假面特攻隊の一寸先は闇!読みにくいブログ(笑)

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獣電戦隊キョウリュウジャー序盤~前半合評 ~三条陸×坂本浩一コンビだが、イイ意味でドラマ性が低い、明朗な狂躁作品!(笑)

『獣電戦隊キョウリュウジャー』中盤~後半評 ~8・9・10人目の戦士! イベント編の質の高さ! 熱血活劇度も上昇! ついに10人戦隊が実現!
『機界戦隊ゼンカイジャー』論 ~『ゼンカイジャー』を通じて「スーパー戦隊」45年史の変転も透かし見る!
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スーパー戦隊シリーズ評 ~全記事見出し一覧


 放映中のスーパー戦隊シリーズ最新作『王様戦隊キングオージャー』(23年)に、2週にわたって『獣電戦隊キョウリュウジャー』(13年)がゲスト出演記念! とカコつけて……。『獣電戦隊キョウリュウジャー』(13年)序盤合評をアップ!


『獣電戦隊キョウリュウジャー』序盤~前半合評 ~三条陸×坂本浩一コンビだが、イイ意味でドラマ性が低い、明朗な狂躁作品!(笑)



『獣電戦隊キョウリュウジャー』プレミア発表会&プレミアロケ遭遇!

(文・犬塚哲也)


 2013年1月27日(日)、今年も東京ドームシティ・プリズムホールで、新戦隊の「プレミア発表会」が行われた。


 『爆竜戦隊アバレンジャー』(2003)で始まった「プレミア発表会」も今回、『獣電戦隊キョウリュウジャー』で10回目。筆者は10年連続で新戦隊のキャストを生で見る機会に立ち会うことができた。


――東京ドームシティ横の「後楽園ゆうえんち」でのジェットコースターの事故で、発表会が中止になった『海賊戦隊ゴーカイジャー』お披露目の2011年は、中止になる直前の回のチケットを買っていたという偶然が、この結果を生んでいる(汗)――



 発表会はいつも通りの展開。


 司会のお姉さんの挨拶中に敵が乱入。


 そこへ「待て!」と『獣電戦隊キョウリュウジャー』(2013)主演の5人が現れて敵の戦闘員を蹴散らし、変身ポーズ! 今年はなぜかサンバのリズム(笑)に乗って変身する5人に会場が沸いた。


 変身した5人が怪人を倒すと、再び元の姿へと戻って、ひとりずつ自己紹介。


 先輩戦隊の『特命戦隊ゴーバスターズ』(2012)のキャストも加わると、キョウリュウレッドこと桐生ダイゴからレッドバスターこと桜田ヒロムへ花束が渡され、ゴーバスターズは退場。


 代わって、主題歌を唄うボーカリストが登場。サビの部分の振り付けを何回か会場の子供たちと練習して主題歌の披露――といっても、2日目の最後の回は8割方が大きなお友達なのだが(笑)――。


 このイベントのために編集された1・2話の映像も映し出される。


 主題歌の披露が終わると、最後に5人のキャストが意気込みを語って終了となる。



 流れとしてはこんなところで特別、変わったところはなかった。しかし、近年の「ウルトラマン」や「仮面ライダー」でも辣腕をふるった「戦隊」の海外翻案版『パワーレンジャー』出身(1993〜)のあの坂本浩一監督が、ついに初めて第1話を撮る日本の「戦隊」ということもあってか、個人的には例年以上に楽しめた発表会だった。


 あとは2013年2月17日(日)朝の放送開始を待つのみだ。


 しかし、筆者はさらなる行動を起こすべく計画を立てていた。「聖地巡礼」と呼ばれるロケ地巡りをして、『獣電戦隊キョウリュウジャー』の撮影現場に遭遇してしまおうという計画だ!


 膨大な数のロケ地から選び出した候補の中には、茨城県や栃木県などの遠方ロケ地もあった。しかし、当日になって気分が変わって、自宅から自転車で行けるロケ地へ変更(笑)。


 埼玉県の荒川沿いにある「秋ヶ瀬公園」へ行くことにした。自宅から小一時間ほどで到着するも人影はなく、『星獣戦隊ギンガマン』(1998)の撮影を見て以来、何度来てもハズレっぱなしのこの公園で、またしても徒労に終わる結果となってしまった。


 と、いつもならこれで帰ってしまうところだ。しかし、珍しく温かい日だったことが筆者を近隣のロケ地へと足を向けさせることになる。


 そこは『ゴーバスターズ』第25話「アバターの謎を追え!」のラスト――ヒロムたちが夕陽の中、花火に興じるシーン――でも使われた「人工の湖」。せっかくだからここにも立ち寄って行くかと、湖の畔(ほとり)を自転車で走っているとなにやら大勢の人が……。


 その先にいるのは、キョウリュウジャーのリーダー・キョウリュウレッドではないか!?


 天にも昇る気持ちを抑え、オタクではなくたまたま居合わせた一般市民を装いながら(笑)、撮影現場を見学することにした。


●変身後のキョウリュウジャー5人!(スーツアクター押川善文・竹内康博・高田将司・浅井宏輔・野川瑞穂)
●着ぐるみキャラの賢神(けんじん)トリン!(スーツアクター:岡元次郎)
●そして、ゲストだろうか、古代ローマ兵士のような格好をした外国人顔の俳優が撮影していた。


――後日付記:6人目の水色の戦士・キョウリュウシアン=ラミレスの役者さんであった!――


 撮影が進むにつれ、この日はキョウリュウピンクとゲストが絡むカットが多いことに気付く。ピンクをセンターに置いて5人が揃うシーンもあったことから、この回の主人公はアミィ結月(あみぃ・ゆうづき)だと見て間違いないだろう。


 監督は竹本昇(たけもと・のぼる)。今年2013年は、1話から4話までを坂本浩一監督が撮っているとの情報があるので、時期的に5・6話あたりだろうか?――後日付記:まさにその5~6話であった――



 それにしてもなんたる幸運! 「プレミア発表会」で俳優5人を見て、その2日後にホンモノの変身後を拝めるとは!――発表会に登場する変身後のヒーローを演じているのはTVのスーツアクターではないらしいので――


 さながら、『獣電戦隊キョウリュウジャー』「プレミア発表会」IN埼玉である。


 放送開始まであと1週間、キョウリュウジャーの誕生が待ち遠しい。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2013年冬号』(13年2月11日発行)~『仮面特攻隊2014年号』(13年12月30日発行)所収『獣電戦隊キョウリュウジャー』「プレミア発表会」評より抜粋)


『獣電戦隊キョウリュウジャー』序盤評

(文・T.SATO)
(2013年4月14日・脱稿))


「聞いて、驚け~~!!」


「じ~かい(次回)! ほくとのけん(北斗の拳)、2(ツ~~~)!!」(往年の大人気TVアニメ『北斗の拳2』(87年)各話ラストの次回予告編)……みたいな。って、若い読者の皆さまが生まれる前のネタでして、老害まるだしのネタですネ(汗)



 エッ!? ベテラン声優・千葉繁御大(ちば・しげる。おんたい)がナレーションを務めていたのかよ!!


 まぁ、15年ちょっと前の東映メタルヒーロー重甲ビーファイター』(95年)においても、氏は悪の組織のレギュラー幹部の声でレギュラー出演してはいた。よって、東映ヒーロー作品に縁がなかったワケでもナイのだけど。


 もちろん、さすがにご年齢のせいか、絶頂期と比すれば声がカスれて枯れているようにも思う。しかし、それは比較論であって、一般的にはこれでもまだオーバーヒートなハイテンション! まったくの無問題であって、ご登板には感謝してもしきれない(笑)。


 「スーパー戦隊」シリーズとしてはやや「リアル」で「シリアス」志向であった直前作『特命戦隊ゴーバスターズ』(12年)。同作が商業的には苦戦したからだろうか、それとも、仮に苦戦はしなかったとしても、そういった作品の次作については、なによりも「差別化」として、「王道」に復古した「明るく」「武闘派」的な「スーパー戦隊」作品が配されるであろうことは、スレた特撮マニア諸兄であれば、過去の前例からも目に見えていたことだろう。


●『鳥人戦隊ジェットマン』(91年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110905/p1)のあとの『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(92年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120220/p1
●『未来戦隊タイムレンジャー』(00年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001102/p1)のあとの『百獣戦隊ガオレンジャー』(01年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20011113/p1


 いずれも、前者のややリアル系で緻密な作りの「戦隊」作品は、当時の年長マニア諸氏からは実に人気を獲得していた。しかし、後者の非リアル系でラフな作りの「戦隊」は当時の年長マニアからは盛大なる酷評をこうむってきたのだ(汗)。


 けれど、強調しておくべきことは、いずれも後者の「戦隊」の方が子供人気は実に高くて、玩具の売上も非常に高かったことなのだ!


 しかし、作り手たちはそういった「中二病」的なマニア人種とは異なる方々だろう。もちろん、今ではマニア上がりが大勢を占めているのだとしても(笑)、そういった「中二病」的な心性は「いつか来た道」だとしても、とっくに通り過ぎている海千山千(うみせん・やません)の方々なのである。


 よって、本作『キョウリュウジャー』のような「勢い押し」の作品が登場してくることは既定路線だったともいえるかもしれない。その意味でも大カンゲイであるのだ。


 しかし……。実際に放映された本作は、純然たる「王道」とも云いがたかった(笑)。どころか、70年代の元祖「スーパー戦隊」の域ではないにしても、80~90年代あたりの「スーパー戦隊」に「先祖返り」しているような印象もある。


 「勢い」があるようでも「武闘派」といった感じでもない。「熱血」味もたしかにあるのだけど、そこまで暑苦しくはなくて、「マイルド」さの方が勝ってはいる。つまり、やや「ヌルめ」といった印象が個人的にはあるのだ。


 まぁ、「先祖返り」の「例」として、仮に挙げてみせた80年代の「スーパー戦隊」でも、


●80年代初頭における、「古き良き牧歌的」で「ほぼ1話完結ルーティン」な時代の「スーパー戦隊」こと、『電子戦隊デンジマン』(80年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120205/p1)~『科学戦隊ダイナマン』(83年)の4作品
●80年代中盤における、「シリアスドラマ」かつ「大河ドラマ性」を導入した、『超電子バイオマン』(84年)~『超獣戦隊ライブマン』(88年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110919/p1)の5作品
●80年代末期からの、そもそもの「5原色のヒーロー!」といった、「ポップでライトでコミカルなイイ意味での幼児性」を「再発見」して、それらを自覚的・再帰的に再構築して、再評価的にギャグ怪人も復権させた『高速戦隊ターボレンジャー』(89年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191014/p1)~『地球戦隊ファイブマン』(90年)


 それぞれでまったくの別モノだとはいえるのだ。便宜的に漠然と「先祖帰り」と評したけど、正確に云えば本作『キョウリュウジャー』もまた、80~90年代の「スーパー戦隊」どころか00年代の「スーパー戦隊」のどれかに似ているといった感じでもない。


 しかしとにかく、ポップではある。それでいて、武闘派・ストロング・ガチンコ路線! といった感じでもない。


 本作『キョウリュウジャー』では、『仮面ライダーW(ダブル)』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100809/p1)&『仮面ライダーフォーゼ』(11年)でも大活躍した脚本家・三条陸(さんじょう・りく)センセイ&坂本浩一カントクがメインスタッフを務めることになっている。
 しかし、だからといって、『仮面ライダーW』や『仮面ライダーフォーゼ』に似ているワケでもない。この2作品のように、「暑苦しいバトル性」と「暑苦しくても緻密な連続ドラマ性」を両立した作風になっていたワケでも(今のところは)ないのだ。


 そもそも、キョウリュウブラックとキョウリュウグリーンの兄ちゃんのふたりからして、クール&カッコいい系であって熱血系ではない(笑)。


 野生の「動物」や「恐竜」モチーフを活かした「キバ」や「ツメ」や素手での「接近戦」での戦いでもない。本作の玩具的な目玉となった「エネループ乾電池」こと「充電式乾電池」をモチーフとしたアイテムを、変身アイテムも兼ねている拳銃型アイテムの弾倉に装填しての、敵との「距離」も少々置いてみせた「ガン・アクション」が主体となっているのだ。


 よって、野性的なケダモノ・アクションではないことで、アクション面でもそんなに血液温度が高い印象ではなかったのであった。


 メインキャラクターのキョウリュウレッドの青年クンは、一応の熱血バカ寄りではある。けれど、自分のことでせいいっぱいでアップアップで空回りしているような未熟な発展途上の青年キャラといった風でもない。
 すでに人格的には若者の彼なりにほとんど完成されている! 周囲からも「キング」(=王さま)などと呼ばれているオレさまキャラである(笑)。


 熱くてバカで陽気な男であることは間違いがない。しかし、ムダに熱いワケでもカラ元気なワケでもない。見た目は若造だけれど成熟はしている。危機に際してパニくらずに(パニックにならずに)「器の大きい」「包容力もある」、まさに「大物」のオトコといった印象なのだ。


 30年前の80年代初頭までの戦隊レッドは、すでに老成(笑)している、落ち着いたシブい若者としての頼りがいもある「隊長」としてのレッドであった。


 しかし、本作のキョウリュウレッドはその域にまではさすがに達してはいない。「老成」と「未熟」との中間に位置しているといった印象なのだ。このあたりのサジ加減でのレッドは、今までの「スーパー戦隊」にはいそうでいなかったパターンではなかろうか? どころか、80年代中盤以降の歴代戦隊レッドと比しても、非常に珍しいタイプなのだ。


 キョウリュウレッド役の役者さんの男のコは……。エッ? 今年20歳!? それであの得体の知れない、根拠も定かではない自信&大物感!? 「演技」であるのか? 「地(じ)」であるのか? キャスティング的にはピッタリではある!(笑)


――まぁ、平成仮面ライダーまで比較例に挙げてしまえば、『仮面ライダーカブト』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070211/p1)・『仮面ライダーディケイド』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090308/p1)・『仮面ライダーウィザード』(12年)も、下品にならない範疇での品もあるオレさま主人公ではあったので(笑)、それらの応用といった意図もあったのかもしれない。もちろん、結果的にキョウリュウレッドの青年クンは、平成ライダーたちともまったく別モノのキャラクターにはなっているけど――


 エッ? キョウリュウブルーの変身前の方は30歳超えの設定なの!? 6人目以上の追加戦隊ヒーローや番外追加ヒーローであればともかく、メインの5人の中に入っているレギュラーの戦隊ヒーローなのに、30歳オーバーがアリ!?


 ……などと云いつつ、30歳の主人公であった『仮面ライダー響鬼(ヒビキ)』(05年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070106/p1)などの前例もすでにあったので、このジャンルを観続けている腐れオタク的にはこのあたりはもうバリエーションの範疇としてアリそうではあったので、そんなに驚いてはいませんけど、ライト層的にはコチラも驚きではなかろうか?


 エッ? 女子大生のキョウリュウピンク役のコの実年齢が、まだ高校1年の15歳!? コッチの方が、作品の外側の情報だけども驚いた!(笑)
 彼女は長身なので、女子大生の役柄では違和感はない。快活そうでもユルくて幼い感じもあるので、このテの明朗さをねらうべき子供向けヒーロー番組としてもピッタリのキャスティングに思う。



 そんなワケで、個人的には悪い意味ではなく「ユル~い」「突出した印象もない」というのが、本作の初期編での印象であったのだけど。



 「イベント編」には見えない一応の「通常編」(?)であったのに、そしてまだ第6話でしかないというのに、6人目の戦士ことキョウリュウシアンがシレッとさほどに盛り上がりもなく登場!!(笑)


――「シアン」ってムズカしい色の名前は、この体色の「空色」のことを指す言葉であったのか~。ってソコではなく(汗)――


 明らかに6人目の戦士としての強烈プッシュではないけれども、ナンとビックリ! 既存のキョウリュウジャー5人のうちの誰かのスーツの色替え改造などではなく、デザインも異なるキチンとした高額の新造スーツであるようだ!
 これってドーいうこと!? 序盤から登場しているということは、キョウリュウジャーの5人とほぼ同時期にいっしょにデザイン・造形もされたのだろうけど……。


 しかも、キョウリュウブルーの30歳オーバーどころか、40歳~50歳の真正のオジサン! 加えて、変身前だと腹が出ている太ったヒゲ面のオジサン外国人!――もちろん、カッコいい戦隊ヒーローに変身するとお腹はヘコみます(笑)――
 インチキ英語(笑)もしゃべっている! そして、500年も前の先代キョウリュウジャーだったともいうのだ!



 さらには、雑誌解禁されてネット上にも違法アップロードされている(汗)、児童誌だか玩具業界向けペーパーだかの写メ(写真メール)によるネタバレ画像情報などによると、黄金色の7人目の戦士・キョウリュウゴールドも近々に登場する模様だ!


 その正体は400年も前の日本人のサムライ! 情報によると語尾は「~でござる」としゃべるようだ。これもまたマンガ・アニメ的で記号的でベタベタな設定(笑)。『忍者ハットリくん』(64年)かよ!? 今どきの子供向け番組としては、この方がイイと思うし、適正な進化形態だとも思うので、ホメてます!


――本邦のややリアル志向寄りとしてのスタートであった「日本特撮」では、こういった漫画チックな人物描写は70~80年代までは実はなかったパターンであった。漫画チックな描写は、実は90年代以降の「スーパー戦隊」、遅れて00年代後半以降の「ウルトラマン」や「仮面ライダー」からであったのだ――



 本作の劇中においては、「10大獣電竜」といったメカ恐竜がキーワードとなっている。そして、メインの5人のキョウリュウジャーに加えて、6人目のキョウリュウシアンが登場して、早々に7人目のキョウリュウゴールドまで登場することが確定してしまった。


 まだ、1年間のシリーズの四半分の一に過ぎない第1クールであるのに、すでに7人!


 ということは、このしつこく強調されている「10大獣電竜」に対応して、ついに今年はキョウリュウジャーが全員がそろうと「10人の戦隊ヒーロー」が登場する作品になってしまうのであろうか!? そのあたりにも、単純に「イベント性」といった次元でワクワクとさせられてしまうのだ。


 ……「スーパー戦隊」の元祖『秘密戦隊ゴレンジャー』(75年)の世代人であれば覚えているだろう。特に特撮マニアではなかったとしても、『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(92年)というメインタイトルを新聞のTV欄でたまたま目撃してしまうと、「今年は戦隊ヒーローが『5人』ではなく『10人』も登場する作品なのであろうか!?」などと誤解して、一部の一般ピープルも「言の葉」に乗せていたものであったことを! それがついに現実となる日が来たのか!?


 もちろん、それが仮に実現したとしても、低予算番組ゆえにギャラの問題もあるだろう(汗)。だから、追加戦士はレギュラーではなくイレギュラーとして時折りに参戦するパターンになる可能性も高いけど(笑)。


 というワケで、「武闘派」ではなく「ややヌルめ」といった印象ではある。しかし、にぎやかで「イベント編」連発のシリーズにはなりそうで、楽しみになってきた。


(了)


VAMOLA(ヴァモラ)! 獣電戦隊!!

(文・J.SATAKE)


「恐竜、プラス人間。億千年の時を越え、
 地球を守るために今、
 最強のブレイブチームが誕生した!


 聞いて驚け!!
 獣電戦隊 キョウリュウジャー!!」

(オープニング・ナレーションより)


 放送が開始されたスーパー戦隊シリーズ第37弾『獣電戦隊キョウリュウジャー』(13)。


 30分ドラマでも1時間ドラマでもテレビドラマはむかしから通常、2話分を1班体制でまとめて撮影するものだ。特撮変身ヒーローものも例外ではない。
 しかし本作では、第1話~2話ではなく、第1~4話までを、メインライター・三条陸(さんじょう りく)氏、メイン監督・坂本浩一氏が担当している。


 メンバー5人が「戦隊」としてまとまるまでの序盤を、メイン脚本&メイン監督が一括して担当することで、撮影現場での監督&役者さんの意志疎通も深くなる。そのことで、完成フィルム上でもキャラクターがより活きてくることだろう――もちろん、撮影にフィルムは用いていないが(笑)――。


 『仮面ライダーフォーゼ』(11)の主人公・如月弦太郎(きさらぎ げんたろう)と仲間になっていく、高校の「仮面ライダー部」(笑)の面々のキャラを際立たせるためにも大変に有効であった、1~4話をメイン監督が担当する方法を、本作でも展開してくれているのだ。


 戦士として「どのように闘いに向き合うか?」といったことを、宇宙人の「ウルトラマン」や巻き込まれ型の「仮面ライダー」などよりもハッキリと描いていく、職業軍人的な色彩もある「スーパー戦隊」作品における主要登場人物たちは、伝統的にバトルの中でこそ彼らの個性とドラマを発露させやすいようだ。


 本作ではそういったことがマッチして、坂本氏お得意のスピーディなアクション&ドラマ演出にはグイグイと引き込まれる!


獣電戦隊キョウリュウジャーの5人!


「アダ名はキングだ。遠慮しないで呼んでくれ!」


 「牙(きば)の勇者・キョウリュウレッド」=桐生ダイゴ(きりゅう だいご)。


 今も冒険を続けている父・ダンテツ――演じるはベテラン俳優・山下真司(やました しんじ)氏!――を追って、世界を巡ってきた男だ。


 その大きな器量から戦隊メンバーに「キング」と呼ばれ、獣電戦隊のリーダーとなる。全員に目を配りフォローしたり、良いところは素直に評価してくれる。
 単なる優等生タイプではない、かといってウラ表もない言動だが、演じる役者さんの小顔で子供っぽい童顔のせいか爽やか! 彼の経験から裏打ちされた行動だと思わせてくれるのでイヤミがないのだ。



「お金のトラブル、おっかねえ~~」(笑)


 「鎧(よろい)の勇者・キョウリュウブルー」=有働ノブハル(うどう のぶはる)。


 オヤジギャグ・ダジャレ好きで、職業は何でも屋。その職業も、夫に先立たれた妹・優子と姪・理香ちゃんのために、引き受けた仕事なのだ。
――妹・優子を演ずるのは『特捜戦隊デカレンジャー』(04・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041112/p1)デカイエロー役で美人・可愛い系の木下あゆ美嬢! 坂本監督のお好みですネ――


 彼はひとりでの闘いで理香ちゃんを傷つけてしまい、戦士として自信を持てずにいた。しかし、キングに「家族こそが闘う力の源」だと気付かされる。


 オヤジギャグ=オッサン=のぶはるオジサン=「ノッさん」と転訛したアダ名がついて、それがドンドンみんなに浸透していき、気安くアダ名を呼ばれていることに落ち込む、威厳のない善人のオトナとしての姿も微笑ましい。しかし、作劇的にはこれも年長の彼が戦隊メンバーたちに対等な存在として愛されている証拠としての描写なのだ。



「SEE YOU!」


 「角(つの)の勇者・キョウリュウピンク」=アミィ結月(あみぃ ゆうづき)。


 表面は海外の両親と離れて暮らす、最初は一見おしとやかに見えていた長身のお嬢さま。だが、本当は体を鍛えてファミレスのバイトもがんばる行動派の女性! 長い脚を活かした足技が得意。リアクションでは英語がポンポンと飛び出てくる!


 それぞれの理由から変身前の正体を明かさない4人のメンバーたちの前で、高らかに自己紹介するキングの姿に触発される彼女。自分の気持ちを素直に表すことが今必要だと悟るのだった。



「強いヤツが望みか…… だったら、オレの剣を喰らえ!」


 「斬撃(ざんげき)の勇者・キョウリュウグリーン」=立風館ソウジ(りっぷうかん そうじ)。


 彼は「剣の道」を進む高校生だ。父・源流(げんりゅう)に「獣のような太刀(たち)だ」と指摘されて心乱される彼。


――この源流を演ずるのは、『大戦隊ゴーグルファイブ』(82)のゴーグルブラックや『科学戦隊ダイナマン』(83)のダイナブラック役・春田純一氏! 変身後のスーツアクターもこなした氏が、今回は剣技で往年と変わらぬキレのあるアクションを見せてくれていた!――


 あまりの求道心(ぐどうしん)に、別離した妻と息子にも恨まれて当然だと悔恨している源流に対して、ソウジもこの同じ「道」を極めたいはずだと返してみせるキング!


 ソウジは「戦隊」のためでなく、ただ「力」がほしくて勇者となったことを恥じて、使命を果たそうと剣を振るいだす!



「オレの恋の弾丸は、百発百中だ……」


 「弾丸(だんがん)の勇者・キョウリュウブラック」=イアン・ヨークランド。プレイボーイ(ナンパ師)を気取り、軽口でオドケている男。


 トレジャー(お宝)ハンターの親友・御船士郎(みふね しろう)と組んで遺物研究をしていたが、黒マントの怪人に襲われた士郎を、自慢の射撃の腕で救うことができなかったトラウマ・後悔を抱えていた。


 「仲間などいらない。復讐のために力を得た」と言うイアンに対して、キングが核心を突いてみせる!


「……仲間を失うのが怖いんだな。でも、その一発を当てるまで、後悔は消えないぜ!」


 その気持ちに応えるには……、捕らわれたキングを救命するために、銃型アイテム・ガブリボルバーの一発を決めてみせるイアン!



 メンバーを信じて、大胆に行動するリーダー・ダイゴ。それに呼応するように力を発揮していくノッさん・アミィ・ソウジ・イアン。
 「理想的なチームとはかくあるべし!」といった三条氏流の「戦隊イメージ」が強く感じられる活劇ドラマの流れが見ていて心地よい。


 ちなみに、キョウリュウジャーの司令官である着ぐるみキャラ・賢神(けんじん)トリンは、やはり恐竜時代に生息していた「始祖鳥」がデザイン・モチーフか? 敵の筆頭・神官カオスとも深い因縁があることを示唆して、彼についてもドラマ性を感じさせている――


キョウリュウジャーの敵! デーボス軍の幹部たち!


 「命あるものは根絶やしにする」。人間の感情である「喜」「怒」「哀」を集めて、身体を抱えるようなシルエットをしている妖しい大樹である「デーボス」を復活させることが、百面神官カオスが束ねる本作の敵組織であるデーボス軍の目的だ。


 この神官カオスがまた、「喜」「怒」「哀」3種のデスマスクが顔に据えられた不気味な出で立ち!


 ヨーロッパ・北極圏・日本・アメリカ・南海の孤島。世界中をデーボス軍の雑兵(戦闘員)・ゾーリ魔が蹂躙して行く!――もちろん、国内ロケと合成のたまものなのだが、こういった地球規模でのスケールを感じさせる「特撮合成カット」が重要なのだ!――



「腹立たしいこと、この上ない!」


 「怒りの戦騎・ドゴルド」。「獅子」と「雷神」をモチーフにし、常に怒りを吐き出している幹部だ。



「クゥ~、シミるなァ~~」


 「哀しみの戦騎・アイガロン」。「涙」をデザインした鎧(よろい)が目印だ。声の担当はベテラン・水島裕(みずしま ゆう)氏! 



「キープ・スマイリングよ!」


 「喜びの戦騎・キャンデリラ」。ハートマーク型の装飾で、悪の幹部とは思えないピンク・イエローの配色がまさに「異色」だ(笑)。



「最後のひと働き、してきな~~」


 「楽しみの密偵ラッキューロ」。前述したキャンデリラの配下で、怪人・デーボモンスターを巨大化させる力を持っている。



 作風や狙いが異なるので単純比較はできないものの、前作『特命戦隊ゴーバスターズ』(12)の敵幹部が顔出しの若手役者さんによるエンターとエスケイプのふたりだけだったことと比べて、この豪華さは何?!


 もちろん予算は全く同じではないだろうし、使い方の違いはあるのだろうが……。このくらいの敵幹部の頭数がいないと、子供番組的な「悪の軍団」としてのスケール感は保てないよな、と改めて感じた次第だ。


キョウリュウジャーのアクション! 巨大メカ!


「荒~れ~る~ぜぇ~~! とめてみな!!」


 キングことキョウリュウレッドによる、この定番の決め台詞でバトルはスタート!


 「スーパー戦隊」ならではのド派手なアクションシーンは本作でも健在だ!


 戦闘員のゾーリ魔たちがウネウネと組み合わさり、巨大なエイリアンとなって街を襲う!


 キョウリュウジャーを導く賢神トリンにまで「極めてブレイブだ!」と言わしめたキングについては「この闘いには巻き込みたくはないのだ」と1体だけで立ち向かってみせるティラノサウルス型の赤いメカ獣こと獣電竜・ガブティラ!


 そのスタイル自体は往年の『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(92)に登場した戦隊レッドが搭乗したメカ獣であった、直立二足歩行型の守護獣ティラノサウルスに近い。
 しかし、オープンセットの自然光を浴びて、最新の恐竜研究の成果に基づき「前傾姿勢」で爆走する姿は、『未来戦隊タイムレンジャー』(00)で同作でのもうひとりの戦隊レッドであった追加戦士・タイムファイヤーが搭乗していた恐竜型生体メカ・ブイレックスを彷彿させるワイルドさだ!


 アバンタイトルのように「恐竜」と「人間」の力がひとつになることで敵を打ち破る! 両者の結びつきの強さをこの「ガブティラ」と「キング」が端的に見せつけたのが、第1話のアクションの見どころだ!


 巨大ゾーリ魔に喰らい付き、グリングリン! と回転しジャンプするガブティラ!


 その背中を走り抜けて、大ジャンプ! 短剣・ガブリカリバーで巨大ゾーリ魔を叩き斬るキョウリュウレッド!


キョウリュウジャーの変身の是非! 変身アイテム兼・武器! 巨大ロボのバリエーション!


「ブレイブ・イン!(獣電池を銃型変身アイテムに装填)」
「(銃型アイテムの音声ガイダンス) ガブリンチョ! ガブティラ!!」
「キョウリュウチェンジ! ファイヤー!!」


 放送前から注目されていた、サンバのリズムが流れてきての踊りながらのフザケた変身シーン!


 だが、独特のサンバホイッスルの音色と、軽快なステップを踏むキングのアクションがカッコよく決まっている。20世紀のむかしの特撮マニアであれば「リアルじゃない!」「子供向けだ!」などと批判が殺到したことだろう。しかし、「スーパー戦隊」シリーズとは子供番組なのである(笑)。幼児の目を引き付けて、彼らの全員といわず大勢もマネをしたくなるであろう、「変身」の新しい道を開くことができていると思える。


 加えて、「ウルトラマン」や「仮面ライダー」とは異なり集団ヒーローものでもあったせいか、「スーパー戦隊」では「変身アイテム」が相対的にはあまり際立ってはこないものだ。等身大怪人への必殺技用のバズーカ砲型の玩具などはともかく、剣や銃といった武器なども、子供たちにはさほどに魅力的ではなかったことだろう。


 しかし、本作では、


ガブリンチョ!!」


と「獣電池」なる各種のイラストが描かれた単3電池型アイテムをセットできるのでプレイバリューも高い。しかも「変身道具」でもあるのだ。
 もちろん、それは設定でしかない。玩具だけで実際に変身ができるワケではないことは、子供でも百も承知だろう。しかし、それでもこのアイテムは「変身」機能も有している! といった付加価値・万能感・オーラを、子供たちにも感じさせていることだろう。これは大きい!


 『仮面ライダー555(ファイズ)』(03年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20031108/p1)の3号ライダー・仮面ライダーデルタの変身アイテム、『仮面ライダーカブト』(06年)の仮面ライダードレイクの変身アイテム、『仮面ライダーディケイド』(09年)の2号ライダー・仮面ライダーディエンドの変身アイテムの売上が好調だったゆえの、スーパー戦隊への応用であることはわかる。しかし、それでもよいではないか!?


 拳銃・ガブリボルバーと短剣・ガブリカリバー。この2つが合体してのマシンガン・ショットガンモードなどのバリエーションも展開する。


 シリンダー部分をこすって右腕に個人武装を出現させる


「アームド・オン!」


 さらに、それらの個人武装を合体させて誕生する巨大な槍・ケントロスパイカー


 キョウリュジャーが搭乗するバイクは、双子の獣電竜・ディノスチェイスがカミツキ合体して誕生するディノチェイサー!


 様々な能力を持った「11」から「23」番の獣電竜は、ガーディアンズと呼ばれて、キョウリュウジャーをサポートする!


「おならがプウ~~と、オビラップー」


のように、真面目なだけでなくオチャラケた音声ガイダンスもあって、近年の「戦隊」らしい自由な発想も楽しい。


 各話のエンディング映像では、その回に活躍した獣電竜メインの映像も流してくれるので、そういった絵的な変化とまだ見ぬ彼らの力を想像させてもくれる。


 人型の巨大合体ロボット・キョウリュウジンの活躍にも注目! それぞれシッポに武器を備えている恐竜型メカの獣電竜。それらが人型キョウリュウジンの両腕のパーツに換装されてパワーアップしていくシステムなのだ。


 そのネーミングも稚気満々(ちきまんまん)なユーモアたっぷり!


 キョウリュウグリーンの獣電竜・ザクトルと、キョウリュウブラックの獣電竜・パラサガンとのカミツキ合体(実態は換装)で誕生する、「キョウリュウジン・ウエスタン! イーハー!!」


 キョウリュウブルーの獣電竜・ステゴッチに代わり、トンカチを備えた獣電竜・アンキドンとのカミツキ合体(換装)で、「キョウリュウジン・マッチョ! ムッキムキ!!」



 各「獣電池」を獣電竜・ガブティラの口に1度セットし、合体させると、それぞれのテーマが流れて名乗りを上げる!


 本作の音声ガイダンスは、ベテラン声優・千葉繁氏が担当!


 往年の大人気TVアニメ『うる星(せい)やつら』(81・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20230924/p1)のレギュラー高校生・メガネ役での狂気あふれる暴走演技、『北斗の拳』(84)次回予告ナレーションでのハイテンションぶりで伝説を創った氏が、今回も遊び心満載の声で叫んでいる! どうせやるなら、これくらい! という思い切りの良さが非常によい!


新戦士・キョウリュウシアン登場! 悪の獣電竜・プテラゴードン出現!


 「10大獣電竜」と呼ばれる特別な存在も、後見人のトリンから早々に明かされた――シルエットのみの獣電竜たちが期待を盛り上げる!――。これからもドラマと密接に連動させていくようだ。


 「10大獣電竜」の中の1体・アンキドンには、500年前にともに闘った仲間がいた。それが水色の戦士・キョウリュウシアン=ラミレス!


 肉体はすでに滅びても魂として残っており、闇に縛られたアンキドンを救うためにキングたちに協力を仰ぐ。


 このラミレスに同情したアミィの行動力が危機を突破し、完全復活をとげるキョウリュウシアンとアンキドン!


 そして、キョウリュウシアンは世界中に散らばる獣電竜を探すために旅立つ。



 一方、神官カオスは封印されていた獣電竜・プテラゴードンを奪い去って悪用を開始する!


――プテラゴードンはその名のとおりで、『恐竜戦隊ジュウレンジャー』と『爆竜戦隊アバレンジャー』(03)といった恐竜モチーフの「スーパー戦隊」でも採用された、世間的にも人気が高い「翼竜プテラノドン」がモチーフ!――


 そして、敵幹部・ドゴルドの雷の力を獣電池に込めて、我らが戦隊巨大ロボ・キョウリュウジンと対決!


 果たしてキングたちはプテラゴードンを取り戻せるのか?…… そして、プテラゴードンの相棒である新キョウリュウジャーは現れるのか?!



 明るい雰囲気でアクション&ドラマを見せつつ、ノッさんやソウジの家族ネタではホロリとさせる。もちろん、それだけでもクラくなってしまうので、オヤジギャグで明るく落としてみせている。キングの「ペンダント」とイアンの「秘石」の秘密も気にかかる……。


 スカッと楽しませつつ、細部では興味を引かせるウマい展開だと思う。このままさらに勢いをつけて、明るく楽しく物語をつむいでいってほしい!


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2013年春号』(13年4月14日発行)~『仮面特攻隊2014年号』(13年12月30日発行)所収『獣電戦隊キョウリュウジャー』序盤合評1~2より抜粋)


雷鳴の勇者! キョウリュウゴールド見参!

(文・久保達也)
(2013年6月吉日・脱稿)


 『仮面ライダーW(ダブル)』(09年)や『仮面ライダーフォーゼ』(11年)でタッグを組んだ、メインライターを三条陸(さんじょう・りく)とメイン監督を坂本浩一(さかもと・こういち)が担当している。


 そのワリにはイマイチ熱血度が低いなぁ、意外にホノボノとしたノリだよなぁ、それでも陰気なシリアス路線よりはマシではある程度かなぁ……と思っていた『獣電戦隊キョウリュウジャー』。


 だが、第10話こと「ブレイブ10」にて早くも6番目、もとい、7番目の新戦士・キョウリュウゴールドが新たに見参した!


――まるで1960年代の日本のドラマや映画に出てくる外人のような、デタラメな日本語(爆)をしゃべる太ったオッサン=キョウリュウシアンが、6番目の新戦士としてすでに登場済みなので、公式にはともかく登場順では7人目なのだ!――


 それまでのホンワカ・ユルユルとしたムードに喝(かつ)を入れて(?)、キョウリュウゴールドの初登場作品である前後編については、それまでの話数とは明らかに雰囲気が異なる、人間ドラマ主導ではなく戦闘的な攻防バトルストーリーとなっていた!


 そもそも、主要キャラクターが初登場するエピソードは、本来ならばメイン監督の坂本監督が撮るべきで、ベテランとはいえ渡辺勝也(わたなべ・かつや)監督が撮っていることについては長年の戦隊マニアとしてはどうよ? と思ったりもしている。しかし、やはり「時代劇」チックな演出ならば、氏に勝る監督はいないという采配かもしれない!?


 そのようなワケで、キョウリュウゴールドが初見参! した熱いブレイブ9~10。そして、前記の作風とは対極に位置するようなコミカルなノリとなったブレイブ11を振り返ってみよう。


ブレイブ9(前編)「メチャつよ! プテライデンオー」


 サブタイトルに「漢字」が使用されていないことが、完全に「幼児向け」であると割り切って製作されていることの象徴でもある。


 20世紀のむかしの特撮マニアは、世間からの蔑視に対抗してジャンル作品を「大人の鑑賞にも耐えうるものにしたい!」といった気張りや、上限が20~30代と若かったこともあってか、こういったノリやサブタイトルがおおいに忌避されたものだった。


 しかし、00年代中盤あたりからは、そういったリアクションは「中二病」的だとバカにする流儀の方が強くなっていく。よって、今ではこうした稚気満々(ちきまんまん)なサブタイトルの方がウケたりもするのだ。
 少なくとも、この「ひらがな」だけのサブタイトルにケチを付けている特撮マニアを今では観たことがない。ヘタにケチなど付けたら、かえって逆にネット上でリンチにあいそうだ(爆)


 ところで、年長マニアが勃興しだした70年代末期~90年代前半においては、第1期ウルトラシリーズのような短くて端的なサブタイトルこそが正義で、第2期ウルトラシリーズや80年代の「宇宙刑事」シリーズのような長ったらしいサブタイトルは幼稚で悪だとして劣位に置かれていた(笑)。


 しかし、今ではそのようなことを得意げに指摘するヤツこそが「中二病」である! エピソード個々の作劇術には言及できていない二流三流のマニアである! などと白眼視をされてしまう(笑)。サブタイトルの評価のされ方の変遷ひとつを取っても、特撮ジャンルにも歴史があるのだ。実に隔世の感がある。



 ブレイブ9では、冒頭でキョウリュウジャーの司令官でもある「鳥」を模した着ぐるみキャラ・賢神(けんじん)トリン(笑)の白いタテガミが、邪悪の波動を感じて大きく揺れることで、来たるべき大事件の予兆としている。


 太古の時代に「10大獣電竜の切りこみ隊長」(笑)だったという、恐竜時代の翼竜プテラノドンがモチーフである獣電竜・プテラゴードンが襲来! 空を舞って都市を破壊しだしたのだ!


 デーボス軍の戦闘員・ゾーリ魔も襲来して、街中で銃を乱射!


 その中で超・怒りまくっている、敵幹部「怒りの戦騎・ドゴルド」!


 本作の敵組織・デーボス軍の首領である百面神官カオスには、かろうじて悪のボスとしての威厳(いげん)や重厚(じゅうこう)さが感じられる。


 しかし、彼に仕(つか)えている幹部である


●哀しみの戦騎・アイガロン
●喜びの戦騎・キャンデリラ
●楽しみの密偵ラッキューロ


 誰が見ても100人が100人そう思うだろうが、彼らは「悪の幹部」というよりかは「ユルキャラ(ゆるいキャラクター)」にしか見えなかったりもする(笑)。意図的にもそのようにデザイン・造形されて、作風も幼児向け、いや今の物分かりがよい年長マニア向けとしても、コミカルに設定していることは重々承知している。


 しかし、「怒りの戦騎・ドゴルド」のような戦場に出張ってきてバトルも繰り広げるような武闘派幹部が、本作にはあとひとりくらいいてもよかったのではなかろうか?


 しかしながら、人間の感情である「喜」「怒」「哀」「楽」を見事なまでにモチーフにした敵幹部たちが毎回繰り広げている、まさにその人間の「喜」「怒」「哀」を集めるための作戦!――ちなみに、「楽」については集めていないようだ(笑)――


 「人間の絶望」が「ファントム」なる敵の怪人種族を生み出しているという設定であった『仮面ライダーウィザード』(12年)も同様だったが、視聴者の「情」の方に訴える、やや「間接」的な「悪」の描き方こそが、今の時代を考えれば「殺人」や「破壊」といった「直接」的な描写よりも、いっそう強烈に響くものがあるようにも個人的には思える。


 しかし、それもまた、やはり筆者が年長のマニアであるゆえの穿(うが)った考え方かもしれない。人生経験には乏しい幼児にはそのへんのメンタルなことがわかるとはとても思えない(笑)。よって、その意味で子供向けヒーロー番組としては、目で見て即座にわかる「物理的な破壊活動」を描いた方が親切である可能性も高い。


 つまり、そんな回りクドい「精神攻撃」のようなやり方をキラって、ひたすら粗暴に暴れたくて堪らない! という幹部怪人である怒りの戦騎・ドゴルドは、番組の活劇度を上げているのだ――『仮面ライダーウィザード』では、幹部怪人フェニックスがこれに相当していた――。


 彼のような、いかにもな憎々し気で「ワル」ものらしいキャラクターを、本話のような「イベント編」では派手に大暴れさせて物理的な破壊活動をさせることもまた、やはり「勧善懲悪」の「娯楽活劇」を描くのであれば、必要不可欠な要素だろう。



 同様に、都市を破壊して暴れ回っている獣電竜・プテラゴードンに対して、キョウリュウブルーがステゴザウルス・モチーフの獣電竜ステゴッチを、キョウリュウブラックも頭部のトサカが後頭部に管状に伸びている姿が印象的なパラサウロロフス・モチーフの獣電竜バラサガンを呼び寄せた! 高品質なCGで大迫力をもって描かれる「恐竜大戦争」!



 キョリュウピンクとキョウリュウグリーンは、キョウリュウジャー共通の能力である武装を腕に出現させる「アームド・オン!」で右腕に出現させたシールド(盾)で、ビルの壁を破壊! 中に閉じこめられていた人々を助け出す!
 そう。常人離れした腕力で壁を破壊し、人々を救ってみせる姿こそが、超人ヒーローの基本でもあるのだ!


 そして重要決戦では、定番のロケ地である倉庫内(笑)における、キョウリュウレッド&トリン VS ドゴルドのバトルが描かれる!


 なんと! ベテランスーツアクター・岡元次郎(おかもと・じろう)が演じている、しかし格闘戦には不向きに見えていた着ぐるみのトリンが剣術でドゴルドを圧倒する! 単なる後見人にも見えていたトリンもまた弱くはなく「強い!」として描くのだ!


 そして、レッドのシールドによるパンチのスサまじい威力で、倉庫の外まで吹っ飛ばされていくドゴルド


 やっぱり「特撮変身ヒーロー作品」の最大の魅力とは、こうした「万能感」を味あわせてくれる、常人を超越した「力の行使」なのだ!(笑)――もちろん、それは悪事ではなく、弱者を助けて悪人を倒すという正義のために用いられてこその爽快感ではあるけれど――



 しかし、この手の作品は一進一退のバトルこそが肝(きも)なのだ! ドゴルドがヤラれっぱなしでもツマラないのだ! 窮地に立たされたドゴルドも反撃に出た!


「カミナリ変形!」


ドゴルドが叫ぶや、獣電竜・プテラゴードンがプテライデンオーなる人型巨大ロボットに変形する!!


 プテライデンオーは高層ビルの上に飛び降りる! 巨大ロボットのクセして黒マントもひるがえしている!!


 そして、ビル街に落雷攻撃を加えるさまは、悪のヒーロー然として実にカッコいいのだ!!


――このビルはプテライデンオーの体重で崩れないのかなぁ? いや、きっと半ば浮遊しており全体重はかけてはいないのだ!?(笑)――


 対するキョウリュウレッド・ブラック・ブルーも、獣電竜たちを「カミツキ(噛みつき)合体」させる! 「キョリュウジン・バラサガン・ステゴッチ」なる、キョウリュウジンの新形態が登場!


 しかし、「キョウリュウジン・バラサガン・ステゴッチ!」と登場名乗りを叫ぶ際に、レッド・ブラック・ブルーの3人がコクピットで右に体を傾けて、右足立ちでポーズを揃える珍妙なさまは、まるで演芸番組で漫才師がコンビ名を名乗る際のポーズのようだ。
 これもまたシリアスなバトルストーリーの中でも、少々おフザケを入れてみせようという演出意図なのではなかろうか?(笑)


 オープンセットにおけるアオリ撮影で描かれる、キョウリュウジン・バラサガンステゴッチ VS プテライデンオー!


 その足元には街灯・信号機・自転車に至るまで、実に細かな造形物がビッシリと配置されているミニチュアワークもスゴい!


 もちろん、新ロボ登場回であるので、本編班の担当ではなく特撮研究所が撮影した映像であることは明白だ。今や「ミニチュア巨大特撮」の伝統を守り抜いているのは、休止中の東宝特撮映画でも同じく休止中のウルトラマンシリーズの円谷プロでもない。東映が世界にも展開している「スーパー戦隊シリーズ」なのである!


 そして、往年の巨大ロボット特撮『ジャンボーグA(エース)』(73年・円谷プロ 毎日放送)にはじまって、巨大ロボットアニメ『闘将ダイモス』(78年・東映 テレビ朝日)・『機動武闘伝Gガンダム』(95年・サンライズ テレビ朝日)・『獣拳戦隊ゲキレンジャー』(07年・東映 テレビ朝日http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080817/p1)に登場した戦隊巨大ロボット・ゲキトージャたちのように、善悪ともに操縦者の両腕の動きにシンクロして、巨大ロボが攻撃を繰り出すさまが実にカッコいい!
 こういったボディートレースでモーションキャプチャーな操縦方法は、筆者のような70年代の子供たちだけでなく、今の子供たちでも喜ぶものだろう! むしろ、現代的かつ今でも古びずに近未来的ですらあるだろう! だからこその普遍的な描写でもあるのだ!


 ブレイブ9は、30分ワク前半のいわゆるAパートをほぼ特撮バトルの見せ場の連続だけで畳み掛けて盛り上げている! その代わりに、変則的に30分ワク後半のBパートが人間ドラマ主導にするのかと思いきや…… 驚くべきことにまったくそうはならなかった!


 敵首領の神官カオス直属で、戦闘員・ゾーリ魔の100倍強いという上級戦闘員怪人でもある神官カオス直属の守護騎士・カンブリ魔が、アミィとソウジを人質にして降伏を迫ってくる!


 しかし、キョウリュウレッドことキングもとい桐生ダイゴは降伏してしまうのだ!


 ……と見せかけて(笑)、拳銃・ガブリボルダーをクルクルと回してカンブリ魔を狙撃する!


 オオッ、これは昭和の『仮面ライダー』のメインライターとしても有名な脚本家・伊上勝(いがみ・まさる)が「イベント編」などで披露していた、正々堂々とした戦い方ではなく(笑)、善悪ともにダマし合い・智謀・策謀・スパイ合戦も交えての戦いの再現ではないか!?
 こういったフェイントも交えた戦い方は、子供たちへの教育上はよろしくない! といった意見もわかるのだが、時に必要悪として緊急事態にはこういうことが必要なこともあるのだ!(汗)



「オレたちは戦隊だ!! 5人そろえば無敵だが、ひとりずつだって、チョ~(超)強いんだ!」


 スーパー戦隊の元祖『秘密戦隊ゴレンジャー』(75年)において、第2クールから登場した最初の幹部怪人であった日輪仮面(にちりん・かめん)が、たぶん第20話『真っ赤な死闘! 日輪仮面対アカレンジャー』だったと思うが、


「5人そろわなければ、なにもできない弱虫ゴレンジャーめ!」(笑)


などとゴレンジャーのことをあざ笑っていたものだ。


 たしかに「スーパー戦隊」なのにひとりだけでも敵怪人を常に必ず絶対に倒せてしまえるのであれば、「戦隊」を組んでいる必然性もなくなる。
 しかし、5人がそろわないと敵を倒せないことが宿命であれば、戦隊メンバー1人だけだと弱く感じられてしまうことも確かなのだ。ここが東映戦隊にかぎらず「戦隊もの」「集団ヒーローもの」の宿痾(しゅくあ=宿命的な弱点)なのだ。


 それに対する解決策はなにがあろうか? もちろん、完全な解答などはない。しかし、「暫定解」であれば存在する!


 それは、本話のように、「戦隊」は「ひとりでも強い!」。しかし、全員がそろうと「もっと強い!」 このように描いてみせることが、たしかに最適解なのだ!



 加えて、ほぼ毎回のようにダイゴは、


「オレたちは『戦隊』だ!!」


などと叫んでいる。これはどう解釈するべきだろうか? ふつうに考えれば、ここでいう「戦隊」とは自分たち『獣電戦隊キョウリュウジャー』自身のことだろう。


 しかし、視聴者や子供たちは同時にこうも考えてしまうものだろう。新旧戦隊が共闘する「スーパー戦隊VSシリーズ」や歴代スーパー戦隊が登場した『海賊戦隊ゴーカイジャー』(11年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20111107/p1)よろしく、これまでの「スーパー戦隊」の存在が本作においても既知なのであって、ダイゴもまた先輩スーパー戦隊の存在を前提として「オレたち『も』戦隊だ!」……などと叫んでいるのかもしれないと!(笑)


――でもまぁ、このへんを強調しすぎてしまうと、それではナゼに大ピンチの際に、先輩スーパー戦隊が助けに来ないのか!? といった想いが強くなってしまう。よって、そこについては世界観をユルくしてボカして触れずにおくのが粋(いき)というものだけど――


 アームド・オンしたキョウリュウレッド・ブラック・グリーン VS ゾーリ魔の大群の大乱戦が、荒野で繰り広げられる!


 そして、レッドVS敵幹部ドゴルドのガチンコ対決! ドゴルドに吹っ飛ばされてしまったレッドが、ワイヤー吊りで宙を反転してから体勢を立て直して着地するという絶妙なアクション演出も実にカッコいい!


 だが、ドゴルドの面が割れてしまった! しかも、ドゴルドには実体・中身がなかった! その身をおおっている鎧(よろい)そのものが実体だったのだ!


 そして、その鎧を装着していたのは、400年前の戦国時代の日本を襲ったデーボス軍を相手にして、賢神トリンとともに戦っていた当時の剣豪・空蝉丸(うつせみまる)であったという、衝撃の事実が発覚する!!


 ド~なる~~!? キョウリュウジャ~~!!


――名声優・千葉繁(ちば・しげる)による、あまりにハイテンションなナレーション!(笑)――


 特撮オタクの皆さまであれば、これはウルトラシリーズに登場した暗黒宇宙大皇帝・エンペラ星人が着用するハズだった漆黒の鎧(しっこくのよろい)・アーマードダークネスを、ウルトラマンメビウスウルトラセブンウルトラマンベリアルなどが身にまとってしまったことの引用であるとしか思えないだろう(笑)。


 90年代には児童誌『コミックボンボン』での長期連載漫画『ウルトラマン超闘士激伝』(93~97年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210131/p1)の原作もペンネームで担当していたマニア上がりの三条陸氏のことだから、ついつい引用してしまっても不思議ではないだろうし、そこにケチを付ける気は毛頭ない。
 海外ファンタジー作品や世界の神話などでは、「生きている鎧」といったネタは定番であるようだし。


ブレイブ10(後編)「サンダーッ! ゴールドふっかつ」


 人質となっていたキョウリュウグリーン=ソウジとキョウリュウピンク=アミィ。


 しかし、アミィが


「ソウジくん、絶対黙っててほしいことがあるの。恥ずかしいから誰にも云わないで。実はアタシ、足で録画予約ができるの……」


と唐突に告白をはじめた(笑)。そして、足の指を器用に使って(!)、ソウジを縛っていた縄をほどいてみせた! そして、見事に脱出に成功する!


 なんというご都合主義! だが、本作は最初からリアリティーの基準線が低く作られている、「スーパー戦隊」作品の中でも特にヌルくてユルめの作品なのである(笑)。だから、こんなご都合展開でも幻滅させられることもなく笑って流せるのだ。
 意外とリアルでシビアだった初期「スーパー戦隊」では、ヒロインを三枚目として、かつギャグとしても描くような、こんなご都合手法はさすがに使えないだろう(笑)。


 キョウリュウピンクも出自的にはお嬢さまだが、その性格に品(ひん)はあるものの、お上品とも言いがたかった(笑)。今までも邪気はないけどヤンチャで元気な娘として描かれてきたことで、ここでの唐突さも緩和されているのだ!


 どうやって脱出した!? といぶかるカンブリ魔に対して


ソウジ「それは…… 秘密だ!!」(笑)
アミィ「……よろしい」(笑)


などと返してみせるふたり。これから倒してしまうであろうゲスト敵怪人に対してすら、アミィの秘密を律儀に守ってみせるソウジの度が過ぎた誠実さ!(笑)
 それをさも当然のように受け止めているあたりは、やはり気位(きぐらい)の高いお嬢さまであるアミィ!(爆)


 両者の性格設定もあらためて強調しながらのギャグにもなっているのだ!


 筆者のようなロートル世代は、この両者の関係に『ゴレンジャー』で、


ミドレンジャー=明日香健二(あすか・けんじ)が最年少の17歳!
●紅一点のモモレンジャー=ペギー松山(ぺぎー・まつやま)18歳!


 つまり、ミドレンジャーの方が年下であったことも、咄嗟に連想してしまったものだけど。しかし、当時の作品としては充分にオドケていたものの、『ゴレンジャー』は『キョウリュウジャー』ほど崩れてはいなかった(笑)。


 キョウリュウジャーとしての活動時にも、ソウジは高校の制服を着用している。これも日本全体がまだビンボーで服飾面には金銭を割けなかった1960年代までならばともかく、リアルに考えれば今どきなさそうな描写ではある。
 しかし、常に学生服を着ていることこそが、まさにキョウリュウジャー最年少の戦士であることを、ビジュアル面でも強調しているのだ!


 そして、ソウジの父にして剣術道場の指南でもある立風館源流(りっぷうかん・げんりゅう)の自宅になぜだかご都合主義にも存在していた空蝉丸の剣法の「秘伝書」!
 これを参考にした源流オヤジの剣術から、ダイゴはドゴルド=空蝉丸に対抗する秘訣(ひけつ)をも見極めた!


 なぜに「戦隊」メンバー宅にそんな「秘伝書」があったのか!? しかし、こういったご都合主義がなければ、痛快なる「大逆転劇」は最低限の「説得力」を持って成立させることはできないのだ。
 こういったご都合主義や、なんとか勝利に持っていけた! という一応の合理的な理由が描かれなければ、「逆転劇」に説得力や爽快感は出てこないものなのだ。まさに最後の「勝利」自体が、悪い意味でご都合主義臭もプンプンになってしまうのだ。


 そして剣豪・空蝉丸は、ソウジも剣術の使い手であったことから、そもそもこのふたりの属性はカブっているという問題点もあった。


 この問題点を解決するにはどうすればよいのか!? そこで、その父・源流もまた代々の剣術の家系の者だったとすることで、その歴史を戦国時代にまでさかのぼらせてしまうのだ! そして、そこで空蝉丸の剣法の「秘伝書」とも縁があった! あっとしても不思議はなかった! として接点を持たせているのだ!


――ちなみに源流を演じたは、『科学戦隊ダイナマン』(83年)のダイナブラック=星川竜(ほしかわ・りゅう)などを演じ、JAC(ジャパン・アクション・クラブ)の名スーツアクターとしても幅広く活躍してきた春田純一(はるた・じゅんいち)氏だ!――



 無事に脱出できたアミィとソウジ! しかし、その眼前にデーボス軍の幹部たちが勢ぞろいして立ちふさがった!
 まだ1クールの中盤なのに、早くもシリーズ終盤のような総力戦になっているあたりも嬉しいし、盛り上がってもいる!


 そして、ドゴルドもまた獣電竜・プテラゴードンを呼び寄せた!!


 そこに、往年のテレビ特撮『怪獣王子』(67年・ピープロ フジテレビ)の野生児主人公・タケルと怪獣ネッシーのように(笑)、獣電竜ガブティラの頭上に乗って、キョウリュウレッドが登場する!


 「首長竜」の獣電池をセットされたガブティラは、


「ビロ~~~~~ン」


というコント劇に流れるようなコミカルな効果音とともに、CG表現で首を長く伸ばした! 「首長竜」の電池にはそんなフザケた超能力があったのだ!(笑) 「お笑い」以外に何の役に立つのか? と思いきや…… 空飛ぶプテラゴードンをその首で大地に叩き落とした!


 そして、キョリュウジャーVSデーボス軍の決戦の火蓋(ひぶた)が切って落とされた!!


 キョウリュウブラックが崖にジャンプ! 反転して飛び降りて、敵幹部・アイガロンを急襲するアクションが目を見張る!


 キョウリュウグリーンの剣技「斬撃無双剣!」がゲスト怪人・カンブリ魔を葬り去る!


 賢神トリンがドゴルドを羽交い締めにし、レッドにトリンの精神を獣電池に込めてドゴルドを撃つように迫った!


 トドメは刺されなかったものの、ドゴルドプテライデンオーに乗りこむ!



 しかし、そのときドゴルドの全身の鎧が砕け散った!!


 連られて、悪の巨大ロボット・プテライデンオーも黒いマントを脱ぎ捨てる!


 キョウリュウジャーの前についにその真の姿を見せた空蝉丸!!


 もちろん、敵を手をこまねているワケではない! そこに戦闘員・ゾーリ魔の大群が迫って来た! キョウリュウジャーたちが彼を守ろうとして、これを遮ろうとする!


 だが、


空蝉丸「手出し無用!!」


と、キョウリュウジャーの加勢を断る空蝉丸!


空蝉丸「いざ、尋常(じんじょう)に…… キョウリュウチェンジ!!」


 プテラゴードンの口から変身アイテムが吐き出された! そして、空蝉丸の左腕にピッタリと装着されるさまが、まさに正義の超人ヒーローやロボットたちの非常に高い身体能力や正確無比なテクノロジーの象徴! といった感じで、ベタでも頼もしくてカッコいい!


 完全に「時代劇」調のBGMとともに、空蝉丸がキョウリュウゴールドへと変身!!


「雷鳴の勇者! キョウリュウゴールド見参!!」


 キョウリュウゴールドは空の黒雲からカミナリを呼び寄せ、必殺剣・ザンダーサンダーも招来!


 そのザンダーサンダーから発するカミナリ攻撃で次々に破れていくデーボス軍!


 キョウリュウゴールドはベルトから「獣電池」を取り出しては次々にザンダーサンダーに装填してパワーを高めて、ついにゲスト怪人・カンブリ魔を撃破した!!


 まさに追加ヒーローの初登場にふさわしく、もう彼さえいればキョウリュウジャーの5人も要らないんじゃね? といった、デタラメなまでにキョウリュウゴールドの圧倒的な強さが描かれている。しかし、そういう描写こそがこの手の作品では実に爽快なのである! 5人の引き立て役や噛ませ犬や前座キャラではツマラないのだ!(笑)



 だが、戦闘系ではない敵幹部・ラッキューロの「スクスクジョーロ」(笑)で「復元水」を浴びたカンブリ魔2体は復活して巨大化した!!


 カミナリ変形したプテライデンオー VS ダブル・カンブリ魔!


 まさに「二刀流」であるかのごとく、プテライデンオーの両腕から鋭く生えた「黄金の刀」状の装備がカッコいい!


 そして、これまた搭乗したキョウリュウゴールドの動きに連動して、身軽なジャンプやキックで、ついに巨大カンブリ魔をも葬り去るプテライデンオー!! 強い! カッコいい!


 スーツアクターといえば、どうしても戦隊ヒーローにばかり目を向けがちだが、巨大メカの演技者は近年、『海賊戦隊ゴーカイジャー』(11年)の豪快かつコミカルな6番目の戦士・ゴーカイシルバーを演じた佐藤太輔(さとう・だいすけ)であるそうだ。



 戦いが終わって、空蝉丸はキョウリュウレッド=ダイゴがかつての主君とチョビひげ&オールバックにした総髪を除けばそっくりであったことでおもわず、


「お館(やかた)さま……」


とつぶやく。「お館さま」とは「館」に住んでいる武士の領主や君主の意味である。むかしは本名で呼ぶことは恐れ多いと「別名」や「役職名」などで呼ぶことが一般的だった。このあたりは時代劇としても正しいのだ!(笑)
 この「お館さま」はもちろんダイゴのご先祖さまなのだろう。頭頂部を剃る前の総髪時代の織田信長にも似ているが、大名の域に達した主君であったのかは不明だ。


 しかし、その血統を継いでいる子孫だとしても、当たり前だが、その「人格」や「器量の大小」は別である。


「我が主君にふさわしいか、それを見極めるまで手は握れん」


と安易な和解や馴れ合いは避けようとしてだろう。ダイゴの握手を拒否して、夕日に向かって去っていく。



 チョ~(超)カッコいい!!


 まさに追加戦士の登場編としては出色の出来である。



 余談だが、君主やその家系への一途な忠誠心が求められるようになるのは、ほぼ天下統一が済んで社会の安定が求められるようになった戦国時代の末期~江戸時代のことである。
 戦国時代の初期~中期の乱世の出世競争の時代においては、「武士たる者。七度、主君を変えねば武士とはいえぬ」と云われていたほどで、ビジネス・契約としての忠誠は誓うものの永続的な忠誠ではなく、その都度キャリア・アップを求めていくものだったのだ。


 空蝉丸による主君の子孫に対する不忠な言動も、こういった史実からの引用だろう。つまり、ここはデタラメではないのだ。
 空蝉丸は戦国時代の初期~中期の人物だとの推測ができる。しかし、400年前だともう江戸時代に入っているので、そこはおかしいのだけど。四捨五入で440年くらい前だと解釈しておこう(笑)。



 だが、ここまでのテンションのエピソードを今後も各話で維持するのはさすがにキツいだろう。そして、筆者も含む視聴者側でも、ゼイタクなことにハイテンションなエピソードが連続してしまうと、感覚が麻痺して有難みもウスれてしまうものだ。
 それに、「通常編」が比較的ユルユルの作風であるからこそ、こうした「イベント編」が相対的に目立って際立つことも事実なのだ。


*ブレイブ11「ウッチー! クールでござる」


 さて、ブレイブ11は坂本浩一監督が担当だが、とにかく氏の演出作品では女性キャラの活躍がめざましい。


 女敵幹部・キャンデリラの声を演じるアイドル声優・戸松遙(とまつ・はるか)が、キャンデリラが変身したアイドル歌手役で顔出し出演!


 キャンデリラの声優がこんなに可愛い、しかもアイドルっぽい娘だとは思わなかった(汗)。東宝の新人発掘オーディション「東宝シンデレラ」の最終選考に残ったという実績もあるほどで、近年の声優がアイドル扱いされているのもおもわず納得してしまう。
 しかも、歌唱だけでなく演技もできるワケだから、そこらのルックスだけのアイドルよりも、アイドル声優の方がよほど上だということにもなってしまう!? つまり、芸は身を助くで、そのへんのアイドル歌手やグラビアアイドルよりも、よほど芸能界で長生きできるのではなかろうか?


 そういえば、同じく敵幹部である哀しみの戦騎・アイガロンの声を演じる水島裕(みずしま・ゆう)もまた、30数年前の80年代前半には女性アニメファンからアイドル声優扱いされていたことを、そしてリアルロボットアニメ至上主義のマニアたちがそういうミーハーな風潮を毛嫌いしていたことを年長マニアたちは覚えていることだろう(笑)。
 水島裕もここまで見事に生き残っているワケで、往時の筆者の見識を恥じ入るばかりである(汗)。



「部下(=キョウリュウジャーの4人・笑)の質が低い……」


 キョウリュウレッドことダイゴに対して、そんな失礼なことを告げて、「戦隊」に加わる気はない! としてみせた、実にシビアな空蝉丸!


 そんな彼を追跡してみようと、バイクに乗りこむキョウリュウピンク=アミィ。その際に、そんな彼女をパンチラアングルで捉える坂本監督。しかし一見、見ミニスカに見えた今回のアミィの衣装は、よく見ると、残念ながら短パンであった(笑)。


 けれど、空蝉丸はクールでニヒルな性格の人間なのかと思いきや…… 決して武骨な戦国武者らしくはなかった! 実は善人そのもの! 愛想もよい「いい人」そのものだったのだ!


 そのことがバレてしまっては、今後がヤリにくい、お株が下がる、沽券に関わる、ナメられてしまう、とばかりに、キョウリュジャーにはないしょにしてくれ! と土下座(笑)までして頼みこむ卑屈な空蝉丸(爆)。


 こういった、一見はシリアスに見えるヒーローでも漫画アニメ的にコミカルにすぐに崩してしまうあたりは、筆者のような年長マニアが子供や中高生であった70~80年代の日本特撮にはなかった流儀であり、90年代以降の「スーパー戦隊」発祥のノリである。


 もちろん、こういった描写にも賛否両論があって当たり前だ。しかし、筆者個人は戦国時代の日本人武士なのに、とてもそうだとは思えないデタラメな性格設定になっているあたりは(笑)、いかにも今風の「スーパー戦隊」らしい明朗なノリなのでスキである。


 それはさておき、アミィの美脚からの主観で土下座する空蝉丸を捉えたり、坂本演出回の特色である「さわやかエッチ」描写が今回も炸裂!


 続くブレイブ12『ブットバッソ! せっしゃとキングどの』においても、空蝉丸を生徒にしてアミィに女教師のコスプレをさせ、タイトスカートから伸びる太モモをフェチアングルで捉えている。


 いずれの日にか「これらもセクハラだ!」として問題になるまでは、こういった寸止めの「さわやかエッチ」描写は、もちろんあくまでも子供番組の範疇でだが、続けてほしいものである(笑)。


 80年代~90年代のスーパー戦隊シリーズにおいては、夏期放映分でヒロインが水着姿を披露するのが恒例であった。しかし、00年代以降、こうした描写はすっかり陰をひそめてしまっている。
 これはたいした必然性もなしに女性キャラが水着姿になるという描写が、ともすれば「セクハラ」であるなどと取られかねなくなった、という理由もあっての「自粛」だろう。


 ただ、テレビ番組や子供番組の「エロ」や「暴力」描写に対する規制が、日本に比べてはるかに厳しくなっている80年代後半以降のアメリカで、『パワーレンジャー』シリーズ(93年~・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080518/p1)を長年撮っていた坂本監督からすれば、日本の「スーパー戦隊」はまだまだ自由な場なのだろう(笑)。


 しかし、


「角の勇者、キョウリュウピンク!」


と名乗りを上げて、ドカーン! と派手に爆発の炎があがるのを背景にキョウリュウピンクは常に


「ウフッ♡」


とほほえむんでいる。個人的にはOKなのだが、こういった男性に媚びたような女性描写に対しても、フェミニズム団体からクレームが来る日が、将来には来るのかもしれない(汗)。


 もっとも、あまりにお色気過剰であるのも、そもそも「子供番組」であることを考慮すればよろしくないのだが…… あくまでも、こういった特撮変身ヒーロー番組の本義とは、ヒーローと敵怪人のド突き合いをカッコよく描くことなのだ!(笑)



 本話のゲスト怪人デーボ・ホネヌッキー(骨抜き・笑)は、筆者のようなアイドルオタクたち(爆)の体から「骨」(!)を抜いてしまう! そして、その「骨」を「骨壺(こつつぼ・笑)」の中に入れる特殊能力を持っているのだ! このデタラメな設定がまたサイコウである!


 「骨抜き」ってそういう意味じゃないだろう! メンタルな意味だろう! といったことは百も承知での、確信犯でのメンタルならぬフィジカル(肉体)な読み替え! 座布団3枚!(笑)


 その際に挿入されるのがレントゲン映像! これは往年の大人気テレビ時代劇である初期『必殺』シリーズ(72~09年・松竹 朝日放送)における、シリーズ第2作『必殺仕置人』(73年)やシリーズ第10作『新・必殺仕置人』(77年)の「念仏の鉄」の「背骨外し」や、シリーズ第4作『暗闇仕留人(くらやみ・しとめにん)』(74年)の「石屋の大吉」の「心臓つぶし」の際に挿入されるバンクフィルムによるレントゲン映像へのオマージュだろう(笑)。


 こういったナンセンスさは、元祖『秘密戦隊ゴレンジャー』の放映2年目に登場した敵怪人たちが元祖であった。以降の「スーパー戦隊シリーズ」にも散発的に登場しつづけてきた。そして、再評価として積極的に「ギャグ怪人の良さ」を前面に押し出して、そのカラーリングも褐色ではなく明彩色となってポップになっていくのは、『高速戦隊ターボレンジャー』(89年)あたりからだ。以降はギャグ描写やギャグ作戦としてもドンドンと突き抜けていくようになっていく。


 ただし、小学校中学年であった筆者は、まだ時代の風潮もマジメだったせいもあったのだろう、この『ゴレンジャー』の2年目に登場した怪人たちである「野球仮面」や「牛靴仮面」の存在をバカバカしく思って、「もう、『ゴレンジャー』を観るのはやめよう」と一度は卒業したのであった……(爆)



 それはさておき、そのデーボ・ホネヌッキーの左肩に、キョウリュウゴールドがハイキックをカマすアクションがカッコよかった!


 そして、坂本監督回である本話では、やはりアミィ=ピンクが大活躍!


 ゾーリ魔の大群を相手に、アミィは通りすがりの少年から借りた一輪車(笑)を華麗に駆使して攻撃を加えるのだ!


 といっても、別にパンチやキックを繰り出すわけでもなく、どう見てもアミィはゾーリ魔の大群のあいだを単に一輪車でくぐり抜けているだけであり、手刀を浴びせたようにも見えないのに、その周囲でゾーリ魔たちが勝手に倒れていくのだ!(笑)
 別撮りでのアミィの手刀がゾーリ魔に当たった瞬間のアップのインサート映像などはほしかったのだが、戦隊ヒロインの活躍としてはまぁまぁ華(はな)が感じられてよい!



 逆襲とばかりにゾーリ魔の総攻撃によって、派手にブチあがる爆発の炎を背景に吹っ飛ばされるアミィ!


 近年の戦隊ヒロインはアクションが満足にできなくてもなれるだとか、ルックスを重視しすぎだなどと一部では批判もある。それにも一理があって頷けもする。


 しかし、『キョウリュウジャー』においては、アクションもできるアミィを演じる今野鮎莉(こんの・あゆり)の快活さとしなやかなさな身体に、坂本監督回がコラボすれば、アクション場面も吹き替え多用ではなく、本人が動員されてフェティッシュな被写体ともなるのだ!(笑)


 アミィはキョウリュウピンクに変身! 本話では、


「キョウリュウチェンジ! ファイヤー!!」


の「チェンジ!」と「ファイヤー!!」の叫びのあいだの、サンバのリズムに乗ってのブレイクダンスの部分までもが、ゾーリ魔とのバトルを描くことにも使われているのだ!


「変身途中・名乗り中・巨大ロボットへの合体途中に、なんで悪の組織は攻撃せえへんのや~!」などと、我々年配オタクたちも1980年代においてはすでにネタにしていた。そして、自分たちでする分にはそこに愛情もあった。


 しかし、即座に劣化したかたちで軽佻浮薄な80年代の若手放送作家たちにも流通! 変身ヒーロー作品がバラエティー番組などでは、当時の「お笑い」の主流である温かい愛情もある「笑い」ではなく軽蔑・蔑視・嘲笑の意味での「笑い」の対象としても扱われてしまったものだ(汗)。


 こういったジャンル作品のお約束に、はじめてセルフ・ツッコミを入れて、ドラマやアクションのちょっとした見せ場にしてみせたのは、リアルロボットアニメの第1号『機動戦士ガンダム』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990801/p1)の第23話で、空中で合体途中のガンダムに敵のロボットが攻撃を仕掛けてきたシーンである。
 つづけて、カッコよく変身ポーズを決めたり、悠長に名乗りを上げているように見えるが、実はそれは1ミリ秒での出来事だから、敵の攻撃を仕掛けてくる隙すらないのだ! としてみせたのは、東映の特撮変身ヒーロー「宇宙刑事」シリーズ(82~84年度)であった。


 『仮面ライダーBLACK RX』(88年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001016/p1)になると、大地や空中での変身途中に敵が攻撃を仕掛けてきて大爆発! 爆炎を晴れるや、すでに変身が完了していることでヒーロー性を高めるアクション演出が幾度か導入されている。
――これについては、脚本に描かれていたものではなく、現場判断で監督や今やJACの社長であるアクション監督・金田治がアドリブで挿入していたシーンであった可能性も高いが――


 しかし当たり前だが、いずれもギャグとしての描写ではなかった。半ばはギャグだが、半ばは衝撃をもって迎えられたパターン破りは、やはり我らが「スーパー戦隊シリーズ」なのだ!


 『爆竜戦隊アバレンジャー』(03年)第20話(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110613/p1)において、アバレッドが名乗りを上げている最中に、白い体色である悪の戦隊ヒーロー・アバレキラーが攻撃を加えてみせる!
 そして、「そういうのがダサいっつってんだよ……」とクールに云わしめて(笑)、レッドを倒してしまったことがあったのだ!!


 かつてこういったことに子供心にも疑問を持ったことがある世代がスタッフとなったことで、こういったセルフ・ツッコミ的な、しかも嘲笑ではなく愛情もある描写が挿入されていくようになったのだ。以降、こういったパターン破りが時折りにジャンル作品には見られるようにもなっていく。


 キョウリュウピンクの変身途中に敵の戦闘員が攻撃を仕掛けてきて、これに反撃しながら変身を完了させる! といった、子供たちでも……いや、子供たちこそマニア以上に実は喜びそうなシチュエーションもまた、こういったことの一環なのだろう。これもまた撮影現場での坂本監督によるアドリブ演出だったのだろうと思うのだが、本話でもそういったことを実現してみせているのだ!


――続くブレイブ12のAパートに至っては、アミィのみならずキョウリュウジャーの変身前の全員(!)が変身途中のブレイクダンスの部分で、戦闘員とのバトルを披露している!――



 だが、デーボ・ホネヌッキーに「骨抜き」にされ、キャンデリラのファンと化したアイドルオタクたち!――皆がお揃いのピンクの法被姿(はっぴ・すがた)……って、今どきのアイドルオタではなく、80年代のアイドルの親衛隊ではないか!(笑)――


 ダイゴ・ノブハル・ソウジ・イアンたちとて例外ではなくピンクの法被姿となっている(笑)。彼らが変身してのガブリボルバーの攻撃により、またまた派手な爆発の炎を背景に吹っ飛ばされるキョウリュウピンク!


 ここで、ピンクの危機に駆けつけてくる空蝉丸!


 空蝉丸ことキョウリュウゴールドが登場間もない時期なので、既存のキョウリュウジャーにワリを喰ってもらって、その代わりに新戦士のキョウリュウゴールドの頼もしさを印象付けよう! といった作劇意図だろう。


 デーボ・ホネヌッキーが空蝉丸を「骨抜き」にしようとする! 先ほどは戦国時代の武士にはとても見えない心優しいモダンな常識人だったのに、ここでは少々の矛盾が発生!(笑)


 ここだけはリアル志向と化して、そもそも現代のアイドル文化や女性による「(可愛い子)ブリッ子」的な萌え媚び姿態の流儀・文脈を知らない戦国時代出身の彼には、キャンデリラの現代的で「萌え(もえ)」的な態度はまるで通じていないものとして描くのだ!


――とはいえ、言葉は「萌え」でも、女性が男性にシナをつくったり、媚びたり、シナだれたり、コケティッシュ……といった行為は、そういった言葉が古今東西あるとおりで、別に現代にかぎったものではないだろう。古代や原始時代からあっただろう行為だとも思うので、この展開にはやや異論がなくもない。しかし、この手の作品にそういうツッコミを入れるのはヤボだろう(汗)――


 デーボ・ホネヌッキー云わく、空蝉丸のような「骨太なヤツはダメ」だったそうだ。しかし、彼の本性はそんなに骨太ではないだろう。ホネヌッキーはやや誤解していると思うぞ~(笑)。


 ホネヌッキーの「骨壺」を割ったことで、抜かれていた「骨」が毎度のご都合主義で、空を飛んで各人に戻っていって、正気に返ったダイゴたち。


 「よかった!」と空蝉丸が笑顔を見せる!


 しかし、「正体(本性)を隠しておきたいのであれば、ここではまだ笑顔は殺して『クール』に決めておけ!」とばかりに、ピンクがフィンガーアクションで合図を送っている!


 このシーンだけは、子供向け番組にはあるまじき、意外と高度で複雑な人間描写・心理描写だったかもしれない(笑)。



空蝉丸「おなごひとりを危機にさらすとは、不甲斐ない……」


 いかにも急いで取って付けたようにキョウリュウジャー4人を「不甲斐ない」と論評してから(笑)、あらためて変身!


 そして、「スーパー戦隊」おなじみの様式美的な名乗りを上げているキョウリュウゴールドの背景映像! それはCGで描かれた屏風絵(びょうぶえ)である! これがまたバカかっこいい!(笑)


 ゴールドは白い羽根が背中に生えて、宙を舞っての攻撃を披露する! しかし、翼竜プテラノドンのような鳥の羽根ではなく昆虫の羽根であった! 不整合だともいえるし、あまり意味がないともいえるのだが、やはり空蝉丸の名前の「蝉」から来ていることは明白だろう(笑)。


 ピンクもまた、バイクをジャンプさせながらゾーリ魔に跳び蹴りを喰らわす!


 そして、ピンクのバイクがゾーリ魔の大群の頭上をジャンプするさまを真横から捉えて、背景に爆発の炎をブチ上げさせる!


 これまた、実にカッコいい映像だ!!


 ついにデーボ・ホネヌッキーを打ち破って、ド派手に爆発してブチあがる炎を背景に、カッコこよくポーズを決めてみせるキョウリュウゴールド&キョウリュウピンク!!



 今になって始まったことでは決してないのだが、80年代中盤あたりから戦隊ヒロインはけっこうな大活躍をしてきた。
 これも女性を一応は尊重してみせたものだったが、単にスタッフが女性キャラや変身ヒロインの大活躍を見てみたい! そこにフェティッシュなものを感じたい! といったスケベな気持ちも微量に入り混じったウラの理由が大きかったとも思うのだ(笑)。


 しかしながら、年々ますます深刻化していく先進各国における少子化問題まで考慮に入れれば、女児層をも視聴者に取り込まなければ、特撮変身ヒーロー作品の商業的な先細りも必至なのだ。


 そんなことはスタッフも玩具会社も百も承知だろう。しかし、そういった意味でも今後とも戦隊ヒロインには活躍してほしいものである。


 もちろん、ヒロインも単なる賑やかしキャラではない。ふだんは気が強そうなアミィが、空蝉丸の身の上話には涙していたりする。空蝉丸とキング(=ダイゴ)たちとの仲を取り持とうとしている。空蝉丸に「ウッチー」のアダ名を付けてあげている(笑)。


 往年の俳優クリント・イーストウッド高倉健三船敏郎といった、あるいは日本特撮でも80年代初頭までは存在したような孤高でいぶし銀なシブいヒーローがまったく微塵たりとも存在できなくなってしまった! といった状況については、それはそれで極端な事態だとは思う。
 そこにも「マジメなヤツはツマラない!」「シリアスはダメで、楽しくなければテレビじゃない!」といった軽佻浮薄さばかりを称揚してしまう、新たな別の問題点もあるとは思うのだが、それはまた別途、考えることにしよう。


 それはともかく、本作のエンディング歌曲の映像では、出演者たちとともにダンスを披露する視聴者からの募集ビデオでは、明らかに女児の姿が目立っている!


 彼女たちも成長すれば、「スーパー戦隊なんてオタクくさくてダサ~い! 自分たちの子供には絶対に見せない!」と変節してしまうのかもしれない(笑)。
 あるいは、我々オタクたちとは違って、元気で快活で体育会系のタイプは、自身の幼少時のことをまったく記憶していないタイプも多い。そもそも記憶のはじまりが小学校3~4年生だという連中までいる(汗)。そういう娘たちは長じてしまえば、自分が『キョウリュウジャー』を鑑賞していたことすらまったく忘れ去ってしまっていそうだ(爆)。


 しかしそれでも、幼少期に観てさえいれば、自身が母親になっても子供たちに「スーパー戦隊」を観せることを許容する確率が少しは高まることは確実だろう! それによって、また新たな視聴者層や次代のマニア予備軍も開拓されるのだ!
――「ウルトラマン」や「仮面ライダー」とは異なり(汗)、「スーパー戦隊シリーズ」については数十年後も延命していそうなのだし!――


 もちろん、現役の幼児たちの母親層たちは、彼女らの幼少期である80年代に放映されていた「日本特撮」を観ていたとはかぎらない。自分に男児ができて、子供が観たがったから、逆に生まれて初めて「日本特撮」を観たような一人っ子上がりの母親層もきっと多いことだろう。


 その意味では、親が「日本特撮」を観ていたから、子供も「日本特撮」を鑑賞しているのだとはいえない! そんなことを云い出してしまえば、我々年長オタクの親たちは、「日本特撮」を観て育った世代ではない。そもそも「日本特撮」どころかテレビすら存在しなかった時代の世代なのだ(笑)。


 しかし、我々は親の目をかいくぐってでも、観たくて観たくて堪らないから! といった子供時代の「日本特撮」体験を引きずって、ここまで観続けてきたワケなのだ。


 その意味では、たとえ親が「日本特撮」を観ていなかったとしても、それでも子供たちが是が非でも観たくなるような「日本特撮」を、今のスタッフたちもつくっていかなくてはイケナイのだ!



 続くブレイブ12で、空蝉丸はあっけなくダイゴ=キングと和解し、キョウリュウジャーの一員に加わることになる。


 ……あまりに早すぎるだろ! とマニアの誰もが思っていることだろう。


 『爆竜戦隊アバレンジャー』のアバレキラーのようにシリーズ終盤でやっと仲間になる展開まではさすがに望まない。しかし、『忍風(にんぷう)戦隊ハリケンジャー』(02年)に登場した第2戦隊・ゴウライジャー(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20021110/p1)のように、もう少しだけ引きずってほしかった。


 しかし、6番目の追加戦隊ヒーローが早々に登場して、ワリと早々に仲間になるというシリーズ構成は、近年の「スーパー戦隊」の定番になっている。よって、ここまで早かったかはともかく、キョウリュウゴールド=空蝉丸がキョウリュウジャーたちと早々に和解するノリについては、今時のスレている特撮マニアの大勢も想像がついていたことだろう(笑)。


 ヘンな外人、もとい、キョウリュウシアンが語っていたように、早くも8番目の戦士(!)が見つかったとかで、本作では「10大獣電竜」という劇中キーワードが象徴しているように、マジで「10人戦隊」を実現しそうな気配がある!
 とっととストーリーを進めて、空蝉丸とは和解を済ませておくスタッフ側の「都合」があるに違いない!(笑)


 しかし、8番目の戦士がキョウリュウグレー! 「グレー」(灰色)って、狙った確信犯であることは間違いないにしても、「スーパー戦隊」史上で最大に地味な色がセレクト! しかし、それはそれで追加戦士としてはインパクトは大だろう!


 今後、さらに追加の戦隊ヒーローが登場するだろう。ミーハー的には、いや女児層をゲットするという高邁なる目的のためにも(笑)、変身ヒロインがキョウリュウピンクひとりしかいないので、もうひとりくらいはヒロインを加えるべきだろう。



 時間と紙幅の都合で、さすがにすべての詳細は語れないが、キョウリュウゴールドが加入して以降の各話について、特に印象に残った点を挙げていく。


*ブレイブ12「ブットバッソ! せっしゃとキングどの」


 第12話『ブットバッソ(ぶっ飛ばっそ)! せっしゃ(拙者)とキングどの(殿)』は5月5日(日)の「子供の日」に放映されるので、ゲスト怪人のデーボ・タンゴセック(端午の節句・笑)が「鯉(コイ)のぼり」をモチーフにデザインされているあたりが、デザイン面でもユカイな大傑作!
 それにもかかわらず、ギャグ怪人の扱いではない。空蝉丸との因縁(いんねん)も深いという強敵怪人として描かれていたあたりの意外性もお見事だ!


 とはいえ、シリアスだけでなく「飛んで火にいる夏の虫」ならぬ、


「飛んで火に入る空の蝉!」


なるセリフを吐かせることで、ギャグ演出も忘れられていなかったあたりもポイントが高い!(笑) 巨大化するや、鯉のようなシッポが生えるという変化も絶品であった。


 もちろん、空蝉丸がまだ初登場から間もないので、彼のキャラを肉付けするために、「時代劇」調の「隠れ里」を舞台にしてバトルも描かれていた。そして、ゾーリ魔たちが戦国時代調の鎧を装着していたのも風情&特別感があってよかった!


 東映特撮変身ヒーローものの80年代からのお約束で、舞台が「隠れ里」からいつもの「採石場」には戻る(笑)。このエピソードも坂本監督が担当しているだけに、キョウリュウジャーの名乗りの場面はアオリで捉えられ、彼らの周囲の風景もカメラを360度回転させて見せる! という映像的にも飽きさせない変化のある演出!


 キョウリュウブラックがクレーンから飛び降りる! キョウリュウピンクも逆立ち状態でゾーリ魔たちに回転蹴りを喰らわす!


 アームド・オンでのシールド(盾)もバリヤーに使用! さらに、シールドを投げて攻撃に用いる!


 いつもながらの派手なブチ上げで火炎などを織り混ぜながら、スピーディに描かれるクライマックスバトルが絶品!



 そして、初の「雷電(らいでん)カミツキ合体」で誕生するライデンキョウリュウジン!


 操縦席のキョウリュウジャーたちが剣を振り下ろすアクションに連動して、全身が金色に輝いて剣を繰り出すさまも最高!


*ブレイブ13「ジャキリーン! ハートをまもりぬけ」


 『ウルトラセブン』(67年)第8話『狙われた街』で描かれて以降、物理的な破壊や侵略ではなく、人間の信頼関係を断ち切ることで地球征服を遂げようとする悪の定番ネタではある。


 ただ今回は同時に、ソウジに片想いするかわいい女子高生をゲストに描かれる恋愛騒動を主軸に据えている。それによって、明るいコメディ作品としても完成しているのが見事である。


 ゲスト怪人デーボ・ジャキリーンは「関係断(かんけい・だ)ちバサミ」(笑)が武器だ!


 ブルーとの関係を切られたことで、放心状態から絶叫し、ブルーにすがり寄るレッドの怪演がなんとも云えないというか、お見事というべきか(笑)。


 あと、女子高生の恋愛を成就(じょうじゅ)させるためとはいえ、イアンはともかく空蝉丸までもがいきなり不良学生のコスプレ!


 ソウジに彼女を助けさせるために、女子高生を脅すせっかくのお芝居も、マジに受け取ってハイキックと回し蹴りで乱入してきたアミィによってブチ壊されるというオチも実に笑える。


 そして、怪人をおびきだすために、ダイゴまでもがセーラー服姿の女子高生になる!


 ノッさん(=キョウリュウブルー)も「今どきこんな学生いねえよ」的な、冴えない田舎者のような高校生姿のコスプレ姿を披露!


 なんと、ふたりはそのコスプレのままで、キョウリュウチェンジ! ほかの4人に比べて浮きまくり(爆)。


 こういうコスプレ仮想ネタは、むかしから女性の特撮ファンが特に大喜びするものだが、もちろん我々野郎の特撮マニアも「笑い」に寛容な人種のあいだでは好評なのである。
 しかし、「笑い」に寛容ではないクセに、戦隊ヒロイン七変化ネタだけには喰いつく御仁には…… 言行不一致だとしか思えない(笑)。



 そして、本話は甘~い恋の成就では終わらない。ラストで、ソウジがゲストヒロイン以外の女子高生にも同じプレゼントを渡してしまったのだ!


 乙女心に対するアリエないほどのギャグ漫画のキャラクター的な鈍感ぶり。そこまでの鈍感などアリエない! しかしだからこそ、これは良い意味での漫画でありギャグとして受け止められるのだ(笑)。


 バカにして! とばかりに怒りまくったゲストヒロインの女子高生に対して空蝉丸が、


「殿中(でんちゅう)、いや、校内でござる!」


と制止している(笑)。このあたりも、実は幼児向けのギャグではないかもしれない。しかし、コミカルな言動でコント的に騒いでさえいれば、子供たちでも連られて楽しめるものだろう。
 もちろん、年長オタク的には『忠臣蔵』での若殿・浅野内匠頭(あさの・たくみのかみ)が江戸城内で刃傷沙汰におよんだ際に、周囲が叫んだ「殿中でござる!」を「校内」に云い換えたギャグは楽しいし、ひたすらに笑えるのだ。


*ブレイブ14「あぶなァーい! スピリットベース」


 本話では、アミィがゲスト怪人に誘拐されて、さらには敵にキョウリュウジャーの秘密基地・スピリットベースに潜入されてしまい、爆弾まで仕掛けられてしまうという、まさに「最大の危機」が描かれている「ハズ」の作品である。


 しかしながら、


●執事(しつじ)であるジェントルおじさんから、淑女(しゅくじょ)としての厳しい教育を受けているアミィ
●筆頭の敵幹部カオスに教育係として任命された、本来は部下である黒板怪人デーボ・キビシーデス(笑)から、逆にシツケられてしまう幹部怪人ラッキューロ


 両者の「教育」(笑)を絶妙に対比させることにより、その「最大の危機」までもがコミカルに描かれてしまうあたりが、『キョウリュウジャー』の、そして90年代以降の「スーパー戦隊」の良いところなのである!


 アミィが誘拐された理由は、アミィがジェントルの厳しい教育で疲れて、正座から足を崩して茶菓子を口に放り投げていたからだ(笑)。そして、そんなダラシない姿を見た黒板怪人が、アミィを自身の手で「教育してやる!」と怒りまくったからである(笑)。


 しかも、長時間の正座に足がシビれて転倒したために(笑)、変身アイテム・ガブリボルバーを取られてしまったから、やすやすと誘拐されてしまったのだ!


 こんなアミィであれば、黒板怪人もさぞかし「教育」のしがいがあったことだろう(笑)。


 アミィから奪ったガブリボルバーで敵幹部・ラッキューロが秘密基地・スピリットベースに潜入する! そして、超時空爆弾(ネーミングが大袈裟!・笑)を仕掛ける!


 しかし、そこにあった月刊漫画誌『少女こずみっく』最新号が気になってしまう。脱出も忘れて、読みふけってしまうラッキューロ。それでこそ、今どきの「スーパー戦隊」作品なのだ!(笑)



 キョウリュウジャーとの基地内での密室バトルも展開される! しかし、基地の中だから壊されてはかなわない! とばかりに、キョウリュウジャーの司令官でもある賢神トリンが、


「ブレイブもほどほどに……」


と制止しているあたりがまた、トリンも意外とセコくて現金・現実的で笑えるのだ。



 本話はライデンキョリュウジンが宇宙で爆弾を処理することがクライマックスとなっている。


 そこでの危機感を高める物語配分のために、パターン破りとして黒板怪人が巨大化しない! それはそれでよいのだが、パターン破りの意外性! といった域にまでは達しておらず、巨大化した黒板怪人との一騎打ちがなかったことは少々残念にはなっている。黒板怪人のユカイなトークやコミカルな戦い方を観てみたかったのにィ(笑)。


 しかしながら、その代わりに中盤において早くも戦闘員のゾーリ魔2体(!)が巨大化! 獣電竜たちとの巨大バトルが用意されているあたりで配慮はあるのだ!
 巨大戦こそ観たいような幼児層にも、ここでのバトルがあるからそんなに不満はないだろう。「バランス取り」&「パターン破り」の絶妙な両立なのだ!



 ちなみに、この秘密基地の中へは、各所にあるキョウリュウジャーのマークをした「レリーフ」に変身アイテム・ガブリボルバーをかざすと入ることができる。
 しかし、ガブリボルバーを奪われて敵の潜入を許してしまった事件を受けて、トリンはをこの「レリーフ」自体をガブリボルバーをかざすまでは見えないかたちにするのだった。……最初からそうすべきやろ!(笑)


 そもそも明らかに東京都のマークが付いたマンホールならばともかく、あんなに目立つ奇抜なマークのマンホールのどこが「秘密」の入り口だったのか!? 公然の「秘密」ってヤツか!?(爆)



 ラストは、座椅子にダラシなく足を投げ出して、『少女こずみっく』を読み始めるアミィ。それを見ていられない! とばかりに天を仰いで、


「“戦隊力”に対して“女子力”が低すぎる!」


とトリンが嘆いて、やはり明るくコミカルなオチとして、良質な子供向け作品としての「スーパー戦隊」らしさも全開となってクロージングとなるのだ(笑)。


 「女子力」という言葉が近年では流行している。筆者個人はこの言葉に目くじらを立てる気は毛頭ないのだが、フェミニズム(女権拡張)団体から「男女差別だ!」「男女の役割分担や性格類型を性別で固定化する悪しきものだ!」とのクレームが付きそうで不安ではある。だからといって、先回りして自粛してしまうことも違う気はする。しかし、やや「危ない橋」を渡っている気はするのだ(汗)。


*ブレイブ15「はらだたしいぜッ! ドゴルドのやぼう」

*ブレイブ16「モグモグーン! おれのたからもの」


 ひさびさに「ちょっと重たい人間ドラマやってみました~」という趣(おもむき)のこの2本。1クールに1本くらいならば、こうしたノリもいいでしょう(笑)。



 しかし、いくらメインライターとはいえ、三条氏がここまでひとりだけで全話を執筆している!
 『百獣戦隊ガオレンジャー』(01年)でも、メインライター・武上純希(たけがみ・じゅんき)氏が序盤の18話分をひとりだけで担当した前例もあった。そこに匹敵しつつあるのだが、恐るべき筆力である!


 本作は序盤はやや「ヌルめ」であるところがちょっとだけ物足りない気もした。しかし、キョウリュウシアンやキョウリュウゴールド登場の「イベント編」から「活劇性」もアップ! その後の「通常編」もコミカル主体かつ戦闘的でもあって、硬軟をバランスよく配置した、実にバラエティに富んだ構成になっていると思う。


 ますます面白くなりそうな『キョウリュウジャー』。今後の動向から目を離さずにはいられない!


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2014年準備号』(22年8月13日発行)~『仮面特攻隊2014年号』(13年12月30日発行)所収『獣電戦隊キョウリュウジャー』前半評より抜粋)


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