假面特攻隊の一寸先は闇!読みにくいブログ(笑)

★★★特撮・アニメ・時代劇・サブカル思想をフォロー!(予定・汗)★★★ ~身辺雑記・小ネタ・ニュース速報の類いはありませんので、悪しからず!(笑)

劇場版ウルトラマンジード つなぐぜ!願い!! 〜新アイテムと新怪獣にも過去作との因縁付与で説得力!

(2018年5月13日(日)UP)


『ウルトラマンジード』最終回「GEEDの証」 〜クライシスインパクト・幼年期放射・カレラン分子・分解酵素・時空修復方法はこう描けば!?
『ウルトラマンジード』序盤評 〜クライシス・インパクト! 平行宇宙のひとつが壊滅&修復! その原理とは!?
『ウルトラファイトオーブ』完結評 〜『オーブ』と『ジード』の間隙ほかを繋ぐ年代記的物語!
『ウルトラマンオーブ』最終回「さすらいの太陽」 〜田口清隆監督の特撮で魅せる最終回・ジャグラス改心の是非・『オーブ』総括!
『怪獣倶楽部〜空想特撮青春記』に想う オタク第1世代よりも下の世代のオタはいかに生くべきか!?
拙ブログ・トップページ(最新10記事)
拙ブログ・全記事見出し一覧


[ウルトラ] 〜全記事見出し一覧


『劇場版ウルトラマンジード つなぐぜ!願い!!』総括

(文・T.SATO)
(18年3月31日脱稿)


 TV特撮『ウルトラマンジード』(17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180213/p1)の後日談映画『劇場版ウルトラマンジード つなぐぜ!願い!!』(18年)。
 内容的には、ジードことリク少年・メインヒロインの刀剣少女・秘密諜報員のずっこけサブヒロイン・ご都合にも沖縄に出張していたウルトラマンゼロとも合体する冴えないサラリーマン・諜報組織の上官・ペガッサ星人の少年・人工知能レム……といった、いつものニギやかなレギュラー面子に、前作『ウルトラマンオーブ』(16年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170415/p1)のオーブこと風来坊青年とその宿敵青年がカラんで、『劇場版』限定の強敵を倒す! というもの。


 期待にたがわず、いや期待以上に、最新ウルトラマンジードがTVシリーズでも披露した全5形態を早々に披露。
 先輩ウルトラマン・オーブもTVシリーズで披露した5形態に加えて、後日談映画『劇場版ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』に登場した最強形態・オーブトリニティ、さらにその後日談短編『ウルトラファイトオーブ 親子の力、おかりします!』(共に17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170603/p1)に登場した東映メタルヒーローチックな硬質のヨロイ状スーツのオーブ・ライトニングアタッカー、加えてオーブ・エメリウムスラッガーにもタイプチェンジ! 都合8形態もの全バリエーションを漏れなく見せてくれる。


 悪のウルトラマンことウルトラマンベリアルのカードやカプセルの力を借りて変身したジード・プリミティブとオーブ・サンダーブレスターをワザと並び立たせることで「似てる」「ナゼ?」と自己言及させたり(笑)、同じく頭に巨大な反り上がった両ツノが生えているジード・マグニフィセントとオーブ・バーンマイトを並び立たせて共闘させてみせる茶目っ気たっぷりのバトル演出!


 今や先輩ウルトラマンになったウルトラマンゼロも基本形態以外に、並行宇宙を超えて出現した際には次元を超える能力を持つ銀色のヨロイをまとったウルティメイトゼロ、戦闘中には赤いストロングコロナゼロや青いルナミラクルゼロ、あわや爆発の藻屑と消えたかと思いきや時間を局所的に操作できる能力で瞬時に回避していたという設定で金色のシャイニングゼロ、最終バトルではTV版『ジード』でもお披露目済の最強形態・ゼロビヨンドなどの全タイプにチェンジする。
 子供たちはきっと戦況に応じて自在にタイプチェンジできる全能感・万能感を擬似的に味わいたくって、各種のソフトビニール人形をゲットしたくなることであろう(笑)。


 玩具会社バンダイとしても、この『劇場版』合わせで新商品を売ることで、売上も増やしたいワケだから、近年の『劇場版ウルトラマン』シリーズ同様、ご多分に漏れずに主人公ヒーロー・ジードの最新最強形態・ジードウルティメイトファイナルまでもが登場!
 本作の映画パンフレットによれば、元祖の初代ウルトラマンウルトラセブンのデザインの再構築なりオマージュはヤリ尽くされたけど、ウルトラマンエース(72年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070430/p1)のデザインは未開拓だ(大意)との実にごもっともな坂本浩一カントクのご意見で――実は90年代中盤にも平成ウルトラ3部作のデザイナー・丸山浩が特撮雑誌『宇宙船』で同趣旨の発言をしていたけど果たせずじまい――、かつては呪縛にも近しい力を発揮していた往年の初代マン&セブン原理主義にも囚われず、エースの胸部中央のカラータイマーを取り囲む円型の意匠などを、胸・両肩・両ヒジ・手の甲・両腰・クルブシなどに取り入れている。
 とはいえ、発光する黄色いシャープなラインに包まれたその立ち居姿はエースをあまり連想させず、どちらかというとナイトシーンの電飾用・仮面ライダー555(ファイズ)(03年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20031108/p1)のスーツを連想してしまうけど(笑)。


新変身アイテムと敵怪獣にも過去作との因縁付与で説得力!


 これに合わせて、ジード・最新形態に変身するために必要という設定で、杖状の新変身アイテムも発売!
 とはいえ、ポッと出の変身アイテムにすぎなくても、後付けの新設定で(笑)、コレはジードの父にして悪のウルトラマンであるベリアルさまが数万年前に自身の故郷・ウルトラの星を襲撃した際に用いた、数百体の怪獣を収納して操ることもできる棍棒「ギガバトルナイザー」の対となるアイテムであった「ギガファイナライザー」であるとして、さらにその両方のアイテムを製造したのは、『劇場版』ゲストヒロインの母星であったとする!
 単なるいかにもオモチャくさいアイテムでも(笑)、コレにジード(の父・ベリアル)との因縁、ゲストヒロインとの因縁、そのふたつの因縁を付与することで、幼児はともかく児童や大きなお友達から見れば、毎度のウイているケバケバした異物かもしれない玩具的存在にも、劇中世界内で存在するに足る一応の説得力を増大させている。
 ……ココまで小バカにしたような物言いをしてきたけど、それは筆者のテレ隠しで(笑)、ツヤ消しのシブめで重厚な変身アイテムよりも、筆者個人はカパッと開く可動ギミックもあり、ツヤツヤとした光沢で色調も赤い、こーいうオモチャっぽいアイテムの方がスキなので念のため(笑)。


 因縁といえば、本作の敵怪獣たちにも直近ウルトラシリーズとの因縁を付与する。
 前作『ウルラマンオーブ』でも、おそらくバンダイ先行で脚本以前にデザインが進められ(?)、TVシリーズ中盤の前後編での放映に合わせるかたちでソフビ人形などが発売された白亜の体表の強敵、ロボット怪獣ギャラクトロン。古典SF作家・クラークの「充分に発達した科学技術は、魔法と区別がつかない」の体現か、その攻撃時には魔方陣のような紋様が浮かぶのも印象的だった怪獣だ。
 せっかく造った着ぐるみがモッタイないからかソフビ人形在庫処分セールのためか(笑)、前年度の『劇場版ウルトラマンオーブ』冒頭にも常夏のハワイの海岸にてオーブ&ゼロコンビと対戦!
 『ウルトラマンジード』#7〜8でも、SF作家センセイが怪獣カプセルから都合2体を召喚して、再生怪獣だからか弱いということは微塵もなくって(笑)強敵として立ちはだかって、ウルトラマンゼロがさらなる強化形態・ゼロビヨンドに変身を遂げるキッカケともなる。
 『ジード』#22では、昭和のロボット怪獣キングジョーとギャラクトロンが左右半身ずつ融合したキングギャラクトロンに、SF作家センセイが怪獣カプセル2種を使って変身することでジードを圧倒すらしている。


 今回の『劇場版ウルトラマンジード』では量産型としてギャラクトロンが大挙登場! あげくの果てに新型機体のギャラクトロンMK2(マークツー)までもが出現!
 さらにはギャラクトロン・シリーズのハイエンドモデルとして、そのプロポーションや体表の幾何学(きかがく)的ディテールを踏襲しつつも、白亜ではなく淡いパープル&イブし金&イブし銀の色彩でまとめて、全身に多数の砲身を備えたロボット怪獣ギルバリスが出現!


 生物や惑星自体をデータ化して消滅させる! という特殊能力は、前年度の『仮面ライダーエグゼイド』(16年)におけるゲーム病に罹患した果てにデータとなって消滅してしまう人々の描写と、ネタ的にも映像的にもカブってはいる。
 まぁそのへんの類似はご愛嬌でもイイし、キロ・メガ・ギガ・テラ・ペタ・エクサといった千倍単位でインフレしていく情報処理能力で、現実世界の事物や生物に人間個人の生体の全情報さえ小さなマイクロチップにデータ化できそうな技術力を現代人が獲得しつつある現在、あるイミでは普遍のネタと化したともいえるのだけれども、そのネタだと自らをデータ化してデバイス内にも移植できるサイバー(電脳)ウルトラマンでもあった前々作『ウルトラマンX(エックス)』(15年)にもゲスト出演してほしくなるよなぁとの想いが脳裏をカスめていたら……。
 ウルトラマンギンガ・ウルトラマンビクトリー・ウルトラマンエックスの3人の力を借りて強化変身していたウルトラマンオーブ最強形態・オーブトリニティが、なんとエックスの力を援用してエックスが身にまとっていた怪獣型の重厚なヨロイや手甲にカギ爪のサイバーゴモラアーマーをまとった姿に再変身! ラスボス怪獣が構築してオーブを閉じ込めたデータ空間からの脱出に成功してみせるサプライズ!
 いやぁ予算や尺の都合でウルトラマンエックスが出演できなくとも、怪獣博士の子供であればフト抱いしまうであろう疑問さえをも見事に昇華。「勝利の法則」に結びつけてカタルシスある逆転劇を構築してみせる隙のないアタマの良い作劇であり、マニア・怪獣博士くすぐりでもあるうれしい作劇だ。


 正直、往年の怪獣グランドキングや究極超獣U(ユー)キラーザウルス同様、ラスボスロボット怪獣ギルバリスはアクションには不向きな偉容ではある。怪獣側のスーツアクターの巧拙より、攻めるウルトラヒーローたちを演じるスーツアクターたちの受け身の取り方や吹っ飛ばされ芝居の巧拙で、バトルシーンの緊迫感や面白みが変わってくる類いだが、十全とはいえなくともそれなりに楽しく最終バトルも観ることができた。


特撮のみならず本編でも、着ぐるみキャラとのバトル増量!


 とはいえ、そのへんのアクション面での弱さを補うためか(?)、沖縄の無国籍なウラ街の繁華街には、違法滞在の宇宙人たちが大挙居住しているという設定にする。
 情報屋の宇宙人からネタを収拾するために潜入した酒場ではスンナリ成功するハズもなく、お約束でイザコザやカラまれて拳闘バトルが勃発!(笑)
 ナックル星人・シャプレー星人・バド星人・ケムール人などの昭和ウルトラの宇宙人たちは、2010年代のウルトラ作品にも脇役や戦闘員キャラ的に登場してきたけど、やはり登場してくれるだけでもうれしい。
 往年の怪獣博士少年にはあるまじきことだが、21世紀以降の平成ウルトラ宇宙人については見覚えがあっても、名前を暗記できていないし、そもそも一応子供ではなくオトナなので(?)、作劇術の分析には執念を燃やすけど、怪獣・宇宙人の名前の暗記なぞに気力のリソースを割り振る気などはなくなっている(笑)。
 ググってみると、ガルメス人・グラカッチ星人というのが前年度の『劇場版オーブ』初出で、レキューム人というのが深夜特撮『ウルトラQ 〜Dark Fantasy〜』(04年)初出。ヒュプナスというのが同じく深夜特撮『ウルトラセブンX(エックス)』(07年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080413/p1)初出で、ドーブル星人が『ジード』#11初出で、さらに以下略(笑)の7種のマイナー宇宙人までもが登場。
 コレらの昭和のイイ意味での石堂脚本的な新旧チンピラ宇宙人(笑)たちと、ジードことリク少年・刀剣少女・諜報員のサブヒロイン・諜報組織の上官・サラリーマン・少年ペガッサ星人・オーブことガイ・オーブの宿敵ジャグラーが、各々の個性にピッタリで実にらしい、スピーディーかつコミカルなバトルをくりひろげてくれる。
 あげくの果てに、メカロボの敵の配下として、白黒モノトーンの戦闘員集団までもが登場。ドラマがカッタルくなりそうになると出現してタイクツを回避する(笑)。


ギャラクトロン・ギガバトルナイザー・ギガファイナライザー!


 ヒトそれぞれの好みはあろうけど、製作予算の絶対的な少なさに起因するとはいえ、『ウルトラマンメビウス』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070506/p1)、もしくは『ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル』(07年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080427/p1)以降、同一種族の別個体として歴代怪獣や歴代宇宙人たちの着ぐるみ使い回しが多用されていること自体には不満がなく、むしろ怪獣キャラクターたちをスターとして世代を超えて大切に扱ってくれているようにも思えるので、筆者個人としては肯定的である。
 今回のロボット怪獣ギャラクトロンに至っては、次元宇宙を超えて量産型ロボット怪獣がバラまかれているというスケール雄大感があり、そのバックボーン・出自を小学生レベル(笑)のSF的好奇心で妄想することは実に楽しい。


 怪獣ギャラクトロン初出時には、『オーブ』世界の宇宙ではなく、別の宇宙から襲来した怪獣であると劇中で推測され、古典SFの時代からあるロボット・人工知能の反乱パターンで、戦争終結用に製造したロボット怪獣が自我を得て、戦争の根源であり自身の産みの親でもある宇宙人種族に反抗して手に負えなくなったことから、別次元の宇宙に捨てたのでは? と劇中人物たちが推測していたが……。
 今回の劇場版では、メインテーマではなくともサブテーマとしてこのナゾを追ってみせ、ギャラクトロン・シリーズが亡国の惑星・クシアの出であったとした……。つまりは、


・ロボット怪獣「ギャラクトロン」シリーズ
・ベリアルさまが使った棍棒「ギガバトルナイザー」
ジードが使った聖なる杖「ギガファイナライザー」


 このすべてが惑星クシア出自であるとされたのだ!――ウラ設定によると、クシアは昭和ウルトラの宇宙にある惑星だとのこと――
 まぁギガファイナライザー以外はホメられたアイテムではないけれども、こーいう二重、あるいはいっそ三重に因縁を持たせて、設定や作品自体に少しでも興味・関心・求心力を持たせていく手法には賛成したい。
 この広い大宇宙で、すべての要素がお隣りご近所がごとき接点を持っているかのようなご都合主義があってたまるか!?(笑) というのはリアリズム的には正しいけれども、我々が愛する通俗娯楽活劇とはドキュメンタリーやルポルタージュではなく、象徴・寓意の方が優先するシンボリックな道徳説話の方に近しいモノでもあるからだ。


沖縄怪獣グクルシーサー! 神獣たる伝説怪獣の系譜!


 ゲスト怪獣としては、太古の沖縄に不時着した王女さまを守護してくれた沖縄原産の正義の怪獣という設定で、沖縄の方々に飾られている東洋のライオン聖獣・獅子ことシーサーをモチーフとした、その巨大なタテガミはオレンジ&赤、四つ脚は紺色でもある鮮烈で熱帯チックな色彩の四つ足歩行の怪獣グクルシーサーが登場!
 ロートル怪獣ファンであれば、誰もがアメリカ占領下から日本に返還されたばかりの沖縄を舞台にした怪獣映画『ゴジラ対メカゴジラ』(74年)に登場した沖縄の聖獣・キングシーサーを連想したことと思う。
 宇宙から飛来した超科学技術がもたらしたロボット怪獣メカゴジラ vs 純然たる野生の生物ではなくそれを超えた大自然の精霊・地霊・土地神が実体化したような由来と神通力を持つ神獣・霊獣・聖獣であるキングシーサー
 地球人より進んだ超科学に由来するロボット怪獣という存在にもワクワクさせられるが、その地域一帯を守護する超自然的な霊的守護獣が実体化したオカルト怪獣! というSF的(?)・非日常的な設定に由来する怪獣にもワクワクさせられるではないか!?
 80年代後半以降に隆盛する剣と魔法のファンタジー異世界の舞台設定にも通じる、その先駆けのような伝奇的な設定の怪獣キングシーサーを、70年代末期の第3次怪獣ブーム時に各種書籍や駄菓子屋で売っていた往時大ヒットしていた子供向けの安価な怪獣カードなどで知った幼き日の筆者は、ワクワクしてコーフンに打ち震えたものだった。
――ゆえに、『ゴジラ FINAL WARS(ファイナル・ウォーズ)』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060304/p1)で、キングシーサーが復活した際、他の有象無象の地球怪獣たちと同様、X(エックス)星人に操られて悪い怪獣に堕してしまったのは少々残念ではあった。キングシーサーモスラと同様、他の怪獣とは別格の霊獣・神獣として悪い怪獣と戦ってくれヨ!(笑) まぁ些事ではあって、その一点の瑕疵(かし)をもって、『FINAL WARS』を全否定しようとも思わないけれども――


 昭和ウルトラ怪獣における伝説怪獣ウー・伝説怪人ナマハゲ・邪神カイマ(邪神超獣カイマンダ)・閻魔怪獣エンマーゴ・臼怪獣モチロン・三つ首怪獣ファイヤードラコ・相撲怪獣ジヒビキラン・マラソン怪獣イダテンラン。
 広い意味では、怪獣酋長ジェロニモン・地球先住民ノンマルトの使者の真市(しんいち)少年の霊・水牛怪獣オクスター・牛神男・天女アプラサ・獅子舞超獣シシゴラン・白い花の精。庶民の信仰エネルギーで付喪神(つくもがみ)と化したか天上界の神仏がチャネルしたのかその両方なのか、劇中で神通力を発揮してみせたお地蔵様や巨大観音像(笑)などもコレらのカテゴリーに当てはまるかもしれない。
――ちょっとズレるけど、歴史上の怪獣について記した「太平風土記(たいへい・ふどき)」が、『X』『オーブ』に続いて『劇場版ジード』でも登場することで、この古文書が3つの並行世界をまたがって存在していることが判明する描写もイイね!――


 70年代末期〜90年前後のオタク第1世代によるSF至上主義の特撮論壇では、SFならぬ民話的なエピソードや怪獣は否定的に扱われてきた。しかし、実は怪獣のみならず宇宙人から怨霊・地霊・妖怪まで実在しているモノとして扱われる、大宇宙→ワールドワイドな世界各地→ローカルな田舎までもが串刺しに貫かれて万物有魂のアニミズム的に全肯定されているウルトラシリーズの世界観の設定に、「現実世界もかくあってほしい!」的な願望やワクワク感をいだいていた御仁も実は多かったのであろう――往時のマニアたちはまだボキャ貧でそれをうまくは言語化できなかったのであろうけど――。
 平成ウルトラが始まってみれば、この超自然的怪獣や歴史時代の人霊の系譜は引き継がれ、宿那鬼(すくなおに)・妖怪オビコ・地帝大怪獣ミズノエリュウ・童心妖怪ヤマワラワ・戀鬼(れんき)・錦田小十郎景竜・玉響姫(たまゆらひめ)などの怪獣や英霊がワラワラと登場してきた。
 そして、それに対してマニアたちが批判をくりひろげるということもナイ。むしろ作品の幅の広さとして、どころか傑作エピソードとして肯定されていたりもする(笑)。
――個人的には、それならば昭和の伝奇的エピソードに対しても、それまでの低評価を改めて自らの過ちも贖罪し、ウッキームッキーレベルの感情論ではなく、批評的に冷静にロジカルに再評価の光を当てるべきであったろうと思うのだけれども、なかなかそこまで論理の射程を伸ばすことができるような御仁は極少だったようで(汗)――


 脱線が過ぎてしまったが、聖獣グクルシーサーのことである。やっぱ、キングシーサーの描かれ方の過誤を引き継いで、少々弱いことは残念なのだ。
 最終的には決戦はウルトラマンたちに譲るのは必定である。とはいえ、だから途中は端折ったりオザナリでもイイということにはならずに、ストーリー展開が論理的には同じでも、そこに至る過程・プロセスで、意味合いや重みは変わってくるモノなのだ。
 やっぱ、グクルシーサーはもっと善戦してくれなきゃダメだろう。もう少しで勝てそうだ! というところまで描かなきゃダメなのだ。あるいはいっそ、ギャラクトロン1機を一度は屠(ほふ)ってみせる強さ・爽快感を見せて、その次に現れたギャラクトロン複数機相手に負けるのは仕方がナイ……と思わせるような、 ギャラクトロン1機 < グクルシーサー < ウルトラマン みたいな三層構造くらいの段取り・勝ち抜き戦・イイところを見せる立体的な作劇・キャラ立て・アクション演出ではなかったことが惜しまれるのだ。坂本浩一カントク作品にしては珍しいことだが、このへんだけは手抜かりに思えた。


沖縄ロケの是非! 沖縄本編撮影と沖縄特撮セット!


 沖縄ロケは申し訳程度で、あとは本土で撮影か? と予想していたが……。ほとんどのシーンで沖縄ロケを敢行したように見える――東京圏のUHF局でも放映された沖縄のご当地TV特撮ヒーロー『琉神マブヤー』シリーズ(08年)や『ハルサーエイカー』シリーズ(11年)との共演がなかったのは個人的には残念(笑)――。
 酷暑すぎて少々気怠げな感もある真夏の強い陽差し・広々とした明るい青色と白色の海辺・モクモクとタテ長に立ち昇る力強くもドコか不穏な巨大な雲海・鬱勃とした感じはしない明るい森林・高層建築はあまり見当たらない台風よけか低層家屋ばかりの街並みの高台からの一望。
 それらをカメラは切り取ることで、南洋の楽園性のようなモノを醸すことにも成功。


 沖縄といえば、初期ウルトラシリーズを立ち上げた脚本家の故・金城哲夫(きんじょう・てつお)センセイや、同じくベテラン脚本家・上原正三(うえはら・しょうぞう)センセイの出身地でもあり、彼らにあやかったりオマージュやリスペクトとしてのイミもあったのであろうか?
 しかし正直、鑑賞する前には、沖縄ロケをするおカネが今回はあるならば、それを特撮の美術予算にまわして、さまざまな場所を舞台に特撮怪獣バトルを見せてくれよ! なぞと筆者はシニカルにも見ていた。


 が、出来上がったウルトラマンたちと巨大怪獣たちが戦う特撮映像は、気のせいか色調も沖縄の幻惑的な青空に合うように、後処理(ポス・プロ)で色調調整しているのであろうか? いつもと同じ特撮セットに、いつもとほとんど同じミニチュアの流用なのだろうが、不思議と沖縄感は出ている。
 要所要所に、ヨコ長の低い石垣に傾斜の低い薄オレンジ色の大きな瓦屋根の家屋が数棟、その周辺に亜熱帯っぽいヤシの木が数本生えているだけでも「あら不思議」、とたんに沖縄に見えてくる。
――スレたマニア的には、『ウルトラマンエース』(72年)#15(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060828/p1)にて瀬戸内海(岡山)ロケを敢行して、意図的だろうが70年代なのに漫画『花田少年史』のごとき60年代の貧乏少年みたいな(笑)素朴なニコニコ笑顔の白いランニングシャツに半ズボンの少年もゲストで登場した大蟹超獣キングクラブ編で、ロケ地の海浜・漁村・民家・荒い木材で骨組みして高い壁にはワラを吊しただけの作業場・干してある漁労網・低い石垣などなどを実に精密に再現して、崩したり壊していった風情ある東宝第7ステージの特撮美術セットなども思い出す――


異星出自の沖縄在住ゲストヒロインの設定&達成度!


 沖縄各地の名所がなぜか舞台となる理由も、『劇場版』ゲストヒロイン――正体は太古に地球に飛来した長命の異星人!――をいっそのこと、沖縄の観光ガイド嬢(笑)に設定することで、主人公たちとの出逢いの偶然も含めて、子供向けジャンル作品のご都合主義&不自然さを少々緩和する。
 ロートル的には女優・上戸彩出世作3年B組金八先生』第6シリーズ(01年)の主要生徒役が印象に残る、NHK朝ドラ『ファイト』(05年)で主演も果たした本仮屋(もとかりや)ユイカ。アレからもう幾星霜。目元涼しいクールビューティーだけれども愛想もある風貌ともあいまって、宇宙人としての本来の姿を現わすと、沖縄チックで華やかな琉球服っぽい衣装で、てっきり亡国の王女さまなのだと思いきや、パンフを読むと単に科学者の娘ということらしいけど、親しみやすさと高貴さを同時に体現。
 最終決戦ではジードの体内=精神世界内で、リク少年の横に彼女が出現して力を添えるけど、数万年も生きてきたのに、おそらく死んでしまったのであろうという、悪いイミで古典的なゲスト描写は少々残念だ。
 TVシリーズ終盤で諜報組織の上官・シャドー星人ゼナさんが怪獣兵器ゼガンに合身して操縦したように、ゲストヒロインが聖獣グクルシーサーと合身・操縦して参戦したり、最終決戦で「ギガファイナライザー」を、自身が搭乗したグクルシーサー経由でジードに手渡しして勝機を与えるくらいの有用感ある活躍をさせてもよかったのではあるまいか?


 回想シーンでは彼女の父親役で、我々特撮マニア的には『ウルトラマンマックス』(05年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060311/p1)の怪獣攻撃隊・DASH(ダッシュ)隊長でもおなじみ宍戸開(ししど・かい)が登場。映画の神さまのイタズラか、異国情緒あふれる服装といい、マニアであればつい最近の『宇宙戦隊キュウレンジャー』(17年)で氏が演じたオリオン座の勇者・オライオンとの酷似を想起せずにはおれなかったことであろう(笑)。


SF作家センセイ&ベリアルさまのリベンジが観たかった!


 鑑賞する前には、宿敵である作家センセイこと伏井出ケイ&悪のウルトラマンことウルトラマンベリアルさまが、この『劇場版』には登場しないことには不満があった。
 たしかにTV版『ジード』最終回にて、宿敵のSF作家センセイ&ベリアルさまはすでに一応はお亡くなりではあったけど。
 SF作家センセイもTV版『ジード』を盛り上げた功労者なのだから、ご祝儀・慰労も兼ねて映画の晴れ舞台も踏ませてあげて、沖縄ロケにも同行させてやってくれよ!
――アッ、TV版『ジード』の最終展開は、『劇場版』と同時並行撮影の沖縄ロケ編だったから、同行はしていましたネ(笑)――


 復活したSF作家センセイと、もう幾度目かとなる再復活を果たしたウルトラマンベリアルさま!
 さらには、ベリアル配下の強豪宇宙人軍団ことメフィラス星人・ヒッポリト星人・テンペラー星人・グローザムの同族・デスレムの同族らによるダークネスファイブも再参集!
 対するは、我らがウルトラマンジードにウルトラマンゼロ! 加えて、ウルトラマンゼロの頼もしき仲間、ミラーナイト・グレンファイヤー・ジャンボット・ジャンナインらによる新宇宙警備隊ことウルティメイトフォースゼロも助っ人見参!
 ジード&ウルティメイトフォーズゼロの5人 vs ベリアル&ダークネスファイブの5人! 大宇宙をまたにかけたガチンコ集団バトルを今度こそ観たかったのにィ〜! キィィィィ〜〜〜!!(袖を噛む・笑)


 まぁあの鬼気迫る演技の末期(まつご)のあとに、SF作家センセイがアッサリ甦ったりすると、ドラマ的・テーマ的には台無しといえば台無しではある。
 しかし、そこはそれ。このテのユルユルな子供向けヒーロー番組の常套で、ご都合主義にも実は生きていた! それがあんまりなら、怪獣墓場から復活してきた! 亡霊魔道士レイバトスが復活させた! とかの『完結編』のあとにシリーズをいけしゃあしゃあと再開してしまう「少年ジャンプ」連載漫画のTVアニメ化作品『銀魂』みたいなロウブロウ・通俗的な展開でもイイんじゃないのかなぁ(笑)。
 それで、昨年末のTV最終回前に公表された第1弾の『劇場版』宣伝ポスターではSF作家センセイの中の人の名前は削っておくけど、年明けの第2弾の宣伝ポスターではSF作家センセイの中の人を公示することで、マニアたちにはTV最終回鑑賞でSF作家センセイが死のうがドーせ復活するんだろうし……というシラケた思いをいだかせずに切迫感を持って鑑賞させ、その後に「エッ『劇場版』でも再登場するの!?」という二度ビックリの思いをファンたちに味あわせて、作品への関心をより惹起させるような、小ズルいパブリシティ戦略を考える御仁はいなかったモノなのか!?


 昨年末の映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』(17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20171229/p1)みたく、『ジード』のレギュラー&オーブ&ジャグラーに加えて、2010年代以降のウルトラマンギンガ・ウルトラマンビクトリー・ウルトラマンエックスが変身前も含めて勢揃いして、SF作家センセイ&ベリアルに立ち向かうような内容でもよかったんだけれどもなぁ。怪獣モノとしては少々邪道でも、ヒーローものとしては小憎らしい人格悪・性格悪がいた方が善悪のメリハリもついてよかったようにも思うのだ。


近作への小さな不満。歴代OBゲスト出演であと一押し!


 振り返れば、映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101224/p1)においても、映画『ウルトラマンメビウスウルトラ兄弟(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070128/p1)&映画『大決戦! 超ウルトラ8兄弟』(08年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101223/p1)では初代ウルトラマンウルトラセブン帰ってきたウルトラマンことウルトラマンジャックウルトラマンエースのウルトラ4兄弟の変身前ことハヤタ・ダン・郷・北斗が連続出演してくれたのだから、マン・セブンのみならず帰マン・エースの変身前の役者さんにも1カットだけでも出演してもらい、変身ポーズを披露してラストバトルに参戦してもらいたかったと個人的には思ったものだ。
 そーすれば、ドラマ的・テーマ的にはともかく(笑)、ただ出てくれるだけでも、我々ロートルオタクたちは狂喜乱舞だし、マニア誌もそれを口実にインタビューを繰り広げ、変身前の4兄弟が全国の映画館の舞台挨拶を行脚することで、少々でも興行収入を水増しすることができたであろうから。


 つづく映画『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』(10年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20111204/p1)においても、30周年記念としてウルトラマン80(エイティ)(80年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971121/p1)とコンビの女ウルトラマンユリアンの声を、変身前の役者さんたちが声をアテてくれたけど。
 それならば、主役たちのピンチを助ける頼もしい役回りで、変身前の役者さんが登場する1シーンをあとからグリーンバック撮影(笑)でムリやり挿入!――ウルトラ一族の長老・ウルトラマンキングの力で並行宇宙を越境できたという設定で(笑)―― 対ベリアル最終決戦にて、我らがゼロをサポートするミラーナイト・グレンファイヤー・ジャンボットをさらに援護するかたちで、異星の大地で変身ポーズを披露して80&ユリアンが出現して宇宙の戦場へと飛ぶ! ついでに、役者さんたちも全国の映画館に飛び立って、舞台挨拶に参加してもらい集客にコレ努めてほしかった。


 映画『ウルトラマンサーガ』(12年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140113/p1)はそのへんの客寄せ面での反省もあってだろう。初代マン・セブン・帰マン・エースどころか、ウルトラマンレオウルトラマンダイナ・ウルトラマンコスモスの変身前の役者さんまで登場して、変身後のウルトラマンたちの映像に変身前のヒトの映像までオーバーラップさせるサービス精神の志しはヨシ!――尺の都合と製作遅延で、4兄弟の変身後のバトルはカット(のちに再編集バージョンで復活)。長尺のコスモス&カオスヘッダーvsハイパーゼットンの件りに至っては全カット(爆)になってしまったのは残念ではあるけれど――。
 しかし、映画冒頭におけるゼロvsベリアル軍の残党との宇宙空間でのバトルに、直近の新ヒーローであるミラーナイト・グレンファイヤー・ジャンボット・ジャンナインらが固い絆で結ばれているゼロと共闘していなかったのはナゼ!?
 子供たちに忘れ去られないように露出させるべきで――登場させれば子供たちが狂喜することうけあい!――、変身前の人間態がないヒーローたちだから声優さんのギャラだけなら相対的に安く済むだろうにドーしてそこで手抜かりを!
 ついでに係り結びで、映画の最後は並行宇宙の地球を飛び去ったゼロを、ミラーナイトたちが明るく出迎える場面もあるべきだったと思うのだ。


 00年代後半〜10年代前半のウルトラシリーズの中継ぎ、『ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル』(07年)シリーズの主人公、地球人とレイブラッド星人とのハイブリッドであるレイ青年にも、もう少しだけ花を持たせてほしかった。
 たとえば、次元・並行宇宙を超えて宇宙船ペンドラゴン号で後続の『ウルトラマンギンガ』(13年)以降のシリーズの世界にも漂着するかたちでゲスト出演!
 あるいは、ビデオ作品『ウルトラ銀河伝説外伝』などにおいて、ラン青年・タイガ青年に続いて、功労賞としてウルトラマンゼロとも一時的に合体させることで(!)、晴れてウルトラマンにも変身したことがある役者さんのひとりにしてあげる!


 本映画の前日談であるTVシリーズ『ウルトラマンジード』中盤回でも、ウルトラマンオーブをゲスト出演させたり、短編『ウルトラファイトオーブ』の宿敵・亡霊魔道士レイバトスとの再戦で同じく怪獣使い=レイオニクス戦士出自つながりで『大怪獣バトル』のレイ青年をゲスト出演させたり、『ウルトラマンゼロ THE MOVIE』とビデオ『ウルトラマンゼロ外伝 キラーザビートスター』(11年)の今をときめく土屋太鳳演じるエメラナ姫もゲスト出演させるようなエピソードなども作るべきではなかったか?――土屋太鳳は今や超多忙の売れっ子でギャラも高いからムリくさいのはわかるけど、話題作り&集客でそこをナンとか1日だけで撮影可能な1シーン・1カットだけでも!(笑)――


 ごくごく個人的には、00年代後半以降、特に10年代のウルトラマン映画やビデオ作品には、90〜00年代前半のウルトラ作品と比したら、興行面ではともかく内容面では個人的には高い評価を下してはいる。しかし、やはり前述したように、シリーズの連続性や大河ドラマ性を感じさせる要素の今ひとつのところでの欠如で小さな不満があったのも事実であり、この機会にカコつけるかたちで語らせていただいた。
――まぁそれを云い出すと、平成ライダー映画や東映『スーパーヒーロー大戦』映画にも、『仮面ライダー電王』(07年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080217/p1)の正義の赤鬼・モモタロスや、『仮面ライダーディケイド』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090308/p1)の高飛車主人公・門矢士(かどや・つかさ)に、「おのれ、ディケイド!」のナゾの壮年・鳴滝さんなどは子供ウケもしそうなトリックスターたちなのだから、歴代シリーズをつなげて怪獣博士的でマニアックな関心を観客や子供たちに惹起させる意味でも、狂言廻し・説明役(笑)として恒常的に途切れることなく登場させてほしかったと思ってもいる――


 今回、バトルには直接参戦しないけど、ウルトラの星にいるウルトラの父・母・ウルトラ兄弟の長男ゾフィー隊長・初代マン・セブンが登場したことも、作品を華やかにするというイミではよかった。ギャラの都合かマンとセブンにセリフはナイけれど(汗)。タロウと一般兵士たちも、回想扱いの新撮戦闘シーンで「ストリウム光線!」のバンク掛け声とともに登場したのも同様だ。
――『ウルトラファイトオーブ』でも帰ってきたウルトラマンことジャックの声を変身前の役者さんである団時朗(だん・じろう)が務め、映画『破裏剣ポリマー』(共に17年で坂本浩一カントク作品!)にはウルトラマン80の変身前の役者さんこと長谷川初範(はせがわ・はつのり)が出演したことから、コレは帰マン=団時朗と80=長谷川初範に『劇場版ジード』へ顔出しで出演してもらうことへの事前ネゴか!? と深読みしてたけど……果たされず(笑)――。


 本作では、ウルトラの父の命令に従うかたちで、ミラーナイト・グレンファイヤー・ジャンボット・ジャンナインも出撃する。バリアで地球に着陸こそできなかったけれども間接的に援護射撃のかたちで戦闘には参加して、ラストには沖縄の夕景の海浜に降り立って、愉快な漫才トークを聞かせてくれたのはうれしい。こーいう一連が先の映画『サーガ』などでも見たかっただけに!
――同様にTVシリーズ最終回でも、ダークネスファイブやレイバトスのバンク映像が回想シーンとして登場したサービス趣向はうれしかった。しかし唯一、『ウルトラファイトオーブ』ラストで亡霊魔道士レイバトスを倒したのがジードではなくベリアルさまに改変されていたことだけは残念。シャイニングゼロの時間操作能力による局所的なタイムスリップなどで過去に戻ってジードがレイバトスを倒すようなエピソードをTV本編でも作ってほしかったヨ〜!――


クライシス・インパクトやウルトラ大戦争の本格映像化を!


 けれども、本映画を見終わってみると、事前の小さな不満や要望は雲散霧消してしまったほど楽しめたのも、個人的には事実なのであった。
 そして、近年でもロボットアニメ『マクロスΔ(デルタ)』(16年)のメインライターや、本作公開の前月2月に公開された『劇場版マクロスΔ 激情のワルキューレ』(18年)も手掛けたりと、20年近いキャリアの持ち主でもある根元歳三の脚本は、TV版『ジード』においてはシャドー星人ゼナさんとシャドー星の怪獣兵器ゼガンをメインに据えた前後編を手掛けただけではあるけれど、多彩な具材を裁いて交通整理がよくできていたとは思う。


 しかし、6年前のウルトラマンゼロをはじめとするウルトラ一族 vs ウルトラマンベリアルの宇宙各地を転戦して激闘するサマと、ついには東京上空で超時空消滅爆弾を起動して、並行宇宙のひとつが滅亡してしまう「クライシス・インパクト」を、長尺の映像でキチンと観てみたい!
 3万年前の「ウルトラ大戦争」(ウルティメイト・ウォーズ)こと暗黒宇宙大皇帝エンペラ星人率いる、メフィラス星人・アークボガール・デスレム・グローザム・ジオルゴン・エンディール星人・テンペラー星人などの幹部級宇宙人、数百体の怪獣軍団がウルトラの星を襲撃するサマも、長尺の映像でキチンと観てみたい!


 幼児向けのヒーロー番組で、現在進行形ではナイ過去の出来事を主体とした作品を映像化するのはたしかにムズカしいことではあろう。そーであれば、コレらの大事件から派生した新事項の現在進行形の物語における回想シーンとして、それらを映像化して知られざる細部の秘史などを描くことで――コレは初作の前史であるルウム戦役などを描く『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』(15年)や宇宙世紀0096年を描きつつも宇宙世紀元年の大事件を発端とする『機動戦士ガンダムUCユニコーン)』(10年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160904/p1)みたいなモノである――、仮想歴史のミッシング・リンクのピースがピタリとハマっていくような擬似的な知的快感(笑)を味あわせる新作の登場を、コレからも期待していきたい。


余談:人類の愚劣さをゼロにはできなくとも最小化するための方策!


 シビルジャッジメンター(文明審判者!)という恐ろしい別名を持つロボット怪獣ギャラクトロン君は、前作『オーブ』での初登場時に、地球の知的生命体どころか弱肉強食の「食物連鎖」に基づく「生態系」それ自体が非常に原始的・残酷で、宇宙の生命水準から見れば「幼年期」的であり(大意)、それが地球人の争いの根源であると、古クサい古典SF的な抑揚のない無感情な電子ボイス(笑)で喝破してみせていた。
 手前ミソで恐縮だが、この指摘は個人的には我が意を得たりだ。マクロは国家や民族・宗教間の争いからミクロはイジメやパワハラ、趣味人・オタク同士のマウンティング合戦に至るまで、実は争い自体の根源はマルクス主義が云うような貧富の格差や資本主義(今だと新自由主義経済)や私的快楽至上主義に起因するモノではナイと思う。
 貧富の格差・新自由主義・私的快楽至上主義・虚栄心すらもが原因ではなく結果であって、人間の嗜虐心・競争心・権力欲なども含めてその根本原因は――イヌやネコが飛びかかって昆虫や落ちたスズメを弄んでいる姿を見ても思うけど(汗)――、生物・動物の捕食・被捕食関係を成り立たせるために、人間にも弱めであっても本能的に内在している食欲・狩猟本能・縄張り意識に起因していると私見する――個々人でその濃淡にはカナリ差があるけれど――。
 それだけに根深くて解決困難ではあるのだが。とはいえニヒリズムに陥っているのではなく、それらの本能に起因する悪癖は根本療法によってゼロにすることはできないにしても、都度都度の永遠の対症療法として最小化していくべきモノではあるだろう。
 あるいは、肉体&精神を過剰にキズつけないようなルール・モラルを作ってゲーム化・スポーツ化して、ネット空間でのゲームや言論戦に留めたり、全国の公園にバスケのゴール籠などを用意して(笑)、唯一絶対のカーストではなく無数の並列する小カーストを作って、擬似的に闘争心を発散させたり立身出世欲やモテ欲を満たしてあげることで、ある場所では敗者になっても戦国時代のように首チョンパ切腹することなく、別の場所で居場所を確保できるように社会のインフラを設計しておく。
 とはいえ、「命の大切さ」を教え込まなくても、大抵の人間は強い恨みでもなければ殺人などできないモノだ。しかし、生まれつき嗜虐心が強くて他人に対する共感性に乏しい個人が、殺人といわず暴力や暴言をヤラかした場合、後天的な教育・環境に一因はあっても、個人の持って生まれた性格・共感能力・品性が主因である以上は、「話せばわかる」「イジメっコとイジメられっコ、ストーカー、パワハラ上司でもみんな仲良く握手をさせて和解」などのキレイごとではなく、それは長期目標ならばイイけど短期的には割り切って緊急避難で、加害者度が高い方を撲滅といわず退場・転校・隔離させ、両者が顔を合わせず異なる場所で生活できるように仕向けて、棲み分け的な共生となるように制度設計しておく。
 一方で公共空間や国際協議の場を作りつつも、私的・ローカルな場では棲み分け的な共生が必要なのは、異なる趣味間・文化間・国家間の関係でも同じことであって……と云い出すとアパルトヘイトだと批判されそうなので、以下略(笑)。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2018年春号』(18年4月1日発行)所収『劇場版ウルトラマンジード』合評5より抜粋)


『假面特攻隊2018年春号』「劇場版ウルトラマンジード」関係記事の縮小コピー収録一覧
徳島新聞 2018年3月16日(金)夕刊 「劇場版ウルトラマンジード」浜田龍臣 身近なヒーロー像に自信 史上最年少 主役に抜てき
・日刊スポーツ 2018年3月11日(日) 主演映画 浜田龍臣 サプライズに号泣 ヒーローになれた サプライズレターに涙する浜田龍臣
・スポーツ報知 2017年11月23日(木) 本仮屋ユイカ ウルトラヒロイン 「劇場版ジード」 主題歌はMayJ.
福島民報 2018年3月10日(土) シリーズの歴史実感 「ウルトラマンジード―」浜田龍臣
西日本新聞 2018年3月15日(木) エンタメ ウルトラマン「大きな経験」


『假面特攻隊2018年春号』上原正三「キジムナーkids」文学賞受賞・関係記事の縮小コピー収録一覧
山陽新聞 2018年1月23日(火) 岡山市坪田譲治文学賞 上原さん(沖縄出身)受賞 「キジムナーkids」来月25日贈呈式
山陽新聞 2018年1月24日(水) 岡山市坪田譲治文学賞 上原さん(沖縄出身)受賞 「キジムナーkids」(直上記事の短縮版)
山陽新聞 2018年2月26日(月) 坪田譲治文学賞贈呈式 上原さん(東京)に賞状
琉球新報 2018年1月24日(水) 上原さんに坪田文学賞 那覇出身「キジムナーkids」
琉球新報 2018年2月15日(木) 金口木舌(『返ってきたウルトラマン』「怪獣使いと少年」と「キジムナーkids」)
琉球新報 2018年2月27日(火) 坪田文学賞の上原正三さん 年を取ったから書けた


[関連記事]

ウルトラマンジード最終回「GEEDの証」 〜クライシスインパクト・幼年期放射・カレラン分子・分解酵素・時空修復方法はこう描けば!?

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180213/p1

ウルトラマンジード序盤評 〜クライシス・インパクト! 平行宇宙のひとつが壊滅&修復! その原理とは!?

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170819/p1

ウルトラファイトオーブ完結評 〜『オーブ』と『ジード』の間隙ほかを繋ぐ年代記的物語!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170603/p1

『怪獣倶楽部〜空想特撮青春記〜』に想う オタク第1世代よりも下の世代のオタはいかに生くべきか!?

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170628/p1

ザ・ウルトラマン ジャッカル対ウルトラマン 〜日本アニメ(ーター)見本市出展作品!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160914/p1

[関連記事] 〜平成ウルトラシリーズ劇場版・評

ウルトラマンUSA(89年) 〜日米合作80年代アニメ!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100821/p1

ウルトラマンティガウルトラマンダイナ 光の星の戦士たち(98年) 〜合評

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971206/p1

ウルトラマンティガウルトラマンダイナ&ウルトラマンガイア 超時空の大決戦(99年) 〜合評

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19981206/p1

ウルトラマンティガ THE FINAL ODYSSEY(ファイナル・オデッセイ)(00年)

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961209/p1

劇場版 新世紀ウルトラマン伝説(02年)

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20021115/p1

ウルトラマンメビウスウルトラ兄弟2 〜東光太郎! 幻の流産企画!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20130317/p1

大決戦! 超ウルトラ8兄弟(08年) 〜ティガあっての新作だ!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101223/p1

大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE(09年) 〜岡部副社長電撃辞任賛否!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101224/p1

ウルトラマンゼロTHE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国(10年) 〜傑作!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20111204/p1

[関連記事]