假面特攻隊の一寸先は闇!読みにくいブログ(笑)

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ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ ~映画の前菜ビデオ作品なのに大傑作が爆誕!

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 『ウルトラマン クロニクル ZERO&GEED(ゼロ・アンド・ジード)』(20年)にて、オリジナルビデオ作品『ウルトラ銀河伝説外伝 ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ』(10年)が放映記念! とカコつけて……。
 『ウルトラ銀河伝説外伝 ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ』評をアップ!


『ウルトラ銀河伝説外伝 ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ』 ~映画の前菜ビデオ作品なのに大傑作が爆誕


(文・久保達也)

『ウルトラ銀河伝説外伝 ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ STAGEⅠ 衝突する宇宙』


(2010年12月10日脱稿)


 2010年11月26日にバンダイビジュアルからリリースされたのが、昨2009年末の同時期のオリジナルビデオ作品『ウルトラマンメビウス外伝 ゴーストリバース』前後編同様、年末公開の映画の前日談と設定されたオリジナルビデオ作品にして前後編の前編である『ウルトラ銀河伝説外伝 ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ STAGEⅠ(ステージ・ワン) 衝突する宇宙』である。


低予算の飾り付けも少ない特撮セットでも、照明・アクション・股下から覗く矢島アングルで魅せる!


 野外でのオープン撮影による紫色に染まる日没直後の夕闇の下、惑星チェイニーの突き出た岩場の頂で右膝(ひざ)を立てて(!)腰かけて、ひとりたたずむわれらがウルトラマンゼロ! こんなお行儀(ぎょうぎ)が悪いポーズが似合うウルトラマンは彼しかいない(笑)。


ゼロ「来たか……」


 カットが切り替わるや、背景美術をオールCGに刷新した直前作の映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』(09年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20101224/p1)とは異なり、旧来のスタジオスタジオ撮影での特撮シーンに戻っているけど、そこに現れるのは逆光で両目とカラータイマーを発光させたシルエットで演出された4人のウルトラマンたち、ゾフィー初代ウルトラマンウルトラマンジャック帰ってきたウルトラマン)・ウルトラマンエース
 往年の名作刑事ドラマ『Gメン’75』(75~82年・東映 TBS)のオープニング映像のごとく、横一列で静かにゼロに向かって行進してくる。


 なんとカメラに背を向けたゼロの股下・両脚の間から、奥にウルトラ兄弟を小さく配した演出!
 これは70年代前半の『ウルトラマンタロウ』(73年)終盤と『ウルトラマンレオ』(74年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20090405/p1)でも特撮監督を担当した東映系の特撮研究所矢島信男(やじま・のぶお)が、東映特撮『ジャイアントロボ』(67年)以来、円谷特撮『ミラーマン』(71年)や『ジャンボーグA(エース)』(73年)に先の『タロウ』や『レオ』でもよく用いてきた撮影手法であり、狭いセットで飾りの少ない低予算の特撮美術でも画面に深い奥行きと遠近感、手前の被写体にも巨大感が生み出せるショットへのオマージュでもあるのだろう。


ゼロ「今夜こそ、ケリをつけるぜっ!」


 ゼロの父であるウルトラセブン巨大化時のポーズを踏襲して、下に向けて交差させた両腕を上方に向けて力こぶをつくるように両肘(ひじ)は曲げるかたちで左右に開くや、人間大のサイズに縮んでエネルギーを節約していたらしいゼロは足下の岩場を砕(くだ)き散らしつつ巨大化!
 ゼロの師匠であるウルトラマンレオのごとく、右腕を真横水平に伸ばしたタメのあと、右手をこぶしに握って後ろに引いて右腰につけ、左手をパッと開いた左腕をサッと前に突き出すファイティングポーズをとるウルトラマンゼロ


近年はウルトラ兄弟の掛け声が正しい!(むかしはイイ加減だったその理由の諸相・笑)


 その瞬間、上空を超高速で通過する青い光と赤い光!
 番外シリーズではあってもウルトラシリーズに入れたいテレビ特撮シリーズ『ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル』(07年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20080427/p1)や続編『ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル NEVER ENDING ODISSEY(ネバー・エンディング・オデッセイ)』(08年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20091230/p1)の主役チームを務めて、そのまた続編でもある映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説』にも主人公格として登場したスペースミッションのエキスパート集団・ZAP SPACY(ザップ・スペーシー)の宇宙輸送船・スペースペンドラゴンとウルトラセブンがなぜか追撃戦を繰り広げていた!


 セブンに変身するモロボシ・ダン隊員を演じた森次晃嗣(もりつぐ・こうじ)の声をエコー加工してつくったオリジナルのセブンの掛け声はもちろんのこと、両腕をL字に組んで発する光線技・ワイドショットや頭頂部の突起を外して放つ宇宙ブーメラン・アイスラッガー、飛行音などの効果音も、当然すべて本物のバンク音声を使用!


 幼児のころであれば、われわれもかの『ウルトラファイト』(70年)でウルトラセブン初代ウルトラマンの掛け声や必殺光線の音声が間違ってアテられていても気にはしなかったものだ。
 しかし、小学校中高学年にもなれば『ウルトラマンA(エース)』(72年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070430/p1)再放送のウルトラ5兄弟勢揃い(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20061030/p1)でセブンの掛け声が初代マンのそれだったり、ゾフィーや初代マンの掛け声がエースの声だったり、『ウルトラマンタロウ』(73年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20071202/p1)再放送のウルトラ6兄弟勢揃いでウルトラ5兄弟が大空へと帰還する際の掛け声が全員、変身前の篠田三郎の声をエコー加工したタロウの掛け声だったりするのに気付くと、ウルトラ兄弟たちの夢の共演に胸を高らせているのは間違いないにしても、心の片隅では「掛け声が違う」と小さな不満を抱いたものである。
 前者は当時の音響スタッフにそこまでのこだわりがなかったから。後者は『A』までの音響を担当した東宝効果集団が『タロウ』で東京映画映像部に変更になったためでマンやセブンの掛け声の音源を持っていなかったからだと今となってはわかるのだが(笑)。


 そのへんの不満を抱いていたマニア上がりの連中が長じて、円谷プロのアクションチーム・キャスタッフに集ってライブ興行を公演するようになった1990年代からは、少なくとも各種ヒーローショーではウルトラ兄弟の掛け声や歴代怪獣の鳴き声はTV原典の正しい音声が使われるようになって久しい。
 長らく無視されてきた昭和のウルトラ兄弟が四半世紀ぶりにテレビ本編でも復活を果たしたその一挿話を映画で描いた『ウルトラマンメビウスウルトラ兄弟』(06年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070128/p1)では、ゾフィー・初代マン・ジャックといった初代マン系の掛け声を発するウルトラマンたちと、森次晃嗣の声をエコー加工したウルトラセブンの掛け声や歴代怪獣の鳴き声などは、さすがにオリジナル音源ではないだろうが(?)、テレビ本編のSE(サウンド・エフェクト)テープからダビングして整音したとおぼしき音声が使われるようになる――それもまた本来の版権は東宝効果集団にありそうなのでグレーには思えるけど(笑)――。
 しかし、大ベテラン声優・納谷悟朗(なや・ごろう)の掛け声をエコー加工してつくったエースの掛け声だけは権利・契約関係が厳密になった昨今、自粛したのか初代マン系の声しか使用されなかったものだが、これもテレビシリーズ『ウルトラマンメビウス』(06年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070506/p1)終盤の第44話『エースの願い』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070408/p1)でウルトラマンエースが客演した際には、キチンと納谷悟朗が所属する芸能事務所と無期限使用許諾の契約を円谷プロ側のプロデューサーが苦労を惜しまずに締結し直したのであろう。それまではアトラクショーのみで使用されていたエースの正しい掛け声が、映像本編でも晴れて使用されるようになったのだ。


バック転! 空中一回転! かつては否定された擬人化アクションの再肯定とその今昔!


 アイスラッガーに撃墜されるペンドラゴン!


 マンガ・アニメ的な光の流線をバックに、ジャックが左手首のウルトラブレスレットを外して変形させた槍(やり)・ウルトラランスの柄(つか)が青白く妖(あや)しく光り、ゼロに向かって投げつける!
 続けて横一列に並んでいるウルトラ兄弟たちが、エースは長大な光の刃・バーチカルギロチン、ゾフィーはM87光線、初代マンは八つ裂き光輪をゼロに繰り出す!


 それらの一斉攻撃を連続バック転でかわしていくウルトラマンゼロ
 その足許はホントウは「ナゾの広場」なのであろうけど(笑)、その背景や前景にはミニチュアの岩山をCG合成して、それをバック転で逃げる先とは逆方向に超高速で移動させてスピード感も倍増させていくさまは、まさに1970年代前半の第2期ウルトラシリーズで、同時期の仮面ライダーの軽快なアクションの全能感・万能感に魅了されていた子供たちにソッポを向かれまいと発達させてきた、そして当時の子供たちも実は「カッコいい!」と大興奮して憧れた、ウルトラマンたちがトランポリンジャンプして空中一回転や側転バック転を繰り広げるようになったアクション演出のバージョンアップと呼ぶにふさわしい!
 たとえば、『ウルトラマンA』第1話『輝け! ウルトラ五兄弟』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060514/p1)でミサイル超獣ベロクロンが連続で放つ白い光の輪をエースが側転を連続してかわしたりだとか、『ウルトラマンタロウ』でタロウが空中でスピンを連続したあとにスワローキックを放つとか!


 70年代前半には中高生の年齢に達しており70年代後半には成人年齢に達していた、60年代後半に放映された第1期ウルトラシリーズの至上主義者でもある1955~60年頃生まれの怪獣マニア第1世代たちが70年代末期の本邦初のマニア向けムックなどで、これらのアクションを宇宙人ヒーローの擬人化であり神秘性や巨大感・重厚感を損なうものとして批判をはじめる。
 すると、幼少期には第2期ウルトラのアクション演出も無心に楽しんでいたハズのマニア連中の過半もその言説のウケウリをはじめる(汗)。そして、90年代後半の平成ウルトラ3部作の始祖『ウルトラマンティガ』(96年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/19961201/p1)の序盤を除いて側転やバック転はなくなり、『ウルトラマンダイナ』(97年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/19971201/p1)に至っては変身直後にオープン撮影の大空をバックに空転してから降下して登場するバンクフィルムまでもが廃される。


 それは果たして人型巨大ヒーローの特撮演出・アクション演出として、唯一絶対の正しい方法論であったのであろうか? 時に巨大ヒーローも軽快にスピーディーに動いても、それがカッコよければサマになるのではなかろうか? そのような疑問や不満も個人的には長年抱いてきたのだが、時代はすでに一周まわったようだ。
 90年代であれば旧態依然な特撮マニアの過半がケチを付けたような軽快なバック転アクションを披露しても、筆者の観測範囲ではそれにケチをつけるような野暮天(やぼてん)は見ないどころか、歓迎されているようですらある!


偽ウルトラ5兄弟を、かつて偽ウルトラセブンを製造したサロメ星人製とする諸々の合理性!


 そこに爆煙を引きながら高速で墜落するスペースペンドラゴン! ペンドラゴンを撃墜し終えたウルトラセブンが上空からゼロにキックを見舞う!
 ゼロは両腕をクロスさせて辛くもこれに堪えるが、セブンはキック後の反動を活かして空中バック転しながら4兄弟の中心に着地するや、振り向いて腕組みをして不敵にゼロをにらみつける!


 画面奥に遂に勢揃いしたウルトラ5兄弟に向かって突進していくウルトラマンゼロ
 このシーンもホントウは手狭なのだろう特撮セットをゴマカすためか、奥にいる5兄弟に向かって手前から走っていくゼロと並行して、すぐ左に長い岩壁のセットを対比として配置して遠近感を強調している!


 読者諸兄もすでにマスコミ媒体などで事前にご承知の通り、今回のウルトラ5兄弟は宇宙人の科学力の粋(すい)を集めて製造された、ウルトラ5兄弟に酷似したロボット超人である偽ウルトラ5兄弟なのだ。
 そして、それを造りだしたのは、なんと『ウルトラセブン』第46話『ダン対セブンの決闘』でロボット超人・ニセウルトラセブンを地球侵略の先兵として送り出した、侵略星人サロメ星人の同族なのである! ただ単にポッと出のヒーローの偽物を出すのではなく、どうせなら過去に同様の手口を繰り出した侵略宇宙人に再登場を願うことで、設定的な同一性や必然性をも担保する、年長マニアや怪獣博士の気がある現今の一部の子供たちにも実にうれしい趣向なのだ。


 往年のニセウルトラセブンは腹部や両腕・両足の関節部に小さなまるい銀色のプロテクターがいくつかあることで、機械製の巨大ロボットであることを表現していたが、このデザイン意匠が今回のニセウルトラ5兄弟たちにもそのまま受け継がれている!
 まぁ今回の作品も見るからに低予算なので、それを逆手にとって、新キャラの着ぐるみ新造と比すれば格段に安く済むウルトラ5兄弟のスーツの流用&プチ飾り付けや、並行宇宙のZAPのメンバーも1人2役で登場させて、画面をにぎやかなものに錯覚させることで、それなりのゴージャス感を漂わせることには成功している。


 このあまりに豪華な導入部に続いてタイトルロゴ『ウルトラ銀河伝説外伝 ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ』が入る。銀字を赤と青の輪郭が覆う「ウルトラマンゼロ」、オレンジ(赤銅色?)の字体を黒の輪郭で覆う「ダークロプスゼロ」と、両雄のボディカラーをさりげに取り入れたタイトルデザインがなんともセンスがいい!


「別の宇宙」が舞台の映画『ウルトラマンゼロ』の前哨戦たるべく、「並行宇宙」との狭間にある「次元の裂け目」が舞台!


 今回は『ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル』シリーズや映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』でおなじみZAPの宇宙基地が「宇宙のひずみ」からの救難信号を受け、緊急の医療品を輸送中だったスペースペンドラゴンがその任務を内蔵の小型宇宙艇・ドラゴンスピーダーに任せて――こうしておけば女副長のハルナや怪獣博士のオキを出さずに済む。予算が少ないから出演させられなかったのだろう(涙)――、船長のヒュウガと怪獣使いの主人公青年・レイが救難に向かうや「宇宙のひずみ」にひき寄せられ、並行宇宙同士の狭間にある救難信号の発信源・惑星チェイニーにたどり着く。
――余談となるけど、「ZAPの宇宙基地」から連想される怪獣攻撃隊の宇宙基地や宇宙ステーションは、第2期ウルトラシリーズを愛する者としてはその弱点を指摘してしまうことにもなるので残念だが、第2期ウルトラや当時のTBSの児童向け実写ドラマ一般を担当してSF性よりドロくさい人間ドラマ性や社会派テーマ性を脚本陣に要請していたTBS側の名プロデューサー・橋本洋二が円谷プロに「要らないからやめましょう」と主張していたものでもある(爆)。怪獣攻撃隊が国際規模の組織だったり宇宙基地を持っていたりといった明朗なSFスケール感については、第2期ウルトラは第1期ウルトラに劣っていたことは認めざるをえないだろう――


 そこで大破したもう1機のペンドラゴンや、なぜかそこに倒れていたもうひとりのZAPのクマノ隊員に遭遇。
 そしてまた頭に包帯を巻いて無精ヒゲも伸ばしていることで遭難してから日数も経っていることを示すもうひとりのヒュウガ船長から、惑星チェイニーはサロメ星人の実験のためにどの次元・並行宇宙にも属さない次元の狭間の孤立した惑星となり、そこではその次元に本来属していない異物が侵入したとしても、いずれは消え去る運命にあることを知らされる。
 クマノの受け売りだそうだが、もうひとりのヒュウガ船長は、同じ宇宙・同じ地球・同じ人間が並行して無数に存在するという「多次元宇宙」の話を語る……


 こう書くと「別次元」「パラレル・ワールド」の話であり、なんか小難しいSFチックなノリなのであるが、本編・特撮とともにサクサク進む演出力のために、全編画面にひき寄せられて目が離せないのだ!


 宇宙のひずみにひき寄せられ、起動が停止してしまったペンドラゴンの船内の描写で、静かに時を刻むデジタル時計の赤い液晶表示をアップにし、4時13分50秒で停止するやそれを画面下半分に映して、上半分でヒュウガとレイを演技させる演出なんかは時間経過と計器異常と時空異常を同時に示しており、なにげに凝(こ)っている。


 そして惑星チェイニーでの本編場面では、従来の『大怪獣バトル』全2シリーズでは予算の関係で終始、都内のスタジオ――第1期は今は亡き東宝ビルト、第2期は日活撮影所――での撮影だったのだが、今回はぜいたく(?)にも遠方へのロケを敢行(かんこう)!
 大破したペンドラゴンから立ち昇る白い煙の空気感なんかは、やはりロケ撮影ならではのものである!――ロケ場面の短い尺を見るに多分1日で撮りきったとは思われるけど(笑)――


 さらにヒュウガ船長やレイ青年の目に飛びこんでくる、ウルトラランスに突き刺されて倒れたゾフィーと横たわるウルトラマンジャックという、あまりに衝撃的な場面!
 もちろんこれは冒頭のウルトラマンゼロと戦ったニセゾフィーとニセウルトラマンジャックの末路だ。ゾフィーとジャックは初代マンとまったく同じ顔なので、勝ち抜きトーナメント形式で残った敵キャラの絵的な違いを付けるための敗者のセレクトでもあっただろう。


 そしてゼロとニセウルトラ5兄弟の戦いを語るもうひとりのヒュウガ船長の回想場面で、ウルトラマンゼロにキックをかますニセウルトラマンエースが静止画になり、いきなりニセエースの半身に内部メカの図解構造イラストが合成される!
 往年の『怪獣図解入門』(小学館・72年・ISBN:4092203349)をはじめとする怪獣図鑑学年誌の記事で、怪獣の内部図解やそれに添えられた虚実ごちゃ混ぜのコメント――「バルタン星人の目は1万メートル先の米粒が見える」とか、「ゴモラの腕力は(プロレスラー・故)ジャイアント馬場のチョップの20万倍の威力がある」(笑)などの疑似科学性――に夢中になった世代としては、こういうものこそ児童の知的好奇心を喚起して、より『ウルトラマン』シリーズに執着させる普遍性のある方法論でもあるのだから、どんどん本編でもやるべきなのだと思いを新たにするのであった……


第2戦! 『大怪獣バトル』の古代怪獣ゴモラvs新キャラ・ロボット怪獣メカゴモラの戦いが勃発!


 そして、ロケ撮影のヒュウガとレイの背後にそびえる実景の高い岩壁に着弾するリアルなCGのミサイルランチャー! なおも襲いくるミサイルの群れ!
 ミサイル側の視点(!)で俯瞰(ふかん=高所から見下ろすこと)してレイ青年を描写するや、レイは怪獣召喚アイテム・バトルナイザーを高く掲げる!


レイ「ゴモラ~~~っ!!」


 ミサイルランチャーをその巨体の背中で盾(たて)として防いで咆哮(ほうこう)をあげて登場する、レイの最大最強のパートナー・古代怪獣ゴモラ
 『ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』からスーツが一新されたらしいが、たしかに『大怪獣バトル』登場時よりも精悍(せいかん)な顔つきとなり、体色も赤茶色からこげ茶色となり、一層シブ味を増している!


 その眼前に出現するメカロボット怪獣メカゴモラ
 初登場時に大量のミサイルランチャーが巻き上げた白いスモークによって、最初はその姿を見えにくくしている演出も心憎いが、正体を現したあとに身体の各部をアップで見せて、回転する左手、右肘に鋭く生(は)えた金属のトゲ、左胸の紫色の発光部などを順に映しだす!
 同様の特撮演出は『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(92年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20120220/p1)中盤で6番目の追加戦士・ドラゴンレンジャーが駆る怪獣型着ぐるみメカ・ドラゴンシーサーが港湾に初出現した回でもやっていて、われわれ年長マニアが観れば、両方ともに明らかに怪獣映画『ゴジラ対メカゴジラ』(74年・東宝)において、夜のコンビナートで水爆大怪獣ゴジラの前に初めてその正体を現した際のロボット怪獣メカゴジラの特撮シーンに対するオマージュであるともわかるのだが、そうだとわかってもカッコよくてシビれるのである。


 バンダイから発売中のメカゴモラのソフビ人形では、その眼は白目に黒い目玉と生物的に表現されているのだが――ちなみに1978年に玩具会社・ポピー(バンダイの子会社で83年に本社に吸収合併)から発売されていた「キングザウルス」シリーズのメカゴジラのソフビも映像とは異なり、生物的な眼であった――、今回の作品ではメカゴモラの眼は青白く発光し、左胸の心臓(?)にあたる部分は紫色に発光、まさにメカロボット怪獣としての風格を漂わせている!


 メカゴモラ、大量のミサイルランチャーをゴモラに浴びせかける!
 たまらず大地に倒れるゴモラの手前に、避難するレイとヒュウガを合成しているのが、なんともたまらん臨場感あふれる演出!
 ゴモラ、武器である長い尾でメカゴモラに攻撃を加えるや、メカゴモラの全身に紫色のスパークが走り、鼻先のツノを紫色に光らせてゴモラに突撃!
 さらに左胸の発光部からも紫色の光線を発射!


 導入部でゼロとニセウルトラ兄弟が戦った惑星チェイニーの夕空も紫色に染まっていたが、こういう色彩設計にワンポイント的な接点を持たせるのも上手い!
 ゴモラ、遂に鼻先のツノから必殺技・超振動波を放つが、メカゴモラにはそれすらも通用しない!


 それをスクリーンで見てほくそ笑むサロメ星人の女性科学者ヘロディア
 『セブン』第46話のサロメ星人は着ぐるみではなく役者が素顔で演じるヒューマノイドで超能力を発揮することもなく、個人的には子供のころから昭和ウルトラ登場宇宙人の中でも最もつまらない奴らだと思っていた(汗)。
 今回のヘロディア嬢はスカイブルーのボディコンワンピース姿に白ブーツで美脚をのぞかせている上、筆者も愛するアイドルグループ・Perfume(パヒューム)の樫野有香(かしの・ゆか 愛称・かしゆか)クリソツのルックスで――前髪をきっちりと揃えた黒髪のストレートヘアで、ステージで常にミニスカートを着用しているのも共通!(笑)――、


「終わりにしてあげる」


なんて、悪女演技ではあっても役者さんの見た目や人となりから悪女にはなりきれない甘ったるい口調で云うもんだから、ゴモラでなくてもクラクラ~とくる。


 演じる宮下ともみは『ウルトラマンネクサス』(04年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060308/p1)後半に登場したメモリーポリス――怪獣(スペースビースト)や怪事件を目撃した人々の記憶を消去する組織――の純朴そうな黒スーツ姿の少女・野々宮瑞生(ののみや・みずお)役や、深夜特撮『ウルトラセブンX(エックス)』(07年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20080413/p1)、『仮面ライダーキバ』(08年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20090215/p1)などにも出演していたが、実にわれわれ弱者男子なオタク男子どもが好みそうなルックスだ(爆)。


 また、今回のサロメ星人の衣装は男性ふたりの助手も含め、『セブン』第46話同様に金色のボタンに金色の鎖(くさり)のアクセサリーが付いている。メカゴモラの武器・ナックルチェーンも、鎖につながれた両手が両腕から飛び出して、敵を大地にたたきつけたり、宙にブン投げるものだったりするので、かなりの「鎖フェチ」なのだろう。サロメ星人は相当の「サド」なのである(笑)。


 冗談はともかく、メカゴモラの両手がグルグルと回転し、ナックルチェーンがゴモラの両腕をつかみあげる!
 倒れたままで途中に転がる岩石をカチ割りながら、猛スピードで大地にひきずられ、宙に放り投げられるゴモラ
 メカゴモラの、顔の両脇の兜(かぶと)状のツノにある紫色の縞(しま)模様が両端から中央に向かって順に点灯するや、鼻先のツノから紫色の光線を発射!――この演出はマジでカッコいい!―― ゴモラ絶体絶命!!


第3戦! 劣勢となったゴモラウルトラマンゼロが助っ人参戦! 三つ巴の戦いに!


 そのとき、空に星がまたたき、メカゴモラを俯瞰して空中から高速で何者かが迫る!
 われらのウルトラマンゼロだ! ウルトラマンレオのレオキックのように右足を赤く発光させ、猛烈な勢いでメカゴモラにウルトラゼロキックをかます
 倒れたメカゴモラをカメラ手前に、その向こうに背中を向けて着地したゼロ、さらにその奥には倒れているゴモラを配置するという、三段構えの奥行きと遠近感あふれる特撮演出がまた素晴らしい!


 ゼロの横顔をアップでとらえ、


「おまえの相手は……」


 背中を向けたまま立ち上がり、振り向きざまに、


「このオレだ!」


 と、自分を右手の親指で示すゼロ(笑)。


 この性格&キャラクター性を前面に押し出したキザったらしさこそ、まさに平成ライダーを彷彿とさせる!
 第1期ウルトラ至上主義者たちが賞揚してきた「人智を超越した神秘の宇宙人」像とはたしかに真逆だし、そういった神秘のヒーロー像を否定するものでもないのだが、今どきの作品としてはゼロのような人間味を誇張したボディー・ゼスチュアを主体としたヒーロー像の方がツカミが強くて、子供や女性層にもキャッチーなのではなかろうか!?


 そうかと思えばロケ撮影のヒュウガとレイの奥にそびえる実景の山の上の大空に、戦闘中の巨大なゼロとメカゴモラの上半身を合成するなんていう、2010年現在、ファミリー劇場で放映中の『ウルトラマン80(エイティ)』(80年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/19971121/p1)でよく見られた懐かしい手法が使われていたりする。


 ゼロ、メカゴモラに右足で回し蹴りをくらわし、パンチの連続!
 そのあまりの猛威に、メカゴモラの全身に火花とスパークが走る!
 メカゴモラ、重量感あふれる巨体でゼロを押しまくる!
 この場面では低いカメラ位置で両者の足元をとらえ、メカゴモラの馬鹿力にズルズルと押されていくゼロが最大限に表現され、一段と迫力を増している!


 メカゴモラ、右手からゼロに発砲!
 辛くもかわしたゼロは、遂に猛烈なチョップ――右腕の周囲が光る!――でメカゴモラの左ヅノを叩き折った!
 ゼロ、頭部一対のゼロスラッガーを宙に静止させるや、それに回し蹴りをくらわして加速させるウルトラキック戦法をメカゴモラに浴びせかける!――ウルトラマン史上最大のお行儀が悪い技(笑)――
 両腕から発射されたメカゴモラの必殺武器・ナックルチェーンは両断、遂に破壊された!


第4戦! メカゴモラの劣勢にテクターギアブラックが助勢する四つ巴のシーソーバトル!


 メカゴモラのピンチに、ヘロディアは開発中だったナゾのアーマーを身につけた黒い巨人・テクターギアブラックを出撃させる!
 これは本作の前日談映画『ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』に登場した、ウルトラマンゼロが肉体鍛錬のために顔面や手足・身体に装着させられていた大リーグボール養成ギブス(笑)ことテクターギアを黒くペイントし直しただけのキャラクターなのだが、東映の『宇宙刑事』シリーズ(82~84年)を代表とするメタルヒーロー的なマスクやプロテクターのデザインは、「男の子」心を熱くさせるものがある!


 おなじみの左腕を真横水平に伸ばし、こぶしに握った右手を右腕ごと引いて右腰に当てたタメのあと――たとえ無意味で非合理でもヒーローたちのこういう様式美的なワンクッションのアクションやもったいぶったタメがカッコよさを醸(かも)すのだ!――、両腕をL字に組んで光線技・ワイドゼロショットを放とうとするや、異様な殺気を感じるゼロ!


ゼロ「なんだ、おまえは!?」


 映画『ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』で、自身がK76星でウルトラマンレオとアストラ兄弟の過酷な特訓を受けていた際に身につけていた、テクターギアそっくりだが色違いの黒いアーマーを身につけた黒い戦士が音もなく秘かにゼロの真上の上空まで接近して仁王立ちとなり、ゼロをにらみつけていたのだ!


ゼロ「テクターギアだと? フン、力をセーブしても、オレに勝てるってわけか!?」


 ゼロの全身を煽り(あおり)でとらえた――下から見上げた「ローアングル」のこと――上空に浮かぶテクターギアブラック。カットが切り替わって、その敵キャラよりも上空からテクターギアブラックとその下の大地にたたずむゼロをワンショットに納めて映しだす、これまた立体的な画面構成がまたまた素晴らしい!
 こういう高低差を前面に押し出した俯瞰や煽りの特撮ショットは、大空の背景セットであるホリゾントの高さや天井が低い特撮スタジオでは再現不可能な映像だったが、グリーンバックで画質の劣化なしに色調や被写体の大小やその位置を微調整できるデジタル合成の進歩はすさまじい! その技術の進歩の上で、劇的でカッコいいアングルに挑戦してみせる本作監督のビジュアルセンスも実にイイ!


第5戦! ゼロvsテクターギアブラック! 惑星を数周するガチンコ・タイマン2万年(笑)バトル!


 テクターギアブラックの目線で下方に見下ろされたゼロが、小生意気にも右腕を上方に突き出し、人差指と中指を突き立てた「2」を形づくって叫ぶ!


「2万年早いぜ!!」


 今回一番の名セリフ!(笑)


 この「2万年」はもちろん初代『ウルトラマン』最終回で明かされて、往年の学年誌や子供向け豆百科の類いで連綿と流布されてきた、特撮マニアであれば大勢が知っている初代ウルトラマンは年齢が実は「2万歳」という設定に由来するセリフである。
 「カッコよさ」と同時に「お笑い」要素もブレンドしたダブル・ミーニングなところが、まさにイマ風のセンスの高踏(こうとう)演出でもある!
 われわれ地球人の2万年とウルトラ一族の2万年がともに共通で「2本指」で示せるとは、地球人とウルトラマンの時間感覚は同じなのか? などとツッコミするのは正当ではあるけど野暮である(笑)。この作品は本格ハードSFではなく、あくまでも子供向け・大衆向けのユルい娯楽活劇にして寓話なのである。


 ゼロ、ジャンプして後ろに宙返りし、そのまま逆立ちの状態で宙に浮かんで、レオとの特訓で編み出したウルトラゼロキックを両足交互に打ち出し、テクターギアブラックもこれに両足キックの連打で応戦するが、次第に惑星チェイニーの上空から宇宙空間へと押し出されていく!
 激突する両者の両足の間からイナズマ状のスパークが走り、宇宙空間で両者は赤熱! 赤い光点となって巨大な惑星チェイニーの周囲を超高速で互いに逆走しながら、何度も正面衝突でぶつかり合うサマが、戦闘のスケール感や両者の強者感をアップさせていく! 正直、マンガやアニメでは既視感のある映像だが、特撮では本邦初の映像ではなかろうか!?


ウルトラマンゼロのイケメン不良ボイス! 擬人化された超人の演技をめぐる今昔と現代的アドバンテージ!


 テクターギアブラックに後ろからはがいじめにされて苦しむゼロ! そのまま両者地上へと大気圏突入で燃えながら落下!
 テクターギアブラック、ゼロを岩山におさえつけ、右手と左手の交互でゼロの顔を連続で殴りつける!
 ゼロ、テクターギアブラックのこぶしを右手で受けとめ、なんと左手で鼻をこする!(笑)


ゼロ「ヘヘッ、結構やるじゃねぇか」


 アレだけ押されて苦戦したゼロだが、まだ余裕があるところを見せることで、逆説的にゼロの強さをも描写する! 娯楽活劇全般でよく見るコテコテの手法ではあるのだが、飽きずに多用されるということは、普遍・王道の作劇だということだ!


 そして、不良チックで不敵なセリフを吐くゼロの声がまた、ドスが効いてシワがれた悪党声でも、卑屈な下っ端のチンピラ声でもない。声自体はイケメンのハンサムな透き通った声なので下品さがなく、性根からのワルではない根は善人そうな「育ちのいい不良」(笑)といった、実に女性陣が好みそうなキャラクラーなのだ。
 そういや『ウルトラ銀河伝説』を劇場で鑑賞した際、女子高生の4人組がいたものだ。そのときは単なる女性オタクの一団くらいにしか思わなかったのだが、あれは宮野の声を目当てで観に来ていたのかもと今になっては思えてならない。そうだとするなら、これとて新しいファン層の開拓であるに違いないのだ。


 敵であるテクターギアブラックの健闘を称(たた)えて、ガキ大将のごとく人差し指で鼻をこするようなゼロの仕草。
 擬人化された宇宙人ヒーローのフザけた芝居は、特に第2期ウルトラシリーズでこのような擬人化演出を見つけると第1期ウルトラ至上主義者のマニアたちから徹底的に批判されたものだが、『ウルトラマン』第11話『宇宙から来た暴れん坊』で初代ウルトラマンが脳波怪獣ギャンゴの腹をくすぐったりギャンゴを飛び箱にしてしまったリ、『ウルトラセブン』第41話『水中からの挑戦』ではカッパ怪獣テペトが両手を合わせてウルトラセブンに謝ったりなど、実は第1期ウルトラシリーズでも時折行われていたものなのである。
 ゼロにはもっと調子に乗ってもらいたいし(笑)、そんな演出をされても違和感をおぼえないようなキャラクター設定にもなっている!


 だがここで描かれているのは、あくまでも真剣勝負なのだ! ロケ撮影のヒュウガの目前に、真横からカメラ手前に高速でスライディングして岩場に激突して止まった、テクターギアブラックの右手につかまれたゼロの頭部が合成されたり、ゼロに投げられてもテクターギアブラックが華麗に宙を回転して着地するとか、ウルトラゼロキックとテクターギアブラックの交錯キックやエルボ肘打ちに膝キックが宙で激突する瞬間で静止画面になる! といった打撃の瞬間の痛みを強調するような特撮バトル演出が、まさにそれを実証している!
――もちろん静止画面になるのは、第1期ウルトラシリーズで異端の映像派監督・実相寺昭雄が担当した回の特撮演出へのオマージュでもあるのだろう――


テクターギア→ウルトラマンゼロを踏襲! テクターギアブラック→偽ゼロことダークロプスゼロが登場!


 激闘は果てしなく続き、遂にテクターギアブラックは右腕を高く掲げ、赤熱した両腕をクロスさせるや、全身に赤いスパークが走り、アーマーのテクターギアがヒビ割れ砕けてその正体が明らかとなる!


 その姿に唖然(あぜん)となるゼロを、画面に背を向けてその姿をもったいぶって視聴者にはまだ見せないナゾの戦士の股下・両脚の間から奥に配置した、これまた特撮マニア的には通称「矢島(信男)アングル」なる特撮演出がなんとも心憎い!


「俺の名は……」


 ゼロとは左右逆に、左腕を真横水平に伸ばして、右手をこぶしに握って引いて右腰に付けたタメのあと、


「ダークロプス ゼロ!!」


 サッと右腕をやや肘を曲げて右手を大きく開いて指に力を込めて前方に掲げ、左手をこぶしに握って左腕を引いて腰に付けるという、ワイルドなゼロをさらにワイルドにしたような、いかにもワルといった感のあるファイティングポーズがあまりに素敵である!
 ゼロのやんちゃ声と明確に演じわけた、宮野の冷徹な低い声がまたいい!


ゼロ「ダークロプス……ゼロだと!」


 その正体はウルトラマンゼロの色違いであり、両眼だけはつながって単眼になっている。もうそれだけでゼロは完全にブチギレ状態。
――ちなみにダークロプスの名前は、古代ギリシャ神話に登場する一つ目の巨人・サイクロプスから取られたものだろう――。


 並行宇宙のZAPクルー・ニセウルトラ5兄弟・メカゴモラ・テクターギアブラック、そしてダークロプスゼロと、今回は低予算を逆手に取った既存の着ぐるみのプチ改造やリペイントで済むニセモノのオンパレードで、加えてそれらは幼児誌でのカラーグラビア企画ありきで、そのキャラクターを流用しているようだが――メカゴモラのみ新造――、それらを漏らさずすべて活かして、低予算でも作品やストーリーにゴージャス感を出せるのであれば大歓迎である!


 両者の光線技・ワイドゼロショットが宙で激突! ゼロの白い光線に対し、ダークロプスゼロは紫と、ここでも悪役キャラ側の色彩設計に共通点を持たせている!
 両者が放ったスラッガーが宙で激突、火花が散る!


 ゼロ、2本のゼロスラッガーを半月刀状に合体させて巨大化させたゼロツインソードを両手に構え、宙に浮かぶダークロプスゼロに向かって突撃!
 対するダークロプスゼロはスラッガーを持った両手を前方に突き出し、全身をコマのように高速キリモミ回転させてゼロに突撃!
 高速飛行で相手に突進しあう両者を交互に映しだす演出が、なんともたまらん臨場感である!
 大激突のあと、ゼロツインソードのみが上空に弾き飛ばされ惑星を飛び出し、高速で回転しながら宇宙の彼方に消え去っていくことで、ダークロプスゼロの圧倒的な強さも示している……
 いちいち戦闘描写や衝撃描写が、質量や運動エネルギー量の物理法則を無視して(笑)、宇宙規模でオオゲサに描かれることで、真の意味でリアルかはともかく迫力は増している。インチキでも迫力があってカッコよければ、ヒーローものはそれでイイのだ!


 地上に落下するゼロを手前に、余裕で宙に浮かぶダークロプスゼロを奥に配した画面構成も、ダークロプスゼロの優位・圧倒的な強さが如実に示されている!


第6戦! 偽ウルトラ3兄弟も襲来! ゼロvs偽ウルトラ3兄弟!


 ここでサロメ星人ヘロディア嬢の男性助手が基地内で両手を宙にかざすや、その間に小さなスクリーンが現れるなんて芸コマな描写があるが、それにより残存していたニセウルトラ兄弟の初代マン・セブン・エースが再度来襲することが判明!
 煽りでとらえた絶壁をバックにしたロケ撮影のヒュウガ船長の真上を、ニセ初代マン・ニセセブン・ニセエースが超高速低空飛行でビュンビュンと次々横切っていくのも素敵すぎる!
 宙で不敵に腕組みをしてゼロににらみをきかせるダークロプスゼロの下で、ゼロとニセウルトラ3兄弟との決戦の火ぶたが切られる!


 しかし初代マンやセブンは当然としても、ニセエースでありながらベテラン声優・納谷悟朗の声をエコー加工したエースの掛け声をちゃんと使用しているのは改めてうれしくなる!
――70年代は音源の著作権意識がラフだったので、『A』と同じく東宝効果集団が音響効果を担当した『A』の翌年のテレビ特撮『流星人間ゾーン』(73年・東宝 日本テレビ)でも、巨大変身ヒーロー・ゾーンファイターの声の一部にエースでおなじみの「テェ~~~ィっ!」などの掛け声が流用されている。当時のことだから納谷悟朗の事務所には無断での流用だったのだろう(笑)――


 またニセウルトラ兄弟といえど、本来ならリーダーはウルトラ兄弟の長男・ゾフィーのはずなのだが、今回リーダーを務めるのはセブンなのである。
 もちろんオリジナルのサロメ星人が建造したのがニセセブンだったからということもあるのだろうが、なんといってもセブンはゼロの実の父親であるのだ。これはゼロにとっては攻撃しにくかろう。
 『ウルトラマンレオ』第38話『決闘! レオ兄弟対ウルトラ兄弟』&第39話『レオ兄弟ウルトラ兄弟勝利の時』の前後編で、暗黒星人ババルウ星人がレオの実の弟・アストラに化けたのと同様、力づくばかりではない心理戦の様相をも呈しているのである。


 またもや右手で鼻をこすり(笑)、右手を前に突き出し、左手をこぶしに握って左腕を引いたレオのようなファイティングポーズを、ニセウルトラ3兄弟に向けて構えるゼロ! まさに『決闘! レオ兄弟対ウルトラ兄弟』の再現である!
 ゼロが振り返って宙を見上げるや、相変わらず不敵に腕組みをし、ゼロににらみをきかせるダークロプスゼロ! と同時にニセウルトラ3兄弟との戦いの最中にはゼロには手を出さないという意思表示でもある。


 ゼロを包囲したニセウルトラ3兄弟は、ヘロディア嬢がなんとも可愛い笑顔で右手を上げる合図でゼロに一斉攻撃! ニセエースを「邪魔だ!」とばかりに叩きつけたニセ初代マンを回し蹴りで大地に沈めたゼロは、ニセセブンと両手をガッチリ組み合う!
 その様子を煽りでとらえ、その上空でダークロプスゼロを宙に浮かべたカットのカッコよさなどは、もうたまらない!


次元破壊砲! 『A』の異次元空間描写を踏襲して空が割れる! ~後編予告にウルトラマンレオ登場!


 なかなか決着がつかないことに業(ごう)を煮やしたか、上空のダークロプスゼロは胸のプロテクターを開扉させ、胸の中央のカラータイマーにあたる部分を大砲のようにせり出して――この宇宙戦艦ヤマトが艦首から発射する波動砲発射準備のようなヒイてジラして盛り上げるタメのある段取りプロセスがイイのだ!――、脅威の次元破壊光線・ディメンジョンコアを放ち、ニセウルトラ3兄弟もろともにゼロを抹殺しようとする!


 「それっ!」とばかりにフィンガーアクションを繰り出すヘロディアがまたいい! その白い手袋といい、おまえは『スペクトルマン』(71年・ピープロ フジテレビ)のレギュラー悪・宇宙猿人ゴリの知り合いか!?(笑)


 ゼロとニセウルトラ3兄弟を猛烈な青黒い嵐の渦が襲い、遂に青い空がガラスのように砕けて、その次元の裂け目にゼロは吸いこまれてしまう!
 空が割れる! 『A』第3話『燃えろ! 超獣地獄』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060521/p1)に登場した一角超獣バキシムをはじめ、『A』初期の超獣は青い空を割って出現するというビジュアルインパクトがなんとも素敵だったが、これは異次元人ヤプールが異次元空間から3次元世界に送りこむ生物兵器・超獣を送り込むという設定から映像化されたものだった。
 「多次元宇宙」も「次元の裂け目」も、要はわれわれの住む世界とは異なる「異次元」のことであり、これを描写するのに『A』を踏襲して「空が割れる」特撮を再現するのも実によくわかっている!


 地上に開いた月面クレーターのようなリアルで精密なCGによる大穴を、ロケ撮影のヒュウガ船長を手前に見下ろしたアングルで合成し、さらにその上でダークロプスゼロを宙に浮かせるという3重の合成カットのカッコよさも、もう云うことなし!


 いや、感心している場合ではない! ゼロは宇宙のひずみに落ちていくは、原始怪鳥リトラの背に乗りサロメ星人の基地を攻撃に向かったレイもまたメカゴモラの鼻先からの光線を浴び、リトラやバトルナイザーとともに消滅してしまった! いったいこれからどうすればいいのだ!?


レオ「最後まであきらめるな! 行け! ゼロ!!」


 おおっ、その声の主はウルトラマンレオ=おおとりゲンを演じた真夏竜!(感涙)
 『STAGEⅡ(ステージ・ツー) ゼロの決死圏』の予告編では、なんとウルトラマンレオがマントをなびかせて登場!――これまた感涙!――
 このマントは『レオ』第26話『ウルトラマンキング対魔法使い』においてウルトラマンキングから授かって、金色のブレスレットに変形させて左上腕にはめていたウルトラマントであり、よく見るとマントの襟首はキングの胸と肩をおおう燻し金のプロテクターの模様を模している!


ゼロ「オレのビッグバンは、もう止められないぜ!!」


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2011年号』(10年12月30日発行)所収『ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ STAGEⅠ』評・前半より抜粋)


『ウルトラ銀河伝説外伝 ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ STAGEⅡ ゼロの決死圏』


(2011年7月20日脱稿)


 映画『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦! ベリアル銀河帝国』(10年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20111204/p1)に続く新作『ウルトラマン』映画へのつなぎや宣伝・露出も兼ねてか、2011年7月6日、地上波での『ウルトラマン』関連の新番組がスタートした。毎週水曜夕方18時よりテレビ東京系で放送が開始された『ウルトラマン列伝』である。


ウルトラマンシリーズ45周年特別記念番組登場! その名は『ウルトラマン列伝』!!
 ウルトラマンシリーズ45年間の歴史の中から、名作・傑作・人気怪獣登場エピソードをスーパーセレクション放送!
 そして、歴代ウルトラマンや人気怪獣の名シーンを結集させた「スペシャル総集編」も特別編成!
 世代を超えて楽しめる、ウルトラ特撮エンターテインメント番組、『ウルトラマン列伝』、ご期待下さい!!」


 番組公式ホームページでの煽り文句である。
 第1話として放送されたのは『大集合! これがウルトラヒーローだ!!』であり、初代ウルトラマンからウルトラマンゼロに至るウルトラヒーローの活躍場面を一挙大公開した。構成・演出は1990年前後から各種の編集ビデオやCSファミリー劇場『ウルトラ情報局』(02~11年)を担当してきた秋廣泰生(あきひろ・やすお)氏。
 宣伝コピーでいうところの「スペシャル総集編」の方であり、内容的にはバンダイビジュアルから各種発売されている総集編ビデオ『ウルトラキッズDVD』シリーズ(09年~・ASIN:B003U3VXCS)のような印象を受ける――実はこのシリーズは2011年度はいまだにただの1枚もリリースされていない(後日編註:2010年末で打ち止めされた模様)――


 ただ『ウルトラマンメビウス』(06年)に関してはいまだに製作したTBS系列の中部日本放送に放映権があることから、この番組の中ではたとえ一部の場面だけでも使用不可のため――加工前の映像素材は使用されているようだが――、残念ながらメビウスは一切登場していない。


 だがその一方で、ウルトラマンレオの活躍場面は『ウルトラマンレオ』(74年)本編からではなく、オリジナルビデオ作品『ウルトラ銀河伝説外伝 ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ STAGEⅡ ゼロの決死圏』(バンダイビジュアル・10年12月22日発売)における、侵略星人サロメ星人に操られるロボット超人であるニセ初代ウルトラマン&ニセウルトラセブンウルトラマンゼロとともに倒す場面が使われた!


 今回はこのあまりにカッコいいレオ&ゼロの師弟コンビの活躍シーンのみをピックアップし、その低予算(汗)でも革命的な映像とアクション演出、スーツアクターたちの熱演を中心に語ってみよう!


ウルトラマンレオウルトラマンゼロvs偽ウルトラマン&偽ウルトラセブン


 偽ウルトラマンゼロことダークロプスゼロが放った次元破壊光線・ディメンジョンコアの攻撃で空間が裂けてできた次元トンネル内の異空間で、ロボット超人であるニセウルトラマンエースを大激闘・大苦戦の末にかろうじて倒したウルトラマンゼロ


 だがその行く手には、右側面だけをカメラに見せて腕組して片足で立ち、右膝を曲げて右足裏を後ろの岩壁につけて待ち構えている不敵なニセウルトラセブン
 そして反対方向の岩陰から静かに現れるのをロング――引きの映像。アップ映像の反対のこと――でとらえたあと、うつむき気味であった顔がキッと正面を向くような演技がアップで捉えられて、ギロッとゼロににらみをきかせるニセ初代ウルトラマンの姿が!
 態度の悪い不遜なポーズをバッチリと決めてくれるスーツアクターたちの演技が素晴らしい! リアルに考えたら感情のないロボットなのだから、いちいち悪党的な威嚇・恫喝的な仕草などはしないハズなのだが、通俗的な勧善懲悪物語の演技付けとしては、この方がメリハリがついて倒してもいい悪党として感じられるようにもなるのだから、そのツッコミは野暮である(笑)。


 極彩色の明るい白や青のエネルギーの奔流の中に、小惑星クラスの岩塊が無数に浮遊する次元トンネル内を、高速飛行で脱出をはかるゼロ!
 地球上での昼間のように大気・空気で太陽光が乱反射して四方八方から被写体に光が当たるのとは異なり、太陽の直射日光が当たっていない被写体の陰の部分は黒くなる真空の大宇宙を舞台としたビデオ作品『ウルトラマンメビウス外伝 ゴーストリバース』(09年)や映画『ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』での宇宙空間での戦闘シーンとも異なり、今回の次元トンネル内での特撮映像はあくまでも照明自体は明るい。
 白昼のように全方位からベタッと均等に被写体に光を当てることで、単なる暗いだけの宇宙空間ともまた異なる異空間として映像的差別化もできている。


 流れるような白や青の光の奔流が高速で流れる異空間のCG背景の中を、画面手前に向かって飛行するゼロがとらえられるが、その両サイドを高速周回しつつ追撃するニセ初代ウルトラマンが両腕を十字に組んで放つスペシウム光線、ニセウルトラセブンが両腕をL字に組んで放つワイドショットでゼロを襲撃する!
 ついにニセ初代マンに足蹴(あしげ)にされ、さらにニセセブンに岩壁に押しつけられ、切断武器・アイスラッガーを首につきつけられてしまうゼロ!


ゼロ「どうやらここまでか……」


 そのとき!


レオ「最後まであきらめるな!!」


 その声とともに、本作の前篇『STAGEⅠ 衝突する宇宙』(バンダイビジュアル・10年11月26日発売)で宇宙の彼方に弾き飛ばされたはずのゼロの武器・ゼロツインソードが宙から高速で飛んできて大地に突き刺さる!
 ゼロ・ニセマン・ニセセブンが思わず上空を見上げるや、3人の頭上に煽りでとらえられた、宙に浮かぶウルトラマンレオの勇姿が!
 伝説の超人・ウルトラマンキングから授かったウルトラマントが翻(ひるがえ)り、胸のマーク――レオの名前を意味するウルトラサイン!――があらわになる様子がアップで映しだされる!
 この一連のカット群はそのアングルも含めて猛烈にカッコいい!!


レオ「修行の日々を思い出せ! ゼロ!」
ゼロ「レオ!」


 「修行の日々」とはもちろん直前作『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』で、かつてセブンに特訓を受けたレオが、今度はセブンの息子・ゼロに特訓を施していた一連のシーンを指している。単なる単独作品としての点描を超えて、長編シリーズとしての係り結びをも意味する描写なのだ。


 主題歌『ウルトラマンレオ』のアレンジBGMのイントロが鳴り響き(感涙!)、やや煽り気味にとらえたバストショットで、レオはウルトラマントを脱ぎ捨てて、それは原典同様にレオの左上腕に金色のアームブレスレットとして装着される! その際にはレオへの変身場面で変身アイテム・レオリングが光る際に使用されていた効果音が鳴るという芸の細かさ!


レオ「エイヤーッ!」


 それまでは実に渋味のあったウルトラマンレオ=おおとりゲンを演じた真夏竜ご本人の声が、この掛け声だけはたぶん録り直しではなくオリジナルの掛け声のバンク音声が使用されているらしいのもうれしい!――『ウルトラマンメビウス』第34話『故郷(ふるさと)のない男』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20061224/p1)で客演した際にはレオの掛け声を真夏竜ご本人がアテ直してくれて、それはそれでうれしかったけれど、やや声が低くてシブくなりすぎていたからネ(汗)――


 ゼロ、右腕を真横水平に伸ばしたタメのあと、右手をこぶしに握って後ろに引いて右腰につけ、左手を開いた左腕をサッと前に突き出すファイティングポーズを繰り出す! その右横に並んだレオもまた、その左右逆パターンで同じポーズをゼロと同時進行で披露する! これはあまりにカッコいい!


 第2主題歌『戦え! ウルトラマンレオ』のアレンジBGMのサビの部分が流れる中――低予算ゆえか本作のBGMはスタジオ録音のナマ楽器ではなく、いかにもパソコンの中だけで作ったような安っぽい響きの電子音楽なのだが、そんな弱点は音盤マニアしか気にしないから(笑)、これまたうれしい趣向なのだ!――、ゼロは体を反転させ、ニセマンの右肩に左足で一撃を加えるというアクロバティックな荒技を披露!
 レオの方はニセセブンを投げ飛ばし、起き上がったニセセブンの胸を両手のチョップで強打、さらに足払いをかける!


 ゼロ、ニセマンにジャンピングキックをかます
 レオ、ニセセブンの腹にパンチをくらわす!
 この一連、ひたすらスーツアクターのスピーディな肉体的アクションのみで演じられており、合成などは一切使用されてはいないのだ!


 ちなみにこれらのバトルが繰り広げられる異空間のCG背景は、白と青の奔流が上から下に流れるような明るい感じで表現されているのだが、スタッフがそこまで意識したかは怪しいけど、コジつけるのであれば「滝」のイメージである。


モロボシ・ダン隊長「その顔はなんだ! その目はなんだ! その涙はなんだ! その涙で奴が倒せるか! この地球が救えるのか!?」


 『レオ』第4話『男と男の誓い』でレオの師匠であるモロボシ・ダン隊長=変身できなくなったウルトラセブンは、奇怪宇宙人ツルク星人を打ち破るため、おおとりゲン=レオに「滝の流れを断ち切る」過酷な特訓を課したのだが、『レオ』初期作品で描かれた特訓の中でも、やはりこれが最も印象に残っている人は多いのではなかろうか?
 この「滝」のイメージも、「自分は第2期ウルトラで育った世代だから、砂にまみれ、汗にまみれたウルトラマン像が印象的」とDVDの映像特典で語っていた、監督のおかひできのこだわりか!?


 レオとゼロ、ともにエネルギーを右足に集中させ、炎のように赤く発光した右足で同時にキックを放つ合体技・レオゼロキックをロボット超人たちに浴びせかける!
 画面手前にキックポーズで迫るレオのアップ、そして同じくゼロのアップ映像をとらえたあと、画面右上から降下してくるレオ、画面左下から上昇してくるゼロが、画面中央のニセマンとニセセブンを猛烈なキックで挟撃する映像的なカッコよさ!


レオ「ゼロ、こいつらにかまっている時間はない! 脱出だ!」
ゼロ「だがどうやって?」
レオ「俺たちのエネルギーを合わせる。ダブルフラッシャーだ。できるな?」
ゼロ「わかった!」


 相変わらず師匠であるはずのレオに対してタメ口をきくゼロ(笑)。
 ダブルフラッシャー! これはもちろんレオとレオの弟・アストラのふたりが両手を合わせて協力して発射する合体必殺光線・ウルトラダブルフラッシャーの名称だ!
 ポッと出の根拠のない新必殺技ではなく、前例もある印象的な過去作における必殺技を引っ張りだしてきてくれることのうれしさ! レオとゼロも協力すればダブルフラッシャーを放てるとするあたり、年長マニアは感涙だろうし、映像では見たことがなくても子供向け豆百科の図版で知識があった怪獣博士気質の子供も大喜びするだろう。もちろん何も知らない幼児でも、合体光線やらダブルライダーキックにはスペシャル感があってワクワクとするものなのだ(笑)。
 こういうふうにシリーズの既存設定を適切な場面でパズルのピースをハメるように活かしてくれることで、イチイチの必殺技にもSF設定や状況設定的な必然性が後付けでも付与されるワケなのだ。おそらくマニア上がりの作り手たちもわれわれと同様に子供のころからそう思っていたであろう想いを、今ここぞとばかりに実現してみせて、視聴者たちの共感も大いに取り付けてみせているのだ!


 レオとゼロ、両腕をクロスさせてから水平にサッと伸ばすや、レオがゼロの上方に移動。かつてレオとアストラ兄弟が放ったウルトラダブルフラッシャー発射時と同一のポーズを取り、レオとゼロの重ね合わせた両手の部分からレオゼロダブルフラッシャーが放たれた!!
 赤と緑といった光線の色彩は異なるも、原典と同様に荒々しいイナズマ状の光線が、スペシウム光線とワイドショットを放つニセマンとニセセブンの光線をお約束で押し問答(笑)したあげくに、次第に押し込んでいって粉砕! その光線の強烈な勢いで遂に次元トンネルの空間にも裂け目の脱出口ができた!


レオ「今だ! 行け! ゼロ!!」


 次元トンネルの脱出に成功するウルトラマンゼロ


 カッコよすぎる!


 このあと、戦いはゼロ&ゴモラvsダークロプスゼロ&メカゴモラの地上でのリベンジ戦に移行して、そちらも絶品なのだが、筆者の方が力尽きたので本編の方を参照されたし(笑)。
 『ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ』前後編は『ウルトラマン列伝』内にて早くも2011年8月に3分割に再編集して放映されるという。


 2011年7月15日に公式サイトも開設されたが、「ウルトラシリーズ45周年記念映画」の概要も遂に明らかになった。そのタイトルもズバリ、『ウルトラマンサーガ』(12年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20140113/p1)である! 『ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ』での実に熱血度が高い演出手腕&特撮ビジュアルセンスが高く評価されたのだろう、おかひでき監督はこの映画の監督にも大抜擢されている。『サーガ』も演出面では大いに期待ができそうだ!


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2012年号』(11年12月29日発行)所収『ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ STAGEⅡ』評より抜粋)


ウルトラマンゼロ THE MOVIE』製作遅延に伴う事前宣伝の圧倒的不足(汗)


(ここから再度、2010年12月10日脱稿分)


 本作の『STAGE Ⅰ』と『STAGE Ⅱ』は『Ⅰ』のエンディング歌曲や次回予告をカットして、2010年11月3日の祝日に東京――厳密には多摩川を挟んで東京に隣接した神奈川県川崎市のJR川崎駅西口と直結している超巨大ショッピングモール・ラフォーレ川崎の巨大中庭――で、その週末には名古屋と大阪でも先行プレミア上映された。
――その前年の同時期の名古屋と大阪では、もう年末公開の映画の試写会が行われていたものだが(汗)――


 リアルでクリスタルなカッコいいCG背景によるウルトラの星で、ウルトラ一族vs悪のウルトラマン・ベリアルとの吊りを多用したアクロバティックでスピーディーな激闘を繰り広げる予告編が、2009年9月中旬にはもう公開されてファンの間で大いに話題を呼んで期待を高めていた前作の映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』(09年)。
 それと比べて、今回の年末映画『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦! ベリアル銀河帝国』(10年)の予告編が2010年11月に入ってもいまだに公開されていなかったこともあってか、その作品クオリティの高さゆえ、その前日談にあたる設定のオリジナルビデオ作品『ウルトラ銀河伝説外伝 ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ』(10年)の方がマニア間で注目を浴びている始末である。
 なおこの『ゼロVSダークロプスゼロ』の冒頭3分、ゼロvsニセウルトラ5兄弟の戦いは、映画『ゼロ THE MOVIE』の映像2分弱と併せて、2010年11月8日(月)より動画投稿配信サイト・ユーチューブやニコニコ動画などで早くもビデオと映画の宣伝を兼ねて公開されている。


 本家『ゼロ THE MOVIE』の長尺の正規の予告編は、11月19日(金)にユーチューブやニコニコ動画などでようやく公開。各劇場で正式に上映されたのが映画公開12月23日(木・祝)まであと1ヶ月を切った11月27日(土)のことであった……
 前作『ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』を指揮した円谷プロの異端児・岡部副社長が辞職したことでそのCG映像クオリティが一挙にダウンすることが危惧されていたのだが、前作に負けじ劣らずの映像でマニアたちの不安事項は解消しているようだ。12月3日(金)からはネット上でバージョン違いの予告編を3週連続で公開するらしい。


 が、制作やホスプロ(ホストプロダクション・後処理。撮影後の映像加工やCG処理)の遅延など諸事情はあったにせよ、こんなチンタラとした調子では「マジで売る気があるのか?」と疑いたくもなってしまう。前売り券だって予告編の映像効果でもっと早く売ることもできたはずだろう。これならば、『ゼロ THE MOVIE』の本編映像の露出にこだわらず、監督は異なっていても前作『ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』のハイクオリティな映像素材を流用するかたちで『ゼロ THE MOVIE』予告編を早々に露出してみせるような機転を働かせて、思いついたら即座に豆々しく行動に移すようなプロデューサーや宣伝マンはいなかったのであろうか?
――その人格にクセはあっても(笑)、行動力は猛烈にあった岡部副社長の退職は実に痛い。やはりそういうところで最後は決断力や人間力、営業力や交渉力が効いてくるのだ。まぁコミュニケーション弱者なオタクの典型である筆者がそれを云うのもナニだけど(汗)――


特撮マニアのみならず、子供・女性・ファミリー・一般層も上積みしていくためには!?


 小学館『てれびくん』や講談社『テレビマガジン』の宣伝記事などで情報を得られる就学前の幼児やその家族、インターネットの公式ホームページ、ネット上の巨大掲示板2ちゃんねる、各ホビー誌などに、常に積極的にこちらからアンテナを張り巡らしているマニアの大勢は、それでも情報はゲットできるのだろうが、「ウルトラ」の商品的価値が凋落した昨今では、もうそれだけでは充分な集客が見込めないのは明らかなのである。
 かつては「ウルトラ」に夢中になったものの、とうに卒業して現在では全然興味がなかったり、『ウルトラマン80(エイティ)』(80年)と『ウルトラマンティガ』(96年)の空白期間に生まれ育ったためにリアルタイムで「ウルトラ」に接することができずに、興味がないどころか全然「ウルトラ」について知らない世代とか、そういう層をも「おっ!」と思わせるくらいのパブリシティ効果を発揮して、少しでも観客を増員せねばもう限界なのだ。


 昭和のウルトラ兄弟が25年ぶりに復活するから、テレビシリーズ『ウルトラマンメビウス』や映画『ウルトラマンメビウスウルトラ兄弟』(共に06年)で戻ってきて、以降のウルトラシリーズも観続けているという元オタクやオタクの気がある一般人も、現にネット上では散見されるではないか?
 10年弱ぶりにジャニーズ・V6(ブイシックス)の長野博=ダイゴ隊員がウルトラマンティガに変身するから、映画館で『大決戦! 超ウルトラ8兄弟』(08年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20101223/p1)を観てみたという世代人もいるではないか?
 あるいは、『ウルトラマンダイナ』(97年)は観ていなかったけど、今流行りのお笑いユニット・羞恥心(しゅうちしん・笑)のリーダー・つるの剛士(たけし)が出演しているから、『超ウルトラ8兄弟』や『ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』を、演歌歌手・氷川きよしがチョイ役で特別出演して主題歌も熱唱しているから『ウルトラマンメビウスウルトラ兄弟』を試しに観てみた女性層もたしかに少数だが確実に存在するのだ。


 それが邪道であるという意見もわかるのだが、お金を落としてくれて、それで少しでも円谷プロバンダイ等の各社がうるおって、しかもそのうちの何割かが意外と面白かった、自分にも子供ができたら「ウルトラ」を観せようと思ってくれたら御の字というものだ。


 『ウルトラ銀河伝説』では、ウルトラマンキングの声を演じた元内閣総理大臣小泉純一郎や、ウルトラの母の声を演じた女優・モデルの長谷川理恵が、たとえどれだけその演技が大根だろうが(笑)、そういう世間で名が知られた著名人がゲスト出演するという宣伝が小出しに順次、公開前の半年間にもわたって早くから行われていた。


ウルトラマンゼロウルトラセブンの息子であること
・レイブラッド星人の声をプロレスラー・蝶野正洋が演じること
・今やメジャーになったウルトラマンダイナことつるの剛士や、モーニング娘。辻ちゃんと結婚したウルトラマンコスモスこと杉浦太陽の出演


 各スポーツ新聞や各ワイドショーではその都度、『ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』がそれなりに大き目に扱われてきた。


 氷川きよし・V6・MISIA(ミーシャ)との主題歌のタイアップなども同じことである。
 それは従来のヒーローソングを下に見て、流行りものやオシャレなものへ屈服する一種の権威主義であるとする見方も半分正しいのだが、これにより各テレビ局での歌番組でウルトラ兄弟が出演しての映画の宣伝が今日では可能となるのも事実なのだ。
 ちなみに今回の『ゼロ THE MOVIE』ではGIRL NEXT DOOR(ガール・ネクスト・ドア)が主題歌を担当。戦闘シーンにも合いそうなアップテンポな曲調で女性ボーカルもなかなかにカッコいい歌曲に仕上がっているではないか!?


 『ゼロ THE MOVIE』は映画公開時期に合わせて、九州ロケがあったKBC九州朝日放送で12月8日(水)24時15分から長寿ローカル番組『ドォーモ』(89年)枠内で密着特番が放映されたそうだ。監督は自主映画で有名な吉村文庫氏。
 歌番組『MUSIC JAPAN』(07年・NHK)2010年12月12日(日)18時10分放映分では、ウルトラ6兄弟とゼロ、カイザーベリアルがアイドルグループ・AKB48(エーケービー・フォーティーエイト)とじゃんけん宇宙一決戦を繰り広げ、AKBチームが勝っていた(笑)――ただし、ウルトラマンタロウの掛け声が通例の篠田三郎の掛け声をエコー加工したものではなく、近年担当しているベテラン声優・石丸博也の掛け声になっていたが、今後はこれで行くんでしょうかね?(汗)――。
 『題名のない音楽会』(66年・テレビ朝日)でも、『光の国からぼくらの国へ~ウルトラマンがやってきた!』と題して、来年2011年1月9日(日)朝9時放映分にウルトラシリーズ主題歌メドレーをやるそうな――BS朝日で1月15日(土)と16日(日)に再放送――。


 ウルトラの商品的価値が凋落する中で、『ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』が合格点とはいかないまでも、それらの断続的な宣伝がある程度の集客に貢献したことも否定できない。今回はそういう試みがかなり少ないように見えるのは残念なところだ。
 こうした試みで、どれだけの比率の人間が映画を観に行くといえるのか? 実際のところはそれらを見聞きした人間の数パーセントにすぎないだろう。
 だが、いかにテレビの視聴率の長期低落傾向が叫ばれる昨今でも、テレビの視聴者数は分母が数千万人もいるのだから、100人に1人が足を運ぶだけでも、数万人分は観客動員の上昇に寄与ができると見るべきだろう――数万人×1800円分の上がりが見込めるとなると金額はいくらになるのだ!? バカにできないではないか!? このへんのカネ勘定もなおざりにしてはイケナイのだ(笑)――
 たしかに残りの90何パーセントは『ウルトラマン』映画なんぞは観に行かないのだろうが、それにより赤字になるわけでも何でもないのだから、その打率の非効率を問題視する必要は何もない。


 最悪なのはテレビや映画で『ウルトラマン』という作品が今、放映なり上映されていることさえ世間に知られなくなることなのだ。あるいは、いまだに『ウルトラマン』なんて古クサくてダサいものをやっているの? と「終わコン」扱いをされることなのだ。
 誤解やミーハーや権威主義も含めてそれをも逆用して、「最近の『ウルトラマン』はスゴそうなことをやっているね」「メジャーな有名人を使っているね」と思わせておいた方が、業界内での異業種とのコラボや資金調達などもやりやすくもなるだろう。


 筆者みたいに映画館で初めて得られる感動を大事にしたいがために、公開までは公式ホームページも2ちゃんねるもホビー誌の記事も一切目にせず、「余計なことを教えてくれるな!」と考えるような、そしてそれでも観に行くようなお客さんもいるのだろうが、やはりそんな奇特な人種は極少というべきであり、この情報過多の時代に今回のようなチンタラしたことをやっていては、致命傷となってしまうことが明白なのである。
 来年2011年は「ウルトラマンシリーズ45周年」であることから、2011年の年末にも新作映画の公開が期待できるであろうが、今みたいなやり方では興行的にまた失敗し、それ以降の新作がいよいよ望み薄(うす)となってしまうだろう――後日付記:ここで議題とした2011年にはテレビも映画も新作が遂になく、翌2012年春まで新作映画の公開が持ち越されたのであった(汗)――。


『てれびくん』『テレビマガジン』での『ウルトラマンゼロ』連載グラビアストーリー!


 今回の『ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ』のDVD発売に先立ち、2大幼児誌『てれびくん』と『テレビマガジン』ともに2010年4月号から9月号にかけて、グラビアストーリー『ウルトラマンゼロ』が連載されていた。
 ナゾの敵・テクターギアブラックに対抗するため、ゼロがコンビネーション攻撃のパートナーを捜した末に、父であるセブンとの連携技・コンビネーションゼロを編み出してテクターギアを破壊するや、ダークロプスゼロが正体を現し、ゼロは新しい強化アーマー・ゼロスラッガーギアを装着してこれに挑(いど)む! という物語は両誌ともに同一の展開である――あぁ、このグラビア展開を内山まもる大先生のコミカライズ(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20061028/p1)でも見てみたい!――。
 『てれびくん』では要塞ロボット・ビームミサイルキングが登場、ゼロスラッガーギアは胸の星からエメリウムスタービームを放つスーパーフォームを装着し、『テレビマガジン』では生体破壊メカ・クラッシュナイザーが登場し、ゼロスラッガーギアは両腕に剣と盾を携えたキーパーフォームとなったが、これらのデザインを各誌の子供読者から公募することにより、パブリシティ効果に一役買っているだ。
 もちろんこれらの連載が本作『ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ』や映画『ウルトラマンゼロ THE MOVIE』のセールスのプロモーションともなっているワケである。


ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ』をもっと多くの人に観てもらうためには!?


 しかし、次から次へと衝撃的な展開でサクサクと進む演出や、映像面でのクオリティの高さからすると、正直『ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ』を幼児やマニアだけに観させておくのはあまりにもったいないと思うのだ。
 90年代半ばから末期にかけて活躍していた特撮ライター・ヤマダマサミや、第1期ウルトラ至上主義者で有名なイラストレーター・開田裕治(かいだ・ゆうじ)画伯の奥様が、1999年5月1日に新宿ロフト・プラスワンで開催したトーク・イベント「朝までウルトラ」で、


ヤマダ「ウルトラを子供からとりあげろ! が合い言葉ですから」
開田夫人「子供にはもったいないよ」


などと発言していたのとはまったく別の真逆の意味合いでではあるのだが。
――少なくとも当時の彼らは、ダイナミックな通俗娯楽活劇としての熱血特撮ヒーローではなく、いわゆる大人の鑑賞にも堪えうるリアルシミュレーションやシャープでクールでSFチックな方向性での特撮ジャンルの復興を唱えていたのだが、そうした70年代後半からはじまるマニアたちの言動・言説にも、幼児とマニアだけが観て小学生は観ていないという90年代以降の「ウルトラ」の惨状、商業的に凋落していったことの原因の一端があったと思うのだ――


 こうしたオリジナルビデオ作品もシネコン全盛の現在、柔軟な上映形式が可能なのだから、同じく低予算の映画『超・仮面ライダー電王 トリロジー(三部作)』(10年・東映https://katoku99.hatenablog.com/entry/20110403/p1)や、もともとVシネマ(ビデオ販売用)作品としてつくられるもハクを付けるために劇場で先行公開された『仮面ライダーTHE FIRST(ザ・ファースト)』(05年・東映https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060316/p1)や、オリジナルビデオアニメ『機動戦士ガンダムUCユニコーン)』(10年・松竹・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20160904/p1)の劇場先行公開のように、本作『ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ』も小規模公開でも2週間限定でもいいので劇場で先行公開してみてもよかったのではなかろうか?
 そしてその冒頭なり巻末に予告編もバンバン打って、真打ちの年末公開映画の集客につなげるというかたちの方が、世間やマニア諸氏の注目も集めやすかったと思えるのだが。このままではあまりに魅力的なキャラクターであるウルトラマンゼロも浮かばれないのである……


グリーンバックかスタジオか!? ヒーローには神秘性か人間味か!?


 『ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』やその前日談であるオリジナルビデオ作品『ウルトラマンメビウス外伝 ゴーストリバース』はセットやロケ撮影を廃して、スーパー戦隊シリーズアメリカ輸出版『パワーレンジャー』(93年~・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20080518/p1)シリーズの坂本浩一監督や横山誠監督を大抜擢して、人間の役者の登場を最低限に留めて仮面劇のアクションに徹し、背景をほぼオールCGにしてグリーンバックの前でワイヤーアクションを展開して撮影する斬新な手法で注目を集めた。
 が、往年の「ウルトラ」を見慣れた一部の人々からは違和感があったとする意見もあり、また宇宙空間や怪獣墓場での戦いが延々と続いたことにより、画面が暗くて見えづらかったとか、遠い世界の出来事なので親近感がわかないなどという感想も一部には見受けられたものだ。
 そのような声を反映させたワケでもなく、合成カットにかかる手間や時間や予算の節約の問題の方が大きかったのだろうが(汗)、今回の『ゼロVSダークロプスゼロ』では特撮セットとロケ撮影が復活、地球のように昼間は青空になっている惑星チェイニーが舞台となっている。


 本作の前編ではメカゴモラが大活躍したのだが、やはりメカゴモラのような重量感あふれるキャラクターを描写するにはセット撮影の方がふさわしいように思えるし、ロケ撮影のヒュウガ船長やレイ青年と合成することによってその迫力は一段と増していた。
 「昔ながらの手法でしか醸し出せない良さがある」と監督のおかひできはDVDの映像特典で発言しているが、要はそれぞれのキャラクターに最も見合うかたちであれば、古い手法でも新しい手法でも問題ないということなのだと思う。


 本作の脚本を担当した荒木憲一が「ウルトラマンに神秘性を求めている」のに対し、「自分は第2期で育った世代だから、砂にまみれ、汗にまみれたウルトラマン像が印象的」だとおかひでき監督はDVDの特典映像で語っているが、果たして『ウルトラマンネクサス』(04年)・『ウルトラマンメビウス』(06年)・『ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』(08年)で冴えた映像演出を魅せた気鋭のアベユーイチ監督が手掛けることになった『ゼロ THE MOVIE』に登場するウルトラマンや新ヒーローたちは神秘的なのか、それとも砂にまみれ汗にまみれた人間クサいヒーロー像なのか!?


『ゼロ THE MOVIE』の「別の宇宙」を、『ミラーマン』『ファイヤーマン』『ジャンボーグA』の世界にしてほしかった!


 『ゼロ THE MOVIE』に登場する新キャラクターは、昭和のウルトラマンたちが住む宇宙とは異なる、別次元の宇宙に住む3人の新ヒーロー、ミラーナイト・グレンファイヤー・ジャンボットだという。
 70年代前半の国民的な変身ブームを知る世代人ならば、云わずと知れた円谷プロ製作の『ミラーマン』(71年)・『ファイヤーマン』・『ジャンボーグA(エース)』(共に73年)の特撮巨大ヒーローのリメイクキャラクターたちであるとわかる。
 彼ら70年代前半の円谷特撮巨大ヒーローは、同時期の第2期ウルトラシリーズ東映ヒーロー作品同様、かつては第1世代マニアたちに「粗製濫造」と罵られてきたことを思えば、まさに隔世の感であって、実にうれしい趣向ではある。


 しかし、ここまでやってくれるのであれば、もっとワガママを云いたい(笑)。


・ミラーナイトの出身地である「鏡の星」とは、ミラーマンの故郷「二次元世界」のことであり、ミラーナイトはミラーマンとも同族でズバリその直弟子という設定にしてもよかったのではあるまいか!?
・地球の地底人でもあったファイヤーマンも、その最終回『宇宙に消えたファイヤーマン』で宇宙に消えたということは、実は宇宙の果てで生き延びていたことにしてもイイわけで(笑)、宇宙海賊であるグレンファイヤーもまたファイヤーマンの不肖の息子という設定でも問題なかったのではあるまいか!?
・巨大ロボット・ジャンボットの母星、惑星エスメラルダもふつうにエメラルド星にして、そこに住む人々も往時は地球にジャンボーグAを貸与したエメラルド星人のことであり、ジャンボットはジャンボーグAやジャンボーグ9(ナイン)などとも同型シリーズのジャンボーグ7やジャンボーグ11(笑)にあたる巨大ロボだという設定でもよくなくネ!?


 そのようにハッキリと『ゼロ THE MOVIE』における「別次元の宇宙」とは、『ミラーマン』『ファイヤーマン』『ジャンボーグA』が実在した世界のことであり、彼らリメイクキャラクターたちは、往年のヒーローたちとも因縁・接点がある同族キャラクターでもあったのだ! といったところまで踏み込んでいった方が、もっとマニアの大勢も喜んだのではなかろうか!?


 そう。濃ゆいマニア諸兄であればご承知の通り、『ジャンボーグA』の中盤では怪獣攻撃隊・PAT(パット)の大ピンチに、アフリカ戦線で戦っていた『ミラーマン』の怪獣攻撃隊・SGM(エスジーエム)が巨大戦闘機・ジャンボフェニックスで助っ人参戦して、以降はSGMの村上チーフがPATの隊長となることで、『ミラーマン』と『ジャンボーグA』は放送されたテレビ局を越えて同一世界の作品であることが確定して、当時の子供たちを、そして後年に本作を再視聴して当の描写を再発見した特撮マニアたちを大いに興奮させていたのだ!


 10数年前の『ウルトラマンガイア』(98年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/19981206/p1)でベテラン俳優の平泉成(ひらいずみ・せい)が怪獣攻撃隊・XIG(シグ)の高官・千葉参謀役でレギュラー出演した折りには、往年の『ファイヤーマン』の怪獣攻撃隊・SAF(エスエーエフ)に千葉隊員として出演したときと同じ名字であったことから、彼は千葉隊員の出世した姿なのでは? ならば『ウルトラマンガイア』は『ファイヤーマン』の世界の未来での出来事か? 共に地底で誕生した地球由来の超人だから設定も似ているし、ガイアとファイヤーマンは広い意味では同族か!? などと『ガイア』のメインスタッフからしたら不本意だろうけど(笑)、少なくない特撮マニア間で「そうであったらイイな」という世界観クロスオーバーの妄想を述べあって、マニアの集まりではそのネタで盛り上がることが往時はそれなりにあったものだ。
 特撮マニアや子供たちの大勢がホントウに観たいものとは、ゴジラウルトラマンとのファースト・コンタクトによる一回性の怪獣の「恐怖性」や、超人ヒーローの「神秘性」などではなく、そのような広大な「世界」のヨコ方向での拡がりと長大な「歴史」のタテ方向での拡がりの中で、連綿と繰り広げられる「叙事詩」的な善悪攻防の歴史年表的な「年代記」のようなものではないだろうか?


 1話完結ルーティンのVSOP(ベリー・スペシャル・ワン・パターン)によるストーリーで、マニアや子供たちをも飽きさせて早めに卒業させてしまう陳腐凡庸なものではなく、過剰にマニアックにはならずに子供たちにも理解ができる範疇に留めつつ、しかして適度にはマニアックでもあるような塩加減の、歴代シリーズとも設定面や物語面でのつながりや連続性もあるストーリー。
 そうしなければ、観客に過去のシリーズ作品への興味関心を抱かせずに終わってしまうだろうし、それではいっときだけの消費に終わる一見さんの観客ばかりにもなってしまう。長期にわたっておカネを支払って消費もしてくれるマニアやマニア予備軍ともなる子供たちのゲット。その上での一般層の観客を上積みしていくこと。そのへんを計算して作品を魅力的に構築していくことが非常に重要になってくるとも思うのだ。
――いやまぁ、ただ単にそれはおまえが昭和のウルトラ兄弟の再登場を将来にわたって観続けたいというエゴに過ぎない! とツッコミされたら否定はしないけど(笑)――


 これらは日本であれば、かつての『宇宙戦艦ヤマト』(74年~・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20101207/p1)や『機動戦士ガンダム』(79年~・https://katoku99.hatenablog.com/entry/19990801/p1)のような長命シリーズ。欧米であれば『スター・ウォーズ』(77年~・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200105/p1)や『スタートレック』(66年~)のような長命シリーズなどでも、すでにやってきたことでもある。


「先日談」や「後日談」に「番外編」。「歴史年表」や「並行宇宙」ですべての円谷特撮を連結して売ることで延命せよ!


 そして、われらが「ウルトラマン」シリーズでもすでに1970年代前半には往時の小学館学年誌や子供向け豆百科のウルトラ記事群のように、ウルトラ兄弟のウラ設定やウルトラ一族の誕生に端を発する27万年(!)にもわたる歴史年表がつくられてきた。
 1970年代中後盤には、第2期ウルトラシリーズ最終作『ウルトラマンレオ』終了直後の時代を舞台に大宇宙を股に掛けてウルトラ一族とジャッカル大魔王率いるジャッカル軍団とが大バトルを繰り広げる学年誌『小学三年生』連載マンガ『さよならウルトラ兄弟』(75年)――78年に『ザ・ウルトラマン』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20160914/p1)と改題して児童誌『コロコロコミック』草創期の号で再掲載して大ヒット。テレビアニメシリーズ『ザ☆ウルトラマン』(79年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/19971117/p1)とは別もの――や、児童誌『てれびくん』ではテレビシリーズ本編の各話の隙間を埋める位置付けの昭和ウルトラシリーズ各作のオリジナルエピソードの漫画なども連載されていた。


ウルトラセブンの若き日の母星での戦い
ウルトラマンタロウの母星での若き日々とその成長
ウルトラ兄弟の長男ゾフィーの幼き日々とその成長
ウルトラマンエイティが地球に派遣される直前の前日談
・ウルトラ一族による宇宙警備隊が設立される前の秘史
ウルトラの父が宇宙警備隊の大隊長に推挙された折りの、ウルトラの父の兄による反乱劇


 『コロコロコミック』ではウルトラシリーズの歴史年表の空白を埋めるようにオリジナルのマンガ作品が次々と描かれたり、カラーグラビア巻頭記事ではウラ設定も次々とつくられていったのだが、このような「前日談」や「後日談」や「番外編」で作品世界をふくらませていく手法とも相乗効果で、70年代末期の第3次怪獣ブームはおおいに盛り上がり、当時の子供たちもおおいに興奮していたのであった。
 これは後年の『機動戦士ガンダム』や『スター・ウォーズ』シリーズなどでも行われるようになっていく手法ともまったくの同一のものであるどころか、その先駆けですらあっただろう。


 しかし……。当時のオタク第1世代が特撮ジャンルに市民権を認めさせるにあたって採用した、リアルシミュレーション至上主義・原点回帰至上主義・怪獣恐怖論・ヒーローの神秘性などの要素の積極的な賞揚。ひるがえって云うならば、シリーズ化やファミリー化にオールスター化を全否定していく70年代末期~00年前後の風潮にあっては、先の「先日談」や「後日談」に「番外編」、ウルトラ一族のファミリー化やウルトラマン同士の人間ドラマなどは邪道・愚劣・堕落・劣化と見做されて、今で云う黒歴史(くろ・れきし)となっていったのだ……


 今こそ主張したいのだが、これらの「先日談」や「後日談」に「番外編」のマンガ作品なども、あからさまに矛盾があるものは論外にしても、大きな矛盾がないものであれば、ウルトラ一族27万年、宇宙警備隊が結成されてからでも3万年もの歴史年表に含まれる「正史」に含んで公認すべきではないだろうか? それはその方がスケール感も雄大となりワクワクもするからだ。
 それによって、年々歳々生まれてくる若いマニア諸氏の興味関心も惹起して、それらのマンガ書籍も定期的に再刊できれば、円谷プロにも若干の版権収入は入るし、マンガ家先生たちの老後の特別年金にもなるのである(笑)。


 実はこのような「前日談」や「後日談」に「番外編」のマンガ作品をウルトラシリーズの正史に組み込もうとした御仁もすでにいる。われわれ同様の特撮マニア上がりでプロの脚本家に登り詰めて、『ウルトラマンメビウス』のメインライターも務めた赤星政尚(あかほし・まさなお)だ(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070506/p1)。


「僕はボガール編のあと、ジャッカル大魔王復活編でメロスも来るよっていうのをやりたかったんですけど、十何話目でウルトラマン3人も出てこなくていいですと云われて(笑)」

(「メイキング・オブ・メビウスワールドPart2」赤星政尚の発言・DVD『ウルトラマンメビウス』Volume10・バンダイビジュアル 07年4月25日発売・ASIN:B000MTF2MU


 氏は『メビウス』第1クール後半~第2クール前半の中核を占めた同作の青い2号ウルトラマンことウルトラマンヒカリhttps://katoku99.hatenablog.com/entry/20060910/p1)に続いて、マンガ『ザ・ウルトラマン』(『さよならウルトラ兄弟』)の宿敵・ジャッカル大魔王が復活して地球に再来襲! それを追って同作におけるオリジナルのウルトラマンにして全身を着脱自在な鎧(よろい!)で包んだ宇宙警備隊アンドロメダ星雲支部隊長・アンドロメロスも地球にやってくる! というジャッカル大魔王復活編を構想していたのだ!
 この提案は無情にも却下されてしまったそうだが――誰や、そんないらんことを云うた奴は!(笑)――、この構想が実現していれば、『ザ・ウルトラマン』はマンガ作品とはいえ『ウルトラマンレオ』の翌年度の西暦1975年に起きた史実として晴れて正史となっていたハズなのである! これは70年代中盤~80年前後に子供時代を送った世代人のほとんどの語られざる総意だったのではあるまいか!?
――ややこしいけど、ここで云うアンドロメロスは1981年から幼児誌『てれびくん』や学年誌でグラビア展開や各作家によるマンガが連載、83年には平日帯番組『アンドロメロス』として実写テレビシリーズ化もされて、映画『ウルトラマン物語(ストーリー)』(84年)や『ウルトラファイトビクトリー』に『ウルトラマンX(エックス)』(共に15年)などにも登場したジュダ・モルド・ギナ・グアらグア軍団と戦ったアンドロ警備隊のアンドロメロス隊長とは名のみ同じの別人のキャラクターです(汗)――


 平成ウルトラ3部作の第1作目『ウルトラマンティガ』(96年)から、いやビデオ販売作品『ウルトラマンG(グレート)』(90年)から『ウルトラマンマックス』(05年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060311/p1)に至るまでの作品群は、一部の例外を除いて各作がそれぞれに独立した、ウルトラマンや巨大怪獣と初遭遇を果たした地球人類を描く作品として製作されてきた。
 これを一転して、昭和のウルトラシリーズの25年後の正当続編としてつくられたのが『ウルトラマンメビウス』(06年)であった。


 以降はこの路線が継承される。『ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル』(07年)シリーズは昭和ウルトラ直系のその未来世界である。
 映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』は、当時の最新で子供たちにも馴染みが深い『大怪獣バトル』と『ウルトラマンメビウス』の2大キャラクターを道案内として、往年の昭和のウルトラファミリー全員が登場し、昭和ウルトラとは並行宇宙の関係にあってその最終回では異次元世界へ旅立ったという設定を活かしてウルトラマンダイナを昭和ウルトラの宇宙へ越境・共演もさせて、最後に新ヒーロー・ウルトラマンゼロをその大活躍でお披露目するというかたちで、見事に数十年にもわたる広い世代のウルトラシリーズファンに訴求していくつくりができていた。


 そして、『ウルトラマンメビウス外伝 ゴーストリバース』は前述の『ウルトラ銀河伝説』の前日談であり、『ゼロVSダークロプスゼロ』もまた『ウルトラ銀河伝説』の後日談にして『ゼロ THE MOVIE』の前日談とすることでヒキをつくっている。
 公開が控えている『ゼロ THE MOVIE』では、ウルトラマンネクサスウルトラマン・ザ・ネクストの最終形態にして本来の姿でもあるウルトラマンノアの石像まで登場。ノアは並行宇宙を越境することが可能で、昭和ウルトラの宇宙と『ネクサス』の宇宙を股にかけた2万年以上にもわたる歴史設定が用意されており、過去の時代を舞台に昭和のウルトラ兄弟とも共闘する幼児誌でのカラーグラビア展開もあったそうなので、ならば「別の宇宙」にノアを崇める石像が残っていても不思議はないことになる!


 このノアのようなかたちで、歴代のウルトラシリーズや往年のウルトラ以外の円谷特撮とも、「クモの巣」や「ハチの巣」や「網の目」のごとく、ひとつの作品から「雪の結晶」のように拡がる無数の接点をつくって、広大な世界観にいざなったり、先輩ヒーローも助っ人参戦できる作品世界を構築して、特撮マニアや子供たちの興味関心を数十年にわたって惹起していくことこそが、ウルトラシリーズを末永く継続させていくにあたって肝要なのではあるまいか?


 今年2010年は『ウルトラマン80』30周年の年でもあった。ウルトラマンエイティこと矢的猛(やまと・たけし)を演じた長谷川初範(はせがわ・はつのり)も、ファミリー劇場での『80』宣伝番組『ウルトラマン80のすべて』やDVD-BOXの特典映像や関連イベントなどに出演してくれた。その延長線で『ゼロ THE MOVIE』スタッフもエイティの声を長谷川本人に担当させたのだろうが、実にうれしいサービスではある。
 しかし、さらなるぜいたくを云わせてもらえば、なぜついでに長谷川を取って付けたようなワンカットだけでもいいので「顔出し」で『ゼロ THE MOVIE』にも出演させて、エイティに変身して参戦させなかったのか? 今どきのグリーンバック撮影ならば強引にどこかのシーンにネジこむことも可能だったのではあるまいか?――もちろん『80』第4クールのユリアン編に登場したウルトラの女戦士・ユリアンこと星涼子を演じた萩原佐代子(はぎわら・さよこ)も同様だ――


 前作『ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』では、変身こそしなかったものの、ウルトラマンコスモス(01年)こと杉浦太陽(すぎうら・たいよう)がムサシ隊員とは別人の並行宇宙のムサシ隊員役で1シーンだけ登場した。しかもあれは杉浦が円谷プロに直談判して、スタッフ側でも客寄せになると判断して実現したものだという――そして、さっそくスポーツ新聞でも杉浦出演決定が報道されていた(笑)――。
 「ウルトラマン」のような本格文芸映画・芸術映画ならぬ通俗娯楽活劇で、特にドラマ主導ではないオールスターお祭り映画では、イイ意味でそのようにブロック的にパーツを付けたり抜いたりしても成り立つハズのものだ。そして、長谷川が変身してくれることをマスコミに公表すれば、それでスポーツ新聞も宣伝してくれただろうし、朝のワイドショーの新聞ウォッチでも報道してくれるのであれば、どれだけのパブリシティ効果があったことか……


 2010年代のウルトラは、過去の歴代シリーズや傍流特撮ヒーローとのリンク、将来のシリーズへのヒキや新旧ヒーローのバトンタッチといった連続性、そして各種の有名人とのコラボなども含めたパブリシティ面をも考慮したメディアミックス展開の充実をおおいに熱望したいものである。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2011年号』(10年12月30日発行)所収『ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ STAGEⅠ』評・後半より抜粋)


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ウルトラマンジード』(17年)最終回「GEEDの証」 ~クライシスインパクト・幼年期放射・カレラン分子・分解酵素・時空修復方法はこう描けば!?

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180213/p1

『劇場版ウルトラマンジード つなくぜ!願い!!』(18年) ~新アイテムと新怪獣にも過去作との因縁付与で説得力!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180401/p1

『ウルトラギャラクシーファイト』(19年) ~パチンコ展開まで前史として肯定! 昭和~2010年代のウルトラマンたちを無数の設定因縁劇でつなぐ活劇佳品!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200110/p1

ウルトラマンタイガ』『ウルトラギャラクシーファイト』『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』『仮面ライダー令和』 ~奇しくも「父超え」物語となった各作の成否は!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200112/p1


[関連記事] ~おかひでき監督が名作殿堂アニメのリメイクの全話脚本を担当!

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』#1~10(第一章~第三章) ~戦争モノの本質とは!? 愛をも相対視する40年後のリメイク!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20181208/p1

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第一章「嚆矢篇」』 ~キナ臭い主張を期待したい(爆)

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20181020/p1


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★今こそ昭和ウルトラの全遺産を活かせ!★ ~ドラマやテーマよりも、ウルトラ兄弟・歴代怪獣・世界や年表・児童の神話的年代記やジャンク知識収集癖へ訴求せよ! 武器や鎧・テーマパークな未来都市・2回変身や等身大バトルなど身体性の快楽も!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060415/p1

特撮意見⑤ ウルトラも敵味方でカプセル怪獣を召還、順列組合せバトルせよ!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060412/p1

ザ・ウルトラマン ジャッカル対ウルトラマン』(15年) ~日本アニメ(ーター)見本市出展作品!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160914/p1


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ウルトラマンメビウス』(06年)#34「故郷(ふるさと)のない男」 ~レオ客演!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061224/p1

ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』(07年)#1「怪獣無法惑星」 ~第1シリーズ序盤合評

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080427/p1

ウルトラギャラクシー大怪獣バトルNEO』(08年)#1「レイオニクスハンター」 ~第2シリーズ!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091230/p1


[関連記事] ~ウルトラシリーズ総論記事!

ウルトラマンメビウス』(06年)総論 ~赤星政尚論!(長文)

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070506/p1

ウルトラマンダイナ』(97年)総論 ~ダイナの赤い輝きに(長文)

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971215/p1

ウルトラマン80』(80年)総論 ~あのころ特撮評論は思春期(中二病・笑)だった!(長文)

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971121/p1

ザ・ウルトラマン』(79年)総論 ~「ザ☆ウルトラマン」の時代(長文)

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971117/p1