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ウルトラマンオーブ最終回「さすらいの太陽」 〜田口清隆監督の特撮で魅せる最終回・ジャグラス改心の是非・『オーブ』総括!

(2017年8月27日(日)UP)


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 TV特撮『ウルトラマオーブ』(16年)とその後日談の映画『劇場版ウルトマンオーブ 絆の力、おかりします!』(17年)につづく、さらなる後日談のTV短編特撮『ウルトラファイトオーブ』(17年)放映開始記念! とカコつけて……
 『ファイトオーブ』#1放映日の2017年4月15日付けで、『ウルトラマオーブ』最終回評をUP!


ウルトラマンオーブ最終回「さすらいの太陽」 〜田口清隆監督の特撮で魅せる最終回・ジャグラス改心の是非・『オーブ』総括!

(文・T.SATO)
(17年2月11日脱稿)

特撮:実景に怪獣合成! 実景で走行変身!


 セットではなく実景の東京の広大な大空と遠景の町並のビル街に、ラスボスの巨大怪獣・マガタノオロチがポツンと合成される!
 しかして、ラスボス怪獣は実景に埋もれることなく、四方八方に赤黒くて禍々(まがまが)しい長大な光線を放って、チープな特撮火薬爆発ではなくCGによるリアルな爆発をほうぼうに巻き起こし、不穏な爆煙が幾筋も上空に細長く立ち登っていく!
 初代『ウルトラマン』(66年)の科学特捜隊の戦闘機を模して、その赤い腹の部分を青色に変えただけ(笑)のVTL(ビートル)隊の戦闘機・ジェットビートルならぬゼットビートルも、この遠景の実景合成カットの中にケシ粒のようなサイズで左右や手前上方から大挙飛来。ラスボス怪獣に左右から総攻撃を仕掛けるも、重量級の見てくれでも意外に俊敏なラスボス怪獣による光線の反撃で、次々に撃墜されていく!
 状況自体は客観的には絶望的なのだが、そこは特撮エンタメの本質はやっぱり「不謹慎」なのダ! というべきなのだろう。スケール雄大感とカッチョいい映像でワクワク・テカテカ・ニヤニヤとしてしまう。


 コレらの特撮合成映像をバックに、手前では高架の小綺麗な歩道橋上で、我らがウルトラマンオーブこと風来坊青年クレナイ・ガイと宿敵青年ジャグラス・ジャグラーが、ヒロイン・ナオミをめぐって痴話喧嘩(笑)を繰り広げている! まさに「特撮シーン」と「本編ドラマ」の華麗なる癒合!(?)


 怪獣災害で人々も避難したあとなのであろう、無人の車道を駆け足で走っているガイ青年をカメラがヨコから追いかける。いつもは黒バックでのバンク映像だが、新撮にてガイ青年が走行しつつ両腕を振りかぶって変身ポーズを取ってみせる特別感!
 変身アイテムのカードリーダーに初代ウルトラマンのカードを読み込ませるや、バンク映像ではガイ青年の左隣(画面的には右隣)に等身大の直立仁王立ちで出現する初代ウルトラマンが、今回の新撮では駆けているガイ青年の実景の左隣奥に、5メートルサイズで両手両脚もスックと伸ばしたウツ伏せ飛行ポーズで合成にて出現!
 そのまま、駆けるガイ青年をカメラが追い越していき、アングルもヨコから斜め、真っ正面から捉えたショットへと変わっていき、彼が続けてウルトラマンティガのカードを読み込むや、今度は右隣(画面的には左隣)に並行飛行するウルトラマンティガも合成で出現!
 2大ウルトラマンを左右に併走させて駆けているガイ青年の図!


 その直後は、毎度おなじみ様式美的な異空間の中で、ガイ青年に初代マン&ティガを合体させて誕生する、右拳をカメラに向けて突き出したウルトラマンオーブの基本(?)形態・スペシウムゼペリオンが画面奥から手前に迫り出してくる、出現&巨大化カットのきらびやかなバンク映像だ!
 ……と、思いきや、いつものバンク映像はそのままでは終わらない。バンク映像の続き(!)までもが描かれる。
 異空間の中を飛行するオーブ・スペシウムゼペリオンは、固定カメラ(?)の真横を通り越し、カメラも首を振ってオーブを追いかけるように、最接近したオーブの横顔のアップ映像を、そして前方へと飛行して小さくなっていく後ろ姿を追いかけていくのだ!


 異空間を抜けるや、そこは実景の東京の上空で、眼下にはビル街に鎮座ましますラスボス怪獣の姿が!
 ここまで1カットの長回し映像だったが、カットが割られて、ラスボス怪獣が放つ赤黒い光線を、顔面の正面に張った円形の光学バリアで弾きながら斜め降下飛行で突進していくオーブの姿を、超ロング(引き)の真横から捉えた映像で描いていく。
 飛行落下の勢いで、ビル街の大通りのアスファルト舗装をメクり上げつつ着地滑走しながら、両腕を振り回して所定のポーズを取って右腕から「八つ裂き光輪」を投擲するオーブ! ……と、ここでもサプライズが!
 往年の『ウルトラセブン』(67年)の対イカルス星人戦の特撮演出みたく、画面手前に迫ってきて追い越して後方へ飛んでいく「光輪」を、カメラマンが急いで避けるために思わず背中から寝そべって、ついでに上空を通過していくサマを撮影し、さらに後方へと投球されていくサマを背面エビ反りで逆立ちして追いかけているかのような、最後は上下が反転したビル街に鎮座するラスボス怪獣に「光輪」が命中する映像までもが描かれる!


 ……なんという、カッチョいい特撮ビジュアル!
 かの坂本浩一(さかもと・こういち)カントクが「アクション監督」あがりの監督ならではの映像演出手法を取っていたとすれば、本作の田口清隆(たぐち・きよたか)カントクは「特撮監督」あがり(?)の監督ならではの映像演出手法をココで体現してみせた! と云ってもイイだろう。
 2010年代における、独創性のある「特撮映像」「特撮演出」の達成・成果はたしかにあったというべきだ!


 実景の遠景の東京に怪獣を合成する試みや、ウルトラシリーズの古式ゆかしい超爆薬兵器名を合体させたスパイナーR1(アールワン)(笑)による怪獣撃滅作戦などのストーリー展開は、本作放映の数ヵ月前の7月末に公開された大ヒット作の怪獣映画『シン・ゴジラ』(16年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160824/p1)とも一部がカブる。しかし、出来上がった映像やキャストやエキストラの服装やその屋外の自然光の光量からも真夏の8月だと推測されるし、またググってみると最終回の撮影は実際にも8月であったようだから、脚本などの準備期間的にも『シン・ゴジラ』に影響を受けたということはなく、現代にそれっぽい本格怪獣映画指向のエピソードを作るとすれば、このような作り&映像になるということなのだろう。


本編:ガイ×ナオミ×ジャグラス痴話喧嘩(笑)


 もちろん、この最終回のイイところは、「特撮映像」「特撮演出」ばかりではない。
 ここで引き合いに出すのは気が引けるけど、同じく「特撮監督」あがりの今や大ベテラン・樋口真嗣(ひぐち・しんじ)カントクが、その特撮演出やアニメ絵コンテ(主に戦闘シーン・笑)での神がかった技量と比して、いまだに本編演出・人間描写においてはその手腕はいかがなものなのか? とドコとなく心許なく思わせるのに比すると(私見です・汗)、田口カントクはけっこうガチンコで暑苦しく人間(役者)をノセて撮っていて、しかもそれが上ずってはおらず地に足が着いている感もある。


 メインキャスト陣の好演もあるのだろう。
 当初は本作におけるラスボスになるのかと私見した狂気の宿敵ジャグラス・ジャグラー青年が、その身勝手でパワー信奉の卑怯で卑劣なブラックポリシーを徹底できずに、いつものイカレた調子で悪態をつきながらも、アイデンティティ・クライシスに襲われて揺らいでいるのか、その瞳から涙も流しているという、ダブルミーニングの演技&演出プランも実にイイ。


 そしてナンとビックリ、痴話喧嘩の現場のまさに中心に、撃墜されたゼットビートルがご都合主義(笑)にも墜落! 大爆発が起きてCMに入るも、CM明け直後には(笑)、人質に取っていたヒロイン・ナオミをジャグラー青年が咄嗟に無意識にかばって救っていたことが判明する!


 108年前の北欧のツンドラ森林地帯での――てっきりシベリアだと思ってましたが北欧だそうです(汗)――ウルトラマンオーブvs宇宙恐竜ゼットンならぬ魔王獣マガゼットンとの戦いで生じた大爆発に巻き込まれて死んでしまった! と思われていた、ガイ青年とも恋仲(?)であった白人少女も――ナターシャという名前やマトリョーシカ人形からてっきりロシア人だと思っていたけど、そうではなかったのでありました(笑)――、『オーブ』終盤では実は生き延びていたらしい、という甘々(あまあま)な展開(批判ではなく)になってきてはいた……。
 そして、かの白人少女を救っていたのも、実はジャグラー青年であったことがここにて明かされる! コレまたビックリ。ジャグラーくん、けっこうイイ奴じゃん(笑)。


 自身の行動が理解できずに混乱しているジャグラー青年に、ガイ青年が顔面グーパンチをかました直後、ギュッっと抱擁してみせる! ……キャーーー!!!(黄色い声)
 ドコぞのBL漫画だよ!(笑) いや、野郎が美少女ばかりに注目するようになった現在、BL(ボーイズ・ラブ)漫画こそが男同士の友情を熱く描く少年漫画の系譜を正当に継ぐものだ! という説もあるからネ(汗)。


 レギュラーメンバーでもある怪奇現象調査の民間組織・SSPのメンバーの黒メガネくんと茶髪クンのふたりも、最終回の大バトルでは超兵器とかも保有してないから状況にカラませるのはムズカしいだろうと思っていたけど、その専用車両がガレキの下敷きとなって閉じ込められるというかたちで状況にカラませる。
 もちろんそれだけだと、悪の組織に人質にされてしまう要員レベルではあるけれど、ゲルマン神話の英雄ジークフリートや『仮面ライダースーパー1(ワン)』(80年)の帝王テラーマクロが変身した怪人・カイザークロウの弱点のごとき、ラスボスの顎(アゴ)の下にある弱点を見つけて勝機のキッカケとなることで有用感も醸(かも)す。


 2010年代の「ウルトラマン」作品の特徴かもしれないが、状況は客観的には絶望的でも、イイ意味でその描写はムダに辛気(しんき)クサくはさせずにサラッとカラッと時にギャグも交えて明朗に描いているフシがある。本作もそのご多分に漏れない。
 こんな絶望的な状況で死地に陥(おちい)ってシンミリとイイ話をしていたSSPメンバーの断末魔の眼前に、「天使だ!」という形容で天国からのお出迎えであるかのように金色の光に包まれたベテラン俳優・柳沢慎吾ちゃんの笑顔が! というムダな特撮カット(笑)で、本作のコミックリリーフでもあるVTL隊の渋川隊員――その正体は情報特務部隊の隊長! というおエライさんでもあった!――が救出に参上!
 このへんの軽妙なお笑い特撮演出もまた、少々マジメにすぎたと私見している90〜00年代前半の「ウルトラマン」作品にはなかった要素でもあり、このお笑いもあるエンタメ的なバランス感覚が、個人的にはポイント高い。


 各種インタビューを読むに、本作においては企画時点でも玩具展開でもそもそも存在していなかった怪獣攻撃隊が、それは怪獣がフツーに存在する世界観ではムリがあるだろうとの、田口カントクのたっての希望で投入されたのがVTL隊の設定であったようだ。そして、そのVTL隊はこの最終回の最後では前座のヤラれ要員に留まらない活躍も見せてくれる!
 SSPメンバーによるラスボス怪獣の弱点情報をバトンタッチされた渋川隊員もとい隊長は、最終回前後編のゲストにして我々の仲間でもある(笑)ベテランオタク俳優・佐野史郎(さの・しろう)が演じる、VTL隊の背広組の長官に直談判して作戦の許可を得る。
 そして、ゼットビートル大編隊によるラスボス怪獣の顎下への一斉攻撃を通信機で命じる頼もしい慎吾ちゃんのお姿が! それがウルトラマンオーブたちの勝機にもつながることで、往々にして不要じゃね? とツッコミされがちな怪獣攻撃隊の有用感もいや増す!


 1960年代の今はなき日活制作の無国籍アクション映画を模したワリには、吉永小百合のような清純で可憐な乙女ではない、SSP代表でもある本作メインヒロインも、このご時世では守られているだけの存在には留まらない。髪の毛をアップにしてオデコを出して物怖じせずに凛とした、汚れ演技や命令口調もサマになる強気系の美少女・松浦雅(まつうら・みやび)ちゃんが演じるナオミにこそハマる芝居の、プライドが崩壊し脱力・弛緩しているジャグラー青年に対する叱咤激励! というか直球のドS・命令芝居!(笑)


オーブ・ジャグラス・8戦士 vs ラスボス魔王獣


 改心の決意を固めたらしきジャグラー青年が、その正体である漆黒の魔人の姿で巨大化して、その日本刀(?)でウルトラマンオーブの絶対絶命のピンチを救う! その日本刀の絶妙の切れ味を表現するために、触れてないのに切っ先の旋風で切れたのか、斜め下にスライド落下していく隣接した中層ビルの図もお約束!
 オーブの方を見もせずに無言でその左手を差し伸べて、膝を屈しているオーブの右手を取って、立たせて共闘せんとするサマも、まさに究極のツンデレ!(笑)


 そのあとは、実に息の合った絶妙のコンビネーション攻撃で、ラスボス怪獣に対する逆転劇がはじまる! 最後はラスボス怪獣の触手にカラみつかれるも、コレもまた怪獣映画や「ウルトラマン」作品ではともかく、活劇や少年漫画では王道の展開の「俺ごと刈れ!」パターン!


 「諸先輩がた! 光の力、お借りします!!」の掛け声とともに、ビル街に立つオーブの両隣に召喚された先輩ウルトラマンたち、ゾフィー・初代マン・ジャック・タロウ・ティガ・メビウス・ゼロ・ベリアルがヨコ並びで勢揃いして、一部先輩に所定のタメのポーズをキチンと取らせたあとで、それまで律儀に待っていた(笑)残りの先輩たちともども、一斉に必殺光線を放つ!
――コレは個人的には先輩ウルトラマン本人が強引にペイペイの後輩戦士・オーブごときに急に召喚されてワザワザ8人も降臨したワケではなく、ご本人の力が託された各種カードから、ご本人ではなくその人格や意志ヌキの「力」のみが具現化したのだと解釈するけど、メインターゲットの幼児的には先輩本人が降臨したと解釈しても問題ナイとは思います(笑)――


 本作における怪獣は「魔王獣」と呼称され、古文書「太平風土記(たいへい・ふどき)」にもその存在が予言書のように記されているという、和風かつ伝奇的なテイストを持っていた。
 ラスボスの最強魔王獣の名称は、中盤にも登場した中ボス怪獣・マガオロチの延長で、それの成体であるマガタノオロチ(笑)だと命名されている。日本神話に登場する古式ゆかしい怪獣の元祖をもじったベタベタなネーミングだが、ヘンに小洒落たものよりもこの適度にB級なセンスのネーミングは、ベタゆえの力強さもあって個人的にはキライじゃない。「火」や「水」や「土」や「風」に「光」や「闇」などのエレメント・元素的な属性を持つ、往年の怪獣図鑑や近年の召喚モンスターもののような、設定的な統一感がありつつも各自に独自性もある、「魔王獣」の適度にチャイルディッシュで伝奇ファンタジー的な設定なども、個人的にはスキである。


 色彩は暗褐色で地味だけど、オロチ(蛇)の名に恥じない肉食爬虫類チックで口部に向かって鋭角的に突き出た巨大な頭部に、大きく裂けた口顎。両腕は存在せず、その口頭部が身体の上部ではなく腹部前面にあるのも、通常回の直立二足歩行の恐竜型の怪獣とは別種なものとしての、ラスボスにふさわしい貫禄と異質さを醸す。


 思えば、同じく田口カントクが担当した前作『ウルトラマンX(エックス)』(15年)最終回前後編も、そのラスボス怪獣(宇宙人?)は通常回の怪獣とは明確に差別化がなされて、白黒モノトーンの色彩のヒト型でありつつも、眼鼻口がないことで人間的・動物的な意志や情動は感じさせないけど、その身をよじりつつ「ケタケタケタケタ」と奇妙な甲高い笑い声をあげることで不気味さと、無機質でも最低限の意志や情動描写を両立させて、最終回にふさわしい異質さ・別格感・強敵感を醸し出していた。
 ハードSF的にはトンデモ設定でもライトSF的にはカッチョいい、このラスボス怪獣それ自体が「無」そのものの存在であるという、幼児はともかく小学校中高学年以上であればワクワクさせられるような、往年の怪獣図鑑疑似科学的・SF的なハッタリ設定スペックも、子供番組的には申し分がないものである――厳密には、「無」そのモノであるのなら意志や情動もないであろうから、地球最強の生物であると認定してウルトラマン打倒を目的にワザワザ日本に飛来して戦闘を開始することもナイとは思うけど、このテの作品にそーいうガチなツッコミを入れるのはヤボである(笑)――。
 このラスボス怪獣が宇宙から飛来して、赤いラインが入って奇抜な形をした適度にオモチャっぽい(ホメ言葉・笑)各国の怪獣攻撃隊の艦隊群とも洋上で攻防を繰り広げつつ日本へと接近していくサマを、独創的な合成カットや特撮カット、そしてレギュラーメンバー全員による総力戦でジックリと披露して、大いに堪能させてくれたものであった。
 コレら「怪獣」や「戦闘」描写にこだわって、各怪獣それ自体の特徴・生態・特殊能力を描いて、そこを起点に攻防の物語を紡いでいくことこそ、このテの番組では非常に重要なことであり、あるイミでは番組やジャンルのキモですらあると思うのだ。


 もちろん『ウルトラマンギンガS(エス)』(14年)最終回にも『ウルトラマンX(エックス)』(15年)最終回にも本作『ウルトラマンオーブ』最終回にも、「人間ドラマ」が一応はある。しかし、それは行き過ぎると、娯楽活劇作品としてはモタついたりシメっぽくなってしまうものなので、諸刃の剣(もろはのつるぎ)でもあるのだ。
 90〜00年代前半の平成ウルトラ作品や……あるいはよりエンタメ寄りの2010年代の「ウルトラマン」作品への転轍機ともなったやもしれない中興の『ウルトラマンメビウス』(06年)の最終回(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070505/p1)でさえ、やはり特撮大バトルよりも人間ドラマの方にやや比重が寄って盛り上げようとする傾向があった。しかし、ここ数年の「ウルトラマン」作品は危機的・絶望的ピンチに陥っても過剰にシミったれた印象やウダウダした愁嘆場は描かずに、そこは寸止めしてまずは爽快感のある特撮大攻防劇・大逆転劇を主眼に描き切る!


 前作『X』に続いて今回の『オーブ』も、最終回に実にふさわしい、通常回の敵怪獣とは格が異なる強敵怪獣を相手にした大スケール・大バトル・大特撮シーンを、そしてレギュラーメンバー全員が総力戦的に大活躍する、しかして肩ヒジを過剰に張ってはいないけど、実に暑苦しくて、よくできた活劇作品として観させてもらったのでありました。満腹、満腹。


夕焼けの別離 〜ライバル生存&その甘さの是非


 大きな夕焼けをバックにしたラストでは、主人公・ガイ青年とヒロイン・ナオミの、そうとは語らないけど実質的には愛の告白めいた、しかしてジメッとはせずに適度に乾いた、互いに過剰に依存したり縛ったりすることもないのであろう精神的に自立した男女による、クサいけれどもカッコいい秀逸なセリフ&演技の応酬が光る別離のシーンが描かれる。
 ここで唐突にオッサンオタクの繰り言になって恐縮だけれども、こーいう70年代まではフツーに流通していたフィクション描写が、80年代になると唐突に「クサい」「ウソくさい」「芝居クサい」とTVのお笑い番組や若者間で過剰にバカにされて忌避された時代がかつてはあったものだ。それから実に30年!(汗) そーいうクサいけれどもカッコいい描写がいつの間にやらフツーに復権していて隔世の感がある。
 とはいえ、もちろんベタに保守反動・反革命で古典古代に単純に復古・回帰したワケではなく、ガイ青年が本作の第1話で、クール宅急便の軽保冷車の中から霜降り状態(笑)で初登場したように、「カッコよさ」だけではなく半分だか1/3くらいは「お笑い」の目線が含まれているあたりは、「カッコよさ」と「お笑い」がアウフヘーベン――正・反・合の弁証法的発展(笑)――されたメタ的なヒーロー描写だともいえるだろう!?


 そして、その愛の告白めいた別離の場の近傍には、それを生温かく見守るジャグラー青年がフツーにいたりして。……ついさっき、「じゃあな!」と別れの言葉を告げて爆発の露と消えたハズのジャグラーさん、生きてたんかい!?(笑)
 108年前の白人少女といい、日本刀で斬られて死んだ(ように見えた)ヒロイン・ナオミといい、ジャグラー青年といい、70年代までの少年漫画やフィクション作品ならば、彼らはフツーに死んでしまって最期(さいご)は夜空のお星さまになっていたろうとも思う。
 しかし、80〜90年代以降のジャンル作品は、時代の空気・風潮のせいでもあるのだろう、ドー見ても死ぬだろう描写でも「実は生きていました!」、ドー見ても永遠の別離だろうと思いきや「別れてませんでした!」「帰ってきました!」という展開が隆盛を極めるようになっている――前年度作品の『ウルトラマンX』完結編である『劇場版ウルトラマンX きたぞ!われらのウルトラマン』(16年)ラストでも、主人公青年との物悲しい別離後にアッサリ、ウルトラマンXが地球に帰ってきたりする(笑)――。


 一般の人間ドラマや文芸映画などで、このテの「実は生きていました」パターンをやってしまうと、作品のリアリズムの基準線的にムリが生じて、作品が安っぽくなってしまったり、はたまた破綻してしまうこともあるだろう。しかし、「怪獣」だの「宇宙人」だのといったそもそもが非リアルで超常的である存在がフツーに存在している子供&少年向けのジャンル作品では、このテの「実は生きていました」パターンはもちろんツッコミどころは満載で半分は笑ってしまうけど、一般的なドラマにおけるそれよりかは鼻につかないし、辛気クサく終わったり視聴者である子供たちに過剰に物悲しい思いをさせるくらいであるのならば、「実は生きていました」オチのご都合主義で明朗に終わるパターンも個人的には悪いものではないとすら思う。……まぁたしかに「自立」とか「成長」とか「成熟」とか、人生は思い通りにはならないヨという「不条理」「無常観」などというテーマは描きにくくはなるけれど。


 もちろんオッサンのオタクとしては、改心さえすれば、それまでのジャグラー青年の蛮行は法的にも道義的にも許されるものなのか!? というツッコミも脳裏に瞬間的によぎりはする。
 よぎりはするのだが、コレがフツーの人間だったらアウトで許されないのだろうけど、彼の正体はホモ・サピエンスの人間ではなく宇宙人というファンタジーな人外の存在であることから、人間の法律では裁きにくい治外法権的(笑)な存在やもしれず、そのモラルも人間とはビミョーに異なるものであろうから、そして白人少女やナオミを咄嗟に本能的に助けた自身の行為にすら困惑して狼狽してしまう豆腐メンタル(笑)なあたりも、そーいう心性の種族の宇宙人だから人間のメンタルとは異なるのだろう……などなど、視聴者に瞬時に無意識に脳内で高速で大量計算させて、「多少灰色で隙がある描写に見えるけど、まイっか!」という脳内補完(笑)的な結論を導出させているようにも思うのだ。
 まぁ要は本作もまたイイ意味でリアリティが最優先されるような世界観の作品ではなく、視聴者に爽快感・カタルシスをもたらすことが最終目的であるエンタメの文法が優先された世界観の作品であったということで。仮に灰色の危うい要素があったとしても、それはあくまで白色寄りであったという(笑)。


 ……ジャグラー青年の最後の改心はミエミエの展開だったって? エ〜〜、そうでもないでしょ。
 悪なりの「美学」や「大義」を持っているというより、サイコパスが入っているような生来の「性格異常」にしか見えない描写&演技もなされてきたジャグラー青年。なので正直、イイ者に改心せずにブザマに醜態をさらして散華していくパターンに物語が分岐・着地していったとしても、まったく不自然ではなかったとも思う。そーいう展開になったとしても、筆者個人はケチを付けないし、それはそれでナチュラルな展開だったとも思うゾ。
 それだけに多少のムチャや安っぽさはあっても、ジャグラー青年自身が白人少女やナオミの救い主であったことについては、ギリギリOKでサプライズもあったと思うのだ。


佐野史郎登板の意義 〜『オーブ』私的総括!


 ベテラン・重鎮・著名な役者を出すことで、画面に厚みや深みや状況の重大感も醸すことが目的であったろうとは思うけど、ラスボス怪獣を撃滅直後、VTL隊本部の司令室で、クールに「作戦終了!」を下命してその場を退座するも、退室直前に一旦立ち止まってカメラ前で公人としてではなく私人として、苦みの「苦笑」とリラックスした溜息とともに「安堵」の表情をも浮かべる佐野史郎演じる長官の姿も描かれる。
 怪獣攻撃隊の隊長よりも上位に位置する上官や長官も、昭和ウルトラの時点で、官僚的で横柄な悪役として一面的に描いたり、横柄かと思いきや地球に激突せんとするウルトラの星かもしれない惑星への攻撃に迷っている多面的なサマや、意外に家族思いのサマを描いたり、はたまた生徒思いの校長先生&イヤミな教頭先生コンビのような長官&副官コンビとして描いたり、その描写の幅はすでに広げきっていて、後続の作品での上官描写はそのワク内での反復でしかないとも個人的には考えている――ただし反復が悪いと思っているワケではない。文芸作品ならぬ我々が好む通俗娯楽活劇作品なぞはすべてがルーティンだともいえる――


 もちろん田口カントクが意図したことではまったくないけれど、結果的にこの「苦渋」と「安堵」の演技は、一部のスレたマニア視聴者の感慨の代弁にもなっていたやもしれない。終わり良ければすべて良し……とまでは言い切れないにしても、前々作『ギンガS』や前作『X』と比すれば、特にそのシリーズ前半についてはイマイチ劣るかも……と思っていた『ウルトラマンオーブ』が、前2作に負けじ劣らじ、視聴率や玩具売上的には知らないけれども、ごくこく個人的には90年代〜00年代前半の「ウルトラマン」作品よりもエンタメ的にはスンナリとサクサク観られる2010年代にふさわしい作風の作品に仕上がってくれたことについては(異論は受け付けます・笑)、まさに「苦笑」と「安堵」の両方の表情を浮かべてTVの前から退出したい筆者なのであった。


追伸


 最終回のサブタイトルはナンと「さすらいの太陽」! コ、コレは往年の歌手・藤圭子宇多田ヒカルの母ちゃんだヨ)をモデルにした、白いギターを片手に流しの歌手をしている少女を描く、脚本家・藤川桂介センセイ原作の少女漫画のTVアニメ化作品『さすらいの太陽』(71年)からの引用だよネ!? 筆者もリアルタイムではさすがに観てないけど、はるけき昔の1980年の晩秋〜年末の平日夕方の再放送は観たことがあって、荒れていた酒場の客たちが彼女の歌で鎮まるシーンが印象に残っているけど、小学校のクラスメートたちもいわく「なんかクラい番組だよネ……」(笑)。
 数年前にこの作品が円盤ソフト化された際に、ネットのニュースではアイドルアニメ『ラブライブ!』(13年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160330/p1)や『アイドルマスター』(11年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150615/p1)の元祖! と煽られていたけれど……。そ、それは少し違うと思うゾ(笑)。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2017年冬号』(17年2月12日発行)初出〜『仮面特攻隊2018年準備号』(17年8月12日発行)所収『ウルトラマンオーブ』完結合評2より抜粋)


『假面特攻隊2018年準備号』「ウルトラマンオーブ」関係記事の縮小コピー収録一覧
・「ウルトラマンオーブ」全話視聴率:関東・中部・関西。各クール平均・全話平均視聴率
毎日新聞 2017年3月15日(水)夕刊 特集ワイド「ウルトラセブン」放映開始50年 脚本に沖縄の現実投影 織り込んだ「戦争」や差別/新たな「非武のヒーロー」作りたい


ウルトラマンオーブ』平均視聴率:関東1.2%・中部1.2%・関西0.8%
 1クール相当:関東1.3%・中部1.4%・関西1.0%:(7〜9月)直前SP+#1〜12
 2クール相当:関東1.2%・中部1.0%・関西0.7%:(10〜12月)#13〜25


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ウルトラマンマックス最終回 〜終盤評 #33、34「ようこそ地球へ!」バルタン星人前後編

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ウルトラマンメビウス最終回 最終三部作 #48「皇帝の降臨」・#49「絶望の暗雲」・#50「心からの言葉」 〜ありがとう!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070505/p1

ウルトラギャラクシー大怪獣バトルNEO最終回 #12「グランデの挑戦」・#13「惑星崩壊」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100331/p1

ウルトラマンエース最終回「明日のエースは君だ!」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070429/p1

ザ☆ウルトラマン最終回 #47「ウルトラの星へ!! 第1部 女戦士の情報」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100328/p1

ザ☆ウルトラマン最終回 #48「ウルトラの星へ!! 第2部 前線基地撃滅」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100404/p1

ザ☆ウルトラマン最終回 #49「ウルトラの星へ!! 第3部 U(ウルトラ)艦隊大激戦」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100411/p1