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宇宙船Vol.120 復刊!〜この体裁で延命できるか? 往年のYEAR BOOKでの中島紳介氏による日本特撮・年度総括記事を懐かしむ!

[特撮意見] 〜全記事見出し一覧


(文・T.SATO)


 老舗特撮雑誌『宇宙船』。


 60年代の草創期TVアニメやTV特撮、同時期の怪獣映画や、50年代末期に週刊誌化された少年マンガ誌で産湯を浸かったオタク第1世代(60年前後生まれ)。
 そんな彼らが青年期を迎えた70年代末期に、大量に出現しはじめたのがジャンルのマニア向けムック群だ。


 折りしも、今にして思えば、海の向こうでもジャンル世代が主導権をにぎりつつあったか、映画『未知との遭遇』や『スター・ウォーズ』(共に77年・日本公開78年)が襲来してきて、日本でも大ヒット!
 第1次アニメブームや第3次怪獣ブームに、映画『スーパーマン』や『スタートレック』(共に79年)の舶来もつづく。


 そんな状況下、朝日ソノラマ社が出版していた、アニメ&特撮をあつかった「ファンタスティックコレクション」シリーズ(77年〜)や、同社の月刊マンガ少年別冊『すばらしき特撮映像の世界』(79年6月)の好評を受け、それらを母体に1980年に創刊されたのが、『宇宙船』誌だった。


 筆者個人は当時小学生であったが、あの時代、イケてる系イケてない系のカーストの拡大・分裂はまだ明瞭には起こってはおらず(分化が急速に進むのは80年代前中盤)、よってのちに云うオタク趣味が劣位に置かれることもまだなく、人気作品であれば学級の男女の過半が視聴している、ということがありえた。
 オタク第2世代(70年前後生まれ)以上であれば、特に濃いオタクではなくとも、あの時代のジャンルの急速な変転と勃興と普及の空気を吸っていることと思う(ついでに云えば、ジャンルが急速にダサいものとされていく歴史も見知っていることと思う)。


 で、じゃあ当時、『宇宙船』誌が満を持して華々しく創刊したのだった!
 ……のかといえば、個人的な印象を云わせてもらえば、そんなジャンルの蜜月時代であってさえも、必ずしも華々しかったワケではなく、すでに同系の特撮SF雑誌、日本版『STARLOGスターログ)』誌(78年〜・ツルモトルーム)も登場していて、放映開始直前の『ザ☆ウルトラマン』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971117/p1)がカラー記事ページで数ページにわたって大々的にフィーチャーされたりしていたこともあったし、あまたあるアニメ誌も含んだジャンル誌群中の遅れた1冊、という感じのひっそりとしたスタートであった、という気がする……。
 何よりも当時にして季刊誌であったし(笑)。


 また、コレは当時のメインターゲットの年齢を考えれば仕方のないことではあろうが、当時の『宇宙船』誌は、60年代の日本特撮や、50年代のアメリカ特撮などをあつかうことがメインであり、70年代の日本特撮が大きく取り上げられることはほとんどなく、いわんや当時の現行TV特撮(『ウルトラマン80(エイティ)』(80年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971121/p1)や『仮面ライダー(新)』(79年)に『電子戦隊デンジマン』(80年))がカラーページで大々的に紹介されるということもなかった……。



 などと、『宇宙船』誌の歴史を書いても、表題とはズレるので、はしょるけど(笑)、2005年7月号(Vol.119・ASIN:B0009PLA0U)を以(も)ってして、四半世紀・25年間つづいた『宇宙船』誌もいったん休刊。


 マニアでもインターネット普及以前から、ファンクラブサークルなり物書き同人サークルなりのマニアのムラ世間に所属していたことがある古い人間であればご存じの通り、ゆるやかならばつながりがある業界スジから真偽はともかく、何度か『宇宙船』誌の存続がアブナイというウワサを流れ聞いたことがあったかと思う
 (流言や又聞きの又聞きで伝言ゲーム的な変容もあったにちがいないが・笑)。


 ところがドッコイ、ナンだカンだとなかなか廃刊にはならずに刊行をつづけていく。


 ただし、事態は変わっていく。
 90年代後半以降のフィギュアブームと連動して、特集内容・題材も自由で新旧特撮作品を、ページ数の裁量も融通無碍な機動性の高い編集でフィーチャーすることも多い、『HYPER HOBBY(ハイパーホビー)』(97年・徳間書店ISBN:4197200102)や『フィギュア王』(97年・ワールドフォトプレスISBN:484652096X)などを代表とする一連のホビー誌の勃興。
 『星獣戦隊ギンガマン』や『ウルトラマンガイア』(共に98年)あたりに端を発して、平成『仮面ライダー』シリーズを中心とする本格的なイケメン特撮ブームの招来を迎えて、歴史を持つあらゆるジャンルの宿命ともいえるジャンル自体のインナージャンル、サブジャンルへの細分化の現象ともあいまって、創刊されたあまたの特撮雑誌群。


 ――『電撃特撮通信』(99年・メディアワークスISBN:4840212104)やら『HERO VISION(ヒーローヴィジョン)』(00年・朝日ソノラマISBN:4257130318)に『ウルトラマンAGE(エイジ)』(01年・辰巳出版ISBN:4886415903)や『ニュータイプTHE LIVE(特撮ニュータイプ)』(01年・角川書店ISBN:4047213667)、『東映ヒーローMAX(マックス)』(02年・辰巳出版ISBN:4886417310)や漫画誌特撮エース』(03年・角川書店ASIN:B000HT1XQE)に、そして『ウルトラマンDNA』(04年・小学館ISBN:4091106730
 ……個人的なことを云えば、ここまで出版ラッシュだと出費や収納スペースや読む時間にもキリがないし、批評オタクとしては理論やネタ仕込みにジャンル雑誌だけを読んでいればイイというものでもなかろうから、一部の第1号だけご祝儀で購入してあげる他は、今ではほとんど立ち読みすらもがしてなかったりもするのだが(笑)――


 そんな競合誌が登場してきて、『宇宙船』誌は部数的には長期低減傾向にあって(?)キツかっただろうと予想される。
 (もちろん『宇宙船』誌自身が90年代中盤以降、東宝・円谷よりも東映作品の方が若いマニアに人気があったのに、そのニーズ(需要)をうまく救いとってこなかったことにも一因はある。西暦2000年あたりでもマニア人気があった当時の現行TV特撮『未来戦隊タイムレンジャー』(00年)をカラーページであつかっていない号もあるくらいだ。コレでは最新情報に強い月刊ホビー誌に読者を取られてしまうだろう)


 特に大手資本の角川書店がカラーページ主体、安価が可能な大部数(公称15万部)にて投入した『特撮ニュータイプ』誌が、当初の季刊18日発売から03年に隔月化、05年には『宇宙船』誌と同じ1日発売で、「毎月1日は特撮の日!」と称して都内の電車の中吊り広告――『仮面ライダー響鬼(ヒビキ)』(05年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070106/p1)の明日夢(あすむ)少年をフィーチャー――まで仕掛けて真っ正面からブツけてきたのには……。
 朝日ソノラマ資本力では絶対にできない宣伝だネ。


 もちろん、新興の特撮雑誌のすべてがホクホクだったワケでは毛頭なく、同じ角川系でも角川のお家騒動で角川弟が93年に設立したメディアワークスの『電撃特撮通信』は、まだまだ特撮が売れるとは思われていなかった99年だったゆえにか初期投資も少ないゆえか、第1号からして少部数で1900円という高額な価格設定。
 申し訳ないけど「こりゃ売れないな」と思っていたら、第2号(ISBN:4840214662)でニッチ(すきま)ねらいかスーツアクターのビジュアルを中心にフィーチャー。第3号(ISBN:4840216053)以降はイケメン役者のグラビア誌に徹していくが早々に休刊。


 『ウルトラマンAGE』誌の場合は、休刊の理由が不明だが、最終号の編集後記から察するに、おそらく円谷プロオフィシャルマガジンを名乗った『ウルトラマンDNA』編集部(といっても小学館の社員が作っているワケではなくフリーライター連中が主導)が、小学館に依頼してやんわり圧力をかけてつぶしにかけたんじゃねーの? とゲスの勘ぐりをしているのだけど……。
 真相はいかに(笑)。


 当該の『DNA』誌も、『AGE』誌に比すれば良くも悪くもよりユルいマニア層向けの拡大・取っ付きやすさをねらったためか、誌面もレイアウトデザイン主体のもので……。
 まあそれはそれで商業的には積極的にもよしとしても、天下の大出版社・小学館で作るのだから、地の利を活かして、当時は全学年で数百万部の超絶部数をほこっていた70年代小学館学年誌の伝説のウルトラ記事でも誌面後半で積極的に再録していけば、また別方向の濃いマニア向けの潜在ニーズに多少は訴求して、売り上げも若干なりとも上がったのでは? とも愚考する。


 しかして、第1号でせっかく独占先行掲載ができた『ウルトラマンネクサス』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060308/p1)のビジュアルを巻頭記事にはともかく表紙にすえずに(!)、初代『ウルトラマン』(66年)のよりにもよっていわゆるAタイプ!――映画『ウルトラマンメビウスウルトラ兄弟』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070128/p1)でも不評だったAタイプ!――のしわしわマスクの着ぐるみ全身写真を表紙にすえるようなセンスには……。
 80年代ならばともかく、特撮書籍の乱造・飽和の時代の21世紀なのだから、新番組ヒーローを表紙にすえた方がインパクトがあったのにと思うけどなあ。
 『仮面ライダー』であれば初作第1クール目の、後頭部にうなじや黒髪が見えている旧1号ライダーをベストと推すような(笑)、なんだか80年代のジャンルマニア草創期の中二病期で止まったままのような、ベタな第1期ウルトラ至上主義やマニア的には語られ尽くした『怪奇大作戦』(68年・円谷プロ)DVDをプラスアルファも加えずにこの00年代に手アカのついたノリで紹介記事に仕上げちゃうようなセンスが祟ったのか――といってドコかの急進派のようにムリやりにでも第2期ウルトラを狂信的にでも持ち上げろ! とか云う気も毛頭ないが(汗)――、『AGE』誌以上に売れているとはとても思えず、ついには不定期刊行の迷走状態の果てにやはり休刊。
 これじゃ、『AGE』誌をつぶした意味がなかったじゃん。


 雑誌の奥付を見るに、『DNA』誌とフリーの編集スタッフはけっこうカブっていたと記憶する角川書店のマンガ誌『特撮エース』も、発行部数が公称40万部をほこる同社のマンガ誌『ガンダムエース』の目玉『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN(ジ・オリジン)』を形式的にならってか、初代『ウルトラマン』(66年)の忠実なリメイク、若干のブロウアップにすぎない漫画『ウルトラマンTHE FIRST(ザ・ファースト)』(ISBN:4048538276)なぞを目玉連載。
 ……平均的な特撮マニアのドコをどう叩けば、そんなニーズが最優先にあると判断できるのか!?(笑) 絶望的にセンスが古いというかズレているというべきか。
 それこそ今の特撮マニアに訴求するならば、第2期ウルトラ漫画の功労者・内山まもる先生なり、第3期ウルトラ漫画の功労者にして『ウルトラ超伝説』(81〜84年・ISBN:4886531067)の故・居村眞二先生。
 あるいは現今の特撮マニアの消費的多数派で、『特撮エース』や『特撮ニュータイプ』の中心読者とおぼしき10〜20代の若いコのことを真に考慮するならば、彼らが小学生時代に数十万部(最盛期の91年には75万部)をほこったという児童誌『コミックボンボン』にて連載されていた『ウルトラマン超闘士激伝』(92〜97年・ISBN:4835444094ISBN:4835444108ISBN:4063216853)の続編でも持ってくれば、よっぽどサプライズもあっただろうし、売り上げ的にも貢献したろうに。
 ま、このことを云い出せば、『特撮ニュータイプ』で連載されてた藤原カムイの『ウルトラQ』(03年・ISBN:4047135801)のリメイク漫画にも同じ疑問があるのだが。
 ビジネス&マーケティングセンス・ナッシング。


 『特撮エース』創刊の2年後、ウルトラ兄弟やウルトラの国の歴史設定をフィーチャーした、オタク系マンガ誌『月刊マガジンZ』での『ウルトラマンSTORY 0(ストーリーゼロ)』(05年・ISBN:4063492206)の連載や、幼児誌『てれびくん』にて天下の内山まもる御大が登板した『ウルトラマンメビウス外伝 超銀河大戦 戦え!ウルトラ兄弟』(07年・ISBN:4091051189)連載が、マニア間で『ウルトラマンTHE FIRST』をはるかに上回る反響と注目を集めている昨今、その思いは深まるばかりだ。
 やはりとても売れているようには思えなかった『特撮エース』誌も、『宇宙船』休刊の翌年ではあるが06年に休刊。

 
 というワケで、特撮雑誌は一見盛況であるようで半面、淘汰の波にも常に洗われているキビしい状況にあると私見する。
 いや、月刊化もされている創刊10周年を超えた特撮主体のホビー誌2誌のひとり、もといふたり勝ち状態というべきか(それはそれで本末転倒やもしれず複雑な気持ち・笑)。


 ただ、それでも個人的には、イケメン特撮ブームが去ったとき、ビジネスにドライな角川書店の方が、イザ部数が低落したときに『特撮ニュータイプ』誌をアッサリと休刊にして、良くも悪くも商売にルーズな朝日ソノラマの『宇宙船』誌の方がダラダラと最終的には残るかな? と漠然と予想をしていたのだが……。


 予想は物の見事に180度逆の正反対にハズれて、『宇宙船』誌の方が先にご臨終。どころか、2年後の2007年9月には本体の朝日ソノラマ自体が解散になってしまうとは(汗)。



 昨07年8月に発表された通り、関係者の尽力で老舗特撮雑誌『宇宙船』誌は、この08年4月春にホビージャパン社を版元にしてめでたく(?)復刊!


 当初、復刊決定のニュースを聞いたとき、老舗ホビー誌『月刊ホビージャパン』(69年〜)における特撮ライター、ヤマダ・マサミの連載「リング・リンクス(LING LINKS)」(94〜02年)を打ち切ったホビージャパン社が特撮ジャンルを大切にしてくれるのかどうか一抹の不安は残ったものの、同社から発行されるならば、『月刊ホビージャパン』はじめあまたのホビー誌のように、ガレージキットやフィギュアにそれらの全国販売店の広告ページが誌面の多数を占めて、それで広告収入も増えるなら、発行部数が少なめでも『宇宙船』誌の長期的延命にはよいことではなかろうか?
 ホビージャパン社での復刊でよかったね! とも考えた。
 だが……、そうは問屋が卸(おろ)さなかった(笑)。


 復刊された『宇宙船』誌を見たところ、なにか広告ページが増えたワケでは全然なく、誌面構成もレイアウトも今までの『宇宙船』誌とほとんど変わっていない!
 こ、これでイイのかなあ……。こんなんで継続していけるのかなあ。
 00年代の特撮雑誌の栄枯盛衰、ナニが延命してドレが休刊になったのかの、興亡の歴史の原因の分析と反省もふまえるならばなおさらのこと。


 コレでイイ! むしろコレでこそイイ! という『宇宙船』ファンの方もいらっしゃるのだろうが、筆者個人の好みは別として、一度は廃刊になったということは、かつてのあの誌面スタイルや内容が今の特撮マニアの平均多数のニーズとは合致しなくなって、発行部数が減ったがゆえの休刊であったのだ! と判断すべきであるだろう。


 ということは、このままのノリだとまたすぐに廃刊になってしまうような気がするのは筆者だけ?(汗) 
 そもそもアニメ誌を例に取ってみても、若い読者には老舗の『アニメージュ』誌よりも、グラビア・情報主体の『ニュータイプ』誌がここ20年来売れているように、今の10〜20代の若い特撮マニアに『宇宙船』誌へのニーズがあるのか否や。
 自分も今、ローティーンの少年だったら、『宇宙船』誌よりも『特撮ニュータイプ』誌の方が敷居が低くて取っ付きやすくて、そちらを購入しちゃうんじゃないかと思う。まあ筆者の場合、10代後半のヒネくれさがりになってくれば、同世代の特撮マニアとの小賢しい中二病的差別化として『宇宙船』誌に乗り換えるかもしれないけれど(笑)。


 もちろん筆者も世代的には、『宇宙船』誌に思い入れが一応はある。
 また特撮マニアの趣味嗜好の細分化、ジャンル自体の細分化は必然であるとわかりつつ、だから特撮総合雑誌のような存在にニーズが減っているだろうとは思いつつも、それだけでは狭いので、時にインナージャンルを越境・逆流・侵犯するような存在としての特撮総合雑誌は存在した方がよいとも思っている。
 が、その理念はともかくとして、それはたしかに80年代の誌面から大差がないような古典的なスタイルの意匠・レイアウトのままで、歳若い読者に提示すればよいとは思われない。


 だいたい表紙がベテラン・開田裕治画伯で、創刊号から5年間ほどの表紙を飾った功労者の氏を表紙にすえる意図はわかるけど、外宇宙のドコかの惑星で白褐色の二足歩行型ロボットというビジュアルは、科学が重厚長大産業の延長線上でロケットやメカが金属の銀色の輝きを放っていた光景に我々がワクワクロマンを感じていたような時代であるならばともかく、80年代中盤以降のマイクロチップブラックボックスナノテクノロジーな眼で見てわからない(笑)セコセコした科学に前衛が交替して、若いオタク諸氏も外宇宙SF的なものから異世界ファンタジー的なものにワクワクするように変化していって久しい現在においてはどうなのか?


 宣伝文句によると「表紙」は、「特撮ファンなら必ず手にとる豪華仕様」と謳(うた)われているけど、それは筆者のようなオタク第2世代以上のロートルだけじゃないのかなあ。まあ営業的ウリ文句を、当方もマジで受け取っているワケでもないけれど。
 てかパッと見て、特撮雑誌だとは認識してもらえないような……。
 若い特撮マニアはそんな80年代前中盤の歴史は体感してないのだから、それこそ付属の別冊42ページの『宇宙船YEAR BOOK 2008』の表紙のように、フツーに白バックで現行TV特撮2大ヒーローの顔(ライダー&戦隊レッド)のドアップをすえた方が、インパクト面でも若い特撮マニアへのアピール面でもよかったのではなかろうか?


 まあもちろん厳密にはマイナーチェンジ(?)はなされていて、特撮ライターの御大にして、『宇宙船』誌創刊の功労者のひとり、海外オールド特撮専門の聖咲奇(ひじり・さき)先生がいない! とか、中島紳介氏や池田憲章氏がいない! とかのマイナーチェンジはあるし、休刊中にも発行をつづけていた『宇宙船YEAR BOOK』などの奥付の人員の変遷を見るに、80年代には『ウルトラセブン』(67年)欠番12話研究同人誌『スペル星より愛をこめて』(82年)、『被爆星人の逆襲』(85年)などを発行していた特撮評論同人あがりの(といっても筆者も世代的にその時代の特撮同人界を知っているワケではないけれど)編集プロダクション・TARKUS(タルカス)が徐々に侵食していって、今では実質的に大部を占めてしまったという感じ。


 まあ聖センセにしても、休刊前の『宇宙船』誌での連載を見るに、近年隆盛してきたオタク系・映像系の専門学校なりの講師の職を得て、定期収入を確保しているみたいで、そっち方面を心配することもないけれど(汗)。


 脱線になるが筆者個人としては、休刊直前の時期〜休刊中の『宇宙船YEAR BOOK』においてベテラン特撮ライター・中島紳介氏が担当していた「日本特撮の総括」の記事ページをとても興味深く読んでいた。
 いわく、たとえば2003年版YEAR BOOK(実際には02年の総括)では「特撮もののジャンルは崩壊した」とか、2004年版(03年の総括)では「特撮映画はもうない」とか、そのオピニオンに筆者個人は必ずしも同意するワケではないけれど、ジャンルそれ自体をメタ的に大所高所から捉えて、どう見るか? 次はドーなっていくのか? ドーしていくのか? という着眼点&遠方からの視座がある記事は、個人的には刺激的であり触発もされ純粋に面白かった。


 が、まあネット界隈では、コレらの記事の反響を寡聞ながら見た記憶がないので(ネット弱者なので探し方がヘタなのか?)、やはりちょっとした長文の文章記事の類いだと、もう平均的な特撮マニアには読まれていない、ひょっとしたらウチら特撮評論同人界隈のしかも飲み会の席上でしか俎上にあげられていないのかもしれないが(笑)。


 ただ、この『宇宙船YEAR BOOK』の「日本特撮の総括」ページが常に面白かったワケでは毛頭なく、中島紳介氏が担当する前、21世紀初頭までは池田憲章氏が担当されていて、まあ憲章センセが善人であることはよくわかる記事なのだけど、内心は知らないがワリとなんでも好意的にホメていて、しかも地ベタをはいずりまわったディテールチックで感情的な文章で、それもそれでよいのだが、ジャンル自体をメタ的にどうこうという視座はなくて、個人的には物足りない思いを抱いていたものだ。
 聖センセが時折したためていた、「ダメなものをダメと書かずに、ジャンルを守るためと気遣ってお茶をにごした記述をするライターは無責任である!(大意)」という趣旨の発言は――まあこの指摘も一理も二理もあるけれど、極論にすぎてビジネスのことまで考えれば素朴に賛同はできかねるし、あからさまな批判を商業誌に入れたら入れたでトゲトゲしいので、行間に隠して読めば遠まわしにそれとわかる感じで巧妙に上品にやってくれよ、とも思うけど――、おそらく池田憲章センセのことを指している批判なのだろう……とまたも長年、ゲスの勘ぐりをしているところだが(笑)。


 『宇宙船YEAR BOOK』の「日本特撮の総括」ページを、中島紳介氏が担当したのは一昨年2006年の『宇宙船YEAR BOOK 2006』(ISBN:4257130865)までで、昨2007年の『宇宙船YEAR BOOK 2007』(ISBN:4257130962)からはTARKUSが自分たちの経済的取り分を増やすためか(汗)、辻事務所から移籍したとおぼしき(?)やはり80年代特撮批評同人・プロジェクトピンク出身のオタク第1世代の特撮ライター・井上雄史(いのうえ・たけし)氏が担当者に変更。
 まあ井上会長の記事も、しごく穏当な内容だとは思うけど、第1世代の頑固オヤジの役回りを引き受けると公言していた中島紳介氏の、ジャンルそれ自体に対する過激発言を注視して見守っていた我々の周辺では氏の退場を少し残念にも思っている……。



 などというところにこだわっているのは、やはり中年オヤジの年齢に達してしまった筆者の繰り言なのだろう。
 今、『宇宙船』誌が直面している問題はそこにはなくて(笑)、下記のようなことどもだと思う。



 新しい若い読者がなかなか入って来ずに、齢を重ねると同時に読者の平均年齢も同時に比例して上昇していき、ジリ貧化していく雑誌のことを「AGE(エイジ)マガジン」と呼称する。
 学生運動華やかなりしときに隆盛をほこっていた今は亡き『朝日ジャーナル』誌(92年に休刊)なぞはその典型例――その観点から行くと『ウルトラマンAGE』誌なんて縁起の悪い名前なのだけど(汗)――。

 
 筆者個人のことは棚に上げて云うけど(笑)、『宇宙船』誌もそのことには気を付けた方がイイだろう。
 声はデカくても数的には少数であるロートル読者のノスタルジーの要望に応えていると、ハシゴをハズされて前世紀の遺物と成り果ててしまう。
 まあロートル読者連中も、その理想としている時代の『宇宙船』誌が、80年代前半だったり中盤だったり後半だったり、はたまた90年代前半だったりと異なっているようだ。そして、その細部を言語化して突き合わせすることもなく、違ったままであることを自覚せずにフインキだけで野合しているような気もするが。


 ちなみに、筆者個人がその非才も省みずに、仮に『宇宙船』のような特撮雑誌を編集するならば、大方の善良な『宇宙船』読者や特撮マニアの見解・希望とは異なり、その神経を逆撫で(笑)するような編集方針を取る。
 具体的には下記の通り。



・表紙はイケメン役者のドアップにして、巻頭〜前半1/3は、変身前のミーハービジュアルで大判グラビア主体の役者インタビュー。


・中盤1/3が、従来なら巻頭扱いの現行TV特撮のカラー情報ページで、変身後のヒーローや新メカやらの最新情報の紹介や、スーツアクターや仮面キャラの声優諸氏の座談会。


・後半1/3のモノクロページは、従来通りの硬めというか文字主体の記事ページ。あるいはいっそ誌面采配の自由度も高くして、連載企画も随時中止なり1号おきを可能として、長いページを要した新旧特撮作品に関する、ホビー誌のそれに負けない濃ゆい特集記事などを。


・店頭での立ち読みでパラパラめくったときに無意識下にでも印象がよくなるように、もう少しスッキリして統一された、多少はポップでライトでオシャレなレイアウト。
 縦書き右綴じ本なのだから、パラめくりで眼に止まりやすい左ページ左上隅に(右ページにあらず!)キャッチーな大判の写真を極力配置して内容を即座に理解させるとか、本文の活字を小さくしてでも、写真や見出しは大きめすぎるくらいにした方がツカミ的にはイイ!


 ……というのは、同人誌製作用に購入したDTP(デスク・トップ・パブリッシュメント)ソフトの解説書に書いてあったことのウケウリだが(笑)。
 もちろんオタにとっては、オサレ(オシャレ)なサブカル誌ノリもヘイト(憎悪)の対象だったりするので、過剰にオサレに取り澄まさない節度も必要。
 いっそ立ち読みで見開き左右ページがパッと広く開けて、誌面確認の印象の点でも有利な、『特撮ニュータイプ』誌や青年マンガ誌にオッサン向け週刊誌のような背表紙なしの中綴じ本にしてもよいのでは? ペラい紙でめくりやすくして。



 以上……。補足の説明を加えるなら直下の通り。


 前半1/3に関しては、スキなイケメン役者のグラビアやインタビュー・対談記事なぞをファンの必須アイテム的に保有しておきたいという女性読者は、イケメン特撮大ブームが去ったあとでも今後とも一定数はいるだろうし、そのへんにもアピール、ツバはつけておくと。
 ついでに云うなら、可能であれば女性誌にも特撮雑誌の広告をカラーで出稿しておきたいところだが、広告費がジャンル雑誌なぞよりもはるかに高額だろうからムズカしいだろうなあ。


 中盤1/3の仮面キャラの座談会は、00年代前半のある日、珍しく残業せずに早くヒケて、神田は神保町(じんぼうちょう)の古本屋街、オタクの殿堂・書泉ブックマート2階にてスーツ姿で立ち読みしていたら、隣の若いオタク男子が一生懸命立ち読みしている『宇宙船』最新刊の記事は、『爆竜戦隊アバレンジャー』(03年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20031112/p1)のあまたの爆竜(人語をしゃべるメカ獣)たちの声をアテている声優さんたちの座談記事だった! という経験から。そーいう記事を熟読してるのかと。
 いやまあその一回の体験でもって若いマニアの好みを一般化するオレってどーなのよ!? という気もするけれど、本屋で定点観測するヒマ&気力もないので見切り発車の断言(笑)。


 後半1/3。平均的な読者は、かつてのように情報飢餓の時代ではなく、この情報過多の時代にムダに多忙であろうから、商業誌の2〜4ページ以上の文章記事なぞはほとんど読まれてないのではなかろうか? という気がする。本来は活字中毒の筆者でさえ、今では読むのが億劫だ、面倒クサいと思ったりするくらいなのだから(汗)。
 だからモノクロページの特集以外の文字ページの連載記事やコラム1コーナーなどもせいぜいマックス1ページ分。例外でもマックス2ページ分が適当かと(もちろん何事にも特例はあろうが)。


 当然ながら表紙&巻頭で、たとえば70年代マイナー特撮巨大ヒーロー『サンダーマスク』特集なんぞをやっちゃ絶対にダメ! 今の若いマニアにウケるワケがないだろ。特集としてあつかってももちろんイイけれど、表紙や巻頭にするこたぁないよなあ(笑)。
 コレもドコまでホントかは知らないが、『仮面ライダークウガ』(00年)主演のナマ身のオダギリジョーが表紙の号の『宇宙船』誌が売れ行きがよかったとのウワサが当時あったけど、だったらばなおさらのこと!
 野郎じゃなくても、『忍風(にんぷう)戦隊ハリケンジャー』(02年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20021112/p1)のハリケンブル長澤奈央ちゃんを表紙にすえた号とかあったじゃん。アレを毎号やれば、店頭効果でも他誌との差別化面でもイイのでは?
 それともこの手法も今では、ギャラで高額のカネがかかるとか?
 云うまでもなく、80年代後半みたいなオリジナルのゲロゲロモンスターのイラストを表紙にすえて、ドロドロドヨ〜〜ンなフインキも00年代には絶対ダメ!(まぁ将来またそーいう流行がめぐってくるかもしれないが・笑)


 他にも前半のカラーページと後半のモノクロページの断絶感が強いので、カラーの最後とモノクロの頭の境い目をまたがらせて特集記事を配置するとか、いろいろ工夫の余地はあると思うけど、境い目は広告ページになりがちですかね?
 最新号でも、現行07年TV特撮『仮面ライダーキバ』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080225/p1)から田崎竜太カントク、『炎神(えんじん)戦隊ゴーオンジャー』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080824/p1)からメインライター武上純希(たけがみ・じゅんき)、『トミカヒーロー レスキューフォース』から脚本家・川崎ヒロユキに、4月の映画『仮面ライダー電王&キバ』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080810/p1)の監督も務めた今やJAE(ジャパンアクションエンタープライズ)社長の金田治アクション監督インタビューと、必ずしも現今のマニアのニーズのツボはハズしてないのに、誌面上では目立ってないよ。
 モノクロページの先頭に持ってくればイイのに……。小説連載企画なんて読むのメンドウなんだから、モノクロページの最後でイイでしょ。


 とにかく、表面は媚びても、内実・深奥は変わらない、という編集方針は十二分に可能だと私的には思っている。放っておいても定期購入してくれる固定読者は大丈夫なのだから、表紙や巻頭特集なぞはキャッチーにして新規顧客を開拓していった方がイイだろうと個人的には考えている……のだが、失礼ながら現状のままでは、延命はけっこうキビしいのではなかろうか?
 もちろん筆者は廃刊を望んでいるワケでは毛頭なく(笑)、延命していってほしいので、融通無碍、変幻自在、機を見て変に応ずで、柔軟に誌面をその時代ごとに即応しつつ、変化させていってほしいのだが……。


 一方で老舗誌は、保守本流みたいに思われて、煤(すす)けたイメージも付きがちだし、そもそものイメージ戦略面でもハンディがあるしなあ……(80年代の例で云えば、老舗の『PLAYBOY(プレイボーイ)』誌よりも新興の『PENTHOUSE(ペントハウス)』誌の方がカッコいい! みたいな・汗)


 まぁ実際に筆者の提言通りに作ってみて(アリエナイが)、あるいはそれに類するような編集を偶然してみせて、それでも売れなかったり、あるいはいっそ前より売り上げが落ちた場合にはドーなんだ!? という問題もありえますが……。


 外野から無責任に思い付きの改善案をヤジってる分には、ホントに気楽でイイですネ!(笑)


(了)
(08年5月25日(日)書き下ろし)


宇宙船Vol.120 (ホビージャパンMOOK)

宇宙船Vol.120 (ホビージャパンMOOK)

宇宙船Vol.121 (ホビージャパンMOOK)(次号は08年7月1日発売だから季刊。でも1500円。ウ〜ム・汗)


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