ』の玩具売上高という体たらく。
 これを少しでも脱するためにも、読者の反発を承知で云わせてもらえば、売上単価の高い巨大ロボを『ウルトラ』にも出してほしいなあ。


 宇宙人の残骸円盤由来の超絶科学・メテオールが存在する設定の今年06年の『ウルトラマンメビウス』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070506/p1)にて、巨大ロボットが他の飛行メカのカラーリングや名称ルール(ガン○○)とも統一されて登場したならば……(それこそベタにガンジャイアントとか)。
 そして往年のキングジョーやユートムに恐竜戦車や偽ウルトラセブン改造パンドンやロボネズやガロットにメカギラスなどのロボット怪獣群由来のテクノロジーだと設定されていたならば……。
 多くのマニアにその存在を許容されたかもしれない!? とも思うのだ。


 要塞基地のメカ玩具なんて、筆者が子供だったらそんなにはほしくないよ。
 80年代末期の『戦隊』シリーズに登場した人型に変型する要塞基地メカならばまだしも……(人型だと軍事リアリズム的にはともかく、感情移入・愛着も持ちやすいしネ)。


 一度出しちゃえば、剣を使い多段変身を遂げて複数人が登場する仮面ライダーが現在は許容されているように、以後も慣れで許されると思うのだけれどもなぁ。


 絶命寸前の『ウルトラ』を現役特撮ヒーローの最低カーストからサルべージして延命させんがためにも!


 ……なお本作『USA』においては、江藤直行先生や周囲のスタッフの猛反発にあって、巨大ロボット登場は却下されたとのことだ。個人的には非常に残念!



 脱線が過ぎたので、本編の内容を改めておさらいしていく。


 4つの隕石の落下と、主人公3人が所属する米空軍フライング・エンジェルスによる高度な技能を要するアクロバティックな航空ショー。


 そしてその墜落事故と謎の光との邂逅、無傷での生還。


 訳知りの黒人将軍により地上勤務と休暇を命じられ
 (ここで主人公スコットはかわい子ちゃん目当てでプールでバカンスにてキャラを出す・笑)。


 さらに電報でのゴルフ場への招待という、秘密保持のためらしきややこしい経緯を経て、そこでなぜか3人がウルトラマンであることを知っている(3つの光が彼ら3人と合体したことを観測で把握していた?)グリーンキーパーに身をやつした爺サンと遭遇。
 爺サンとともに、ゴルフのグリーンまるごとがエレベーターと化して、巨大な地下基地へとご招待されて、秘密組織ウルトラフォースの隊員に就任!


 最新ハイテク戦闘機でテスト飛行を兼ねて、アメリカの歴代大統領のバストアップが岩山に彫られた実在のラシュモア山にある別の秘密基地に到達したあとで、怪獣出現、初出撃!


 ……と物語はサクサクと行く。


 合間合間に怪獣出現の予兆を描き、2人のウルトラマンのバトルを順ぐりに見せていく
 (西海岸でウルトラマンスコットVS白銀の電磁怪獣、南洋でのウルトラウーマンベスVS植物怪獣)。


 怪獣退治に疑問を持つ異星生物研究所のヒロイン科学者(声はベテラン吉田理保子お姉さま!)も登場させて、主役スコットと軽いロマンスを演じさせ、残る1人の中年ウルトラマンチャックはユタ州のスキー場でイイもの怪獣を救い、そして最後に3大ウルトラマンは超巨大怪獣と激突!


 超絶面白いとまでは行かないけれど、かと云って決してツマラなくはなく、むしろ娯楽作品・ウルトラマン作品としてのツボを押さえつつ、ダレることなく見せる手腕は、ヒトそれぞれで評価は様々だろうが、個人的にはダレまくっていると感じた『劇場版 ウルトラマンコスモス2 ブルー・プラネット』(02年)や映画『ウルトラマンコスモスVSウルトラマンジャスティス ファイナルバトル』(03年)あたりのスタッフにも見習ってほしかったところだ。



 マニアでもオトナになるとついつい忘れがちになるが(自戒も込めて)、『ウルトラ』シリーズの真の魅力は、無からの新しい生命の誕生や、アメリカの正義に対する懐疑に、超能力を発現した新人類テーマ(笑)などのSFや社会派のハイブロウ・高尚ブリっ子なところにあるのではない。


 超人への変身や、巨人による戦闘のカタルシスに、広大な秘密基地や電飾いっぱいコクピット感覚に満ち満ちた司令室などに対する胸の高まりや、いわゆるワンダバと称されるハイテク飛行メカへの搭乗に、その発進のカッコいいプロセスといった、もっと形而下(けいじか)でフィジカル(物理的・肉体的)で即物的な、身の丈のワクワク感にこそあるのだ。


 ジャンル作品に汲み取るべき原初的な喜びはそれであろう。


 そんなことをにも改めて気付かせてくれる『USA』の再鑑賞は、個人的にはとても有意義なものだった……。


(了)
(初出・特撮同人誌『夢倶楽部VOL.19』(07年8月18日発行)『ウルトラマンUSA』特集号より抜粋)



付記:当時から特撮マニア間で流布しているウワサによれば、本作の中ヒットが本作配給の東宝の上層部に怪獣ものでも今イケると判断されて、同年年末公開の復活ゴジラシリーズ第2弾『ゴジラVSビオランテ』(89年)の製作決定にGOサインが出たのだったとか……。


 本作『USA』には、かの『新世紀エヴァンゲリオン』(95年)の庵野秀明(あんの・ひであき)カントクが作画監督補佐として参加していたそうだが、庵野カントクの場合、人物キャラを好き好んで担当するとは思えないので(?)、やはりヒーローや怪獣やメカやエフェクトの類いを担当したのではないかと思われ(笑)。


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ウルトラマン80』総論 〜あのころ特撮評論は思春期(中二病・笑)だった!

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『ザ☆ウルトラマン』総論 〜ザ☆ウルトラマンの時代・埋もれた大スケールSF名作! 第3次怪獣ブームの猛威! 70’s末の熱い夏!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971117/p1

機動戦士ガンダム』 〜初作劇場版3部作・来なかったアニメ新世紀・80年安保

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990801/p1

★今こそ昭和ウルトラの全遺産を活かせ!★ 〜ドラマやテーマよりも、ウルトラ兄弟・歴代怪獣・世界や年表・児童の神話的年代記やジャンク知識収集癖へ訴求せよ! 武器や鎧・テーマパークな未来都市・2回変身や等身大バトルなど身体性の快楽も!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060415/p1

ウルトラマンメビウス』総論 〜『メビウス』総括・赤星政尚論!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070506/p1

同時上映『ウルトラマンエース』#5「大蟻超獣対ウルトラ兄弟

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060604/p1


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ウルトラマンUSA(89年) 〜日米合作80年代アニメ!

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ウルトラマンティガウルトラマンダイナ 光の星の戦士たち(98年) 〜合評

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ウルトラマンティガウルトラマンダイナ&ウルトラマンガイア 超時空の大決戦(99年) 〜合評

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ウルトラマンティガ THE FINAL ODYSSEY(ファイナル・オデッセイ)(00年)

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961209/p1

劇場版 新世紀ウルトラマン伝説(02年)

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ウルトラマンメビウスウルトラ兄弟2 〜東光太郎! 幻の流産企画!

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大決戦! 超ウルトラ8兄弟(08年) 〜ティガあっての新作だ!

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大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE(09年) 〜岡部副社長電撃辞任賛否!

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ウルトラマンゼロTHE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国 〜傑作!

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