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全ウルトラマン大投票 ~第2期ウルトラ再評価の達成!? 番狂わせ!? ウルトラ作品の評価軸の多様化!

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『発表! 全ウルトラマン大投票』 ~第2期ウルトラ再評価の達成!? 番狂わせ!? ウルトラ作品の評価軸の多様化!

(文・久保達也)

*第2期ウルトラシリーズ再評価のようやくなる達成!?


 2022年9月10日(土)22時から翌日午前0時にかけて、BSデジタル放送「NHK-BS(エヌエイチケイ・ビーエス)プレミアム」で『発表! 全ウルトラマン大投票』なる特番が2時間にわたって放送された。


 20世紀のむかしから――といっても、70年代末期に発行された本邦初の青年マニア向け出版物における記述以降――、2000年代前半あたりまでは、この手の人気投票企画を実施すれば、


●第1期ウルトラシリーズ(『ウルトラQ(キュー)』(66年)・初代『ウルトラマン』(66年)・『ウルトラセブン』(67年)が「頂点」!
●第2期ウルトラシリーズ(『帰ってきたウルトラマン』(71年)・『ウルトラマンA(エース)』(72年)・『ウルトラマンタロウ』(73年)・『ウルトラマンレオ』(74年))が最底辺の「ドン底」!
●平成ウルトラ3部作(『ウルトラマンティガ』(96年)・『ウルトラマンダイナ』(97年)・『ウルトラマンガイア』(98年))が再度の「頂点」!


といった結果になっていたことであろう。それが往時の特撮マニア間でのウルトラシリーズに対する最大公約数的な見解でもあったからだ。そして、「本邦国産SF特撮の最高傑作」(汗)として『ウルトラセブン』が従来どおりに第1位となっていたことであろう。


――厳密には、80年代の中盤には特撮評論同人界では、第2期ウルトラシリーズの再評価ははじまっていて、それが特撮雑誌『宇宙船』(80年~)の同人誌コーナーなどでは紹介されていた。しかし、我が身の非力さを嘆(なげ)くばかりではあるけれど、それらの知見が一般(?)のマニア層にまで大きく還流していくことはなかったのであった(汗)――


 しかし今回の企画では、永遠の第1位かと思われていた『ウルトラセブン』がトップの座からは陥落(かんらく)して、第2位となってしまったのだ!


 初代『ウルトラマン』に至っては、第5位にとどまってもいる! VTRインタビューで、初代『マン』の主人公・ハヤタ隊員を演じた黒部進(くろべ・すすむ)氏はこの結果に冗談まじりに不満を呈していたほどであった(笑)。


 今回の投票企画の結果は、「作品」ではなく「キャラクター」、「ウルトラヒーロー」としての「ウルトラマン」の人気投票であったので、ウルトラヒーローが登場しない元祖『ウルトラQ』は含まれてはいない。
 しかし、「ゲストヒーロー」や作品中で「2号ウルトラマン」として登場したキャラクターではなく、「看板作品を背負っているヒーロー」に対しての人気投票である場合は、そこにはおのずからヒーロー単体としての魅力だけではなく、「看板作品全体に対する好悪や評価」が半ば以上に含まれてしまっていることであろう。
 つまり、実質的には「キャラクター」のみならず「作品」それ自体に対する人気投票といった気配も濃厚になってきてしまうのだ!


 そして、筆者のようなロートル世代からすれば驚愕(きょうがく)の結果であったのが、我が愛しの高く評価もしてきた「昭和」の第2期ウルトラシリーズの各作品が、最底辺の「ドン底」にはランクはされてはいなかったことなのだ! どころか、第10位前後~10位台の前半にそろってランクインまでしていたのであった!


●9位  ウルトラマンタロウ
 (『ウルトラマンタロウ』(73年))
●11位 ウルトラマンエース
 (『ウルトラマンA(エース)』(72年))
●13位 ウルトラマンジャック
 (『帰ってきたウルトラマン』(71年))
●14位 ウルトラマンレオ
 (『ウルトラマンレオ』(74年))


 「たかが10位台の前半にしか過ぎない!」などと侮(あなど)ることなかれ! ウルトラヒーローは「キャラクター」としては現在では約50人もいるのだ! 「看板作品」としてのカウントをしても約30作品も存在しているのである。


 つまり、ウルトラシリーズ全体の中でも、かつては酷評の憂き目に遭(あ)ってきた第2期ウルトラシリーズが、今では上位の存在だとして老若のマニア間では認知されていることのこれは証明でもあったのだ!


 対するに、マニア間での世評が高かった平成ウルトラ3部作は、第1位に輝いた『ウルトラマンティガ』はともかくとしても、


●12位 ウルトラマンガイア
 (『ウルトラマンガイア』(98年))
●17位 ウルトラマンダイナ
 (『ウルトラマンダイナ』(97年)


 上記のとおりで10位台にとどまってしまっている。往時のように第2期ウルトラシリーズをはるかに上回った高品質な作品なのだ! なぞといった評価にはなってはいない。むしろ、第2期ウルトラ作品とも同等、あるいはやや第2期ウルトラ作品の方が優勢! といった評価になっている印象さえをも受けるのだ。


――『ダイナ』が第17位にとどまったことに対して、『ダイナ』の主人公・アスカを演じていた、メインのコメンテーターとして登場していたつるの剛士(つるの・たけし)は「ナットクできない」などと苦言を呈していた……(もちろん、その場の空気を不快にさせない常識の範疇にて軽妙にではあったけど!・笑)。各作品に対する個人や筆者の好悪や評価は別として、作品の関係者かつ代表者としては、それくらいの自信を持って意気込みを見せてくれた方がよいであろう! といったことは付言はしておきたい――



 そして、筆者はこのランキング結果に「第2期ウルトラシリーズの再評価の達成」をようやくに見るのでもあった……。


――これ以上の評価の上昇はムズカしいことだろう。そして、これはそれなりに正当で妥当な評価でもあって、ついにそこに帰結したのだとも見るべきなのであろう。……長きにわたった戦いはついに終わったのであった!? 一部の狂信的な第2期ウルトラ擁護派も、逆効果になってしまうようなヒステリックな論法は今こそホコに収めて妥協をすべきところではなかろうか?(汗)――


*平成ウルトラ3部作の『ダイナ』『ガイア』よりも、『コスモス』『ネクサス』が上位にランクの意味!


 さて、この投票が行われた2022年といえば、巨大ロボットアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズ(95~21年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20220306/p1)の監督として広く知られる庵野秀明(あんの・ひであき)氏が初代『ウルトラマン』を再構築した映画『シン・ウルトラマン』(22年・東宝https://katoku99.hatenablog.com/entry/20220618/p1)の大ヒットが記憶に新しいところだ。
 投票期間の2022年7月中旬から8月中旬は『シン・ウルトラマン』の公開から数ヶ月を経た時期であり、その大人気の余波がいまだ冷めやらぬころであった。


 その最中に行われた投票でもあったのに、日本人の大半に広く知られているかと思われる初代ウルトラマンが、「ウルトラヒーロー」部門のランキングで首位どころかベスト3(スリー)にも入らず、第5位にとどまってしまった事実に驚愕した人もきっと多かったことだろう。


 「ウルトラヒーロー」部門にかぎらず「ウルトラ怪獣」部門にしろ「ウルトラメカ」部門にしろ、「平成」時代のウルトラマンシリーズ、あるいは「ニュージェネレーションウルトラマン」と呼称されている2010年代以降のウルトラマンシリーズに登場したキャラクターやメカの数々が、まさに「昭和」のウルトラマンを圧倒するほどに大躍進をとげていたのだ。



 本企画で投票した人々の世代別の割合を見ると、以下のとおりであった。


●19歳以下  (10代)(2003年以降生まれ)      21.6%
●20歳~29歳(20代)(1993年~2002年生まれ)  32.6%
●30歳~39歳(30代)(1983年~1992年生まれ)  16.9%
●40歳~49歳(40代)(1973年~1982年生まれ)   8.2%
●50歳~59歳(50代)(1963年~1972年生まれ)  15.3%
●60歳以上  (60代)(1962年以前生まれ)       5.3%


 私事で恐縮だが、西暦2000年生まれの甥(おい)は、4歳で『ウルトラマネクサス』(04年)、5歳で『ウルトラマンマックス』(05年)、6歳で『ウルトラマンメビウス』(06年)を観て、地球人側の防衛組織のスーパーメカに夢中になって、2022年現在はもう就職して働いてすらいる。そんな世代がすでに立派な社会人となっているワケである。


 世代別では、インターネット・ネイティブでもあるこの「20代」が全体の3割以上を占めており、2位である10代を10%以上も引き離していて圧倒的に多い!
 この世代は、20代の上の方であれば1996年~1999年にかけて放映された『ティガ』『ダイナ』『ガイア』の平成ウルトラ3部作、20代中盤であれば2001年~2002年に1年半にわたって放映された『ウルトラマンコスモス』、20代の下の方であれば2004年~2007年にかけてTBS系列の中部日本放送が製作・放映した『ネクサス』『マックス』『メビウス』の直撃世代に該当している。


 しかし、その圧倒的な占有比率のワリには、第1位に輝いた『ティガ』などはともかくとしても、同じく世評は高い平成ウルトラ3部作の作品であった『ダイナ』や『ガイア』なども、10位以内にはランクインを果たしてはいないのだ。
 つまりは、20代の上の方や30代の世代は必ずしも自身が幼少期に遭遇した当時の最新作であった平成ウルトラ3部作には投票していなかったという分析もできるのだ(汗)――どういったキャラクターに分散投票がなされたのかについての分析は、後述していこう――


 むしろその逆に、平成ウルトラ3部作よりも子供人気のバロメーターともなりうるオモチャの売上・視聴率などではたしかに劣っており、当時の年長特撮マニア間での評価の方も必ずしも高くはなかった「怪獣保護」を唱えていたマイルドな異色作『ウルトラマンコスモス』の方が、『ダイナ』や『ガイア』よりも投票数が多くて、第10位にランクインすらしていたのだ!


 同様に、直前作である『コスモス』とは一転して、共生不可能な怪獣の根絶に振り切っていたシリアスにすぎる作品内容や、玩具の不人気によって放映当時は打ち切りの憂き目に遭ってしまった『ウルトラマンネクサス』も、『ダイナ』『ガイア』『コスモス』をすら上回って、第9位となっているのだ!


 世俗のもろもろの人気投票にかぎらず国政選挙などでも、その選挙結果の読み方は、単一のモノサシではなく、投票者の世代別割合・世代ごとの支持政党や無党派に無投票などの割合・男女差・地域差などなど、いかに複数の直線定規・直角のT字型定規・三角定規・分度器・巻き尺なども同時に駆使してみせて、より立体的・多角的で正確に深度を計ってみせるのかで、評者のセンス・見識・器量なども読者に試されてしまうものだ(汗)。
 おそらくは、「世代論」や「幼少時に遭遇したファースト・インプレッション・ヒーローが絶対である!」といった「神話」自体は、今でも相応には有効ではあっても、決して万能なモノサシなどではなかった! といったところが結論なのであろう。


 もちろん、世代人の方々で『コスモス』や『ネクサス』に対して無条件で思い入れのある方々に対しては非常に申し訳がないことだけれども、あの時代の空気を知る者としては、当時の子供たちの平均層に対して『コスモス』や『ネクサス』が圧倒的にウケていた……といった感覚・手応えなどもなかったものなのだ(汗)。
 だから、当時の世代人の子供たちの全員が、『コスモス』や『ネクサス』に投票していたとはとても思えないのだ。『コスモス』や『ネクサス』の世代人であるウルトラシリーズのファンではあっても、その投票先は必ずしも『コスモス』や『ネクサス』ではなかったのではなかろうか?


――世代人の全員がファースト・インプレッションのヒーロー作品に投票するのであれば、放映当時は『ネクサス』よりも人気があったハズである後番組『ウルトラマンマックス』(05年)の方が、『ネクサス』よりも上位にランクインしていたハズである。しかし、同作が20位以内にもランクインができなかったことが、「世代論」だけでも説明がしきれないことの何よりの証左にもなるだろう!――


 そんな異色作・変化球の作風だったがために、同時期に放映されていた平成仮面ライダースーパー戦隊シリーズには人気や商業面で負けており、リアルタイム世代にも支持層がウスかったかと思われるウルトラマンコスモスウルトラマンネクサスが、その世代の投票だけでベストテン入りを果たすことはムズカしかったことだろう。


 しかし、放映当時はともかく、たとえば後年のヒーロー大集合的な作品などでは、ウルトラマンタロウウルトラマンメビウスウルトラマンゼロウルトラマンゼットといった正統派のウルトラマンが勢ぞろいしている中に、ウルトラマンコスモスウルトラマンネクサスが混じっていた場合に、逆説的なのだが個性的で実に目立っていたりもするのだ(笑)。


 そして、そんな彼らを、後続の映像作品やライブステージなどの仮面劇のドラマの中であっても、そのキャラを立たせるためにか、コスモスの怪獣保護の「慈愛」の精神といった個性や、ネクサス(=ウルトラマンノア)の「神秘性」といった個性を、出典作品にも準拠して反復・強調してみせることで、その他のウルトラマンたちとは明確に異なる別格の個性を持った存在だとして描くことも実は多ったりもしてきたのだ。


――往時は不人気であった昭和の異色作である『ウルトラマンレオ』(74年)、昭和ライダーであれば『仮面ライダーアマゾン』(74年)なども、「異色作であった!」といったことだけでも目立っているのだが(笑)、それに加えて後年のシリーズ作品でも、彼らには別格の特別な扱いや役回りを与えてみせることが多いので、往時はともかく今となってはよけいに目立ってくることとも共通なのだった――


 そうなると、世代人ではない後続の若い世代の子供やマニアたちの方こそ、『コスモス』や『ネクサス』とは何ぞや!? といった興味関心を惹(ひ)かれてしまうといったことは、それが多数派・主流派ではなかったとしても相応の数で存在してきたことであろう。
 そして、そんなかつての不人気だった弱者もとい作品に対してこそ、「長いものには巻かれろ」といったメンタルとは真逆な「判官びいき」で妙に肩入れをしたくなってしまうというメンタルを持ってしまうような、気持ちがやさしい人間も、特にウラぶれたオタク人種(笑)たちの中には一般ピープルよりもはるかに高い比率で存在していることであろう。
 しかし、そんな不人気な存在こそをおもわず、悪平等(爆)ではあっても支持をしてしまうような、マイナー志向の好事家や悪食(あくじき)志向(失礼)のマニアたちのそんな気持ちも、我々のようなオタクであれば実によくわかる心理なのではなかろうか?


 けれど、だからといって、実際に『コスモス』や『ネクサス』に対して、筆者が一票を投じてみせるのかについては別なのだけど(笑)。それに「判官びいき」にしたいキャラクターや作品は人それぞれであって、その対象もまた人によってやはり別々のものにはなってしまうものであろうし。


――とはいえ、往時の毎夏の催事イベント『ウルトラマン フェスティバル2006』において、当時放映中であった『ウルトラマンメビウス』の役者陣も登板した「スペシャルナイト」に登場した、前作『ウルトラマンマックス』の2号ウルトラマンであったウルトラマンゼノンに対して、執拗に大声で応援していた子供がいたという話も聞いたことがあった。実際の劇中でのゼノンの扱いはヒドいものではあったけど(汗)、それであっても応援してみせたくなる健気な子供のその気持ちについてもイタいほどによくわかるのだ――


 つまり、世評やマニア間での平均的な評価は必ずしも高くはなかったのに(汗)、この手の人気投票企画では彼らのような不遇の弱者ヒーローにこそ「慈愛の精神」が発揮されてしまって(笑)、このような高いポジションにランクインされてしまっていたのではなかろうか!?


 その心意気は壮とすべしであっても、その意味では「作品批評」的な意味合いでは正当なランキングにはなってはいなかったのかもしれない。しかし、だとしても、2大異色作となっていた『コスモス』や『ネクサス』が高いランキングになったからといって、特撮マニアの巷間(こうかん)においても、


「今後の「ウルトラ」こそ、『コスモス』や『ネクサス』のような作品を目指すべきなのだ!」


などといった声がモクモクと盛り上がっているといったことなぞはまるでなくって、そのような意見は見掛けたことすらないのだ(笑)。ということは、これらの作品を推している彼らもまた、さすがに『コスモス』や『ネクサス』のような作品こそが絶対正義なのだ! などといったことまで主張するようには思い上がってはいないのだ! といった「読み方」も可能ではあるのだろう。


 『コスモス』や『ネクサス』といった作品の方向性それ自体は、自分たちの志向とも同様にウルトラシリーズの中では決してメジャーではありえない。自身は『コスモス』や『ネクサス』の世代人でもない。そして、ほかにも自分にとってのベストワンのウルトラヒーローやウルトラ作品は存在している。
 しかし、それでもオレはこの作品がまぁまぁスキだからあえて投票してみせる! などといった主張をしてみせるような若年マニアが相応の数で存在していたことが、この両作品の主人公ヒーローがベストテン入りを果たすことができたことの理由であったといった解釈も可能である!? などと思ったりもするのだ。



 なお、00年代中盤に放映された作品の中ではダントツのトップで、ウルトラマンメビウスもまた初代マンの第5位につづく第6位として、非常に高い人気を獲得できていた。
 『メビウス』については本放映当時の子供たちはもちろん、その「昭和ウルトラ」シリーズの直系の正統続編として製作されたことで、熱狂的な歓迎をもって年長マニア諸氏からも迎えられていたし、あの当時の2ちゃんねるの『メビウス』板も、『メビウス』や第1期ウルトラシリーズのみならず、全ウルトラシリーズを等しく愛する物知りたちが集ったウルトラシリーズ総合スレッド! といった様相を呈していたほどだった。
 『メビウス』を鑑賞して第2期ウルトラシリーズも改めて再評価するようになったといったという第2期ウルトラの世代人(爆)――70年代末期のマニア向け書籍の影響で、第2期ウルトラの世代人にも第2期ウルトラ酷評派は実は多かったのだ(汗)――、どころか第1期ウルトラの世代人の中にも少数派ではあるのだが、自身の子供たちによるマニアックではない実に素朴な反応(笑)から第2期ウルトラを容認するように変化していく流れも生じていたほどだったので、これもまた幅広い世代の支持を得ていた作品ゆえの実に妥当なランキングでもあるだろう。


 こんなところにも、単純な「世代論」だけでも決して測れない、作品人気の在り方が現われてもいたのだ。


――まぁ『メビウス』自体は、その作品世界の設定が「昭和ウルトラ」の直系だったというだけであって、その作劇術自体は「少年マンガ」的だったのであり、「昭和ウルトラ」での作劇術や作風ともまたそうとうに異なるものでもあったのだ。しかし、そんなことはドーでもイイ! エンタメとして面白ければそれでイイのだ!(笑)――


*初代マンを差し置いて、ゼロが4位! ゼットも3位に押し上げたZ世代が、タロウ&レオにも投票!?


 「20代」に次いで多いのは、2003年以降に生まれた「19歳以下」である。10歳未満の児童や幼児はあまり投票していないだろうことを思えば、実質的には「10代」、つまりは小学校高学年の10歳~高校卒業直後の19歳の世代だと解釈しておきたい。


 そして、この10代の世代であれば、2009年に公開された映画『ウルトラ銀河伝説』にはじまったウルトラマンゼロが主役の劇場映画やオリジナルビデオ作品、ゼロがホストを務めていた再編集番組『ウルトラマン列伝』(11~13年)、そして『ウルトラマンギンガ』(13年)にはじまる「ニュージェネレーションウルトラマン」シリーズなどといった、ほぼ毎年ごとに製作されてきた新作の「ウルトラマン」作品を観てきた世代でもあるだろう。


●3位  ウルトラマンゼット
 (『ウルトラマンZ』(20年))
●4位  ウルトラマンゼロ
 (映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE(ザ・ムービー)』(09年・ワーナー))
●7位  ウルトラマンオーブ
 (『ウルトラマンオーブ』(17年))
●15位 ウルトラマンジー
 (『ウルトラマンジード』(18年))
●16位 ウルトラマンエックス
 (『ウルトラマンX(エックス)』(15年))
●20位 ウルトラマントリガー
 (『ウルトラマントリガー』(21年))


 『ジード』『X』『トリガー』は、10位台の前半につけていた第2期ウルトラシリーズよりも下位にはなったものの、10位台の後半のランキングをキープできているのであれば、2010年代のウルトラマンシリーズ作品群も充分に健闘できている! といった分析をしてみせてもよいのではなかろうか!?


 筆者のような高齢オタクであっても、これらのニュージェネレーションウルトラマン作品を楽しんでいるような御仁はいるにはいるだろうが、我々の世代の中では決して多数派ではないであろう(汗)。よって、おそらくは2010年代のウルトラマン作品は2003年以降に生まれた若年層の「10代」が投票していたのだろう……といった見方では、まだまだ浅い!(笑)


 だいたいマニア連中とは、いつまで経(た)っても子供向けヒーロー番組を卒業ができないものだと相場が決まっているものだ(汗)。よって、2010年代のウルトラマンシリーズも熱心に観てきたマニア層とは、10代のみならず、その上の20代や30代のマニア層も同様ではあっただろう。つまり、このへんの世代が満遍なく2010年代のウルトラマンシリーズにも投票していたのだ! と解釈してもよいのではなかろうか!?


 そして、ある程度の予想はマニア諸氏にもついていただろうが、2010年代のウルトラシリーズにおける「先輩ウルトラマン」の役回りとして、ここ10年強のシリーズを牽引(けんいん)してもきたウルトラマンゼロが第4位! つい最近に放映されたばかりで圧倒的な大人気を誇っていたウルトラマンゼットに至っては、ゼロすら上回って第3位を獲得さえしていたのだ!


 この両者の非常に高い人気については驚かされるとともに、多くの特撮マニア諸氏も今となっては「妥当」であり「ナットク」であるとの想いを逞しくしているのではなかろうか? もうあとに残っているのは第1位のウルトラマンティガと第2位のウルトラセブンのみなのであって、第5位の初代ウルトラマンよりもこの両者は高い人気を獲得できてもいるのだ!



 その次に多い「30代」は、1990年代初頭生まれの30代前半であれば、20代の上辺とも同様に平成ウルトラ3部作の直撃世代にあたってはいる。
 しかし、先述してきたとおりで、第1位の『ティガ』はともかく、往時の年長マニア間では第2期ウルトラよりも高品質である! と評されてきた『ダイナ』と『ガイア』は実は10位以下にとどまっていたのだ(汗)。つまり、今となってはウルトラシリーズファンの多数派である彼ら20代の上辺と30代の下辺の世代については、必ずしもこれらの作品には投票していなかったことにもなるのだろう。それはナゼだったのであろうか?


 30代後半の世代がまだ子供時代であった1980年代末期~90年代前半は、テレビ東京系列で『ウルトラ怪獣大百科』(88年)にはじまるミニ番組『ウルトラマンM715(エム・ナナ・イチ・ゴ)』(90年)などが放送されていたころでもある。
 1990年には『ウルトラマンG(グレート)』(90年・バンダイビジュアル)、1993年には『ウルトラマンパワード』(93年・バンダイビジュアル)といった海外との合作がオリジナルビデオ作品としてリリースされ、30分のテレビシリーズの新作はなくとも「昭和のウルトラマン」を身近に感じられた世代なのだろう。


 その当時は現在とは違って地域によって差はあれど、地上波テレビでウルトラマンシリーズの再放送が早朝や夕方などに繰り返されていた。80年代末期はちょうど家庭用ビデオデッキが一般家庭にも普及しきったこともあって、彼らは往時に隆盛を極めていたレンタルビデオ世代でもあったのだ!



 ところで、第9位のウルトラマンタロウと第14位のウルトラマンレオについてのみ、投票の男女比や世代比が公表されている。


 タロウは、世代比では1位が世代人である50代で24.3%を占めているのだが、40代を飛ばしたところでのこの30代が2位として21.6%をも占めていたのだ!――20代も18.6%。10代も15.9%を占めている! しかし60代では4.7%と圧倒的に少ない(汗)――


 レオも、世代比では1位は世代人の50代で24.1%を占めているが、飛んでこの30代が3位として19.9%もの高い比率を占めているのだ!


 つまり、この平成ウルトラ3部作の直撃世代であっても――の中でも長じてから特撮マニアとして残ったタイプにとっては――、ウルトラマンタロウウルトラマンレオを支持しているようなマニアが相応の規模で存在している! といったことにもなるのだ。


 ちなみに、レオの投票世代比における2位は、この30代よりも下であって、『レオ』に対してもはるかに馴染みがないようにも見えてしまっていた20代の22.7%であった! さらにその下の10代でも4位として16.4%をも占めていた!
 これはやはり、『ウルトラマンメビウス』(06年)第34話『故郷(ふるさと)のない男』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061224/p1)における神懸かっていたレオ客演回。そして、その後続シリーズにおけるウルトラマンゼロの師匠としてのレオの再登場! それらの続編作品群でも「強者」としての大活躍! といった描写が連発されてきたことで、レオが魅力的に映ってきたがゆえの、彼の看板作品をまるごと含めた上での再評価の達成! といったところに起因するのであろう。
――タロウの高い投票比率ももちろん同様で、『メビウス』以降、そして2010年代のウルトラシリーズでも重要な役回りを演じてきたゆえであろう――


 しかし…… 「60代」では、タロウは4.7%、レオに至っては1.1%しか占めていない。いかに『ウルトラマンタロウ』や『ウルトラマンレオ』が第1期ウルトラシリーズ至上主義者たちから往時はモーレツな酷評の憂き目に遭ってきたか、そして彼らがいまだに『タロウ』や『レオ』のことを認めてはいなかったのだ! といったことを、読者諸氏も偲(しの)んでみてほしい(汗)。それを考えると今はまさに夢のようでもあるからだ(笑)。



 70年代前半の第2期ウルトラシリーズにリアルタイムで夢中になった、1963年や1964年生まれの50代の上辺であれば66~67年放映の初代『マン』や『セブン』もカジることができていて、1972年生まれの50代の下辺であって第2期ウルトラシリーズそれ自体はリアルタイムでは未体験ではあっても70年代末期の第3次怪獣ブームで第1期ウルトラ~第3期ウルトラシリーズまでのすべてのウルトラシリーズ作品を一応の等価なモノとして享受してきたような「50代」。
 そんな彼らよりも年下の「40代以下」の若い世代の方々の方がはるかに多数派を占めるに至ってしまった現在、もはやウルトラファンの間でも世代交代が完全に達成されてしまったのだと解釈すべきところだろう。


 よって、初代『マン』や『セブン』をリアルタイムで視聴してきた、すでに還暦(汗)を迎えてしまった「60代」の第1期ウルトラ世代の方々が今では少数派となってしまったことからすれば、「最近のウルトラマンはしゃべりすぎだ! 神秘性がなくなる!」などといったウルトラマンオーブダークノワールブラックシュバルツの嘆き(笑)に対しては過剰に耳を傾ることなく、最も支持をしてくれている世代に向けた番組づくりをすべきだろう。


*「空白の15年」に相当する40代の真相! それと、現行作の人気の高低に相関関係はアリやナシや!?


 さて、先に挙げた世代別割合で悪い意味で注目せざるを得ないのが、今回の人気投票における「40代」が占める割合がその前後の世代との比較で突出して低いことだ。30代や50代が占める比率のその約半分程度の数字しかないのであった。


 『ウルトラマン80(エイティ)』(80年)の放映が終了した1981年3月~『ウルトラマンティガ』の放映が開始された1996年9月に至る15年半もの長期にわたって30分のテレビシリーズが途絶えてしまったことで、「ウルトラマンを知らない子供たち」が多く生みだされてしまったのだが、その過半を占めているのが2022年現在の40代なのだ。
 特に1970年代後半から1980年代初頭に生まれた現在40代前半の世代は、物心がついたときには『80』は終了しており、先述したテレビ東京のミニ番組がはじまるころにはすでに成長してヒーロー番組から足を洗う年頃に達していた場合も多かったことだろう。


 ただ、先にも述べたが、この世代もまた地上波テレビでのウルトラマンシリーズの再放送や、レンタルビデオの世代でもあったのだ。この世代のウルトラシリーズファンの絶対数自体は少ないのかもしれないが、それでも幼少時から夢中になって卒業もせずにマニアとして長じてくれたタイプの人種たちには、かなり熱心なタイプも多いようなのだ!(感謝!・笑)


 私事で恐縮だが、筆者が上京して東京に在住していた1989年5月~1994年12月までのわずか5年半の間にTBSでは、


●初代『ウルトラマン』が1990年・1992年・1994年
●『ウルトラマンタロウ』が1988年・1990年・1993年
●『ウルトラセブン』が1989年
●『帰ってきたウルトラマン』が1991年


に再放送されていた。そして、89年~93年にかけては開局間もない今は亡きBSアナログ放送局であったNHK-BS2でもアニメシリーズ『ザ☆ウルトラマン』(79年)を除いた昭和のウルトラシリーズが平日深夜枠や平日夕方枠で放送されていたのだ。BS受信機の方はまだまだ普及率が低かったので、そちらを観ていた子供たちは少なかっただろうが、それでもネットを徘徊していると、幼少期に観たNHK-BS2での再放送でウルトラシリーズに開眼したという世代人のことを散見する。


 それだけの頻度(ひんど)で行われていたらば、新たなファンも確実に生みだされていたことであろう。当時は存在していた新聞のテレビ欄の読者投稿欄などにも「子供が早起きして兄弟そろって観たがっていて、いつの時代も子供たちは変わらないものだなとは思うのだけど、さすがに早朝5時台の再放送はやめてほしい」といった趣旨のクレームが掲載されていたほどなのだ(笑)。


 2010年代のウルトラマンシリーズには深夜番組『ウルトラゾーン』(11年)から参加している田口清隆(たぐち・きよたか)監督が1980年生まれなので、まさにこの世代であった。監督も早朝や夕方ではなく深夜に再放送がされていた『ウルトラQ』『マン』『セブン』の再放送を親の目を盗んで観ていた悪い子供だったそうだ(笑)。似たような経緯で特撮マニアとして成長した同世代の人々もきっと多かったことであろう。


 だがその当時は、『キン肉マン』(83~86年・東映動画→現東映アニメーション 日本テレビ)・『北斗の拳(ほくとのけん)』(84~88年・東映動画 フジテレビ)・『ドラゴンボール』(86~97年・東映動画 フジテレビ)・『聖闘士星矢(セイント・セイヤ)』(86~89年・東映動画 テレビ朝日)などの「週刊少年ジャンプ」連載の人気漫画のアニメ化作品、70年代後半に発売されたお菓子のオマケのシールを母体とした『ビックリマン』(87年・東映動画 朝日放送)といったテレビアニメが子供たちの間では大人気となっていた時代でもある。
 特撮ヒーロー作品では、「スーパー戦隊」以外にも『宇宙刑事ギャバン』(82年・東映 テレビ朝日)にはじまる「メタルヒーローシリーズ」が継続して放映され、『仮面ライダーBLACK(ブラック)』(87年)と『仮面ライダーBLACK RX(アールエックス)』(88年)で「仮面ライダー」も一時的に復活を果たしていた時期であった。


 現在の一般層の40代にとってのヒーローといえば、やはりそれらの作品が主流であって、「ウルトラマン」を一応は知ってはいても最新作としての「ぼくらのウルトラマン」がつくられることがなかったことで、それらのアニメやヒーローほどには「ウルトラマン」に対して想い入れが強い人間はどうしても少数派になってしまったといったところだろう。



 社会の中核を占めており決定権を握れるようにもなっている40代のファン層がウスいことは、商業的な企画の決定においてはややよろしくはないことであろう。「ウルトラマン」の番組なり何らかの「ウルトラマン」関連の企画を通してみせたい場合に、世代人としての思い入れがあるか否かによってもその営業力はやや劣ってしまうこともあるだろうし、交渉された相手の方でも食指が動きやすいか否かといった相違によって、どうしても背中を押してくれる決断の相違といったものが生じてしまいがちになってしまうからだ。


 ただし、2010年代の「ニュージェネレーションウルトラマン」の知名度・浸透度が、「仮面ライダー」や「スーパー戦隊」に比べて格段に低いことは、ウルトラマンを観てくれるような子供たちを育てている30~40代の世代もまた「ウルトラマン」をよく知らないから、あるいは想い入れがあまりなかったからだ……といった分析は俗説の類いにすぎるだろう。


 もしもそのような分析がホントウに正しいのであれば、80年代の「週刊少年ジャンプ」原作のアニメにしろ、90年代後半の『ポケットモンスター』にしろ、2010年代前半の『妖怪ウォッチ!』にしろ、その子供たちの両親の世代もまたそれらの作品を観ていたからである! といった理屈になってしまうからだ(汗)。そんなワケがないのだ。両親の世代や作り手側が子供であった時代には、「ジャンプ」も『ポケモン』も『妖怪ウォッチ』などもカケラも存在しなかったのだから(笑)。


 つまり、作品自体にパワーさえあれば、子供たちは大人の目を盗んででも、絶対に観たがるものなのだ。よって、残念ながら「ウルトラマン」――にかぎらず「仮面ライダー」でも「スーパー戦隊」でも――という作品・コンテンツそれ自体に、現在ではそこまでの子供たちの全員を無条件で吸引するような勢いはないのだともいえるのだ(汗)。


 しかし、作品・コンテンツの勢いとはいったい何なのか? ドラマやテーマといった作品の「質」のことなのか? カッコよさや爽快感といった「戦闘色」といったことなのか? おそらくそれらは魅力の一部であって、総体的に見れば違うだろう。どれもこれも大人になってから振り返ってみるに、大同小異の勧善懲悪ものである。


 強いて云えば、戦後の高度経済成長期やその余波で、科学やSFや重工長大な重化学産業などが輝いて見えた時代に、金属の銀色の輝きを持っていたロケットやコンビナートやメカなどにも通じて見えた銀色の巨大超人・ウルトラマンが、時代にマッチした新しいヒーローとして見えていただけだった……といったことにすぎない。
 ということは、子供の目から見て、作品の内容それ自体ではなく、意匠・パッケージが新しく見えている作品こそが「新しい!」と誤認(笑)されて大ヒットしているだけなのかもしれないのだ(汗)。


 そういった意味では、「ウルトラマン」や「仮面ライダー」といった存在は、どうやっても「新しく」はなりようがない、日本の子供たちにとってもやや「既知」の今さらの存在にはなってしまっているのだ。


 つまり、原理的にも「ウルトラマン」や「仮面ライダー」といった古典の特撮ヒーローたちは、今後とも60年代後半の第1次怪獣ブーム~70年代末期の第3次怪獣ブーム、あるいは初登場時の『ポケモン』や『妖怪ウォッチ』に比肩する、児童間での大ブームが再燃する可能性は、作品それ自体の罪ではないものの、極めて困難ではある可能性も高いのだ(汗)。


 そうなると、子供番組のつくり方としてはやや邪道ながらも、細々とでも長生きができるように、子供層からマニア層からパパ・ママ層まで幅広くゲットして、そして子供たちが成長して親の世代になったときに自身の子供たちにも見せたい! あるいは見せてもイイか! そして関連玩具を買い与えてもイイや! といったことの敷居を少しでも下げさせるためにこそ(笑)、延々と商売をしていくといったことでもよいのだし、それがまた会社経営としても現実的な方策なのではなかろうか?


 「そんなウルトラマンであれば、いっそ滅びてしまえ!」といった意見にも一理はあるとは思う。しかし、それもまた寂しいでしょ?(笑) とにかく延命さえしていれば、間違って時には中ヒットや大ヒットを成しとげて、児童間や一般層での高い人気を獲得できる可能性もゼロではないのだし……


 そして、そういったことの成功例が、各作品を単独作品としては終わらせずに、同一世界での出来事だとしてユルやかに連続ドラマ性を持たせたり、時にはヒーロー大集合映画を挟んでいくことで、観客の興味関心を長期にわたって持続させることに成功して、2010年代には世界的な大ヒットを記録することになった、1960年代出自(爆)のヒーローたちのリメイクでもあったアメコミ(アメリカンコミック)洋画のシリーズなのである。


 2010年代の東映特撮やウルトラマンも、同じような路線を歩める可能性はそこかしこにあったとは思うのだ。そして、子供のみならずコアなマニア層も周辺のライト層をも興奮させて、もっと高い人気を特撮ヒーロー作品は獲得できていたとも思うのだ。
 しかし、正月の新旧2大ライダー共演映画や平成ライダー勢揃い映画とは異なり、毎春の『仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』シリーズの映画はイマイチ・イマニの出来だったために不人気の果てにポシャってしまっていた。2代目・宇宙刑事たちが活躍して東映オールドヒーローたちともチームを組めるハズの「スペース・スクワッド」シリーズも継続には至っていない。このへんにも興行的な鉱脈があったハズなのに、そこに喰らいついて開拓していくようなセンスもある製作会社側のプロデューサーなり玩具会社側のプロデューサーがいなかったことが非常に残念でもあったのだ(汗)。


 そう。もう「ウルトラマン」や「仮面ライダー」といった「既知」のキャラクターでは、「目新しさ」といった要素はないので、その方面での単純な大ヒットは飛ばせないのだ。しかし、「既知」のキャラクターたちを組み合わせたりシャッフルすることで、時に単独のヒーローでは敵わない巨悪と戦わせたりすることでの連続性! といった要素でならば、この手のジャンル作品の古典ヒーローたちはまだまだ延命ができる可能性は高いのではなかろうか!?



 とはいえ、『80』~『ティガ』の間の「ウルトラマン」の新作テレビシリーズ未放映期間である「失われた15年半」はやはり、今ここに来て「ウルトラマン」にとっての逆風にはなっているだろう。


 しかし一方で、『ウルトラマンギンガ』以降のニュージェネレーションウルトラマンはたとえ放映期間は半年間ではあっても、かつてのような大赤字になって製作続行が危ぶまれている……などといったウワサは、平成ウルトラ3部作~00年代中盤までのウルトラシリーズの時代とは異なり、今ではいっさい聞こえてこないことも事実なのだ。これは素晴らしいことである。会社経営の成功でもあるのだ! 円谷一族の同族経営や失礼ながら高野・満田コンビによる経営では果たせなかったことなのだ。


 その意味では実質的にバンダイの傘下に入って、00年代中後盤にバンダイから出向してきた世代人プロデューサー・岡崎聖の往時の『メビウス』大人気の分析発言――せっかくの「昭和ウルトラ」の遺産もおおいに活用したことでの人気!――にもあったとおりで、玩具による収益向上も達成できるようにチューニング(調整)されたBS放送の『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』(07年)にはじまって、2013年に地上波でスタートしたニュージェネレーションウルトラマンシリーズもまた、2023年で早くも10年間も継続できていることになるのだ。


 それを思えば、したり顔の憂国(ゆうこく)の紳士気取りでエラそうに嘆いてみせる必要などはまるでなく(笑)、長期的にはいずれ風向きも変わってくることを軽やかに待っているだけでもよいのだろう。



 ところで、当番組の公式ホームページでは投票者の男女別比率も掲載されている。それによると、男性が78%、女性が18.5%、その他3.5%であり、男性の占める割合が圧倒的に高い。
 まぁ、これは当然といえば当然なのだが、筆者がリアルタイムで『ウルトラマンA』や『ウルトラマンタロウ』を観ていた当時は、ウルトラマンを好きだった女子がけっこういたものなのだ。今回の「ウルトラヒーロー」部門で第9位となったウルトラマンタロウだけは現在でも女性人気が高いようだが。


 単純には云えないが、仮面ライダースーパー戦隊に出演した若手役者のほとんどがブレイクしてドラマや映画に引っぱりだことなるのに対し、ウルトラマンの役者がそこまでいかないことが多いのは女性のファン層のウスさにも一因があるのだろう。
 「ウルトラマン出身」として注目が集まるのは役者の将来はもちろんのこと、ウルトラマンのブランド力を高めることの一助にもなるのだから、今後はもう少し女性層を意識した作風・展開とすることにも一考を要するべきだろう。


 とはいえ、主人公ヒーローをいっそのこと、女性のウルトラマンにしてしまえ! などといった極論などは主張できないであろう。思春期以降の青年マニア向けの作品であればともかく、男児がスーパーヒロインにベタに感情移入をすることは困難なのだし、あるいは男児であるからこそ本能的・性的にも気恥ずかしくなってしまって遠ざけてしまうであろうことは必定だからだ(笑)。そうなってしまっても本末転倒なのである。
 そういった意味では、『ウルトラマンUSA』(87年・89年日本公開・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100821/p1)や『ウルトラマンR/B』のように、3番手くらいに女性ウルトラマンが存在するのであれば、男児層でも抵抗感なく鑑賞してくれるのかもしれない。



 ちなみに、マニア諸氏にはご承知おきのことだろうし、NHKの公式ホームページ上でも半永久的にランキングのページは残るのだろうが、「ウルトラヒーロー」部門のランキングは以下のとおりであった。


 ここまでの論考も踏まえて、改めてそのウラ側にあるタテ糸やヨコ糸や歴史の拡がりまで含めて、その複雑多彩な興趣(きょうしゅ)を味わっていただきたい。


「ウルトラヒーロー」部門(以降、キャラクター名・初登場作品を列記)
●1位  ウルトラマンティガ
 (『ウルトラマンティガ』(96年))
●2位  ウルトラセブン
 (『ウルトラセブン』(67年))
●3位  ウルトラマンゼット
 (『ウルトラマンZ』(20年))
●4位  ウルトラマンゼロ
 (映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE(ザ・ムービー)』(09年・ワーナー))
●5位 (初代)ウルトラマン
 (『ウルトラマン』(66年))
●6位  ウルトラマンメビウス
 (『ウルトラマンメビウス』(06年))
●7位  ウルトラマンオーブ
 (『ウルトラマンオーブ』(17年))
●8位  ウルトラマンネクサス
 (『ウルトラマンネクサス』(04年))
●9位  ウルトラマンタロウ
 (『ウルトラマンタロウ』(73年))
●10位 ウルトラマンコスモス
 (『ウルトラマンコスモス』(01年))
●11位 ウルトラマンエース
 (『ウルトラマンA(エース)』(72年))
●12位 ウルトラマンガイア
 (『ウルトラマンガイア』(98年))
●13位 ウルトラマンジャック
 (『帰ってきたウルトラマン』(71年))
●14位 ウルトラマンレオ
 (『ウルトラマンレオ』(74年))
●15位 ウルトラマンジー
 (『ウルトラマンジード』(18年))
●16位 ウルトラマンエックス
 (『ウルトラマンX(エックス)』(15年))
●17位 ウルトラマンダイナ
 (『ウルトラマンダイナ』(97年))
●18位 ウルトラマンアグル
 (『ウルトラマンガイア』)
●19位 ゾフィー
 (『ウルトラマン』)
●20位 ウルトラマントリガー
 (『ウルトラマントリガー』(21年))



 ちなみに2019年にも、ウルトラシリーズ以外の円谷プロダクション製作作品も含めての「総選挙」企画が実施されており、その得票数の順番に翌2020年からマニア向けグラビア書籍『ウルトラ特撮PERFECT MOOK(パーフェクト・ムック)』が全40巻で刊行されている。NHKの「大投票」ともだいたい同様の結果が出ているという解釈もできるし、細部ではかなり異なる結果も出ている。マニア向け書籍にまつわる「総選挙」の投票者はややコア層に寄っており、NHKの「大投票」ではややライト層に寄っているのではなかろうか?
 いずれにしても、こちらでも第2期ウルトラシリーズの作品人気は高くなっている。2010年代の作品の中では『ウルトラマンオーブ』の人気が特に高いこともわかる――刊行時期的に2020年放映の『ウルトラマンZ』は投票対象には含まれてはいない――。しかしここでは、『ウルトラマンネクサス』と『ウルトラマンコスモス』の人気が高くはない結果となっていた。


 これはここ3年ほどで『ネクサス』&『コスモス』の再評価が急速に進んだのだ……といったことではさらさらないであろう(笑)。NHKの『全〇〇〇大投票』シリーズはたしかひとりあたり1日1票の投票が可能であって、日付をまたげば複数日にわたって複数日分の投票が可能であったハズである。ということは、自分にとっての№1のみならず、№2・№3・№4・№5といった作品にも投票が可能ではあるのだ。自身にとっての№1ではなかったものの、№2~№5といった作品としてであれば、『ネクサス』や『コスモス』といった異色作も好きである! もしくは、判官びいきで擁護したい! といった心理も可視化・吸収できる仕組であったことで、『ネクサス』&『コスモス』が『大投票』では上位にランクイン、『ウルトラ特撮PERFECT MOOK』では下位になっている……といった分析が妥当だろう。
 個々人のフェイバリット(お気に入り)の№1としては採択されないけど、しかし№2や№3としての人気ならば確保ができている作品は、その人気自体が可視化はされにくい。奇しくも、日付をまたげば1人で何票もの投票が可能だというザルな投票形式が、かえって各作の人気の度合いをより正確に現わせたようにも思うのだ――組織票があったのだとすれば、そうはいえないのかもしれないけれども(笑)――。


 多角的に状況を検討するための参考として、『ウルトラ特撮PERFECT MOOK』におけるvol.1~vol.28までの対象作品も列挙しておこう。


●vol.1 『ウルトラセブン
●vol.2 『ウルトラマン
●vol.3 『ウルトラマンティガ
●vol.4 『帰ってきたウルトラマン
●vol.5 『ウルトラマンメビウス
●vol.6 『ウルトラQ
●vol.7 『怪奇大作戦/恐怖劇場アンバランス』(68年・73年)
●vol.8 『ウルトラマンゼロウルトラギャラクシー大怪獣バトル
●vol.9 『ウルトラマンレオ
●vol.10『ウルトラマンA』
●vol.11『ウルトラマンタロウ
●vol.12『ウルトラマンオーブ
●vol.13『ミラーマン』(71年)
●vol.14『ウルトラマンガイア』
●vol.15『ウルトラマンジード』
●vol.16『電光超人グリッドマン』(93年)
●vol.17『ウルトラマンネクサス
●vol.18『ウルトラマンG/ウルトラマンパワード
●vol.19『ウルトラマンX』
●vol.20『ジャンボーグA(エース)』(73年)
●vol.21『ウルトラマン80』
●vol.22『ウルトラマンダイナ』
●vol.23『ウルトラマンマックス
●vol.24『ウルトラマンタイガ』
●vol.25『ウルトラマンR/B』
●vol.26『スターウルフ/プロレスの星 アステカイザー』(78年・76年)
●vol.27『ウルトラファイトレッドマントリプルファイター』(70年・72年・72年)
●vol.28『ウルトラマンコスモス



 2010年代のウルトラシリーズが放映開始される直前の2013年春にも、朝日新聞の「beランキング」シリーズで、ウルトラシリーズについての人気投票企画があった。2013年3月9日(土)朝刊に、『ぼくらのヒーロー「ウルトラ戦士」』名義にて掲載されたランキング結果の20位までのうち、トップ10までを紹介しておこう。マニア間で評価が高いウルトラマンティガが低位にあることから、こちらもガチなマニア勢ではなく、マニア間での評価などは知らない一般層かつ、やや高齢層の投票比率が多かったのでは? と思われるのだが、それはそれで興味深い結果となっていた。


●1位  初代ウルトラマン
●2位  ウルトラセブン
●3位  ウルトラマンタロウ
●4位  ゾフィー
●5位  ウルトラマンエース
●6位  ウルトラマンレオ
●7位  ウルトラの母
●8位  ウルトラの父
●9位  ウルトラマンジャック
●10位 ウルトラマンティガ


*「ウルトラ怪獣」部門で、バルタン星人が1位じゃない! ジャグラスジャグラーも2位!(爆)


 さて、「ウルトラヒーロー」部門での初代ウルトラマンの第5位もそうだが、「ウルトラ怪獣」部門であの宇宙忍者バルタン星人が第3位となったことにも驚いた人はきっと多かったことであろう。


 第1位が初代ウルトラマンを倒した最強怪獣である宇宙恐竜ゼットンであったことに対しては異論もないのだが、従来であればバルタン星人に次いでの第2位といったところだっただろう。


 バルタン星人といえば、少し前ならばウルトラ怪獣の中でダントツの知名度と人気を誇り、ウルトラマンにはくわしくない一般人でも誰もが知っているキャラクターとされてきたからだ。


 ただ、筆者もそうだったが、この結果に「ああ、やっぱりな」との感想をもらした人も少なからずいたかと思われる。


 初代『ウルトラマン』(66年)で計3回登場し、平日夕方の帯番組として放映された『ウルトラファイト』(70年)では造成地や海岸などでアトラクション用の怪獣たちと激闘を繰りひろげる「星人」名抜きの「バルタン」が登場!
 『帰ってきたウルトラマン』(71年)には初代バルタンの息子と名乗るバルタン星人ジュニアも登場。テレビアニメシリーズの『ザ☆ウルトラマン』(79年)でも登場したのにつづいて、『ウルトラマン80』(80年)にも計2回、それもどちらもチンピラ宇宙人(笑)として登場したバルタン星人は、「昭和」の作品群ではその人気の高さを反映して何度も再登場を果たしていた。


 だが、ビデオ販売作品や映画を除く「平成」のテレビシリーズでは『ウルトラマンマックス』に登場したのみであって、それ以降は映画『ウルトラ銀河伝説』でウルトラマンベリアルがあやつる100匹の大怪獣軍団の中の1匹として、映画『劇場版 ウルトラマンX きたぞ! われらのウルトラマン』(16年・松竹)でも導入部のイメージシーンとして初代マンと戦う描写がごく短く演出された程度だったのだ。


 周知のとおり、「ニュージェネレーションウルトラマン」では製作予算を軽減する手段として過去の人気怪獣を何度も使い回す手法がとられている。しかし、その中でもバルタン星人はただの一度も再登場はしていない。


 これとは対照的に今回の第1位となったゼットンは、「昭和」の時代では『帰ってきたウルトラマン』最終回(第51話)『ウルトラ5つの誓い』に2代目が登場した程度だったが、「平成」になると『ウルトラマンマックス』第13話『ゼットンの娘』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060315/p1)を皮切りに『ウルトラマンメビウス』・『ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル』・『ウルトラ銀河伝説』と毎年のように立て続けに再登場を繰り返し、映画『ウルトラマンサーガ』(12年・松竹・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140113/p1)ではハイパーゼットンなる新種も登場していた。2010年代のウルトラシリーズでも、『ウルトラマンギンガ』・『ウルトラマンX』・『ウルトラマンタイガ』に登場したきた。


 ゼットンはあまりに登場しすぎであって、初代ウルトラマンを倒したほどの強敵感が21世紀以降の作品ではなくなってしまっている! といった苦言もある。そういった意見もよくわかるし同意はするのだ。しかし、折にふれてゼットンが再登場していたことで、若い世代にとっても印象的になっているのだろう。そういったことを思えば、バルタン星人がゼットンに首位を奪われたのも必然だというべきだ。


 とはいえ、00年代の中盤以降、毎年のように再登場を果たしてきたゴモラ・キングジョー・エレキングなどよりも、一度も映像作品で本格的な参戦を果たしていないバルタン星人の方がいまだに高い人気を誇っているといった、先の主張とは明らかに矛盾が生じてしまっている現象については…… ご容赦を願いたい(笑)。


 先述した映画『シン・ウルトラマン』なども含めて、バルタン星人を登場させていない理由については、バルタン星人のデビュー作となった初代『ウルトラマン』第2話『侵略者を撃て』の脚本を千束北男(せんぞく・きたお)のペンネームで執筆して、同話の監督も担当したことでバルタンの生みの親として知られており、2021年にお亡くなりになられた故・飯島敏宏(いいじま・としひろ)氏の意向を尊重・忖度(そんたく・笑)しているからだとの見方が一部にはある。
 宇宙旅行中に発狂した科学者の核実験で母星を失ったことから住める星を求めて地球にたどり着いたといった悲劇的な背景や、映画『劇場版 ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT(ザ・ファースト・コンタクト)』(01年・松竹)や『ウルトラマンマックス』での再登場時(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060503/p1)に飯島監督が描いたように、地球人との友好関係を築(きず)ける可能性を秘めた存在としてバルタンを描くべきであり、単なる悪い宇宙人として描くことは好まない……などと90年代以降、生前の氏が語っていたことは確かなのだ。


 この氏の主張がそこまで尊重されるべきであったのかについては個人的には疑問である。たとえば、氏が描いたバルタン星人ひとつをとってみても、初代『マン』に登場した「生命」の概念を知らないSF的な存在であったのが初代バルタン星人であった。
 しかし、『80』に登場したベテラン脚本家・石堂淑朗(いしどう・としろう)先生が執筆されたチンピラ宇宙人(笑)としてのバルタン星人とはたしかに異なってはいたものの、90年代の氏による未映像化脚本や『コスモス』『マックス』などに登場したバルタン星人は、その正体が美少女であったりファンタジックな存在と化してしまっており、これもまたそうとうに初代バルタン星人とは別モノといってもよいくらいにイメージがちがいすぎるだろ!(笑)


 あまりにバルタン星人を自由に描けなかったことで、このようにトップから陥落してしまったと観て取ることは可能だろう。しかし、それでよいのであろうか? なにか本末転倒な事態が起きているのではなかろうか?


 かつては「卑怯もラッキョもあるものか!?」などといった迷言を年長マニアにはさんざんに罵倒されてきたメフィラス星人2代目が、今では一周まわって皆に愛されて、そのセリフまでもが映像本編でも引用されているように、バルタン星人もムズカしいことはともかく下品に哄笑してみせる大悪党キャラとして、あらためて「限りなきチャレンジ魂」を見せてほしいものである!(笑)



 しかし、「ウルトラ怪獣」部門の第2位が、『ウルトラマンオーブ』のライバル・キャラクターであった無幻(むげん)魔人ジャグラス ジャグラーであったというのには……


 これもまた、純粋な「怪獣・怪人」としての「変身後の姿」に対しての人気などではなくて、むしろ「変身前の人間態」の姿を演じていた青柳尊哉(あおやぎ・たかや)氏の人気、およびその怪演に対する評価だろ!(笑)


 第33位にはのちにウルトラウーマングリージョに変身できるようなる女子高生・湊アサヒ(みなと・あさひ)ちゃん、第73位にもグリージョ襲名の元となった永遠の17歳(爆)こと美少女・美剣サキ(みつるぎ・さき)ちゃん、第108位にも『マックス』の美少女型ロボット隊員・エリー、第117位に男女合体変身でウルトラマンエースに変身していた南夕子までもがランクインしている。彼女らを「ウルトラ怪獣」扱いしてもよいのであろうか?(爆)


 とはいえ、だからこそ、そこに入れても遜色がなかったどころか、バルタン星人をも上回ったジャグラスジャグラー人気の高さがわかろうとはいうものだ(笑)。


*「露出」を常に絶やさないことの重要性の是非!?


 ゼットンもそうだったが、「ウルトラヒーロー」部門でウルトラマンゼロ初代ウルトラマンの人気を上回る第4位、その宿敵として描かれてきた悪の黒いウルトラマンことウルトラマンベリアルも「ウルトラ怪獣」部門で第6位に輝いていたことも、繰り返して描きつづけることの重要性を示す結果だろう。


 ゼロのデビュー作となった映画『ウルトラ銀河伝説』はそこそこ注目された。しかし、翌2010年度はイベントでのアトラクションショーで活躍するのみでゼロが主演するテレビシリーズが製作されなかったり、宣伝の圧倒的な不足の影響も災いしてか、同年末に公開された主演映画『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦! ベリアル銀河帝国』は作品自体の質は高かったものの、興行的には大コケしてしまった。この時点ではゼロはヘタをすれば、映画限定のウルトラマンとして2本ぽっきりで忘れ去られてしまう危険性すらあったのだ。


 だが、先述した『ウルトラマン列伝』の枠内で放映された短編シリーズ『ウルトラゼロファイト』(12~13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20140115/p1)での主演、そして映画『劇場版 ウルトラマンギンガS(エス) 決戦! ウルトラ10勇士』(15年・松竹・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200404/p1)で新人のウルトラマンギンガとウルトラマンビクトリーを特訓する役回りを演じたのを皮切りに、『ウルトラマンX』(15年)でもその第5話『イージス 光る時』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200405/p1)で早々に助っ人参戦を果たして以降、「ニュージェネレーションウルトラマンシリーズ」では常に頼れる先輩ウルトラマンとして描かれつづけてきたのだ。


 それも、先述した映画『ゼロ THE MOVIE』で、いくつもの世界(宇宙)が並行して存在しているという、実際の物理学の理論でもあった多元宇宙(並行宇宙)=「マルチバース」の世界観が導入されて、ウルトラマンゼロがその中を自在に行き来する超能力をウルトラマンノアから授かったウルトラ戦士として設定されていたことも大きかったのだ。


――『シン・ウルトラマン』でもマルチバースに言及されており、それをアメコミ洋画『アベンジャーズ』シリーズ(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190617/p1)のマネだ! などとアメコミ洋画ファンが批判をしていたけど、映像作品としてはウルトラシリーズでの投入の方が先だったので念のため!(笑)――


 『ウルトラマンジード』ではジードとともにダブル主人公を務めて、『ウルトラマンZ』ではゼットが勝手に師匠(ししょう)としてあがめる存在として近年でも露出度が実に高かったウルトラマンゼロ。そして、そのゼロとも因縁(いんねん)が深い強敵としてゼロの登場作品でほとんどワンセットで扱われてきたといっても過言ではないウルトラマンベリアルが、いまやウルトラマンシリーズを代表する重要な存在にまで登り詰めている。
 そのことからしても、各作品ごとの一過性の興味で終わらせるのではなく継続させることで、各作の「ウルトラマン」の世界を関連づけて描いてきた「ニュージェネレーションウルトラマン」の作劇それ自体は正しかったことを象徴するものであろう。



 とはいえ、00年代中盤以降はほぼ毎年のように映像作品に登場して「露出」を常に絶やさないできたのに、かつてであればトップスリーには入っていたであろう、どくろ怪獣レッドキングは第22位にとどまってしまってもいる、筆者にとっては実に都合の悪い事実も発生している(笑)。同様に、2010年代以降はほぼ毎年登場してきたテレスドンネロンガ・ゴメス・グドンといった中堅人気怪獣に至っては100位前後ではあったのだ(汗)。


 しかし、筆者も読者諸氏も歳若いウルトラシリーズマニアであっても、これらのウルトラ怪獣のことが大スキであろう。そもそもウルトラ怪獣の総数自体が1000数百体以上にも達しているのだ。それを考えれば100位前後でも充分に人気怪獣なのである!


 だから、登場回数や観客に対する接触面積の多さも重要ではあっても、それだけでも決定打にはならない! といったところなのであろう。そのキャラクター単独での存在感! といった要素もまたデカいのだ。ここでもまたモノサシはひとつだけではなかったのであった。



 「ウルトラ怪獣」部門は200位(同点198位が3体)まで公表されている。参考までに20位までを列挙しておこう。


ウルトラ怪獣」部門(以降、キャラクター名・初登場作品を列記)
●1位  宇宙恐竜ゼットン
 (『ウルトラマン』最終回(第39話)『さらばウルトラマン』)
●2位  無幻魔人ジャグラス ジャグラー
 (『ウルトラマンオーブ』第1話『夕陽の風来坊(ゆうひのふうらいぼう)』)
●3位  宇宙忍者バルタン星人
 (『ウルトラマン』第2話『侵略者を撃て』)
●4位  古代怪獣ゴモラ
 (『ウルトラマン』第26話『怪獣殿下(前篇)』)
●5位  宇宙ロボットキングジョー
 (『ウルトラセブン』第14話「ウルトラ警備隊西へ(前編)』)
●6位  ウルトラマンベリアル
 (『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』)
●7位  幻覚宇宙人メトロン星人
 (『ウルトラセブン』第8話『狙われた街』)
●8位  宇宙怪獣エレキング
 (『ウルトラセブン』第3話『湖のひみつ』)
●9位  邪神ガタノゾーア
 (『ウルトラマンティガ』第51話『暗黒の支配者』)
●10位 棲星(せいせい)怪獣ジャミラ
 (『ウルトラマン』第23話『故郷は地球』)
●11位 虚空(こくう)怪獣グリーザ
 (『ウルトラマンX』第21話『美しき終焉(しゅうえん)』)
●12位 友好珍獣ピグモン
 (『ウルトラマン』第8話『怪獣無法地帯』)
●13位 ウルトラマントレギア
 (映画『劇場版 ウルトラマンR/B(ルーブ) セレクト! 絆(きずな)のクリスタル』(19年・松竹))
●14位 コイン怪獣カネゴン
 (『ウルトラQ(キュー)』(66年)第15話『カネゴンの繭(まゆ)』)
●15位 悪質宇宙人メフィラス星人
 (『ウルトラマン』第33話『禁じられた言葉』)
●16位 暴君怪獣タイラント
 (『ウルトラマンタロウ』第40話『ウルトラ兄弟を超えてゆけ!』)
●17位 イーヴィルティガ
 (『ウルトラマンティガ』第44話『影を継ぐもの』)
●18位 宇宙大怪獣ベムスター
 (『帰ってきたウルトラマン』第18話『ウルトラセブン参上』)
●19位 三面怪人ダダ
 (『ウルトラマン』第28話『人間標本5・6』)
●20位 完全生命体イフ
 (『ウルトラマンマックス』第15話『第三番惑星の奇跡』)



 定番の初代『マン』と『セブン』の人気怪獣に列伍して、


●2010年代の作品からは、『X』のラスボス怪獣である虚空怪獣グリーザ
●2000年代の作品からは、『マックス』に登場した強敵怪獣であった完全生命体イフ
●1990年代の平成ウルトラ3部作からも、『ティガ』のラスボス怪獣・邪神ガタノゾーア
●1970年代の第2期ウルトラシリーズからも、かつては往時の第1世代マニアに合体怪獣は邪道だとして酷評されてきたものの、下の世代からは高い人気を誇ってきた暴君怪獣タイラント、そして宇宙大怪獣ベムスター


 それら各時代ごとの人気怪獣たちが、かの第1期ウルトラシリーズ出自の人気怪獣レッドキング以上の順位でランキングされているのだ!


 ウルトラマンベリアルに比べて低人気だと叩かれがちな悪の青いウルトラマンことウルトラマントレギアも、ティガの偽ウルトラマンに相当するイーヴィルティガの第17位よりも高い、第13位にランクインされていたのであった!


初代ウルトラマンウルトラセブンウルトラマンティガの高人気をドー位置付けるべきか!?


 さて、初代『ウルトラマン』と『ウルトラセブン』のリアルタイム世代を含んでいる60歳以上の投票比率が最も低かったのにもかかわらず、「ウルトラヒーロー」部門ではウルトラセブンが第2位、初代ウルトラマンが第5位と上位で健闘している。これは「40周年」「45周年」「50周年」「55周年」などとして5年周期で周年イベントが展開されてきたことで若い世代にも注目されてきたことが大きかった……
 といったことではおそらくなくて(笑)、この2作品の作風もまたそれぞれで異なってはいるものの、やはり後代のシリーズ作品と比べてみればシンプルではあっても、それゆえの普遍的な面白さがあったから……といったことにも尽きるだろう。


 しかし、それでは後続のシリーズ作品群には普遍的な面白さなどはなかったのだ……などといったこともまた云えないであろう。それぞれの作品に、それぞれなりの見過ごしにできない良さがあったと信じるからだ。


 その一方で、いつものことなのだが、2021年で「50周年」であった『帰ってきたウルトラマン』、そして2022年で「50周年」となった『ウルトラマンA』に関しては表立った動きはほとんど見られずに終わってしまっていて、非常に残念なのであった。


 『ウルトラマン80』が放映30周年を迎えた2010年には、CS放送・ファミリー劇場での再放送や同局での情報番組『ウルトラ情報局』なども含めて、「ウルトラマン80 30周年記念」といったロゴまでつくって一応はプッシュする動きなどもあった。おそらくは往時まだ円谷プロダクションに在籍していたらしき特撮ライター・秋廣泰生氏あたりの発案ではなかったかと憶測している。
 そして、結局はこのような動きは会社などではなくヒト・人材・人間力・プレゼン(テーション)力といったものでも決まるので、そのような企画をたとえ心の中で思っていたとしても、それを実際の行動に移せる御仁がいなければ実現しない! といったことなのでもあるのだろう――コミュニケーション弱者であることが相場である典型的なオタクでもある筆者が「どの口で云うのか?」といった話ではあるけれど(汗)――。



 よって、ウルトラマンティガが「ウルトラヒーロー」部門で第1位となったことは元々の人気の高さもあったのだろうが、2021年に放映「25周年」が派手にクローズアップされ、その世界観を継承したとされる新作の『ウルトラマントリガー』までもが製作・放映されたことも首位獲得に大きく貢献(こうけん)していたのだ……とも考えにくい。良くも悪くも『ティガ』は、本放映時から当時の年長マニア間では絶賛されてきており、その評価が途切れることなく継続されることでブランド化することに成功したのだともいえるだろう。


――ただし、筆者個人はそこまで『ティガ』が別格の優れた作品だったとは思ってはいない。個人的には2010年代のニュージェネレーションウルトラマンシリーズ作品の方がスキだし、「価値判断」としてはそちらの方に作品的な評価をしていたりもする(汗)。しかし、筆者の実に個人的な見解なぞはともかく、2022年時点での世評の大勢が『ティガ』を第1位として評価しているという「事実」そのものについては認めなくてはいけないのだ。個人としての「価値判断」と「事実」とは別々のものだという認識ができなければ、「分析」それ自体が「願望」へと堕してしまう、それでは近代的合理人・近代的自我の持ち主だとはいえない、未開の原始人にすぎないのだとも、20世紀初頭の社会学の中興の祖であるマックス・ウェーバーも云っていた(多少、誇張表現をしております・爆)――


 事実、ティガが第1位となって、VTR映像として『ティガ』最終章3部作の第1部である第50話『もっと高く! ~Take Me Higher!~』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961207/p1)の終盤における、女性隊員・レナが操縦する後部座席でダイゴ隊員がティガに変身する直前のシーンでのレナの独白シーンが流されて、昭和ウルトラや2010年代のウルトラシリーズにも非常に造詣が深い中堅声優・潘めぐみ(はん・めぐみ)氏は、同時に彼女にとっての最初の新作ウルトラマンが『ティガ』でもあったためでもあろう、このシーンの映像では人前をばかることなく滂沱(ぼうだ)の涙を流しつづけて止まらなくなって声を震わせていたのであった…… たとえ『ティガ』否定派であっても、こういった自分の価値判断とは異なるものとしての他人の作品に関しての好意表明に対しては、決して否定をしてはならないのだ。



 といったところで、当番組の司会者にもふれておこう。


 1990年代末期から2000年代に若者たちに人気があったボーカリストで、近年はアニメソングを多数歌唱していることでオタク層にも知名度の高い西川貴教(にしかわ・たかのり)氏と、NHKの局アナ・杉浦友紀(すぎうら・ゆき)氏。


 そして、「ウルトラマンシリーズゲスト」として


●『ウルトラマンダイナ』(97年)の主人公アスカ・シン=ウルトラマンダイナを演じたつるの剛士
●『ウルトラマンコスモス』(01年)の主人公春野ムサシ(はるの・むさし)=ウルトラマンコスモスを演じた杉浦太陽(すぎうら・たいよう)氏
●『ウルトラマンZ(ゼット)』(20年)の主人公ナツカワ・ハルキ=ウルトラマンゼットを演じた平野宏周(ひらの・こうしゅう)氏


のお三方が招かれていた。


 さらに、「ファンゲスト」として


●往年の東宝特撮映画に多数登場した怪獣・ゴジラの大ファンとして知られ、『ウルトラマンマックス』(05年)でナレーションを担当、さらに『ウルトラマンオーブ』(16年)第24話『逆襲の超大魔王獣』~最終回(第25話)『さすらいの太陽』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170415/p1)では防衛組織・ビートル隊日本支部の菅沼(すがぬま)長官を演じた俳優の佐野史郎(さの・しろう)氏
●バラエティ番組『欽ちゃんの週刊欽曜日』(82年)でデビュー以来、歌手・タレントとしてアイドル的人気を獲得、先述した『ウルトラマンコスモス』の劇場版全3作品(01~03年・松竹)に防衛組織のキド隊員 → キド隊長として連続出演を果たしたほか、映画『ウルトラマンメビウスウルトラ兄弟』(06年・松竹)や映画『大決戦! 超ウルトラ8兄弟』(08年・松竹)のゲスト出演、さらに『ウルトラマンタイガ』(19年)に佐倉警部役でセミレギュラー出演した俳優でタレントの風見しんご(かざみ・しんご)氏
●大の特撮好きで知られ、仮面ライダースーパー戦隊で数多くのヒーローや悪役の声を演じ、ウルトラシリーズでは映画『ウルトラマンゼロ THE MOVIE(ザ・ムービー) 超決戦! ベリアル銀河帝国』(10年・松竹・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20111204/p1)以降の炎の超人・グレンファイヤーの声や、映画『ウルトラマンギンガ 劇場スペシャル』(13年・松竹・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200820/p1)以降の異次元宇宙人イカルス星人の声などを担当した声優の関智一(せき・ともかず)氏
●『ウルトラマンジード』(17年)以降のペガッサ星人ペガの声のほか、『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀(いんぼう)』(20年)では性別がハッキリしない戦士であったウルトラマンジャスティスや青いウルトラ族の少女・ソラの声、WEB(ウェブ)アニメ『怪獣娘 -ウルトラ怪獣擬人化計画-』(16年)のエレキングや3DCG作品『ULTRAMAN(ウルトラマン)』(19年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190528/p1)の北斗星司(ほくと・せいじ)の声など、近年では円谷プロ専属になったのか?(笑) との印象すらある声優の潘めぐみ


といった豪華な顔ぶれも出演している。


 「解説」の担当はロートルオタクであればご存じ、往年の今は亡きアニメ雑誌アニメック』(78~87年)の編集者上がりで、角川書店の月刊アニメ雑誌ニュータイプ』(85年〜)の立ち上げに参加して編集長に登り詰め、一時は角川書店の社長も務めていた、今でもKADOKAWAの副社長でもある井上伸一郎氏が担当していた。氏は特撮マニアであれば、往年の東映特撮『人造人間キカイダー』(72年)のリメイク映画『キカイダー REBOOT(リブート)』(14年)の実質的な発案者・製作者であったことでご承知のことだろう。


 ただし、氏が『ウルトラマンネクサス』を「早すぎた傑作」であったかのように評していたことには同意はできない(笑)。こういった意見は氏にかぎらず各所で散見されるのだが、むしろ同作は「遅すぎた傑作」であったというべきであろう。


 たとえば、西暦2000年に放送された非常にチャイルディッシュな作風であった『百獣戦隊ガオレンジャー』(00年)は開設間もないネット上の超巨大掲示板2ちゃんねるでは、まだハード&シリアス&大人向け指向の価値観が強かった特撮マニアたちによって猛烈に酷評されていた。
 しかし、2001~03年にかけて、大きな価値観の地殻変動が起きている。数多くの口汚い論争の果てに(笑)、子供向けの特撮変身ヒーロー作品をハード&シリアス&大人向けといったモノサシで測ること自体が滑稽(こっけい)だ! 中二病だ! といってバカにするような価値観の方が勝利を収めていったのだ。


 そして、『ウルトラマンネクサス』はその高いドラマ性やテーマ性や志を認めた上でなお、子供向けの特撮変身ヒーロー番組のつくり方としてはドーなんだよ!? といった意味合いでの批判が渦巻いていたのであったのだ。その意味では、あと数年早くつくっていれば、子供間での人気はともかくマニア間での人気は高かったのかもしれない(笑)――筆者も80年代前半までにあういったつくりの「ウルトラマン」を見せられれば高く評価していたかもしれない。しかし、80年代後半以降に遭遇していたならば、もう評価はしなかっただろうな(爆)――。


*「ウルトラメカ」部門ランキングにも、マニアの価値観の大地殻変動を見る!


 放送前の2022年7月15日から8月21日にかけて設けられた投票期間に寄せられた総投票数は35万5563票であり、その集計結果をもとに決定した「ウルトラヒーロー」「ウルトラ怪獣」「ウルトラメカ」の部門別ランキングが発表されていた。


 ここまで言及ができなかった「ウルトラメカ」部門は、以下のとおりであった。


「ウルトラメカ」部門(以降、メカ名・所属防衛組織・初登場作品を列記)
●1位  特空機1号セブンガー (ストレイジ
 (『ウルトラマンZ』)
●2位  ウルトラホーク1号 (ウルトラ警備隊)
 (『ウルトラセブン』)
●3位  ポインター (ウルトラ警備隊)
 (『ウルトラセブン』)
●4位  ガッツウイング1号 (GUTS(ガッツ))
 (『ウルトラマンティガ』)
●5位  特空機3号キングジョーストレイジカスタム (ストレイジ
 (『ウルトラマンZ』)
●6位  ジェットビートル (科学特捜隊
 (『ウルトラマン』)
●7位  ガンフェニックストライカー (CREW GUYS(クルー・ガイズ))
 (『ウルトラマンメビウス』)
●8位  ガッツイーグル (スーパーGUTS)
 (『ウルトラマンダイナ』)
●9位  ナースデッセイ号 (GUTS-SELECT(ガッツ・セレクト))
 (『ウルトラマントリガー』)
●10位 マットアロー1号 (MAT(マット))
 (『帰ってきたウルトラマン』)
●11位 ハイパーストライクチェスター (ナイトレイダー)
 (『ウルトラマンネクサス』)
●12位 XIG(シグ)ファイターEX(イーエックス) (XIG)
 (『ウルトラマンガイア』)
●13位 特空機4号ウルトロイドゼロ (ストレイジ
 (『ウルトラマンZ』)
●14位 マットビハイクル (MAT)
 (『帰ってきたウルトラマン』)
●15位 GUYSガンフェニックス (CREW GUYS)
 (『ウルトラマンメビウス』)
●16位 アートデッセイ号 (GUTS)
 (『ウルトラマンティガ』)
●17位 マグマライザー (ウルトラ警備隊)
 (『ウルトラセブン』)
●18位 GUTSファルコン (GUTS-SELECT)
 (『ウルトラマントリガー』)
●19位 マットジャイロ (MAT)
 (『帰ってきたウルトラマン』)
●20位 スペースペンドラゴン (ZAP SPACY(ザップ・スペーシー))
 (『ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル』(07年))


 ここでも恐るべき結果が出ていた! 従来であれば、ダントツで第1位や上位を占めていたであろう、『ウルトラセブン』の怪獣攻撃隊である地球防衛軍ことウルトラ警備隊のスーパーメカの数々を差し置いて、『ウルトラマンZ』に登場した怪獣攻撃隊であるストレージが建造した巨大ロボット・セブンガーが第1位を獲得していたのだ!(笑)
 そして、同作からは3号ロボット・キングジョーストレイジカスタム、闇落ちしてしまったウルトラマン型の5号ロボット・ウルトロイドゼロまでもがランクインを果たしているのだ!


 「ウルトラメカ」のランキングも、第1期ウルトラシリーズのメカのみならず、


●2010年代からは、『Z』の巨大ロボットや『トリガー』の飛行メカ
●2000年代からは、『ネクサス』『メビウス』『大怪獣バトル』の飛行メカ
●1990年代からは、『ティガ』『ダイナ』『ガイア』の飛行メカや宇宙戦艦
●1970年代からは、『帰ってきた』の飛行メカ


といった塩梅で、見事に各時代ごとに票が分散されていたのであった……


*得票結果から読み込む「ニュージェネレーションウルトラマンシリーズ」の諸相!


 投票対象としてはシリーズ最新作にあたる『ウルトラマントリガー』の主役であったウルトラマントリガーの「ウルトラヒーロー」部門での順位は第20位。その元ネタとなったティガの第1位とは異様なまでの差が見られる――投票期間直前の2022年7月上旬に放映を開始したばかりの『ウルトラマンデッカー』(22年)は今回の投票対象には当然のことながら含まれていない――。


 マニア諸氏であればご承知のとおりで、この投票結果を見るまでもなく、若年マニア間では『トリガー』の人気が放映当時から著(いちじる)しく低くて、ネット上でも酷評されまくっていたことは承知の事実であるだろう。Amazon(アマゾン)での同作のDVDレビューや、アマゾンプライムビデオのコメントでも酷評ばかりが並んでいる。


 筆者個人も実は同作のことをあまり評価はしていなかったのだが(汗)、そのこととも別に『トリガー』酷評の原因は2つあったと思うのだ。


●1つ目は、大人気番組となった『ウルトラマンZ』の後番組となってしまったために、大人気番組の後番組にはアリがちなことなのだが、それと比べて物足りなく思えてしまったことで、相対的にキビしく観られてしまったこと
●2つ目は、『ウルトラマンティガ』へのオマージュだと謳(うた)いながらも、それは営業的なセールストークで、実は『ティガ』っぽくする気はなかったらしいこと(笑)


 以上の2点に尽きるだろう。しかも、『Z』を愛するウルトラファンと『ティガ』を愛するウルトラファンとは、重複する場合もあるのだろうが、基本的には同じウルトラファン・特撮マニアだとはいってもやや別傾向の存在ではあるだろう。しかし、そのへんの相違は突き詰められずにフワッとした野合(笑)となることで、依拠する立場が異なる2つの陣営からの挟撃によって酷評されていた! といったところが、より正確な実態だったのではなかろうか? といった分析などもできるのだ。


 とはいえ、それもそれで単なる分析にすぎない。『トリガー』という作品それ自体に、『Z』や『ティガ』といった作品にも負けないだけの「強度」さえあれば、そんな批判をモノともせずに、独自の人気を獲得することもできたハズであろうからだ。


 その一方、『トリガー』の前作『ウルトラマンZ』の主役だったウルトラマンゼットは、「ウルトラヒーロー」部門で彼の師匠のウルトラマンゼロをも上回る第3位を達成している。
 そればかりか「ウルトラ怪獣」部門では、『Z』で防衛組織・ストレイジのヘビクラ隊長を仮の姿としていたジャグラス ジャグラーが第2位、「ウルトラメカ」部門では『ウルトラマンレオ』第34話『ウルトラ兄弟永遠の誓い』に怪獣ボールとして登場していたセブンガーを元ネタとした特空機1号セブンガーが第1位に輝いて、放映終了から1年半を経ても『Z』がいまだ根強い人気を誇っていることが示される結果となったのである。


 「ウルトラヒーロー」部門で第3位に輝いたウルトラマンゼットといえば、敬語とタメ口を混同したあまりにデタラメな日本語で変身前の主人公・ハルキと交わす軽妙で爆笑モノの絶妙なやりとりが多くの視聴者に強烈な印象を残すことに成功していた。
 ゼットの仮の師匠(汗)であり、第4位となったウルトラマンゼロもまた「しゃべりまくるウルトラマン」の元祖であって、従来は圧倒的に優等生タイプが多かったウルトラマンのイメージを完全にひっくり返したベラんめぇ口調のヤンキー兄ちゃん(笑)として描かれていたのだ。


 その両者が第3位と第4位に輝いたということは、近年のウルトラマンを支持する若い層にとってはゼットやゼロのようなキャラクターこそが、もはやスタンダードなウルトラマン像として定着しているということなのであろう。


 その意味では、トリガーも「しゃべりまくるウルトラマン」にしておいた方が、ゼットやゼロを支持する若い層にもっと受け入れられたのかもしれない。
 いや、繰り返しになるが、もちろん作品評価や作品人気のモノサシはひとつだけではない。「しゃべりまくり」さえすれば、それだけで高い人気が誇れるウルトラマン作品になれるワケでもない。事実、2022年に公開された映画『シン・ウルトラマン』では、ウルトラマンがベラベラとはしゃべってはいないのに、実に高い興行収入を上げていたからだ。そこは盛大にツッコミを浴びてしまう前に先回りをして釈明しておこう(笑)。



 とはいえ、「しゃべりまくるウルトラマン」は、決してB級でコミカルなばかりの低劣な存在に堕(だ)してしまったワケでもないのだ。


 ウルトラマンたちがその必殺ワザの名前を、昭和の仮面ライダーや合体ロボットアニメの主人公たちのように絶叫する2010年代以降に入ってからの演出は、たしかに先人の第1期ウルトラ至上主義者たちが20世紀のむかしから主張してきたように「ウルトラマンの神秘性をウスれさせてしまう側面」「作品をハイブロウではなく子供向けにしてしまう側面」があったことも事実なのだ。


 しかし必殺ワザ名の絶叫で、そのヒーロー性や彼らの人間像、戦闘シーンで強敵を倒す際のカタルシス・熱血活劇度を倍増させることができるといった効用があることもまた事実なのである。変身ヒーロー作品にとっては「神秘性」うんぬんを上回ってあまりあるメリットの方がはるかに大きい! とすら思うのだ。


 そういった意味では、そうした効用を十全に発揮していたゼットとゼロが第3位と第4位を占めていたのだから、今後のウルトラマンも、必殺ワザの絶叫路線を継続していった方がよいと思う。
 まぁ、筆者が特に力説などしなくても、2010年代のウルトラシリーズはそうした演出をしてきたのだし、今のスタッフたちもそうした子供たちが喜ぶであろう機微やツボについては百も承知であろうから、そこについては特に心配もしてはいないのだが。


 必殺ワザ名を絶叫していても、地球人にはその声は聞こえていない! ヒーロー名を絶叫しながら変身していても、その瞬間にはナゾの異空間に入っている! といった、我々のようなスレすぎて一回転してしまったマニア側での好意的なSF考証・脳内補完も可能なのだし(笑)。



 しかし意外や意外、『トリガー』の玩具の売り上げは、マニア間でも大人気であったハズの『Z』の数倍(!)であったというデータも出てきてはいる。ということは、『Z』ファンとも『ティガ』ファンともまた異なる価値観を持った、第3極としての子供間での人気は相応にはあったという分析もできるだろう。
――ただし、2021年度の玩具売上は、『Z』の売れ行きの好調で小売店が発注を増やしたために出荷数が倍増したのであり、実売の数字ではないという説もある――


 ということは、本放映当時には決して評判がよくはなかった『コスモス』や『ネクサス』が今回は大健闘していたように、20年後の「大投票」企画では『トリガー』も意外なダークホースとなっているのかもしれない。


 ともあれ、作品憎しのあまりに、自分では少数派の意見のレジスタンスのつもりでその実、その下の世代にとっては抑圧的な多数派によるふるまいでしかなかった! となってしまっては、かつての安保闘争学生運動を牽引していた終戦直後生まれの「団塊の世代」が、実際にはその10歳強ほど下の「新人類世代(=オタク第1世代)」の上辺世代に対しては非常に高圧的なふるまいをしてきており、実に閉口していたといった証言も多々あったことの滑稽な繰り返しにもなってしまう。後続世代である我々もまた今こそ歴史に学んで、そういった愚行を繰り返してはならないのだ。


*得票結果から読み込む「ウルトラマン」が目指すべきものとは!?


 ところで、そういった堅苦しい話はともかく(笑)、「ウルトラマン」にかぎらず「仮面ライダー」にしろ「スーパー戦隊にしろ」、若い層のファンがネット上で発信するコメントを読んでいると、それらに登場するキャラクターが「ネタキャラ」としていかに笑えるか、そしてファン同士でどれだけ「ネタ」として楽しめるかという観点を重要視している傾向がうかがえる。


 それが特撮変身ヒーロー作品を視聴する姿勢として正しいかどうかは別として、たしかに「ウルトラ怪獣」部門でジャグラス ジャグラーが第2位、「ウルトラメカ」部門でセブンガーが第1位と、「ウルトラヒーロー」部門で第3位のウルトラマンゼットと併せて、『ウルトラマンZ』のキャラクターが各部門の上位を独占したことからすれば、若い世代にとって『Z』は「ネタキャラ」の宝庫として人気を集めた面もあったかと思えるのだ。


 ただ、注意しておかねばならないのは、単に面白いキャラを見たいだけならばお笑い芸人が多数出演するバラエティ番組を見れば済むワケである。そして、特撮ヒーロー番組は本来そんな需要を満たすための場ではない、ヒーローによる戦闘のカタルシスを満たす場であるということである。


 ジャグラーのデビュー作となった『ウルトラマンオーブ』でジャグラーを演じた青柳尊哉氏は「観ている子供たちを心底こわがらせるために」各話で妙なテンションで怪演していたのが、結果として大きなお友達である我々マニア視聴者にはそれが「お笑い」にも見えてしまった代表的な例なのだ。
 本来の「ネタキャラ」とはジャグラーのようなキャラを指す用語なのであり、コミカルなキャラならなんでもかんでも「ネタキャラ」と呼んでしまう近年の用法は誤りなのだが、それはひとまず置いておく。


 ジャグラーが「ウルトラ怪獣」部門で第2位を獲得するほどの支持を集めた理由としては、「ネタキャラ」うんぬんのことは重要ではあったかもしれないけど、それだけでもなかったからだと思えるからだ。


 『オーブ』から『ウルトラマンジード』の劇場版などを経由して『Z』へと至るまで、敵が味方に、味方が敵に、はたまた敵にと実にめまぐるしく矢継ぎ早にその立ち位置を変化させてきたことで、次はいったい何をやらかしてくれるのか? と視聴者に常にビックリ箱的な興味・期待を与えつづけて、番組をおおいに盛り上げてくれたことこそが、ジャグラー最大の魅力ではなかっただろうか? 通常ならば過去作品の敵キャラが最後に防衛組織の隊長の座におさまるなんぞ、とうていあり得なかったワケなのだから(笑)。



 それとは対照的に、『Z』同様に一見は「ネタキャラ」の宝庫だったように見えたにもかかわらず、『Z』の前作『ウルトラマンタイガ』が、その前作『ウルトラマンR/B(ルーブ)』(18年)も、まだファンの記憶に新しいハズの近年の作品のキャラクターが各部門でほぼ圏外となってしまったのはナゼだったのであろうか?


 『タイガ』でウルトラマンタロウの息子として華々(はなばな)しくデビューを果たしたウルトラマンタイガに、その仲間のウルトラマンタイタス・ウルトラマンフーマのトリオも、放映序盤ではベラベラと饒舌にしゃべりまくっており(笑)、ネット上の反響を見るかぎりでは若年特撮オタクたちの大きな支持を集めていたものだ。『タイガ』という番組がその勢いを持続させて完走できていたならば、今回の「大投票」でも一定の得票数を集めていたかと思われる。


 だが、1話完結形式の「昭和ウルトラ」の時代のような「つくり」に戻したいというチーププロデューサーの意向があったことも明かされているとおりで(汗)、実際の同作のシリーズ中盤以降では、タイガ・タイタス・フーマの掛け合い漫才的なコミカルなやりとりの描写が減少してしまっていた。そして、各話のゲストの人間ドラマを重視せんとばかりに、毎回のドラマ自体があまりに陰鬱(いんうつ)な作風の話がつづいてしまったのだ。
 そして皆が期待していた、タイタスの同族であるウルトラの星・U40(ユーフォーティ)出身であるウルトラマンジョーニアスの助っ人参戦! フーマの同族であるO50(オーフィフティ)出身のウルトラマンオーブウルトラマンルーブなどの助っ人参戦! といったイベント編などもなかった。何よりもタイガの父であるウルトラマンタロウも『劇場版 タイガ」ではともかくテレビシリーズ本編では助っ人参戦をしなかった(汗)。


 それらもろもろのために、本来であれば『仮面ライダー電王』(07年)に登場した正義の怪人4人組のモモタロス・ウラタロス・キンタロスリュウタロスや、映画『ウルトラマンゼロ』に登場したウルトラ族以外のヒーローであったミラーナイト・グレンファイヤー・ジャンボットたちとも同等の高い人気が誇れるだけのポテンシャル(潜在能力)があったタイガ・タイタス・フーマだったのに、そこまでのブレイクができなかったといったところでの分析もできるだろう。


 『タイガ』放映開始当初の特にウルトラマンタイタスの筋肉マッチョにして賢者(笑)でもあるというキョーレツな「ネタキャラ」ぶりも大好評であったというのに、番組中でのヘンな抑制の効かせ方については、非常に残念でならないのだ。



 また、タイガ・タイタス・フーマがあくまで日常場面でコミカルなやりとりを交わしていたのに対して、『R/B』の場合はウルトラマンロッソとウルトラマンブルの兄弟が戦闘の最中にも兄弟ゲンカをしてしまうのをはじめ、変身後のウルトラマンをコミカルに描く演出が目立っていた。
 そういったところで、変身ヒーロー作品としての戦闘のカタルシスをウスめてしまったことも、得票数を減らしてしまったことの原因であったのかもしれない――筆者個人は往年の少年ふたりが合体変身して誕生する『超人バロム・1(ワン)』(72年)みたいだ、スーパー戦隊でもよくあったような戦闘中の不和だよな、などと思ってそこはあまり気にしてはいなかったものの(笑)――。


 『R/B』のシリーズ前半のレギュラーとして登場した愛染マコト(あいぜん・まこと)社長=ウルトラマンオーブダークノワールブラックシュバルツ(笑)も、先述したジャグラーの「ネタキャラ」ぶりとは違って最初から視聴者の笑いをとる気マンマンのキャラとして描かれていた。
 おそらく愛染社長を演じた役者さんの力量でスタッフの想定以上にそのキャラクター人気が膨らんでしまったところで(笑)、2010年代のウルトラシリーズは撮影に入る前にほぼ全話のシナリオが完成しているようなので、当初のシリーズ構成どおりにシリーズ中盤では退場してしまったことによる「残念感」もまた、『R/B』という作品をやや失速させてしまった原因でもあっただろう。
 すべてが計算ずくでつくりきれるワケでもない、水モノ・ナマモノでもある総合芸術としてのフィクション映像作品の構築における、想定外のムズカしいところでもあったのだ……



 もちろん、大勢による人気投票の結果と個人による作品評価は別モノであってよい。筆者個人のウルトラシリーズ各作に対する作品評価ランキングと今回の人気投票の結果もまたそうとうに異なったものではある。20位以内にランクインできなかった作品の中には筆者が個人的には高く、または相応に評価もしてきた作品も含まれていたかもしれない。そして、そこに対して残念には思ったものの、卑屈に思ったり憤(いきどお)ったりするような小物チックな言動をするつもりもまたないのだ。


 それはさておき、ニュージェネレーションウルトラマンシリーズの『ギンガ』『ギンガS』『R/B』『タイガ』といった作品が20位以内には入れなかった理由もまたさまざまではあったのだろう。しかし、各作品のファンはそれについても卑屈に思う必要はないだろう。


 不当である! この作品にはこういった良い要素もある! と思うのであれば、各人がそれを堂々と論理的に明るくカラッと主張していけばよいだけのことなのだから!(笑)


 『ウルトラセブン』が第1位にはならなかったり、かつて長きにわたって酷評されてきたハズの第2期ウルトラシリーズウルトラマンたちが平成ウルトラ3部作の『ダイナ』や『ガイア』に劣ることなく10位前後に並んでいたり、ニュージェネレーションウルトラマンが早くも上位にランクインしていたりもした今回の投票結果。
 それは、古典も新作も、シリアス系もコミカル系も、ハード系もマイルド系も、それらすべてが肯定されて併存がなされている点で、ウルトラマンの人気や作品評価をめぐる状況が、21世紀の今となっては実に理想的な状態となっていることの証しなのではなかろうか!?


 70年代末期~2000年代の半ばに同様の投票が行われていたのならば、本論の冒頭で論述してきたとおりで、第1期ウルトラ作品だけが最高で、第2期ウルトラ作品は酷評されて終わっていたであろうから(汗)。


 この結果を1回こっきりの特番企画に寄せられた声として終わらせてしまうのではなく、今後の「新しいウルトラマン」が目指すべき指針・方向性として的確に読み込んで、そしてそれを最大限にいかしてみせることこそが、ウルトラマンシリーズの人気を拡充させることに寄与するだろう。

2022.10.28.
2022.12.24.改稿


(了)
(初出・当該ブログ記事)


[関連記事]

特撮評論同人界での第2期ウルトラ再評価の歴史概観

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20031217/p1


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katoku99.hatenablog.com

ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』(08年)#1「レイオニクスハンター」

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ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』(07年)#1「怪獣無法惑星」

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ウルトラマンメビウス』(06年)#1「運命の出逢い」 ~感激!感涙!大傑作!

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ウルトラマンマックス』(05年)#1「ウルトラマンマックス誕生!」 ~序盤評・原点回帰は起死回生となったか!?

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ウルトラマンネクサス』(04年)#1「Episode.01夜襲 -ナイトレイド-」 ~ハイソな作りだが、幼児にはドーなのか!?

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ウルトラマンネオス』(00年)#1「ネオス誕生」

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ウルトラマンダイナ』(97年)#1「新たなる光(前編)」~#11「幻の遊星」

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ウルトラマンティガ』(96年)#1「光を継ぐもの」~#15「幻の疾走」

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ウルトラマン80(エイティ)』(80年)#1「ウルトラマン先生」 ~矢的猛先生!

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『ザ☆ウルトラマン』(79年)#1「新しいヒーローの誕生!!」 ~今観ると傑作の1話だ!? 人物・設定紹介・怪獣バトルも絶妙!

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ウルトラマンタロウ』(73年)#1「ウルトラの母は太陽のように」 ~人物像・超獣より強い大怪獣・母・入隊・ヒロイン・5兄弟の正統タロウ誕生を漏れなく描いた第1話!

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ウルトラマンエース』(72年)#1「輝け! ウルトラ五兄弟」 ~超獣・破壊・防衛組織結成・先輩&新ヒーロー登場を豪華に描く!

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