『ストライクウィッチーズ』1期・2期・劇場版 ~魔法少女・ネコ耳・MS少女・パンチラ・仮想戦記。B級ジャンクなのに傑作成立!
『ブレイブウィッチーズ』『ガーリー・エアフォース』『荒野のコトブキ飛行隊』『終末のイゼッタ』 ~美少女×戦闘機×銃器のアニメ四者四様!
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深夜アニメ『連盟空軍航空魔法音楽隊ルミナスウィッチーズ』(22年)が放映中記念! とカコつけて……。同作の母体作品『ストライクウィッチーズ』(08年)の3期『ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN』(20年)、および同季に放映されたメカミリタリ美少女系アニメ『戦翼(せんよく)のシグルドリーヴァ』(20年)評をアップ!
『ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN』『戦翼のシグルドリーヴァ』 ~同工異曲のメカ×美少女モノでも、活劇的爽快感の有無や相違はドコに起因するのか!?
(2020年秋アニメ)
(文・T.SATO)
(2021年1月21日脱稿)
『ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN(ロード・トゥ・ベルリン)』
第2次大戦期もどきの架空世界を舞台に、欧州広域の空に出現した無機物チックな巨大敵性物体を相手に、大戦期の世界中の陸海空の戦車・戦艦・軍用機が立ち向かう。
しかして、決戦兵器は空飛ぶホウキの代わりに両脚に片方ずつプロペラユニットをハメた10代の魔法少女たちの各国混成団であるストライクウィッチーズ!
飛行のために魔法力を発揮するや、可愛らしい動物型の両耳やシッポも出現。劇中ではズボンという設定でパンツやスク水姿で股下や臀部も存分に見せつけるも、デフォルメ調の絵柄なので一応シャレとしても機能する(笑)。
そんな彼女らが超高速で雄飛して銃器や機関銃を連射する壮絶な戦闘の末に、敵性物体の弱点を突いて粉砕するカタルシス!
といったコテコテでバカバカしいながらも気持ちよく観られる快作であって、1期(08年)と2期(10年)ともにオタ間では高い人気を博した作品でもあった。
そんな作品が10年の歳月を経て第3期が作られる日が来ようとは――メディアミックスで同一世界の別部隊が活躍する同工異曲やギャグ主体の5分アニメ、フェミ団体から苦情がいった自衛隊勧誘ポスター(笑)などで息長く延命してはいたけれど――。
本作は2012年の『ストライクウィッチーズ 劇場版』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150527/p1)で完結したハズなので、1期と2期の間の話なのか? 『劇場版』の新魔法少女も登場するので新訳のパラレルなのだろうか? などと思いきや、往年の『宇宙戦艦ヤマト』や『銀魂(ぎんたま)』パターンで劇場版完結編の続編、第2次大戦終結の翌1946年が舞台なのであった(笑)。
目指すは主敵がまだ居座る、先の欧州でも最後の戦場だった旧ドイツの首都ベルリン!
たしかにベルリンであるならば、さらなる最後の目的地としてもふさわしい。
――まぁでも、王様や首都を陥落させれば終わってしまう戦争はある意味ではラクだよね。コレが往年の日中戦争やイラク・アフガン・リビア・アラブの春アフターだと、大将がいないので延々と戦争が終わらない。独裁者を首チョンパにすれば即平和ではなく、庶民・大衆の方がはるかに好戦的(爆)で内戦になったりもするから、日独伊が滅びても残ったスペインのフランコ独裁同様に、必要悪としてフセインやカダフィ大佐に統治をさせて中長期で近代化・軟着陸を図るべきであった(汗)――
内容自体はいつもの本作であって、1期・2期とも変わらない。このテの戦闘機・戦車・戦艦をモチーフとした美少女アニメとも同様に、美少女たちは好戦的ではなくナヨナヨとしている(笑)。
戦闘に出撃するまでは微笑ましい寄宿生活を延々と描いて、ナチュラルでオボコい日本人主人公少女の戦う動機も医療や治癒魔法の延長線としての人々や弱者を守るためであったりもする。
まぁ、スポ根(スポーツ根性もの)ならばともかく、無生物チックな敵が相手だとはいえ事が「軍事」だから、コレが勝ち気な女子だと「軍国主義」的な文脈にも通じてドン引きされかねないことを懸念する作り手の作劇的な直観(自己弁護?)で、かようなキャラ付けともなるのだろう。
絵柄的にもデッサン骨格しっかりとした8頭身のリアルでナマっぽい女子ではなく、漫画アニメ的・記号的で刺激臭もウスい各国女子たちなのだけど、それが悪いワケではなくジャンルの歌舞伎的様式美としてその交流も楽しく描かれている。
すでに出来上がっている10人前後の大所帯に『劇場版』で入隊したマジメな新魔法少女1名――翌2013年に『ラブライブ!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150615/p1)の一員でブレイクした内田彩(うちだ・あや)だったのか!?――が食い込むのはやや分が悪いともいえるけど、彼女を一応立てることもできてはいた――彼女と既存の魔法少女個々を各話ごとにカラませるかたちの作劇にしてほしかった気もしたけれど――。
1~2期の輝きは正直ナイけど、個人的には許容範囲の作品である。
『戦翼のシグルドリーヴァ』
ナゾの巨大敵性物体が出現! それに立ち向かえるのは、最新鋭戦闘機ではナイ。霊的な力を備えた戦乙女こと漫画アニメ的な記号的な美少女たちが駆る第2次大戦前後のプロペラ機、通称・英霊機であった!
何匹目のドジョウであろうか? 既視感バリバリな設定なのだけど(笑)。
●『ストライクウィッチーズ』(空・08年)
●『ガールズ&パンツァー』(陸・12年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190622/p1)
●『ハイスクール・フリート』(海・16年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160502/p1)
上記3作品の軍事考証や、それらのサブライターとしても関わってきた鈴木貴昭に、人気アニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』(16年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210912/p1)の原作者・長月達平が組んで仕掛けた同工異曲の作品。
同季の深夜枠の美少女アニメ『神様になった日』(20年)の主人公美少女とも同様に、本作に登場して英霊機を与えた美少年キャラも北欧神話の神々の最高神・オーディンだと名乗ってみせる!
しかし本来のオーディンは、アメコミ洋画『マイティ・ソー』(62年。11年に実写映画化・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20171116/p1)こと雷神ソーの父神であるお爺さんの姿の方が正解であるので念のため(笑)。
『仮面ライダー鎧武』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20140303/p1)や『ウルトラマンオーブ ジ・オリジン・サーガ』(16年)同様に、北欧神話がモチーフであるから、超巨大な世界樹・ユグドラシルまで登場するので、「死」と「再生」や「進化」が裏テーマかと思ったけど、そーいう感じでもない。
加えて、本作を評価する方々には申し訳がないけど、個人的にはあまり面白くない。良くも悪くも記号的な美少女キャラたちの造形や魅力もまぁまぁなのだけど、巨大な敵性物体を神通力で強化されたプロペラ機が撃破してみせる戦闘アクションのカタルシスが今ひとつだったと私見するのだ。
ナゼにこうなってしまったのであろうか? まぁ、こーいうことを云い出してしまうと、傑作アニメ『ガールズ&パンツァー』を手掛けた実力派・水島努カントクが同様に、大戦期のプロペラ機を操る美少女たちを描いていた『荒野のコトブキ飛行隊』(19年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201101/p1)の方もイマイチであったけど。実際のところ、ホンのちょっとした歯車の掛け違いだけで、このような差がついてしまうのであろう。
筆者個人はその理由を、「人間ドラマ」や奇抜な「SF設定」のあくまでもストレートな「延長線」上に「戦闘アクション」を位置させて、作劇したがゆえだったと見ているのだ。
●巨大な強敵に一度は打ち震えるものの、我が身を奮い立たせて劣勢でも挑もうとするヒロイズム
●そして始まる、一進一退の小競り合いの攻防劇を適度な尺で描きつつ
●それが次第にエスカレートしていき
●一見したところでは物理的には勝てそうにもナイのに
●最後は知恵とスピードと度胸で弱点を突くことで、巨敵を撃破するカタルシス!
つまり、上記のコテコテでマンネリでも王道ではある「アクション演出」を、各話の作品自体の「背骨」にできていないことに理由を求めるのだ。
むしろ不謹慎でも、各話のオチともなるべき「勝利のカタルシス」や「戦闘シーンの快感」の方から逆算して、「ドラマ」や「テーマ」の方も「逆配置」をするように作劇すべきだ! くらいに考えておかないと、爽快な娯楽活劇作品というモノは作れないのであるのだと。
百発百中でそういった爽快感あふれる作品を作れないのだということは、そのへんを作り手たちは意識化・理論化ができていないということでもある。評論オタのやれることはまだまだあるのだ。
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#ストライクウィッチーズ #ストライクウィッチーズRtB #戦翼のシグルドリーヴァ #ルミナスウィッチーズ