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ウルトラマンR/B序盤総括 〜ユルい作風。その玩具性・名乗りの是非。ウルトラ史上最強の空中戦特撮!

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ウルトラマンルーブ』序盤総括 〜ユルい作風。その玩具性・名乗りの是非。ウルトラ史上最強の空中戦特撮!

(文・T.SATO)
(18年8月10日脱稿)


 今年2018年度の『ウルトラマンR/B(ルーブ)』では、途中からの増員やライバル・悪役ポジションではなく、最初からほぼ対等・拮抗した正義のコンビのダブル・ウルトラマン体制!
 加えて、カードやカプセルならぬ、今度はメダル!――劇中ではクリスタルと呼称―― 漢字の「火」をかたどったウルトラマンタロウのメダルを変身アイテムに装着するや、頭頂部が上に向かって末広がりの「W」字型となる2本ヅノの赤いウルトラマン・ロッソに変身! 片や漢字の「水」をかたどったウルトラマンギンガのメダルを装着するや、垂直1本ヅノの青いウルトラマン・ブルに変身!
 彼らのツノには炎が燃え盛っているような模様を付けることで、ツノを色彩的にも少々強調するようなアクセントも加えられている。
 頭部の違いで両者の違いを強調したので、やや頭部が大ブリになったことを目立たなくするためか、胸筋や背面の肩甲骨の部分には赤銅や青銅のメタリックな硬質パーツをまとう。両肩の腕側にも銀色の硬質な肩パット(?)をまとうことで、上半身にたくましい厚み&肩幅を少々増やして、一昨年の『ウルトラマンオーブ』(16年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170415/p1)同様、腹部から下の下半身は、膨張色ではなくシルバー&黒のカラーリングとして色彩的に締まった印象も与えることで、バランスを取っている。


 この赤と青は基本的には固定なのかと思いきや、メダルを交換して変身することで、赤い2本ヅノ・ロッソは青に、青い1本ヅノ・ブルも赤にカラーチェンジできることで少々ヤヤこしい(笑)。だからこそ、区別を付けやすくするためにも、2本ヅノ&1本ヅノのコンビにしてみせたといったところなのだろうが。
 #5では新たな漢字の「風」をかたどったウルトラマンティガのメダルで紫色のウルトラマンにも変身! なんだか漢字の文字がそのままモチーフにもなるなんて、『侍(さむらい)戦隊シンケンジャー』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090712/p1)を想起させるけど。


 今回のウルトラマンのタイプチェンジは、古代ギリシャで唱えられた物質の根源であるエレメント(四元素)、「火」「水」「風」「土」がモチーフというワケだ。物質の元素(原子)は90種以上もあって、「火」や「水」や「風」は根源単位じゃないよ、それらは「水素」や「酸素」やらが化合したモノだよ〜と判明して久しい現在では、SFというよりオカルト的なインチキ設定だが、細かいことは気にするナ。宇宙に機関車が飛ぶような古式ゆかしい風情があるじゃないか!?
 この調子で色違いのウルトラマンに再変身することで商品数を増やしたり、この地上・物質世界ではなく宇宙・天上界・高次元世界を組成する元素であるフィフス・エレメント(第5の元素)の強化形態ウルトラマンが出てきたり、最終的には2人がウルトラタッチ(笑)で合体変身して1人となったかたちの最強形態ウルトラマンなども登場するのであろう――ネット上にはすでに玩具業界情報バレで、3本ヅノの全身銀ピカのウルトラマンがリークされてるネ(汗)。


「まとうは火!」「水!」〜ヒーローの唐突な名乗りをドー考えるか!?


 変身シーンは、メダルをバックル(?)にハメたあとで、大リーグボール養成ギブスか、胸筋&腕を鍛えるエキスパンダーがごとく、左右両方から3回連続して引っ張ることで変身できる、玩具のプレイバリュー性を強調して見せるモノともなっている。
 そして、2010年代の平成ライダー同様、あるいは少年マンガ的に歌舞伎的様式美を優先して、毎回のお決まりの啖呵は、「まとうは火! 紅蓮(ぐれん)の炎!」「まとうは水! 紺碧(こんぺき)の海!」などの文語的・劇画的な仰々しいセリフを吐かせる。
 編集者としての後出しジャンケンの反則だけど、本誌ライター陣の投稿なども見るに、いまだにナゼにそのようなセリフを天然に吐けるのかを疑問視する声もあるようだ。


 たしかに純然たる物理的・科学的・唯物論的な、70〜80年代までの改造人間・強化服タイプの特撮ヒーローならばオカしい。しかし、コレもまた剣と魔法の西欧中世風ファンタジーが勃興した80年代後半以降、神秘・魔術・大自然の精霊・神的パワーに根拠を持つヒーローや合体巨大ロボット(笑)が勃興した以降であれば、説明は付くであろう。
 神のごとき知性や意思を持つ高次で神秘のパワーが、初登場のヒーローたちをして、「俺は太陽の子! この世のすべて、生きる者すべてを守る! 仮面ライダーBLACK! RX!!(88年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001016/p1)」、「大地の使者! (絶対無敵)ライジンオー!!(91年)」などのセリフを吐かせしめて――「大地」の精霊がナゼに「機械」の合体ロボを生み出したのか? というツッコミはさておき(笑)――、それまで知りもせず練習したこともない必殺ワザも、本能的に繰り出させているのだ! という解釈もできようというモノだ。
 そしてそれにより、ある意味ではヒーローの本質そのモノだともいえる、非・常識的な「圧倒性」「超越性」「善性」「神聖性」「正統性」のような、抽象的・シンボリックなモノまでをも純化して抽出ができたり、その正反対のエレメント(要素)を敵側に付与することで、単なる出自設定を超えて作品自体の道徳的テーマにまで昇華できたりもする。
 1990年前後にもまた、そのようなことを可能にする設定的発明、ジャンルに何度目だかのエポックメイキングやパラダイム・シフトがあったのだと私見するが、本作における変身時や変身後の「名乗り」もまた、そのようなモノの延長線上として筆者は捉えるのだ。

 一方で、そのようなことをリアリズムの観点から過剰に気にするのは、イイ歳こいてこのテの子供向け作品を鑑賞している自分を正当化するため、そしてジャンルの市民権を得るための理論武装として、作品に過剰にリアリティーや社会派テーマを求めた、第1〜第2世代オタク特有かつマニア論壇草創期の中2病的な時代の産物だったかとも思われる。
 とはいえ、そのようにリアリズムの観点から見て、弱点や矛盾と思われる箇所に、幼児はともかくジャンル番組卒業期の子供たちまで幻滅してしまい、卒業を早めてしまうようであれば、それはやはり見逃せにできない欠点ではあるのだろう。よって、そのへんに対する自己言及やエクスキューズに設定的な補強を、劇中でも施(ほどこ)すこと自体は許容されてしかるべきである。小池都知事も昨2017年に云っていた正・反・合のアウフヘーベン弁証法的発展)というヤツである。


 実際このへんには、ジャンル作品でもすでに手当てが行なわれていて久しい。女児向けアニメ『プリキュア』シリーズ(04年〜・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20040406/p1)の#1などを鑑賞していると数作に1回程度、変身後に自分のヒロイン名をナチュラルに堂々と名乗ったり、必殺ワザ名を叫んだりしたあとで、「アレ、なんでアタシ、こんなことしゃべってるんだろう?」的なセリフを吐かせていたりする印象がある――もちろんコレは神秘のパワーが本能的にプリキュアたちに云わせているのだ! ということの逆説的な設定説明でもある――。
 こーいう描写でナットクを与えられることで、卒業を回避してマニア予備軍になってくれるガキもいることであろうから(笑)、必要悪として矛盾をスルーするのではなく、そーいう言い訳まがいなセリフも適度に散りばめておいてから、安心して全力でヒロイズムに走る方が、リアリズム&歌舞伎的様式美の両立としてもクレバーだとは思うのだ。


 まぁムズカしいことはともかく、初期にはアレほどリアル指向であった平成ライダーシリーズも、『仮面ライダーカブト』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070211/p1)や『仮面ライダー電王』(07年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080217/p1)あたりから、子供やマニアたちに「待ってました!」「そー来なくっちゃ!」的なお約束反復ネタで、カッコいいけど半分笑っちゃう、みんなでマネして半笑いしてみせるコミュニケーション・ツールとしての「名乗り」や「決めゼリフ」などの燃料を投下していて、もはや大方のマニアもみんなスレていて、あからさまな矛盾は論外にしても、少々オカしい程度であればご愛嬌的に楽しむ、絶叫上映会などでは反復唱和する!(笑) という共犯関係になって久しいとも思う。


主人公のホームベースは欠損家庭!〜往年の特撮作品で欠損家庭が描かれたのはナゼか?


 本作のふたりのウルトラマンは、リサイクルショップ(?)を経営している家族と同居している、青年の兄弟として設定した。ここに元気で可憐な女子高生の妹と、頼りないパパさんを設定することで、人間ドラマ部分の舞台も集約化。ホームドラマとしてのテイストも本作には付与するようだ。
 パパさんを演じる山崎銀之丞は、我々ロートル世代には『3年B組金八先生』第5シリーズ(99年)以降の熱血空回り教師役で知られており、前年度の『宇宙戦隊キュウレンジャー』(17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180310/p1)終盤で主人公・シシレッドの生き別れの父親にして異星の王さまとしても好演したばかりだが、やはりその特撮体験あっての抜擢であろうと推測。
 とはいえ、母親には15年も前に失踪したという設定を与えて、ノーテンキなばかりではなく、ややドラマチックな要素も付与してはいる。レギュラーやゲストに欠損家庭を設定すると聞くと、ロートル世代的には70年代前半の第2期ウルトラシリーズや、同時代の子供向けアニメ・児童向けドラマ・学年誌などの「家なき子」モノなどを連想してしまう。
 明朗な60年代とも、やさしさ&落ち着きの70年代後半とも異なる、陰があったり荒々しさがあったりするドラマやテーマが70年代前半のアニメ&特撮で隆盛を極めたのは、後知恵で思うに何かそのような時代の空気の反映もあったのであろう。
――70年安保の学生運動の終焉や、日本のアニメ・特撮が草創期を過ぎてスタッフ連も習熟の果てにドラマ面やテーマ面でも一歩先に進めてみたかった、あるいは60年代に高度経済成長をいったんは遂げたので、それと比すると70年代は相対的に裕福で、まだまだ良くも悪くもミーイズムが弱く離婚率も低くて終身雇用で、実際には当時は欠損家庭は少なかったハズなのに、戦中派の作り手たちは終戦直後の焼跡闇市における両親や片親のいない浮浪児たちの存在を目撃や仄聞してきた世代の責務として、その実存的・文学的・内的必然として、子供向け作品群にその残滓をぜひとも焼き付けておきたかった……などなどの諸々の総合として――


欠損家庭を高いドラマ性で描くなら、活劇性も増量すべきだった70年代第2期ウルトラ!


 とはいえ、アニメと実写の媒体の違いゆえでもあろうけど、実写で欠損家庭の物語を描いた第2期ウルトラシリーズなどは、そのドラマ性の高さを後年に認めるにやぶさかではないけれど、幼少時にはやや作風が重たくシミったれて感じられ、それゆえにドラマ性はかなり抑えて攻防劇に徹したことで大ヒットを記録した、同時期の昭和の『仮面ライダー』シリーズや『マジンガーZ』シリーズの後塵を拝した面は否めない。
 コレは何も二者択一で、一方を全肯定して他方を全否定しようというのではない。しかし、もう少し巧妙に、往時も月刊学年誌で連載されていた第2期ウルトラシリーズのコミカライズ作品群のごとく、月1くらいでカラッとしたイベント編・攻防編・先輩ウルトラ兄弟客演編を配置して、子供たちのプリミティブ(原始的)な暴力衝動やヒロイズムを刺激・発散させつつ、残りの話数でニガ味の残る欠損家庭の子供たちを描くような心情ドラマを配置する、巧妙なシリーズ構成を達成できていれば……。


 ウルトラマンレオのピンチに、直前作のウルトラマンタロウや、変身不能になっていたモロボシ・ダン隊長がウルトラの父の力で一時的にウルトラセブンに変身して助けたり!
 アンチラ星人が化けていたニセ郷秀樹の前にホンモノの郷秀樹が出現、ウルトラマンジャックに変身してウルトラマンエースと共闘したり!
 ウルトラ兄弟の長男・ゾフィー兄さんやウルトラセブンが宇宙から湖水を蒸発させたり、宇宙で怪獣を元の動物に戻したり、臨死体験時に励ましに登場(笑)するだけでなく、その回では地球でエースと共闘したり!
 ラスボス級キャラの異次元超人・巨大ヤプール登場回では、ヒーローひとりでは倒せないほどの強敵として描くためにも、エースを異次元に召喚してくれたゾフィー兄さんもそのまま共闘してくれたり!
 ウルトラ5兄弟をブロンズ像化して全滅させたほどのヒッポリト星人ならば、復活したエースのいつものメタリウム光線一発で倒せてしまったら凡敵に見えてしまうので、かつて強敵・エースキラーを撃破した、ウルトラ5兄弟全員のエネルギーを結集した超必殺ワザ・スペースQを再使用して倒したり!
 各作品の最終回は、昭和の『仮面ライダー』各作の終盤がごとく前後編や3部作で、世界規模での再生怪獣軍団vsウルトラ兄弟の総力戦を描いてくれたなら!


 このように殺陣(たて)・アクションがカッコよくなるように特撮怪獣バトル演出面も気を使っていれば、娯楽活劇作品としてのカタルシス面でも、人間ドラマとしての味わいの面でもバランスが取れて、往時の第2期ウルトラも特撮の中では№2、アニメも含めれば№3の上位メジャーの域にはあったけど、それら2トップの人気にさらに肉薄・拮抗することができたようにも思えるのだ。
 もっと云うなら、禍福(善悪)はあざなえる縄のごとし、人間万事塞翁が馬(じんかん・ばんじ・さいおうがうま)で、そのようなヒロイズムの高揚・カタルシス・爽快感の記憶をたどって、世代人の長じてからの追体験・再鑑賞意欲を惹起することで、「意外にも第2期ウルトラにも人間ドラマがある!」「いや、第2期ウルトラにこそ、過剰なまでに濃厚な人間ドラマがあったのだ!」という「再発見」にかかずりあう特撮マニアの規模も大なるモノとなり、マニア第1世代による第2期ウルトラ酷評をくつがえす再評価の波も、もっと早くに進んだかもしれないとも思うので……。


重苦しすぎるドラマが子供や視聴者を遠ざけるなら、コミカル演出や演技にも一理あり!


 そのような反省があったということでもなかろうし、80年代以降、あるいは往年の『宇宙刑事ギャバン』(82年)に登場した民間人側のレギュラー、『3年B組金八先生』(79年)シリーズの大森巡査役で知られる鈴木正幸演じる、UFO専門のルポライター・大山小次郎のやたらと明るくテンションが高い演技(笑)なども発端とするのであろうけど、その成れの果て(?)としての『ウルトラマンR/B』でも、近年の平成ライダースーパー戦隊同様、人間ドラマ部分の演技プランは喜劇的なトーンで統一されている。
 たしかに、クールで乾いたSFドラマ性ではなく、重たいシメっぽい人間ドラマがイヤ〜ンなニガ味や気恥ずかしさを与えて、子供たちを引かせてしまうことはある。しかし他方で、『帰ってきたウルトラマン』(71年)の怠け怪獣ヤメタランス編や『ウルトラマンタロウ』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)のギャグ怪獣回でのハイテンションなコミカル演技を、SF的ワクワク感を毀損する子供をバカにしたモノと取るような、子供番組卒業期の小賢しいマニア予備軍の筆者(笑)、もとい子供たちの感性もたしかにかつて存在したのも事実ではあるのだ。
 このへんの問題は固定的・絶対的な正解があるモノではないのだろう。ある一定の幅の中でのグラデーション下にあるヘビー〜ライトはすべてセーフになりうるし、しかしてその幅からハズれてしまった、あまりにヘビーに過ぎたり、その逆に上滑りしたライトな域に達したモノは、両方ともにアウトになるのであろう。そこに個人の好みやキャパシティー・守備範囲のちがいまで加わることで、さらにヤヤこしくなる。


 その前提の上で云うのだが、筆者個人は90年代以降、あるいは21世紀以降の子供番組の作り方としては、第2期ウルトラ的な重たい児童向けドラマのトーンではなく、コメディ的なトーンでディレクションしていった方がベターであろうと考える。
――まぁ今だからこそ、そのようにも思うけど、ごくごく個人的な感慨を云わせてもらえば、『宇宙刑事ギャバン』における大山小次郎こと鈴木正幸のハイテンションなコミカル演技などは、それが狂騒・狂躁的な80年代の到来と、シットリとして優しかった70年代への決別のようにも思えて、筆者個人はイヤでイヤでたまらなかったモノだけど(笑)。
 加えて云うなら、幼少時はともかく、思春期以降の再視聴では、第2期ウルトラにおけるニガ味もある児童ドラマ群のことが筆者も大スキだ。しかし、あれをそのまま80年代以降の特撮作品に導入してもドン引きされるであろうから、うまくマイルドに寸止めして、視聴者に伝達するような手法がないのかを漫然と考えつづけてもいる――


 とはいえ、『母をたずねて三千里』的な要素は、過剰にシメっぽくならないようにするためにか点描に近いけれども、本作にかぎらず『特命戦隊ゴーバスターズ』(12年)や『ウルトラマンX(エックス)』(15年)などにも導入されてはおり、80年代〜90年代初頭のバブル期のように、ダウナーな要素が過剰に忌避される、ネアカ至上で狂躁的な時代もまた終わって久しいようではあるけれど。


兄弟主人公を共に「熱血」として描く試みは、成功か!? 失敗か!? 一長一短か!?


 主人公である青年兄弟ふたりについても、もう少しふれてみたい。フツーはコンビ・バディー(相棒)ものだと、ふたりの差別化・描き分けのために、日本の往年の変身ヒーローものでも、古くは『超人バロム・1(ワン)』(72年)、それを模したとおぼしき新しめのところでも『仮面ライダーW(ダブル)』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100809/p1)、あるいは女児向けアニメ『ふたりはプリキュア』(04年)のように、「熱血漢」と「沈着冷静」の2者としての性格設定を与えるものだ。
 しかし、このキャラクターシフトは、前者の猪突猛進が物語を引っ張り、戦闘においても先陣を切る行動隊長の役回りとなるために、後者がやや分が悪く見えるのも事実だ――21世紀以降の子供向けならぬ思春期・青年期以降向けのジャンル作品だと、熱血漢よりもクールな軍師・策士タイプである頭脳派のキャラクターの方をカッコよく描く『デスノート』(03年)・『コードギアス 反逆のルルーシュ』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20081005/p1)・『アルドノア・ゼロ』(14年)みたいな作品も登場してはいるけれど――。


 本作についても、青い私服を着ている「弟」が頭脳派だという設定をドコかで読んだので、そのテの陥穽にハマった作品でもあるか? と思いつつ、フタを開けてみたのだが……。
 パソコンを操って分析担当! みたいなこともしているけど、しょせんはその程度であって(笑)、あとは兄に負けじ劣らじフツーに熱血青年でもあった――いかにも「弟」的な「甘ったるさ」はアリつつも――。
 コレならば、「兄」の方が強くて颯爽としてカッコよくて、「弟」の方が地味で少々弱いから子供人気の面では劣る……なぞという事態には陥りにくそうだ。ソコまで先回りして計算した上での、このキャラシフトであったかは怪しいけれども、結果オーライというべきであろうか?
 もちろん何事も一長一短なので、ふたりの性格的・思想的描き分けという面ではたしかに弱くはなるけれど、総合的に比較考量すれば、頭脳派の「弟」がサブ扱いとして少々ワリを喰うデメリットと、「弟」も熱血漢であり「兄」とほぼ対等どころか「頭脳派」の長所も付与されることで、「兄」とも拮抗すらするメリットがあるので、本作における「弟」も「兄」同様に熱血として描くという手法は成功に思える。


怪獣紳士録 〜乙一&田口清隆再登板! 鳥型怪獣とのウルトラ史上最強の空中戦特撮!


 毎回登場するゲスト怪獣は、2010年代の低予算ウルトラシリーズの通例に則り、#1は新作ソフビ怪獣人形とも連動した新造着ぐるみ怪獣で、黒と溶けた鉄のような赤が印象的な蛇腹のグルジオボーンが登場。ボーンというから骨がモチーフだ(笑)。
 #2以降は既存の着ぐるみ怪獣の使い回しで、ウルトラマンエックスとも戦ったブラックキングが#2に、同じくエックスと戦ったガーゴルゴンが#3に、歴代ウルトラマンとも戦ったレッドキングが#4に登場して活躍する。
 2010年代ウルトラも観続けているマニアであれば特筆すべきが、#5に登場した鳥型怪獣グエバッサーであろう。『ウルトラマンオーブ』における敵の怪獣種族=魔王獣のうちの1体・マガバッサーの色の塗り替えにすぎないのだが、禍々(まがまが)しいダークな青と黒の色彩を白に塗り替えるや、あら不思議。フォルムは同じなのに随分と優美に見えるよなぁ。ぜひとも『ウルトラ怪獣擬人化計画』で華麗に女体化してほしいモノだ(すでにしてる?)。


 そのマガバッサーならぬグエバッサーが登場した#5では、脚本に前作『ウルトラマンジード』(17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170819/p1)でメインライターを務めた作家の乙一(おついち)こと安達寛高が登板! いやぁ本業がある御仁だから、『ジード』1作こっきりの登板かと思っていたので、またお声掛けしてさらに書いてくれるというのが実に意外。
 お話の方はメインライターが設定紹介編をやるならば、サブやゲストのライターは設定の補強や傍流の肉付け、ゲストを主体にするなどのパターン。「弟」の方の人物像を肉付けするために、彼の大学生活で知り合った、キャンパスでも翼型パーツを付けて鳥人間コンテストのように空を長時間にわたって飛ぼうとして失敗しつづけている、男に媚び媚びとイロ目を使いそうにない、いかにもマジメそうな小柄で黒髪ショートの健気そうな、美人というより可愛い系寄りの理系女(リケジョ)とカラませる。
 まだシリーズ序盤なので、このテのシットリとしたドラマ編はもう少しあとの回にまわした方がイイようにも思ったけれども、単独作品としての評価は高得点を与えてもよいくらいの面白さであったとは私見する。


 彼女が在籍する大学の雑然とした研究室には、19世紀の先人・リリエンタールが作ったようなハングライダーの巨大骨格模型が吊されているのをはじめ、様々な小物で飾られており、実にそれらしい映像的説得力まで醸され、本編美術班のがんばりにも驚かされる。恒久的なスタジオセットも用意されず、屋内部分は東京郊外・多摩地方の廃校の小学校しか登場しなかった(笑)、2010年代ウルトラシリーズの1発目『ウルトラマンギンガ』(13年)のころと比すればエラい予算のアップだ。
――もちろんリアルに考えれば、彼女のあの装備では空気力学的にも空を飛べることはナイのだけど、そこはサブタイトルでも謳われるギリシャ神話のイカロスと掛ければ、役者さんが自力で力強く羽ばたいてもみせるあの姿に、彼女のがんばり&シンボリックなロマンも込められるというモノだ――


 こーいう人間ドラマ主導の回だと、特撮シーンは惰性の段取りになりがちで、もちろん#1や最終回にイベント編ではない通常回では、そのようなお約束のルーティン段取りに留まった特撮怪獣バトル回があってもイイのだけれども……。
 そこは特撮自主映画監督上がりで、本話の本編演出のみならず特撮演出も担当している田口清隆! 先にゲットした「風」のメダルの力でウルトラマンがはじめてカラーチェンジして初活躍する回でもあるからだろう。特撮部分も実に力が入っている!
 手前に「妹」とゲストのリケジョが小さくたたずむ引きの実景(コレも特撮セット?)の小高い芝生の斜面越しの奥に、特撮セット内にも用意した、またまた緑の斜面越しにいる鳥型怪獣を合成し、それが固定したアングルでの合成ならばドーということもナイけれど、カメラがヨコ(円周?)移動をはじめても、実景(?)+特撮セットのヨコ移動合成もズレたりせずにナチュラルに維持されつづけていくという、それが遠景・奥の方はいつものスタジオ内の特撮ミニチュアセットであることはバレバレでも、それでも映像的サプライズやカッコよさを感じさせてみせる特撮演出の妙!


 強風が吹きすさぶ曇天下、「弟」が変身して青い姿のウルトラマンブルに変身するや、そのまま横を通り過ぎていくウルトラマンをカメラの首振りで追っかけるのかと思いきや、地面に沿って全身を水平にピンと伸ばして超低空飛行を開始したウルトラマンの背中や後頭部を、遠近感豊かにカメラは付かず離れずで追跡!
 さらにはカットを割らずにそのままウルトラマンの主観視線の映像となって、空中に浮遊する鳥型怪獣グエバッサーに猛迫して、ウルトラマンの右手や左手だけが写っている図でパンチやチョップを繰り出す絵が!
 またまたカットを割らずに、空中で組み合って戦いつづけているウルトラマンとグエバッサーの頭部やバストショットを捉えた巨大感あふれるドUP映像のままで、彼らの周囲を高速で360度グルグルと回り続けるカットまで!
 グエバッサーが超高速で逃げ出して、その姿がケシ粒のように瞬時に小さくなっても、すぐに追いかけて追いつくウルトラマン
 実際にはカットも割って、CGなどでシーンがつながっているかのように加工しているとは思うけど(?)、いずれにしても、こんなにカッコよくてスピーディーでなおかつ力強くて迫力もある空中戦の特撮演出は観たことナイ! 歴代ウルトラシリーズ史上、最強の特撮空中戦が誕生したか!?


怪獣を召喚するアイゼンテック社長が、ウルトラマンオーブハモニカ曲を口笛で披露!?


 本作は『ウルトラマンギンガ』や『仮面ライダーW』などとも同様、一地方都市を舞台とする――その地名がベタにも、綾香市(あやかし。旧名は妖奇村(あやかむら)・笑)。怪獣の「怪」の読みでもあると思えば、ベタでも由緒は正しい!――。そして、企業城下町でもあるというあたりで『仮面ライダー鎧武/ガイム』(13年)も想起する。
 その城下町を牛耳っているワケでもないけど、富み栄えさせているのは、ハイテク大企業「アイゼンテック」!(旧名は町工場の愛染鉄工・笑)
 実は往時のサウジアラビアで大人気であったという円谷プロ製作の、本編人間ドラマ部分はセル画アニメで描いた男女合体変身の特撮ヒーロー『恐竜大戦争アイゼンボーグ』(77年)が、オイルマネーで昨2017年末に当時の声優さんまで起用して新作映像が製作されたことにあやかったネーミングでもあろうか?(笑)


 両手の指でハートマークをかたどってみせたりする――プリキュアの名乗りポーズか!?(笑)――この企業の社長さんが、やたらとハイテンションでガナっているような演技を披露するところで、『仮面ライダー000/オーズ』(10年)の宇梶剛士演じた鴻上財団会長も想起させるが、白いスーツをまとった長身のアイゼンテック社長・愛染マコトのお芝居がかった軽妙なコミカル演技にはつい笑ってしまう――先にもふれたヘビー&ライトと個人の好み問題にも抵触するので、戯画的な演技が不愉快なヒトには申し訳ないけれども――。
 彼は初老の域には達していないけど、壮年のオッサンにすぎるので、若者ヒーローと拮抗する悪党には当初、見えなかったのだが……。ナンと彼は、怪獣メダルを所有しており、ヒーロー側と同じ変身アイテムを、テンション高く「アン・ドゥ・トロワ」を3回連呼しながらエキスパンドもして(笑)、怪獣を召喚していることが判明!
 #5のラストでは、一昨年度の『ウルトラマンオーブ』の風来坊主人公のトレードマークでもある黒い革ジャンをキツそう(爆)に羽織りつつ、やはり風来坊のトレードマークであったハーモニカ曲まで口笛で披露! ウルトラマンオーブのメダルもなでている姿で俄然、作品世界に対する興味・関心も惹起されてきた!


 正直、イイ意味でユルめな作風の2010年代のウルトラシリーズの中でも、本作は格段に輪をかけてユルい牧歌的な香りが序盤では漂っていた。しかし、やはりこのテのヒーローものは、基本は戦闘モノなのだから、もう少しアグレッシブ(攻撃的)な要素や、タテ糸の要素を想起させるライバル的なキャラとの攻防要素、ひたすら並クラスの怪獣とのルーティンバトルではなく中ボスやラスボス怪獣なども適宜(てきぎ)登場させる起伏も付けてほしいよなぁとも正直思っていたので、この趣向には大賛成だ。コレからも本作を注視していきたい気持ちにさせられた。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2019年準備号』(18年8月11日発行)所収『ウルトラマンR/B』序盤合評7より抜粋)


『假面特攻隊2019年準備号』「ウルトラマンR/B」関係記事の縮小コピー収録一覧
・各話視聴率:関東・中部・関西。各クール平均・全話平均視聴率
・スポーツ報知 2018年4月25日(水) 7・7から「ウルトラマンR/B」 シリーズ初!!兄弟で変身 円谷プロ勝訴 ウルトラマン著作物 海外利用権巡り訴訟
産経新聞 2018年7月1日(日) 週刊番組ガイド 家族の絆描くウルトラマン 小池亮介 平田雄也 (役者表記の順は写真の左右並びに準じたもの)
西日本新聞 2018年7月16日(月) 次の連載随筆 かいじゅうタイムズ 小説家 乙一さん 23日から ――筆者の言葉――
西日本新聞 2018年7月24日(火) かいじゅうタイムズ2 ウルトラマンジードの話
西日本新聞 2018年7月31日(火) かいじゅうタイムズ7 Tシャツの話 (『R/B』#5の裏話)
・デーリー東北 2018年7月24日(火) 爆笑問題がウルフェスPR セブンが小声で暑いと漏らす?


ウルトラマンR/B』各話平均視聴率:関東1.4%(#1〜4)・中部1.5%(#1のみ)・関西0.9%(#1のみ)
おはスタ』2018年7月6日(金)「ウルトラマンR/B登場」視聴率:関東0.6%・中部0.6%・関西0.2%
ウルトラマンオーブ THE CHRONICLE』全26話平均視聴率:関東1.2%・中部0.9%・関西0.8%


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