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新世紀ウルトラマン伝説


[ウルトラ] 〜全記事見出し一覧


(02年8月3日封切)
(『劇場版ウルトラマンコスモス2』併映作品。興行収入・7億円)
(監督・鈴木清 監督補・秋廣泰生 企画構成・荻野友大&白石雅彦&なかの陽)


(文・T.SATO)
 昨01年末だか02年の年頭だかにCM放映された、本作と同名のタイガー魔法瓶の水筒は、本作との連動企画だったのか?



 『劇場版 ウルトラマンコスモス2 THE BLUE PLANET(ブルー・プラネット)』(02年)1本立てではジミだろうと企画された(?)本作。
 第1期『ウルトラ』マニア間でのファーストコンタクト・一回性重視のイデオロギーにより、映像世界では長年黙殺されてきたM78星雲ウルトラの国の往年のヒーローたち。彼らがついに映像作品にて復活!


 現役幼児とそのパパ・ママ層に向けた併映作品にして、しかもお祭り・お遊び超短編10数分映画に対して、マジメに作品論的アプローチをするのはコッケイだろう。
 TVの世界にパパ&息子が引き込まれて、ウルトラ兄弟の過去の激闘を目撃、最新の合成技術を駆使して、ヒーローのピンチに勝機を与える! ラストは現実世界に巨悪が出現、ヒーローたちも雄姿を現わす!


 ……お祭り映画としてはまぁ楽しめた。


 今回、ウルトラヒーローの必殺光線一斉発射! の図を見せてくれたなら、次回作ではウルトラマンエースの頭頂のエネルギーホールに全戦士のエネルギーを集中させてスペースQを!
 ウルトラマンタロウのツノに全戦士のエネルギーを集中させてコスモミラクル光線を!
 全戦士のウルトラピラミッドの頂点にウルトラ兄弟の長兄・ゾフィーが立ってビッグM87光線を!


 全防衛隊(アニメも含む)の飛行メカ・宇宙戦艦が総登場して、一斉援護射撃! なんて図も観たいなぁ
 ――巨大ロボ・マウンテンガリバー5号(『ウルトラマンダイナ』(97年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971215/p1)#42「うたかたの空夢」・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971210/p1)も登場希望! モチ、BGMは平成のワンダバ・スーパーGUTS(ガッツ)(同じく『ダイナ』の防衛隊)のテーマにて――。
 ネタは小出しに、毎年のウルトラ映画の併映作としてぜひともシリーズ化して、往時のウルトラヒーローたちを映像で語りついでほしく思う。


 ドラマはなくともイイから、イベント性だけで押しまくるテもある。
 『ウルトラマンタロウ』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)ムルロア前後編のフィルム……漫画家・内山まもるが描いたウルトラの国のイラストを、ズームやパンやストップモーションで再編集して時間を引き延ばし、ウルトラの国の建造物やらその数十万年の歴史、宇宙警備隊のアンドロメダ星雲やらSP25星雲やらのインターギャラクシーな5大支部(だっけ?)の存在、宇宙保安庁やら勇士司令部やら宇宙情報局やら夏の日泳いだプールやら(笑)、幾多の組織を紹介するだけで、1本の短編を作ってもイイだろう!
 無論、ラストは申し訳に伏線なく(笑)、敵軍団が出現して集団バトル。ここぞとばかりに、ウルトラベルやらウルトラキーにウルトラミラー((C)マンガ『ウルトラマン超闘士激伝』・92〜97年・asin:4063216853ISBN:4835444094)などの三種の神器も大活躍!


 古くは劇場版『怪物くん 怪物ランドへの招待』(81年)、近年では『とっとこハム太郎』劇場版(01年)でも、異界探訪やらファンタスティックな故郷紹介は、子供心の淵源をそそる普遍のネタなのだ!
 敵も作品ごとに取っ替え引っ替え、バルタンだったり、メフィラスだったり、ヤプールだったり、テンペラー星人だったりザム星人、究極のエンペラ星人(!)、……果ては宇宙の帝王ジュダでもジャッカル大魔王でもイイぞ!


 TV版アンドロメロスたちもピンチに駆けつけてほしい。あの鎧が剥がれると、実は中身が内山まもる版のアンドロメロス! ……だったらなぁと長年妄想しつづけているアホな私。
 出自もなぜか、アンドロ戦士から宇宙警備隊アンドロメダ星雲支部隊長にマイナーチェンジ・ダブルミーニングされて、彼はTV版のメロスなのか内山版のメロスなのか子供たちや我々年長マニアをケムに巻き、正解のない不毛な議論を惹起させよう!
 (――むろん真の正解はオトナの事情もしくは子供たちへの商業戦略。またはTVと映画でプロデューサーが違うから(?〜笑)。それの何が悪い!――


 BGMは、


 『ウルトラマンエース』(72年)#1「輝け! ウルトラ五兄弟」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060514/p1)の、ゾフィーのバラード〜初代『マン』&『セブン』主題歌〜『エース』メインBGMのサビを巧みにつないだウルトラ5兄弟勢揃い時のあのBGMにはじまり、


 兄弟がせいぞろいしたら、『ウルトラ六兄弟の歌』のインスト!


 宇宙空間でのヒーロー集団バトルでは、ウルトラの星・U40(ユー・フォーティ)編「これがウルトラの星だ!!」3部作(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090914/p1)で有名な、組曲『ザ☆ウルトラマン』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971117/p1)!――イコール・『ウルトラマン80(エイティ)』(80年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971121/p1)3クール以降のエイティ反撃時のBGM――


 必殺光線一斉発射時には、映画『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』(74年・79年日本公開)の同様シーンの記憶も重ねて、イントロや締めもカッコいい同作主題歌『僕らのウルトラマン』インストが鳴り響き……。


 他にもレオ兄弟の大活躍を想起させるあのBGMや、レオとセブンのフレーズが交互に流れるあのバラード調BGMをバックに、レオとセブンが再会してほしいとか……。
 我ながら要望が妙に細かいナ(恥)。レコード会社さんも共存共栄しなければならない宿命上、新譜も仕方ないにしても、個人的には旧作BGMも使用を希望!



 まぁ程々には楽しめた本作。
 しかし、往年のヒーロー共演・総集編もの同種企画としては、昨2001年には『未来戦隊タイムレンジャー』(00年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001102/p1)最終回の25大戦隊登場の番外編や、Vシネマ『百獣戦隊ガオレンジャーVSスーパー戦隊』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20011102/p1)もある。
 企画ビデオ『ウルトラマンVS仮面ライダー』(93年・ASIN:B00005EFAN)や、各地の新旧ヒーロー集合のアトラクショーなどとも比較して、本作が心の底から面白かったと云えるかどうかは……。


 普段はマニアあがりのスタッフを批判してるのに豹変するが、こーいう企画はベテラン監督でなく、それこそ『ガオVS戦隊』みたくマニア上がりのスタッフが主導で作るのが適任ではあるまいか?
 鈴木清カントク(元カメラマン)は、『ウルトラ』の育ての親のひとりとは云え、マニアではなくお仕事としてカメラやカントク・プロデューサーをやってきたワケだから、ファンの見たいモノが判っているとはいえない。
 カントク自身が『ウルトラ』博士ではないと発言しているし、円谷プロファンクラブ会報では『社員カントクとして早く、安く』をモットーに製作したと包み隠さず語っている(笑・実際には契約社員であるというウワサを聞くが)。その発言は痛快でもあるがツマラなくもある。


 TVの世界に入り込み、主題歌をメドレーにした1曲で全編通し、随所にウルトラマンエクササイズで28人がダンスをし……。
 映画としてはまとまりがイイし、かつ映画的だとも云えるのだが
 ――細部の映像のセレクト・編集は特撮マニア向け書籍『大全』シリーズで活躍中の諸氏に任せたのだろうけど、各作品のメインタイトルロゴの映像をマルチ画面で流すのとかって、ちょっとマニア的な発想・欲求にすぎるのでは?(笑) その分、旧作映像を流した方が一般層向けにはイイような。エクササイズも照明やカット割り・ズームとかももっと細かい方が……アッ、早く安く、でしたネ(笑)――。


 しかし、幼児はともかく児童が観るときには、自身よりも歳下の子供がメインの劇中キャラというのには、シラケてしまうコも気質的にはいくらかいるだろう。
 それに、地球人の身近なフツーの親子よりかは、やはり非日常の権化の憧憬たるウルトラマンたちや宇宙人たち着ぐるみキャラ連中が、神秘的かつエラそーなセリフ(笑)&バトルを応酬してくれて、それ自体がイコール・ドラマともなっているような展開の方が、児童たちへの訴求力・吸引力もあろだろうしアキさせなかったのではなかろうか?


 ただ、仮に予算と尺数を与えられた場合でも、ウルトラヒーロー個々のそれらしいキャラや個性、振舞いやセリフの描き分けを、演出として鈴木カントクが与えられるかというと疑問ではある。多分できないだろうと見る。


 『タロウ』テンペラー星人編における、


 「兄さん、タロウがかわいそうだョ」


 の新マンこと郷秀樹や、


 「アンにゃろう、ブン殴ってやる!」
 「なんでい、テンペラー星人の一匹や二匹!」


 のエースことチンピラ北斗星児(笑)のように、いかにもな性格描写や見せ場を着ぐるみヒーロー自体に与えてドラマ性を付加すること……。
 そこにこそ、ウルトラヒーロー共演ものの次なる鉱脈もあるだろう。


 ならば、アトラクショーのスタッフたちに文芸面を任せたらどうだろう。
 メディアが映像でないゆえの無意識的差別か正当な評価が与えられていないのが残念だが、表面のテイストはチャイルディッシュでも、純ドラマ面・文芸面でのレベルの高さと、且つあくまでお子様向けのショーが前提で鍛えられた活劇とカタルシスの絶対の提供、そして短時間にまとめる手際は絶品である。


 それはそれでマニアックとして批判されるかもしれない。が、言葉・用語は厳密に使い分けよう。
 この場合のマニアックさとは、『ウルトラセブン』(66年)「盗まれたウルトラアイ」に「ノンマルトの使者」や、平成ウルトラの光がドーコーなどのテーマ主義的・社会派・観念的マニアックさではない。
 子供が王冠や石コロやビックリマンカードを集めて分類してウキウキワクワクするようなイミでのそれである(笑)。


 児童のころは(幼児にあらず)、『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)のかぐや姫の話を早朝再放映で見たその日、登校班や学校で『エース』の月星人(げつせいじん)・南夕子との関係はどうなるのだろう?
 ウルトラマンが帰還して、ハヤタは分離したのに、郷や北斗は合体したままだが……?
 初代マンだけ名前がないのはナゼだろう?
 などなど、虚構作品と知りつつも不毛な議論に我々は明け暮れたものだった。
 そーいう児童レベル(幼児レベルではない)でのマニアックさは肯定されるべきだし狙い打ちにすべきだ。でなければ、『ウルトラ』や特撮ヒーローものは、『週刊少年ジャンプ』や『コロコロコミック』『コミックボンボン』に拮抗することはついにないだろう。


 余談だが、中年マニアが知的遊戯としてならともかく、マジでなぜ初マンに名前がないのかとか、眉にシワ寄せてあげつらうのがハズいのは云うまでもない。
 同様に天下国家のことではなく(笑)、たかが子供番組のウルトラ兄弟の設定の復活への希望・執着を、中年マニアが芸なく主張するのは、傍から見ていてとてもイタイ。
 たとえそれが真摯な気持ちから出たものであっても……イヤ真摯な気持ちでやればやるほどイタイ(笑)。ワメき調であろうがシミったれ口調であろうが、それは同じことである。


 またそれは、自身と同じ価値観をいだくウルトラ兄弟肯定派にしか届かず、そこを越境して異なる価値観をいだくマニア(思想用語で飾れば他者や外部・笑)に同意を得ることあたわない。
 自分の思いや誠意を尽くせば通じるなどというムラ世間共同体的価値一元論(笑)は廃し、嗜好品については万人が共通の価値観などいだくワケもない多様化・細分化が不可逆的に進行する近代(笑)社会で、いかに普遍言語に置換し、あるいは児童ウケなり商業的メリットを主張して、それもアリかもと思わせ、共感&同意以外の、周辺・近縁・中間層を増やしていくこと。
 それこそがウルトラ兄弟肯定派の次なる取るべき戦略でもあるだろう。


 こんなにウルトラ兄弟の設定に自分は思い入れがあるのに……と女々しく訴えるような感情論は絶対禁じ手とすべきだ。そんな論で啓蒙できるワケねーだろ。
 こうやれば面白くなる、ワクワクする、という論理的説得力のあるトコロにヒトは集まり力となっていく。そーでないモノに集客力などない。


 筆者も本当はウルトラ兄弟の設定が黙殺されたことや、M78星雲のウルトラ兄弟設定を復活させた『ウルトラマンネオス』95年版(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971115/p1)が、ビデオ版(00年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120226/p2)であーなってしまったこと*1に、感情ブチまけたいのだが(笑)、その手法で要望が世に通ることは絶対にないのだから、そこには言及せず気にしてるそぶりさえ見せず(……ってココで明かしたらイミないが・笑)、あえてクラさやシメッ気を廃して、手を変え品を変え、メリットを主張してるのだ
 (このウラハラな気持ちを察しろ!・笑)。



追伸:平成『ウルトラ』劇場版の映像使用を優先したためにワリを喰ったのだろうが、ウルトラマンアグルと『ウルトラマンナイス』(99年・長時間(1分)コマーシャルとして製作)のみバンクフィルムの再使用がなかったのが残念だ。後者はビデオだが、『ネオス』だってビデオ撮影なんだしナゼ?
 まぁこのことが本作の致命的欠陥だとは思わないけど、平成『ウルトラ』劇場版のバトル場面再録を1本分カットしてでも、アグルとナイスの活躍を収録してほしかったなあ。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH−VOLT 号数失念』〜『假面特攻隊2003年号』(02年12月30日発行)所収)


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*1:ファーストコンタクトものだったこと。『ネオス』メイン脚本の武上純希(たけがみ・じゅんき)センセは、世代的にウルトラ兄弟の設定に思い入れがなく、初代『ウルトラマン』(66年)をやりたいのだろう。個別作品としての評価とは別に、95年のパイロット版ではウルトラ兄弟ものだった『ネオス』本来の企画意図と武上センセ起用はアンマッチだったとは思うが、ただ00年ビデオ版『ネオス』製作の円谷昌弘プロデューサーにしてみれば、平成『ウルトラセブン』98・99年版を共に作った武上は、自身と同世代(40代)でもあるので気安いゆえ登用するのだろうと推測する。エッ? 円谷昌弘Pは、ジャンル作品の脚本家連中やその作家性について詳しくないんじゃないかって? ……そうかも(汗)。