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ブレイブウィッチーズ・ガーリーエアフォース・荒野のコトブキ飛行隊・終末のイゼッタ ~美少女×戦闘機×銃器のアニメ四者四様!

『ガールズ&パンツァー』 ~爽快活劇に至るためのお膳立てとしての設定&ドラマとは!?
『アズールレーン』 ~中国版『艦これ』を楽しむ日本人オタクに一喜一憂!?(はしないけど序盤は良作だと思う・笑)
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[アニメ] ~全記事見出し一覧


 2020年秋には第二次世界大戦期の戦闘機を材に取った美少女メカ戦闘アニメが3本!
 2020年9月11日(金)から深夜アニメ『荒野のコトブキ飛行隊』(19年)の総集編+新作のアニメ映画『荒野のコトブキ飛行隊 完全版』が公開記念!
 2020年10月から同じく第二次大戦期の戦闘機を材にした美少女メカ戦闘アニメ『ストライクウィッチーズ』第3期こと『ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN』が放映開始記念!
 同様に第二次大戦期の戦闘機を材に取った美少女メカ戦闘アニメ『戦翼(せんよく)のシグルドリーヴァ』も放映開始記念!


 とカコつけて……。『ストライクウィッチーズ』の派生作品『ブレイブウィッチーズ』(16年)や、戦闘機や第二次大戦を材に据えた深夜アニメ『ガーリー・エアフォース』(19年)・『荒野のコトブキ飛行隊』(19年)・『終末のイゼッタ』(16年)評をアップ!


ブレイブウィッチーズ』『ガーリー・エアフォース』『荒野のコトブキ飛行隊』『終末のイゼッタ』 ~美少女×戦闘機×銃器のアニメ四者四様!

(文・T.SATO)

ブレイブウィッチーズ

(2016年秋アニメ 水曜25時35分 TOKYO-MXほか)
(2016年12月25日脱稿)


 ナチスドイツによる各国への電撃侵攻を空飛ぶ無機物チックな巨大不定型生物による欧州電撃侵攻に置き換えた、架空の第2次世界大戦期を舞台にした深夜アニメ『ストライクウィッチーズ』(08年)シリーズ。基本的にはプロペラユニットを両脚に片方ずつ履いたロリ系アニメ絵のネコ耳で短いシッポも生やした可愛らしい魔法少女がパンツ見せ見せで(笑)大空を高速で飛行して機関銃で戦うという、おバカな基本設定の「萌え」+「メカ戦闘」のアニメではある。


 続編『ストライクウィッチーズ2』(10年)を経てさらなる続編映画『ストライクウィッチーズ 劇場版』(12年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20150527/p1)で2012年に完結したハズだけど、2014年にも『2』と『劇場版』の時系列のスキ間を埋める番外編が『ストライクウィッチーズ OVA』3部作(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20150528/p1)として発表されている。


 その『ストライクウィッチーズ』の高村和宏カントクが手掛けた、同趣向でキャラクターデザインも同系統の美少女戦闘アニメ『ビビッドレッド・オペレーション』(13年)がカネをかけて大宣伝したワリにはビミョーな出来&売上だったこともあるのだろう。結局は『ストライクウィッチーズ』シリーズ(の派生作品)が帰ってきましたヨ!


 本作においては、欧州における「第501統合戦闘航空団」こと「ストライクウィッチーズ」とは同時代の別の戦線では、同様の別の魔法少女部隊「第502統合戦闘航空団」こと「ブレイブウィッチーズ」がナゾの巨大不定型生物と戦っていた! という設定を作ってのストーリー展開。こんなのがアリならば同一世界でいくらでも同工異曲の作品が作れるよネ(笑)。


 Wikipediaで調べてみると、いつの間にやら「第503統合戦闘航空団」~「第508統合戦闘航空団」とか「アフリカ戦線」とか「本能寺の変」(笑)などを舞台にした「番外編」やら「前日談」やら作品世界の数百年前(笑)の小説やらマンガやらのメディア・ミックス派生作品が膨大にある!
 オタク第1世代の評論家・大塚英志(おおつか・えいじ)センセイが今後のオタク系作品の有望なビジネスモデルとして、昭和の終わり~平成のはじめに提唱して書籍化もされていた「物語消費」論のまさに体現!


 往年の『ビックリマン』やら『スター・ウォーズ』シリーズや『ウルトラマン』シリーズやら『機動戦士ガンダム』シリーズを素材に、作品世界の「前日談」やら「後日談」やら「外伝」を媒体を問わずに、「ヨコ方向には広大な世界地図」が「タテ方向には長大な歴史年表」が存在する巨大な「作品世界」を作って、オタク消費者や子供消費者たちを長期にわたってその「作品世界」で遊ばせて搾取(笑)もする、「二次創作的な想像力」をアマチュアの場だけでなく公式の場でも最大限に活かそうとする試みの実践!
――ただし個人的には、この用語はその意味するところからも、「物語消費」よりも「世界観消費」と呼称するのがより適切だとは思うけど――


 とはいえ、主人公を異にする「PART2」ものというのは、クオリティは程々でも前作とは似て非なるモノであるがゆえに、客観的にではなく感覚的にナンとなくノれない……という感慨をもよおして、ドーしても過剰にキビしく見られてワリを喰いがちなのが往々でもある。
――オッサン世代の体験だと、元祖スーパー戦隊秘密戦隊ゴレンジャー』(75年)の直後のスーパー戦隊・第2弾『ジャッカー電撃隊』(77年)とか、合体ロボアニメ『超電磁ロボ コン・バトラーV(ブイ)』(76年)の直後の『超電磁マシーン ボルテスV(ファイブ)』(77年)とか、同じく子供向け合体ロボアニメ『絶対無敵ライジンオー』(91年)や『元気爆発ガンバルガー』(92年)のあとの『熱血最強ゴウザウラー』(93年)などの当時の二番煎じ感などやそれに対するシラケやプチ反発なども思い出す……(作品としてのクオリティとはまた別の話なので念のため・汗)。コレが「PART3」やさらなる長期シリーズ化がなされてくると、「そんなモノだから……」「このシリーズのパターンだから……」と年長マニア層のみならず子供の視聴者層ではあっても、ダブルスタンダードだけれども割り切って観られたりもするのだけれども……。まさに「理性的・合理的な作品解題」ではなく単なる「慣れ親しみ」といったモノにも、結局のところ「作品評価」というモノは影響されている!(汗)――


 なので、そういったメタな観点から、筆者は自身の無意識的な「好悪」や「慣れ親しみ」から来る違和感をも相対化して、点数を甘くすることで、より公平な「客観」に近付きたい!?(笑)



 本作の主な舞台はロシアの「ペテルブルグ」。


 ……「ペテルブルグ」!? 1917年のロシア革命~1991年のソ連崩壊までの旧・ソ連(現・ロシア)時代のあの地の名前は「レニングラード」だろ!? ――ソ連初代最高指導者・レーニンの街という意味――
 あぁ、この世界ではロシア革命はなかったんだネ。じゃあ「スターリングラード」(ソ連2代目最高指導者・スターリンの街という意味)という地名もナイんだネ!(笑)


――まぁそれを云い出したら、同趣向の架空の第2次大戦期を舞台にした同季放映の深夜アニメ『終末のイゼッタ』(16年)でも、一応の民主主義選挙で選出されたヒトラー総統は登場せず、現実の歴史では第1次大戦での敗戦で崩壊したドイツ帝政が継続、ドイツ皇帝も登場したりするパラレルの歴史だったけれども――


 果たして今作『ブレイブウィッチーズ』の出来はいかに!? 腰のない柔らかで可憐な少女ボイスの加隈亜衣(かくま・あい)ちゃんが演じる佐世保魔法少女学校で訓練を積む日本人主人公少女・雁淵ひかり(かりぶち・ひかり)ちゃん & そのいかにも年長でお上品な「お姉さんお姉さん」した優しいエリート戦士の姉・雁淵孝美(かりぶち・たかみ)のみを描いた#1~2は、まぁまぁフツーの出来だったとは思うものの個人的にはイマ半でノれなかった。いや理性では水準以上の出来だとは判定するものの、元祖『ストライクウィッチーズ』や同『2』の神懸った#1~2の出来のよさがドーしても無意識に想起されて比較してしまうからでもある。


 しかして、チームで一番気が強そうで意志的な吊り目の目付きが印象的だけれども、チーム中でも一番チビチビではあるので、その性格のキツさも安全な範囲で回収されて(笑)、心優しいヘタレなオタでも大丈夫なように印象がコントロールされている(!?)、肌が地黒で黒髪ショートで茶色の空軍皮ジャンをまとった、ガラッぱちでボーイッシュで短気そうな先輩日本人少女・管野直枝(かんの・なおえ)ちゃんが魅力的である!
 パッと見のルックスだけでは小生意気そうでもっともオタ受けがしなさそうだけれども(?)、序盤で主人公少女と彼女を対立させてキツく当たらせるも、そのツンデレな真情は!? といったところで、必ずしもビジュアルやパーツ的な「萌え要素」だけではなく「ドラマ的な肉付け」で彼女の印象や「萌え」度をアップさせているところはウマい! このエピソードのおかげで俄然、作品世界の重心も下がって地に足が着いた感じがしてきて、相応に気に入ってもいる。
ブレイブウィッチーズ 1(第1話、第2話) [レンタル落ち]
ブレイブウィッチーズ 2(第3話、第4話) [レンタル落ち]

ブレイブウィッチーズ

ブレイブウィッチーズ

  • メディア: Prime Video
ブレイブウィッチーズ第1巻 [Blu-ray]
(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.76(2016年12月29日発行))


(後日付記:『ブレイブウィッチーズ』はトータルでは『ストライクウィッチーズ』2部作に勝っているとも云いがたいかもしれないけど、やはりそれは希代の傑作と比してしまうからこそワリを喰ってカスんでしまうところもあるからであって、そこを除外すれば水準作以上の作品ではあると私見


ガーリー・エアフォース』・『荒野のコトブキ飛行隊』

(2019年冬アニメ)
(2019年4月27日脱稿)


 「戦艦」や「戦車」や「潜水艦」と「アニメ絵の美少女キャラ」を組み合わせる手法はすでにあったけど、両作は「戦闘機」と「美少女」を組み合わせた。


 志し自体はとても低いワケだけど(笑)、『ガーリー・エアフォース』の方は意外にもスペクタクルな密度感ある物語や舞台設定があり、背景美術にも「都心」や「近郊」ならぬ「地方」ならではの畳や和室のある「日本家屋」などを背景美術や舞台とすることで類型作との映像的な差別化や風情も出せている。


 と同時に、原色で発光する戦闘機とセットになっている、人外の存在らしき美少女キャラたちがお約束でワラワラと登場して、それぞれに典型的な記号的キャラでありながらも人物がマンガ・アニメ的には立っていて、萌えの方向で消費もできるようになっている。


 背景設定もオモテ向きは中国での内戦勃発、真相は未確認飛行物体による侵略で、大陸から難民が日本に押し寄せているというモノ。半島に有事があって、一方の国の難民を受け入れれば他方からは敵国認定するとの通知が南北双方から出てしまば、人道的な行為なのに中立が叶わず戦争に巻き込まれる逆説・背理も生じていくであろう当今、アクチュアルな風刺感も出せている。


 中国の上海(シャンハイ)沖でナゾの敵に襲われた難民が搭乗する船舶が、赤く発光する戦闘機に救われるも、その機体は海面に不時着して、主人公の高校生男子クンが泳ぎ付けて救出するも、そのパイロットは儚げで涼しげで幸ウスそうな銀髪ロング的な(銀髪じゃないけど・汗)ウスいピンク髪の美少女といったあたりもコテコテ。


 その後もこの彼女が媚び媚びしておらずテンションもコミュ力も低そうで控えめにボソボソとしゃべるキャラであるあたり、フェミニズムポリティカル・コレクトネス的には「弱者男子にとっての都合がイイ弱者女子像」であり、か弱き女性に手を差し伸べる女性尊重のようでその実、男尊女卑構造を温存させる「弱めの肉食男子」でしかナイという文脈で糾弾されても仕方がナイし、その批判に理性では同意するけど、ダメダメな弱者男子の典型で奇形的に感性を鍛えてきてしまった筆者の好悪の次元では、こーいうキャラもやはりキライではない(笑~過剰な執着はしていないけど)。


 先行作で例えると、深夜アニメ『蒼(あお)き鋼(はがね)のアルペジオ』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190922/p1)における旧日本海軍の潜水艦を模した超メカの魂(?)が物質化したイオナ嬢や、同じく『ガールズ&パンツァー』(12年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190624/p1)の主役美少女・西住さんみたいな、刺激臭のナイ控えめで涼しげで優しげな可愛い声でしゃべる美少女キャラの系譜でもある――どちらも渕上舞(ふちがみ・まい)ちゃんが担当でしたネ――。


 で、ジャンル作品のお約束で、戦闘スペック的には劇中で最強な本作のメインヒロインもメンタルの方は脆弱(ぜいじゃく)な少女のそれであり、主人公少年といっしょのときだけはナゼだか精神が安定するという、いかにも中2病の思春期的な想像力が発想したご都合主義的な設定を導入することで、主人公少年と美少女が関わっていく劇中内での必然性も作っていく。


 もちろんそれだけでは世界観や交友関係が狭くなりすぎるので、彼女は自衛隊所属で北陸の実在する小松基地配属として、その中では敬遠されたり敵視されたりする浮いた存在とすることで、その立場のビミョーさをも出していく。そして、そんな彼女は実は人間ではなく、毒には毒をでナゾの敵の残骸から回収して作られた兵器であり人造人間でもあり、敵とも同根の存在であるとする。


 しかして、それだけでも作品が辛気(しんき)クサくなるからか、彼女と同族の人造美少女たちが小出しで順次登場。そちらの美少女はやたらと陽性であったり戦闘狂であったりすることで、作品世界の陰陽のバランスや戦闘場面の立体感&熱血温度を上げている。てなワケで、魅惑的な「ストーリー」・「戦闘」・「萌え美少女」とが鼎立(ていりつ)できている。



 本作とは逆に、萌え美少女たちの「キャラ」がそれ単独ではあまり立っておらず、「ストーリー」の中に埋没気味である印象を受けるのが、かの大傑作『ガールズ&パンツァー』の水島努カントクらが手掛けた同じく戦闘機――こちらは20世紀前半のプロペラ機――を材とした同季の西部劇調の深夜アニメ『荒野のコトブキ飛行隊』(19年)だとも目(もく)する――同作をスキな方や評価する方々にはゴメンなさい(汗)――。


 主要キャラであるハズの6人のパイロットである美少女キャラたちを描くよりも先に、西部劇チックなムサいオジサンたちのやりとりを延々と描いてみせる#1の冒頭。マンガ・アニメ・記号的なキャラ付けではあろうが、主人公である6人の美少女キャラたちの人となりを描くよりも先に、オッサンたちを延々と描くのはバランスが悪いし(汗)、看板とも相反する空気が流れることで、企図せずとも作品世界の構造もヘンな意味で規定されてしまって、作品の腰の座りも悪くなる。


 ……そう感じるのは、筆者が美少女アニメにおける「ストーリーよりもキャラ重視」の文法に毒され過ぎゆえであって、コレはコレでフツーの作劇やもしれず、公平な第三者の審判を仰ぎたいところではある(笑)。
クロックワークス スリーブコレクションVol.18 ガーリー・エアフォース 集合

ガーリー・エアフォースⅠ [Blu-ray]
立飛のコトブキ航空祭 (特装限定版) [Blu-ray]
(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.74(19年5月4日発行))


(後日付記:深夜アニメ版を再編集した映画『荒野のコトブキ飛行隊 完全版』(20年)ではこのオジサンキャラたちによる間延びした#1冒頭はまるまるカット(笑)。それにより導入部は少しはマシになって見やすくなったものの、美少女キャラたちの行動がストーリーを能動的に動かして状況を好転させていくような勝利のカタルシス感には乏しいし、映画全体としても深夜アニメ版よりかはマシであるとは思うものの、やはりなにかあまりノれずにパッとしない出来になっているとも私見する……)


終末のイゼッタ

(2016年秋アニメ 土曜25時30分 TOKYO-MXほか)
(2016年12月25日脱稿)


 個人的には2016年の秋アニメの中では一番面白い!


 西暦1940年の第2次世界大戦中の欧州を舞台に、無骨な大型銃器の砲身を空飛ぶホウキ代わりにまたがった赤髪ショートの魔法少女が、古城の武具やヤリの群を左右に伴走させて高速で空を飛び、電撃侵攻してきた敵国の戦闘機群を撃墜し、戦車群を横転させて軍艦も貫いて爆沈させる! いやはや愉快痛快!


 秋アニメなのに放映3ヶ月前の夏からTOKYO MXの深夜アニメ枠のCMでは宣伝しまくり! 長身の銃器にまたがった白いラフなドレスに素足の美少女が、超高速で空を旋回して急ブレーキでカメラ手前に停止する、高品質な作画ビジュアルもとても印象的だった本作。


 #1は往年の名作アニメ劇場ばりに、幼少時のサブヒロイン――実質、主人公でアルプスの小国の王女さま――が子犬と戯れて、緑豊かな森の中を駆け抜けた先で、湖上に浮遊する幼少時のメインヒロイン(魔法少女)とのロマンチックな邂逅(かいこう)が描かれる。ツカミは万全!


 しかもそれは、蒸気機関車にてお忍びで随行員を連れて移動中の金髪ロングの王女さまが、うたた寝中の夢で見た懐かしの回想だった!
 そんな導入部から始まり、ナチスドイツもどきのゲルマニア帝国憲兵らの違法な車内臨検を秘かに免れようと、長大な車両を移動してのスリリングな逃避行となる。走行する客車の屋上も駆け抜けて銃撃戦へと至り、偶然忍び込んだ貨物車両内で見かけたナチドイツのものものしい機密カプセルとの運命的な遭遇と、通りかかった高架の鉄橋から敵の隙を見て河川へ飛び込み難を逃れるまでの一連のシークエンスの吸引力は実にお見事!


 #1のBパートでは人気声優・早見沙織(はやみ・さおり)の気高くも上品で透き通ったボイスがハマる聡明な王女さまが、英国がモデルとおぼしき厭戦気分のブリタニア国に大陸出兵を促して、帝国の各国侵攻への抑止力・牽制にせんと、オペラ上演中のVIP観覧室で英国大使を相手に口八丁手八丁の交渉を行ない、自国の精密機械産業の技術提供&一度は断った自身と英国皇太子との政略結婚までをも申し出る!


 大使も感嘆した通り、右翼と左翼のふたつしか脳裏にないアタマの悪い二元論ではなく、まだ若いのに玉突きボール的に多数のプレーヤーが自発的に動いていく世界の大局観が見えていて、生まれながらの王者にして国民国家の公器としてもふるまわんとする、為政者・外交官としての器量も大きいサブヒロインの凛々しくも麗しい姿が実にまぶしい!


 しかし、交渉がまとまろうとした刹那の一報ですべてはご破算。母国がすでに帝国に蹂躙されて、交渉も空しくなったことを知る(汗)。


 続けて、踏み込んできた帝国憲兵に身柄を拘束され、先の機密カプセルといっしょに帝国首都へと空輸中、カプセルの中に実はいた「伝説の白き魔女」でもあるメインヒロインが覚醒した衝撃で、空中分解した輸送機から落下していく王女さまを、機転を利かして砲身にまたがって空を飛んだメインヒロインが何とか追いつき、手と手を取り合って抱きかかえて救ったところで#1は閉幕!


 なんともホレボレとする、何度でも観返したくなる#1に仕上がっていたとも私見する。


 ビジュアル的にはこのメインヒロインの超常的な大暴れで、敵帝国の侵攻を防ぐ姿が描かれていてスカッとさせてくれる。しかして、それだけでは万能にすぎるので、作劇的には東洋風水的な地脈のエネルギーがない土地では魔法が発動しない「制限ルール」も設ける。この制限を使うことで、バトルにも力押しだけではない知謀と作戦の丁々発止の彩りを与える。


 加えて、この「制限ルール」が軍事機密ともなり、それをめぐって舞台となる小国と帝国の諜報合戦も行なわれる。そして、小国といえども絶対正義ではなくその汚れ仕事までもが描かれる。メインヒロインのこの弱点を高官たちの雑談から偶然聞き知ってしまい、それを敵国スパイに家族の安全と引換にバラしそうになることで、自国の諜報部隊に暗殺されてしまう少年兵のシークエンスなどなど。
 #1から登場している帝国側の諜報部隊の、陰険そうでも上品な銀髪のクール兄ちゃんやその部下の少年クンもイイ味を出している。



 #1では作品の看板でもあるメインヒロイン・イゼッタ嬢にセリフがなかった。このことからも象徴される通り、彼女の素の人格自体は善良で常識人でも白痴的元気少女の小娘にすぎない。王女さまへの幼き日に受けた恩に報いるための義理と素朴な封建的忠誠心で動いているだけであり、メインストーリーを駆動しているのはあくまでも王女さまの方なのだ。
 とはいえ、それが悪いというのではなく、コレもまた万能にすぎるメインヒロインのチート能力がイヤミの域に達しないブレーキにもなっているとは思う。とにかく彼女がそこにいるだけでも、王女さまと比すれば胸や腰や太モモが若干グラマラス&筋肉質で、可憐でありつつも同時に力強さと生命力も感じさせるルックス&華のあるボイスが魅力的である。加えて、メインヒロインとサブヒロインのイチャイチャした関係性に近年流行りの「百合」性をねらった節もある!?


 同じく架空の第2次大戦期を舞台にした、線も少ない5等身の少女たちが活躍する『ストライクウィッチーズ』シリーズ(08年~)があくまで「魔法少女」ならば、本作は今ではほとんど滅びた古き良き「戦闘美少女」の香りもする――あくまでも香りであって、往年の肉弾戦的な「戦闘美少女」そのものであるとは云わない。カテゴライズで云えばやはりフワッとしたポエミーな「魔法少女」寄りではあるだろう――。


 終盤ではメインヒロインの数百年前のご先祖さまでもあり、救国の英雄でもある元祖「白き魔女」の美しく脚色されていた「本当は恐ろしいグリム童話」ならぬ魔女狩りチックで残酷な歴史的真相も描きつつ、「白き魔女」の遺体からクローン技術で作られた前世の母国への恨みの記憶も有するイカレた魔法少女ゾフィー(声・雨宮天)を帝国は小国との戦線に投入! そして並行して描かれる帝国と連合諸国との屈辱的な講和会議の席に割って入って一席をぶつ王女さま!


 ……といったところで、初の近代戦である第1次世界大戦での初の機関銃や毒ガス投入によるジェノサイド(大量死)を体験したことで、戦間期に欧州各国では厭戦気分と空想的平和主義が流行するものの、それゆえにナチドイツの野望を見抜けず、見抜けても相手の善意に期待する「宥和(ゆうわ)政策」と「北風と太陽」のような希望的観測でナチスの伸長や近隣諸国への侵攻・占領を許して、結果的に惨禍を極大化してしまった、いまだに空想的平和主義を信奉する日本のサヨクが見たがらない逆説と背理がうんぬんかんぬんとウンチク・トークを披瀝したくもなってくるけども(笑)。


 そのへんの政治的に生グサい話は棚上げにしてもイイので、後代の我々が後出しジャンケン的に見たら不備や政治的な偏向があるように見えても、時代思想・時代風潮的な限界の中であろうが、一生懸命に職務&役回りを演じ切った各国の人々の群像劇をも描いた本作は、個人的にはお勧めの一品!
cross the line

終末のイゼッタ Vol.1(エイルシュタット国債&1巻購入者イベントチケット優先申込券&全巻購入者イベント優先申込券付) [Blu-ray]
(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.85(2016年12月29日発行))


(後日付記:個人的には同作は最終回まで息切れしない傑作に仕上がったとは思うけど、円盤売上的には並という感じで、特に話題になったという感じでもないあたりは残念。やはり商品性なりミーハー人気もねらうのならば、もっと肉体性をウスくしたデフォルメ系のキャラデザかつロリっぽい美少女を複数名そろえた方がイイということか?・汗)


付記 ~同じような素材の作品なのに、ナゼにこうもテイストや巧拙の差が出るのか!?


 「メカ」と「美少女」の組み合わせは、今をさかのぼること40年近くも前(汗)、80年代前半の「MS少女(エムエス・しょうじょ)」にさかのぼるそうである――筆者がそのプチ流行を目撃したのは85年であったと記憶する……って歳がバレるな(汗)――。


 同じく80年代初頭に端を発する、今につづくロリ的な美少女アニメ絵調の美少女キャラたちが、素肌をさらした二の腕や太モモやウェストの上から、『ガンダム』シリーズにおける巨大ロボットことモビルスーツ(MS)の主役ロボやら敵ロボのメカ装甲で、胸肩や上腕やヒザから下のスネの部分を覆ったデザイン画のマニア誌における読者投稿の数々がその起源なのである。


 思春期以降の「可愛いものが判ってしまう」繊細ナイーブなオタク男子たちに訴求しそうな80年代に発祥したロリ的な美少女アニメ調のキャラ。および、現実世界を舞台にしたガチンコ対面での拳骨バトルを描いた不良少年的な威嚇・恫喝も込みでのヤンキーな番長マンガや少年マンガは見るからに怖そうで痛そうで苦手でも(汗)、SF的なメカロボや超能力や手足身体が武器に変型するようなフィクション性の高いワンクッションを挟んだアクション作品だと、安心して暴力衝動を発散できる我々オタの嗜好・性癖(笑)を見事に突いた着想ではある……。


 が、筆者個人はこういったキャラデザに心の半分では強く惹かれつつも、ファースト『ガンダム』(79年)の総集編映画(81年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990801/p1)が公開された折の大ブームにおける新宿駅東口アルタ前に1~2万人が集まった「アニメ新世紀宣言」に象徴されるような、高度なドラマやテーマや表現を達成しうるアニメというジャンルの市民権を獲得していこう! という市民運動・社会運動のようなノリが濃厚にあった(ハズである)当時のアニメファンたちの気分が、急速に退嬰・退行して「可愛い女のコの絵が見られたり愛でられたりできれば、それだけでシアワセ~……」的に急変転していくことに幻滅・失望・挫折感を禁じ得なかったものである(汗)。


 ……それから幾星霜! 結局は「メカ」と「美少女」が勝利を納めてしまい(爆)――ロボットアニメも絶滅寸前だから「美少女」だけが勝利を収めた?――、このジャンルに追随していくためには筆者も曲学阿世、アニメマニア世間に媚びることで周回遅れ(爆)でわかったふうなクチを利いて、美少女メカミリタリアニメを語っていたりする次第……(笑)。



 それはともかく、「メカ」+「美少女」というサカナ・素材それ自体に単独でも魅力はあるにしても、同じような「(旧軍モチーフの)メカ」+「美少女」の組み合わせの作品群でも、ある作品には引きこまれて面白く感じたり、別の作品には引きこまれずにタイクツに感じてしまうという違いはドコから来るのであろうか?


 それは高度なドラマやテーマの有無の相違といったことではサラサラないであろう(笑)。
 思うに結局のところ、クライマックスたる戦闘シーンを爽快感たっぷりに組み立てることができたか否か? といったところで娯楽活劇作品としての品質に相違が出るのではなかろうか?


 倒しても良心が痛まない、人間ではないのでたとえ倒してしまってもポリティカル・コレクトネス的に問題が生じてこないナゾの無機物チックな巨大敵性存在や、かりに相手が人間でもヒトの生死には関わってこないスポーツ的な戦闘。


 通常兵器では歯が立たないナゾの強敵に対して、現有兵器である戦艦や戦闘機がヤラれキャラクターとして前哨戦を果たした末に、満を持して超兵器・決戦兵器たる魔法少女が戦線に登場!
 押したり引いたり劣勢になったり優勢になったりの小競り合い・シーソーバトルの果てに徐々に戦闘もエスカレートしていく攻防のつるべ打ち!
 大空を戦闘機や魔法少女が超高速で自由自在に雄飛する「全能感や万能感」、大海原や深海を戦艦や潜水艦などの巨大物体を悠然と旋回していく「圧倒的物量の存在が動いている迫力感」、機関銃や砲塔での火力攻撃連射を描いた末に、理性的に考えれば……もしくは見た目では物量・戦力比的に劣っていそうな特に勝気でも凶暴そうでもない少女たちが、フツーに考えると倒せそうもない巨大な敵の弱点をめがけて必殺ワザで粉砕してみせるカタルシス


 こういったお約束でも戦闘の段取りをキチンと踏んでみせた盛り上がり・カタルシス部分こそがこのテの作品の背骨・キモでもあり、そこさえ達成できれば各話単位でも「敵をやっつけてメデタシメデタシ」感といった起承転結・メリハリ・まとまりの良さといった感慨も確保されるのだとも思うのだ。


 逆に云うなら、そのへんの機微をスタッフたちが意識化・言語化・理論化してわかっていなかったがために、その肝心のクライマックスたる「戦闘シーン」でイマいち面白さが感じられなくなっていることが、『荒野のコトブキ飛行隊』と今季の『戦翼のシグルドリーヴァ』があまり面白く感じられない理由ではなかろうか? とも愚考するのである――いやまぁあくまで筆者の主観であって、この2作品を評価している方々には非常に申し訳ナイのですけれども(汗)――。


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