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世にも奇妙な物語’19 雨の特別編 ~30年目の『世にも奇妙な物語』回顧・特撮ヒーローネタも登場!

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 2020年6月26日(土)午後に『世にも奇妙な物語'20 秋の特別編』が再放送! 同日夜には新作『世にも奇妙な物語'21 夏の特別編』が放映記念! とカコつけて、『世にも奇妙な物語'19 雨の特別編』評をUP!


世にも奇妙な物語´19 雨の特別編』 ~30年目の『世にも奇妙な物語』回顧・特撮ヒーローネタも登場!

(2019年6月8日(土)放映)
(文・田中雪麻呂)
(2019年10月24日脱稿)


 嫌な世の中です。個人的には現行のTVドラマがつまらなくて仕様がありません。


 こういう同人誌にものを書いておりますと、連続ドラマでしたらそういうものを8話なら8話分観なければいけませんで、大変にホネが折れるものでございます。ネットという奴が発達しているものですから、ちょいちょいと飛ばし見もできません。
 いや、ビデオに録り忘れちゃったんだよね、と言い訳してはみるものの、じゃあペイチャンネルで見なさい、どこで見なさいと矢の催促。


 仕方なくAmazonでDVDを買ったりしまして、こちらも気が弱いですから。また最近の作品はDVDが中途半端に求めやすいんです。話数が少ないので。


 昔は良かったなぁ。面白いドラマばっかりだったもの、などと昔日を美化して夢想しております。そんな時間があれば1行でも書きゃいいんですが、そもそもドラマの説明や解説自体が野暮天(やぼてん)のすることでありまして。額に汗する日々でございます。


世にも奇妙な物語』30年ひと昔


 『世にも奇妙な物語』には説明は要らないでしょう。フジテレビのTVドラマといえばこれでございます。何でも番組開始は´90の春だそうでして平成2年、ざっと30年前でございますな。
 毎回異なる3話のオムニバスドラマ。ストーリーテラータモリさん。ドラマの異世界に誘(いざな)う橋渡し、語り部(べ)でございます。


 そうそう、オムニバスドラマとかストーリーテラーというマニア間だけで流通していた用語が、一般層にも普及したのは、この番組の影響が大きかったように思います。


 現在は好好爺(こうこうや)で国民的な人気者のタモリさんですが、30年も前は常識を嗤(わら)い文化人でも平気でコキ下ろす、エッジの効いた怪人物でした。
 タモリさんのストーリーテラーは、特別な扮装をするわけではない、場所を選ぶでもない、神出鬼没でございます。裏を返せば、タモリさんがいるところならばどこでも「奇妙な空間」となりうるわけでして、これはキャラクター的にとても強い。


 ご当人のタモリさんも、バラエティーで興が乗ると「奇妙な世界の入り口には……」と、ストーリーテラーの雰囲気でセルフパロディをやってくれたりと視聴者にサービス。この衒(てら)いのなさが番組の長続きのひとつの力なのかもしれませんですね。


「サングラスをかけていて、あれだけ売れた芸能人はタモリだけだ」。


 テレビウォッチャーで名を馳せた、故・ナンシー関(せき)さんの言葉でございます。



 『世にも~』のテーマ曲は、厳(おごそ)かな讃美歌のような、どこか不安を煽る旋律のような、蓜島邦明(はいしま・くにあき)さん作曲の名曲「ガラモン・ソング」でございます。わたくし、放送開始当時にお小遣いを貯めて、この番組のサントラCDを買いました。


 タモリさんが画面に出てくる際に決まって流れる、「♪タッタンタカタン」という軽快な曲の名前は、ズバリ「ストーリーテラー」。
 他に初期の名作のサブタイトルに因(ちな)んだ「猿の手様(てさま)」や「悪魔のゲームソフト」といったBGM。
 「噂のマキオ」や「楊貴妃(ようきひ)の双六(すごろく)」などの佳作の劇中音源の聞きどころを繋いだ、ラジオドラマのようなトラックもあり、それを聴くことは当時の番組ファンの至福のひとときでございました。



 初期の初期から、番組の構成はかっちりしたものでして、まずはアバンタイトル


 これは数秒のシュールな寸劇でございます。


「(テレビの)画面に指を着けて下さい」


とアナウンスがあり、着けるとそこから血が滴(したた)り落ちたり。


 ドールハウスで遊ぶ子供たちを、突然巨大な子供たちが覗き込み、自分たちが人形だったことに気づくとか。


 レストランでトイレを無理に借りた客が、そのまま便器に流されてしまうとか、不条理劇が展開いたします。



 次にタイトル。


 ストーリーテラーの前口上(まえこうじょう)を経(へ)て、1話目のストーリーが始まるという体裁(ていさい)でございます。こういうおシャレで知的なイメージの連続ドラマは、わたくしは初めてでございました。
 オムニバスドラマのスタイルを生かして、ドラマの撮影所(下請けの製作会社)も毎回代わり、物語の内容もホラーあり、コミカルなものあり、感動作品ありと変化に富んでおります。
 コミカルに見せて怪奇譚だったり、コワいお話かなと思ったらグダグダだったり。まあグダグダは神代(かみよ)の昔の日本神話(笑)からの付きものでございますが……。



 シリーズの作品で思い出されるのは、少々ドラマとしては作りが荒いものの、メッセージ性が強いものでございます。


 弱者と思われていた者が実は黒幕だったという「息づまる食卓」や「悪魔のゲームソフト」。


 今様(いまよう)の説話のようなクラシカルな「猿の手様」や「海亀のスープ」や「着せ替え人形」。


 中でも「着せ替え~」は、主演の笑福亭鶴瓶師匠が当時のトーク番組でこのドラマの裏話を披露され、それに続けて、


「俺はね、こういうドラマに出といて何ですけど、奇妙な世界といっても、何でも受け入れるのは何や違うと思う。たとえば鏡の中に入っていくとかね」


と持論を展開していて、強く記憶に残っております。



 コントと人間ドラマの融合のような愉(たの)しげな作品も多かったです。


 苦労惨憺(くろうさんたん)で東京近郊にマイホームを手にした男(柄本明)が、その場所を見つけられずに、同じ境遇の迷い人(きたろう)と遭遇する「我が家はどこだ」。


 ツキ過ぎている主人公(山下真司)のもとに、悪運の申し子のような男(斎藤晴彦)が部下で赴任して来たことから起こる悲喜劇の「ラッキー小泉」。


 博識で時代の先端を行っていると自負している業界マン(草刈正雄)が、全く知らない新語に慌てふためく、あの名作の「ズンドコベロンチョ」。



 挑戦的な作品も多かったと思います。


 仲谷昇さんと佐野史郎(さの・しろう)さんの会話劇で魅せる「超・能・力!」。


 自分の不手際を隠蔽するために、いもしない犯人をでっち上げた警察官(片岡鶴太郎)ですが、それが突如実体化して逃走を始める「追いかけた男」。


 町の薬剤師(小堺一機(こざかい・かずき))が、住民に怪しげな薬を処方して獣性化を企(くわだ)てる「モルモット」。


 極悪非道な病院の院長(佐野史郎)に命を奪われてきた多くの患者がゾンビ化して大挙して押し寄せ、院長を八つ裂きにする「地獄のタクシー」と凄まじいものでございます。



 また、トラウマになる程、怖いお話があることでも知られたシリーズでございます。


 織田裕二さんが物入れのロッカーに入ったまま出られなくなり、それごと廃棄処分される「ロッカー」。手違いで棺桶に入ってしまい、生きたまま火葬される「死ぬほど好き」は、わたくしが閉所恐怖症なのでトラウマでございます。



 怖がらせることに工夫を凝らした作品もあります。


 座敷童(ざしきわらし)風の小児の幽霊が、いつも画面のどこかで見切れている「見たら最期(さいご)」。


 岸田今日子さんが演者で語り部となり、闇の精霊の圧倒的な暴力を、三人組の愚連隊(そのひとりはレースクイーン上がりのバラエティ系人気タレントだった岡本夏生(おかもと・なつき)サン!)に切々(せつせつ)と訴える「闇の精霊たち」。
 この作品ではサブリミナルの手法で、禍々(まがまが)しい精霊たちの姿がイラストで、岸田の像に何秒かに一度の割で掛かり、恐怖を煽るという斬新さでございます。ラストを迎えて初めて総毛立つ筋運びは、いかにも『世にも~』らしい作風でもございます。


 いかりや長介さん出演の「穴」は、底の知れない穴に産業廃棄物を長年捨て続けていると、ある日、空の狭間からそれらが降り注いでくる……という恐怖でございます(SF作家・星新一(ほし・しんいち)の有名な名作古典SF短編『おーい でてこーい』(´58)が原作)。


 「おばあちゃん」は草村礼子さんが出演されました。山奥の病院で瀕死のお婆さんが、小学生の孫の女児に一日だけ自由な時間が欲しいと懇願し、渋る孫と魂を入れ替えます。お婆さんの肉体に入った孫の魂は、途端に筆舌に尽くしがたい苦痛と絶望感に苛(さいな)まれます。
 一方、孫の身体を得たお婆さんは、現世で暇乞(いとまご)いを済ませるも、敢えて魂の再交換はせず、孫をお婆さんの肉体と共に見殺しにいたします。
 更に怖いのは、長じて年頃の娘(演じるのは片平なぎささん!)となった、孫の肉体を持つお婆さんは、自分を粗略に扱った自分の嫁(孫にとっては母親)を山奥の病院に移し、敢えて無理な延命治療を施します。自分がかつてそうされたように、なるべく苦しめて殺すためなのです。


 「サブリミナル」は、為政者がこれ以上の人口増加を食い止めるべく、蠱惑(こわく)的なサンバ・ガールズの愉しげなお菓子のCMを繰り返して流します。実は「65才以上は自殺しろ!」というメッセージをフィルムの何コマかに一回挿入していたというオチです。「パラダイス、ガム!」という劇中のコマソンが怖かったなぁ。


世にも奇妙な物語´19 雨の特別編』


 さて、そのような大変な歴史のあるシリーズの、令和初のスペシャルドラマ『世にも奇妙な物語´19 雨の特別編』でございます。


 ストーリーテラータモリさんですが、最近ではキャラクター自体が人間離れをしてきておりまして。いきおい別の俳優さんと絡ませて怪人振りを際立たせることにスタッフも腐心されてんじゃないでしょうかね。


 今回のパートナーは佐藤二朗さん。人を殺して逃げてきて、タモリさんと雨の山小屋に閉じ込められるという筋立てでございます。


 ラスト、犯罪をタモリさんに看破され、口封じに刃物を突き立てます。
 するってえと、タモリさんの姿は瞬時に佐藤さんに変わり、刺したハズの佐藤さんの実体が消滅し、刺された佐藤さんの骸(むくろ)だけが残ります。
 オチとしては前出の「追いかけた男」のパターンではあるんですが、佐藤さんに変貌を遂げるタモリさんの画像処理の技術が見事の一言でございます。
 まあ、何てんですかね。モーフィングを更にデジタル化したような凄まじいものでして。兎に角(とにかく)サングラスをかけたままのタモリさんが、無理なくあの佐藤さんの小さい目になるんですから。



 ドラマ本編は、「さかさま少女のためのピアノソナタ」・「しらず森」・「人間の種」・「大根侍」・「永遠のヒーロー」の5本立てでございます。  


「さかさま少女のためのピアノソナタ


 「さかさま~」は、曰(いわ)くありげなドイツの古い楽譜の曲を弾くと、その演奏時間だけ「時」を止められるというキテレツな物語でございます。
 時間を止める、もしくは演奏者の半径何メートルだけの時間が流れる、という設定なのでございましょうか。


 玉森裕太さんの主人公がビルの窓外を落ちゆくヒロインの黒島結菜(くろしま・ゆいな)さんを何とか救おうと尽力いたします。しかし彼は楽器を演奏し続けなくてはなりません。
 曲を演奏し終われば時間が流れだしてヒロインは落下、曲を間違えれば楽譜の呪いで玉森さんが重症を負う、という新手のカットバック!


 かたや室内で楽器を演奏し、もう一方は窓外で虚空にさかさまで受け答えをしております。ヒトの命がかかっているのに何やら呑気(のんき)で楽しげで、この状況は大変に落語的でございます。玉森さんの編み出した起死回生の窮余の一策もシャレていて秀逸でした。


しらす森」


 「しらず森」は、吉田羊(よしだ・よう)さんが母親役で主演です。


 同窓会で息子と帰郷したヒロインは、30年前に小学校で埋めた自分のタイムカプセルを受け取ります。その後、実家の近くの森に息子と入った折、突如子供が神隠しに遭い、悲嘆に暮れます。
 このご時世、心配でございますよね。子供への事件がニュースで流れたり、「不審者に注意!」という張り紙もカットインされ、緊張を煽りに煽ります。


 30年前に彼女が埋めたタイムカプセルの中に入っていたものが息子とその一家を救う、という粗筋でございます。いかにも『世にも奇妙な物語』なシノプシスでございます。
 お話自体は王道なんですが、捜索するヒロインたち、さ迷う息子と双方のドラマをきちんと描いておられて見応えがありました。


 森の神社の神主役で、㈱アンカット所属の個性派俳優・春木生(はるき・せい)さんが出ておりまして、これが怖い怖い! まだ40才くらいかと思いますが、カラコンと白髪のメイクで不気味な怪老人となって画面に不穏な空気をもたらします。
 彼が若くて優しい神主だった時に小学生時代のヒロインに伝えた言葉がキーワードとなりハッピーエンドとなりますが、この神主の存在自体が時を重ねる負の面を象徴していて、爽快感だけではない、視聴後には鉛を飲みこんだような感慨もあり、物語を深めております。


 ひとつ難を言わせて頂ければ、ヒロインのタイムカプセルが手で簡単に開閉可能なタイプだったことが惜しいなあと。アレが缶切りで開けるタイプの缶詰めだったら、更に開封へと至るまでの「一場面」が増えることで、より盛り上げることができたでしょうし、外からの介入が全くなかったことが断定できて神秘性ももっと高まったハズですが。


「人間の種(タネ)」


 「人間の種」は人間讃歌の物語です。母親を自分の過(あやま)ちで死なせてしまったと、自責の念を持ち続けているヒロインがいまして、これが女優・木村文乃(きむら・ふみの)さん。


 ある日、庭の花壇から子供の手首が生えている。慌てて掘り出すと、それは女児。
 女児は「あなたのお母さんよ」と名乗り、ヒロインを甲斐甲斐しく世話をしようといたします。最初は懐疑的だったヒロインも、母と名乗るそれの心根(こころね)の優しさを知り、家族のようなものが始まります。


 ところが、それは水を与え過ぎると、早く終焉を迎えてしまう生き物で……というのが粗筋でございます。


 木村さんが母親と称する存在に振り回されるコメディエンヌぶりが冴えております。母親も6才の女児から15才の少女、31才のオトナの女性へと変貌を遂げていきますが、それぞれを子役・粟野咲莉(あわの・さり)ちゃん、山田杏奈(やまだ・あんな)さん、岡本玲(おかもと・れい)さんが演じておられます。
 自身とは対等ではありえない幼女から対等である成人女性へと次第に変身していく順序を踏むことで、ヒロインは無理なく対象(母親)に歩み寄れ、最終的には自らの心の澱(おり)まで吐露することに至ります。その頃には一介の視聴者であるわたくしなぞも、そして劇中ヒロインも、その母親の人間性に惹かれております。


 いい作品ですね。危うく泣きそうになっちゃいましたよ。


「大根侍(だいこん・さむらい)」


 「大根侍」は、何か云うだけ野暮(やぼ)。まぁ、創り手とキャストがこれで良いんならそいで結構! というお話で。


 ただ、侍の得物(えもの)の大根を女子高生が齧(かじ)って撃破するというくだりは、クスッと笑いました。


 タモリさんが昔やっていた密室芸に「将棋寿司(しょうぎ・ずし)」てえのがありまして。将棋の要領で棋盤(きばん)に寿司(すし)を並べ、斜めに置いたり重ねてみたり、時には駒(こま)である寿司を食べたりなぞする、まあ高等遊民のお遊びですな。それを連想いたしました。現代ならば「食べ物を粗末に扱うな!」とネットで炎上する奴でございます。


 わたくし思いますに、この作品もそうなんですが、最近の『世にも奇妙な物語』は、パロディ喜劇のような軽い題材のものを番組の中で分散して何回かに分けて放送、それもオーラス(オールラスト・一番最後)に後編を持ってくるきらいがございます。


 番組当初は、ストーリーテラータモリさんが「振り」も「回し」も「オチ」も担当していました。番組と視聴者を繋ぐフィルター役だったからです。劇中でカラダを張ってのオチもこれまた多い。開腹手術をされたままで放置されたり、宇宙空間に放り出されたり、侍に首をはねられたりと、死ぬような(?)目に遭っております。


 しかし、タモリさんは何のご功績かは存じませんが、国民的な存在となられ、今や完全なる番組の象徴となりつつあるんじゃないかとあたしは睨んでます。まぁあたしなんかが睨みましても、街の信号が早く変わるわけじゃなし、赤いポストが青くもなりはしないのでありますが。


「永遠のヒーロー」


 そして殿(しんがり)は、郷ひろみさんが初めてヒーロー役に挑戦した「永遠のヒーロー」! もう期待値が嫌が応でも跳ね上がります。


 それで、脚本担当が…… エッ! ブラジリィー・アン・山田さんですか……。……もう嫌な予感しかいたしません。テンションだだ下がりてございます。


 時代は近未来。人間に超人的なパワーを与える「改造人間手術」が一般化いたしまして、それによって犯罪も激増。そこで日本の政府は「怪人対策室」を設営、こちらにも改造手術を受けたチームを作って対抗しようという趣向でございます。


 郷ひろみさんの演じるのは怪人検挙率ナンバーワンの隊員でして、コードネームは「レッドライガー」。来年定年退職で、病身ながらも可愛らしい一人娘とのんびり暮らすのが今の生きる張りでございます。


 冒頭に市民を脅かす、往年の特撮変身ヒーロー『超人バロム・1(ワン)』(´72)のドルゲ魔人(怪人)ならぬ「ゲルゲルゲ」なる悪い怪人の声を、ベテラン人気声優の山寺宏一(やまでら・こういち)サンが演っております。


 これがもういけません。「七色の声でアニメファンを幻惑する、現代の中村メイコ」として声優界に君臨している御仁でございます。
 ああ、これはきっと全ての敵役(かたきやく)の声をアテるのかな? という胸騒ぎ。そしてそれらを聞き逃すまいと耳をそばだてるわたくしがおります。結果、敵のラスボスから中ボス、全ての戦闘員、ナレーションに至るまで計10名を巧演! やっぱり上手いなぁ。


 郷ひろみさんの同僚の改造人間たちの名前もふるっております。


・桜井五郎(演、神尾佑)――戦隊シリーズ第2作『ジャッカー電撃隊』(´77)のレッドことスペードエースの変身前の名前
・山本大介(演、森田甘路)――『仮面ライダーアマゾン』(´74・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20141101/p1)の変身前である山本大介からの引用
小牧りさ(演、木本夕貴)――『秘密戦隊ゴレンジャー』(´75)でモモレンジャーことペギー葉山を演じた女優さんのご尊名


 往年の特撮ヒーローの登場人物名で統一するのかと思えば、女優名まで役名になってたりと、訳が分かりませんが。


 ちなみに、桜井五郎には「さすが、エース!」の台詞(セリフ)があります(笑)。


 山本大介は何故かポッチャリ体型で、いつも口を動かしております……。しかも、アマゾンこと山本大介がはじめて覚えた日本語である


「バ、バカヤロウ! バカヤロウ!」


という台詞までもが……。こういう悪ふざけはよろしくございません。すっかり気持ちがそれに行ってしまいまして、筋立てを見失うこと夥(おびただ)しい。


 ヒーローを描く作品でございますので、沢山のヒーロースーツ・着ぐるみが出て参ります。やけに出来の良い仕上がりだなぁと思っておりましたら、これは既成の作品、それも茨城県では大人気のローカルヒーローでございます。その名も『時空戦士イバライガーR』!
 「永遠のヒーロー」に出てくるヒーロースーツも悪側の着ぐるみも全て、『~イバライガーR』からの言わば「客演」でございます。


 興味が湧いたのでネットで調べてみましたら、これが大変なものでして、何と20体もの着ぐるみの多さ! ´07夏からの立ち上げ、2年後にはTBSテレビに密着取材され、現在までステージショー・撮影会・サイン会・イベント出演は数えきれず、商品化やコラボ企画も引きも切らないという歴史のある大ヒット作品でございます。


 また、このヒーローの作品世界観が入り組んでいる、入り組んでいる。主役級のイバライガーは複数存在いたしまして、未来の人類が現代の我々のために送り込んだヒューマノイド(人造人間)が「初代イバライガー」。初代の代替品だったのが奇跡的に起動したのが「イバライガーR」。Rが時空の狭間で別のスタイルを持った「イバライガーブラック」。イバライガーの試作機の一体がサポートロイドとなった「イバガール」、Rより更に未来から来たのが「ハイパーイバライガー」と一個師団もかくや(笑)。


 「ジャーク」なる敵の組織も充実しております。悪のエネルギー生命体で、負の感情を媒介として人間に寄生いたします。
 「首領」「四天王」「怪人」「戦闘員」と大まかな階層もございます。首領と四天王の一部はまだ謎の存在。四天王のひとりは、戦闘員の「片腕」に寄生。全貌は明かしておりません。
 怪人には兄弟の者もおり、見た目は生き写しでございます。戦闘員には黒・赤・緑の種類がありまして、黒は怪人クラスの能力、赤はそれに準じ、緑はジャークに寄生された初期段階の人間、という色分けでございます。緑色の戦闘員はまだジャーク化が進んでおりませんので人間に戻れる可能性があり、赤にはそれが殆(ほとん)どないという設定。


 もうお分かりになりましたか? そうです、ごっこ遊びの要素。着ぐるみの流用・改造多用は、『ウルトラQ』(´66)⇒初代『ウルトラマン』(´66)や、『人造人間キカイダー』(´72)⇒『キカイダー01(ゼロワン)』(´73)の世界でございます。シリーズの世界観が入り組み、キャラクター設定が煩雑なのは、それだけショーの場数(ばかず)が多く、製作者の愛情が深いのでございましょう。


「♪タッタンタカタン、タカタンカタン」。


 わたくしめの原稿にもそろそろエピローグが近づいて参りました。


 「永遠のヒーロー」のラス前、郷ひろみさんの主人公は、自分や怪人対策室の仲間が、実際にはスマートフォンのゲームの中だけのバーチャルな存在だということを知らされます。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2020年号』(19年12月28日発行)所収『世にも奇妙な物語'19雨の特別編』評より抜粋)


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