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ウルトラマンR/B序盤総括 〜ユルい作風。その玩具性・名乗りの是非。ウルトラ史上最強の空中戦特撮!

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ウルトラマンルーブ』序盤総括 〜ユルい作風。その玩具性・名乗りの是非。ウルトラ史上最強の空中戦特撮!

(文・T.SATO)
(2018年8月10日脱稿)


 今年2018年度の『ウルトラマンR/B(ルーブ)』は、シリーズ中盤からの増員やライバル・悪役ポジションとしてではなく、最初からほぼ対等・拮抗した正義のコンビのダブル・ウルトラマン体制となった。
 加えて、カードやカプセルならぬ、今度のコレクション・アイテムはメダルである!――劇中ではクリスタルと呼称―― 漢字の「火」をかたどったウルトラマンタロウのメダルを変身アイテムに装着するや、頭頂部が上に向かって末広がりの「W」字型となる2本ヅノの赤いウルトラマン・ロッソへと変身! 片や漢字の「水」をかたどったウルトラマンギンガのメダルを装着するや、垂直1本ヅノの青いウルトラマン・ブルへと変身!


 彼らのツノには炎が燃え盛っているような模様も付けることで、そのツノを色彩的にも少々強調するようなアクセントも加えられている。
 頭部の違いで両者の違いを強調したのでやや頭部が大ブリになったことを目立たなくするためか、胸筋や背面の肩甲骨の部分には赤銅や青銅のメタリックな硬質パーツをまとってもいる。両肩の腕側にも銀色の硬質な肩パットをまとうことで上半身にたくましい厚み&肩幅を少々増やして、一昨年の『ウルトラマンオーブ』(16年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170415/p1)同様、腹部から下の下半身は膨張色ではなくシルバー&黒のカラーリングとして色彩的に締まった印象も与えることで、バランスも取っている。


 この赤と青は基本的には固定なのかと思いきや、メダルを交換して変身することで、赤い2本ヅノ・ロッソは青色に、青い1本ヅノ・ブルも赤色にカラーチェンジできることで少々ヤヤこしい(笑)。だからこそ、区別を付けやすくするためにも、2本ヅノ&1本ヅノのコンビにしてみせたといったところなのだろうが。
 #5では新たな漢字の「風」をかたどったウルトラマンティガのメダルで紫色のウルトラマンにも変身! なんだか漢字の文字がそのままモチーフにもなるなんて、『侍(さむらい)戦隊シンケンジャー』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090712/p1)を想起させるけど。


 本作『R/B』におけるウルトラマンのタイプチェンジは、古代ギリシャで唱えられていた物質の根源であるエレメント(四元素)、「火」「水」「風」「土」がモチーフとなっている。物質の元素(原子)は90種類以上もあって、「火」や「水」や「風」は根源単位じゃないよ! それらは「水素」や「酸素」やらが化合したモノだよ! と判明して久しい現在では、SFというよりオカルト的なインチキ設定なのだが、細かいことは気にするナ。未来世界の大宇宙に20世紀の軍艦や機関車が飛ぶような古式ゆかしい風情があるじゃないか!?(笑)
 この調子で色違いのウルトラマンに再変身することで商品数を増やしたり、この地上・物質世界ではなく宇宙・天上界・高次元世界を組成する元素であるフィフス・エレメント(第5の元素)の強化形態ウルトラマンが出てきたり、最終的にはふたりがウルトラタッチ(笑)で合体変身してひとりとなったかたちの最強形態ウルトラマンなども登場するのであろうけど――ネット上にはすでに玩具業界情報バレで、3本ヅノの全身銀ピカのウルトラマンがリークされてますネ(汗)。


「まとうは火!」「まとうは水!」 〜ヒーローの唐突な名乗りをドー考えるか!?


 変身シーンは、メダルをバックルにハメたあとで、往年の野球マンガ巨人の星』(66年・68年にTVアニメ化)の大リーグボール養成ギブスか、胸筋&腕を鍛えるエキスパンダーがごとく、左右両方から3回連続して引っ張ることで変身できる、玩具のプレイバリュー性をも強調して見せるモノともなっている。


 そして、2010年代の平成ライダー同様に、あるいは少年マンガ的に歌舞伎的様式美を優先して、毎回のお決まりの啖呵(たんか)には、


「まとうは火! 紅蓮(ぐれん)の炎!!」
「まとうは水! 紺碧(こんぺき)の海!!」


などの文語的・劇画的な仰々しいセリフを吐かせてもいる。


 一部の世評を見るに、ナゼにそのようなセリフを天然で吐けるのかを疑問視する声もいまだにあるようだ。


 たしかに純然たる物理的・科学的・唯物論的なテクノロジーによって誕生した、70〜80年代中盤までの改造人間・強化服タイプの特撮ヒーローならばオカしい。しかし、コレもまた剣と魔法の西欧中世風ファンタジーが勃興した80年代後半以降、神秘・魔術・大自然の精霊・神的パワーに根拠を持つ超自然的なヒーローや合体巨大ロボット(笑)が勃興した以降の、SF考証ならぬオカルト考証(笑)的なロジックを用いてみせれば説明は付くであろう。


 神のごとき知性や意思を持つ、高次で神秘のパワーが初登場のヒーローたちをして、


「俺は太陽の子! この世のすべて、生きる者すべてを守る! 仮面ライダーBLACK! RX!!」(88年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001016/p1
「大地の使者! (絶対無敵)ライジンオー!!」(91年)


などのセリフを吐かせしめて――「大地」の精霊がナゼに「機械」の合体ロボットを生み出したのか? というようなツッコミはさておいて(笑)――、それまで知りもせず練習したこともなかった必殺ワザも「本能」的に繰り出させているのだ! という解釈ができるのだ。


 そしてそれにより、ある意味では「ヒーロー」の「本質」そのモノだともいえる、非・常識的な「圧倒性」・「超越性」・「善性」・「神聖性」・「正統性」のような抽象的・理念的・シンボリックなモノまでをも純化して抽出ができたり、その正反対のモノである「邪悪」・「卑劣」・「野望」などのマイナスのエレメント(要素)を敵側に付与することで、単なる出自設定をも超えて作品自体に「道徳的」なテーマ性までをも付与ができるのだ。
 1990年前後にもまた、そのようなことを可能にする設定的な「発明」、ジャンル全体に何度目だかの「エポックメイキング」や「パラダイム・シフト」があったのだと個人的には観ているのだが、本作『R/B』や00年代後半以降の平成ライダーシリーズにおける変身時や変身直後の「名乗り」もまた、そのようなモノの延長線上のモノとして筆者は捉えたい。


 一方で、そのようなことを「リアリズム」の観点から、70年代末期~00年前後にかけては過剰に批判したのは、イイ歳こいてこのテの子供向け番組を鑑賞している自己を正当化するために、そしてそのジャンルの市民権を得るための理論武装として、作品に過剰に「リアリティー」や「社会派テーマ」を求めた、第1〜第2世代オタクに特有な、かつマニア論壇・草創期の中2病的な時代の産物だったかとも私見をするのだ。


 とはいえ、そのように「リアリズム」の観点から見て、「弱点」や「矛盾」と思われる箇所に、幼児はともかくジャンル番組卒業期の子供たちまでもが幻滅してしまい、その卒業を早めてしまうようであれば、それはやはり見逃せにできない欠点ではあるだろう。よって、そのへんに対する自己言及やエクスキューズに設定的な補強を、劇中でも施(ほどこ)すこと自体はむしろ積極的に許容されてしかるべきであるとも考える。小池都知事も昨2017年に云っていた正・反・合のアウフヘーベン弁証法的発展)というヤツである(笑)。


 実際このへんには、ジャンル作品でもすでに手当てが行なわれていて久しい。女児向けアニメ『プリキュア』シリーズ(04年〜・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201227/p1)の#1などを鑑賞していると数作に1回程度は、初変身直後に自分のヒロイン名をナチュラルに堂々と名乗ったり必殺ワザ名を叫んだりしたあとで、「アレ? なんでアタシ、こんなことしゃべってるんだろう?」的なセリフを吐かせていたりもする――もちろんコレは神秘のパワーが本能的にプリキュアたちに云わせているのだ! ということの逆説的な設定説明でもある――。
 こーいう描写でナットクを与えられることで、卒業を回避してマニア予備軍になってくれるガキもいることであろうから(笑)、必要悪として矛盾をスルーするのではなく、そーいう言い訳まがいなセリフも適度に散りばめておいてから安心して全力でヒロイックなアクションに走っていく方が、「リアリズム」&「歌舞伎的様式美」の両立(!)としてもクレバーだとは思うのだ。


 まぁムズカしいことはともかくとしても、初期にはアレほどリアル指向であった平成ライダーシリーズも、『仮面ライダーカブト』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070211/p1)や『仮面ライダー電王』(07年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080217/p1)あたりから、子供やマニアたちに「待ってました!」「そー来なくっちゃ!」的なお約束反復ネタで、カッコいいけど半分笑っちゃう、みんなでマネして半笑いをしてみせるコミュニケーション・ツールとしての「名乗り」や「決めゼリフ」などの燃料も投下されるようにもなっている。もはや大方のマニアたちもみんながスレていて「それはオカシい! リアルじゃない!」なぞと糾弾することもなくなって、あからさまな矛盾は論外にしても少々オカしい程度であればご愛嬌的に楽しんで、絶叫上映会などでは積極的に反復唱和までをもしてみせる! などという共犯関係になってからでも久しい(笑)。


主人公のホームベースは欠損家庭! 〜1970年代前半の特撮作品では欠損家庭がしきりに描かれたのはナゼなのか?


 本作のふたりのウルトラマンは、リサイクルショップ(?)を経営している家族と同居している青年の年齢に達している兄弟として設定されている。ここに元気で可憐な女子高生の妹と頼りないパパさんを設定することで、人間ドラマ部分の背景舞台も集約化。ホームドラマとしてのテイストも本作には付与するようである。
 パパさんを演じる山崎銀之丞は、我々ロートル世代には『3年B組金八先生』第5シリーズ(99年)以降の熱血空回り教師役として知られてもおり、前年度の『宇宙戦隊キュウレンジャー』(17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180310/p1)終盤では主人公・シシレッドの生き別れの父親にして異星の王さまとしても好演したばかりだが、やはりその特撮体験あっての抜擢なのであろう。


 とはいえ、彼らの母親は15年も前に突如として失踪してしまったのだという設定も与えてられおり、ノーテンキなばかりではなくややドラマチックな要素も付与してはいる。
 レギュラーやゲストに欠損家庭を設定すると聞くと、ロートル世代的には70年代前半の第2期ウルトラシリーズや、同時代の子供向けTVアニメ・児童向けTVドラマ・学年誌などの「家なき子」や「母をたずねて三千里」パターンの読みもの連載なども連想してしまう。明朗な1960年代ともやさしさ&落ち着きがある1970年代後半ともまた異なる、やや陰があったり荒々しさがあったりするドラマやテーマを持った作品群が、1970年代前半のアニメ・特撮・時代劇では隆盛を極めていたのは、後知恵(あとぢえ)で思うに、何かそのような時代の空気の反映もあったのだろうと思われる。


――70年安保などに連動した学生運動・学園紛争の終焉。日本のTVアニメ・TV特撮が草創期を過ぎたことで、スタッフたちも習熟の果てに自身たちが作っている作品における「ドラマ性」や「テーマ性」を一歩先に進めてみたかった。もっと云うならば「作家性」といったものも押し出してみたかった。あるいは、日本は60年代に高度経済成長をいったんは遂げていたので、それと比すれば70年代は相対的には裕福になっていた。とはいえ80年代以降と比すれば、まだまだ良くも悪くもミーイズムが弱く離婚率も低くて終身雇用で、実際には当時は欠損家庭は少なかったハズなのに、戦中派の作り手たちは終戦直後の焼跡闇市における両親や片親のいない戦災孤児や浮浪児たちの存在を目撃や仄聞してきた世代であったので、彼らは自身たちの責務として、何よりもその実存的・文学的・内的必然として、子供向け作品群にその残滓をぜひとも焼き付けておきたかったのだ…… などなどの諸々の総合として――


欠損家庭を高いドラマ性をもって描くのならば、活劇性も増量すべきであった70年代第2期ウルトラシリーズ


 とはいえ、アニメと実写の媒体の違いゆえでもあろうけど、実写ドラマで欠損家庭の物語を描いていた第2期ウルトラシリーズなどは、そのドラマ性の高さを後年に認めるにやぶさかではないけれど、子供時代にはその作風がやや重たくシミったれて感じられて気恥ずかしかったことも事実なのであり(汗)、それゆえにドラマ性はカナリ抑えてゲーム的な攻防劇に徹したことで大ヒットを記録した、同時期の昭和の『仮面ライダー』シリーズと『マジンガーZ』シリーズの後塵を拝していた面も否めない。
 コレは何も二者択一で、一方を全肯定して他方を全否定しようというのではない。しかし、もう少し巧妙に、往時も小学館学年誌などで連載されていた第2期ウルトラシリーズのコミカライズ作品群のごとく、月1くらいでカラッとしたイベント編・攻防編・先輩ウルトラ兄弟客演編を配置して、子供たちのプリミティブ(原始的)な暴力衝動やヒロイズムを刺激・発散させつつ、残りの話数でニガ味の残る欠損家庭の子供たちの人間ドラマを描くような心情ドラマを配置する、というような巧妙なシリーズ構成を達成ができてさえいれば……。


ウルトラマンレオのピンチに、直前作のウルトラマンタロウや、変身不能になっていたモロボシ・ダン隊長がウルトラの父の力で一時的にウルトラセブンに変身して助けたり!
・アンチラ星人が化けていたニセ郷秀樹の前にホンモノの郷秀樹が出現、ウルトラマンジャックに変身してウルトラマンエースと共闘したり!
ウルトラ兄弟の長男・ゾフィー兄さんやウルトラセブンが宇宙から湖水を蒸発させたり、宇宙で怪獣を元の動物に戻したり、臨死体験時に励ましに登場(笑)するだけでなく、その回では地球でエースと共闘したり!
・ラスボス級キャラの異次元超人・巨大ヤプール登場回では、ヒーローひとりでは倒せないほどの強敵として描くためにも、エースを異次元に召喚してくれたゾフィー兄さんもそのまま共闘してくれたり!
・ウルトラ5兄弟をブロンズ像化して全滅させたほどのヒッポリト星人であるならば、復活したエースのいつものメタリウム光線一発で倒せてしまったら凡敵に見えてしまうので、かつて強敵・異次元超人エースキラーを撃破した、ウルトラ5兄弟全員のエネルギーを結集した超必殺ワザ・スペースQを再使用して倒したり!
・各作品の最終回は、昭和の『仮面ライダー』各作の終盤がごとく前後編や3部作で、世界規模での再生怪獣軍団vsウルトラ兄弟の総力戦を描いてくれたならば!!


 このようにスケール雄大で殺陣(たて)=アクション面でも先輩ヒーローがカッコよく見えるように特撮怪獣バトルを演出面でも気を使っていれば、娯楽活劇作品としてのカタルシス面でも人間ドラマとしての味わいの面でもバランスが取れてきて、第2期ウルトラシリーズも当時のTV特撮の中では昭和の第1期『仮面ライダー』と比すれば№2、『マジンガーZ』を含むTVアニメなども含めれば、子供番組全般の中では№3の上位メジャーの域にはあったけど、それら2トップの人気にさらに肉薄・拮抗することができたようにも思えるのだ。


 もっと云うなら、「禍福(善悪)はあざなえる縄のごとし」「人間万事塞翁が馬(じんかん・ばんじ・さいおうがうま)」で、そのようなヒロイズムの高揚・カタルシス・爽快感の記憶をヨスガに、世代人のオタクたちに長じてからの追体験・再鑑賞意欲を惹起して、レンタルビデオなどについつい手を伸ばして再鑑賞をさせてしまうことで、「意外にも第2期ウルトラにも人間ドラマがある!」「いや、第2期ウルトラにこそ、過剰なまでに濃厚な人間ドラマがあったのだ!」などという、それはそれで「ドラマ性」や「テーマ性」至上主義を解毒して「エンタメ性」や「アクションのカタルシス」を賞揚する運動とはやや矛盾も発生してしまうけれども(笑)、そのような「再発見」に関与する特撮マニアの動員規模も大なるモノとなることで、70年代末期~00年前後に長らく隆盛を極めていたマニア第1世代による第2期ウルトラ酷評をくつがえすだけの再評価の波も、もっと早くに進んだかもしれないとも思うので……。


重苦しすぎるドラマが子供や視聴者を遠ざけるならば、コミカル演出や演技にも一理あり!


 そのような反省があったということでもないのだろうし、80年代以降、あるいは往年の『宇宙刑事ギャバン』(82年)に登場した民間人側のレギュラー、『3年B組金八先生』(79年)シリーズの大森巡査役でも知られる鈴木正幸が演じる、UFO専門のルポライター・大山小次郎のやたらと明るくテンションが高い演技(笑)なども発端とするのであろうけど、その成れの果て(?)としての本作『ウルトラマンR/B』でも、近年の平成ライダースーパー戦隊などとも同様に、人間ドラマ部分の演技プランは喜劇的なトーンで統一されている。


 たしかに、クールで乾いたSFドラマ性ともまた異なる、第2期ウルトラシリーズ特有の重たくシメっぽい人間ドラマが「イヤ〜ンなニガ味」や「気恥ずかしさ」を与えて、子供たちを引かせてしまう事実もあったのだ。そして他方では、「ミガ味」とは真逆なモノになるけれども、『帰ってきたウルトラマン』(71年)の怠け怪獣ヤメタランス編や『ウルトラマンタロウ』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)のギャグ怪獣回でのハイテンションなコミカル演技を、「SF的ワクワク感」を毀損する子供をバカにしたモノとして受け取るような子供番組卒業期の小賢しいマニア予備軍の筆者(笑)、もとい子供たちの感性もたしかにかつて存在したのも厳然たる事実ではあるのだ。


 このへんの問題は固定的・絶対的な正解があるモノではないのだろう。ある「一定の幅」の中での「ヘビーな作風」〜「ライトな作風」は、実はすべて子供向け番組・特撮変身ヒーロー番組においてはグラデーションとして子供たちもOKだと受け取っているようにも、現在の筆者は個人的には考えている。
 しかし、それは「ナンでもアリ」という意味でもない。やはり、過ぎたるは及ばざるがごとしである。「あまりにヘビーな作風」および「あまりにライトな作風」。つまりは、先の「一定の幅」の「右」や「左」にハミ出しすぎた極端なモノは、やはり両方ともに子供たちにとっても――実はそれは特撮マニアや一般大衆たちにとっても――アウトになるのであろう。もちろん、そこに個人の好みやキャパシティー・守備範囲のちがいまで加わっていくことで、さらにヤヤこしくなっていくのだが(汗)。


 その前提の上で云うのだが、筆者個人は90年代以降、あるいは21世紀以降の子供向け番組の作り方としては、70年代前半の第2期ウルトラ的な重たい児童向けドラマのトーンではなく、コメディ的なトーンでディレクションしていった方がベターであろうと考えている。
――まぁ今だからこそ、そのようにも思うけど、ごくごく個人的な感慨を云わせてもらえば、『宇宙刑事ギャバン』における大山小次郎こと鈴木正幸のハイテンションなコミカル演技などは、それが狂騒・狂躁的な80年代の到来とシットリとして優しかった70年代への決別のようにも思えて、筆者個人はイヤでイヤでたまらなかったモノだけど(笑)。加えて云うなら、幼少時はともかく思春期以降の再視聴では、第2期ウルトラシリーズにおける「ニガ味」もある児童ドラマ群のことが筆者も大スキである。しかし、アレらをそのまま80年代以降の特撮作品群に導入しても子供たちやマニア・大衆たちにもドン引きされるであろうから、うまくマイルドに寸止めして視聴者たちに伝達するような手法がナイものなのかを漫然と考えつづけてもいるのである――


 とはいえ、『母をたずねて三千里』的な要素は、本作『R/B』という作品が過剰にシメっぽくはならないようにするためにか「点描」にも近いけれども、本作にかぎらず『特命戦隊ゴーバスターズ』(12年)や『ウルトラマンX(エックス)』(15年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200405/p1)などにも「親探し」の要素が導入されたジャンル作品は、近年になってからだが散見はされるようにもなっている。80年代〜90年代初頭のバブル期のように、ダウナーな要素が過剰に忌避されるネアカ至上で狂躁的な時代もまた終わって久しいようではあるので、個人的には実に好ましい方向性での時代の変化ではあるのだ(笑)。


兄弟主人公を共に「熱血」として描く試みは、成功か!? 失敗か!? それとも一長一短か!?


 主人公である青年兄弟ふたりについても、もう少しふれてみたい。フツーはコンビ・バディー(相棒)ものだと、ふたりの差別化・描き分けのために、日本の往年の変身ヒーローものでも、古くは『超人バロム・1(ワン)』(72年)、あるいはそれを模したとおぼしき新しめのところでも『仮面ライダーW(ダブル)』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100809/p1)、女児向けTVアニメ『ふたりはプリキュア』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20040406/p1)などのように、「熱血漢」と「沈着冷静」の2者コンビとしての性格設定を与えるものである。それはそれで間違っているとは思わない。しかし、このキャラクターシフトは、前者の猪突猛進が物語を引っ張って戦闘においても先陣を切る行動隊長の役回りとなるために、後者がやや分が悪く見えるのも事実なのである。
――21世紀以降の子供向けならぬ思春期・青年期以降向けのジャンル作品だと、熱血漢よりもクールな軍師・策士タイプである頭脳派のキャラクターの方をカッコよく描いていく『デスノート』(03年)・『コードギアス 反逆のルルーシュ』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20081005/p1)・『アルドノア・ゼロ』(14年)のような作品も登場してはいるけれど――


 本作についても、青い私服を着ている「弟」が頭脳派だという設定をドコかで読んだので、そのテの陥穽にハマった作品でもあるか? などと思いつつ、フタを開けてみたのだが……。パソコンを操って分析担当! みたいなこともしてはいるけど、しょせんはその程度であって(笑)、あとは兄に負けじ劣らじフツーに熱血青年でもあったことよ(笑)――いかにも「弟」的な「甘ったるさ」はアリつつも――。
 コレならば、「兄」の方が強くて颯爽としてカッコがよくって、「弟」の方が地味で少々弱いから子供人気の面では劣る…… なぞという事態には陥りにくそうではある。ソコまで先回りして計算した上でのこのキャラクターシフトであったかは怪しいけれども(笑)、結果オーライというべきであろう。


 もちろん何事も一長一短ではあるので、ふたりの性格的・思想的な描き分けという面ではたしかに少々弱くはなってくる。しかし、頭脳派の「弟」がサブ扱いとして少々ワリを喰ってしまう「デメリット」と、「弟」も熱血漢でありつつも「兄」とほぼ対等どころか「頭脳派」の長所も付与されることで「兄」とも拮抗すらする「メリット」が与えられたことを、総合的に比較考量すれば、本作における「弟」も「兄」同様の「熱血」として描くという手法はたしかに成功したようにも思えるのだ。


怪獣紳士録 〜乙一&田口清隆再登板! 鳥型怪獣とのウルトラ史上最強の空中戦特撮!


 毎回登場するゲスト怪獣は、2010年代の低予算ウルトラシリーズの通例に則(のっと)って、#1は新作ソフビ怪獣人形とも連動した新造着ぐるみ怪獣で、黒と溶けた鉄のような赤が印象的な蛇腹のグルジオボーンが登場。ボーンというからには骨がモチーフである怪獣である(笑)。
 #2以降はやはり2010年代恒例である既存の着ぐるみ怪獣の使い回しとなり、3年前のウルトラマンエックスとも戦ったブラックキングが#2に、同じくエックスと戦ったガーゴルゴンが#3に、歴代ウルトラマンとも戦ってきた人気怪獣レッドキングが#4に登場して活躍している。


 2010年代のウルトラシリーズも観続けている特撮マニアであれば特筆すべきなのが、#5に登場した鳥型怪獣グエバッサーであろう。
 前々作『ウルトラマンオーブ』における敵の怪獣種族=「魔王獣」のうちの1体・マガバッサーの色の塗り替えにすぎないのだけれども、禍々(まがまが)しいダークな青と黒の色彩を白に塗り替えるや、あら不思議。フォルムは同じなのに随分と優美に見えてくる。ぜひとも『ウルトラ怪獣擬人化計画』で華麗に女体化してほしいモノである(すでにしている?)。


 そのマガバッサーならぬグエバッサーが登場した#5では、脚本に前作『ウルトラマンジード』(17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170819/p1)でメインライターを務めた作家の乙一(おついち)こと安達寛高が再登板! いやぁ本業がある御仁だから、『ジード』1作こっきりの登板かと思っていたので、またプロデューサー氏がお声掛けをして、さらに氏がそれに応えて執筆してくれるというのが実に意外。
 お話の方はメインライターが設定紹介編をやるならば、サブやゲストのライターは設定の補強や傍流の肉付け、ゲストを主体にするなどのパターンのものに仕上がってもいる。「弟」の方の人物像を肉付けするために、彼の大学生活で知り合った、キャンパスでも翼型パーツを付けて鳥人間コンテストのように空を長時間にわたって飛ぼうとして失敗しつづけてもいる、男に媚び媚びとしたイロ目を使いそうにはない、いかにもマジメそうな小柄で黒髪ショートの健気そうな、美人というより可愛い系寄りの理系女(リケジョ)とカラませる。
 まだシリーズ序盤なので、このテのシットリとしたドラマ編はもう少しあとの回にまわした方がイイようにも思ったけれども、単独作品としての評価は高得点を与えてもよいくらいの面白さであったとは私見する。


 彼女が在籍する大学の雑然とした研究室には、19世紀の先人・リリエンタールが作ったようなハングライダーの巨大骨格模型が吊されているのをはじめ、様々な小物で飾られており、実にそれらしい映像的説得力まで醸されて、本編美術班のがんばりにも驚かされる。恒久的なスタジオセットも用意されず、屋内部分は東京郊外・多摩地方の廃校の小学校しか登場しなかった、2010年代ウルトラシリーズの1発目『ウルトラマンギンガ』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200819/p1)のころと比すればエラい予算のアップである(笑)。
――もちろんリアルに考えれば、彼女のあの装備では空気力学的にも空を飛べることはナイのだけど、そこはサブタイトルでも謳われるギリシャ神話のイカロスと掛ければ、役者さんが自力で力強く羽ばたいてもみせるあの姿に、彼女のがんばり&シンボリックなロマンも込められようというモノだ――


 こーいう人間ドラマ主導の回だと、特撮シーンは惰性の段取りになりがちである。もちろん#1や最終回にイベント編ではない通常回では、そのようなお約束のルーティン段取りに留まった特撮怪獣バトル回があってもイイのだけれども……。
 しかし、そこは特撮自主映画監督上がりで、本話の本編演出のみならず特撮演出も担当している田口清隆! 先にゲットした「風」のメダルの力でウルトラマンがはじめてカラーチェンジして初活躍する回でもあるからだろう、特撮部分も実に力が入っている!


 手前に「妹」とゲストのリケジョが小さくたたずむ引きの実景(コレも特撮セット?)の小高い芝生の斜面越しの奥に、特撮セット内にも用意した、またまた緑の斜面越しにいる鳥型怪獣を合成してみせる。それがフィックス・固定したアングルでの合成ならば特にドーということもナイけれども、カメラがヨコ(円周?)移動をはじめても、実景(?)+特撮セットのヨコ移動合成もズレたりせずにナチュラルに維持されつづけていくという、遠景・奥の方はいつものスタジオ内の特撮ミニチュアセットであることはバレバレでも、それでも映像的なサプライズやカッコよさを視聴者に感じさせてもくる特撮演出の妙!!


 強風が吹きすさぶ曇天下、「弟」が変身して青い姿のウルトラマンブルに変身するや、そのまま横を通り過ぎていくウルトラマンをカメラの首振りで追っかけるのかと思いきや、地面に沿って全身を水平にピンと伸ばして超低空飛行を開始したウルトラマンの背中や後頭部を、遠近感豊かにカメラは付かず離れずで大追跡!!
 さらにはカットを割らずにそのままウルトラマンの主観視線の映像(!)となって、空中に浮遊する鳥型怪獣グエバッサーに猛迫して、ウルトラマンの右手や左手だけが写っている図でパンチやチョップを繰り出してみせるという絵が!!


 またまたカットを割らずに、空中で組み合って戦いつづけているウルトラマンとグエバッサーの頭部やバストショットを捉えた巨大感あふれるドUP映像のままで、彼らの周囲を高速で360度グルグルと回り続けるカットまで!!
 グエバッサーが超高速で逃げ出して、その姿がケシ粒のように瞬時に小さくなっても、すぐに追いかけて追いつくウルトラマン!!


 実際にはカットも割ってCGなどでシーンがつながっているかのように加工しているとは思うけど(?)、いずれにしても、こんなにもカッコがよくってスピーディーで、なおかつ力強くて迫力もある空中戦の特撮演出なぞは観たことがナイ! 歴代ウルトラシリーズ史上、最強の特撮空中戦が誕生したかもしれないのだ!?


怪獣を召喚するアイゼンテック社長が、ウルトラマンオーブハモニカ曲を口笛で披露!?


 本作は『ウルトラマンギンガ』や『仮面ライダーW』などとも同様、一地方都市を舞台としている――その地名がベタにも、綾香市(あやかし。旧名は妖奇村(あやかむら)・笑)。怪獣の「怪」の読みでもあると思えば、ベタでも由緒は正しいのだ!――。そして、企業城下町でもあるというあたりで、『仮面ライダー鎧武/ガイム』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20140303/p1)も想起する。
 その城下町を牛耳っているワケでもないけれども、町を富み栄えさせているのは、ハイテク大企業「アイゼンテック」!(旧名は町工場の愛染鉄工・笑)


 実は往時のサウジアラビアで大人気であったという円谷プロ製作の、本編人間ドラマ部分はセル画アニメで描いた男女合体変身の特撮ヒーロー『恐竜大戦争アイゼンボーグ』(77年)が、オイルマネーで昨2017年末に当時の声優さんまで起用して新作映像が製作されたことにあやかったネーミングでもあろうか?(笑)


 両手の指でハートマークをかたどってみせたりする――プリキュアの名乗りポーズか!?(笑)――この企業の社長さん。彼がやたらとハイテンションでガナっているような演技を披露するところで、『仮面ライダー000/オーズ』(10年)の宇梶剛士が演じた鴻上(こうがみ)財団会長をも想起させるけど、白いスーツをまとった長身のアイゼンテック社長・愛染マコトのお芝居がかった大仰で軽妙なコミカル演技にはついつい笑ってしまうのだ――先にもふれた「ヘビー」&「ライト」と「個人の好み」の問題にも抵触するので、戯画(ぎが)的なお芝居が不愉快な方々にはホントに申し訳がないのだけれども(汗)――。


 彼は初老の域には達してはいないけど、壮年のオッサンにすぎるので、若者ヒーローと拮抗する悪党には当初、見えなかったモノなのだが……。


 ナンと彼は「怪獣メダル」を所有しており、ヒーロー側と同じかたちの変身アイテムを、テンション高く「アン・ドゥ・トロワ~~」を3回連呼しながらエキスパンドもして(笑)、怪獣を召喚していたことが判明!


 #5のラストでは、一昨年度の『ウルトラマンオーブ』の風来坊主人公のトレードマークでもある黒い革ジャンをキツそう(爆)に羽織りつつ、やはり風来坊のトレードマークであったハーモニカ曲までをも口笛にて披露! ウルトラマンオーブのメダルもナデている姿で俄然、作品世界に対する興味・関心も惹起されてきた!


 正直、イイ意味でユルめな作風の2010年代のウルトラシリーズの中でも、本作は格段に輪をかけてユルい牧歌的な香りが序盤では漂っていた。しかし、やはりこのテのヒーローものは基本は戦闘モノなのだから、もう少しアグレッシブ(攻撃的・戦闘的)な要素や、タテ糸の要素を想起させるライバル的なキャラとの攻防要素、ひたすら並クラスの怪獣とのルーティンバトルではなく中ボスやラスボス怪獣なども適宜(てきぎ)登場させる起伏も付けてほしいよなぁとも正直思っていたので、この趣向には大賛成である。コレからも本作を注視していきたい気持ちにさせられた。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2019年準備号』(18年8月11日発行)所収『ウルトラマンR/B』序盤合評7より抜粋)


『假面特攻隊2019年準備号』「ウルトラマンR/B」関係記事の縮小コピー収録一覧
・各話視聴率:関東・中部・関西。各クール平均・全話平均視聴率
・スポーツ報知 2018年4月25日(水) 7・7から「ウルトラマンR/B」 シリーズ初!!兄弟で変身 円谷プロ勝訴 ウルトラマン著作物 海外利用権巡り訴訟
産経新聞 2018年7月1日(日) 週刊番組ガイド 家族の絆描くウルトラマン 小池亮介 平田雄也 (役者表記の順は写真の左右並びに準じたもの)
西日本新聞 2018年7月16日(月) 次の連載随筆 かいじゅうタイムズ 小説家 乙一さん 23日から ――筆者の言葉――
西日本新聞 2018年7月24日(火) かいじゅうタイムズ2 ウルトラマンジードの話
西日本新聞 2018年7月31日(火) かいじゅうタイムズ7 Tシャツの話 (『R/B』#5の裏話)
・デーリー東北 2018年7月24日(火) 爆笑問題がウルフェスPR セブンが小声で暑いと漏らす?


ウルトラマンR/B』各話平均視聴率:関東1.4%(#1〜4)・中部1.5%(#1のみ)・関西0.9%(#1のみ)
おはスタ』2018年7月6日(金)「ウルトラマンR/B登場」視聴率:関東0.6%・中部0.6%・関西0.2%
ウルトラマンオーブ THE CHRONICLE』全26話平均視聴率:関東1.2%・中部0.9%・関西0.8%


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ウルトラマンダイナ』(97年)#1「新たなる光(前編)」

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ウルトラマンティガ』(96年)#1「光を継ぐもの」

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ウルトラマン80(エイティ)』(80年)#1「ウルトラマン先生」 ~矢的猛先生!

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『ザ☆ウルトラマン』(79年)#1「新しいヒーローの誕生!!」

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ウルトラマンタロウ』(73年)#1「ウルトラの母は太陽のように」

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ウルトラマンエース』(72年)#1「輝け! ウルトラ五兄弟」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060514/p1



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