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仮面ライダー剣 前半合評2 ~シリーズ序盤の混迷を整理・脱却!

『仮面ライダー剣』前半合評1 ~ベテラン脚本家・今井詔二作品として!
『仮面ライダー剣』最終回・合評 ~會川ヒーローは痛みと深みを増して
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仮面ライダー剣ブレイド)』前半合評2 ~シリーズ序盤の混迷を整理・脱却!


仮面ライダー剣』前半合評2

(文・久保達也)
(2004年4月執筆)


 前作『仮面ライダー555(ファイズ)』(03年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20031102/p1)までの平成『ライダー』作品を担当してきたプロデューサー・脚本・監督等のスタッフがかなり入れ替わったために、さぞかし作風が変わるかと思いきや…… 多少バトル面が充実したくらいで、相変わらず日曜の朝にはふさわしくない作風だ。


 芸術だかオブジェだかを作っているかのような、リアル志向でデザインの美しさばかりが先行して漫画的なキャラクター性が欠如している敵怪人たちについても、個人的には好みではない(笑)。それはともかく、筆者個人の好みは別として、これまでの平成『ライダー』人気を支えてきた魅力さえも乏しくなってしまっている点はちょっと痛い。


 まず、なんといっても平成『ライダー』といえばイケメンだが、本作でももちろん何人ものイケメンが登場する。しかし、ルックス的にはみんなが似たような髪型や髪の長さなので、筆者はいまだに主役の顔が覚えられない(汗)。もう誰が仮面ライダーブレイドで誰が仮面ライダーギャレンで誰が仮面ライダーカリスに変身するヤツなのか、観ていて判らなくなる御仁はマニア間でもよく聞くし、筆者も同感なのだ。


 『仮面ライダーアギト』(01年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080106/p1)、『仮面ライダー龍騎』(02年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080113/p1)、そして前作『仮面ライダー555』では、各人に異常なまでの強い個性が与えられ、癒し系もいれば妙にとんがったヤツもいたり、ナルシストやら凶悪なヤツやエキセントリックなヤツもいるわで、それぞれが熱狂的なファンを獲得して大いに盛り上がったものだった。しかし、今回ばかりはイケメン大好きなミーハー主婦たちも誰のファンになったらよいのか判らないのではないか?(笑)


 次に、平成『ライダー』といえば活動する都会が舞台となって展開され、都内のトレンディなスポットのロケ使用が話題を集めたものだ。しかし、本作は人っ子ひとりいないような山奥ばかりで物語が展開され、毎週が同じような場所ばかりが登場するのも観ていてツラい。毎週、火山島で物語が描かれた往年の『怪獣王子』(67年)や、似たような惑星ばかりが舞台となった『キャプテンウルトラ』(67年)が視聴率的に苦戦した歴史的事実に学ぶべきではないのか?


 そして最も痛いのが、本作は怪人を必殺技で倒して爆発四散させるのではなく、カードに封印するというのが、変身ヒーロー作品としては絶対的なカタルシス不足だという点である。
 同情の余地のある怪獣たちの命を救っていた『ウルトラマンコスモス』(01年)であればともかく、何を主張する訳でもなく単に殺人を繰り返すだけの対話も不可能な本作の怪人なんぞ殺っちまってもよいのでは?(暴言?) このあたり、『コスモス』を徹底的に非難していた人々による本作『仮面ライダー剣』に対する見解もぜひ伺いたいものである。


 なにか悪い点ばかりをあげつらってしまった。しかし、本作の相川七瀬の主題歌『Round Zero ~ Blade BraVe』(ASIN:B0007MCI38)はノリもよくてカッコいい。TBS系土曜深夜の『COUNT DOWN TV』をたまたま観たときに、同曲が第11位にランクインしていた。これは相当のヒットと見てよいだろう――前作『555』のISSA(イッサ)が歌った主題歌『Justiφ's(ジャスティファイズ)』(ASIN:B000087EQ4)の方も、オリコン初登場で第9位だったらしいが――。マニア層のみがCDを購入するのならば、これだけの上位にはならない気がする。いや、若者層によるCDの購入が減ったことで、アニメや特撮のオタク層による購買結果が相対的に目立って、ランキングでも上位に来るようになったという説もあるが…… 相対的な偏差値でしかないランキングではなく、絶対的な売り上げ枚数でなければ、時代を超えた絶対的な人気の比較はできないといったところだろう。


 先頃、『週刊文春』において、グラビアアイドルの井上和香(いのうえ・わか)が「女が嫌いな女性芸能人」なる調査の第2位であることが紹介されていた――ちなみに、この調査の第1位は『超力(ちょうりき)戦隊オーレンジャー』(95年)でデビューしたオーピンク・さとう珠緒であった(笑)――。その理由としては、


「一般的な女性はオタク的男性が嫌いであり、オタクが好むモノも嫌いである。まるでアニメのヒロインであるかのような容姿の彼女はオタク的男性が最も好むタイプであり、一般的な女性から見ると耐え難いのではないか」


などとなんとも笑えない分析がなされていた。それを考えると、ミーハー主婦層も平気で楽しんでいる平成『ライダー』作品はもはやオタクだけの楽しみではなくなっているのであろう。これだけの一般的な地位も名声も獲得することのできた平成『ライダー』作品に対して、我々のようなオタクやマニアの旧弊な好みだけをブツけてみせても、無意味ではないだろうが万全でもないだろうし、作品評価のモノサシを変えていく必要もあるのだろう。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2005年準備号』(04年8月14日発行)〜『仮面特攻隊2005年号』(04年12月30日発行)『仮面ライダー剣』合評①より抜粋)


仮面ライダー剣』前半合評3 ~シリーズ序盤の混迷を整理・脱却!

(文・T.SATO)
(2004年7月執筆)


 平成『仮面ライダー』シリーズ(00年〜)を支えたメインスタッフが、前作『仮面ライダー555(ファイズ)』(03年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080120/p1)の中盤にて、実写版『美少女戦士セーラームーン』(03年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041105/p1)に移籍。プロデューサー&脚本家といった作品の中核が刷新された体制での、平成『仮面ライダー』シリーズ第5弾として『仮面ライダー剣ブレイド)』(04年)の戦いの幕は切って落とされた。


 正直に云って、初期編といわず1クール目は迷走といった印象だ。


 原因を主役陣の演技や滑舌に求める記事なども目にした。しかし、ヒーロー番組の主役がほとんどド新人であるという歴史は、今にはじまったことではない。


 そもそも、筆者自身も幼少時の記憶を丹念にたどってみせれば、物心ついた3歳児のころには、作品の「大スジ」や「絵で見せるシチュエーション」などは理解ができていても、劇中人物のセリフの内容の細部や言葉の意味などを理解して視聴していたワケでは決してなかった。自身の成長過程をふりかえってみても、『ウルトラマン』シリーズの防衛隊員の名前の末尾にある“たいいん”“たいちょう”“ふくたいちょう”などといった意味を、誰に教わるでもなく前後の文脈での類推から、4歳児だったある日突然に一知半解にしても翻然として悟った記憶が残っている。つまり、それ以前などは、「セリフの理解」としての「作品理解」ではなくて、「映像体験〜体感」――怪事件・防衛隊VS怪獣・ウルトラマンVS怪獣のビジュアル!――といった次元でのジャンル作品の理解だったのであろう。そしてそれで、不足はなくて充分でもあったのだ。


 そのイミで、本作『仮面ライダー剣』の初期編におけるセリフ(滑舌)のわかりにくさそれ自体には、子供向け番組としてはさほどに重大な懸念はいだいていなかったのだけど……。


 3体も登場する仮面ライダーに変身できる3人の若者たちの、映像それ自体で見せていくような――今いる物理的な居場所のちがいなり、映像で見せる3人の立場や性格のちがいなりの――「描き分け」ができているようにはとても思えないことに、やはりコレでは子供たちにもわかりづらかろうとの不満は覚えていたのだ。


 まぁ要は、大多数の特撮マニアや一般視聴者と結局は同じで、「わかりにくい」という不満を覚えたワケである(笑)。しかし、その「わかりにくさ」の内実を腑分け・解剖してみせて、より正確を期して把握をしてみたかった次第なのだ。


 仮に、あくまでも仮そめに、本作初期編を主役の仮面ライダーブレイドこと剣崎一真(けんざき・かずま)&副主人公の仮面ライダーギャレンこと橘朔也(たちばな・さくや)のダブルヒーロー制だと捉えるのならば、どうしても主役の添え物になりかねない副主役のギャレンを、本作では主役のブレイドの先輩であって、しかも強い! という位置づけにしたこと自体には好印象を持っていた。


 しかし、そーいった意図での、仮面ライダーブレイド仮面ライダーギャレンのパワーバランスやキャラクターシフトではそもそもがなかったようだ(笑)。副主役のギャレンは#1ラストにして、ワル者っぽくなってブレイドと袂(たもと)を分かってしまうのだ!


 ならば以降は、ギャレンは“強者”としての“敵”として、ブレイドの前にカッコよく立ちはだかるかのかと思いきや……。ギャレン仮面ライダーに変身することによって派生する、自身の身の破滅のビジョンにウナされて悩んでしまうのであった!――ホントにボロボロに崩れていくイメージ映像を見せてくれて、コレについては判りやすいといえば判りやすかったのだけど(笑)―― それによって、だんだんと弱くなっていき、つまりは強くてカッコよくて頼れるような、あるいは、敵として恐れるに足りるような、子供たちがあこがれる存在には見えなくなってしまったのだ(汗)。


 とはいえ、作品世界の舞台設定が「わかりにくい」ということは、多少は気になりはしたものの、個人的には二次的な要素ではあった。しかし、ストーリー展開での「意外性」をねらったものだったのだろうとはいえ、メインの登場人物自体が「善」であるにせよ「悪」であるにせよ、「弱い!」ということによって、魅力的ではなくなってしまいかねないこの作劇やキャラ造形は、やはりヤリすぎの本末転倒ではなかったか?


 ただし、それも初期数話のみで終わってしまう。身の破滅を予知夢のように見せつけてくるビジョンが、本質的で宿命的なものではなかった! 幻覚のようなものだとされたのだ! それは仮面ライダーに変身するための科学技術(?)でもある「ライダーシステム」の副作用による、装着者自身の心の弱さが単なる幻覚を見せていただけだとのタネ明かしがなされていく……。


 オオッ! コレはこの作劇の欠点に気付いた製作スタッフの、早くものテコ入れによる路線変更か!? であれば、大カンゲイ! ……かと思いきや、コレも、そーいった作品がやや陰気になってしまうことを回避するための意図から来る処置では、さらさらなかったらしいのだ(汗)。


 仮面ライダーギャレンこと橘は、本作の敵である古代からの怪人集団(?)のアンデッドのひとりがあやつっている組織に接触していく(拉致されたのか?)。そして、古代の薬草の麻薬効果で強化はされたものの、その効力が切れるとやはり「弱く」なってしまうという存在に成り下がってしまうのだ。……ウ~ム。いかに明朗な娯楽活劇の王道の定型に対するパターン破りねらいなのだろうとはいえ(?)、そんなに一応は子供向けの変身ヒーローを「弱い」存在として描いてしまうような作劇でイイのか!?(汗)


 ……なぜにこんな作劇になってしまうのだろう? あのようになるからには、なるからの理由もあったハズである。よって、何の根拠もない、下世話な想像もつい働かせてしまうのだ。


 ベテラン脚本家・今井詔二(いまい・しょうじ)が、本作のメインライターとして召喚されて、本作の企画会議に関わる前には、何だかんだといっても世間的にはやはり「単なる子供番組」に過ぎない平成『仮面ライダー』シリーズを視聴していたとはとても思えない(笑)。やはり東映の日笠淳プロデューサーあたりに声を掛けられて口説き落とされて、大急ぎで平成『仮面ライダー』シリーズの資料なりビデオなりをテキトーに数本だか数十本だかランダムに視聴して、世間サマなり主婦層なりマニア層での受容のされ方のイメージを大雑把に捉えてみせれば、


「平成『仮面ライダー』シリーズとは、あのような耽美的なイケメンキャラが多数登場して、ハイブロウで難解でナゾ解きで、人間描写や人間カンケイがドロドロで、善悪も明瞭ではなく、マンネリや様式美はなくて、意外性重視であって、各話ごとにキッチリと終わらず次回へとつづく……」


というようなものが今ウケているらしいから、こーしようというイメージになったのではなかろうか? それで、本作はあのようになってしまったのだともいう……。


(後日付記:本作終了後の特撮雑誌『宇宙船』での東映側の武部直美サブプロデューサーのインタビューなども読むと、「難解で仲間割れでナゾ解きな初期編」は、本作序盤では文芸的な主導権をにぎっていたようである武部センセによる今井センセイへの指示であったように見受けられます・汗)



 そして、本作序盤のこの迷走を打破するためにか、2クール目からはいよいよ本腰の「テコ入れ」がはじまっていく。そのための仕切り直しのための準備もあったのであろう。今までメインライターひとりによる単独脚本だけで継続してきた、メインライターの気分一新&充電のための周囲の配慮もあったのであろうか、今井氏は筆を中断している。


 その序盤戦たる第1クール終盤の#11~12においては、本作のメインライターの予定だったとのウワサも特撮マニア間では流れていた――真偽のほどは知らないですョ(汗)――、東映特撮においては『仮面ライダーBLACK』(87年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001015/p2)から登板しており、東映メタルヒーロー特捜エクシードラフト』(92年)~『ビーファイターカブト』(96年)や『忍風(にんぷう)戦隊ハリケンジャー』(02年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20021110/p1)のメインライターなどを務めてきた宮下隼一(みやした・じゅんいち)氏が登板するのだ!


 第1クール終盤における、「カテゴリーエース」という、要はフツーよりも強い怪人である「蜘蛛(クモ)のアンデッド怪人」をめぐっての話と並行して、本作の3人目のライダーこと仮面ライダーカリスにして、人間としての姿を持ってはいるもののその正体はアンデッド怪人の一種であるらしくて、人間の感情それ自体もあまり理解ができないでいるらしい、本作のもうひとりの主要キャラクター・相川始(あいかわ・はじめ)なる青年による、ゲストキャラであるストリートミュージシャンの青年――といっても冴えないメガネの帽子で首に手拭い(笑)のフォーク系――との奇妙な交流のドラマが描かれていくのだ。


 このゲスト青年自身にも、敏腕音楽プロデューサーである父の存在を設定。単なる自由人に見えていた青年クンの、父親の手のひらの上で動いているのにすぎないコンプレックスを抱えた父子相克を描きつつ、父子いずれにも理と非を与えることで深みも与えて、同時にその正体は人間ではない仮面ライダーカリスこと相川始にとっては、その光景や人間関係自体の理解すらもがやや困難な事象ともなっているディスコミュニケーション・ドラマを描きつつも、あくまでも『仮面ライダー剣』の中のワンエピソードとしてのドラマであることも忘れないような仕上りを見せてくれていたのだ。



 実質、2クール目の路線変更後の第1話であったともいえる#13において、今井メインライターが再登板する。


 その正体は上級アンデッドだという、旧来の『仮面ライダー』であれば「敵の中堅幹部」に相当するような存在だろうとも思われる、ダンディーなグラサン男・伊坂による、強力な蜘蛛のアンデッド怪人の力も利用して、本作中においては4人目の仮面ライダーを作らんとする陰謀を改めて再確認してみせている。


 そして、あくまでもその正体は人間ではない仮面ライダーカリスこと相川始を中軸にして、多彩なレギュラーキャラたちの、各自ごとの立場、趣味嗜好、目的意識などの再確認に、設定の深化や念押しまでもが図られていたのだ。


 自身は変身しないものの、仮面ライダーブレイドをサポートするレギュラーキャラ・虎太郎(こたろう)。そして、その姉でもある母とその娘である天音(あまね)といった未亡人母子家族。
 この未亡人家族と偶然にも関わりを持ってしまって、お互いに静かな愛着もいだきだしていた、しかし彼がホントウは人間でないことを知らない彼女らと、相川始との相思関係。


 相川の人間ではない正体を知るがゆえに、そしてライダーに変身できるワケではない非力な身ゆえに、独力では母子を救えない焦りも混じってか、相川始に改めて敵意をいだくも何もすることができない虎太郎クンの焦燥。


 ライダーブレイドこと主人公の剣崎も、当初は相川始を懐疑していた。しかし、母子を守らんとしてアンデッド怪人と戦っている彼の姿を目撃! そして、虎太郎の立場ともまた異なった、彼と比べれば軟化して様子見、場合によっては半信半疑ながらも彼を信じてもイイかもしれないといった、ビミョーな立場も採るようななっていく……。


 この相川始もまた、ブレイド=剣崎とは共闘せずとも、問われれば蜘蛛のアンデッド怪人の秘密と目的とを教授・警告するようにもなっていく。


 独自に戦う「はぐれアンデッド」らしい相川始=ライダーカリスは、蜘蛛のアンデッド怪人をめぐって、敵のアンデッド集団の配下となっていた橘ことライダーギャレンとも対決! しかし、強化したギャレンにはかなわずに敗北して吊り橋から転落してしまう!


 のちに現場へと駆けつけてきた主人公・剣崎は、橋下に倒れていた相川始を発見して、仲間にもヒミツで介抱してしまう……(!)。


 他にもイロイロとあって、ついに剣崎の「(母子の)そばにいて守れよ!」との言葉によって、相川始の「行動原理」もまた確固とした迷い&曇りのないものになっていき、作品世界の一角の「腰」も確固として座ったのであった!


 ウ〜ム。けっこうな人数がいる主要な登場人物たちに対しての、ワリと見事なまでの仕切り直し&采配のやり直しなのではなかろうか!?


 一方、敵の配下に成り下がったかと思われたライダーギャレン=橘にも、変転の時がおとずれる! 蜘蛛のアンデッド怪人を封印してあるカードを敵集団の首魁に対して渡すこを拒むのだ! そして、上級アンデッド・伊坂に反逆してみせる! そう、彼は「悪」に「魂」まで売ったワケではない! 彼なりの正義と計算があっての偽計であったと描くのだ!


 そして、よもやの橘の恋人こと女医の小夜子(さよこ)さんの死!


 この悲しみをバネにして、小夜子を毒牙にかけた上級アンデッド・伊坂をついに打倒! 小夜子の死が達観させたのか、破滅幻覚の病からも脱することができた橘=ギャレン


 焦りからも開放されて、小夜子の死には沈んでしまうも、橘さんは「いいヒト度」が高くなっていく……。


 小夜子の死を知って、ヒロイン・栞(しおり)は気を引き締める。虎太郎も住居の敵怪人・アンデッドの探索用の衛星パラボラアンテナを少しでも高い場所に設置せんとし、せめて分に応じた自分のできることを健気に尽くさんとする。


 ……何だか、面白いかもしれない……。いや、面白くなってきた!!


 急転直下の意表外な展開で、作品世界それ自体を大整理! ストーリー自体も、4人目の仮面ライダー用の変身ベルトの出現と、それをめぐっての攻防とナゾを探る物語へと再整理! 2クール目の出だしのテコ入れは、個人的には成功したと見た!!



 2クール目以降は、『仮面ライダーアギト』(01年)と『仮面ライダー555(ファイズ)』(03年)のメインライターはもちろん、『仮面ライダークウガ』(00年・https://katoku99.hatenablog.com/archive/2000/11)以降の平成『ライダー』全作に関わってきた脚本家・井上敏樹が再登板!


 さらには、『仮面ライダー』史上において、雑誌編集者時代であった80年代中盤の昭和の『仮面ライダー』(71年)の「旧1号至上主義」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140501/p1)の時代に、特撮雑誌『宇宙船』誌上において、『仮面ライダーX』(74年)とそのメインライター長坂秀佳(ながさか・しゅうけい)をはじめて評価した脚本家・會川昇(あいかわ・しょう)も初登板!
――ちなみに、第1期ウルトラシリーズ至上主義の時代の同時期に、『ウルトラマンエース』(72年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070430/p1)と市川森一(いちかわ・しんいち)にはじめてスポットを当ててみせたのも會川であった――


 ともに今では、あまたのテレビアニメでも常に途切れず、シリーズ構成(メインライター)職を務めつづけているベテランの大家といってもよいふたりである。アニメ界の通例・常識にて冷静に考えてみれば、メインライター級が2人も存在しているともいえる豪華な布陣といえるだろう――今井センセイを含めればメインライター級が3人体制かも!?――。


 特に會川はアニメとの両刀使いとはいえ、出自的には特撮ジャンル寄りである。1990年の日豪合作の『ウルトラマングレート』につづいて、ついにめぐりめぐって、昨2003年の『爆竜戦隊アバレンジャー』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20031112/p1)のサブメインライターを経て、『仮面ライダー』までをも執筆する幸運・栄誉にもめぐまれたワケである。その心境はいかばかりか!?(……ってイイ歳こいて、お仕事ですから冷静ですかネ?・笑)


 彼らの活躍の詳細については、他の寄稿者たちの筆に任せたい。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2005年準備号』(04年8月14日発行)〜『仮面特攻隊2005年号』(04年12月30日発行)『仮面ライダー剣』合評③より抜粋)


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